Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
~『トリニティ』自治区内~
side-"先生"
「ふふ...♡やっぱり、夜の街並みは不思議な背徳感を感じさせますね♡門限を越えた真夜中。うっかり"正義実現委員会"の巡回に見付かっt「エッチなのはダメ!しけぇ!!」あら?
―――ハナコの言葉を、顔を真っ赤にしたコハルが声をあげて遮り、続いたハナコの反論にも顔を真っ赤にして否定の声をあげる。
「こ、コハルちゃん落ち着いて...で、でも確かに、"正義実現委員会"の方に見つかるのが少し怖いですね」
ヒフミがコハルを窘めながら、少し不安そうに瞳を揺らして辺りを見回す。―――幸い、視界内に"正義実現委員会"の娘の姿は見当たらない。
「――そうですね。各寮の門限を越えた時間にこうして外を出歩いて、"正義実現委員会"の夜間巡回に見付かり、
...尤も、一般寮は兎も角として主に"ティーパーティー"メンバーや他組織の高級幹部等が入る、名家の子女向けの寮では
キクリがヒフミの言葉に頷き、門限を破った、
「"――もし、"正義実現委員会"の娘に出会したら私が話を通してみるよ。一応君達は私――『シャーレ』の指導下にあるからね。補習授業の気分転換、リフレッシュの一環として、丸一日授業を行ったから夜しか外出できる時間がなかった...と理由付けはできる"」
「理由としては少し正当性に欠ける気がしますが...そんな理由でも通せると言える権力の大きさは流石、『シャーレ』ですね♡...それだけ大きな権力を
「"...夜間外出を咎められて、それが補習授業に悪影響を及ぼすと不味いからね。...
もし"正義実現委員会"の巡回に見付かった場合は私が対応すると提案すると、ハナコが微笑みながら皮肉交じりににそう返し、皮肉は無視してそう理由を挙げる。
―――『"先生"、皆さん。一つ提案があります♡...つい先日、プール掃除でリフレッシュしましたが――まだ物足りないとは思いませんか?折角シャーレが付いているんです。
―――『もう夜になるのに...な、何をするつもり...?!まさか――』
―――『ふふ♡――ズバリ...門限外、
―――三日後に三回目の試験を控えた今日の夕方、授業を終えて夕食を終えた後。ハナコが門限外の夜間外出を提案した。キクリやミヤコ、サキといった真面目な娘は否定的な意見を挙げたものの、アヤが『夜歩き位はいいのでは?"補習授業部"は我々シャーレの指導下ですし、指導の一環と理由付けすれば咎められることはないかと』と提案し、合宿所に留守番兼警備要員としてアヤとサキ、ミユを置いてこうして夜の自治区内に繰り出している。
―――さて。先述の通り、『トリニティ』では
「――夜だと言うのに、灯りが点いている建物が多いな。
「――あくまで門限と、破った際の罰則を設けているのは寮ですからね。在地の企業や住民には門限などありません。それから、先程述べた通り、夜間巡回を行う"正義実現委員会"だけでなく、"救護騎士団"や我が"シスターフッド"でも夜間巡回を行っているので、そうした夜間巡回の当直明けで店舗を利用したい方も居ます。――故に、そうした夜に出歩く方々向けに店舗が開かれているんです」
―――アズサが街並みを見回しながら興味津々に瞳を輝かせ、キクリがそう説明を加える。生徒主体の学園都市、格式高いお嬢様学校と言えど、生徒以外の住人や社会人、夜間巡回を行う組織所属の娘は無視出来ない。こうした夜でも、そう言った夜に活動する人達向けに店舗が開かれている様だ。
―――閑話休題。ここキヴォトスに来てからも度々夜に出歩く事はあったけど、こうして生徒達と歩いていると懐かしさを覚える。
「"私も学生の頃は夜のコンビニで軽い夜食を買ったりしたものだよ。夕飯を食べた後の就寝前。何だか寝付けず、ふと感じるちょっとした空腹。身体を動かせば眠気が来るだろうと外出して、ふと見かけたコンビニ。健康的ではないと分かっていながらつい買ってしまい、ササッと食べる揚げ物や小さなカップ麺...満腹感と背徳感は不思議な感覚だよ。...今は
「あらあら♡"先生"も
学生時代を思い返しながら夜歩きの背徳感を語ると、ハナコは嬉しそうに微笑みながら夜食を提案する。
「――こんな夜に飲食していいのか?私はまだ小さかった頃、眠れなかった時に"
「それは睡眠導入としては効果的ですから、夜食とは別じゃないでしょうか...お腹は満腹でもなく、少し空腹感はありますが...」
