Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
デカグラマトン編三章はケイのおかげで色々分かってきましたね。学園モノごっこをやってる忘れられた神々の化けの皮を剝いで始まりへと戻す...やっぱり神秘のアーカイブ化ってそういう事なんね。しかも『シッテムの箱』と『サンクトゥムタワー』を使えばリテクスチャ...概念の貼り換えも可能。やっぱとんでもねぇオーパーツだなアレ...
そしてデカグラマトンを感化させた"先生"に似た何かの声...ケイはこの存在の介入を恐れているみたいだけどはたして...
遂にコクマーとゲブラーの合体形態も登場!やっぱり名前は『ダアト』か...セフィロトの樹としてはゲブラーはダアトに直接繋がらないんだけどな。多少影響はあるみたいだけど。
UZQueenっょぃ。ダアトと違ってダセェのにこう動くとカッコイイなネオ・アバンギャルド君...機動、コンボ...あの3Dムービーはそりゃ時間掛かる訳で。あれはロマンを分かってる人のやり方だよ...!
そしてマルクト出撃!演出がカッコよすぎる!でもレイド体力偉く高くて撃破後ストーリーが解禁されねぇ!早く見てぇ!
さて、補習授業部、一回目の試験です。
~???~
side-"先生"
「――やぁ、"先生"。呼びかけに答えてくれたんだね」
―――ぼやけた夜、何処かの――でも
一回目の特別学力試験の監督に備えて早めに就寝したら、また誰かに呼ばれる様な感覚を感じた。それに身を任せたらここに―――セイアの夢と思われる空間に居た。
「"――あの時以来だね、セイア"」
「...私を覚えていたのかい?」
「"君を見てハッキリ思い出したよ。どんな生徒であれ、初見でまず名前とある程度の容姿をできる限り覚える自信はあるんだけどね..."」
「ふむ...現実では曖昧な記憶でも、夢で見聞きした記憶はまた夢を見れば明瞭に思い出せるということか。...同じ人物をこうして呼び寄せるのは初めての試みだったのでね。新たな知見を得られたよ。――取り敢えずかけたまえよ。前回のように、いつまで君と話せるか分からないからね」
私が彼女の事を思い出した事をそう分析して頷いたセイアに促され、彼女の向かい側の椅子に座る。
「"――今回はどうして私を呼んだのかな?"」
「――『エデン条約』。君はどれだけ情報を把握しているかな?」
今回夢に呼び込んだ理由を尋ねればそんな問いが返って来る。
「"――『トリニティ』と『ゲヘナ』。長く対立関係にあった両校が協調する為の条約であることは知っているよ"」
「――"正義実現委員会"、"風紀委員会"。それぞれが抱える治安維持組織から人員を派遣して組織した、両校間の紛争防止、問題解決を図る機関"
――まぁ、こうして具体的な条約での施策を挙げてみたが――実際は君が言った通り『今までの対立は止めて握手を交わそう』という
セイアの問を受けて考え込む。『七つの古則』―――
「"...言葉は聞き馴染みがあるけど、詳しくは知らないね"」
―――そうだ。『シッテムの箱』のパスワードに文言が含まれている。でも、言葉だけでその具体的な意味は知らない。古い法則と銘打つなら、きっと昔から提唱されている法則や問い掛けの類だろうか。
「まぁ、よくよく調べなければ分からないだろうね。――古則という言葉通り、このキヴォトスにおいて古くから提示されている七つの
セイアは古則についてそう説明し、五番目の古則を挙げて私に問い掛け、見定める様に見つめて来る。―――楽園が存在すると仮定した場合、そこに至った人物が語った事、見聞きした事を事実であると証明出来るのか。『楽園に辿り着いた』と伝えられたその見聞を、そのまま楽園に関する情報として見なしていいのか。
