Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
~『アビドス』砂漠~
side-???
「...進めど進めど砂ばかり。時々砂に埋もれたビルとかが見えるから、本当に昔は大都市だったんだろうなー」
"鬼傑組"から借りた装甲戦力[Pz.Kpfw.IV Ausf.J]の車長キューポラで頬杖を突き、紙パックのトマトジュースを飲み干してストローから口を離して呟く。
「...なんだって"鬼傑組"はこんな砂漠しかない自治区を狙うんだか。聞いた話じゃ滅びかけらしいから、それなら追い出して制圧ができそうだと思ったけど...砂漠じゃ価値なんてねぇ...でも、ウチの"同盟長"が提案を受けたってことは何か価値があるんだろうなー」
―――『チヤリ。お前には"鬼傑組"、"勁牙組"と合同で行うアビドス制圧作戦に
―――脳裏に昨日"同盟長"から下された指示を思い返す。『ブラックマーケット』で
"鬼傑組"が最近戦車やら火砲、挙句の果てにはヘリまで集めてた事は"同盟長"経由で知っていたけど―――まさかマーケット外の、それも学校自治区を制圧するなんて前代未聞の行動を起こす為だったなんて驚かない訳が無い。
しかも、戦力的には"鬼傑組"単独でも充分勝てそうなのに、念押しみたいに"勁牙組"と"
『――こちら制圧部隊"現場指揮
「――こちら"剛欲同盟"のチヤリ。ウチの隊は問題ないよ。...オープントップのせいで砂がやたら入るのがちょっと煩わしいくらいかなぁ」
『――こちら"勁牙組"指揮担当エノコ。ウチの部隊も問題なしよ。...はぁ...こういうの得意じゃないから、ビテンが代行になってくれて助かったわ』
―――インカムに主力たる"鬼傑組"の部隊を率い、且つ三組織合同部隊の統括指揮を
―――『...あれ、エノコじゃん。
―――『...それが、"組長"ったら”吉弔のヤツの所の方が楽しめそうだ!”って、今日になって配置を無理矢理交代しちゃって...』
―――『あぁ...流石脳筋というか戦闘狂というか...仕方ないわね。私が一応
―――"鬼傑組"が秘密裏に築いていたらしい、『アビドス』自治区境界ギリギリに位置する、嘗ては自治区境界を守る為の防衛施設の一部だったらしいバンカーを利用、改造した地下格納庫で集合した時のやり取りを思い出す。
―――エノコはワイヤートラップや即席地雷、トラバサミと言った罠の制作や取り扱いに長けている。
そんなトラッパーがいきなり戦車部隊の指揮なんてそう簡単に出来る訳が無いし、当のエノコも乗り気が無かったからビテンが
『いいのいいの、気にしないで。私達の仲もあるし、不得手なことをやらせて作戦失敗の可能性を上げるより余程いいから。それに――こんな大規模な装甲部隊を指揮できるなんて、ワクワクしない訳がないしね!古巣の"百鬼夜行"じゃこんなことできなかっただろうし』
『
「私達の肌には合わなかったからねぇ...そういや風の噂で聞いたんだけどさ。"百花繚乱"が解散になりそうになってるらしいよ」
『え、それマジ?学院成立からずっと続いてる伝統ある委員会が...』
「何時だったかニュースになってた、"
『――っと、この通信は...はい、ビテンです。......分かりました。――皆、
『了解よ』
「はいはい、了解」
『――"勁牙組"、"剛欲同盟"の皆さん。改めまして、"鬼傑組"のヤチエです。今回の"『アビドス』制圧作戦"の全体統括を担う者として、細やかながら訓示を一つ。
―――数分前、上空を敵性勢力のドローンが通過しました。間もなくアビドス側の迎撃が始まる頃合でしょう。生徒達は寡兵ですが、あのドローンの主でもある"カイザーPMC"が十中八九迎撃に加わるでしょう。装備は優良、且つ傭兵業でも名が売れているので強大ですが、我々には数の利があります。そして、マーケットでの覇権争いを支える優秀な幹部三人が揃い踏み。――これで負けなど有り得ません』
―――ビテンの下に"組長"ヤチエからの通信が入り、回線が繋がればいつにも増して自信満々な声色での訓示が始まる。
『――ですが、油断大敵。初めての砂漠という局地環境での活動および戦闘。史上初の三組織合同での作戦。初めての要素が多いからこそ混乱は必至。故に、私も全体指揮を執りますが――皆さんこそ落ち着いて指揮を執ることを心掛けてください。上が範を示せば下も自ずと付いてきます。――以上で訓示を終わります。各隊、警戒を厳に』
訓示が終わり、インカムの回線を部隊共有のものに切り替え、改めて気を引き締める為に新しいパックを取り出し、ストローを差してトマトジュースを一口飲む。しかし双眼鏡と目はしっかり動かして夜空や砂丘の向こうに何か見えないかと警戒して―――
ドォォォンッ!!
