Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~   作:八坂 義景

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まさかハーメルンがDdosくらうとは思わんやん?ローカルで残しておくべきか...
あとブルアカアニメ、カードのアレは無かったけど足舐めキッチリ出すのは草なんよ。あのシーンをアニメーションで見れるとは思わんかった。
それはさておき後編その1、戦闘です。



File10-Ab.~襲撃、便利屋68①~

~『アビドス高等学校』校舎前大通り~

side-カヨコ

 

...サァァ...

 

「...少し、風が強くなったかな。砂煙が少し濃くなったけど、まだ大丈夫」

 

 仮拠点に設置した迫撃砲による準備砲撃を合図に出撃し、戦車を先頭に立て、随伴歩兵の傭兵達が左右を警戒しながら追随する様子を見ながら呟き、フードを少し上げて空を見上げる。―――ずっとヘリが私達を見張る様に上空を周回している。数を揃える事を優先した結果、対空火器を持った傭兵を雇わなかった事が裏目に出てしまった。

 

―――『カヨコ、貴女には大通りでの戦闘を任せるわ。戦車と傭兵達を上手く使って敵を釘付けにしなさい。その間に私達は傭兵を数人連れて裏路地から側背に回り込んで――挟撃を決めるわ。ふふふ、きっとアビドスの娘達は目を剝くでしょうね!』

 

 "社長"から下された指示に従い、私は主戦力の戦車三輌と傭兵達の大半を率いている。砂埃でハッキリとは見えないけど、手作り感満載のチェコの針鼠(対戦車障害物)が戦車の進路を制限する様に並ぶその奥で―――家具や板材、トタン板、土嚢で作られた陣地とそこに屯する『アビドス』の娘達の姿が見える。

 

―――激しい攻撃で敵を釘付けにして、別働隊が側背に回り込んで挟撃。基本的な戦術だけど...依頼主がくれた情報によれば、『アビドス』の娘達は長い間"カタカタヘルメット団"相手に戦っている。不良相手でも戦闘経験があるなら、側背に回り込む動きは見抜ける筈。

 だから傭兵達だけじゃなく、便利屋メンバー(私達)が別働隊として動くべきだと献策した。"社長"は態々そこまでしなくてもと不満気だったけど、ジョオンも『油断大敵、確実な遂行の為にも打てる手は打ちましょ』と乗ってくれたおかげで献策は受け入れられた。

 

―――それでも、不安は拭えない。大通りを塞ぐ陣地の構築はかなりしっかりしていて、明らかに素人が作ったとは思えない。それに、彼女達は『アビドス』を守ろうと必死の筈。抵抗は―――

 

 

 

 

...ザァッ...!

 

「うぉッ?!」

「す、砂嵐か?!」

「くそ、視界が...!」

 

―――突如強風と共に砂嵐が巻き起こって私達をあっという間に包み込み、戦車も傭兵達も混乱で立ち止まる。

 

「落ち着いて...!速度を落としてもいい、警戒を厳に!」

 

 指示を出し、私も[デモンズロア]を抜いて警戒を強める。砂嵐で視界は二メートルを切ってしまっている。戦車も速度を大きく落とし、先頭を進む戦車の車長がキューポラから上半身を出して索敵を始めるのが辛うじて見える。

 

「...くそ、対戦車障害物だ。迂回できそうなポイントはないか?視界が悪くてこっちからじゃ見えない...!」

 

 しかし、進路を妨害する障害物にぶつかって戦車の足が止まる。車長は随伴する傭兵達に声を掛け、数人の傭兵が障害物に沿って探し始める。

 

「――あったぞ!左に五メートル程度進めば障害物はなくなっている!」

「分かった!――よし、左折しろ!」

「...待って。そんな露骨に通り道を用意しているってことは――」

 

 偵察した情報を得た車長の指示で戦車三輌が左を向いてゆっくり進み始めるけど、()()()()を感じて呼び止め―――

 

 

 

 

 

―――ドォォォォン!!

