Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
『カニと戦いに行く』という端から見たらアホっぽい字面。ニコ操作の探索パートとは気合入ってんね。ロアの原因は港の警備業務独占を目論んだカルパッチョの噂か。そして思っていた以上にでっけぇドラム缶ガニ!でも某マジオスみたいに艦艇の残骸を纏っているのはドラム缶関係ないな...そして倒され食べられるって...お前来週そうりきでしょ...しかしカニ鍋スチルのカニの量よ。出所祝いの焼肉といいRABBITよりいいもん食ってんねFOX。
ヒノム火山地下、アビスはやっぱ何かあるよなぁ...コクマーも本来は探査船だった筈だし。そしてまさかのトリニティ図書委員会にチエル副委員長、ネームド3人目?!カタコンベに行って3ヶ月以上行方知れず、アビスに入ろうとしてゲヘナと揉めかけたり...破天荒な人のようで。
そして本物と同等の実務能力、しかし一部は超えている可能性もある連邦生徒会長...偽物が本物に劣る道理はない。偽物でも本物を超えればそれは本物と言える。やっぱり怪しいところもあるな...
そしてミニストーリーまさかのハルカフォーカスで便利屋68過去回?!思っていたより普通な過去だったなハルカ。それとしてイジメは良くないが。ムツキとハルカっょぃ。今回はしっかりアウトローしてるアルちゃんカッコイイ。ムツキは人選んで悪戯、揶揄うけど、それ故にこの時のことを後悔してるんだなぁ...
さてさて、調印式典前の閑話その1です
~『シャーレ』オフィスビル 屋上~
side-アヤ
「...SNSは若干下火にはなったけど、まだあのクーデターの話題は尽きてないわねぇ。状況とタイミング、『トリニティ』の校風を考えれば
―――朝の『シャーレ』オフィスビル屋上、翼を広げて朝日と風を浴びながらスマホで『モモッター』を始めとするSNSをサーフィンしてトレンドを確認しながら言ちる。
"先生"が"連邦生徒会"から提案された、『エデン条約』調印式典への来賓としての参加受け入れを表明して二日程経った今日。
ミカさんが決行し、失敗したクーデターに対するネット上の反応はまだまだ強火で、"ティーパーティー"の会見で出た情報から考察した動機から、
「...『トリニティ』発信のアカウント、書き込みもそこそこ見られるし、
―――私の隣でスマホを忙しなく弄っていたハタテが
「生徒会へのクーデターなんて
「伊達に"パテル分派"の
―――過去にも何度か"ティーパーティー"への取材を行った事もあるけど、ミカさんはナギサさん、セイアさんと違って感覚的、口より手が出やすいタイプではあるものの、"ティーパーティー"構成分派の一つ、且つ行政の主導権を握る三大分派の一角を率いるだけの頭脳、政治力も併せ持っていると感じていた。
実際、クーデターを決行したあの日まで
故に―――そんな大人物の実質的な降板は"パテル分派"を麻痺させている。主導権を握る三大派閥の一角が崩れて生まれた空席。それを見逃す派閥は居ないだろう。
「"フィリウス"、"パテル"、"サンクトゥス"――長らく続いた三頭政治の均衡が崩れた。"パテル"の後釜を狙う。これ幸いにと
「だからこそ、ミカさんの処分は即断できない。ナギサさん、セイアさんにとって
「...政治的にも、感情的にもそれを目指したいところよね。他派閥は納得しないでしょうけど...そこは
ハタテの言葉に対してそう返せば、彼女はやれやれとため息を吐いてそう漏らす。私も心情的にはナギサさん、セイアさんを応援したい所ではある。だけど―――
「――私達は他の、組織、思想に
「当たり前じゃない。私達は
―――ハタテは私に向き直って頷き、自嘲する様に苦笑する。
「ついでに情報の鮮度もね。日和ってると、"ヴェリタス"に一目置かれるくらいのハッキング技能が腐るわよ?」
