Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
長く濃い7時間だったぜ。ゲヘナ水着イベ実装おめ!チアキのEXスチル懐かしすぎる。マコト様麗し過ぎる...!サツキお前某副委員長と大差ねぇ露出だなえっっっ!イブキ年相応で可愛い。イロハ中々すげぇ水着...
しかし何か沈みそうなイベタイトルだ...ミニゲームが某虫王!水着に海賊コス重ねてるのもいいな!PVは新キャラ、モブもチラ見えしてるな...アニメPVえっっっ!しかし最後に見えた巻貝みたいなマークとサツキの意味深な表情は一体...?そしてあらすじェ...騙されるわ船酔いするわで災難なマコト様よ。
そして遂にゲヘナ編!なんだあの三人??!!そして2章の握手するマコヒナ!何処か虚ろな瞳の輝きが意味深...イブキの可愛いミニストも気になるぜ!
さてアリウスの回想です
~『アリウス』自治区本校舎 校長室~
side-ユメコ
「――失礼いたします、シンキ様。自治区の防衛体制について報告に参りました」
―――校長室に入ると、窓から自治区を眺めるシンキ様の背中が見える。しかし、その背中越しでも、その視線は自治区ではなくその遥か先―――今は『トリニティ』に居る筈の、捕虜になったサオリ達"アリウススクワッド"と数人の生徒に向けられているのだろうと察せられる。
私の声に気付いて振り向くと、シンキ様はいつも通りの微笑みを――しかし何処か
「...お疲れ様、ユメコちゃん。――報告を聞きましょうか」
「...では、報告致します。――"アナテマスクワッド"を主軸として、最前線化が想定される自治区境界地帯に防衛線を構築しました。また、万が一突破されて自治区内に侵入された場合に備え、自治区内にも三段の防衛線を構築中です。
最前線は"アナテマスクワッド"が指揮を。後援、遊撃部隊として"ニコメディアトゥループ"を配置します。ここ本校舎の防衛及び総指揮は私、ユメコが受け持ちます」
「――現状構築できる最大限の防衛体制ね。流石はユメコちゃん。...いつ来るかは分からないけど、『トリニティ』は
「勿論でございます。...シンキ様。お尋ねしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
報告を終えるとシンキ様は微笑みながら私を労い、警戒を厳にと釘を刺す言葉に頷く。そして―――シンキ様の下を尋ねた本当の目的を果たすべく確認する。
「あら、ユメコちゃんにしては珍しいわね。――何かしら?」
「シンキ様...いえ――
お母様が争いを嫌い、できる限り説得や話し合いでの解決を願う姿勢を目指していることはよく理解しているつもりです。――故に、分からないのです。『通功の古聖堂』で狙撃を受けた時、貴女はサオリ達の撃発を、下手人探しと報復の意思を止めなかった。何故、作戦の意図に反するような行動を認めたのですか?」
お母様の左肩にまだ巻かれている包帯を見ながら挙げた私の問に対し、お母様は目を伏せる。
「...もしかしたら、私を撃った者が分かるかもしれないと思ったの。――声明を止める形で狙撃を図ったということは、やはり『トリニティ』には私達『アリウス』の存在が
声明の最初辺りで撃てば体よく
『まぁ、結果はあんなことになってしまったけれど』と、お母様は自嘲する様に苦笑する。―――下手人を見つける事で、その繋がりから我々『アリウス』を脅かす存在について明らかにしようとしたのが、あの時の意図であったらしい。
―――納得は出来るけど、まだ疑念は解消されない。
「――作戦の意図については分かりました。もう一つ...あの封緘命令についてです」
一応の納得を示し、次の疑念を挙げる。―――お母様が撤退を決めた時に初めて明かされた撤退時の作戦。『カタコンベ』に戻り、その際に
「『ゲヘナ』の増援を得た『トリニティ』の反撃が激しくなったあの状況。通信妨害も行われていた最中の撤退命令発出が全員に届かない可能性は充分考えられました。それに備えて封緘命令を講じていたことは流石お母様です。
――何故、態々『シャーレ』に対し降伏せよと指定したのですか?成程『トリニティ』に降伏、もしくは追い詰められて捕虜として捕らえられてしまえば、情報を得ようとして
ましてや、『シャーレ』については聖園ミカやルイズから断片的に得られた情報でしか知り得ていませんでした。私達から見ればとても信用できる組織とは言えません。
――それならば、全員が『カタコンベ』に戻るまで遅滞戦闘を行うこともできた筈ですし、我々もその為に全力を尽くしたでしょう」
私の疑念に対してお母様は目を伏せる。
「...確かに、『シャーレ』についてはミカやルイズから得られた情報でしか知らないわね。生徒、学校が抱える問題を解決する為の組織。学校が持つ自治権を超えて介入できる強力な権限。その権限を行使するのは顧問を務める大人の教師。...聞いた時は、
「
お母様は私の疑念を肯定し、そこから予想外の理由を挙げて思わず聞き返す。
「――多くの大人は、責任を背負うことを厭い、それでいて甘い汁は吸おうとする。そんな利己的な者ばかり。...