「「「「グワーッ?!」」」」

 

 砂煙の中、数メートル先―――先頭を進む戦車が居る辺りで爆発音が聞こえ、ほぼ同時に衝撃波で吹き飛ぶ傭兵達の姿が見える。

 

「隊長車が吹き飛んだぞ!」

「砂の下に地雷があったのかよ!」

「砂嵐のせいで見えなかったのかチクショウ!」

 

「...あぁ、やっぱり...()()()()()()()()()...こんな初歩的な罠も見抜けないなんて...!」

 

 砂嵐の中で右往左往する傭兵達を見ながら思わず歯嚙みする。

―――"社長"の指示で数を揃える事を優先した結果、()()()()傭兵達ばかりが集まってしまった。特に、主戦力である戦車三輌を有する傭兵達は最近戦車を購入したばかりで、『旧い安物だが戦車は戦車!どんな陣地も砲撃で吹き飛ばして機銃掃射して蹴散らしてやるよ!』と、慢心たっぷりに息巻いていた。

 

―――やっぱり便利屋68(私達)だけでやるべきだったかもしれない。雇うにしても質の良い傭兵を探して―――

 

 

 

 

 

 

...スタッ...!

 

「...!何かが降りた...?」

 

―――砂嵐の中で何かが降りる音が聞こえ、思考を止めて目の前で立ち往生している戦車二輌に目を向ける。

 

...サァァ...

 

「...!砂嵐が――」

 

 

 

 

 

 

 

「――どうも、カヨコさん。いつかの取材以来ですね。――やはり、大通りの受け持ちは貴女でしたか」

「「「「ッ?!」」」」

 

―――()()()()()砂嵐が治まると、以前便利屋68(私達)を取材しに来た事がある『クロノススクール』の新聞記者『射命丸アヤ』が最後尾の戦車の上でしゃがんで頬杖をついていた。いつの間にか現れた彼女に傭兵達が驚愕で硬直している中で、私を見ながら営業スマイルを浮かべる。―――そう言えば、"社長"が『アビドス』の娘達と"先生"と挨拶をした時、後ろの陣地に居た気がする。

 

「...アヤ、何故アビドス(ここ)に居るの?」

「個人的にアビドス(ここ)に興味がありまして。その対価で協力しているんですよ。――それにしても、こんなに傭兵を雇うとはらしくないですねぇ。しかも数を揃える為に質を犠牲にしたようで」

 

 アヤはそう答えながら未だに驚きと困惑で硬直している傭兵達を見回す。

 

「――カヨコさんならよく解っていると思いますが、一つアドバイスを。成功率を上げたいなら、寧ろ傭兵を雇わない事をオススメしますよ。初対面ばかりではマトモに連携もできませんし――ましてや、これ程質が悪いと折角揃えた大戦力も形無しですよ。では、()()()()()()のでこれにて!

「仕事?一体どういう――」

 

...バサッ...!

 

 

 

 

 

―――ドドォォォォン!!

「「「「グワーーーッ??!!」」」」

 

―――アヤが飛び去った瞬間、戦車二輌が爆発して周りの傭兵達が吹き飛ぶ。

 

「乗員は無事か?!」

「二人気を失ってる!」

「チクショウ!中古とは言え買ったばかりだったのに!」

 

「いつの間に爆弾を仕掛けて...ハルカみたいなことを...!」

 

 傭兵達が慌ただしく戦車の乗員の救出や被害確認を行う中、間髪入れずにしてやられた事にまた歯嚙みする。アビドス(向こう)からしたら戦車は脅威になるだろうから優先して狙って来るだろうとは予想していたけど、こんなやり方は予想外だ。攻撃を仕掛ける前に装甲戦力をあっという間に喪失してしまった。

 

―――ダダダダッ!!

 

「グワッ?!」

「ギャッ?!」

 

「――散開!応戦して!」

 

―――すかさず『アビドス』の娘達がこちらに銃撃を浴びせ始め、数人の傭兵が被弾して倒れる中声を張り上げて応戦を指示し、近くの建物の陰に身を隠す。

 

―――いきなり厳しい状況だけど、"社長"にこの場を任された以上は...!

 

「...私はできることをやる。だから...側背からの挟撃を決めてよ、"社長"...!」

 


~大通り左方 無人の住宅地~

side-アル

 

「...クソッ!じっとしてられねぇ!」

「ちょっと、待ちなさ――」

「――ギャンッ?!」

 

―――ッターン...!