「"...難しい問だね。ある一人にとっては楽園でも、別の一人から見れば
「――あぁ、そうだね。楽園を謳うならば、
セイアは私の言葉に頷き、吐き捨てる様に『エデン条約』についての自身の評価を挙げる。どうやらこれが今回セイアが話したい事の様だ。セイア自身は『エデン条約』締結に対して消極的らしい。
「"――君は『エデン条約』締結に反対なのかい?"」
「...前の"連邦生徒会長"から提案を受けた時は無謀だと思っていたよ。確かに、ずっと続いた対立を解消できないものかと考えたこともあったさ。だが――
しかし、
セイアは私の問にそう返し―――一瞬
―――でも、彼女が条約締結に消極的なのはそれだけはないと、さっきの瞳の震えが示している。その理由を考察するべく、前回―――セイアとの初邂逅の時の会話を思い返す。あの時の話題はセイアが有しているらしい
「"...条約が結ばれるなら、それはいいことじゃないかな。その中身が君から見れば名前に見合わないものだとしても、他の皆にとっては快挙かもしれない。――楽園を明確に定義できないように、条約だって万人が受け入れられるものはそう簡単に作れないだろうから"」
―――結論を敢えて出さず、楽園の定義と条約の良し悪しについて持論を挙げる。
―――
―――大事なのは
「...なるほど。確かにその通りだ。ナギサは提案を受けた時から締結に乗り気だった。彼女からしたら条約は是非とも締結したいものだったのだろう。実際、条約が成れば『トリニティ』でも『ゲヘナ』でも、問題児や部活動の暴動を迅速に鎮圧できる。治安維持的には非常に楽になるからね。それに、長らく続いた対立を協調へと変えた実績は
――だが、私達の世代で成したことが次代でも続くとは限らない。言った通り、所詮治安維持での連携を強化する程度のものだ。連携に支障が生じて
「"...余程条約締結が不安みたいだね。もしかして君は――"」
―――セイアが条約に対して抱える感情を指摘しようとすると視界がぼやけ始め、背後で扉が開く音が聞こえる。
「――今回は前回より早いね。また不完全燃焼になりそうだ」
セイアは邂逅の終わりを察し、困った様に目を伏せてため息をつく。―――セイア曰く夢での接触時間は不定形らしいけど、今回の就寝は少し事情が思い当たる。
「"...補習授業の教材の用意とか、トリニティのカリキュラム研究がまだまだでね。少し
「...全く、噂通りのようだね。その献身には敬意を表するが...君は私達キヴォトスの人間より脆い、
「"今回は期間が少し厳しいからね。ちゃんと限界は弁えているから安心して。――あぁ、そうだ。最後に一つだけ"」
席を立ち、私に向けた忠告の言葉に苦笑しながら答え、扉へ向かう前にセイアに向き直る―――
「"――君は少し悲観的過ぎるよ。君の懸念は理解できるし、加えて
―――それとなくセイアが『エデン条約』に対して抱く不安の原因の推測を挙げ、そう指摘と私の持論を言い置いて踵を返す―――
~"補習授業部"合宿所 教室~
side-ヒフミ
「"――皆、おはよう"」
「おはようございます、"先生"!」
「――おはよう、"先生"」
「ふふ、おはようございます♡」
「――皆様、おはようございます」
「...お、おはよう...」
―――教壇に立つ"先生"に挨拶を返す。コハルちゃんだけ過ぎる緊張した様な、固い表情を浮かべていて、寝不足気味なのかほんの少し瞼も落ちている。昨日までコハルちゃんも私達と一緒に――ハナコちゃんが度々ちょっかいを掛けていたせいか、一人で何とかしようとしていてばかりだったけど――頑張っていたのは知っているけど、それでも緊張してしまうだろう。
