次の日、ファーディのトラックでブラックマーケットにやってきた一同。
ブラックマーケットは、陰鬱とした雰囲気はなく、寧ろちょっとした人集りも出来ていた。
「…ブラックマーケットって所だから、皆コソコソしてたりもう少し治安が悪いのかと思ってた」
シロコがありのままの意見を述べるが、通信でスティッキーから補足が入る。
『実際に治安は悪い。元々が非合法だから何をされてもおかしくないんだがな。今はジョイミュータントも蔓延ってしまっている最悪の時期だ。だから何があるかわかったもんじゃない。よって、足を運んで来る客も増え、売上が伸びるなら店側も追い返すことは無い。ウィン・ウィンの関係って奴だ』
「"でも、それって全うに商売していたブラックマーケットとは関係ない店は痛手を負うんじゃ?"」
『だから困るんだ。その店も慈善事業じゃない。商品の安定性は表の店だが、藁にもすがる思いの奴らは"もしかしたらあるかも…"というブラックマーケット程魅力的な場所はない。連邦生徒会からの資料にもこのブラックマーケット問題が来ているぞ。アビドスの問題が終わったら目を通せ』
「"…はい"」
元々自分が勝手に飛び出して事務仕事をスティッキー達がどうにかしてやってくれているのだ。口答えできる立場では無かった。
ファーディがエンジンを蒸してここを離れる準備をする。
「…じゃあ、俺は数時間後に言われた場所に行く。遅れたら容赦なく置いていくからな」
「あぁ、頼んだぞ」
ブラッドの返事にファーディはトラックを走らせる。
「さて、言われた場所を目指すぞ」
「確か、目的地は…"秘密の園 みつばち"って店でしたね?」
「建物が多く、1つに幾つもの店があるからな。手分けした方がいいが…この前みたくなりなくなければ、全員で行動した方がいい」
はぐれたり、万が一また攫われたりでもしたら土地勘もない自分達では救う手だてもない。よって全員で移動する事となった。
「……でも、この街一つくらいの広さを集まって探すのは非効率」
『だったら、二手に分かれるか。眼鏡の嬢ちゃんがオペレーターとしてアビドスの奴らをサポートして、こっちはブラッド達を見る。これでどうだ?』
『確かに、それなら少しは見つけやすくなりますけど…いいんですか?』
『なーに大丈夫だ、いくらルールを設けても絶対破る時か破る奴が出るから』
『はぁ…』
アヤネはあまり納得してないが、一応はそれで受け入れた。
「"それで、私はどっちにつけばいいんだい?"」
『先生はアビドス側についてくれ』
「あっ…!」
「おい、リサ?どこ行くんだ」
スティッキーと先生達が話してる間、リサが何かを見つけたらしく走り出し、ブラッドはリサを追いかける。
「やっぱり…!」
「ふんふ〜ん♪いやぁペロロ様の限定グッズが安く、多くなって買えるなんて吉日ですねぇ〜」
「ヒフミ!」
「え?あー!リサさん!」
リサがブラックマーケットに似つかわしくないトリニティの制服を着た少女、阿慈谷ヒフミに抱きついた。
突然のリサの強襲にヒフミは思わず体勢を崩す。
「あはっ、カートレース以来ですねリサさん!元気にしてました?」
「そっちこそ!でもなんでブラックマーケットにいるんだ?」
「実は…」
「おーいリサ!」
ヒフミが話そうとした時、ブラッドがやってくる。
「あっ、リサさんのお姉さん!」
「ん?あぁ、お前は…まさかあのカートレースの紙袋か?」
「え?あぁそうでした。自己紹介してませんでしたね。阿慈谷ヒフミです。よろしくお願いします」
「ブラッドだ。よろしく」
握手と同時にヒフミを立ち上がらせると、ブラッドは周囲の警戒をする。ヒフミの周りで害なす気配を感じたからだ。
周りにはスケバンが何人も囲んでおり、ヒフミもそれに気がついたのかブラッドの背中に隠れる。
「よぉ、よくそいつを銃を使わずに捕まえることが出来たな。じゃあ早速行こうぜ?」
「なんだお前ら、連れてくって何処にだ?」
「え?」
どうやらブラッドをこちらの仲間だと思っていたようだ。割と本気で困惑したような声でヒフミとブラッドを見る。仲間達もザワザワと騒ぎ出した。
「えっと、ちょっと失礼?アンタらどこから来たん?」
「ここの前はゲヘナ。野暮用で移動することになったんでここで物を揃えに来た。後ろのはちょっとしたことで知り合ったから話しかけただけだ」
