Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
~ブラックマーケット "鬼傑組"拠点 格納庫~
side-ミヤコ
「――おーい。巡回引継ぎの時間だ」
「...っと、もうそんな時間か。相変わらず"マーケットガード"の連中が外から監視してるから気を付けろよ」
「分かってるよ。
巡回の引継ぎが行われ、巡回を終えた構成員が奥の居住区画の方へ、交代した巡回を始めた構成員が別れて歩き出す―――
「...(二人共行った...)」
―――二人の距離が離れ、視界が外れた事を確認してハンドサインで前進する様に伝え、ミユさん、ホシノ先輩が一人ずつ静かに私が潜むコンテナの影へと移動する。
「...この格納庫自体結構広いのもあるけど、見付かっちゃいけないってだけでこうも移動に時間が掛かるんだね~」
「中の構造や危険なポイントが分かっているだけでも御の字です。情報がなければ都度索敵し、ルートを考えながらの前進となりますからより時間が掛かります」
「なるほどね~。ますますイナバちゃん達に感謝しなきゃだねぇ。――イナバちゃん達とモコウ先輩達、それぞれ大丈夫かな?」
「確認してみましょう。ホシノ先輩は"RABBIT4"と一緒に周囲の警戒をお願いします」
「うへ、了解だよ」
「"RABBIT4"、了解...」
二人が警戒を始めた事を確認してインカムで通信をHQ―――"鬼傑組"拠点から少し離れた所に止めたワゴン車に扮した指揮通信車輌だ―――に繋ぐ。
「――HQ、こちら"RABBIT1"。他潜入部隊の状況はどうなっていますか?」
『"こちらHQ。"Кролик小隊"は拠点裏側からの侵入に成功。独房区画へ向かっているよ。サキとモコウは退路を索敵、構築しながら前進中だけど、情報通り地下も監視カメラやセンサーで警戒しているみたいだ"』
「抜け目がありませんね..."シッテムの箱"の力でシステム掌握が可能とは言え、油断なく行かなければ。私達は現在、格納庫を通過中。もうすぐで隣接する居住区画に入ります」
『"了解。何か気になるものはあったかい?"』
「特には――いえ、一つだけ...隅の方から前進していることもありますが、
他部隊の進行状況を把握し、全体の指揮と私達のオペレートを兼任する"先生"の問にそう意見を挙げる。―――巡回の視界的な死角の多さによる隠密性の確保と移動距離短縮の為に格納庫の隅、コンテナが集積されたエリアを通って居住区画へ向かっている中で感じた
『"ふむ...ハッキングしたカメラから見れば整然と戦車や装甲車が並んでいるようには見えるけど、外の時間帯故の暗さと庫内の照明そのものが
「"RABBIT1"了解。――確認が取れました。両部隊共今の所は順調に進んでいるようです。また、聞こえていたと思いますが前進中の違和感も伝えておきました」
通信を切り、情報を二人に共有する。
「順調ならよかった~。まだ不安は拭えないけど、このまま作戦通り居住区画に入ろっか」
「はい。――"救出開始時の陽動"の為にこの辺りのコンテナが崩れるように爆弾も設置できましたし、副次目標の"追加情報の入手"に移りましょう。..."鬼傑組"が有するあの大戦力の運用計画だけでも分かればいいのですが。――ルート上に脅威なし。前進します」
「了解~」
「"RABBIT4"、了解...」
脳裏に道中でチラチラ見かけた大量の装甲戦力の姿を思い出しながら、二人を連れて居住区画を目指して歩き出す―――