「"――さぁ、今日は補習期間中一回目の特別学力試験だ。何度も説明した通り、この試験を
「――では、問題用紙と解答用紙を配ります。表紙の注意事項を呼んで、合図があるまでは捲らないようにしてくださいね」
"先生"の言葉に続き、ミヤコちゃんがそう注意事項を挙げて試験用紙を配っていく。
「"問題用紙、解答用紙の誤字脱字、落丁があったら挙手するように。試験時間は各科目毎に三十分、総計三時間。――最後に確認するけど、トイレは済ませたかな?忘れ物はないかな?"」
ミヤコちゃんが用紙を配り終え、"先生"が最終確認を告げて私達を見回す。―――トイレは済ませた。机上に足りない物も無い。後は―――
「"――大丈夫みたいだね。では...解答始め"」
"先生"の号令一下、解答用紙の表側を向け、問題用紙の表紙を捲り、学籍番号と名前を書いて一問目を読む―――
~"ティーパーティー"会館 大書庫前~
side-テンシ
「――おや?これはこれは...ご機嫌よう、テンシ様」
「――ご機嫌よう、『ツカサ』」
―――会館内、『トリニティ』在籍生徒に関するあらゆる情報の記録が集積、保管されている大書庫の前。管理人詰所の受付窓口の前に立つと、今の当直であるらしい生徒―――セイアを思い起こす大きな狐耳の上に黄色いヘイローを浮かべ、"ティーパーティー"制服を纏い、腰から大きな尻尾を一本伸ばしている―――"ティーパーティー"は"フィリウス分派"所属
―――相変わらず
―――閑話休題。
「書庫で
「はーい、拝見いたします。......確認致しました。では、大書庫管理規則に基づき
「えぇ」
カウンターに申請書を置き、ツカサが内容を確認して頷きながらトレイを置き、情報機器提出の求めに応じてスマホをトレイに置く。
「ご協力ありがとうございます。――では、開錠しますので少々お待ちくださいませ」
トレイを受け取ったツカサはそう宣言して席を立って姿を消し―――
「――さぁ、どうぞお入りください」
「――失礼するわ」
―――カウンター隣の大きな扉から小さく鍵が開錠される音が聞こえて扉が開き、ツカサが顔を覗かせて入室を促す。それに従って大書庫に入ると、比較的新しいバインダーから古めかしい装丁を施されたカバーで包まれた書類が隙間なく並ぶ、白い書棚がズラリと並ぶ広大な空間が私を出迎える。
「私は詰所に居ますので、ご用が済みましたら一言お声がけくださいませ」
「えぇ、分かったわ」
「では、失礼いたします。――ここ大書庫は
ツカサはそう告げてカーテシーを取り、踵を返して詰所の書庫内側出入口へと歩いて行く。
「...
ツカサを見送り、彼女の言葉を反芻して歩き出す。通路側の書棚側面にカテゴリと頭文字が銘打たれたプレートが貼り付けられていて、それを確認しながら歩いて行く―――
「――S...T...U......ここね」
―――『学籍情報』を集積している区画を歩き、目的のものがあるであろう書棚を見付け、背表紙が見える横道へと入る。
書架には『トリニティ』を構成する諸分校の校名が銘打たれたプレートが打ち付けられていて、それを一つ一つ確認していき―――
「――あった。さて...」
―――探していた校名の銘板を見付け、
名前:
学籍番号:○○○○
出身地区:ヴァンダル分校区 ○○○○
「...あったわね。まぁ、
―――目的の情報、今頃は"補習授業部"で一回目の特別学力試験に挑んでいるであろう『白洲アズサ』の学籍情報を見付けて内容を確認する。肖像写真、学籍番号、出身、中等部までの成績...見たところは怪しい点は無い。『ヴァンダル分校』を運営している"ティーパーティー"傘下組織"ヴァンダル自治委員会"の公印も押印されていて、当時の"ホストリーダー"の受領印も押印されている。
「...
