Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
そして超人をビビらせたゲヘナの"雷帝"...まさか4.5PVの...?つっても出身ゲヘナなんすね。"雷帝"と言ったら赤冬の前身の白冬の更に前身の某大公国の某ツァーリ様が浮かぶ自分。
さて、今話はあややがアビドスを回ります。構成上、ちょこっと台本形式要素がありますのでご注意ください。
~『アビドス』自治区 放棄された電波塔~
side-アヤ
「――『アビドス高等学校』。嘗ては現三大校『トリニティ総合学園』『ゲヘナ学園』『ミレニアムサイエンススクール』を超える規模の巨大校として存在感を示していた。
しかし、『セイント・ネフティス社』が『アビドス』で展開していた事業が原因となって急速に砂漠化。"アビドス生徒会"は砂漠化抑制や緑化の手を尽くしたが一切解決に寄与せず、借金と砂漠だけが増え、それに伴う生徒の転校や住人の転出による人口流出も止められず――今は自治区の大半が砂に埋もれ、マトモに住めるこの辺りも日に日に砂が積もりつつある」
―――電波塔で一番高い所にある作業用足場にしゃがみ、砂混じりの風を受けながら眼下に広がる『アビドス』の風景を眺めつつ事前に集めた情報を復習する様に呟く。
「――盛者必衰、諸行無常。いかなるものにも衰退と終わりは訪れる。しかし――衰退し続けるこの『アビドス』に留まり続け、一丸となって復興の為の努力を続けている者達が居る。
――つい最近"アビドス生徒会"の
――『アビドス』卒業生であり、復興の為の支援を惜しまない『カイザーPMC』代表取締役『御門トオル』、『カイザーローン』及び『カイザーコンストラクション』代表取締役『二ッ岩マミゾウ』。
そして『柴関ラーメン』店主の『柴』"大将"を始めとする住人達と、つい最近『アビドス』生として編入された元"カタカタヘルメット団"団員達。
――一体何が彼女達の復興の意思の源となっているのか?これは、私個人の探究心を満たす為の記録である」
言葉を切り、手にしていたスマホで動かしていた録音アプリを止めて立ち上がる。
「――さて、行きますか!」
翼を広げ、本日は快晴の『アビドス』の空へ飛び立つ―――
~『アビドス高等学校』校舎 "廃校対策委員会"部室~
―――では、これよりインタビューを始めます。まずはお三方、自己紹介を。
ホ「『アビドス』三年生、"廃校対策委員会"委員長『小鳥遊ホシノ』だよ~」
ユ「同じく...じゃないや。留年中の三年生、"廃校対策委員会"委員『梔子ユメ』だよ~」
モ「...同じく留年中の三年生、"廃校対策委員会"委員『藤原モコウ』だ」
―――お三方、本日はよろしくお願いします。まず、こうしてインタビューの時間を作って下さった事に感謝します。つい一昨日"便利屋68"と傭兵達の襲撃を凌いだ後始末で忙しいというのに。
ホ「"先生"や"RABBIT小隊"、ネイトちゃん達、そしてアヤちゃんが居るからね~。おじさん達だけだったらこんな時間を作る暇はなかったかもしれないねぇ」
モ「まぁ、明日からまだまだ忙しくなりそうだがな。"カタカタヘルメット団"本拠地の偵察と制圧だけじゃなく、"便利屋68"に襲撃させた依頼主の調査も追加されたからな」
ユ「次は
―――それです。今回のインタビューの目的が、この『アビドス』を復興しようと努力し続ける理由を知りたいからなんです。
ホ「――それは『文々。新聞』記者として?それとも
―――後者ですよ。失礼な言い方になりますが、今の『アビドス』は辛うじて存続している有様です。自治区の殆どが砂漠に埋もれ、無事なこの辺りも砂漠が侵食しつつあり、生徒も住人も非常に少ない。
それなのに、貴女方は常に前を向いて復興を目指している。希望を、奇跡を求めて進み続けるその原動力を知りたいんです。
ユ「なるほどね~。分かった、答えられることは何でも答えるよ!」
モ「そんなあっさりお前...まぁ、話して困ることはあまりないから良いが」
ホ「先輩二人がいいなら、おじさんもオッケーだよ~」
―――ありがとうございます。では始めに、『アビドス』復興を志したきっかけを教えて下さい。
ユ「私とモコウが"アビドス生徒会"に加入して少しして、皆何も言わずに転校して行っちゃった後の頃だったかな?