「...(そう言えば...あの並んでいた戦車や装甲車、遠目で見た限りでは
~"鬼傑組"拠点 居住区画 第二資料室~
「う~ん...目ぼしい情報はないねぇ。――ミヤコちゃん、そっちは?」
「こちらも新しい情報はありませんね...イナバ先輩達が漁った資料室とは別の場所ですが、やはり重要な情報は...」
―――ミユさんに外の警戒を任せ、"シッテムの箱"によるカメラの映像偽装が機能している間に資料や書類を漁っているけど、新しい情報は見付からない。やはり、直近の計画や重要な情報は"組長"ヤチエが直接管理しているのだろう。
「あくまで副次目標だし、見付からないなら諦めるしかないね~。"先生"に報告して指示を仰ごう」
「分かりました。――HQ、こちら"RABBIT1"。新たな情報が確認できなかった為、副次目標は達成できず。事前に定められた目標を全て達成したので、必要であれば他部隊の支援を行いたいです」
『"HQ了解。――じゃあ、独房区画に向かえるかな?イナバ達がもうすぐで到着、侵入するから、二人を解放して離脱する際の支援をお願い"』
「了解。――被発見のリスクが少ないルートはありますか?」
『"ちょっと待ってね......これは...作戦開始時点よりも居住区画内の反応が多い。時間帯的には夕食の時間だからか...リスクが少ないのはホールを通ってのルートになるね"』
「あのホールですか...了解しました。――ホシノ先輩、私達はこれからイナバ先輩達の支援に向かいますが...夕食時であるせいか区画内の人が多く、独房区画へ被発見のリスクを減らしながら向かうルートとして、侵入時に迂回したホールを通るしかないとのことです」
「うへぇ、あの広いホールかぁ...」
"先生"から得た指示を遂行する際の懸念をホシノ先輩に伝えると、先輩も困った様に眉を曲げる。―――居住区画は元々の工場を経営していた企業の事務所ビルを利用していて、ホールは恐らく建物内で一番広く開放的で、身を隠す遮蔽が少ない為侵入ルートとしては向かない。でも―――
「――でも、隠密作戦は見付からないことが大事だもんね~。できる限り遮蔽から遮蔽に移動しながら進もうか」
「では、ミユさんにも新しい指示を伝えて向かいましょう。資料室を出たらカメラの映像偽装を解除します」
「了解~」
ホシノ先輩と共に資料室を出る―――
~"鬼傑組"拠点内 地下点検路~
side-モコウ
「...!」
サキのハンドサインを確認し、[
―――『ホシノとモコウにはこのサプレッサーを装備してもらうわ。...マーケット内で売られていたもの故に
「......了解だ。モコウ先輩、
「...そうするか。こういう作戦には慣れていないしな」
「お誂え向きにドラム缶がある。...空っぽだな。ちょうどいい、これに座るか」
私達のオペレートを受け持っているモエとの通信を終え、サキは報告に続いて小休止を提案する。疲労感は無いが、慣れない作戦行動でも確実に成功させる為には休める時に休むべきだろう。サキの提案に頷き、WPにあるドラム缶に並んで座る。
「ほら、モコウ先輩」
「ありがとさん。......こういう作戦は慣れないな。普段は最前線に突っ込んで荒らすやり方が多くてな...」
サキからカロリーバディを受け取り、一口齧って水で流し込んで言ちる。
「...モコウ先輩は、どうしてそういう戦闘スタイルを取るんだ?
