Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~   作:八坂 義景

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にぎにぎ常設化に伴うエリカ実装が来たので初投稿です。β版から5年以上...未実荘の大家さんの役目が終わったんやなって...
そしてゲヘナミニスト!何でか居なくなった前任者の代わりにキラキラ部がON AIR!ジュンコが相変わらず不憫...しかし謎のノイズに妙な反応のマコト...これは次回メインストーリーの伏線?

そして3Dライブで告知でマジぃ???来週ロア編2章ですってよ。スチルが意味不明過ぎる...情景は尋問っぽけど各々持ってるブツは何なん???
そしてオペラ常設!ドレスハルカとムツキピックアップ!マジかわゆす。スーツも欲しかったなぁ(強欲)
合わせて6月初週には新そうりきボス『ドラム缶ガニ』???...なんかメカメカした見た目だけど...因みに元ネタは検索してはいけないアレ系列のようで。ちょっと調べてみたら結構グロい...()

さてさて、"先生"久しぶりの『シャーレ』帰還後です


File109.ET-19~誘い~

~"連邦生徒会"オフィスビル "連邦生徒会長"執務室~

side-"先生"

 

「"――『エデン条約』調印式典の来賓に私を?"」

「えぇ。長く続いた『トリニティ』と『ゲヘナ』の和解の第一歩となる歴史的偉業。その場を"先生"にも是非、直接見届けていただきたく」

 

―――"連邦生徒会"オフィスビル、"連邦生徒会長"執務室の応接ソファ。私の向かい側に座る(ユカリ)が私の確認に頷く。

 

―――ついこの前、『トリニティ』で"補習授業部"の顧問に就いていた時にユウカから共有されていた"連邦生徒会"からの用件に対応するべく、『トリニティ』から帰還した翌日の今日こうして(ユカリ)と相対している。どうやら『エデン条約』調印式典に私を来賓として招きたい様だ。だけど―――

 

「"誘いはありがたいけど...私は『エデン条約』成立には何も関わっていない。『トリニティ』と『ゲヘナ』の対立についても情報、歴史でしか知らない。――私が招待される理由、意義はないと思う"」

「確かに、"先生"は『エデン条約』に直接的な関りはありません。我が"連邦生徒会"の提案とささやかな仲介、何より『トリニティ』と『ゲヘナ』双方の歩み寄りにより調印式典目前まで至りました。

――だからこそ"先生"に、()()()()()にも見届けて頂きたいのです。最上は両校教師が立ち合うことですが...『トリニティ』はその校風故に教師の行政不介入が保証できない点から不在。『ゲヘナ』には教師――"学園長"が居りますが、()()()()()()()()()なので招待は送っておりますが受入は望み薄。となれば――後は"先生"、貴方だけになります。

 "先生"としては、歴史、情報でしか知らないと言えども、長く続いた険悪な関係が、愛すべき生徒達が主体となった努力によって良い方向に変化することは――喜ばしいことではありませんこと?」

「"確かに喜ばしいことだけど...『シャーレ』を招くのはそれだけが理由じゃないよね?"」

 

 (ユカリ)の言葉に頷きながら、()()()()()を尋ねる。生徒主体の努力による偉業―――確かにそれは褒めるべき事であり、見届ける事も吝かではない。ただ、『シャーレ』を調印式典に呼ぶ事はそういう感情面とは異なる要素―――実利的な面がある筈だ。

 

「――そうですね。無論、私も"連邦生徒会長"として、条約締結の提案、仲介を前任から引き継いで成した者として式典に参加します。当然護衛も『SRT』から"FOX小隊"を随行させるよう調整しております。

 ですが...今朝『文々。新聞』がいの一番に報道した――『トリニティ』で起きた()()。"先生"は既にご存知ですね?」

「"...そうだね。調印目前に大きく荒れる事態に発展しなくてよかったと思う"」

 

 (ユカリ)の問に頷く。

 

―――『...本当に宜しいので?確かに新聞記者としては大変美味しいネタですが...ミカさんのクーデターは爆弾にもなり得る事件です。それこそ学内の反対派や"パテル分派"凋落の隙を狙う他派閥が付け上がる可能性もあるのでは?』

―――『ミカを糾弾する声が挙がっている以上、条約締結まで隠し通すのは難しい。条約反対派がこれ幸いにと利用する可能性もあるしね。隠すよりはすぐに明かした方がダメージは少ない...ナギサ、テンシと話し合って決めた。尤も、記事にしていいネタはこちらから注文させてもらうが』