 

 私の隣で身を隠していた傭兵が痺れを切らして通りに出た瞬間、ヘルメットが吹っ飛ぶと同時に傭兵が目を回して仰向けに倒れる。そして一瞬遅れて狙撃音が響き渡る。やはり音が聞こえる方角は私が身を隠す位置より前方―――目的地である『アビドス』校舎の方へ抜ける道の出口側だ。

 

「あぁ、もう...これで()()()()()じゃない!遮蔽もマトモにない真っ直ぐな道は狙撃の恰好の餌場ってことも分からないの?!」

 

 倒れて動かない傭兵を見ながら愚痴る。

 

―――随伴として連れて来た傭兵五人は、出口側で待ち構えている狙撃手に軒並みやられた。

 一人目は私と話していたら。

 二人目は倒れた一人目に駆け寄ったら。

 三人目は狙撃手を探して立ち止まって見回していたら。

 四人目はビビって身を隠せる場所を探して走り出したら。

 そして五人目はたった今、身を隠すのを止めて駆け出した瞬間狙撃で倒れた。

 

「兎に角資金が許す限り雇えって言ったけど、こんなに質が低い傭兵ばかりになるなんて...!」

 

―――『"社長"、ホントに数優先でいいのね?安く雇えて強い傭兵――なんて都合のいい存在はないんだから、雇い金の低さに比例して質は落ちるわよ?』

 

―――ジョオンに傭兵を雇う指示を出した時に挙げられた懸念を思い出して後悔が湧き上がる。私より交渉上手な彼女は百人以上、しかも戦車三輌を装備した傭兵まで雇ってみせた。その成果に嬉しさのあまり興奮して―――質の低さに気付けなかった。

 

「...でも...!(カヨコが指揮していて、且つ旧い安物だけど戦車が三輌居るのよ!一目見た感じ、空のヘリ以外は歩兵だけの『アビドス』の娘達相手に――)」

 

――ピピッ!

 

「...こちらアル。どうしたの――」

『こちらカヨコ!"社長"、ごめん...!アビドス(向こう)の奇策で()()()()()()()。残っている歩兵部隊で攻撃中だけど...拮抗を保つので精一杯...!』

なっ――

 

 銃声を背景に通信して来たカヨコのとんでもない報告を聞いて―――思わず叫ぼうとして咄嗟に口を抑える。今身を隠しているのは、運良く門が開いていた空き家の塀の内側だから射線は通っていない筈だけど、音を出して位置を特定されたら益々不利になる。

 

...あっぶな...こっちも少し厳しい状況よ。どうやらアビドス(向こう)には凄腕の狙撃手が居るみたいで、随伴させた傭兵が全滅したわ。...この分だと、他ルートの方もマズいかもしれないわね」

『...やっぱり、過小評価だったね。こうなると質の低い傭兵が障害になってくる。でも――』

「――えぇ、退くにはまだまだ早いわ。カヨコ、貴女はそのまま攻撃を続けて。突破は狙わなくていい、釘付けにして。質が低くてもそれくらいはできる筈だから」

『了解。――"社長"、頑張ってね。突破して側背から攻撃してくれるって、信じてるから』

 

 カヨコはそう言って通信を切る。

 

「...ふふ、"社長"として社員の期待には応えないとね」

 

 そう呟き、コートのポケットからスモークグレネードを一個取り出しながら門へとゆっくり近付く。

 

「...っ!」

 

 ピンを抜き、通りの前方へと投げ―――

 

 

―――バシュッ!!

―――ッターン...!

 

――今ッ!

 

―――()()()()()()()()()()()()ものの煙幕は想定通りの位置で展開され、煙幕の中に飛び込んで走る。目指すは―――向かい側の三階建ての空き家!

 


 

~大通り右方 裏路地~

side-ムツキ

 

「~♪」

 

 所々に砂が溜まっていて、少し薄暗い裏路地を、この場の雰囲気には似合わない明るい印象を振り撒き、鼻歌を歌いながら歩く『アビドス』の娘が歩いている。携えている得物は[M134(ミニガン)]という物騒なものだけど。

 

「(よしよし、そのまま真っ直ぐ)...くふふ♪」

 

 無警戒に路地を歩いていく姿を見て思わず笑いを零す。路地の先には―――

 

「――あら?こんな所にカバンが...」

 

―――これ見よがしに路地の真ん中に置いた、愛用しているカバンに気付いたのか足音が止まる。

 

「ん~...明らかに罠、ですね☆これ程露骨に置いてあるカバンはブラフ。本命は周りにあると見ていいでしょうね~。...ですが、一応中身を見ておきましょう」

「(キタキタ♪敵が置いたものだから、そりゃ調べるよねぇ。――《《それが狙い』》なんだけど♪)」

 

 そんな呟きが聞こえ、足音も聞こえて来る。思い描いた

通りの動きを見せてくれて笑いが込み上げてくるけど抑える。

 

―――『ふふ、やはり来ましたね☆大通りに意識を向けさせている間に、大通り周辺の路地から側背に回って奇襲、そして挟み撃ち。その位は見抜けますよ?――では、そんな裏から奇襲しようとする悪い子達はめっ、ですよ♣』

 

 

―――随伴の傭兵五人を連れて裏路地を進んでいたら、そんな言葉と共にミニガンで()()()()()を受けてしまった。

 傭兵達は掃射されて全滅。私は即座にその場を離れ、元来た道を戻って罠を張った。それが―――

 

―――ボフンッ...!