生徒会に残されていた書類やらデータやら...色々な記録の整理をしていたら、『アビドス砂祭り』っていうイベントの古いポスターを見付けたんだ~。それが気になって色々記録を漁ってお祭りの内容や写真を見ていたら...このお祭りを復活させたい!って強く思ったの」
モ「私も"そういう明るい目標があれば、多少は苦境の喘ぎも和らぐかもな"って賛成して、復興の暁には『アビドス砂祭り』を再開させるって目標を追加した訳だ」
―――ほう、『アビドス砂祭り』ですか。どんなお祭りだったんでしょうか?
ユ「記録や写真を見ただけだけど...他学校も参加して砂像を造って展示したり、オアシスでバザールを開いたり、お宝探し的なイベントもあったらしいね~。...うん、やっぱり復興して再開させたいね!モコウやホシノちゃん達と一緒に運営して、お祭りに参加して《早口で長い為割愛》」
―――あやや...ユメさん、砂祭り再開への熱意は充分に伝わりましたからその辺りで。スマホの容量も無限じゃないんですから。
ユ「ひぃん、ごめんなさ~い。私の話をちゃんと聞いてくれる人なんて久しぶりだったからつい...」
モ「借金もまだまだ返済中だし、実現はかなり先の話だろうに...相変わらずだな」
ホ「うへぇ、相変わらずユメ先輩は砂祭りのことになると熱くなるね~。じゃあ、次はおじさんが復興を志した理由だね~。
おじさんは...まぁ、入学して生徒会入りした当初はあまりにも状況が酷過ぎてもうどうにもならないんじゃないかと思ってたんだけど...こんな風にどこまでも明るいユメ先輩と、ユメ先輩がやらかしても呆れるだけで見限ったりせずずっと付き合い続けているモコウ先輩を見てたら――いつの間にか『アビドス』を復興したいって思うようになったんだ~。
ノノミちゃん、シロコちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃん、そしてネイトちゃん達。少しづつ生徒も増えているから、復興も夢物語とは言えなくなって来てる気がするよ。...
―――なるほど。二年前と今ではかなり違うように見えますからね。私が持っている情報では、かなり冷たくリアリストで、盾なんか使わずショットガンで容赦無く敵を撃滅していた...となっていましたから。
ユ「それは事実だね~。生徒会入りしたばかりの頃は目付きも怖くて、いつも私の発言に冷たく反論して来てばかりでね~。『楽観視が過ぎる』、『奇跡なんて有り得ない』なんて言ってきて...でも、不良相手にはモコウ以上に容赦無かったんだ~。それこそ『アビドスを勝手に占拠する奴らは許さない!』って「ユメ先輩、それ以上私の過去のことをバラしたら...分かってますよね?」ひ、ひぃん...ごめんなさ~い!」
―――おぉ、こわいこわい。それこそ正に私が得ていた情報通りの雰囲気ですねぇ。...ですが、今回はその掘り出し掘り下げが目的ではないのでこれ以上の詮索はしませんよ。
ホ「今回だけじゃなく、今後も掘り下げないでもらえると...おじさん、嬉しいな~?」
―――考えておきます。では次の質問を。『アビドス』卒業生であり、皆さんに手厚い支援を行っている『御門トオル』さん、『二ッ岩マミゾウ』さんについて...まずどのような出会いだったのか教えて下さい。このお二方にもインタビューを敢行する予定なので、ある程度人物像について知っておきたいんです。
ユ「あの二人も最近忙しいのによく時間取れたね?――二人はかけがえのない恩人だね。私とモコウが当時、今よりとんでもなく膨大だった借金の返済どころか利息の支払いだけで手一杯だった頃だったかな?生徒会が借金をしていた『カイザーローン』と『カイザーコンストラクション』、そして『カイザーPMC』が
モ「既に
ユ「それで、モコウが『今更卒業生様が
モ「だが、二人の目は本気だった。今まで相対してきた大人達とは違って、"先生"みたいに裏が無い眼差しだった。私達はその目を信じてみることにしたんだ」
―――なるほど。『カイザーコーポレーション』は
ユ「うん、そうだね。二人から状況説明を求められて、私達が負っていた到底返済できない膨大な借金について話したら...マミゾウさんは目を点にして驚いて、『ちとその契約について確認してみる。明日また来るぞい』って言ってトオルさんを置いて急いで帰って行っちゃったんだ」
モ「その時、トオルの奴は『これは荒れそうだな。どれだけ
ユ「大半が砂漠化している土地を『カイザーPMC』が主体で
―――何だか初めて聞いた気がしませんが...兎に角、それは凄まじい改善ですねぇ。マミゾウさんもまた『アビドス』復興を願っている訳ですね。
ホ「おじさんも二人に初めて会った時は信用できなかったけど、二人が実際に行動して支援してくれる所を見たから信じられるようになったんだ~。『アビドス』を狙う
―――誠実な支援の手があるというのは実にありがたいことですね。では最後に...お三方は現在苦境にある『アビドス』で生まれ育ち、復興を目指して生徒として過ごしている事に後悔はありませんか?