―――『その位は甘んじて受け入れましょう。情報とは公表するタイミング、公表する量によってもその価値、威力は大きく変わりますから』

 

―――"ティーパーティー"、ナギサとセイア、テンシの三者と話し終わった時に迎えに来たアヤがセイア達から許可を得て、『文々。新聞』でミカが起こしたクーデター事件をいの一番に報道した。それを受けて『クロノス』の"報道部"、ハタテ達"新聞部"の他部員や『キヴォトス』の他メディアも挙って『トリニティ』に取材するべく集まっているとアヤから聞いている。今頃はナギサやセイア達がそう言ったメディアへの対応に追われているだろう。

 

「えぇ、本当にその通りですわ。...しかし、我が"連邦生徒会"からも問い合わせてみましたが、トリニティ(先方)が今回の事件を受けて条約を白紙化するつもりがないことを確認しています。調印式典は予定通りに執り行うとも。ですが...クーデターが起きた以上、『トリニティ』内の治安は少なからず悪化するでしょう」

「"...そこに『シャーレ』を求める意義はあるのかな?『トリニティ』側も警備は強化するだろうし、君も護衛を強化すればそれで済むと思うけど"」

「確かにそれで済ませるべきです。ですが...念には念を入れたいのです。長きに渡る『トリニティ』と『ゲヘナ』の対立が宥和、協調へと変わる歴史的偉業...これを確実に成す為にも。『シャーレ』の力があれば、万が一式典で何か起きたとしてもその超法規的権限で介入、解決が可能になります。...そのような事態はあって欲しくはありませんが。

 『シャーレ』が今も尚ご多忙であることは承知しております。ですので、この提案は無理強いするものではありません」

「"――難色は示したけど、断るつもりはないよ。『シャーレ』が必要なら、困っているならその解決の手助けをするのが役目であり、教師の責務だからね。あくまで『シャーレ』を招く理由を知りたかっただけだ"」

 

 (ユカリ)の言葉にそう答えて招待を受けると宣言する。―――『シャーレ』が必要なら出来る限り応える。『シャーレ』が始動した時からそう決めていた。難色を示したのは言った通り、あくまで式典に『シャーレ』を招く理由、意義を知りたかっただけだ。

 

「流石『シャーレ』、流石"先生"ですわね。――では、『シャーレ』も来賓として参加できるように調整しておきます。調印式典は五日後、『トリニティ』は『通功の古聖堂』にて執り行われます。随行する人員等が決まりましたら、リンへご連絡くださいますよう」

「"分かった。――歴史的偉業を成し遂げる場に立ち会えることを楽しみにしているよ"」

 

 (ユカリ)の言葉に頷き、ソファから立ち上がる―――

 

 

「"――あ、そうだ。(ユカリ)、一つ頼みがあるんだ。出来れば、対応の過程であまり多くの人に知られて欲しくないんだけど..."」

「『シャーレ』の超法規的権限ならば指示一つで済みますのに、相変わらず律儀な御仁で。...分かりました。我が"連邦生徒会"の力が必要だと仰られるならば、できる限り応えましょう」

「"ありがとう。――君達"連邦生徒会"が保管している記録をできる限りの過去まで遡ってほしい。その中に――"」

 

 

 

 

「"――『アリウス分校』。この学校、言葉、もしくはそれらを示唆するような記録、情報が欠片でもあったら、その情報を私に――『シッテムの箱』に送って欲しいんだ"」

 


~『シャーレ』オフィスビル 部室~

side-アヤ

 

「"――――そういう訳で、調印式典に来賓として参加することになったよ"」

「まぁ、"先生"なら参加しますよねぇ」

「..."先生"なら二つ返事だと思ってましたよ」

 

―――"連邦生徒会"から戻って来た"先生"の報告を受け、ユウカさんと揃って案の定だとため息を零す。

 

―――『シャーレ』ビルの部室。ハタテはミカさんのクーデターに関する取材で『トリニティ』に出向いていて不在。"RABBIT小隊"は"当番"として来ている"便利屋68"のアルさん、カヨコさん。『アビドス』のホシノさん、シロコさんと共にここ『D.U.外郭地区』で突発的に起きたスケバン達の抗争鎮圧に出向いている。"先生"が戻る少し前に届いた途中経過報告では、シャーレ(こちら)が終始優勢で、もうすぐ鎮圧出来るとの事だった。

