Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
ダイビング部が結構問題児感あったけど...この娘ら多分元はあそこの娘達だよな。どうすっぺ...七囚人の竜王様(笑)も小物カスクズ系の癖に派手な海賊衣装の下が可愛い水着なのはギャップあって良き。
メインもやっぱりロア関連。船という閉鎖空間は情報が停滞しやすいしね。ミナト艦長結構お話好きだな。サミーすっげぇ可愛い。降ろすなんてとんでもない。
アリウス入りが近いです
~『ティーパーティー会館』敷地内 特別監獄~
side-ミカ
「――本日の朝食です」
「うん、ありがとう」
格子に据えられた物品出し入れ口が開いて朝食一式が中に入れられ、今日の看守役の娘に軽くお礼を言ってトレイを受け取る。献立はいつものフル・トリニティ*1だ。
テーブルにトレイを置いて椅子に座り、食べ始める。―――式典を襲った『アリウス』の事で"ティーパーティー"全体が忙しいせいか、私の処罰を催促するデモの声は聞こえない。
「...そう言えば、昨日は結局セイアちゃん達面会に来なかったなぁ。式典で『アリウス』に襲撃されたし、そりゃあ被害調査とかは必要だろうけど」
紅茶を一口飲んで言ちる。―――私のクーデターが失敗してこうして収監されてから、ナギちゃん達は少なくとも一日一回は私との面会に来る。
聴取はもう終わっているから、収監中の待遇についてや、ちょっとした世間話ばかりだけど、看守以外には私一人のこの環境では、退学措置もあり得る大罪を犯した私を気にかけてくれるだけでも不安や寂しさは少しマシになっている。
毎日来てくれたからこそ、式典での襲撃に関する調査が必要とは分かっていても、一人だけでも来てくれないのは珍しいと思う。
「...でも、まさかシンキ先生があんな襲撃を仕掛けるなんて。『アリウス』の娘達を自分の子供同然に想っていて、争いよりも話し合いを優先するような人なのに」
―――私が『アリウス』に接触し、クーデターを決意した時にはあの襲撃については
だから、あの襲撃の最中に私が手引きしたと一方的に決め付けて糾弾しに来た娘達の主張に対して、『知らない』と否定し続けるしか出来なかった。
でも、あの襲撃は私のクーデターが失敗した場合に備えての作戦だったのだろうとは推測出来る。ただ、
「それに、あの声明...『アリウス』が『トリニティ』から認められた上で独立しようとしていた。でも、それを反故にするみたいに成立してすぐの『トリニティ』から
誰かに撃たれて止められちゃったけど...多分、
『トリニティ』の校史では、『アリウス』なんてアの字も出なかった。『アリウス』でシンキ先生やサオリ達と出会わなければ、仮に『アリウス』との関わりがある歴史を知ったとしても信じられなかっただろう。
―――疑問なのは、『トリニティ』内に居る、
でも、権謀術数渦巻くこの『トリニティ』なら
「...ん?」
―――ふと、ソーサーの下から小さく音が聞こえ、何かが隠されている事に気付く。紅茶を飲み干したティーカップをトレイの外に置き、ソーサーを持ち上げてみる。そこには―――
「...鍵と...メモ、かな」
―――
「うーん...見た事あるけど、何だっけ...これを見れば思い出せるかな」
思い出せそうだけど、何か足りなくて思い出せない。そんなもどかしさを抱えながら折り畳まれた紙を指先で開いていく。
このトリニティが秘してきた真実を知りたくば、与えし鍵で牢を出よ。そして、まず下の標に向かえ。
導きの先で、私は待つ。
「...何これ。新手の嫌がらせ?」
―――誰かしらの手書きでそう書かれていて、住所らしきものも記されている。内容を見て思わずそんな言葉を零す。
でも、この内容を見て、さっきの鍵がこの監獄の出入口用の鍵である事を思い出した。今は看守役が部屋内に居るから試せないけど、形的には合いそうだ。
「...トリニティが秘してきた真実」
文の一部を反芻する。―――直近の状況を考えれば、秘してきた真実とは『トリニティ』と『アリウス』に関わる事だろう。私を監獄から出して、脱獄したと糾弾する嫌がらせの可能性もある。でも、"ティーパーティー"が直接管理するこの特別監獄の鍵なんて、そう簡単に外部の人間は入手出来ない筈だ。
「誰が送り主か知らないけど...なんで、態々私なんかにこんな誘いを掛けたのかな」
意図も真偽も分からない。―――でも、不思議と好奇心が、『トリニティ』と『アリウス』の繋がりについて知りたい思いが湧いてくる。
「...進学したての、あの時のナギちゃんなら、セイアちゃんと組んで真偽を確かめようとしそうだなぁ」
ふと思った事を零しながら格子が嵌った窓を見る―――
~ナギサのセーフハウス~
sideーナギサ
「...ふぅ」
―――自ら淹れた紅茶を一口飲んで喉を潤し、一息吐く。
「――セイアさん、"先生"達が『古書館』から得た『アリウス』へ到れるルートの裏付けが取れた。これで...『アリウス』へ向かえる」
