危険な個性を持って生まれたら   作:れる

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戦闘訓練 前編

高校生活2日目、本日より早速授業が開始された。午前中はいたって普通の座学であった。例えば英語の時間はプレゼントマイクが担当教師だったが、雰囲気は中学の授業とあまり変わらない…たまーにテンションが高くなった時もあったが。しかしながら普通とは言ったがそこは最高峰の高校、授業内容は中学とは比べ物にならないほど高度であった。

 

そんなこんなで午前授業を終えてお昼休憩。葉隠さんに学食へ誘われたが弁当があると言って断った。雄英の学食は安いとは言え毎日利用していればある程度の金額にはなってしまう。十分と言っていいほどのお小遣いを毎月空悟さん…ギャングオルカに貰っているとはいえ、今まであまり使う気にもなれなかった。それに家事は小学生の頃より自主的に行っていたため弁当を作るのは苦ではない。

 

火水は10分足らずで弁当を食べ終わり、入学前に買っておいた『ヒーローの心構え』というタイトルの本を読み時間をつぶした。

 

数十ページ読み進めたところで、学食へ行っていたクラスメイト達が帰ってきたようでクラス内がにぎやかになった。クラスの掛け時計を確認するともうすぐ午後の授業が始まる時間だ。読んでいた本を閉じ次はヒーロー基礎学。ヒーロー科ならではの授業にどんな内容かなとぼんやりしながら考えていると、クラスの扉が開いた。

 

「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!」

 

クラス内に登場したオールマイトの姿にみんな興奮したようで、教室内が一気に沸き立った。

 

「今日はコレ!戦闘訓練!!そしてそいつに伴って…こちら!入学前に送ってもらった個性届と要望に沿ってあつらえた…戦闘服(コスチューム)!!」

 

教壇に立った彼が『BATTLE』と書かれたプレートを突き出し、教室の壁がせり出してきた。現れたのはコスチュームが入れられたロッカーであり、丁寧にクラス番号が印字されている。

 

「着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!」

 

全員が返事をしコスチュームを抱え更衣室に向かった。

 

 

  ◆

 

 

火水たちがコスチュームに着替えグラウンドに集合すると、各々互いのコスチュームについてわいわいと話し合っていた。

 

「わ、雨合羽だ!火水くんのコスチューム意外と可愛らしいね!」

 

葉隠さんに言われたように、火水のコスチュームは膝上までほどある黄色の雨合羽を羽織ったシンブルなものだ。内側のの服装はシンプルなグレーの長袖長ズボンであり、コスチュームは一通り防弾・防刃仕様になっている。それと額にはパイロットゴーグルをかけている。

 

「ありがとう、葉隠さんは…手袋とブーツ…えっ服は?」

 

「ん?無いよ?これだけ!」

 

手袋とブーツ以外何も身にまとっていない彼女は、そう言って両手をひらひらさせた。そんな彼女に火水は頭が痛くなり眉間を揉んだ。まじかこいつ。

 

「まあ、個性上そうなるのも仕方ないと思うけどさ、せめて何もないときには服ぐらい着てたほうがいいんじゃない?ほら、怪我とかするかもだし…」

 

「脱ぐのに時間かかるしめんどくさい!!」

 

「そうですか…じゃあいいんじゃないかな。」

 

華の女子高生の羞恥心と倫理観どうなってんだと天を仰ぐ。

 

そうこうしているうちにオールマイトが箱を持って集合を促し、授業内容の説明を行った。今回は屋内の対人戦闘訓練であり、『ヒーロー組』と『ヴィラン組』の少数チームに分かれて行うものであった。

今回の設定はヴィランがアジトに核兵器を隠していて、それをヒーローが確保することを目的とするものである。ヒーロー側は制限時間内にヴィランを捕まえるか核兵器を回収すること、ヴィラン側は制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえることが勝利条件だ。

 

なお核兵器の確保はヒーローがタッチすること、人を確保するには捕縛テープを相手に巻き付ける必要があるとのことだ。

 

「今回は2人組を作ってもらうが…今年は21人ということで1組だけ3人になってもらうぞ!」

 