 "先生"が居らずとも、アルさんのリーダーシップ、カヨコさんの参謀としての補佐、"RABBIT小隊"、ホシノさんとシロコさんの卓越した戦闘能力ならスケバン程度なら余裕だろう。だからこそ"先生"も任せていた。

―――閑話休題。

 

「"――君達に相談せず参加を表明したのは謝るよ。(ユカリ)――"連邦生徒会長"直接の頼みだったからつい、ね..."」

「――直近の状況で"連邦生徒会"が"先生"の助力を求めるなら、『エデン条約』絡みでしょうからね。

――"先生"の護衛兼サポーターとして"RABBIT小隊"を指定。式典決行日前後の予定も調整済。その間の顧問代行は"教授"にお願いするべく要請しています。回答はまだですが...あの方なら二つ返事でしょう」

 

 "先生"の謝罪に対してユウカさんはそう返し、自身のタブレットを弄りながら式典の際の『シャーレ』体制についてそう報告する。

 付け加えれば、私とハタテは『クロノス』の新聞記者として式典に出向くけれど、その傍ら"先生"の護衛兼サポーターとしても動くつもりでいる。"RABBIT小隊"も来るならば、"先生"に()()()があったとしても守り切れる筈だ。

 

「"ありがとう、ユウカ。...本当、君が正規部員として来てくれて大助かりだよ"」

「...せ、"先生"は依頼でも財務でも頼みを素直に受け過ぎるきらいがあります。それを適度に調整し、"先生"の負担を和らげる為に私が居るんですから。

...とは言え、『エデン条約』の歴史的偉業を考えれば、確実な実現の為に『シャーレ』の力を借りようとするのは当然です。"連邦生徒会"が求めずとも、恐らく『トリニティ』は"先生"の助力を求めたでしょう。――先日起きたクーデターの影響も少なからずあるでしょうから」

 

『――三番席の方、どうぞ』

『――"花果子念報"の姫海棠ハタテです。今回のクーデターは『エデン条約』の破棄に繋がることはないとのことですが、条約内容の修正等は行われるのでしょうか』

『条約内容は既に"ゲヘナ学園"側と合意しております。今回のクーデターは当条約には何ら関係ない事情によるものであり、またクーデターにより変更、修正する内容もございません』

『成程...回答、ありがとうございました』

 

 部室に据えた大型ディスプレイで映している、『キヴォチューブ』の『クロノス』公式チャンネルのライブ配信で、ちょうどハタテが質問を挙げ、ナギサが答えている様子をユウカが見やる。

 画面左上隅のテロップには『トリニティでクーデター未遂。主犯はパテル分派首長(ホスト)か』という表題が浮かんでいて、演壇に立つナギサとセイアの前にはハタテの他にも"新聞部"らしき娘達や、『クロノス』以外のメディアも大勢座っている様子も映っている。

 

『――十二番席の方、どうぞ』

『○○新報の△△と申します。今回のクーデターは『エデン条約』に関わらない事情とのことですが、クーデターの動機、目的は判明しているのでしょうか。校内では迅速な処罰を求める声や糾弾の声が大きいようですが』

『クーデターの動機、目的は現在調査中です。クーデターという行為そのものは処罰が必要ですが、その罪状の重さは慎重に判断する必要があります。ですので、事情聴取、調査が始まったばかりの今現在、クーデター主犯である聖園ミカさんへどのような処罰を下すかは申し上げることはできません』

 

「...まさか、クーデターが起きるとは驚きです。それも、生徒会たる"ティーパーティー"の高級幹部である首長(ホスト)が主犯とは」

「私と"先生"、後"RABBIT小隊"はクーデター発生時は依頼の一環で『ゲヘナ』に居ましたからねぇ。通報を受けた時は驚きましたよ、えぇ」

「"本当にね..."正義実現委員会"もすぐには動けない状況だったからね。対応を間違えれば()()()()()()()()も有り得たと思う。...幸い、兆候や異変に気付いて先んじて動いた娘が居たおかげで阻止することができた"」

 

 ユウカさんの言葉に"先生"がそう答える。―――クーデター鎮圧直後、()()の為に情報収集を行っていたけど、"シスターフッド"の動員やセイアさんの捜索を行ったのは"ソーサーナイツ"のテンシさんだったと知った時は驚いたものだ。