―――空を切る落下音が聞こえて来た瞬間、部隊の前方や左右で爆発音と共に砂が巻き上がる。
「うわっ?!砲撃...?!」
『落下角度が高い...戦車砲じゃなくて榴弾砲かしら。こっちの気勢を削ぐことを狙ったのかしらね。でも、隊形の間隔は広いから効力射は出ていない。大丈夫、当たらない!このまま全速前進!』
突然の砲撃で隊形が少し乱れるけど、ビテンがまだ大丈夫だと発破を掛けて隊形を立て直しながら前進を続ける。
『――こちら偵察隊!前方の砂丘の向こうに戦車部隊を確認![Centurion]...いや、あの砲身は[Sho't]か!恐らく"カイザーPMC"の戦車部隊とと思われる!』
十数秒して、私達から先行している[Sd.Kfz.234/2*1]を三輌装備した"鬼傑組"の偵察隊が『カイザーPMC』の戦車部隊を発見する。
「ドローンで見ていたし、そりゃ待ち構えてるよね。――ビテン、動きは当初の作戦通りでいい?」
『そうね。このまま戦車部隊は交戦開始、敵を引き付ける。その間にチヤリとエノコで歩兵戦力を率いて校舎方面に向かって制圧を始める。"組長"の想定なら校舎方面は歩兵が主体になるだろうから』
『了解よ。...本当にビテン一人で大丈夫?』
『――拠点の方は
『了解しました。
通信に"組長"ヤチエの声が入り、"鬼傑組"拠点の方で行なわれていた作戦が終わって"勁牙組"の"組長"もこっちに来ると伝えられ、ビテンは安心した声色で答える。―――確か、拠点の方は"鬼傑組"が誘拐した『アビドス』の生徒二人の救出に来た連中を待ち構えて釘付けにして、あわよくば捕縛を狙う作戦だった筈。
でも、本命はこっちの『アビドス』制圧作戦だし、脳筋で戦闘狂な"勁牙組"の組長"ならこれから起きる
『――あの砂丘の先ね。...うーん...傾斜が急過ぎて頭出しの稜線射撃は厳しそうね。[Centurion]とほぼ同型の[Sho't]なら車体を貫ける筈だけど...あ、あっちの砂丘は傾斜が緩いから行けそう』
会話を交わしている内に一際大きな砂丘の前に着き、悩ましげな声で作戦を考えているビテンが声を上げる。―――見回せば、確かに他より緩やかな傾斜の砂丘が見える。こっちの戦車の砲身の俯角でも稜線射撃は出来そうだ。
『では、現場レベルの判断はビテンに任せます。随伴させているドローンである程度視覚情報も得ていますが、それでも後方指揮の限界はありますから。ですが、必要であればこちらに指示を仰いでも構いません』
『了解しました。――それじゃあ、戦車は小隊毎に砂丘の稜線で展開、攻撃準備!エノコとチヤリ、歩兵部隊は校舎方面への移動準備を!』
『了解!』
「了解。それじゃ、移動始めるよー」
ビテンの指示を受け、右折して砂丘の麓を沿う様に移動する。戦車部隊は左寄りへ移動して稜線射撃の体勢を取り始め―――
―――突如、移動している戦車の内三輛程のターレットリングから爆炎が吹き上がって砲塔が吹き飛ぶ。
『ッ?!何が起きたの?!』
『さ、
「三時って――」
偵察隊の急報を聞いて双眼鏡で砲撃が飛んで来た方向を探せば―――
『――三時の方向に新たな戦車部隊!あ、あれは...な、なんで居るの...?』
『噓...なんで...』
「...げ、『ゲヘナ』の戦車部隊がなんでこんな所に...?!」
―――双眼鏡の視界に映る、砂丘に整然と並ぶ四輌の[Pz.Kpfw.V Ausf.G*2]。その後ろの砂丘から[Pz.Kpfw.IV Ausf.J]が次々砲塔を覗かせる。どの車体、砲塔にも―――『ゲヘナ学園』の校章が描かれていた。
side-レミリア
『――敵戦車三輌の撃破を確認』
「――ふむ、四号車が外したわね。砲撃訓練サボってたのかしら?」
『そ、そのようなことは...!...さ、砂漠の柔らかな砂地では照準のブレが思っていた以上に...』
「言い訳は結構。感覚は掴んだでしょう?――
『り、了解です"副議長"...!』
小隊麾下の四号車の砲手を諭し、双眼鏡で"鬼傑組"―――と、少数だけど混ざっている"勁牙組"、"剛欲同盟"の連中の反応を確認する。
「...さて、予想通り連中は右往左往ね。相手は『アビドス』の娘達と『カイザーPMC』だけだと思っていたでしょうから当然か。――でも、
―――空を轟音が裂き、『アビドス』の"雨雲号"[MH-60R Seahawk]と我が『ゲヘナ』の[CH-53A Sea Stallion*3]、そして『トリニティ』の[SA 330 Puma*4]が敵部隊の上空へと飛んで行く。
『――こちら"三校合同空挺隊"!まもなく降下地点に着きます!..."風紀委員会"及び"