だから、ユメコちゃん達のような生徒が主体である学園都市で、一人の大人に学校自治権を超える権限を、生徒を如何様にもできる権限を持たせるなんて、普通ならその強大な権力に眩んで潰れるか、私欲で濫用して破滅するわ。――だけど、『シャーレ』の顧問を務めている"先生"という人物はそんな大人ではない。そう感じたの」
お母様は言葉を切り、私が入室した時と同じ様に窓へと身体を向ける。
「――ミカやルイズは、"先生"について悪い印象を抱いている様子はなかった。噤んでも、繕っても...本心と違うことを話せば、多少は言葉や表情に漏れてしまうものよ。
"先生"、大人の存在を知って、どの様な人物なのか――
窓から自治区を眺めながら、惜しむ様な声色でお母様は語る。―――まるで
「――『シャーレ』の組織特性を考えれば、『トリニティ』に降伏するよりは身の安全を確保できる。ただ、何人が『シャーレ』に接触できたのかは分からないけれど...今は無事を祈るしかないのがもどかしいわね」
「――『アリウス』について多くの情報があちらに明かされる可能性は充分あります。虜囚の身に対し、安全の対価に情報を求めるのはよくあることです。それについては何かしら対策、お考えはあるのですか?」
―――お母様の言葉を受けて懸念を挙げる。『トリニティ』は勿論、『シャーレ』としても私達『アリウス』に関する情報は欲しいだろう。
「――この『アリウス』について知られるのはもはや止められない状況。...古聖堂であのタイミングで撃たれたのは幸運だったわね。否が応でも『トリニティ』は自らが隠していた歴史、過去について触れることになる。
捕まった子達から得た情報で、自らの過去に向き合って欲しいけれど――その結果に関わらず、『トリニティ』は確かめる為に
『カタコンベ』の出入口もできる限り塞いだけど、私達とて『カタコンベ』の全てを熟知している訳ではない。まだ健在な出入口を『トリニティ』が見つければ、尚更
そして、
お母様は私の方に振り向く。
「この大切な故郷も、貴女達も戦火に晒されることになる可能性は高い。心苦しいことだけど――この局面を耐え抜けば、『アリウス』の未来を
「承知しました。――お言葉ですが、ことが終わった後にどのようにしてその明るい未来を導くのですか?」
「...今は話せないわ。だけど――必ず貴女達の為になるように努力する。だから...その時までは私を信じて」
お母様はそう言って微笑む。―――『トリニティ』による『アリウス』侵攻を凌いで、その後どうやって明るい未来を導くのか。誰よりも長く、お母様の側近として付き添って来たけど、その思考、展望は偶に分からない時がある。だけど―――
「――私はお母様に
「...ありがとう、ユメコちゃん」
―――片膝を付いてお母様に頭を下げて宣言すると、どこか辛そうな、悲しげな声色が僅かに混ざった声でお母様は謝意を述べる。顔を上げれば、声色と同様の悲しげな表情が混ざった微笑みを浮かべてお母様は私を見下ろしている。
―――あの時からお母様に最期まで仕えると誓った時から変わらない、悲しさが混ざった微笑み。これは
「――お母様にお聞きしたいことは以上です。では、自治区内防衛線の構築状況の確認に向かいますので、これにて失礼致します」
「分かったわ。――油断なくね、ユメコちゃん」
立ち上がって頭を下げ、背中にお母様の声を受けながら校長室を出る。
「...『トリニティ』の侵攻を凌いだ後、お母様はどうするのか。...いえ、何があろうと私だけは傍に居る。それが――」
~『アリウス』本校舎前広場~
side-アツコ
「...一体なんでしょうか。『全員広場に集まれ』って」
「さぁな。...ユメコ姉さんが"マダム"に呼ばれて、私達の侵入が禁じられている本校舎の地下に向かった所は見たが...」
