「おいリサ。起きろ」
「……んん〜…?」
ブラッドがソファで眠るリサを揺らして起こす。呑気に欠伸をしながらリサは起きて目を擦ってぼやけた視界でブラッドを捉えた。
「あ〜ブラッドかぁ、おあよぉぉ…ふおぁぁ〜……」
緊張感無く起きるリサに笑みが出そうになるが、今はそんな事をしている場合では無い。すぐに気を引き締める。
「リサ、俺たちが指名手配された。早くテレビを見るんだ」
画面には昨晩カンナから見せられた写真より解像度が上がっている写真とそれより近い姿が写った映像などが写り変わって行く。
「今はまだ俺達だとバレてないが、それも時間の問題だ。昨日スティッキー達に言った集合場所に向かうぞ」
「まぁまぁブラッド落ち着け。そうだな…」
するとリサは呑気に冷蔵庫を開け、昨日貰った(火事場泥棒した)パスタを茹で始める。
「まずは、腹ごしらえだ。少しくらい許してくれるはずだぞ」
「……………」
ブラッドは呆れたような顔をして、腕を組み少し天井を見つめて溜息を吐く。そして、食器を用意し物で散乱とした机を片付け始めた。
そんな風に緩やかに一日が始まり、結局ブラッド達が全員合流出来たのは昼近くの時間帯だった。
「遅いぞ」
「すまないな。少し朝飯を取ってた」
ブラッドが集合場所…カートレースの会場にまで行くと、スティッキーしかその場にはいなかった。
「他のメンバーは来ていないのか?」
リサが言うとスティッキーはジト目でリサを見る。
「お前達があまりにも遅くてテリーとギースがコンビニに行った。カープはミュータントを見てる。他は知らん」
「お前それで俺達に文句言うのは不公平じゃないか?」
「10分前から来てるこっちの身にもなれ」
律儀に約束を守るスティッキーにグチグチと小言を言われていると、元気そうな声でブラッドは名前を呼ばれた。
「おーい!ブラッドーー!」
「今来たの?何したの?」
テリーとギースだ。両手にはコンビニ弁当が大量に入った袋がある。
「丁度廃棄も貰ってきたんだ。これで長旅も安心だね」
「……それ、2人でキツくなかったか?」
見ると、2人の腕には袋がミチミチとくい込んでおり、見るからに真っ赤で痛そうになっていた。
「ふふふ…めっちゃ痛い」
「手が離せません…すみません…」
テリーが涙目になり、ギースの鳥の顔がプルプルと震えている。一応分散しようとブラッド、リサ、スティッキー、テリー、ギースとそれぞれのカバンに詰め込む。
「_____して、あの店員はこの後こう答えのさ。俺がズボンを下ろしてピーナッツバターを奴のケツに塗りたくってやり…おや、ブラッド達か。遅かったじゃないか」
「………誰かコイツを離してくれ」
ネルンと、そのネルンの長話の餌食になってしまったのであろうフライが到達した。
「あ、2人とも。この廃棄いる?」
「テリーか!ホホッ!コンビニの廃棄弁当?うむ…コンビニ飯は美味いが…それは店にもよるのでな。特にあの州で寄ったコンビニは特に酷かった!床に水溜まりが出来ているのはいいとして、犬が入ってくるのは________」
フライの目が、この状況どうしてくれるんだ?と訴えかけてくる。テリーは申し訳なく思い、秘蔵の廃棄スイーツを3つ程渡した。
「……ここか?」
すると、旅人風の少女がやってきた。昨日の夜ブラッドが再開したオランだった。
「オラン。来たか」
「あぁ、それでコイツらが…」
「!?オラーーン!」
「何っ!?オラン!?」
「おめぇミュータントになったんじゃ!!」
オランだと分かり、テリー達がオランの周りに集まる。特にテリーとネルンは旅の初期からのメンバーであるオランと会えて心底嬉しそうだ。オランは急に集まって来たメンバーにビックリしている。
「……おいおい、随分と嬉しい挨拶じゃないか…」
「本当に寂しかったよー!」
「ミュータントになった時程我々の心にどれ程の穴が空いたのか理解してくれないか?それはそうと、アーチェリーについての話がまだ沢山あるのだが、あの時俺は妻と森へ________」
「……この騒ぎは少し懐かしいな。人数は少ないが」
