危険な個性を持って生まれたら 作:れる
レクリエーションが終わり、教師のひとりであるセメントスが自身の個性によってステージを作り直した。これによって最終種目の準備が整い、実況席に座るプレゼントマイクの声が会場内に響き渡った。
『色々やってきましたが!!結局これだぜガチンコ勝負!!』
第一試合の選手である、緑谷・心繰の両名がステージ上に上がると、今まで以上に観客席の熱気が膨れ上がった。
『ルールは簡単!相手を場外に落とすか戦闘不能にする、あとは「まいった」とか言わせても勝ちのガチンコだ!!だがまぁもちろん命に関わるよーなのはクソだぜ!!ヒーローは敵を捕まえるために拳を振るうのだ!そんじゃ早速始めよか!!レディィィィイ、START!!』
試合が始まるやいなや、緑谷がいきなりその場で停止してしまった。その様子に火水はああと声を漏らしてしまった。
「せっかく教えたんだけど、まあ心繰くん煽るの上手そうだしな。」
「ん?天地アイツの個性知ってんのか?」
同じ控え室にいた上鳴が火水の声に反応して話しかけてきた。
「さっきの騎馬戦で同じチームだったしね。どういう人か気になってたみたいだから教えてあげたんだけど、相手が一枚上手だったみたい。」
「あーそういやそうだったな。で、アイツの個性って何だ?」
「『洗脳』って個性で声に反応すると意識を奪われて操られるんだよね。」
「は!?なんだそれチートじゃねえか!緑谷負け確じゃね?どーすんだよ!」
「そういえば解除方法だけは教えてくれなかったなー。あ、でも確か俺が意識を取り戻したとき…」
とそこでモニターから爆発音が轟いた。驚き画面を確認すると緑谷があと一歩で場外になるところで個性を無理やり発動させ、踏みとどまっていた。しかしその代償として左手に怪我を負っているようだ。
「無茶するなあ、緑谷くん。」
一方心繰はというと再度個性を発動させようと声を必死にかけているも、緑谷は一切返事をしなかった。そのまま取っ組み合いになり、緑谷が心繰を投げ飛ばし試合が終了した。
「心繰くん場外!!緑谷くん2回戦進出!!」
「おお!緑谷やったな!!」
「やっぱり、体に衝撃を受けると個性が解除されるんだね。でもあんな怪我して二回戦目大丈夫かな。」
「まあリカバリーガールいるし問題ねーだろ!…ってかさ、俺の相手B組の女子みたいなんだけど、その子もたしか天地と同じ騎馬戦チームだったよな?個性とか知ってたり…」
最後のほうだけ声を小さくして対戦相手について聞いてきた。彼は電気系統という強い個性を持っているはずだが、相手のことを何も知らないということで不安なのだろう。
「上鳴くん女子相手なのに容赦ないね?ごめんね、相手の子と仲いいし応援してるから教えれないかも。」
「まじかよ!…ってか天地って意外と女子と仲いいよな?なんかズルくね?」
「たまたまだよ、2人とも優しいから俺みたいなぼっちにも仲良くしてくれてるだけ。別に上鳴くんもカッコいいから女子ウケは悪くないんじゃない?」
「お!やっぱそう思う!?いやー天地わかるやつだな!!」
火水におだてられ気を良くしたのか、鼻歌まじりに離れていった。その様子に思わず口元が緩んだ。
◆
「お疲れ緑谷ん、おめでとう。」
一戦目の試合が終わり緑谷が控え室に戻ってきた。火水は彼を呼び止めると称賛の言葉を述べた。
「あ、ありがとう天地くん。でもせっかくアドバイスしてくれたのに結局心繰くんの個性にやられちゃって…」
「でも最後には自分で解いて勝ったんだしいいんじゃない?相手が煽るの上手かっただけでしょ。…で、なんで言われて乗っちゃったの?」
洗脳をかけるための言葉が気になり緑谷にその内容を聞こうとするも、口をもごもごさせてなかなか教えようとはしなかった。どうしたんだろうと首を傾げると、意を決したのかようやく口を開いた。
「その…天地くんと、葉隠さんの、悪口言われて、かっとなって応えちゃったんだ…」
「あーなるほどね、優しいな緑谷くん。ま、でも本気で言ったわけじゃないでしょ。」
「うん…そうだといいんだけど…」
「ま、戦いに本気だったからこそでしょ。てかごめんね、怪我してるのに。早くリカバリーガールのところ行ってきな。」
「あっ、そうだった。ごめんね、天地くん。」
そういうと緑谷くんは控え室から退出した。何の謝罪だろうと思いながら右手を振って彼を見送った。
◆
続く二戦目の瀬呂と轟の試合。奇しくも同クラスの対決となり、他のA組の面々もどちらを応援すればいいか迷っているようだ。しかしそんなことは知ったことかと言わんばかりに轟が瀬呂を瞬殺。下剋上とはいかなかったようだ。
そして第3試合、上鳴と反町の対決だ。ステージに上がった両名を見ると、上鳴くんは笑顔を見せて観客席に手を振る一方、反町さんはガチガチに緊張しているのが見て取れる。昼間はああいっていたが、無理してないかなと心配した面持ちで試合を見守る。