確認したい事を確認し終え、バインダーを閉じて書棚に戻す。用は済んだ。後は―――
~"ティーパーティー"寮 廊下~
「――テンシ様」
「――イク」
―――大書庫を辞し、会館から"ティーパーティー"寮へ。自室に戻るべく廊下を歩いていると背後によく知っている気配―――イクの気配を感じて足を止めて振り向けば、片膝を着いて頭を下げるイクの姿を見下ろす。傍にはトランクも置かれていて、帰還してすぐ私の下に来た様だ。
「――
「ご苦労様、イク。ここから遠い、端の校区との往復は大変だったでしょう?」
「我が主のご命令とあらば何も苦はありません。――仔細はこちらをご覧ください。...恐らく、
イクは労いの言葉にそう返し、懐から一枚の手紙を取り出して私に差し出す。受け取って宛名を見れば―――
Acting Host of the “Tea Party”,
Student Council of Trinity General Academy
Vandal Branch School,
○○○○
―――私に宛てられた手紙の様で、封の蜜蝋に銘じられた『ヴァンダル分校』の校章も確認する。
「――分かったわ。
「――承知いたしました」
イクは頭を下げ、立ち上がってトランクを持って廊下を歩いていく後ろ姿を見送ってから自室に入る―――
~"ティーパーティー"寮 テンシの自室~
「――さて、と...」
―――紅茶を淹れ終えて椅子に座り、一口飲んで手紙の封を切る。
拝啓 トリニティ総合学園"ティーパーティー"ホスト代行 比那名居テンシ様
平素より格別のご高配を賜り、"ティーパーティー"の皆様には心より御礼申し上げます。
日頃より温かいご支援とお力添えをいただいておりますこと、改めて深く感謝申し上げます。
この度、テンシ様からの要請に基づき我が"ヴァンダル自治委員会"にて所属生徒に関する調査を実施致しました。調査はテンシ様の名代として来訪されたイク様同行の下実施し――――
「――不安が的中したわね。加えて...予想外の結果も付いてきた」
―――手紙を読み終えてテーブルに置き、紅茶を啜る。
―――『...生徒の編入、ですか?』
―――『...相変わらず話すことが唐突だな、君は。とりあえず話を聞こうか』
―――『うん。
―――以前、『白洲アズサ』の編入を求めて来たミカの言葉を思い返す。唐突な、しかしミカはそう言った
「...ミカ。貴女は...
テーブルに置いている、写真立てに飾られたミカ、ナギサ、セイア―――幼馴染の親友三人と共に撮った入学記念の写真を見て呟く。
――――調査の結果、『白洲アズサ』という名前の生徒は我が『ヴァンダル分校』には在籍していなかったことが判明致しました。また、本調査によって『旅籠ルイズ』という生徒も同様に在籍が確認されませんでした。
現在、委員会の総力を挙げてこの様な事態に至った経緯と原因を調査しております。この度は『トリニティ総合学園』構成校として、"ティーパーティー"へ多大なご迷惑をお掛けしたことを深くお詫び申し上げます。
~"補習授業部"合宿所 教室前廊下~
side-ミヤコ
「――お疲れ様です。こちらが採点結果になります」
「"ありがとう"」
―――"先生"が"ティーパーティー"の生徒から差し出された封筒を受け取る。
「では、私はこれで。――失礼致しました」
生徒は頭を下げ、踵を返して廊下を歩いて玄関へ向かっていく後ろ姿を見送る。
「"――さて、一回目はどうなったかだろうか"」
「巡回してながら様子を見ていましたが、やはり懸念はコハルさんですね。初回と比べれば少しマシになりましたが、それでも
「"皆と協力するようにとは言ったんだけどね...やっぱり、ハナコが茶化す度に強く反応しちゃうのが問題か"」
巡回中に抱いた懸念を挙げると"先生"は困ったように眉を顰める。
―――『...ね、ねぇキクリ。ここ、貴女はどうやって解いたかしら...?』
―――『この問題は...ここですね。この文に答えがありますよ』
―――『え...あ、本当だ...!...ん、んんッ!わ、私もそこが大事だと思ってたの!』
―――『あらあら...♡確かに答えはその通りみたいですが...その文、逆の解釈もできません?そう――まるであんなこt『何言ってるのよ?!エッチなのは駄目、しけぇ!!』』
―――『こ、コハルちゃん落ち着いて...!』