例年20人のところ、今年は何かあったのか21人。3人チームになった対戦相手は不利なのではとの不満の声が上がったが、特別措置として3人組はヴィラン組で連絡用のインカムで互いに連絡が取れないようにするらしし。

 

ともかくコンビ決めのためくじを引きよう促され、火水も箱に手を入れた。引いたくじには『C』と書かれている。

 

「C…Cの人は…」

 

「あら、天地さんがCなのですね。」

 

相方を探していると女子生徒から声がかかった。この声は八百万さんだったか。

 

「ああ、八百万さんだよね。よろし…く…」

 

相方に挨拶をしようと振り向き、即座にあさっての方向に顔を逸らした。

 

「ええ、よろしくおねがいします。あら、どうかされました?」

 

「うん、気にしないで。」

 

ちらりと彼女の姿を改めて確認した彼女のコスチュームは、ずいぶん煽情的なものだった。再度目線を逸らし小さくため息をつく。

 

(雄英の女子生徒って、羞恥心とかないのかな。)

 

そう思い他の女子を確認すると、他にはとんでもないコスチュームの人はいなく胸をなでおろした。

 

それぞれがチームメイト同士で話し合っているうちに、1組目の準備が整ったようだ。ヒーロー側は緑谷・麗日コンビ。対するヴィラン側はヤンキー君こと爆轟と飯田だ。それ以外の生徒は戦闘の舞台である5階建てビルの地下にあるモニタールームにて観戦をするようだ。

 

「では行くぞ!屋内対人戦闘訓練、1組目開始!」

 

 

  ◆

 

 

「負けたほうがほぼ無傷で、勝ったほうが倒れてら…」

 

静まり返ったモニタールーム内で、誰かがぽつりとつぶやいた。

 

1組目の戦闘内容はそれはひどいものだった。ヴィラン側の爆轟くんが所かまわず個性を使用して爆破を行いオールマイトから注意を受けていた。それに冷静に対処していた緑谷くんも後半は追い詰められていたが、最後には個性を使用し自身の腕ごと床を粉砕。それを起点に麗日さんが隙をついて核兵器にタッチした。

 

結果だけを見れば個性把握テスト上位組に対して見事勝利のように見えるが、オールマイトがMVPだと評価したのはヴィラン側の飯田くんであり、その理由を尋ねてきた。すると即座に横にいた八百万さんが手を挙げた。

 

彼女が淡々と冷静に4人に対する評価を行うと、自分の言いたかったことを言われてしまったのか、声を震わせながら「まぁ…正解だよ…くぅ!」とサムズアップした。

 

 

  ◆

 

 

続く2戦目のBチーム対Iチームの轟・障子ペアと尾白・葉隠・峰田トリオの戦いだ。人数不利となったBチームに注目が集まるが、みんなの予想を裏切り一瞬のうちに決着がついた。轟くんの個性でビル全体が一瞬のうちに凍結し、迎え撃つつもりだったIチーム3人全員が足元を凍らされ身動きが取れなくなっていた。

 

そのまま特に逆転劇は発生せずBチームが核兵器に手を触れそれで戦闘は終了した。一瞬にして3人を制圧した轟くんの個性のすさまじさもそうだが、それ以上に言いたいことがある。

 

「やっぱりさあ、素っ裸になるのはどうかと思うんだ。」

 

「しょうがないじゃんかー!いきなりあんなことされるなんて思わないよ!」

 

戦闘訓練から戻ってきた葉隠さんにそう伝えるとぷんすこと怒りながら言い返してきた。まあその通りなんだがそれはそれ、万が一凍らされなくとも寒さでろくに動くことができなかっただろう。

 

「…で、凍傷とかは大丈夫そう?」

 

「うん、轟くんに温めてもらったから。」

 

結構しっかりと凍らされていたけど大丈夫そうで、手袋をひらひらさせた。どうやら轟くんの個性は凍らせるだけではないらしい、すごい個性だと感心した。葉隠さんと話していると凍らされていたビルの解凍が済んだようで、次のチームの指名が入った。

 

「Cチームってことは天地くんのとこじゃん、しっかり見といてあげるから瞬殺されないようにねー。」

 

「そうならないように頑張るね。」

 

煽るように言ってきた彼女をあしらうように返事をした。

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