「う、うるさいわね...!アンタが思ってる以上にハッキングは色々大変なのよ!――ほ、ほら!時間的にそろそろミヤコ達も来るだろうし戻りましょ!」
私の言葉を誤魔化すようにハタテは頬を赤らめて反論し、無理矢理話を切り上げてツカツカと階段に向かう背中を見送る。
「...文はいいんだけどねぇ。それだから私に一歩遅れるのよ、ハタテ」
相変わらずの幼馴染だと一人言ち、部室に戻るべく歩き出す―――
~『シャーレ』オフィスビル 部室~
side-"先生"
「――おはよう、"先生"」
「――おはようございます、"先生"!」
「"――いらっしゃい、アズサ、ヒフミ"」
―――部室の自動ドアが開き、今日の"当番"であるアズサとヒフミが入室してきて挨拶を交わす。相変わらず熾烈な"当番"シフト予約だけど、二人は昨日奇跡的にキャンセルで空いた枠で今日のシフトに入っている。
「――おはようございます。お二人は今回が初めての"当番"ですね。私は『シャーレ』正規部員、"財務管理者"の『早瀬ユウカ』です。業務開始前に、"当番"について説明しますね」
「『阿慈谷ヒフミ』と言います!本日はよろしくお願いします!」
「『白洲アズサ』だ。今日はよろしく頼む」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね。では、早速説明を始めます。まず、"当番"の仕事内容ですが――――」
ユウカが二人の下に歩み寄って自己紹介し、"当番"について説明を始める。―――ユウカが正規部員となってから、初めて"当番"に就いた娘への説明や案内を行う様になった。業務の中に特に難しいものがある訳ではないけど、事前に内容をある程度覚える事で業務は円滑化する。
―――閑話休題。
「――――説明は以上となります。ご質問、確認等はありますか?」
「特にありません!」
「私も大丈夫だ」
「分かりました。では――改めて、本日はよろしくお願いします。"当番"用デスクはあちらです」
―――ユウカの説明が終わり、二人が私の左方に並ぶデスクに足を運ぶ。
「――ヒフミさん、アズサさん到着と...おや、後一人来ていませんね」
自身のデスクに座るアヤが出勤をチェックしていて、おやと眉を上げて報告する。
「"時間的にはまだ余裕はあるけど...今日来る娘は、ヒフミとアズサ、後は――"」
「――"先生"、"当番"の方をお連れしました」
「射撃訓練を終えたタイミングで、ロビーで出会してな。道中で人助けをして遅れたそうだ」
―――部室のドアが開き、ミヤコとサキが姿を現してそんな報告を挙げる。その二人に続いて―――
「――"先生"、遅れてしまってごめんなさい。お婆さんが運んでいた荷物の運搬を手伝ったら思っていたより距離があって、時間が取られてしまったわ」
[シャンハーイ]
[ホーラ-イ]
「"始業時間に間に合っているから大丈夫だよ、
―――今日の"当番"、残る一人である
「...あぁ、何とか間に合ったのね...ならいいのだけれど――」
「...!」
「...あら?」
―――ふと、
「...ん?何かあったの?」
「アズサ先輩と
「"――二人共、何処かで会ったことがあるのかい?"」
「...いや...これが初対面だ。...人形が自律して動いているなんて初めて見た。その学生証は『ミレニアム』か」
「えぇ。――『ミレニアム』二年生、『真神アリス』よ。この子達は[シャンハイ]と[ホウライ]。見ての通り、こうして動けるの。...完全に自律して動ける機能、AIモデルはまだ開発中だけど」
[シャンハーイ]
[ホーラ-イ]
私の問いにアズサはそう答え、
「わぁ、すごい...!――あ、私は『トリニティ』二年生、『阿慈谷ヒフミ』です!」
「おぉ、これはすごいな...同じく『トリニティ』二年生、『白洲アズサ』だ」