ユ「後悔なんてないよ!モコウと家が隣同士でそこから今までの付き合いが始まったことも、『アビドス』の卒業生としてトオルさんとマミゾウさんが助けてくれていることも、ホシノちゃんやシロコちゃん達が入学して出会えたことも...そして、『シャーレ』の支援も加わって、一気に生徒が来てくれたことも、全部諦めないで頑張ったからこそ得られた奇跡だと思うの。だから、これからも...卒業しても、私は『アビドス』復興の為の努力を続けるよ!」
モ「物心ついて『アビドス』の苦境を知った時は、一年の時のホシノみたいにどうにかなるのかと思っていたが...どこまでも前向きだがどこか抜けているユメをほっぽって去る訳にもいかない、と付き合い続けた結果が今だ。ここまで来たならとことんユメと、『アビドス』の皆と協力して復興を目指していくさ」
ホ「おじさんも後悔はないね~。他の学校と比べれば、砂漠だらけでまともに暮らせる土地は少ないし、住人も生徒も遥かに少ないし、学校にはまだまだ借金もあるけど...それでも、おじさんは『アビドス』生徒で在ることに誇りを持っているよ。――だからこそ、これからも『アビドス』を狙う悪意から皆を守っていくつもりだよ~」
―――お三方、ありがとうございます。
~『カイザーPMC』 応接室~
―――本日はインタビューに応えていただきありがとうございます。トオルさん、雇った傭兵達の訓練はどうですか?
ト「...正直に言って現状は弾除けだな。今年度就職して研修中の連中より質が低いとは思わなかった。話を聞けばネイト達のように傭兵にならざるを得なかった者も居たが、多くは傭兵になったばかりで実績も信用も乏しい連中ばかりだ。だが、まだ雇い入れて一週間も経っていないからな。今後の訓練での成長次第だろう。計画も大詰めの
マ「まさか"便利屋68"が雇われて襲撃をかけてくるとはのぉ。質の低い傭兵共を雇ったことが
―――襲撃の狙いは校舎の破壊でしたからね。お二方や"対策委員会"の皆さんのように復興を目指していることは決してないでしょう。雑談はこの辺りにして...では、インタビューを始めます。まずは自己紹介をお願いします。
ト「『御門トオル』。『アビドス高等学校』本校卒業生であり、現在は『カイザーコーポレーション』"理事"兼『カイザーPMC』代表取締役だ」
マ「『二ツ岩マミゾウ』。同じく『アビドス高等学校』本校卒業生であり、『カイザーコーポレーション』"理事"兼『カイザーローン』及び『カイザーコンストラクション』代表取締役を務めておる」
―――『アビドス高等学校』本校。
マ「うむ。本校が所在する中心地もまさに中心たるに相応しい都市であったし、当時はずっと小さく観光地として整備されていた『アビドス砂漠』から眺める砂漠と高層ビル群が嚙み合った夜景は素晴らしいものじゃった」
ト「現在の三大校とも交流があったし、『アビドス砂祭り』では様々な学校が参加して盛況だった。...だが、俺達が二年生になった頃だった。当時の"アビドス生徒会"が『セイント・ネフティス社』から提案された
―――当時の
利益を出せない事業が負債と化す前に切り捨てることは企業戦略の一つですが、運営していた学校すら突然苦境に陥った"アビドス生徒会"に押し付けてまで『アビドス』から総撤退とは余りにも酷いですね。
マ「うむ。当時儂らは生徒会ではなかったが、そんな一般生徒の儂らでもネフティスの奴らの所業に驚愕し、怒りを募らせたものじゃ」
ト「だが...生徒会は当然、俺達一般生徒も当時は混乱状態でネフティスの総撤退への怒りを抱き続ける余裕は無かった。日に日に砂漠は広がっていき、家や街が砂に埋もれる前に人を逃がすだけで精一杯で、元凶である
―――私は当事者ではないので共感は難しいですが、『アビドス』一丸となってもそれだけしかできなかったとは、本当に混乱していたんですね。
マ「そうして砂漠は広がり続け、儂らが卒業した次の日に本校と中心街は砂漠に吞まれた。ヘリに乗って避難しながら、砂嵐が中心街を吞み込んでいく様を見て――いつか必ず『アビドス』を復興させる。トオルと共にそう決意して『アビドス』を出て、『カイザーコーポレーション』へ就職したのじゃ」
―――何故『カイザーコーポレーション』への就職を決めたんでしょうか?