ブラッドはすぐさま嘘をついた。スケバンは目を泳がしまくる。
「あ、そうなのか…ちょっと失礼…おい!どういうことだよ!」
「は、早とちりで仲間だと思っちゃって…!」
「んだとぉ!?」
はっとブラッドの方を見て、スケバンはぎこちない笑顔でブラッドに話しかける。
「…ちょっと、1回今の聞いてないってことでその子から離れて貰っても?やり直すんで…」
「あぁ、わかった」
「え?」
ブラッドの返答にスケバン達はまるで時間が遡ったようにいなくなり、ブラッドに簡単に売られたヒフミは割とマジな声でブラッド二問い詰める。
「ブラッドさん?嘘ですよね?ブラッドさん?」
「きちんと掴まってろ」
「ふぇ?」
視界からスケバンがいなくなった瞬間、ブラッドはリサとヒフミを持ち上げて走り出した。
「あわわわぁぁ!?」
「おい!どこ行きやがる!」
「ブラッド!どうする!?」
「一旦アイツらと合流だ!」
ブラッドは走り出し、スケバン達に追われる羽目になった。走ってすぐに先生達の元へ辿り着く。
「"ブラッド!何処に…"」
「お前ら!後ろのやつをどうにか出来ないか!?」
先生はブラッドの後ろからやってくるスケバンの波とも言うべき大量の人波を見て驚かせる。
「全く、次から次へとトラブルが絶えないな!」
「ガース、火炎瓶投げるよ!」
「まぁ待つんだ!一旦な!」
「マカセロ」
ビーストボーンが指笛を鳴らすと、大量のカラスと野良猫が群がり、スケバン達を止める。
だがそれでもスケバン達は止まらない。徐々にこちらに向かって走ってくる。
ここで撃退してもいいが、これからの事を考えるとあまり騒ぎは起こしたくはない。
「"ど、どうしよっか!?"」
『仕方ない…全員、一旦そこから離れろ!各自必要だと思う物を回収次第ファーディのトラックが来る場所へ向かうんだ』
『皆さん、お気をつけて!』
「ん!皆こっち!」
「それっ!」
チームオレイサは全員が一斉にバラバラに逃げ、対策委員会の現地にいる3人は先生を連れて逃げ出す。その前にテリーが煙幕を投げて目隠しをした。
「全く!なんで最近こんな大変な目に合わなきゃいけないの!?」
「ん!いいからまずは撒くことを考える!」
「ちょっと…走る度に胸痛いです…」
「ん、決闘なら受けて立つ」
「いいから早く走れ!」
「"息が…あがる…!"」
全員が走り人を避けながら、障害物を避けながら逃げるが遠目からこちらに向かって来るスケバン達からは逃げられそうとない。
撒くために大通りの曲がり角を曲がった所で店の中から手が伸びる。
「うぉっ!?」
「あっ!?」
「ひぇぇっ!?」
「な、なんですかぁ!?」
「ん!?」
「ふにゃっ!?」
「"うわっ!?"」
固まって動いていた7人が店に連れ込まれ、口を押さえられる。
まさか人攫いか!?とブラッドは戦闘態勢を取ろうとするが、どうやら敵意はなく、口に人差し指を近づけて、静かにしろと言われたので大人しく従う。
外で多くの走り去る音が聞こえ、暫くすると走る音も聞こえなくなり、やがてブラックマーケットの活気ある喧騒の音だけが聞こえてきた。
「……行ったわね」
そう言ってブラッドから手を離すその人物。ブラッドはすぐさまリサとヒフミを降ろしてすぐに構えを取る。
「んもう、女の子を守る
わざとらしく泣く態度をするが、ブラッドは冷静にこの人物は誰かを見極めようとしていた。部屋は薄暗いがそれでも近くにいるこの人物だけは目をこらせばどうにかして容姿を見ることが出来た。
流れるような金髪に黒いビキニと網タイツ、そして長手袋といった少々過激な服装をした女性と言っても差し支えない雰囲気を醸し出した少女だ。
手には血がベッタリとついた釘バットを持っている。
「まさか、お前クイーンか?」
「あら、ようやく気がついたの?」
クイーンは指を鳴らすと部屋が一気に明るくなる。
部屋の中には生徒だけではなく、多種多様な人物がそれぞれ過激な服装をしていた。所謂夜のお店のような雰囲気だった。
「「「ようこそ!秘密の園 みつばちへ!!」」」
歓迎の歓声に、ブラッドだけではなく先生もシロコ達も状況が読み込めずぽかんとしていた。
「さぁ、可愛い働きバチ達。今回のお客様はあくまで私の知り合いよ。いつものように、ではなくて丁重におもてなししてあげなさい」
「「「りょうか〜い♡」」」
クイーンの号令によってそれぞれ席に案内される。先生も若い子や完全に元男であろう人達によって担ぎ上げられ人集りが出来ていた。