『――いつでも行ける。...まさかこうして"トリニティ"と肩を並べることになんてね。本当に、
『こちらこそ、"ゲヘナ"の代表が穏健な二人で良かったとつくづく思うわ、ヒナ。――期せずして
―――インカムに、"雨雲号"を操る『アビドス』"廃校対策委員会"の書記担当『奥空アヤネ』の報告と、それぞれのヘリで降下待機中のヒナと―――『トリニティ』"ティーパーティー"直轄の特務部隊"ソーサーナイツ"の"総長"にして現在"サンクトゥス分派ホスト
「――『トリニティ』も同じ行動を取ったのは驚いたけど、来たのが彼女で良かったわね。
~『アビドス』校舎 通信室~
side-アヤネ
『――こちら"ゲヘナ学園"、"演習派遣隊"先行部隊。間もなく到着する。貴校敷地内への着陸許可を願う』
「こ、こちら『アビドス』!...校庭西側の速成ヘリパッドへ着陸願います!」
『了解』
『――こちら"トリニティ総合学園"演習隊、先行部隊。貴校敷地内への着陸許可を願います』
「こちら『アビドス』!校庭東側の速成ヘリパッドへ着陸願います...!」
『了解致しました』
「...ふぅ...まさか、ホシノ先輩や"先生"が居ない時にこんなことになるなんて...」
続けて入った『ゲヘナ学園』、『トリニティ総合学園』それぞれから先行して来たヘリの着陸要請を受けて着陸地点を指定し、ヘッドホンを一度外して息を吐く。
―――『ゲヘナ学園、"
―――『もしもし、"アビドス"で合っていますか?お久しぶりで...と言う程日も空いていませんが...私です、阿慈t...いえ、"ファウスト"です!』
―――ホシノ先輩達が昨日、救出作戦決行日の前日に"Кролик小隊"の隠れ家へ出発して留守の状況で、"対策委員会"部室に据えたはいいけど、今まで他校と繋ぐ事が無かった固定電話に続けて掛かってきた、『ゲヘナ』と『トリニティ』からの電話。
『ゲヘナ』は行政組織である"
―――尤も、『ゲヘナ』からは"風紀委員会"と"
―――『ひ、ひぃぃん...!ホシノちゃんもモコウも、"先生"も居ない時にとんでもないことになっちゃったね...うーん...よし、受け入れてあげよう!ホシノちゃんとモコウは楽観的過ぎるって言うだろうけど――きっと、ゲヘナとトリニティからの提案に
救出作戦に出向いたホシノ先輩に代わって委員長
―――そして、救出作戦決行日の午後。『ゲヘナ』、『トリニティ』それぞれの派遣部隊の先行要員がもうすぐ到着する。
「お疲れ様です、アヤネさん。――まさか
「...本当に、夢ではないのかと思ってしまいます。アヤさんとしては、後にも先にもない大スクープでしょうけど...」
「えぇ、記者としては逃したくない大スクープですね。...ですが、『アビドス』の苦境をあまり外に広報したくないホシノさんの意向もありますから、記録は取りますが記事には
ただ、
「ありがとうございます。仮に戦闘になってしまえば、忙しくて対応できない可能性もありますからね」
いつの間にか通信室に来ていたらしいアヤさんと会話を交わす。記者としては逃せないネタだけど、私達に配慮して記録だけに留めるつもりらしい。...他の『クロノス』の方やメディアの方々の接触を止めるのは、その配慮のついでにネタの独占を図っている様な気もするけど。
「――では、ユメ先輩も呼んで出迎えに行きましょうか」
「えぇ。...ヘリパッドをそれぞれ離して指定したのは幸いですね。『ゲヘナ』、『トリニティ』それぞれの代表が誰かによっては、出会して早々
「...そ、それ程に両校の関係は悪いんですね...」
「最近は
アヤさんと会話を交わしながら通信室を出る―――
~『アビドス』校舎 校庭~
校庭にヘリのローター駆動音が響き、風が校庭の所々に積もっている砂を巻き上げる。東西それぞれにラインマーカーで作った即席のヘリパッドでヘリの整備を受け持つ娘達が誘導を行う中、『ゲヘナ学園』の校章を描いた黒地に赤いラインが走る塗装を誂えた[CH-53A Sea Stallion]が西側のヘリパッドへ、『トリニティ総合学園』の校章を描いた白く高級感のある塗装を誂えた[SA 330 Puma]が東側のヘリパッドへそれぞれ着陸を始める。
「『ゲヘナ』の機体は"雨雲号"と似てるね。同じ系統かな?『トリニティ』は塗装も高そう...それに、
「流石の練度ですね。ヘリの操縦士の腕がこれ程なら、実際に派遣されている部隊も恐らく高練度の精鋭でしょう」
校舎の玄関前で着陸を見守りながら会話を交わしている内に両校のヘリが着陸を終え、ローターの回転数が落ちていく。
―――ウィィン...