 

「きゃっ...?!」

 

―――カバンに仕込んだスモークグレネードが炸裂して白煙が広がる。驚いた声を耳に、白煙を視界の端に捉えた瞬間、出来る限り静かに、且つ足早に路地に出て歩き出す。

 

「くっふふ...♪(あくまで私達の目的は"敵陣地側背への浸透からの奇襲"。私達の進行ルートを見抜いていたのは流石の土地勘だけど、そもそも相手するつもりはないからね。そのまま煙の中でありもしない敵襲を警戒しててね!)」

 

 

 見事に罠に嵌ってくれた嬉しさに笑いを零し、そう心の中で言い置きながら路地を進む―――

 

 

 

 

 

「――さーて、もうすぐあの陣地の側面か背面に出られるはず」

 

―――時々後方を警戒しつつ進み続け、路地の出口が見えて来て呟く。攻撃前の偵察はろくに出来ていないせいで、各人割と適当に、ここなら側背に出られるだろうとアタリを付けて浸透ルートを選んでいる。

 一応側背に出られると判断した根拠として、主戦場の大通りから聞こえる激しく幾重にも重なって響く銃声が小さくなっている―――つまり、主戦場から離れた位置に居るという点があるけど...まぁ、ダメなら少し戻って別の道を行けば良い。

 

「空の目があっても、それを食い止める戦力がなければ無意味。それに、この路地は空からの偵察には向かない狭さと複雑さ、そして薄暗さがある。くふふ...♪これは綺麗に――」

 

 

 

―――ドドドド!!

 

「っきゃぁ?!」

 

―――突如前方から既視感がある弾幕が浴びせられ、数発掠らせながら咄嗟に傍の横道に飛び込む。

 

「――予想通り、ですね☆私の撃破を狙わず、あくまでも陣地側背への回り込みを狙うのは賢い選択ですね~。――で・す・が♪狙いを分かっていて見逃すほど節穴ではないんですよ♪さぁ、大人しく出てきてください。悪い子にはお仕置き、です♣」

 

―――そんな呼び掛ける様な言葉が裏路地の出口から聞えて来る。まさか先回りされてしまうなんて...いや、アビドス(向こう)は土地勘を持っている。私達が知らない道を知っていてもおかしくない。私の進路を見抜いて先回りして来るなら...ここから上手く撒いて側背への浸透を狙っても、またこの状況になってしまうだろう。

 

「...アルちゃんは舐めてたけど、やっぱり油断大敵だねぇ。私がこれじゃ、迂回中の皆も似た状況かな?――なら、プランB!邪魔者は倒す!

 

 意を決し、[トリックオアトリック]を構えて横道から躍り出る―――

 


~大通り左方 商店街裏手の路地~

side-ハルカ

 

「...シオンさん、大丈夫ですか?」

「な、何とか...こ、こんなことになるなんて...やっぱり私の()()のせいで...」

「し、シオンさんのせいじゃありません!前方を警戒していた私が気付けなかったから...!」

 

 シオンさんはそう答え、[貧者の備え]を抱えたまま表情を暗くして俯く。シオンさんではなく自分のせいだと返すけど―――

 

「――お~い。そのまま隠れてるなら、おじさん達の方から行くよ~?」

「――諦めて離脱するなら撃たずに見届ける。でも抵抗するなら...()()()()()()

 

―――路地の方から私達を攻撃してきた二人の呼び掛けが聞えて来て揃って黙り込む。

 

―――『...ん、ちゃんと狙ったのに』

―――『あの青いボサボサの長い髪の娘――『依神シオン』ちゃん、だっけ?あの娘の()()のせいかな~?まぁ兎に角...ここはおじさん達が通さないよ~』

 

―――アル様の命を受け、シオンさんと共に傭兵四人を連れて大通りに並ぶ空き店舗の裏手側の路地を進んでいた所、ロケット弾による奇襲を受けた。運が良いのか()()のか、ロケット弾は傭兵の皆さんだけを吹き飛ばし、私とシオンさんは慌てて傍の横道に飛び込んで今の状況になっている。

 

「...ハルカ、どうする?」

「...側背に迂回しての奇襲は既に見抜かれています。――ですが、退く訳にはいきません。アル様は私達なら出来ると言ってこのルートを任せてくれたんですから...!」

 

 シオンさんの問にそう答え、緊張と恐怖を抑える様に[ブローアウェイ]を強く握る。

 

―――度々間違った解釈で先走ってやらかしてしまっても笑って許してくれて、しかし危ない事をしたら叱ってもくれる、明るくて優しい人。(良くも悪くも)似た者同士であるシオンさんとも引き合わせてくれたし、その大恩に報いる為にも...!