「……………」
「ん…」
「なぁ…ブラッド。あれもお前の仲間か?」
次にやってきたのは、3人の生徒だった。サングラスをかけた少女と、その後ろについて行っているバケツを被った少女とペンキ缶を被った少女だ。
「………いや…知らん。誰だあいつ…怖…」
実際かつてペンキ缶を被った仲間はいた、だが彼女達はただの通りすがりだったようだ。通りすがりの子達はブラッド達を一瞥してすぐに去って行った。
「というか、あんなトンチキな格好ここでもするんだな」
「やめろ。まるでオレイサがトンチキな土地みたいになるじゃないか」
実際トンチキな場所じゃないか?とブラッドは思ったが声には出さなかった。
「………ココ」
「ふむ、どうやら粗方集まってるらしい」
「な〜ぅ」
「ヤザン、ビーストボーン」
「えぇ!?ブラッド何人と会ってるのさ!?」
「ふむ…話す人が増えて俺も嬉しいが一報入れてもらわないと話す内容が決まってないからな…」
オランの他に出会った仲間も合流を果たし、各々騒ぎ初め、残るはオリーとカープだけになった。
「オリー、宛あり。カープは動けない。2人で来るから、それまでアルハラ!」
ギースの手には…なんと酒が!!
「お、おい…なんで酒持ってんだよ?」
オランが湧き出る唾を飲み込みながら手を震えさせる。どうやら酒好きの部分が出ているようだ。
ピッ!とギースが親指を向ける方にはダンボール箱があり、なんと中には未開封の缶ビールが!!
オランを筆頭に他の酒を欲しがるメンバーが群がりに行った。
「……それじゃあ、リサ。この番号に繋げてくれ」
「わかった」
ブラッドは、リサとスティッキーと真面目な話をしていた。
リサの携帯を通じて、尾刃カンナのモモトークを追加する。
その後、電話をかけ少ししてカンナが電話に出た。
『……どちら様でしょうか?』
「俺だ」
『…あぁ、ブラッドさん。という事はその端末はあなたの?』
「いや、妹のリサの奴だ。…この状況だと買いに行くのにも気を使うからな」
『………あぁ、見てらしたのですか』
「覚悟はしてたが、そんなに決定が早かったのか?」
『………はい、どうやらどうしても捕まえる気でいるらしく、被害にあった…正確にはあなた達に危害を加えた親玉がそういうらしく、私としても困ったものです』
「はは、まぁ狙われるのは慣れているからいい。だがこの状況…少なくとも協力者のような人物が欲しい」
『……………』
「なに、犯罪する訳ではないぞ?」
『いや、丁度いるんですよ。うちでも扱いきれないが、手軽に投げ出せる位の協力者』
「何?」
『連れて行くので、一度どこかで落ち合いませんか?場所は…』
「まぁ待て。信用してない訳じゃないが…それが罠の可能性もある。流石に場所はコチラが指定しても______」
『???……え?自分が話す?何故……知り合い?ほんとですか?……はぁ』
電話の向こうでやり取りをしているのか、会話の声が小さい。1、2回問答してからコチラに戻ってきた。
『失礼…その協力者が直々に話をしたいと願い出てきています。少しお時間大丈夫ですか?』
「いや、大丈夫だが…」
『では…』
ガサガサと物音がしてその人物はすぐに変わった。
『やぁやぁ、久しぶりじゃないかブラッド!』
「……だれだ?」
声が妙に甲高い。子供の声のように頭に響く声だ。
『俺だ!ハービー!ハービー・アリバスター!』
ハービー・アリバスター。魚人の村で弁護士をしていた足の生えた魚。法律に強く、だが狡猾。それが彼だ。
『ニュース見たよブラッド。どうやら大変らしいじゃないか』
「……まぁ、また暴れたからな。不可抗力だが」
『ふふふ…でも世間での君の評価はマイナスだ!何せここキヴォトスではそこまで脅威ではないが、いつの時代どこの場でも強盗は勘弁被る!そこで!また俺が君の所に行き、手伝おうと思う!あ!ちょっとカン_________』
『………失礼、このとおり、ハービーはあなたと知るや否やこう言うもので…ホントに彼女と知り合いなんです?』
「まぁ…知り合いだな。色々と」