「軽く食べられるもの位ならいいんじゃない?...ここらはコンビニないっぽいけど」
ヒフミがアズサの言葉にそう返し、モエは賛意を示しながら辺りを見回す。―――彼女が言った通り、軒先に掲げられた看板を見てもコンビニらしき店舗は見えない。
「この地区は"ティーパーティー"会館と寮が近いですからね。景観の兼ね合いもあってビルはなく、高級ブランドの店舗ばかりですから」
「そ、そんなお店ばかりじゃこの時間に開いていたとしても、私達みたいなのが入るのは...」
「その場違いそうな場所に入る背徳感もまた夜歩きの醍醐味ですよ、コハルちゃん♡朝、昼とは違って人通りが少ないですから見知った誰かに咎められる可能性は低いですし、夜間限定の商品が出ている可能性だってあるんですよ?――ほら、例えばあのお店。喫茶店のようですが、こんな時間に開いているなら何かしら限定の品があるかもしれませんよ?」
キクリの説明に続いてコハルが不安そうに辺りを見回し、ハナコは優しく微笑みながら左手前方を指差す。確かに、喫茶店らしき外観の店舗に灯りが点いていて、少し遠くて分かりにくいけどテーブル席にお客さんらしき人影が窓越しに見えて開店していると分かる。
「"夜に開いている喫茶店か...確かに、何かしら夜間限定の商品があるかもしれないね。食べる気はなくとも、コーヒーなりココアなり飲み物位はいいんじゃないかな"」
「...確かに、合宿所を出てそれなりに時間は経っています。小休止がてら立ち寄るのは悪くないかと」
「――ミヤコに賛成だ。単なる散歩、散策でも体力は消費するからな。休める時に休むのは大事だ」
「...分かりました。あの喫茶店によってみましょう!」
「"私が奢ろう。...値段は張りそうだけど、喫茶店位なら、ね...足りなかったら、最悪後でユウカに叱られてでもポケットマネーを使えばいいし"」
"補習授業部"部長としてヒフミが喫茶店に立ち寄る事を決定し、各々喫茶店へ足を向ける―――
~喫茶店 店内~
「――いらっしゃいませ。八名様でよろしいでしょうか」
「"はい。これで全員です"」
「かしこまりました。お好きな席へどうぞ」
―――出入口のドアを開けると軽やかなベルの音が鳴り、カウンターに立っている、青いエプロンを着た三毛猫獣人の店員がコップ磨きの手を止めて人数を確認して来て、肯定すれば頷いてコップ磨きを再開する。
「...夜の喫茶店なんて初めてですね。そもそもこの辺りのこういった喫茶店自体が初めてですけど...」
「――椅子やテーブル、調度品も高級そうに見えるな。きっと昼は"ティーパーティー"の生徒とかが利用しているんだろうな」
「夜に開かれた喫茶店...どんなメニューを展開しているのか楽しみですね♡」
窓際のテーブル席へと足を向け、ヒフミとアズサの会話を耳に入れながら適当な席に―――
「――せ..."先生"?」
「"――は...ハスミ...?!"」
「は...ハスミ先輩...?!」
―――私を呼び止める驚いた声が聞こえて目を向けると、少し奥のテーブル席にハスミが座っていて、私達を見てクリームとイチゴが乗ったスプーンを右手に持ったまま赤い瞳を点にして驚いた表情を浮かべている。コハル共々驚きから思わず声をあげそうになるけどそれを抑えて彼女の下に歩み寄る。...テーブルには
「...あらあら♡」
「――驚いた。まさか"正義実現委員会"の"副委員長"が居るなんてな」
「...えぇ、本当に驚くべきことです」
ハナコ達もハスミに気付いて驚いた表情を浮かべる。
「...驚いているのはこちらもです。――何故"補習授業部"、『シャーレ』の方々が何故このような時間帯に外出しているのですか?」
「"――補習授業の気分転換でね。...次の三回目の試験が最後だ。不安や緊張を和らげる要素にできたらと思って提案を受け入れたんだ"」
「...成程。そこまで厳しい状況でしたか。――
出歩いている理由を挙げると、ハスミは不満そうに眉を顰めて目を伏せ、目を開いてコハルに向き直ってそう尋ねる。―――どうやら"補習授業部"の活動状況は所属元には共有されていない様だ。成績不振者の状況を衆人に公開すればイジメや妨害の対象になりかねないから伏せているのだろうけど、
「は、はい...!――二回目は合格点ギリギリだったので、三回目は確実に合格できるように間違いを直しています...!"先生"が言った通り三回目が最後。必ず合格して委員会に復帰してみせます...!」