―――『アリウス』の皆が集まる本校舎前の広場。ヒヨリの呟きを聞いたサッちゃんも何事だろうと首を傾げる。困惑しているのは皆同じなのか、話し合う微かな騒めきが聞こえる。
「...どうせ"マダム"の
「こ、今回は誰が
ミサキが
「ヒヨリ、余り大きい声を出すな。...しかし、"マダム"もユメコ姉さんも遅いな。集合命令から結構時間が経っているぞ」
「...ユメコ姉さんは遅刻とかしないもんね。一体何が――」
「――皆、集まっているわね」
―――本校舎正面の大扉が開き、ユメコお姉ちゃんが姿を現す。だけど、"マダム"の姿は見えず。しかも―――お姉ちゃんの右手には赤い服か何かを破って巻いたらしい間に合わせの包帯が巻かれている。そして―――
「...っ...!――ここに集まっている子達で全員?」
「...怪我や病気で動けない者。分断された地区で動向不明の者。隠れ潜んでいる者達を除けば全員です」
―――長い銀髪の左側頭部にサイドテールを結い上げ、白いノースリーブのタートルネックのインナー、
「だ、誰だ...?!」
「..."マダム"じゃない。誰...?」
「だ、誰ですかあの人...?!」
―――全く見知らぬ大人の登場により広場に騒めきが広がる。
「――静粛に!...混乱するのは当然のこと。かく言う私もまだ混乱しているけれど...まず、皆に報告するわ――」
ユメコお姉ちゃんが声を張り上げて場を静かにさせ、私達を見回して説明を始める。
―――沈黙が広場を支配する。
「...ど...どういうことですか?!」
「な、何を言っているんだ姉さん?!」
「...本当に何を言ってるの...?」
―――でも、二、三秒でヒヨリの素っ頓狂な声を皮切りに広場が一気に騒がしくなる。
私も驚きと困惑で混乱しながらお姉ちゃんと、その隣に立つ『魔創シンキ』とか言う大人を見やる。
―――"マダム"こと『ベアトリーチェ』とはまるで違う容姿。そしてその雰囲気や私達を見回す青い瞳の眼差しも"マダム"の
―――そんな真逆とも言える大人が。私とは血が繋がっている実の、且つ『アリウス』の皆にとっての姉でもあり、身も心も私達よりも強いユメコお姉ちゃんですら逆らえなかった"マダム"を排除した。
―――『私は"ベアトリーチェ"。たった今からこのアリウスの"生徒会長"として、貴女達を
―――いきなり現れて無理矢理内戦を終わらせて。"生徒会長"を自称して『アリウス』の支配を始め。乏しい食糧、物資を根こそぎ取り上げて管理し、内戦の時より厳しい配給に見合わない厳しく苛烈な訓練を課し。逆らったら当然、体力尽きて倒れても反逆、反抗と見なして罰として暴力を振るって来た。
―――そんな"マダム"を、いきなり私達の前に現れた全く見た事がない大人が排除したなんて信じられない。"マダム"に呼ばれたお姉ちゃんに一体何があったのだろう。
「皆静かに!これから説明するから――」
―――落ち着いた、しかし凛とした声が一気に騒めきを治めてしまう。その声の主、『魔創シンキ』に私含めて皆注目する。
「――まずは自己紹介を。私は『魔創シンキ』。この『アリウス』の卒業生であり、その後同校で"校長"を務めていた者です」
「...卒業生...?」
「卒業って、なんでしょうか...」
「...『アリウス』の人間なの?あんな人、見たことない」
―――『魔創シンキ』が自己紹介して、サッちゃん達が小声で戸惑いの言葉を零す。
「――貴女達の混乱は当然のこと。...かく言う私も、この『アリウス』の状況には混乱しています。少なくとも、私が
加えて、お互いに何もかも分からない初対面。信用も、信頼もない。――まずは、お互いに事情や素性...話せることを話しましょう。歩み寄るにはお互いを知る必要があるわ」
「...それを話して何になるのさ」
『魔創シンキ』の申し出に対してミサキが吐き捨てる様に言葉を零すと、それを聞き留めたのか、視線がミサキに向けられる。