 以前から『トリニティ』らしからぬ、貴賤出自を気にせず、多くの友人関係、人脈を広く築いている姿が珍しかったけど、クーデターに先んじて気付けたのは偏にその繋がりの力だろうと感じている。

 

「...何があったかは詳しく聞きません。きっとトリニティ(あちら)にとって()()()()()()()()()()()()事情もあるでしょうから」

「"そうしてくれると今は助かるよ"」

 

 ユウカさんの気遣う様な言葉に"先生"は微笑みながら頷く。

 

―――『アリウス分校』。"補習授業部"でアズサさんが明かした、彼女()()()()()()。そんな学校の名前は新聞記者、誰よりも速く情報を探り、ネタとして扱う者としては全く聞いた事が無く、クロノス(母校)のアーカイブにも私がアクセス出来る中では全く見当たらなかった。しかし―――アズサさんが言うには()()()()()()()()()()()()()()()()という。

 キヴォトスの構成校の首班たる"連邦生徒会"なら、もしかしたら学校の登録情報等過去の記録が残っている可能性があるけど...前"連邦生徒会長"()()時の混乱で失われているかもしれない。とは言え、"先生"の事だ。(ユカリ)"連邦生徒会長"に呼ばれた時に秘密裏に調査を依頼しているだろう。もし"連邦生徒会"の記録にすら残っていないとすれば―――

 

「"――お、ミヤコ達からメッセージが...鎮圧が終わったみたいだね。『ヴァルキューレ』に引き渡してから戻るみたいだ"」

「おぉ、流石早いですねぇ。"RABBIT小隊"に加えて"便利屋68"と『アビドス』の方々が一緒なので尚更ですね」

 

―――"先生"が『シッテムの箱』を見て情報を私達に共有する。私の見立て通り、鎮圧はすぐに終わった様だ。

 

「流石ミヤコちゃん達ですね。"便利屋68"は勿論、『アビドス』の方々も素晴らしい実力の持ち主のようで」

「『アビドス』は最近復興が始まったばかりですが、それ以前は生徒数たった五人で"ヘルメット団"の襲撃を凌いでいた環境でしたから。特にホシノさんは一際群を抜いた実力の持ち主。『アビドス』は賞金首狩りや傭兵派遣も請け負っているので、かなり頼りになりますよ」

「"...傭兵派遣か..."便利屋68"に...いや、『トリニティ』じゃ居心地が...『アビドス』は...うーん..."」

 

 ユウカさんに『アビドス』の方々について補足していると、"先生"が悩まし気に何か呟く。

 

「――"先生"、どうかされたので?」

「"...いや、何でもないよ。――ミヤコ達が戻ったら業務を再開しようか"」

「分かりました。――そう言えば、来賓は『シャーレ』、"先生"だけになるんですか?」

「"そうみたいだね。『ゲヘナ』の専属教師である、"学園長"なる人も招きたかったみたいだけど..."」

「...あぁ、あの方ですか。"先生"はまだ会ったことがなかったですね。『ゲヘナ』専属教師は――――」

 


~『ゲヘナ学園』 "学園長"執務室~

side-マコト

 

「――"学園長"、"連邦生徒会"からの手紙は受け取ったか?」

 

―――自治区を一望出来る小高い丘に建てられた"学園長"専用の建物内、執務室。頂部に校章を誂えた短い垂れ幕を飾った大きな窓三つから南天の日が差し込んで照らす下に据えられた執務机に座る大人の女性―――赤いセミロングヘアーの上に赤いヘイローを浮かべ、ネクタイを締めた白いシャツの上に『Welcome Hell』とプリントされた黒いベストを重ね、上に黒い厚手の黒いコートを羽織っている―――この『ゲヘナ学園』卒業生であり、"連邦生徒会"公認専属教師"学園長"を務めている『瑠璃獄(るりごく)ヘカーティア』の前に立ち、尋ねる。

 

「あぁ、今朝届いてたヤツ?...態々私に直接寄越すなんてねぇ。貴女、それ絡みで態々来たの?」

「んー...あったあった!今の"連邦生徒会長"の名前もある!"学園長(がくえんちょー)"、あたい見ていい?」

 