先程まで『ティーパーティー会館』で行っていた会議について思い返す。
―――昨日、セイアさんとテンシさん、『シャーレ』の方々が『アリウス』についての情報を得るべく『古書館』を訪ねた。その成果は私達に共有されたが、特に大きな情報が
第一点が、『アリウス』に
結果としては、
ルートそのものの真偽はまだ不明なれど、得られた情報の一部が真実だと確定したならば、情報にあるルートも真実の可能性が高い。
―――式典襲撃の動機や理由、『トリニティ』との関わり等を問い質す為の『アリウス』の調査。その前提である『アリウス』へ到れるルートの発見。これにより『アリウス』への対応が一気に加速した。
"ティーパーティー"、"ソーサーナイツ"、"正義実現委員会"、"シスターフッド"、"救護騎士団"合同の調査部隊を組織し、『アリウス』へ向かう事が決定した。具体的な人員は明日の合同会議で決める予定だ。
「..."シスターフッド"...まさか、あのサリエルさんが『アリウス』について
―――そして、第二点。この情報もまた、まさかのものだった。"シスターフッド"No.2であり、長であるサクラコさんの側近にして幼馴染の親友でもあるサリエルさんが、『アリウス』に関する情報を
『大聖堂』の書庫の奥に
「"トリニティ福音派"...その様な派閥が
―――発言や振る舞い一つで
そんな彼女が、『トリニティ』を混乱させている『アリウス』について私達以上に知りながら、それを隠し、自らが抱える派閥をも隠して秘密裏に行動していた。
右腕と言うべき側近であり、同時に気を許せる幼馴染の親友の、『トリニティ』を
「...恐らくミネ団長は、精神的ショックを僅かでも引きずるなら止めるでしょう。...しかし、ミカさんのクーデターを決行まで気付けなかった私も、事実確認の為にあの時行動した。
きっとサクラコさんは『アリウス』調査に加わるでしょう。――今、
当のサリエルさん本人が"シスターフッド"内には居ない事も厄介だ。式典襲撃を鎮圧した翌日、"シスターフッド"内の後処理をサクラコさんと共に済ませてから、
生徒のプライベートに踏み込みたくは無いけれど、直近の状況、隠し部屋で見付かった諸々の証拠材料から考えれば、明らかに『アリウス』絡みでサリエルさんも動いているとは容易に推測出来る。
「既にテンシさん、"ソーサーナイツ"が"トリニティ福音派"についても調査を始めていますが、果たしてどれだけ情報が見付かるか...」
隠し部屋では、『アリウス』に関する情報以外にも、派閥内でのやり取りと思われる手紙が幾つか見つかっているものの、サリエルさん以外の派閥所属者については分からないようになっていた。
ほぼ確実なのは、サリエルさんが"トリニティ福音派"の首長である事と、数年前から
「...一体、『トリニティ』と『アリウス』にはどんな繋がりがあるのか。...あの声明が事実なら、『トリニティ』は独立を許した『アリウス』を何故攻撃し、数百年経った最近も秘密裏に攻撃していたのか。過去の『トリニティ』は一体何を...」
様々な情報が出て来たけれど、寧ろ状況を混迷に導いている。それによる不安が治まらず、首から提げているペンダントを無意識に握る。
―――我が桐藤家の当主、その座を継ぐ者に代々受け継がれて来た、オブシディアンを使った、飾りが少ないペンダント。『トリニティ』成立前、『フィリウス神学校』の生徒会長時代から、数百年以上受け継がれて来たもの。
私が『トリニティ』進学する晴れ舞台を見届ける前に亡くなってしまったお母様から受け継いで以来、精神的に不安がある時はこのペンダントを見て、触れる事で落ち着く様なルーチンを講じている。
「...やはり、いつ見ても私に似ていますね、イスラ様は」
ペンダントの側面にある留め具を弄ってオブシディアンを飾った表面を開くと、実家で飾られている肖像画を縮小して収めた、現桐藤家の家祖にして、『トリニティ』初代"ホストリーダー"である『桐藤イスラ』様の肖像画が現れる。
制服の様式、髪型は違うものの、背中の白く大きな翼、髪色、瞳の色は私によく似ている。顔付きも、イスラ様は少し大人びているけれど全体的に私に似ている。
似通う点の多さから、私が生まれてある程度成長した時には家中で少し騒ぎになった事を何となく覚えている。
―――閑話休題。
「"『トリニティ』としての統合の機運が高まる切っ掛けとなったのは、イスラ様である"。これが、桐藤家で、『トリニティ』で学んだ校史。
でも、『古書館』に残されていた古文書では、それに加えて"『アリウス』のシンキ校長が現『トリニティ』の構成校を直接回って訪ね、統合の機運を広めた"、とされている。
――
そんな人物が、『アリウス』、
...『トリニティ』成立前後の歴史は、『古書館』と、サリエルさんの
「...え?」
―――思案しながら指先で肖像画を撫でていると、
~"補習授業部"合宿所 教室~
sideーヒフミ
「......」