 

「...分かった。私も怖いけど..."社長"に任されたんだ。二人だけでも、やるだけやってやる...!」

 

 シオンさんは一瞬身体を震わせるけど、目を閉じてそう呟くと覚悟を宿した眼差しを宿した目を開く。―――方針は決まった。私達の迂回浸透を見抜ける程の強者が相手だけど、それでも私達の全力を以てあの二人を突破する。

 

「...では、いつも通りに私が前衛を」

「...私はハルカの援護を」

 

 お互いにポジションを確認して頷き合う。

 

「――行きます!うわぁぁぁぁぁ!!

「うん...!」

 

 [ブローアウェイ]を構えて路地へと飛び出し、盾とショットガンを構えるピンク色の髪の人を狙って連射する。

 

っ...?!うへぇ、こりゃ凄まじい連射速度だね~...見た目はポンプアクションなのに...!」

「ホシノ先輩、援護――っ?!

や、やっぱり当たらない...で、でも...ハルカをやらせはしない...!

 

 盾で散弾を受けながら驚いた表情を浮かべる、『ホシノ』と呼ばれた人を援護しようと狼耳の人が射撃しようと銃を構えるけど、後方のシオンさんが撃ち、()()()外れた弾が周りに着弾して怯む。

 

―――アル様が考案した作戦成就の為に、ここは必ず...!

 


~大通り右方 旧アーケード街~

side-ジョオン

 

「っの...!」

 

 [バブリーバレット]を構え、此方に駆け出す白く長い髪の奴目掛けて撃つ。数発が頬や腕に掠るも()()()()()()()()()、怯むことなく肉薄して来て―――

 

「――おらッ!!

ぐっ...?!

 

―――繰り出された蹴りを咄嗟に腕を交差させて受け止めると衝撃で一メートル程後退る。蹴りに神秘を纏わせていたのか、腕の骨がビリビリと痺れる感覚を覚える。

 

―――『やっぱり側背からの奇襲を狙って来たか。――悪いが、その意図はここで砕かせてもらうぞ』

 

―――"社長"からの指示により、大通りの右側に隣接している無人の小規模なアーケード街を通っての陣地迂回の為に進んでいたら、堂々と道の真ん中に立つ彼女と出会してしまった。

 雇った傭兵達の質の低さを嫌って私単独で来たのが不味かった。人手があれば援護射撃で多少は相手の動きを制限されられたと思うけど...それでもすぐにやられただろうから大して今の状況と変わらなかっただろう。

 

―――閑話休題。

 

...っ...まだ腕が痺れてる。随分強力な神秘を持ってるみたいね...アンタ何者?」

「...『藤原モコウ』。昔は後輩の一人と並んで"炎のベンヌ*1"とかいう大層な二つ名を貰っていたが、実際は留年までしてる不良生徒さ」

 

 腕を擦りながら尋ねると、『モコウ』と名乗る『アビドス』生はそう答えて肩を竦める。三年生にしては大人びた雰囲気があると思ったら留年していた様だ。

 

「...よく分からないわね。こんな自治区の片隅でしかマトモに住めないし、住人も大して居ない。辛うじて存続しているだけのこの場所に何故拘るのかしら」

「...仮に"便利屋68"が解散の危機になったら、お前はさっさと見限って去るのか?」

「はぁ?そんな訳――」

 

―――否定しようとしてその問の意図を察して口を噤む。私と姉さんは"社長"に―――初めて()()()()()()()()()()()()()()()()人に誘われて"便利屋68"に入った。稼いでも()()()()()()でそれを失う事は多々あるけど、それでも尚前を向く彼女を見て、いつも自尊心が低い姉さんもちょっとづつ前向きになりつつある。―――そんな大恩ある人の下を、()()()()()()()()で去るつもりは毛頭無い。

 

―――目の前のモコウも同じなのだろう。留年してまで留まり、私達の襲撃で学校を失うかもしれない危機に立ち向かっている。

 