 "学園長"が興味無さげに答えながら私を見るその横で、机上のメールボックスを漁っていた生徒―――ウェーブが掛かった長い金髪の上に白い水玉模様を飾った紫色のキャップを被って赤と青のヘイローを浮かべ、黒いシャツに赤いネクタイをルーズに締め、その上に星条旗模様のジャケットを羽織り、赤いスカートと、ジャケットと同じ星条旗模様のタイツ、茶色の靴を履いている―――学内の()()()()()()だが、一方で"学園長"が()()()()()()()()()()()生徒『冠獄(かんごく)ピース』がメールボックスから一枚の手紙、"連邦生徒会"ロゴマークが記された、紺色のラインが走る白い封筒を掲げて"学園長"に尋ねる。

 

「いいわよん。()()()()()()けど」

わーい(Yeah!)ありがと(Thank you!)んーどれどれ...『親愛なるゲヘナ学園学園長、"瑠璃獄ヘカーティア"様――――」

 

 "学園長"は彼女の問に淡白に答え、ピースは封を切って手紙を取り出し、頼んでもいないのに内容を読み上げ始める―――

 

「――――ご多忙の身であることは重々承知しておりますが、生徒を導く教師として前向きなご回答を頂けることを切に願っております。連邦生徒会長"八雲(ユカリ)"』...だってさ!なんか色々()()()()()()()()ばっかだったけど――『エデン条約』の調印式典に来賓として、"学園長(がくえんちょー)"を招待したいみたいだねー」

「...そういうことだ。恐らく学園長(そちら)に招待の手紙なりが来るだろうと思ってな。()()確認しておきたくて、こうして訪ねた次第だ」

 

―――読み上げ終えたピースが中身を要約し、私はそれに頷いて用件を告げる。

 

「――私の回答なんて、()()()()()()()()()()()()()()()()でしょ?...連邦生徒会(向こう)()()()()()()()()()()()でしょうに態々こんな手紙を寄越すなんて、律儀なことねぇ」

「...この『ゲヘナ』の卒業生として何も思わないのか?ずっと対立して来た『トリニティ』との宥和、協調という歴史的偉業だぞ」

「それを成したのはマコト達でしょ。そこに私の意思意向は何ら関係ないわ。――"自由と混沌"。この校風の下、『トリニティ』と宥和、協調を図りたいと思って()()()()()()()()行動した。――なら、私がとやかく言うことは何もないわよん」

 

 私の言葉に対しても"学園長"は尚表情を変えずにそう答える。

 

―――『瑠璃獄ヘカーティア』。現役生徒時代は"万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)"議長を務め、『ゲヘナ学園』の最盛期を築いた傑物。だが、その時から変わっていないという放任主義には時々困らされている。

 銃撃戦、爆破は()()()()()()日常的なものだからまだいい。問題は、"美食研究会"、"温泉開発部"、"便利屋68"、"双月の悪魔"...今の『ゲヘナ』は至上最悪レベルで問題児、集団が多い事だ。()()()()()()共と比べて被害は遥かに大きい。"風紀委員会"も常にフル稼働で鎮圧活動に勤しみ、我が"万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)"が支援して尚、改善の兆しは見えていない。

 統治方法についてアドバイスを得ようとしても、先述の様な"生徒(私達)のやりたいようにやりなさい"と返すばかりで、大人としての経験、"万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)"議長としての経験に頼りたい身としては不満を覚えざるを得ない。

 卒業し、大人になっても尚()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を持っているらしいが、その一端を"()()"への反抗時に垣間見ただけで、普段は特に教鞭を取る事もせず、()()()()()だと言うピースと遊んだり、フラフラと自治区内を歩いたりと教師らしくない振る舞いばかりだ。

―――閑話休題。

 

「...まぁ、元より色よい返事は期待していなかった。招待を受ける気がないなら仕方ない。十中八九『シャーレ』の"先生"は式典に来るだろうから、"学園長"が渡りを付ける機会になると思ったんだが...」

「...『シャーレ』ねぇ。随分精力的に活動してるみたいだけど身体壊さないのかしらね、"先生()"。ま、彼なら貴女の悩みにも二つ返事で協力するでしょ」

 

 性格を考えれば調印式典に来るであろう『シャーレ』の"先生"について挙げて興味を引けるから試みるも、なしのつぶてで終わる。

 