「ふふ、その意気ですよコハル。貴女は"正義実現委員会"の次代を担えるだけの能力と信念を持っています。必ず補習授業を突破できると信じていますよ。――"先生"。残り短い期間ですが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します」
「"勿論だよ。日数的余裕はあまりないけど、必ず全員合格させてみせる"」
ハスミはコハルの答えを聞いて目を細めてコハルの頭を撫で、私に目を向ける。ハスミのお願いに頷き、全員合格させると改めて宣言する。
「"――それで、ハスミはどうしてここに?"」
「――夜間巡回を交代して帰還の途中です。この喫茶店を見かけ、以前から食べたかったこの夜間限定のパフェがまだ売り切れていなかったので、こうして頂いているんです」
「...あれ?確か、私がまだ委員会に居た時に私達の前で
「――この喫茶店はこのパフェ以外にも夜間限定のスイーツ軽食がありますので"先生"方もどうですか?私の行き付けでもあるので悩むようでしたらアドバイスもしますよ」
ハスミが挙げた理由に対してコハルが首を傾げながら指摘を挙げようとするけどハスミがスプーンをコハルの口に差し込んで遮り、誤魔化すような早口でそんな提案を挙げる。
「それはありがたいことですね♡私達は
「...そうですね。
そんなハスミの提案を受けてハナコが微笑み、一方キクリは呆れた表情で皮肉交じりに賛意を示す。
「"とりあえず、適当な席に座ろうか。立ち話ばかりで何も頼まないのは申し訳ない――"」
「ぷはっ...び、びっくりした...すっごい甘かった...」
「――こちらハスミです。何かありましたかイチカ?......えぇ、私は当直を終えてこれから寮に帰還する所でしたが。......は?『ゲヘナ』の"美食研究会"がアクアリウムの[ゴールドマグロ]を強奪して逃走中?」
―――ハスミの傍に置かれたスマホから着信音が鳴り、ハスミはコハルの口からスプーンを優しく引き抜きながらスマホを手に取って通話を繋ぎ、その途中で戸惑いと驚きが混ざった表情を浮かべる。どうやら『ゲヘナ』の娘に起因する事件が起きた様だ。
「――今の時間帯の即応部隊はイチカ、貴女が率いている筈です。......ふむ。既に追跡中なれど、"美食研究会"の逃げ足が早く追い付けていないと。......なるほど。本部待機のメグムには既に通報済。それで私にも増援要請、ですか。――分かりました。無理に追い付こうとせず、逃走ルートの予測とその線上にある境界検問をピックアップして警備増強、警戒態勢への移行を下令してください。自治区外に逃げられる前に制圧、捕縛します」
ハスミは普段通りの凛とした表情に戻し、通話先のイチカなる娘に対応を指示して通話を切る。
「――"先生"、『シャーレ』および"補習授業部"の皆様。聞いての通り、鎮圧活動の増援を要請されたので私はこれで失礼いたします。...こちらのパフェは、非常に名残惜しいですが...皆様にお譲りします。このまま放置してはお店側にも失礼なので――」
「"――ハスミ。私達も手伝っていいかな?より戦力があれば鎮圧もより迅速に行えると思うんだ"」
「わ、私も"先生"に賛成です!目の前で緊急事態が起きていて、無視はできません...!」
ハスミの言葉を遮って支援を提案すると、ヒフミも続いて賛意を示す。
「な、何言ってるのよ?!私は兎も角、委員会所属でもないのに鎮圧活動なんて...!」
「――善意であることは理解しますが...コハルさんが言った通り、
「...確かにそうだな。慣れていない者が熟練者について行っても、寧ろ熟練者が素人を守る為に動かざるを得なくて足枷になる可能性がある」
「二人の言う通りですね。――銃撃戦はキヴォトスの常。基礎教養として射撃訓練もあると言えど、それだけで
コハル達四人は揃ってヒフミの意見に反対、否定的な意見を挙げる。確かに、
「――通常であれば、『SRT』としても支援を断りますね。推奨できる行動ではありません。ですが...今は"先生"と、『シッテムの箱』が居ます。卓越した指揮と、無法とも言える索敵能力――ヒフミ先輩達でも充分支援活動は可能かと」
「"――『シャーレ』で活動する"当番"も多くは一般的な生徒であったり、治安維持組織ではない娘だ。そういう娘達でも治安維持や制圧が行える原動力が『シッテムの箱』なんだ"」