「――つまり、退くつもりはないってワケね」

「――あぁ、お互いにな」

 

 私は[バブリーバレット]を、モコウはショットガンを構える。さっきまで銃火とステゴロを交えていて、フルオートで散弾をばら撒かれるのは脅威だった。出来る限り撃たせない為には―――

 

「...まさか私以外に近接攻撃を多用するヤツが居るなんてね。足技が主みたいだけど、独学?」

「まぁな。何度か頭に血が上って弾切れに気付けなかったりしたんでな。その時に戦える手段を得るために覚えていたら――(コイツ)と同じ位のメインウェポンになっちまってた」

「ふぅん、なるほどね。――火力、ステゴロのリーチ共にこっちが不利だけど、リーチが短くてもやりようは幾らでもあるわ」

「おぉ、言うじゃないか。――なら、私を倒してみろ」

 

―――ダッ!!

 

 会話を切り、お互い地を蹴って迫る―――

 


~大通り 陣地後方~

side-"先生"

 

「"――側背からの奇襲も今は阻止できてるみたいだね"」

『大通りの方も、傭兵の皆さんの混乱が治まってきているみたいです』

 

 "シッテムの箱"から展開される複数の仮想画面に映る―――

 

 

―――"課長"カヨコの指揮で秩序を取り戻し、数に任せて弾幕で制圧を狙う傭兵達、それに対してバリケードや土嚢を活かして被弾を避ける様に防いでいくミヤコ達。

―――一発狙撃する度に射点を変え、"社長"アルからのカウンターを出させず翻弄するミユ。

―――小柄な体躯を活かして身軽に動き回る"室長"ムツキを、ドッシリ構えて弾幕で捉えようと撃ちまくるノノミ。

―――凄まじい勢いでショットガンを撃ちまくり、リロードに入ればアサルトライフルで援護する連携を見せる"平社員"ハルカとシオン。それに対して連携は見事だけど、シオンの()()の影響のせいか否か有効打を出せず膠着しているホシノとシロコ。

―――拳と頭突きのステゴロにハンドガンの素早い射撃を交えてくる"会計士"ジョオンと、蹴り主体のステゴロにショットガンのフルオート弾幕を交えるモコウ。

 

―――激しい銃撃戦を繰り広げる主戦場と、側背からの奇襲とそれを防ごうとする娘達の戦闘を眺めて呟く。

 

「――いやはや。"シッテムの箱"、かなりチートですね。これ程詳細に戦場の様子を俯瞰し、且つ敵味方の状態までリアルタイムで見られるとは」

「"今回は戦場が広くて、複数箇所で戦っているからちょっと対応が追い付かなさそうだけどね"」

『大丈夫ですよ"先生"!先生の手が足りなくとも、このアロナがサポートしますから!』

 

 私の隣で遊撃として待機しているアヤの言葉にそう答えて苦笑すると、アロナの頼りになる声が返って来る。

 

「OSの娘も頼もしいですねぇ。――しかし、まだまだ戦闘は続きます。油断はできませんね」

「"そうだね。――トオルが言ってた()()()の知らせもまだ来ないし、とにかく()()()()()()()()()()ことを優先させよう"」

 

 アヤの言葉に頷き、自分のスマホをポケットから取り出して何も通知が来ない真っ暗な画面をチラリと見る。

 

――ピピッ!

『――"先生"、こちら"RABBIT3"!敵側後方の迫撃砲と仮拠点を吹っ飛ばしたよ!これで便利屋達(向こう)は後方支援も失った!――こっちも装備していたロケット弾は撃ち尽くしちゃったけど』

「"ありがとうモエ!上空からの監視をまたお願いするよ"」

『はいはーい!』

 

―――モエからの通信を聞き、お礼を言って次の指示を出す。数分前に敵側の陣地に据えられていた迫撃砲と陣地の制圧をお願いしていたけど、モエとアヤネはしっかりやり遂げてくれた。仮想画面でも、傭兵達が据えていた迫撃砲と陣地が吹き飛んだ跡を捉えている。

 

―――まだまだ油断は出来ない。こうして少しづつこちらを不利にする要素を排除していこう。

 

―――to be continued―――

 

 

*1
"Bennu"エジプト神話における不死の霊鳥。鮮やかに舞い上がり、光り輝く者




ということで後半に続く!...一話で収めるにはクソ長くなるので分割しました。
後、生成AI利用ですが設定集にてキャラのイメージイラストもちょこちょこ挿入していきます。
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