「...『シャーレ』にも興味がないのか」

「あたいは会ってみたいんだけどねー。"当番"ってヤツが全然予約取れなくてさ!」

「興味がゼロって訳じゃないけどね。ただ、基本的に生徒(貴女達)に任せてる私と、積極的に生徒に絡みに行く彼とじゃちょっと相性が悪いでしょうし。それに、さっき言ったように"先生"は随分脆いみたいじゃない。他校(ほか)と比べて()()()()()()()()ゲヘナ(ここ)で彼に()()()があったら色々面倒だし」

 

 ピースが不満そうに頬を膨らませる一方で、"学園長"は面倒臭いと言わんばかりの表情を浮かべてそう答える。

 

「その()()()を避ける為にも、是非とも貴女の知恵を借りたいんだがな...」

「私が知恵を貸したとしても、結局は貴女達の意思次第よん。"自由と混沌"――個人の意思は他者には縛れない。...だからと言って、()()()()()()()()()()()()()なんて考えはあってはならないけど」

「...そうだな。――調印式典に"学園長"は参加しない。それは改めて"連邦生徒会"に伝えておく」

 

 "学園長"の言葉に頷き、調印式典参加の是非についての答えを改めて確認し、踵を返す―――

 

 

「――マコト」

「...何だ?」

 

―――"学園長"が呼び止め、足を止める。

 

「丸投げはあれだから、ちょっとしたお節介。...式典の時は気を付けなさい。『トリニティ』でクーデターが起きたこともあるけど...多分、()()()()()()()()()()。所詮私の勘だけど...()()()()()()()『エデン条約』を成すか否か――私は、貴女の選択を否定しないわ。それだけは頭の隅にでも覚えておいてちょうだいな」

「...分かった。忠告、感謝する」

 

 珍しい"学園長"の忠告に謝意を示し、改めて執務室を退室する―――

 


~『ミレニアム』自治区 学生寮~

side-アリス(Alice)

 

『――――シノンさん、ありがとうございました。...○○さん、今回トリニティにて起きたクーデターについてどう思われますか?』

『そうですねぇ..."ティーパーティー"の高級幹部が主犯となっていたことに驚きを隠せません。トリニティはその校風故に"ティーパーティー"内も決して一枚岩とは言えませんが、エデン条約調印式典を目前に控えたこのタイミングでクーデターとは...しかし、"パテル分派"であればある程度納得できます』

『と、言いますと?』

『会見ではエデン条約は何も関わりがないと明言されていたとは言え、そもそも"パテル分派"は古くから生粋のゲヘナ嫌いの組織風土で知られています。今回のクーデターは――――』

 

―――部屋の備え付けのテレビから『クロノス』のスタジオでのキャスターとコメンテーターのやり取りが聞こえる。

 

ガチッ...!

[シャンッ?!]

 

「――あ...!ご、ごめんなさい[シャンハイ]。すぐ直すわ」

 

―――マイクロドライバーを弄る手先が狂ってパーツを()()()()()()()しまい、声をあげた[シャンハイ]に謝りながらドライバーを手早く回してパーツを外し、ルーペで状態を確認する。

 

「...これはもうダメね。予備も心許ない...はぁ...研究室でまた作らないと」

 

 パーツの重要な部分の破損が直せないと把握し、ため息を吐きながら使えないパーツ用のケースにピンセットで摘んでいたパーツを入れる。―――作業を開始してから()()()()()()()()破損パーツを見て更に気分が沈む。

 

[ホーライ?]

「...そうね、[ホウライ]。今日はここまでにしましょうか」

 

―――[ホウライ]が私を気遣う様に近付いて来て、作業を切り上げる事を決めて[シャンハイ]の背中を閉じて服を着せる。まぐれかもしれないけど、私の表情や動きを見てどんな状況かをある程度把握して動ける位に学習も進んで来ている様だ。まだまだ()()には遠いけど、着実に進んでいる。

 

[シャンハーイ]

「...ありがとう、[シャンハイ]」

 

 [シャンハイ]は内蔵された超小型浮遊ユニットで浮かび上がり、私の額をポンポンと撫でる様に触れる。この子も[ホウライ]と同様に学習が進んでいる嬉しさで笑みが零れ、手を伸ばして[シャンハイ]を撫でる。

 

「――二人共。ツールとパーツ、片付けてくれる?」

[ホーライ]

[シャンハーイ]

 

『――――さて、こちらがトリニティ内の()()()から提供されたクーデター鎮圧時の様子を捉えた動画です。クーデター勢力は礼拝堂に立て籠もっていたようで――――』

「...クーデター、か...」

 

 私の指示を受けてツールやパーツを片付け始める様子を横目にテレビを見やる。画角的に礼拝堂に近い建物の二階にある部屋の窓から撮った動画の様で、銃撃や爆発でボロボロの礼拝堂の側面を映していて、包囲を敷く"シスターフッド"に対して迎撃の銃火を浴びせる、"ティーパーティー"らしき生徒達の姿も映っている。ちょうど動画で画角がズームアップされ、数人の顔がハッキリと映る。その顔はいずれも―――

 

「...気に掛けた所で()()()()()()()()()()。でも...やっぱり不安になってしまうわね」

[ホーライ?]