「ヒフミ、アズサね。今日はよろしくお願いするわ」
「"これで今日の"当番"は全員だね。改めて、皆よろしく。――よし、時間だ。今日の業務を始めよう"」
「本日の書類は既に仕分け完了済です。」
三人が仲良くなれそうだと頷き、始業時間を確認して音頭を取る―――
「――[シャンハイ]、その書類の束を"先生"に渡して」
[シャンハーイ]
―――業務開始から一時間程経った頃。
「"ありがとう、[シャンハイ]"」
[ハーイ]
書類を受け取った私のお礼の言葉に[シャンハイ]はそう答えて頷き、フヨフヨと浮かんで
「――いつ見ても、よく出来た人形型アンドロイドね。これでまだ未完成って言うんだから驚きよ」
「本当にすごいです!音もなく浮遊して、自分より少し大きな書類の束も余裕で持ち上げて運ぶなんて...!」
「ふふ、お褒めの言葉ありがとう。...でも、指示への応答、それに合わせた動作はこんな人形でなくともドローンで充分。自分で考え、提案し、対応して動く――完全に自律して動けるようになるにはまだまだよ。表情を動かす機能も搭載しているけど、全然使わないしね」
[シャンハーイ?]
[ホーライ?]
二体は揃って首を傾げる動作を返すけど、確かに表情は一切変わっていない。だけど、
「
「えぇ。私の研究テーマは"人間と遜色ないレベルの思考モデルの開発"――所謂AIの開発がメインだけど、この子達みたいな人形の作成も研究の一環兼、趣味の一つよ。AIだけでは、その思考から生まれた動作を反映する
「...こういった、普通の人形もたまに作っているわ」
「こ、これは...!」
「おぉ、『ウェーブキャット』だ...!」
―――取り出したのは『モモフレンズ』のキャラクターの一人である『ウェーブキャット』のぬいぐるみ人形で、十センチ程の大きさながら特徴的なうねうねした長い胴体がしっかり表現されていて、アリスの指に摘ままれてゆらゆら揺れる様子を見てヒフミとアズサが揃って瞳を輝かせる。
「大して宣伝はしてないけど、外注で色々な人形を製作することもあるの。これが結構依頼も多くて、趣味の域を逸脱しない程度に抑えているけど、そこそこの稼ぎになっているわ。
この子はそんな依頼で製作していて、完成目前で依頼主側のトラブルでキャンセルされちゃって、こうして私が持っているのだけど...『ミレニアム』だと人形のコレクターなんて見つからないから、貰い手がなくてね。
今日は『シャーレ』"当番"だから、他の学校の娘にもしかしたら欲しい娘が居るかもしれないと思って持って来t「もらっていいんですか?!」」
「...え、えぇ。私は人形製作の参考、参照にする為に見るだけで『モモフレンズ』のファンではないけれど、そんな私が持っておく位なら大事にしてくれそうな娘に託したいの。...ヒフミ、貴女は『モモフレンズ』の大ファンみたいね?それも――『ペロロ様』が推しの」
「はい!『モモフレンズ』そのものは勿論、『ペロロ様』は特に大好きです!」
「そんなリュックサックを持っている位だものね。――そんなファンなら、この子を任せられそうね。どうぞ、大切にしてあげてね」
「わぁ...!ありがとうございます!」
「よかったな、ヒフミ...!」
ヒフミになら任せられると微笑んだ
「ふふ、気に入ってくれそうね。製作者として嬉しく思うわ」
「よかったわね、
安心した様に目を細める
「――
「私も依頼したい!...私は特に『スカルマン』が好きなんだ」
「えぇ、いいわよ。――基本的に『モモトーク』で依頼、交渉用サイトのリンクを送るから、IDを交換してもいいかしら?」
「勿論です!ついでに『ミレニアム』の方とも交友関係を繋げますし、いい機会です!」
「あぁ、私も構わないぞ」
交換を行う三人を横目に眺めながら自身のスマホでサイトを開く―――
・欲しい種類の人形が無い...