ト「実際入社して、
――だが、傍から見れば利益なぞ出せないであろう滅びかけの学校とその自治区。ネフティスの撤退で企業勢力の空白地帯が生まれたが、小銭程度でも利益を絞ろうとするあくどい零細企業が介入を図る程度で当時のカイザーは見向きもしなかった」
マ「じゃが、儂が『カイザーローン』で一支店長として本格的に経営に携わり始めた頃、妙な噂が社内に広まった。"当時の代表取締役、儂の前任者の
―――あやや、
マ「ユメ達から聞いておったか。しかも酷いのが、儂が代表取締役に就任して退職した後も息のかかった役員を介して
そうして、儂は『プレジデント』の命令もあって『カイザーローン』の改革を敢行した。その一環で『アビドス』に課されていた契約と借金を見直して適正に修正、借金のカタに所有権を奪われていた土地についても"アビドス生徒会"に所有権を返還、『カイザーPMC』が土地を借用する体にしてその賃貸料も借金返済に充てることで生徒達でもバイトなりで稼げば数年で完済できる額に収めたのじゃ」
―――あぁ、今思い出しましたよ。『カイザーコーポレーション』内で大規模な横領が発覚し、捜査を行った結果結構な数の役員や経営陣がクビになり、逮捕者も大勢出たというニュースがありましたね。その時自分は『クロノス』入学前でしたが、あのニュースを見て新聞記者を志したんですよね。社会に潜む、大衆が知らない情報を集めて記事に纏め、世間に公表する。こうして私の進路を決めたきっかけになった方に会えて光栄ですね。
マ「ほう、
―――前"連邦生徒会長"
ト「そうか。仮に記事にするなら、偶に挙げている誇張した記事はやめてくれよ。それで
―――誇張は余程情報が少ない場合だけなので...では、次の質問を。『カイザーコーポレーション』の『アビドス』進出が決まって、実際現地に着いた時に何か思うものはありましたか?
マ「ない訳がなかろうて。『アビドス』を離れ、『カイザーローン』の支店を回って働いて転勤してを繰り返しながら数十年かけて代表取締役に、『アビドス』復興の為に力を振るえる地位にまで至れたが...卒業当時より砂漠化は深刻化しておった上に、生徒も住人も恐ろしく少なくなっておったのじゃぞ?」
ト「学生時代世話になった『柴関ラーメン』が小さな屋台から"大将"の悲願だった店舗になっていたのは喜ばしかったが...彼以外に見知った住人は、『アビドス』の制服の注文を専門で請け負っていた服屋のおばちゃん以外には居なかった。兎に角、より滅びが近くなっていた『アビドス』を見て、もっと早く力を得られなかったのかと後悔したが...校舎と、当時はたった二人だけだった生徒――ユメとモコウと出会い、俺達以外に『アビドス』を諦めない者が居たことを知れたおかげでより『アビドス』復興の為の支援を惜しまないことを改めて決意した」
マ「決意も勿論、二人から『アビドス』に課されておった
―――なるほど。最初は驚きと後悔がありつつも、ユメさんとモコウさんと出会えたことで改めて復興の支援を惜しまないことを決意した訳ですね。ユメさんが言っていましたが、お二方のような『アビドス』を思う存在と出会えたことが彼女達にとっての奇跡だと言えますね。外部の人間ではありますが、どうかこれからも『アビドス』復興のお手伝いをお願いしますね。
マ「当然じゃろう。例え『カイザーコーポレーション』をクビになっても、儂らは
ト「所属しておいてこう言うのもなんだが、カイザーは散々世間から言われている通り
―――その情報は頭の奥底に秘めておきましょう。...こんな所ですかね。お二方、本日はお忙しい中時間を取っていただき誠にありがとうございました。
マ「これからまた聞きたいことがあったら訪ねてくると良い。企業所属故に語れぬことも幾つかあるが、答えられるものは答えようぞ」
ト「まだ