―――今日の試験までの補習授業中、コハルさんが分からない所を周りに聞き、それに答えるとハナコさんは時々
ヒフミ先輩や私達で注意したりしたものの、ハナコさんは謝っても少ししたらコハルさんをからかい始めてしまって元の木阿弥という有様だ。
からかい、思わせぶりな発言をすると顔を真っ赤にしてムキになった様に反論する。ハナコさんはそんなコハルさんの反応が楽しいらしい。そんな様子を見ているとコハルさんの勉強に悪影響が出てしまっているのでどうにかして止めなければならないと思う反面―――
「"――とりあえず、皆と一緒に結果を確認しようか"」
「――了解しました」
"先生"の言葉を受けて思考を現実に戻し、教室の扉を開ける―――
~"補習授業部"合宿所 教室~
side-"先生"
「"皆、改めて試験お疲れ様。――労いや感想は要らない緊張を生むだろうから、早速発結果を表するよ"」
―――私の宣言を受け、アズサ、ハナコ、キクリは表情を変えず平然としているものの、ヒフミは固唾を飲んで私が持っている封筒を見つめていて、コハルはヒフミ以上に緊張しているのか瞳が震えている。その様子を見ながら封筒の封を解いて中身の採点結果を取り出す。
「"――『阿慈谷ヒフミ』、八十六点...合格。――『久栗キクリ』、九十二点...合格"」
「ほっ...や、やった...!」
「...合格の手応えはありましたが、思っていた以上に高かったですね」
ヒフミとキクリは充分合格点に達していて、それぞれ安心した様に、思っていた以上に高い点数を受けて少し驚きを示す。やはり。この二人はしっかり勉強が出来る娘の様だ。
「"――『白洲アズサ』、六十二点...合格"」
「――ギリギリ合格点か。結構解けた自信はあったんだけど...紙一重、だな」
アズサの得点は合格点ギリギリで、アズサ自身は解答に自信があったようだ。それでも、初回のテストから合格点まで届いたから、ヒフミ達のサポートも込みで勉強は出来る様だ。さて、残る二人は―――
「"――『下江コハル』、二十七点...
「えっ...?!」
「...う、嘘...あんなに頑張ったのに...」
―――コハルは合格点である六十点を大きく下回って不合格と判明し、三人連続で合格だったことで楽観していたらしいヒフミが驚いてコハルを見て、そのコハルは愕然とした表情で声を震わせる。採点された用紙をザッと見ると、初回のテストや補習中の小テストで度々間違えていた箇所も多く間違えている様に見える。やはり、一人でどうにかしよとした事が多かったのも要因の一つだろう。そして、大きな要因は―――
「"――『浦和ハナコ』、
「えぇっ?!」
「...何と...」
「...私達の中で最下位か。最初のテストから少しだけ上がっているとはいえ...不合格は不合格だ」
「な...ど、どうしたらそんな点数が取れるのよ?!私達と一緒に勉強してたでしょ?!」
―――最後にハナコの採点結果を見ると、五人中
「あらあら...ごめんなさい、皆さん。補習中は
「そ、それ以前に...!私に
「あら、本当に私だけが原因なんでしょうか?私はただ、
「う...う、五月蠅い五月蠅い!私より酷い点数取ったバカと一緒にしないで!」
「――落ち着いてください、コハルさん。詰ったところで点数が合格に転ずる訳ではないのですから」
ハナコの言葉に対してコハルが声をあげて指摘し、不合格の言い訳を挙げるとハナコは反論を返し、詰まったコハルが顔を真っ赤にしてハナコを詰り、キクリが彼女を宥める。
―――やはり、コハルとハナコが問題点だ。ボケとツッコミのような親和性があるけど、ハナコがコハルにちょっかいを掛ける一方的なものであり、今はそれが試験合格の足枷になってしまっている。これを解決するには―――
「"――補習修了条件である
何度も言うけど、修了条件は
「そうだな。油断大敵――私も得点はギリギリ。次も確実に合格できるようにしないと」
「――"先生"が仰る通りです。部員皆での連帯が肝要...ハナコさんの
「ふふ...あんな酷い点数を取ったのに、見捨てないでくれるのはありがたいですね♡二回目こそは
「か、勝手に巻き込まないで!余計なちょっかいがなかったら合格できたんだから!ひ、一人で大丈夫よ!」
「...ど、どうしよう...こんな状況で全員合格できるのかな...」