・推しの人形が無い...
・壊れてしまったけど直せない...
そんなあなたのお悩み、お願いに応えます。チャット、映像通話による一対一での交渉にも対応(注:要予約)。
―――サイトには
レビューは軒並み絶賛の内容ばかりで、一方サクラ、詐欺疑惑払拭の為か不満や要望も掲載しているものの、対応の長さや期間の長さ等、個人故の必然的な問題ばかりで、製作した人形の品質については一切不満は見受けられない。彼女の人形製作の腕はかなりのものの様だ。
「――ものによっては交渉やヒアリングが必要になるのだけど、対応は全て私一人だけだから、製作も合わせて時間が掛かる可能性があるの。そこはどうか容赦してちょうだい」
「それ位は大丈夫です!では、"当番"が終わったら依頼させてもらいますね!」
「私も待つのは慣れている。大丈夫だ」
「ふふ、いい娘達ね。――さて、そろそろ業務に戻りましょうか。ユウカは
「はい!」
「あぁ、そうしよう」
~『D.U.外郭地区』 空きテナントビル前~
side-ヒフミ
『"――こちら"先生"。現地に着いたみたいだね。輸送車は見つかったかい?"』
「こ、こちらヒフミ。確かに、奪われた輸送車が停まっています。ここに犯人が――」
「――ヒフミ、敵に気取られると良くない。こういう時はコードネームを使うんだ」
―――不良の集団が屯しているという空テナントビルの前。"先生"からの通信に応えているとアズサちゃんが真面目な表情でそんな指摘を挙げる。
「そ、そこまでするような状況でも...」
「確かに、集団と言っても五、六人の小規模な集団のようだ。だが...だからと言って侮ると足元を掬われかねない。対策は万全を期すべきだ」
「――少し過剰な気もするけど、油断しない心掛けそのものは重要ね。"先生"の指揮があるとはいえ、実際に対処するのは私達なのだから。折角の提案だし、この場はコードネームでやり取りしましょうか」
私の言葉に対してもアズサちゃんは意見を曲げず、
「...わ、分かりました。では...私はペロロ様...じゃちょっと分かりやす過ぎるかな..."ペロ"と」
「――私は"ペンギン"と呼んでくれ」
「私は..."ドール"で行こうかしらね」
「分かりました。――"先生"、私達は任務中コードネームを付与します。私は"ペロ"、アズサちゃんは"ペンギン"、
『"了解。――今のところ、件の不良集団は動いていない。気取られて逃走されないように気を付けて"』
「分かりました」
声を抑えて応え、通信を一度切る。
―――午前分の机上業務を終え、少し浮いた時間でお昼ご飯の準備をしながら、
ここ『D.U.外郭地区』の小さな銀行の現金輸送車が不良集団に襲われ、車両ごと現金が奪われたという。
妙なのは、この依頼の後に『ヴァルキューレ』から
―――『わ、私達三人で奪われた現金の奪還ですか...?!』
―――『"現金輸送車を襲った娘達を油断させる為だ。陽動を仕掛けたということは...ヴァルキューレだけじゃない――私達シャーレが動くことも意識したんだと思う。
そこで、敢えて"RABBIT小隊"やアヤ達主戦力を暴動鎮圧に回す。輸送車強奪と暴動が繋がっているなら、その情報は輸送車を奪った娘達にも共有される筈だ。君達の偵察次第になるけど...その結果次第で連携、油断の有無が分かる。
私は全体の指揮でビルを離れられない。気取られない隠密行動と情報収集、そこからの奇襲が前提になるけど、輸送車追跡とかのサポートはこちらで行うよ"』
―――"先生"から指名された時は上手く役目を果たせるか不安だったけど、アズサちゃんと
"先生"の『シッテムの箱』で輸送車の位置を特定して追跡し、こうして空きテナントにたどり着いた。