「...キクリちゃん、ずっとあんな調子ですね」
「そうですね。...何せ、自分が敬愛する人物が、今『トリニティ』を騒がせている存在について、
―――教室の窓際の机の椅子に座り、窓の外を見つめながら
"先生"とミヤコちゃんが、セイア様、テンシ様と共に『古書館』から得た情報の共有に合わせて判明した事実を知ってから、キクリちゃんは普段より口数が少なくなり、今みたいに一人で物憂げな表情で窓の外を眺めるようになってしまった。
「それだけ、天城サリエルを信頼していたんだろうな。私はあまり顔を合わせた機会がないからよく知らないけど...天城サリエルは、『シャーレ』から共有された
「私もあまり詳しくありませんが...少なくとも、秘密主義的風土が強い"シスターフッド"において内外から
...以前一度、懺悔に訪れたことがあって。その時にサリエルさんが担当してくれたのですが――
そのまま言葉を信じるのは危険だと私の勘が働いたので、適度に距離を取って接していましたが...まさか、その内面は
アズサちゃんの疑問にハナコちゃんがそう答える。
「私も、"正義実現委員会"の巡視中に"シスターフッド"のボランティア活動の色々な本の読み聞かせを見かけた時にサリエル様も見たんだけど、シスターも、ボランティアに来てた小さい子達もサリエル様の周りに沢山集まっていたわ。...その、申し訳ないけど、一緒に居たサクラコ様にはマリーが傍に付いていただけで、子供が全然集まってなくて...どれだけ人望があるのかって思ったわ」
コハルちゃんが申し訳無さそうな表情で、自身がサリエル様を見かけた時の印象を語る。
―――やはり、サリエル様は
私も"補習授業部"設立の時に、キクリちゃんを迎えに訪ねた時にサリエル様と会ったけど、にこやかで、真摯に誠実な対応をしてくれて、今回判明した
「推測ですが、サリエルさんは
人を惹きつけるあの言葉遣いや振る舞いは、
...少し、
ハナコちゃんは
―――でも、その推測には疑問が浮かぶ。
「...でも、本当に
「...何が言いたいんだ、ヒフミ?」
三人が私に注目する。
「あはは...ハナコちゃんみたいに具体的なことは言えないんですけど...キクリちゃんのあの反応を見ていると、サリエル様がキクリちゃんを側近として取り立てていたことは、
「ふむ...本心なら、キクリちゃんがサリエルさんの謀略を
私の言葉に対し、ハナコちゃんは瞳を細めてそう尋ねる。―――キクリちゃんは、サクラコ様にとってのサリエル様の様に、右腕としてサリエル様の傍で活動していた。"補習授業部"に来るまではプライベートも殆ど過ごさず、"シスターフッド"での活動に傾倒していた程だ。
それだけの人物が、謀略に関わらないのは普通ならおかしい。
「そうですね...ご自分の右腕とも言える人を、自身の謀略に利用しないのは、普通に考えればおかしいです。
でも...キクリちゃんを
「側近として重用していたのに、天城サリエル側からすれば重要な謀略に関わらせないのか?それじゃあキクリが活かせないだろう」
「私はサリエル様ではないので...あの方が何を思って、キクリちゃんを『アリウス』絡みの謀略に関わらせなかったのかは分かりません。
でも...キクリちゃんの
首を傾げるアズサちゃんにそう答えると、ハナコちゃんが『ふむ』と頷いて目を伏せ、少しして目を開く。
「――ヒフミちゃんが言いたいことは、何となく分かりました。恐らく、サリエルさんはキクリちゃんの
今回判明した、サリエルさんの『アリウス』絡みの謀略は、明確に『トリニティ』を
校史では
サリエルさんの素性も詳しく分からないので、推測ですが――そもそも、キクリちゃんを自分の派閥にも、『アリウス』絡みの謀略にも
真偽は兎も角、『トリニティ』と遺恨がある存在と接触し、意志を持って攻撃を仕掛けるなんて、明確な外患誘致...多少なりとも関わっていたら、
きっと、キクリちゃんには謀略なんて関わらせず、一人のシスター、一生徒として過ごして欲しかったんだと思います。そう考えれば、
私に対して打ち明けてくれた、"補習授業部の隠された目的を探る"というサリエルさんから課された指示も嘘ではなかったのでしょう。でも、本命は"シスターフッド"、サリエルさん自身以外との繋がりを持たせ、一生徒としてプライベートを意識させることで
「た、確かに...キクリは"補習授業部"が解散した今でも、ヒフミとかハナコの誘いに素直に乗ってくるものね。初対面の時は、如何にも敬虔なシスターって感じが強くて、補習授業が終わったらすぐ"シスターフッド"に戻るのかなって思ってたわ。
...サリエル様からすれば、今のキクリの振る舞いは
「――ふざけないでください」
「「...え?」」
「あら?」
「ん?」
―――突然だった。キクリちゃんからそんな言葉が聞こえ、思わず四人揃ってキクリちゃんを見る。
椅子から立ち上がり、私達に背を向けているけどひしひしと怒気を感じられる。
「...