「...アイツには悪いが、大体ユメのせいだな。小中の頃から思い立ったら即行動でなぁ。不良共に襲われることも少なくなかった。今もそうだが、ユメの銃撃は下手だ。だからアイツに何か起きる前に私が突っ込んで蹴散らすことを続けていたら、今に至ったって訳だ。ユメはユメで傷が絶えない私を見かねて盾でのタンクや守りにシフトして、何だかんだ今まで上手く行ってるな。お前みたいに周りを心配させてる自覚はあるが」
サキの問にそう答え、カロリーバディをまた齧って水で流し込む。―――周りを不安にさせる様なやり方だって事は自分でよく解っている。だが、
「自覚があるなら...いや、小学校の頃からだって言うなら早々改められないか」
「そうだな。――急にどうした。私のやり方を見ていて何か気になることでもあるのか?」
「...私は教範、規範を重んじる性格だ。この状況ではこの対応を、この作戦ではあの手順を...座学や訓練で習ったものは訓練を終えて作戦に参加するようになってからも役立ってきた。――でも、『シャーレ』指揮下に入って、こうして『アビドス』の活動支援を行うようになってから教範や規範にないことの連続だ。なんとか自分なりに考えて対応してきたが...教範、規範を重んじる私のやり方は正しいのかって考えるようになったんだ」
私の問いにサキはそう答える。どうやら私達との活動を通して自分の在り方が正しいのかと悩んでいる様だ。復興に向けて尽力しているとは言え、『アビドス』はまだ滅びかけの状況から脱出出来ていない。未だ人も余裕も無い故に、ある程度倫理や常識は弁えるが手段を選ぶ余裕は無い。その結果、教範や規範なんて関係無いやり方が多くなっている。だが―――
「――私達が規範も何もないやり方ばっかりなのは余裕が今までなかったからだ。つい先日やってしまったが、シロコが常々提案する銀行強盗を止める位の倫理と常識は弁えているつもりだが、それでもまだ『アビドス』には手段を選り好みする余裕はない。だが――」
一度言葉を切ってサキを見つめる。
「――お前達に『アビドス』に染まれとは言わない。基本も規範も、先人達の経験が生み出したものだからな。
「基礎の応用か...」
私の言葉を嚙み締める様に呟くサキを見ながら残りのカロリーバディを口に放り込み、ある程度嚙み砕いてから水で流し込む。
「一人で考えて上手くいかないなら、仲間達を素直に頼れ。一人でダメなら二人、二人でダメなら三人でだ。他人から見た自分自身がどんなものかを知るのも大事だ」
「...あぁ、そうしてみる。――そろそろ移動しよう」
「分かった。――二人を助けたらこのルートを通るからな。妨害されないように引き続き索敵、脅威を排除していくぞ」
サキに続いて立ち上がり、水筒をしまって[
~"鬼傑組"拠点 ボイラー室付近~
「――もうすぐでボイラー室に出る」
「了解だ。...カメラやら赤外線センサーばかりだったが、巡回は居なかったな。私達より前に人が歩いていた痕跡は幾つかあったから、本来なら巡回なり作業者なりが居るんだろうが...」
退路の終点が近くなり、[
「――どうも、
「確かに妙だが...それでも、私達は課された指示を全うすべきだろう。勿論、警戒を強めながらな。――作戦では、
「で、その際は私達が殿を務めて"鬼傑組"の追撃を阻止する、だったな。――ボイラー室に
「そうだな...イナバ先輩達が救出して離脱を始めたタイミングで無力化しよう。だが...人を抱えての移動は戦力も減る上に被発見のリスクも高まる。もしかしたら私達に支援が要請されるかもしれない」
「その時はボイラー室に居る
作戦内容とこれからの方針を確認している内に『ボイラー室』と銘打たれた扉が見えて来る。ここを制圧すれば退路の確保は完了する。
「"RABBIT3"。こちら"RABBIT2"、これからボイラー室に侵入する。脅威の有無は?......了解だ。こちらも警戒を強化する。――モコウ先輩、どうやらこの辺りは"シッテムの箱"の索敵範囲外らしい。室内のカメラでは敵影は確認できないらしいが...」
「そうか..."シッテムの箱"の性能は凄まじいが、大規模な"鬼傑組"拠点のシステムに侵入して監視、ハッキングを継続していると流石に索敵までは届かないか。"先生"達が居る車両も偽装の為に動かせないしな...仕方ない。私達自身で索敵するしかないな」