「――不良達を探す前に、輸送車を確認しましょう。ほとぼりが冷めるまで輸送車を隠して、輸送車ごと現金を持ち逃げする可能性もあるわ」
「――確認は私と"ペロ"で行う。"ドール"は見張りと、不良達の位置特定を」
「了解したわ。――[シャンハイ]、[ホウライ]」
[シャンハーイ]
[ホーラーイ]
「こ、これは一体...?」
「――[シャンハイ]、[ホウライ]の視界、スキャニング結果を投影するスマートグラスよ。さ、貴女達も輸送車の確認を」
「あぁ。――行こう、"ペロ"」
「わ、分かりました」
「――ブービートラップの形跡なし。後部コンテナに鍵も掛かっていない...不用心だな。ヒフミ、近付いていいぞ」
「は、はい...!――じゃあ、中を見て見ますか?」
「あぁ。――開ける時は静かにな。トラップがなくとも、軋む音、動作音で気取られるかもしれない」
アズサちゃんの忠告に頷き、協力して静かにコンテナの扉を開け―――ケースの一つすら無い、空っぽの荷室が私達を迎える。
「――空っぽ、ですね...」
「――輸送車を使うつもりがないのか?だとしたら...とりあえず、"ドール"の下に戻るぞ」
結果を確認して静かに扉を閉め、
「――おかえりなさい。首尾は?」
「――輸送車は空っぽだった。多分、輸送車で逃走するつもりはなさそうだ」
―――
「――本当にそのつもりみたいね。"先生"に報告するわ。そのついでに貴女達も聞いて。――"先生"、こちら"ドール"」
『"――こちら"先生"。偵察が終わったかい?"』
「えぇ。――テナント四階に件の不良達を確認。数は事前情報通り六名。現金が詰まったケースを配分している様子だったわ。周囲に見張りもなし。――見事に油断しているわね。
『"成程...よし、やり方は君達に任せる。現金はできれば全て奪還してほしいとのことだ。油断せずにね"』
「了解よ」
"先生"の指示に
「――"ドール"、他に入口はあるか?」
「この玄関と、反対側に非常階段があるわ。不良達が居る四階の部屋の出入口は一つだけ。部屋内には非常階段に繋がる非常扉が一か所...退路を塞いでの挟み撃ちができそうね」
「よし、それでいこう。――突入は私と"ドール"で。非常扉は"ペロ"が塞いでくれ」
「わ、分かりました...多分、二人の負担が大きいと思いますが大丈夫ですか?」
「本気を出さざるを得ない状況は避ける性分だけど――こういう必要な場面ならできる限り手を尽くすわ」
「私も大丈夫だ。――全力を尽くそう」
作戦と各人の役割を決定し、お互いに頷く―――
「...こちら"ペロ"。非常口に鍵は掛かっていませんでした」
『――一応、退路として確保していたようだな。それが今回は逆に
―――非常扉のドアノブを静かに回すと開きそうな手応えがあり、うっかり開けてしまわない様に戻して二人に報告する。
『――こちらも突入準備完了。"ペンギン"がフラッシュバンを投げるから、こちらの合図で突入して』
「分かりました...!」
―――扉越しに不良集団の会話が聞こえる。どうやら現金の配分が終わったみたいだ。タイミングとしては―――
「――っ...!」
―――フラッシュバンの炸裂音が聞こえ、覚悟を決めて扉を開けて[マイ・ネセシティ]を構える―――
~『D.U.外郭地区中央駅』 駅前広場~
side-
「――本当に、久しぶりだな。
「――えぇ。...本当に久しぶりね、アズサ。まさか貴女も
―――"当番"を終えた帰路。『D.U.外郭地区中央駅』の駅前広場の一角にあるベンチに並んで座り、そう切り出したアズサの言葉に頷く。
―――
「
「貴女こそ、全然変わってないわね。おかげで不良達を一人も逃がさず鎮圧できたわ」
アズサの言葉に微笑む。