"補習授業部"のおかげで、無私の献身ばかりもよくないと気付けましたが...それでも、サリエル様に恩を返したい意思は変わっていません。
言ってくれたではないですか...『献身には助けられている』と。『君になら内情も明かせる』と、私にも時々相談もして下さったのに...
ここには居ないサリエル様に向けているのか、怒りを抑えているせいか、震えた声でそんな言葉を零す。
キクリちゃんにとっては、本当にショックな事実だったみたいだ。サリエル様に恩を返そうとする動機は分からないけど、
「――キクリちゃん。その疑問は間違っていますよ」
「...え?」
―――すると、ハナコちゃんが席を立ち、キクリちゃんの下に歩み寄りながらそう声を掛ける。キクリちゃんは少し驚いた表情で振り向く。
「謀略について隠したことは、
キクリちゃんに過去、何があったかは分かりませんが...
「...えぇ。サリエル様の支えとなること。それが、大恩あるあの方へ報いる方法だと思い、その為に行動してきました」
キクリちゃんはハナコちゃんの言葉に頷く。
「成程、
「...それは、どういうことでしょうか」
ハナコちゃんの言葉に対し、キクリちゃんは少し困惑した様に首を傾げる。
「先ほども言った通り、今回判明したサリエルさんの謀略は、
でも、現実としてサリエルさんはキクリちゃんを謀略から遠ざけた。シスターとしては重用し、信頼する一方で、謀略に手を染めることは
サリエルさんがキクリちゃんを信頼していなかった訳ではなく――信頼していたからこそ、キクリちゃんに謀略の片棒を担がせるつもりがなかった。私はそう思います」
ハナコちゃんの言葉を受け、キクリちゃんは考え込むように目を伏せる。
「とは言え...所詮、私個人の推測です。真実を明らかにするには、サリエルさんを追うしかないでしょう」
「追いかけるって..."シスターフッド"には居ないんでしょ?どうやって...あ...」
「ふふ、コハルちゃんも気付きましたね。流石です♡――得られた情報、直近の状況を考えれば、『アリウス』――そこに至る『カタコンベ』にサリエルさんは居るでしょう。今頃どこまで進んでいるかは流石に分かりませんが、私達も『カタコンベ』に向かうべき理由がより増えましたね♡」
コハルちゃんが途中でハッと気づいた様に口を噤むと、ハナコちゃんが微笑む。―――『アリウス』に辿り着いて真実を明らかにするだけでは無く、サリエル様の真意も明らかにする。元々『シャーレ』、"ティーパーティー"合同の作戦に参加するつもりだったけど、キクリちゃんの為にも、益々参加する意義が生まれた。
「――そうですね。サリエル様に直接問い質しましょう」
「ふふ、そうしましょう♡サリエルさんの真意だけではなく、この『トリニティ』がずっと隠してきたことも明らかにしなければなりませんから」
「あぁ、そうだな。私も勿論、サオリ、
「正義なんて言えないことを隠してるかもしれないなら、"正義実現委員会"としては見逃せないわ」
「皆で、『シャーレ』やナギサ様達と一緒に頑張りましょう!隠された真実を明らかにする為に――キクリちゃんの為に!」
キクリちゃんの決心に合わせて皆の言葉に頷き、そう宣言する。
―――『アリウス』調査に向けた準備もあるから、すぐに『カタコンベ』に入れる訳では無い。でも、私達が知らない真実を、そして何より、
ということで、次回からアリウス入りです。