「――何も知らない、分からない存在を信じられないのは当然のこと。無知を既知に変えることで人は解り合えるものよ」
「...知ってどうするのさ。どうせ意味がないんだから」
ミサキが反論に対して変わらない言葉をぶつけると―――『魔創シンキ』は言葉を返す代わりにゆっくりと歩き出して私達の方へと歩み寄る。前に居る娘達が慌てて左右に分かれ、私達の下に近付ける道が出来ていく。
「っ...!彼女をどうするつもりだ?!」
「その子とお話がしたいだけ。
サッちゃんが私達の前に進み出て、いつでも[
「...分かった。害する素振りが見えたら問答無用で撃つからな」
「は...?ちょっ、リーダー...?!」
「...ありがとう、信じてくれて」
十数秒の逡巡を経てサッちゃんはそう言って[
「...その包帯、単なる怪我ではないわね?」
「...アンタが知って何になるのさ」
「その包帯の位置...銃弾によるものではないでしょう?手首や首だけに巻いているなんて。その細い包帯の下は...手首を刃物で切ったもの。首も同様、若しくは――吊った傷跡じゃなくて?」
「...!」
ミサキが巻いている包帯に気付いて尋ねても当然ミサキははぐらかす。でも―――続いた鋭い推測にミサキは無言で表情は変わらずとも眉がピクリと動き、サッちゃんも横で驚いた様に目を見開く。完全な初対面でミサキの
「...
「...見ず知らずのアンタの同情なんて要らない。虚しさしかないこの世界じゃ何をしたって無意味なんだから。だったらこうするしかない」
推測に反論出来ないと悟ったミサキは眉を顰め、開き直った様に言い訳を挙げる。対する『魔創シンキ』は―――
「――『Vanitas vanitatum, et omnia vanitas.』。...
「...!」
「...警句を平然と...だが、
―――ここ『アリウス』の皆だからこそ諳んじられる警句を当然の様に諳んじ、忌まわしそうに"マダム"の名前と推測を零して眉を顰める。サッちゃんが驚きながら、『魔創シンキ』に言葉の意図を尋ねる。
『魔創シンキ』はサッちゃんを見て微笑むと、立ち上がって私達を見回す。
「――『全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ』。この言葉
ミサキの言葉を肯定する様な物言いにミサキが何か言おうと口を開きかけるけど、『だけど――』と物静かながらハッキリした声で『魔創シンキ』は言葉を続ける。
「――本来、この警句には
――遥か先、果てに帰結する虚しさを呪って無為に生きるよりは、自分の願い、やりたいことの為に日々を生き抜こう。そもそもの自治区の立地、複雑な道を越えた先にある孤立した土地故に生まれた考え方よ」
『魔創シンキ』が紡いだ言葉は、"マダム"が私達に何度も何度も言い聞かせてきたそれとは全然意味が違うものだった。
「この閉じた世界では実感できないと思うけど、世界は私達が思っている以上に広く多様。果ては虚しくとも、その間には希望も、楽しいこともある。勿論、辛いこともあるけれど...『全ては虚しい』からと、無為に生きていてはその可能性を潰してしまう。
『ベアトリーチェ』によって歪められた解釈の下で育ってしまったでしょうから、今は理解するのが難しいでしょう。だから――」
「...なんだと...?」
「...信用できない。"マダム"もそう言って、厳しい訓練しか課さなかったんだから」
「えへへ...そうやって私達に期待させて、結局厳しいことしかやらせないんですよね。どうせ"マダム"と同じなんです...」
『魔創シンキ』の宣言を受けて皆が少し騒めく。ミサキの言う通り、"マダム"もそう言って課したのは厳しい訓練と、それによる疲労疲弊を癒すには見合わない配給と環境だった。