―――現金輸送車を襲った不良達の鎮圧はすぐに終わった。アズサのフラッシュバンで怯んだ所を突いて突入。不良達は咄嗟に非常扉から逃げようとしたものの、そこはヒフミが立ちはだかって封鎖済。突然の状況で不良達が困惑して抵抗出来なかったこともあったけど、
そのヒフミは駅の近くにある『モモフレンズ』ショップに入っていて、私達は先行してこうして駅前で彼女を待ちながら会話を交わしている。
「――『トリニティ』での生活はどう?」
「...『アリウス』とは色々勝手が違って最初は戸惑った。勉強も"
私の言葉にアズサはそう答える。―――『アリウス』の状況を考えれば、"
「そう...辛い思いはしていないなら何よりよ」
「...そういう
アズサはそう尋ねて私のショルダーバッグに収まる[シャンハイ]と[ホウライ]を見やる。
「――最初は貴女と同じように、『アリウス』とは何もかも勝手が違いすぎて大変だったわ。でも、運良く私を助けてくれた人と出会ったの。それから中学校を一緒に卒業して、『ミレニアム』進学で彼女とは道を違えたけど...今も腐れ縁で繋がった友人よ」
―――『...お前、ここらじゃ見ない顔だな。もしかして、私と同じ中学に進学するのか?...折角だ、一緒に手続き行こうぜ。私は――』
―――『アリウス』とまるで違う景色、システム、制度。"
『ミレニアム』進学してからマリサは"エンジニア部"へ入部し、私も誘われたものの、噂に聞いていた
「そうか...人形作りは『アリウス』に居た時から時々やってたけど、どうしてそんな改造をするようになったんだ?」
「『ミレニアム』の見学に行った時に、試験中のアンドロイドを見かけて、[シャンハイ]と[ホウライ]が自律して動けるようになれば面白そうと思ったのがきっかけよ。
"
肝心のAIモデルはまだまだだけど...必ず実現させてみせるわ。幸い、
「そうか...本当に、元気そうでよかった」
アズサは私の答えにうんうんと頷き、目を伏せる。―――その雰囲気からは
「...ねぇ、アズサ」
「...なんだ、
「...答えられたらでいいわ。貴女は――――」
~『D.U.外郭地区中央駅』 改札ホール~
「――ここでお別れね」
―――駅構内の改札ホールに入り、『ミレニアム』行きの路線が走るホームへの案内板を見てそう言ちる。『トリニティ』行きの路線のホームは少し奥の方に進まなければならず、ここでヒフミとアズサと別れる事になる。
「またいつかお会いしましょう、
「帰ったら改めて吟味させてもらうけど、できる限り要望には応えるつもりだから安心して」
「ヒフミ、うんうん唸ったり、内容を何度も書き直していたからな...完成が楽しみだな。――よかったら、『トリニティ』に遊びに来てくれ。案内したいし、友達も紹介したい」
「えぇ、『トリニティ』に足を運ぶことがあったら、その時はよろしくお願いするわ」
ヒフミとアズサの言葉に頷いて微笑む。
「では、ホームに行きましょうか。改めて、今日はありがとうございました!」
「あぁ。...また会おう、
「えぇ。――また会いましょう、ヒフミ、アズサ」
ヒフミとアズサの言葉にそう返し、二人は歩き出す―――
「――アズサ」
「...!」
アズサを呼び止めると彼女は足を止めて振り向く―――
「――
「...うん。そうする」
―――アズサは小さく頷き、踵を返してヒフミの後を追うように足早に歩き出し、雑踏の中にその背中と飾った白い翼が紛れていく。
―――アズサから聞いた、彼女が『トリニティ』に編入された
「――"
―――そんな呟きは改札ホールの喧騒に消えていく。
ということで、アズサとアリス邂逅でした。次回はトリニティになります。
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