ブラッドは嘘をついていない。オレイサの頃は旅もしたから。コチラでは初めましてになるが。
『でしたら、お互い知り合いならいいでしょう?』
「……まぁそうだが」
『私としても真実をある程度知っている身とはいえ、それを無視して逮捕したくありません。ですが公安局の局長として1人で動きずらい立場でもある。ですのでハービーをそちらに送らせて貰います。無実の証拠が残るまでハービーと上手く凌いで下さい』
「…わかった。場所はどうする」
『そうですね…シャーレという存在はご存知ですか?』
「シャーレ?」
『…ハービーもでしたが、最近疎い人が増えている気がするんですが…まぁいいでしょう。シャーレというのは超法規的機関で、基本何をしてもいい部活動のような存在、らしいです』
「らしい?」
『存在してたとか、最近になって作られたとか色々な噂が飛び交って正確な情報が分からないんですよ。要は認められたなんでも屋みたいな感じです』
「それで、そのシャーレやらに頼んで貰うのか?」
『いえ、実は最近秘密裏に作られていたビルがあるらしく…』
「おぉーーーい!ブラッドーーーーー!オリーとカープが来たよーーーー!」
テリーが大声でコチラを呼ぶ。向こうから大型のトラックの助手席に乗ったオリーと、トラックの上に乗って手を振っているカープがいた。
「悪いな、残りの連れが来た」
『そうですか、では地図を送りますのでその場に行ってコンタクトを取ってください。私から出来る事は今の所これで全てですので。では』
そう言ってカンナとの電話が切れる。すぐに地図が張り出され、この場に行けばいいのが赤い印でわかる。
カープが飛び降り、ギースが迎える。
「カープ。ミュータントは?」
「このトラックの中」
「よっと!」
オリーが助手席から降りる。それと一緒に運転手も降りてきた。
おかっぱ頭のハイライトがない三白眼の少女だ。随分と居心地が悪そうな態度をしている。
「オリー、その子は誰だ?」
「まぁこれから言う事ですぐに誰かわかるだろう」
オリーが含みを持たせた言い方をする。
「さっさと答えろよ……」
が、絶賛不機嫌中のフライに背中からピスラーを突きつけられた。
「み、みんなはヘルナンデス運行って知ってるかいぃ!?」
「ヘルナンデス運行?それファーディの家名じゃないか?」
「最近になって頭角を現してきた会社でね、俺もお得意として利用させて貰ってる所なんだけどね!今隣にいるの!コイツがファーディ!」
「初めからそう言えよ」パスンッ
「アウチ!」
結局撃たれたオリーには特に目もくれず、全員がファーディに注目するが、ファーディはため息をついてそのまま1人やさぐれ始めた。
「…んだよ、文句あるなら言えよ」
「……いや、みんな今女の子だし文句とかは…」
「前は女じゃねぇのに女にされて男としての尊厳が無くなった、今度は遂に男ですら無くなったんだぞ!?こんな悪夢みてぇな出来事あっていいのか!?」
「…………なんかゴメンね?」
「それだけじゃねぇ!!シャーディもここに来て、ブラッドに殺された筈のターディもいたし、なんならラーディも来てた!他の地にもいる兄弟みんなが揃ってきてるのに俺だけ女だぞ!?俺だけ女の身体なんだぞ!?こんなん…気まず過ぎて一部の兄弟から変な目で見られちまってさぁ…」
遂には膝を付いてメソメソ泣き始めたファーディ。流石に他のメンツも声をかけずらかった。
「ファーディ元気出しな」
「傷は浅…くは無いか」
「これなんて地獄?抜け出す方法きっとある筈?」
他のメンツも居た堪れない気持ちになりついファーディに対して妙に優しい言葉をかけるようになってしまう。
「ブラッド、どうにかしてやらないのか?」
「だがなリサ…これ俺がどうしたって逆効果だぞ?」
「いけ」
ブラッドが近寄りがたくて足踏みしているとスティッキーからそう言われる。
「いけ」
「いや、スティッキーあのな?」
「いけ」
「ちょっと兄弟関係でファーディとは揉めて…」
「構わん、いけ」
元を辿ればお前の撒いた種だろと言ってるようなスティッキーの圧にブラッドは観念したのか重い足取りでファーディの元へ向かう。