―――ミヤコの言葉に頷き、『シッテムの箱』を取り出す。そうだ。『シッテムの箱』が、アロナの能力があればヒフミ達も充分に動ける。生徒達からは私の指揮も褒められる事があるけど、私は只の教師であり、軍人的な経験は一切無い。アロナが齎す、普通なら把握出来ない情報とアロナの提案があるからこそ私の指揮は成り立っている。勿論、少しずつ部隊指揮や戦術について自力で勉強も進めているけど、まだまだ独力での指揮は無理だ。兎も角―――
「"――そういう訳だ。君達程ではないけど、支援はできると思う。...勿論、私達が足手まといになる懸念は理解できる。君達だけで対処するならそれでも構わない"」
「――分かりました。あの混乱していた時の初対面、そしてつい最近の"当番"で『シャーレ』の"先生"の指揮能力の高さは把握しております。――悩む時間も惜しいですからね。私の独断になりますが、ご助力をお願い致します」
ハスミは数秒目を伏せ、目を開いて私達に向き直って頭を下げて助力を求める。
「"――分かった。これより『シャーレ』、および指導下の"補習授業部"は"正義実現委員会"の作戦活動を支援する"」
「――了解しました」
「わ、分かりました!できる限りお力になれるように頑張ります!」
~『トリニティ』自治区 幹線道路~
side-ハスミ
『――こちらアヤ。幹線道路を疾走している車両を確認。外観は『ゲヘナ学園』"給食部"所有のオープンカー。...人定確認できました。"美食研究会"『黒舘ハルナ』、『鰐淵アカリ』、『獅子堂イズミ』、『赤司ジュンコ』。そして...後部荷台に
「――"RABBIT1"、了解。...
「"勿論。――アヤ、君の空の目は重要だ。
『了解です』
―――"美食研究会"が駆る車両を追尾する装甲車の車内。上空から追尾しているアヤさんの報告が入り、"先生"の隣に座っているミヤコさんが"先生"に確認を取り、追跡の継続と逃走経路の特定を指示する。
―――『シャーレ』、"補習授業部"を支援戦力として受け入れ、メグムが回してくれた装甲車に私と『シャーレ』の"先生"、"RABBIT小隊"。コハル達"補習授業部"でそれぞれ分乗して"美食研究会"を追跡している。空の目を担うアヤさんのおかげで、民間車両が少なくない道路状況でも見失わずに済んでいる。
「――やはり、飛行能力は便利ですね。我が『トリニティ』には翼を持つ生徒が多いですが、飛行能力を持ち合わせているのは
「"それだけ大きな翼でも、落下速度軽減位にしか効果がないんだね...鳥は強靭でしなやかな筋肉と極限まで軽量化された構造とかのおかげで飛べるらしいけど、人の形で飛行するのは本当に難しいんだね..."」
私の少し羨みも含んだ言葉に"先生"がそう返す。
―――キヴォトスに於いて、『翼がある=空を飛べる』図式が成り立つ存在はかなり稀だ。私よりは小さいものの、他の翼持ち生徒と比べれば少し大きい翼を持つメグムが飛行能力を有する一方、今の所"正義実現委員会"、ひいては『トリニティ』所属生徒でも特に大きな翼を持つ私が全く飛べないというのは不公平だと時々思う。...決して、甘味の摂り過ぎが原因では無い。決して、だ。
―――そんなメグムではなく、『シャーレ』"広報員"であるアヤさんを空の目として用いているのは、今現在、委員会本部での指揮資格を持つ幹部が彼女だけだからだ。他には私と
『――こちら"参謀"メグム。我らが
『――こちら即応部隊のイチカ。境界検問の駐留部隊の展開完了。車両阻止装備も展開済っす』
『ご苦労。――道路をそれないように封鎖はしているが、
―――メグムから
―――ツルギは今日の夜間は『ゲヘナ』側境界検問の指揮に就いていた。つまり、"美食研究会"の逃走方向とは反対側に居た訳だ。メグムはツルギを鎮圧戦力の主力としてぶつけるつもりの様で、その時間稼ぎを私達に求めている。
「"――内容的に、"正義実現委員会"の強力な戦力を投入するみたいだね?"」
「えぇ、その通りです。――『剣先ツルギ』。私とメグムと同じ三年生であり同僚にして現委員長。そして..."トリニティの歩く戦略兵器"の二つ名を戴く『トリニティ』トップクラスの実力の持ち主でもあります。ツルギが来援するならば制圧はすぐでしょう。...『ゲヘナ』のテロリスト如きに
『り、了解...!』
"先生"に向けてツルギについて説明し、メグムの作戦方針への不満を思わず零してしまうけど咳払いで誤魔化し、私達の車両の後ろをついて来ているコハル達"補習授業部"の面々が乗っている装甲車に通信を繋ぎ、コハルに確認を取る。
―――今の所、
side-ヒフミ
『――こちらアヤ!