―――勿論そのつもりですよ。インタビューもまだまだ対象の方々が居ますしね。今回は時間が取れませんでしたが、近い内に機会を作ってインタビューを敢行する予定です。では、重ね重ね今回は時間を取っていただきありがとうございました。
side-アヤ
「...録音終了。改めて、ありがとうございました」
録音アプリを止めてスマホをしまい、姿勢を正して二人にお礼を述べて頭を下げる。
「なに、こうして話をすることで儂らも記憶の整理になる。儂らもいい歳した大人故、そろそろボケが気になって来ておってな」
「まだそんな老けてはいない筈だろ...だが、誰かと話すということは気分転換にもなる。俺達にとってもありがたいのは確かだ」
「うむ。特にお主ら若い者と接することはより良い気分転換になるしのぉ」
口調もあって老人の様な物言いをするマミゾウさんにトオルさんが呆れた表情を浮かべるけど、そのやり取りからは正に同級生としての仲の良さを感じられる。今回は時間が取れなかったけど、いつかは二人の学生時代についても聞いてみたい所だ。
「...ふむ、ちょうど昼時じゃな。今日はラーメンの気分じゃし、『柴関ラーメン』に行くか。アヤ、お主も一緒にどうじゃ?奢るぞ」
「おや、いいんですか?では、ありがたくお言葉に甘えましょう」
「俺は今日は無理だな。これから一昨日雇った連中の訓練の具合を見なければならないのでな..."便利屋68"に襲撃を依頼した者が何者か、その目的も不明な以上打てる手は打てる時に打たねばな」
腕時計を見たマミゾウさんの提案に私は素直に乗る一方、トオルさんは予定がある様でマミゾウさんの誘いを断る。どうやら一昨日の襲撃を凌いだ際、カヨコさんが言い残した言葉が気になっている様だ。
「――
「全く、不穏な話じゃのぉ。襲撃という力でのゴリ押しが効かぬから次は搦手。"対策委員会"の皆や『シャーレ』の戦力評価を改めて方針を変えようとしておるなら、恐らく相手は頭が切れるのじゃろう。しかし、それでも
席を立ち、そんな会話を交わしながら応接室を出る。一体、襲撃を仕掛けさせた依頼主は何者で、何を狙っているのだろうか―――
~???~
side-??
「...そうですか。...えぇ、気にしていませんよ。時には失敗するのが人間というものですから。常に成功しているなどと謳う者の方が余程信用できませんよ。...えぇ、また依頼を出す予定ですのでそのつもりで。では...」
通話を切り、画面を落としたスマホを机に置いて湯吞の茶を飲む。――電話で
報告に時間を要したという事は報告する事に迷いがあったのか、失敗の後始末に時間を要したのだろう。あの数の傭兵を雇おうとすれば相当な額になる。実力は折り紙つきなれど企業としては零細の"便利屋68"ではほぼ全財産だろう。それを投じて臨んだ結果、あんな大逆転を食らって失敗すれば堪えるだろう。電話口で伝えた様にまだ"便利屋68"を利用するつもりなので、夜逃げせず報告してくれたのはありがたい事だ。
「――しかし...不良の寄せ集めの面が強い"カタカタヘルメット団"程度なら余裕で相手取れるのは予想通りだったけど、まさか"便利屋68"を退けるとは。『ゲヘナ』最高戦力の一人を頭に据えた"風紀委員会"ともフルメンバーであれば五分以上に渡り合える程の上澄みの実力者である筈..."廃校対策委員会"を少し侮って――いや、"暁のホルス"と"炎のベンヌ"が居るならあり得た結果かしらね」
―――『アビドス』の状況を考えれば、何か策を弄さずとも普通に攻めさせ続ければ落ちると思っていたけど、"廃校対策委員会"は私の想像以上に強靭である様だ。流石"暁のホルス"と"炎のベンヌ"を擁し、『シャーレ』という超法規的部活動の支援まで受けているだけはある。けど―――
「――力のゴリ押しが駄目なら
―――
という事で、あややの『アビドス』インタビューでした。またどこかで残りのメンバーにもインタビューする予定です。
そして最後に依頼主のチラ見え。次回から中盤です。