そんなことはお構いなしにと試合開始が宣言された。最初に仕掛けたのは当然上鳴、全身から電気を放出し速攻で勝負を決めに来たようだ。しかしそれで終わらないのが彼女の個性『反射』、ぎゅっと両目を閉じつつも両腕を前に突き出しバリアを生成した。それにより電気の一斉放出を防いでみせた。
次はどのような攻防戦が繰り広げられるのかと皆が注目していたが、「ウェーイ」という間の抜けた声が聞こえてきた。どうやら上鳴は一撃で決めるつもりだったらしく個性を許容量を超えて使用してしまい、顔が残念なことになっていた。その様子に会場は困惑しており、対戦相手の反町もどうすればいいかとうろたえていた。
両者しばらく見合っていたがこれでは埒が明かないと動いたのが反町、攻めには個性が使えないため両手を使って上鳴の体を押そうとした。しかし小柄かつ非力な彼女では男子生徒の体が動くはずもなく、観客からはほほえましい笑みを向けられていた。
ただそれを上鳴が黙って見ているわけでもなく、自分を押す腕を掴み返そうとした。それに気づいた反町は、ひいっとか細い悲鳴をあげて自分を掴もうとする腕に対して手を向け小さいバリアを作り出した。バリアに当たった上鳴は、腕ごと体を弾かれそのまま放物線を描き場外に出てしまった。
なんともあっけない終わり方に会場内が静寂に包まれ、一息を置いてミッドナイトが勝利宣言を行った。
『ブラドからの情報によると、反町の個性は反射。自分が攻撃とみなしたものを跳ね返すバリアを生成するそうだ。それで上鳴の個性を防ぎ、最後は触れようとした上鳴自身を弾き飛ばした。攻めには使いづらいが防衛線では優れた個性と言えるな。』
『なるほどな!!情報提供センキューだぜ!ブラド!!』
◆
4試合目はA組委員長の飯田と、サポート科の生徒との対戦だった。飯田の圧勝で終わると思われていたが、なにやら飯田の体にはアイテムが装着されており、その性能を観客に見せつけるかのようにパフォーマンスを行っていた。それに合わせサポート科の発目がアイテムの紹介を行っていた。一通り紹介し終わり満足したのか発目が自主的に場外に出ることで、試合が終了。飯田の勝利で終わった。
そして後半戦が始まりその初戦となるのがが火水の試合だ。
『5試合目!今回もA組同士の潰し合いだぜ!!運動神経もバツグン!かわいい見た目に騙されるな!ヒーロー科、芦戸三奈!
芦戸はぴょんぴょんと飛び跳ねながらステージに入場してきた、一方火水は大勢に注目され緊張しているの
か左手で後頭部をかきながら入場した。
「よっ!天地!遠慮なくいかせてもらうからね!!」
「…よろしく。」
『そんじゃ早速いくぜ!!START!』
開始宣言とともに芦戸がまっすぐこちらに突っ込んできた。そしてそのまま両手を放り出すように前に掲げると、個性を発動したのか両手から液体を放出させそれが火水の頭上を覆った。
(あーそういえば『酸』だったっけ、個性。じゃああれに当たるとまずいなあ。)
自分に向かってくる謎の液体を見ることでようやく相手の個性を思い出した。火水は冷静に自身の個性により横向きの強風を発動させることで酸とともに、
「芦戸さん場外!!天地くん二回戦進出!!」
『圧倒的—————!!芦戸の個性を意にも介さず天地の個性ですべて吹き飛ばしたー!』
『個性で相手を覆うように発動することで、そちらに意識を向けさせその隙に接近。悪くない発想だが相手が悪すぎたな。』
ミッドナイトによる勝利宣言を聞くと、火水は場外で転んでいる芦戸の下に向かった。
「大丈夫?芦戸さん。」
「いってて…本当に容赦ないなー。ま、でも大丈夫だよ、少し擦りむいただけ。」
「え、本当に大丈夫!?すぐに保健室に…あ、付き添いとか大丈夫?」
怪我をしたと聞いて、火水は慌てて彼女の心配をし介助を申し出た。
「大げさだなー、これくらい大丈夫!!後で絆創膏つけときゃいいっしょ。」
「そ、そう?でも消毒とかしとかないと危ないよ。」
大丈夫だって、と芦戸さんがその場から立ち上げると手をひらひらさせながら退場していった。それを見届けると観客席から降り注ぐ拍手を背に火水もステージから立ち去った。
U.A FILE EXTRA1
SHOKOA SORIMACHI
〇個性『反射』
・手を突き出すと盾のようにバリアを生成するぞ!!
・バリアは片手ずつ2枚まで生成可能!
・両手を合わせるとより大きなバリアになるぞ!
・触れた攻撃をすべて跳ね返す!
・攻撃は彼女が攻撃と認識したものすべて!
・攻撃と思わなければそのまますり抜けるぞ!
反町's髪 真っ白。肩までの内巻きセミロング。
反町's目 空色の綺麗な瞳。いつも目を伏せがち。
反町's背 身長148cm。ヒーロー科で一番背が低い。
反町's胸 身長の割にはある方。
反町's足 細い。心配になるくらい。