「そうだな。...鍵は掛かっていない。――行くぞ」
サキが扉を開け、[
~"鬼傑組"拠点 独房区画~
side-イナバ
「――ほい解除っと。パスワードは変わってたけど、機器自体は変わってないから楽だね」
リンゴが手早く区画出入り口のロックを解除する。
「――"Кролик4"」
『了解。――偽装開始。時間は十分程度です』
「――監視カメラの映像偽装開始。前回と同じ十分が限界よ。でも今回は二人の救出を行うから――迅速に、且つ確実に行くわよ」
「――"Кролик2"了解」
「――"Кролик3"了解」
レイセンが監視カメラの映像偽装を始めた事を確認してから二人に指示を出し、扉を開いてリンゴを先頭に独房区画へと侵入する。―――前回と変わらず独房は全部無人で、巡回も居ない。
「――クリア。妙だね...できる限り痕跡は残さなかったつもりだけど、あの銀行強盗の影響があったにしては
「..."Кролик1"、
「ここまで巡回も監視システムも前回から殆ど変わっていなかった。そしてこの独房区画も...HQ、こちら"Кролик1"。――"先生"、独房区画を索敵できる?」
『"こちらHQ。――区画内のカメラは使えるかな?ここからだと"シッテムの箱"本体の索敵範囲が届かないみたいなんだ。ハッキングや監視を継続しているから、範囲を広げるリソースが割けなくてね...アロナも頑張っているんだけど"』
「カメラは"Кролик4"の映像偽装でハッキング中よ。...仕方ないか。このまま目標まで接近する。何か異変があったらすぐに伝えるわ」
『"HQ、了解。――ミヤコ達は居住区画内の資料室で情報を漁ったけど得られたものは無かったからそっちの支援に向かわせていて、サキ達はもうすぐ退路確保が完了する。――君達が重要だ、気を付けて"』
「"Кролик1"、了解。――"
「「了解」」
指示を出し、
「――
「...こりゃセイランの予感が当たっちゃったかなー...」
―――しかし、二人が囚われていた独房へ到着して中を確認すると
「..."Кролик1"、どうするの?」
「周囲を索敵。何かしら手掛かりがあれば――」
「くっ...?!」
「うわっ...?!」
「っ...?!照明が急に――」
―――突如独房区画の薄暗い照明が眩しい程の灯りを灯して私達の視界が一瞬白飛びし、それに続く様にスピーカーから"組長"ヤチエの声が備え付けのスピーカーから聞こえて来た―――
~"鬼傑組"拠点付近 『SRT』潜入任務用指揮車内~
side-"先生"
『――囚われの姫二人を助けるべく、騎士達が悪しき敵の牙城へ侵入する。騎士達は正義の力と心で悪しき敵を蹴散らし、姫二人を助け出す。...物語としては随分と定番でありきたりだとは思いませんか?』
ホシノ達の通信と"シッテムの箱"が拾う音声を通して私達にもヤチエの放送が届く。画面では、ホールの隅の自販機ブースに身を隠しながら放送を聞いているホシノ達を映している。
『私は思うのです。――悪しき敵は騎士達の策、努力の悉くを読んで潰し、終ぞ姫は助けられず死した身で見付かり、守るべき国をも失って絶望に暮れる悲劇的結末があってもいいのでは、と。私はこの結末の方が好みでしてね。――相手が打つ手を読んで先を打ち、相手は策の悉くを潰されて絶望しながら敗北を嚙み締める...策謀家として、これほど喜ばしいことはありませんから』
『――どういうつもり?』
イナバが放送に対し問う。怒りも混ざっているのか、今までと違って冷たく静かだ。
『単刀直入に言えば――皆さんは見事に
『お前ッ...!何をするつもりだ?!セリカちゃんとネイトちゃんは?!』
我慢出来ないと言わんばかりにホシノが隠れていた自販機ブースから飛び出し、ホールのスピーカーに向けて[
『おぉ、怖い怖い。さて――催促されましたので皆さんにお知らせを二つ程。一つ。お探しの
『ホシノ先輩...!』
『なっ...構成員がこんなに...?!』
ホールのあちこちや別の部屋に繋がっているドアから銃を携えた次々構成員が出て来て包囲を始め―――