補習授業継続の宣言を受けてそれぞれが意気込む中、ヒフミは俯いて頭を抱え、何かぼそぼそと呟いている―――
「合格できなかったら私も、皆も
「"ひ、ヒフミ?!"」
―――声をかけようとした瞬間、ヒフミのヘイローが消えて椅子からバタリと倒れた。
~"補習授業部"合宿所 玄関前~
side-アヤ
「...!誰だ――って、アヤ先輩か」
「お疲れ様です、サキさん。今日の夜間当直ですか?」
「あぁ、その通りだ。...随分遅かったな。"先生"から少し遅くなると聞いていたが...」
―――月と星空が空を覆っている、日付変更が近い夜半。"補習授業部"合宿所の門を潜ると、巡回中だったらしいサキさんがパッと[
―――今日は『クロノス』で"報道部"と『エデン条約』調印式典の中継や報道等について色々な
長きに渡り対立して来た『トリニティ』と『ゲヘナ』が条約締結―――協調の姿勢を取る。そんな歴史的快挙をいの一番に報道するべく"報道部"も躍起になっていて、特に
一応締結の瞬間は同時発信する事で合意したものの、
―――閑話休題。
「記事作成だったり、
サキさん越しに合宿所の窓を見上げれば、二つ並んだ窓から灯りが確認出来、そう尋ねればサキさんは頷く。
「あぁ。不合格が二人、加えて
「大人――教師だからこそ見えるものもあるのでしょう。その解決、改善の為に"先生"も頑張っているんでしょうね。...とは言え、連日夜更かしは身体を壊しかねません。合流報告がてら忠告しておきましょう」
「あぁ。頼んだぞ、アヤ先輩」
巡回を再開したサキさんと別れ、合宿所の玄関に入る―――
「――射命丸です。先程『クロノス』より帰還しました」
「――失礼します」
―――常夜灯が灯る薄暗い廊下。"先生"に宛てがわれた部屋のドアをノックして帰還報告を挙げれば入室を促され、ドアを開けて入室する。
「"――おかえり。遅くまでお疲れ様、アヤ。『クロノス』での話し合いは時間が掛かったみたいだね"」
「普段なら
「"なるほど、大変だったみたいだね。――ココアを淹れるけど、アヤも飲むかい?"」
「いただきましょう」
―――机に教科書やノート、書類、仮想画面を複数浮かべた『シッテムの箱』を半ば乱雑に広げた机の前の椅子に座っていた"先生"が振り向いて挨拶を交わし、私が遅くまで掛かった経緯を説明し、"先生"の提案に頷く。
「"――どうぞ。そこの椅子に座るといい"」
「――ありがとうございます」
机の端の方に置かれたケトルのお湯でインスタントのココアと把手付きホルダーに差した紙コップを二つずつ用意して手早く淹れた"先生"からマグカップを一つ受け取り、示された椅子を引き出して"先生"に相対する様に座る。
「――どうやら、一回目の試験は突破できなかったようですね?」
「"――残念なことにね。ヒフミ、キクリ、アズサの三人は問題ない。自分が間違った箇所を把握し、改善できる能力は確かにある。問題は..."」
ココアを一口啜って尋ねれば"先生"は困った様に眉を顰め、途中で言葉を切ってココアを一口啜って仮想画面を見上げる。
「"...折角だ。他人の視点も聞いてみようか。――アヤ。見た内容は他言無用で頼むよ。『シャーレ』が、私が持っている権限で見れるとはいえ、成績もれっきとした個人情報だからね"」
「
「"――とりあえず、これを見てほしい"」
―――"先生"は仮想画面を幾つか私に向けて動かす。画面に映る情報は"補習授業部"部員の一人、『浦和ハナコ』さんの入学試験から今までの試験、小テスト等の成績と、採点済の解答用紙のデータの様だ。
入学試験、一年生の試験は
しかし―――二年生から成績は一転して小テストや試験の得点は
「――ふむ...一年生から二年生の成績の変化が
何より――二年生の小テスト、試験の解答内容です。確かに解答は悉く間違っています。ですが、よく見れば――
「"なるほど...ハナコの二年生の成績、解答には私も違和感を感じたけど、そういう見方ができるか..."」
私が挙げた違和感を聞いた"先生"は感心した様に頷く。―――"先生"は違和感に気付いていたけど、それがどういう違和感かまでは推察出来ていなかった様だ。
「――恐らくハナコさんは"補習授業部"なんて一発で突破できる筈です。補習授業のサポート中でも、古典や数学で他の皆さんが分からない箇所の答えや解き方を度々教えていた所を見ました。すぐコハルさんに
「"...