―――容姿、雰囲気は全然違うけど、大人であることに変わりはない。その言葉を素直に信じる事は出来ない。
「...えぇ、そうでしょう。言葉だけで信用などできないもの。故に――行動で以て貴女達に示したい」
皆の不信感ある言葉に対して『魔創シンキ』は素直に頷き、そう宣言して私達を見回す。
「――だから、まずは私に行動することを許してほしい。もし私の行動が
「...本気で言ってるの?」
「えぇ。...目覚めたばかりで、今の『アリウス』については何も分からない。それでも――私は、
でも、私の思想、やり方が絶対的に正しいという保証もない。だから――私のやり方が貴女達に見合うものであるかの判断を委ねる」
『魔創シンキ』はミサキの言葉にそう返す。―――自分が死ぬ事を厭わないなんて、自分の部屋、領域には徹底的に私達を近付けなかった"マダム"とはまるで違う。私達の為に命を賭すと平然と言える。こんな大人なら―――
「――本当に、私達の為に動いてくれるんだよね?」
「姫?!」
「ひ、姫ちゃん?!」
「...姫...?!」
―――"マダム"、否...『ベアトリーチェ』からずっと装着しろと厳命されていたマスクを外し、『魔創シンキ』の下に一方進み出て
―――でも、『ベアトリーチェ』が居ないなら、ずっと煩わしかったこの制約を破ったって問題無い筈だ。『魔創シンキ』は私の動きを見て少し驚いた様に目を見開くけど、優しい微笑みを浮かべる。
「えぇ、勿論よ。――貴女達が、各々の人生を好きに、自由に過ごせるように導きましょう。貴女達が叶えたい夢の実現の為に支えましょう。そして――貴女達が笑顔で過ごせるように尽くしましょう」
『魔創シンキ』はそう言って私達を見回し―――
「――『Plenitudo plenitudinum, et omnia plena.』世界には空虚だけではなく、価値と意味も満ちているわ」
そんな宣言を称える様に、自治区の曇天に隙間が出来て日の光が広場と『魔創シンキ』―――校長先生を照らす。
~元"補習授業部"合宿所 教室~
side-アズサ
「――――そうして、まずは"お母さん"の言葉が本当かを確かめることから始まったの」
「私達含め、皆警戒もしていたけど...それ以上に困惑が大きかった。私達が逆らえなかった"マダム"、『ベアトリーチェ』が居なくなったなんて事実が信じられなかったから」
「そうして"母さん"を迎えたその日、その瞬間から、"母さん"は精力的に動いた。『ベアトリーチェ』が
「そうして翌日になって、『ベアトリーチェ』が本当に姿を現さないので、本当に居なくなったんだと実感できました。まぁ、その安心と困惑でその日は訓練も忘れて皆呆然としていたんですけど、"母さん"はそんなわたしたを咎めるはありませんでした」
―――アツコ、ミサキ、サオリ、ヒヨリが"母さん"が台頭した直後の事を語る。
「"『ベアトリーチェ』...聞いただけでも酷い人物だね。未来ある子供を暴力で支配し、搾取するなんて..."」
「..."母さん"と同じ反応ね。本当にそっくりな在り方だわ」
眉を顰める"先生"の言葉に
「ふふ、本当に"お母さん"そっくり。――それで、"お母さん"が私達に教えたのは色々な勉強。教材なんて軍事関連以外は『ベアトリーチェ』が尽く焚書、破壊してたんだけど..."お母さん"は
「勉強、家事、娯楽...『ベアトリーチェ』が私達には一切教えなかったものを教わった」
「――"母さん"が
アツコに続いて私も補足する。―――ある意味教材は
「色々なことを教わる中で偶に叱られることもあったが、それも理不尽なものじゃなくて私達を想う優しいものだった。そんな在り方を見て、触れている内に警戒が解けて、"母さん"――母親同然に慕うようになったんだ」
「――その教えの中で"母さん"が重視していたのが
サオリに続いて
「...