[シャンハーイ?]

 

―――つい漏らした呟きを、ちょうど片付けを終えた二人も聞いたのか不思議そうに近付いて来る。

 

「...何でもないわ。『エデン条約』の調印式典を目前に治安が悪くなるような状況が不安になっただけ」

 

 微笑みながら二人を撫でる。―――中身や外装の素材もすっかり変わってしまったけど、見た目はあの時から変わっていない。だからこそ、こうして二人を見ていると()()()()―――

 

 

―――『アリス(Alice)ちゃん、この子達を貴女に贈るわ。これは()()()()()()()()()。向こうに出てしまったら、貴女が困ったことになったとしても私達は何もできない。だから、辛いことがあったら、その子達を見て私達を思い出して。遠く隔たれていても――()()()()()()()()()から』

 

―――実際、ミレニアム(ここ)に来た時は()()と何もかもが違う環境に戸惑ったものの、()()()()()()()()と出逢ったおかげでこうして()()()()()()()()()今まで過ごせている。勿論、目の前の二人も私の大事な心の支えとなっている。だからこそ―――

 

 

「――"()()()()"、貴女は...『アリウス』はどうするつもりなの?」

[ホーライ?]

[シャンハーイ?]

 

―――呟きを聞いた二人が答えられる筈も無く、揃って不思議そうに首を傾げる。

 

 

―――to be continued―――

 

 




ということでゲヘナの教師としてヘカ様、生徒として地獄の妖精クラピ登場です。そしてアリス(Alice)の素性についても

~登場生徒、人物紹介~
名前:瑠璃獄(るりごく) ヘカーティア
卒業校:ゲヘナ学園
役職:連邦生徒会公認専属教師"学園長"
装備:AR(H&K HK416(リベレイター・トリロジー))

名前:冠獄(かんごく) ピース
所属校:ゲヘナ学園
学年:一年生(飛び級)
部活動:なし
装備:SMG(キャリコM950(フェイク・フリーダム))

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転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする(作者:popoponpon)(原作:ブルーアーカイブ)

いろんな娯楽はあるけど前世の娯楽もこの世界で楽しみたい!ということでTS転生したけど諦めずに自分の好きなものを作っては皆で遊んだり、本編に絡んだりしてくる女の子、夢見モルフォのお話。


総合評価:13409/評価:8.72/連載:203話/更新日時:2026年05月22日(金) 12:00 小説情報

ふむ、私に喋れと言うのだな!?(作者:хорошо!)(原作:ブルーアーカイブ)

───ねぇねぇ、みんなは聞いた?▼今話題の先生がいるシャーレにはね、無口で怖い一人の生徒が所属してるんだって!▼『違うんです、コミュ症なんです…ただただ喋れないだけなんです…』▼そんなTS転生者が、役に立つ方法を模索しながらハッピーエンドを目指して奔走するお話。▼【挿絵表示】▼【挿絵表示】▼まあぶる様からイラストをいただきました。▼【挿絵表示】▼チキ・ヨンハ…


総合評価:14049/評価:8.23/連載:60話/更新日時:2026年03月29日(日) 08:05 小説情報

蓬莱人のキヴォトス生活(作者:御神梓)(原作:ブルーアーカイブ)

 推定隙間野郎によって突如キヴォトスに放り投げられた藤原妹紅。▼ 自分がなんのためにこちらの世界に連れ出されて、何をしてもらいたいのか全くわからない中、もう一度輝夜と殺し合いをするために幻想郷へと帰る手立てを模索していく。▼ 死ぬことができない蓬莱人と死を忌避するキヴォトスで生活して行くと何が起きるのか。▼完全に思いつきで書いております。


総合評価:1626/評価:8.58/連載:18話/更新日時:2026年03月29日(日) 22:12 小説情報


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