私の推察を聞いた"先生"は悩まし気に眉を顰めてココアを啜る。
「――"先生"としては、"補習授業部"部員で最も問題が厄介なのはハナコさんと見ているんですか?」
「"そうだね。コハルは
「あやや、流石は"先生"。...後学がてら教えていただいても?」
「"...まず、『トリニティ』の校風。恐らくハナコの
「――おや?」
「"――ん?"」
―――部屋のドアが小さくノックされる音が聞こえ、会話を止めてドアを見る。
「"――どうぞ、開いてるよ"」
「...し、失礼します...!」
"先生"が入室を促すと、白地に『ペロロ様』の顔をプリントしたパジャマの上に『モモフレンズ』ロゴマークで模様を誂えたピンクのガウンを羽織ったヒフミさんがおずおずと入室する。
「あ、アヤさんも居たんですね。今日は来られないと思っていました...」
「
「その...トイレの帰りに、まだ"先生"のお部屋の灯りがドアから少し漏れているのが見えたので...明日からも補習授業ですし、夜更かしは良くないと意見を挙げようかと思って」
ヒフミさんは"先生"の部屋を訪ねた理由をそう挙げるけど―――黄色の瞳が
「"そろそろ切り上げて寝る所だったんだ。...折角だ。水、白湯以外にはココアしかないけど飲むかい?"」
「...そうですね。いただきます」
ヒフミさんは頷き、"先生"は手早く把手付きホルダーに差した紙コップにココアを淹れる。
「"――どうぞ。アヤの隣の椅子に座って。...試験結果発表の時に気絶してしまっていたけど、後遺症、違和感はないかな?"」
「...何と。そのようなことがあったんですか」
「お、お気遣いありがとうございます。今の所後遺症や違和感はありません。...あの結果が夢で合ったら良かったんですが......よし...やっぱり打ち明けよう。アヤさんも居るし、"先生"ならきっと...」
"先生"からココアを受け取ったヒフミさんは私の隣椅子を引き出して座り、"先生"の問い掛けからまさかの事態が起きていたと知って驚く。しかし幸いにしてヒフミさんは大丈夫そうだ。彼女はココアを一口飲み―――何か小さく呟いて瞑目し、何か決意を宿した眼差しを黄色い瞳に宿す。
「――"先生"。その...あなたに
「"――分かった、聞こう"」
「...私は退室しましょうか?」
「い、いえ...アヤさんにも聞いて欲しいんです。...
私の推測通り別の目的があった様で、私は退室を提案するけどヒフミさんは私にも聞いて欲しいと返す。
「...私は、
「"そうだね。君のとりなしやリードには私達も助かっているよ"」
「あ、ありがとうございます。...でも、私は単に部長に就いた訳じゃないんです」
「...部長としての役目以外にも別のことがあると?」
「は、はい――」
「――ナギサ様から
―――ヒフミさんが明かした言葉。"補習授業部"にはまるで似つかわしくない、且つとても穏やかではない言葉を受けて"先生"と一緒に固まる。
ということで裏の目的開示でした。しれっとツカサも登場しましたが彼女の立ち位置ははたして...
感想、評価、お気に入り、栞、ここすきは大歓迎です。作者が喜びでわっぴ~します。
名前:
所属校:トリニティ総合学園
学年:一年生
部活動:"ティーパーティー"フィリウス分派?
装備:HG(