『結果は知っての通りだけどね』とミサキは目を伏せる。―――恩を返したいと願っても、"母さん"は『貴女達が笑顔で過ごしていることで十分返されているわ』と、私達に危険な事や荒事を積極的に任せようとはせず、その点だけは不満が燻っていた。
―――だからこそ、『カタコンベ』の侵入者の迎撃と、『聖園ミカ』の接触をきっかけにした介入は恩返しのチャンスだった。ただ、気になったのは―――
「...だが、『トリニティ』への介入が始まって、昨日の襲撃――荒事が避けられない段階になって、"母さん"は
「――さっき話した封緘命令。あの命令の真意を、私は知りたい。『シャーレ』に降伏するように態々指名しているから、『トリニティ』に降伏、捕まってしまえば危険であることは"お母さん"も理解していた筈。
土地勘がまるでない『トリニティ』での戦闘は厳しいものだったけど、私達なら全員が撤退できるまで持ち堪えることはできた。でも、"お母さん"はそれを命じず降伏を指示した。――降伏させることに、
サオリに続いてアツコが瞳を細め、命令に従って『シャーレ』に降伏した理由を挙げる。―――ミカ、ルイズを通して『シャーレ』を知ったとは言え、その僅かな情報だけで態々『シャーレ』を降伏先として指名した。
攻撃した『トリニティ』に捕まれば、今の"ティーパーティー"が理性的だとは言え、報復で何をされるか分からないから、そのリスクを回避する意図は分かる。
―――『聖園ミカ』のクーデターが失敗し、調印式典への介入を決めた時から"母さん"が浮かべていたあの表情。そして―――
―――古聖堂で"母さん"が私に向けたあの言葉。『トリニティ』の生徒として生きて欲しいと願う様な言葉。それと、封緘命令で『シャーレ』に対しての降伏を命じた事。"母さん"は私達に何を求めているのだろうか。
「"――降伏した理由、動機は理解したよ。『アリウス』に戻り、『魔創シンキ』に真意を尋ねる為に『シャーレ』の力を借りたいんだね?"」
"先生"がアツコに尋ねると彼女は真剣な表情で頷く。
「うん、その通りだよ"先生"。でも...『アリウス』への道は『カタコンベ』経由のものしか知らないんだけど、作戦失敗で撤退する時に出入口を爆破して塞ぐことは決まっていた。少なくとも――
でも――私達も『カタコンベ』の全てを知っている訳じゃないから、もしかしたらまだ使える出入口があるかもしれない」
「"成程...そうなると、『シャーレ』だけでは難しい。私達も『トリニティ』について詳しい訳じゃないからね。『トリニティ』と協力することになる。でも――君達については、『シャーレ』としてできる限り身の安全を守る。その代わり、戦力として、『アリウス』への案内役として協力して欲しい"」
「――私達は『シャーレ』の捕虜だからな。従おう」
「...リーダーがそう言うなら従う。――でも、せめて姫、アツコだけは必ず守って。"母さん"も大切だけど、アツコも私達にとって大事な存在だから」
「...二人共そんなあっさり...こ、ここで私が拒否したら『トリニティ』に引き渡されるんですよね?そうなったら今度こそおしまいです!だったら『シャーレ』の下に付きます!」
"先生"の言葉にスクワッドの四人が頷く。
「――"先生"、私も協力するわ。...私も、"母さん"の意図、真意を知りたいから」
「私も協力する。――『カタコンベ』は複雑で不定形な構造だ。案内は多い方がいい」
「わ、私も一緒に行きます!『アリウス』の皆さんが一緒とは言え、友達としてアズサちゃん一人では行かせません!」
「――ヒフミちゃんも行くなら、私達も行くべきですね♡...私も話を聞いていて、『魔創シンキ』という方の意図に違和感を感じていますから」
「――私も同行しましょう。それから、"シスターフッド"の方でも調べてみます。...秘密主義の組織風土ですから、何かしら情報があるかもしれません」
「わ、私も行くわ!」
そんなヒフミに続いて三人も同行を申し出る。―――これだけの人数なら、『シャーレ』だけでも行動出来そうだ。
「"ありがとう、皆。――私としても、この件はできる限り平和に解決したい。慣れないことも多いだろうけど、できる限り協力してことに当たろう!"」
"先生"は謝意を述べ、そう宣言する。
ということで、アリスク達視点でのシンキとの出逢いでした。ユメコについてはもう少し待て...
さて次回からアリウス侵入に向けた色々です。