『――ふむ。想定より少し遅い位か。さて、ここから我々"正義実現委員会"の正念場だ。シャーレに我々の実力を見せつけるつもりで取り掛かれ。当該降り口封鎖部隊は有効射程に入り次第迎撃を行え。止まるならそれでもいいが、突破されても構わん』
―――インカムにアヤさんの報告とメグムさんの指示が入り、窓から顔を出して前方を見れば、"先生"達が乗っている装甲車の更に先を走る"美食研究会"なる部活動の方々が乗っている車の左右を、降り口の封鎖部隊から繰り出された機関銃らしき弾幕が抜けていく。
目を凝らすと、長い金髪を風ではためかせる生徒らしき後ろ姿が席から上半身を乗り出し―――
『――
『――恐らく"鰐淵アカリ"さんによるものかと。彼女の銃器[ボトムレス]には確か、グレネードランチャーがマウントされていた筈です』
―――封鎖部隊のバリケードで爆炎が立ち上り、アヤさんの報告に対してミヤコちゃんがそう補足を添える。
『――範囲攻撃可能な火器も保有しているか。想定通りだ。――第二、第三"機械化歩兵中隊"は周辺、範囲五キロの道路の封鎖開始。民間車両の流入を止めろ。追い込まれたら
ハスミ、そちらはそのまま
『――了解しました』
「り、了解しました...!」
―――グレネードランチャーの砲撃で空いたバリケードを抜けて幹線道路を降りて行く"美食研究会"の車を"先生"立の車両と共に追いかける中、メグムさんが矢継ぎ早に指示を出していき、ハスミさんとコハルちゃんが了解を返す。
その間に"美食研究会"の車は信号を無視しながら右へ曲がり、私達が追うとすぐに左へ曲がり...相手もこちらも
『っく...ちょこまかとテロリスト風情が...!――しかし、
「――こちら"補習授業部"のアズサ。自治区境界に近付けさせないように妨害すればいいんだな?――この辺りの道路は主要道路から横道、車が通れる裏道まで
「あ、アズサちゃん?!」
「い、いきなり何言ってるのよ?!」
「...あらあら...」
「...ふむ...」
―――おもむろにアズサちゃんがそんな提案を挙げ、車内に驚きの声が私とコハルちゃんから。何処か
『――ほう...?そのような行動を取って、我々にどんな利がある?』
そんなアズサちゃんのいきなりの提案を受け、メグム"参謀"は値踏みする様な、興味津々といった声色で提案した理由を尋ねる。
「まず、あのタイミングで幹線道路を降りたことだ。距離的にはいっそのこと強行突破を図って幹線道路を疾走すればいいのに、こうして複雑な一般道路に逃げ込んだ。――現に今、
だから、こちらが取れる作戦は――近距離の遭遇だと
『――見事だ、白洲アズサ。ならばやってみるがいい。
『――了解しました』
『"了解。――アズサ、私がシッテムの箱でもサポートするけど、君のその土地勘も重要だ。任せたよ"』
「――あぁ、任せてくれ。...ドライバー、私の指示に従って走って欲しい。――まずは二ブロック先の交差点を右折」
メグムさんは感心したようにアズサちゃんの作戦を採用し、"先生"達にサポートを指示する。自信を宿した真剣な表情で頷いたアズサちゃんの言葉に"正義実現委員会"のドライバーの方が頷き、アズサちゃんの指示に従って装甲車を走らせる。
「っとと...!(アズサちゃんすごい...メグムさん――その道の専門家に採用されるような作戦を考えられるなんて...)」
―――スピードと少し荒い運転もあって左右に改めて、アズサちゃんの
元々所属していたという『ヴァンダル分校』がそういう校風なのか、アズサちゃんがよく慕っているらしい"
―――『スカルマン』さん、『ペロロ博士』を好きだと、お気に入りだと言ってくれる反面、
「...キクリちゃん、どう思いますか?」
「...やはり、
「――よし、そこを左折だ。そうすれば道を塞げる!」
そんな事を考えている私の後ろの席に座っているハナコちゃんとキクリちゃんが小声でひそひそ話をしている中、車が左に曲がると窓からこちらに向かって走っていた"美食研究会"の車が見え、こちらに気付いて右に曲がる瞬間が見える―――
ということで、美食研究会捕縛作戦は続きます。一話で収まらんかった...
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