『――前方、"鬼傑組"構成員多数が展開!こりゃぁ...三十人位いるかな?』
『ここは区画の奥...始めからこうするつもりで二人をこの独房に入れていたのね...!』
イナバ達が居る独房区画でも同じ様に構成員が現れたと思しき大量の足音が聞こえて来て―――
『...な、なんだこれ?!なんで"鬼傑組"の連中が伸びて――』
『サキ、前を見ろ!アイツは――』
「ちょっ?!サキ、モコウ先輩?!」
―――サキとモコウが居るボイラー室では二人が誰かに接触したのか驚いた声を掻き消す様に銃声が聞こえて来て、二人のオペレートを受け持つモエがインカムに叫ぶ。
『...何故
~『アビドス高等学校』自治区 幹線道路検問キャンプ~
side-アル
「寒っ...!本当、砂漠の寒暖差は激しいわね...」
「――お、交代か。アルさんお疲れー」
「冷えてると思ってコーヒー淹れてるよ」
夜の砂漠の寒さに身を震わせながら詰所のバラックに入ると、暖房の温かさと共に私と同じ当直班になり、交代待機中の傭兵達が出迎え、一人が私と外の警備を交代するべく[MTAR-21]を携えてバラックを出て行く。
「えぇ、お疲れ様。コーヒーありがとう。身体の芯まで冷えちゃったわ...ふぅ...温まるわぁ...」
湯気を立てるコーヒーが入ったマグカップを受け取って傍に[
「そりゃ良かった。...アンタも不運だったな。この検問キャンプの夜間当直になっちまって」
「ジャンケンに負けちゃったんだから仕方ないわ。昼は暑く、夜は寒い...地元民の『アビドス』生は兎も角、貴女達も進出した当初は大変だったんじゃない?」
「まぁな。風も砂混じりだから髪やら翼やらの間に入ったりしてケアが大変だし、砂嵐が起きた日にゃあちこちに砂溜まりができちまうからその掃除も...最初は大変だったが、今じゃ慣れちまったよ」
コーヒーを淹れてくれた傭兵は私の問いに笑いながら答える。―――私含め
「まぁ、
『柴関ラーメン』の事を挙げようとしてつい先日の"風紀委員会"の襲撃―――それが"鬼傑組"の工作と手引きにより行われたと"対策委員会"から聞かされた事を思い出し、思わずマグカップの取っ手を握る力を強めてしまう。
―――
「あのラーメンがしばらく食えないのは残念だよな...それに、
「理由はどうあれ、
「...んぁ?レーダーに反応...?」
―――ふと、室内の隅に据えられた索敵設備のディスプレイからレーダーが何かを検知した音が鳴って私達は会話を止める。どうやら寝落ちしていたらしい当直のレーダー手が顔を上げてディスプレイの表示を見る。私達も席を立ってディスプレイをよく見ようと近付く。ディスプレイのレーダー走査範囲の片隅に白い点―――敵味方識別不明の反応が増えていき、前進する様子が映し出される。
「...何だ?識別不明の反応が...二十、三十...おいおい、どんどん増えてるぞ...!」
「偵察ドローン展開!反応がある方向に飛ばして!」
「り、了解!」
レーダー手に指示を出し、異常事態に眠気が吹き飛んだレーダー手がコンソールを操作して偵察ドローンの展開準備を進める。
「――こちらアル!レーダーに不明反応多数検知!当直班総員警戒体制!仮眠中の娘達も全員起こして!」
「おう、了解だ!」
「偵察ドローン離陸!当該反応の方角へ移動開始!」
インカムから当直班全員に警戒体制に移行するよう指示を飛ばし、レーダー手がディスプレイに偵察ドローンのカメラ映像を映し出し、私はディスプレイに注目する。映像は広大な砂漠を映し続け―――
「...こ、コイツは...?!」
「...嘘...殆ど『ゲヘナ』の...いえ、エンブレムが無い。――ということは...!」
―――映像に映ったものを見て驚きと困惑で一瞬固まってしまうけど、即座にインカムから『カイザーPMC』基地へ緊急通信を繋ぐ―――
『――こちら司令部通信室。検問当直班、状況知らせ』
「――砂漠外縁部にて
―――偵察ドローンが見下ろす、砂煙をあげなら砂漠を走る数十輌もの戦車や自走砲、ハーフトラックで構成された
という事でヤチエの策がお披露目です。セリカとネイトを誘拐してアビドスの生徒を救出の為に誘き出し、校舎に生徒が居ない隙に装甲戦力を突っ込ませて破壊、制圧を狙う。そしてセリカとネイトは...