「あの〜この状況…何するんですか?私達もやることがあるのですが…」
ノノミがおずおずと手を挙げた。クイーンはノノミをじっくりと見ながら優しく微笑んだ。
「あなた達も…磨けば光るものがありそうね。でーも、今回はブラッド、彼…いや、彼女に用があるのよ。時間もそう取らせないわ」
カツカツとハイヒールの音を響かせながらまたブラッドの前に立ったクイーンはにっこりと笑い、それはそれは迫力のある声で言った。
「それじゃあブラッド、じっっくり私とお話しましょう?今まで何をやってたのか、今度は何をやらかしてるのか。あなたの口から聞きたいわ」
「"す、すごい所だなぁ…ここは…"」
先生はどうにかして人集りから抜け出し、トイレの中にいた。
クイーンが経営してるだけあって、少々…いや、かなり目のやり場にこまる。
年端もいかない生徒であろう少女や美女。男性女性関係なく居た獣人にオートマタの人々。仕事着なのだろうがかなり過激な衣装で先生としての威厳を保つのに精一杯だった。
それに、男性の人々から感じる視線も少し熱を帯びていたような…と考えたあたりで先生は首を振る。これ以上考えたらいけない気がした。
コスプレ衣装を着ていたり、クイーンのように肌面積が少ない衣装であったり、もう見えてもおかしくない過激な衣装であったりと、もし少しでも反応していたらここの人達や下の話に寛容なオレイサの子達はともかく、アビドスの子達は少し距離を置かれてしまうだろう。
それに、ここの管理者でもあるクイーンはブラッドと関係があったらしく今も2人で話をしているようだ。今回はここに来ることも1つの目的であった為、これから事態は変化するだろうと先生は改めて意識を切り替えた。
「あっすみませぇ〜ん…ちょっといいですかぁ?」
トイレから出ると、待っていたのかクリーム色の髪をしたヘイローを持つ少女が待っていた。先程自分の所に来ていたのを覚えている。
ここの従業員であろう、コスプレ衣装をしている彼女は困り顔をして見ていた。
「ちょっと私の物が紛失してしまい、探すのを手伝って貰えませんか?名札なんですけど…」
「"さっきの集まりで無くしちゃったのかな?大丈夫だよ"」
勿論、困っている人は助けるし、ブラッドも取り込み中だ。少し位なら大丈夫だろう。
「ありがとうございます!」
少女と共に先程自分が座っていた場所の近くを探すが何も落ちていなかった。
「"見つからないね"」
「…もしかしたら、私の待機部屋にあったり…」
一応、そちらも探した方がいいかもと思い、先生はその子の待機部屋と思われる部屋に来た。
ロッカーと机や物入れが置かれた簡単な部屋だ。彼女はロッカーを調べているので先生は机を探す事にした。
机の下を調べると名札が落ちていたのを確認したので拾って彼女に渡すことにした。
「"あっ!見つけた___________________"」
「"!?"」
先生はあげた腰を思わず落としてしまった。
目の前の少女は、いつの間にか奇怪なピンクの仮面を被って待っていたのだ。
「…あっ、見つけてくれたんですか。ありがとうございます」
少女は自分が落としてしまった名札を手に取る。だが、その間も自分をじっくりと見つめてくるので先生は不気味で鳥肌も止まらなかった。
「おーい、先生?どこ行った?」
「"!ブラッドが呼んでる!行くね!"」
先生はそそくさとその場から離れた。
くすくすと笑う少女の声は、誰の耳にも届かない。
「
閉まる扉から先生の後ろ姿を見る。
「また会いましょう?先生。苦しむ時間は、すぐそこですよ?」
パタン…と、扉が閉まる。
どこからか、笑い声が聞こえたような気がした。
Lisaシリーズを知ってる人にとっては、苦虫を嚙み潰す位じゃ物足りない要素が出てきてしまいましたねぇ…これあるだけで苦痛の差が数万倍も違いますから。というか今回の展開書きたかったうちの1つなんですわ。苦手な絵を総動員して挿絵用意した位ですし。
ギース
バチくそにSP持ってる。タイガーマンと比較すると2倍くらい違うんよね。タイガーが450だとしたらギースは900持ってるくらい。全部技が単体だが、毒や麻痺を持っている。意外とシンプルな性能しているアタッカー。あと仲間にしておくと野宿した時どっかで人ぶっ殺して物持ってきてくれるいい子。