「……………」
「……お前、ブラッドだろ?」
「あぁ……」
「ターディがお前に殺された時は、お前を殺してやるとも思った…だがな…そんな事今に比べればどうってこと無かった…」
洟をすすりながら膝を抱えるファーディ。あまりにも情けない姿にコチラも泣きそうになる。
「何より兄弟達が生きてこっちに来たのはいいんだけどさぁ……なんでただのトラック運転手がこんな目に合うんだよぉぉぉぉ…………」
「なんか…悪かったな……」
あまりにも弱々しい声にブラッドがつい謝ってしまう。
「……あんなどうすればいいのか分からない感じのブラッド初めて見た」
「……俺もだよ」
リサとスティッキーが困惑しながら事態を見守る。
そんなこんなで、ファーディの機嫌を取ること暫く…ようやく精神が安定したファーディはまともにブラッドと話をすることになった。
「……俺はお前に信頼を示した。その結果がアレな時点で俺はもうお前を信用したくない」
「…………」
「だが、いつだって人々にチャンスをやりたいのが俺の心情。例え恐ろしい相手でもな。オレイサじゃ裏切られたが、ここではまだ俺はお前に信頼を示すチャンスがある」
「……なんだ」
「俺の兄弟にもう手をかけないのなら、俺はまたあんたに力を貸す」
「……それだけか?もっと言うもんだと思っていたが」
「俺はもう男の誇りも何も消えちまったからよ。残ってるのはあのトラックとこっちに来た兄弟達だけだ。それさえ無事ならいい」
「わかった。お前の兄弟に手は出さん。というか、バディを狙わなければ殺しもしなかったんだがな…」
「んなもん言われても知らん。お前の娘もいないならここならお前も信頼出来るだろう、それにあまり言いたくないがここにいる女共は素材はいいからもし男がいても自慢のロケットの整備には困らないだろ」
「確かに」
「ってお前も今は女だろうが!」
木の棒を取り出してブラッドの頭を叩く。キヴォトス人の体になり多少力は増してる筈だがちっとも痛くなかった。
ファーディ・ヘルナンデスが仲間になった!
「話はついたか?」
続々と集まる仲間達にブラッドは頷く。
「まぁ、一応は」
「よし、いい足も手に入れたし。乗るか」
リサがそう言ってトラックの後ろの扉を開ける。中にはジョイミュータントが眠っており、起きる様子もない。こちらを信用してくれているのか分からないが、少なくとも今までの観点から襲われることも無いだろう。
「おい嬢ちゃん勝手に乗るな、どこに向かうってんだ?」
「ファーディって言ったな、この地図見てくれ」
スティッキーがカンナから送られた地図をファーディに見せる。ファーディは画面を睨みつけ目印のある場所を見ていた。
「あん?ここか?」
「そうだ、ここに向かって欲しい」
「…ったく、早く乗れよ。すぐに出発するぞ」
そう言って、ブラッド達はトラックの荷台に乗り込む。スティッキーが助手席に乗り、合計14名+1体の大所帯でファーディが運転するトラックはその場から出発した。
目指す場所は…ここからかなり遠い外郭地区。シャーレの建物があると思われる場所である。
テリー
最初の仲間。序盤は本当に役ただずだからと見捨てると後々後悔する。周回重ねるとアイテム配置覚えてくるからテリーを犠牲にするというパターンが少なくなるぞ。
最初はアイテム係をやりながら防御たまに技で支援を心がけろ。レベルが上がる事にできることが増えていくと思うから。大体序盤の終わりくらいに覚えてくる補助系の技がたまに助かる。敵を怒らせる技も使えるのもGood。ホッテスト・ダンスまで覚えたらもう怖いもんはない。相手を油まみれにして消し炭にしてやれ。
今ここで決めよう。先生の性別を
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男友並の距離感でブラッド達に接される男先
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ブラッド達を生徒だと思っている女先生