十数秒して風が治まって来て、『ゲヘナ』側の機体の後部ハッチが、『トリニティ』側の機体の側面ドアが開き―――
「――え、遠路はるばる『アビドス高等学校』へようこそ!"廃校対策委員会"委員長
「――同じく"廃校対策委員会"、"書記担当"『奥空アヤネ』です」
「"廃校対策委員会"『十六夜ノノミ』です☆...姉さん含め、『ゲヘナ』の方々は見知った顔ですが...」
「"廃校対策委員会"、"切り込み隊長"『砂狼シロコ』。...ヒフm、『ファウスト』。その二人は?」
「――出迎え感謝する。"風紀委員会"委員長『空崎ヒナ』よ」
「"風紀委員会"、"行政官補佐"『十六夜サクヤ』よ。急な派遣の受け入れに感謝を」
「...つい先日以来ね。"
―――『ゲヘナ学園』からは"風紀委員会"のお二方と"
「――皆さん、お久しぶりです!阿慈t..."ファウスト"です!以前助けていただいたお礼として、皆さんの支援に来ました!」
「――『トリニティ総合学園』、"ソーサーナイツ"の『比那名居テンシ』よ。急な派遣要請の受け入れ、感謝するわ」
「――同じく、"ソーサーナイツ"『永江イク』と申します」
「...あやや...穏健な方々ですが、
―――何故かあの銀行強盗で被っていたたい焼きの袋製の覆面を被ってコードネームを名乗るヒフミちゃんの隣に立つ―――晴れ空の様な青い長髪に桃の装飾を飾った黒い帽子を被り、白く高級感がある制服の上に
その様子を見ていたアヤさんは、二人を見て驚いた表情を浮かべていた―――
~『アビドス』校舎 "廃校対策委員会"部室~
side-アヤ
「――いつだったかの打ち合わせ以来ね、アヤ。何故『クロノス』の"キヴォトス最速の新聞記者"が居るのかと思ったけど...個人的に『アビドス』に協力を、ねぇ...ネタがあれば最速で飛んで行く貴女が留まるなんて、余程興味を惹かれているのね」
「そちらこそ――
「今は"ファウスト"に請われて協力しているしがない"ソーサーナイツ"よ。もうすぐ到着する"砲術委員会"の護衛も兼ねているわ」
「"砲術委員会"ですか...そちらもそちらで練度の高さで有名ですねぇ。その護衛が"ティーパーティーホスト"直轄の特務部隊たる"ソーサーナイツ"。――裏を疑わずにはいられませんね」
―――"廃校対策委員会"の部室。私の向かい側に座り、帽子を長テーブルに置くテンシさんと会話を交わす。ヒフミさんが連れて来たと言うには余りにも大物過ぎる為、『トリニティ』―――特に"ティーパーティー"辺りの
―――『トリニティ』を纏め上げる"ティーパーティー"と、それを構成する各分派をそれぞれ纏める"首長"が就任する"ホスト"。"ソーサーナイツ"はその"ホスト"が指揮命令権を持つ特務部隊であり、"ホスト"の公務に際する護衛を主とするものの、
「あ、アヤさん!テンシ様や"ソーサーナイツ"、"砲術委員会"の皆さんは純粋に『アビドス』を助けたくて私の要請に答えてくれたんです!...どうか、私を信じてください。お願いします...!」
「――アヤちゃん。確かにすごい人達が来て疑っちゃう気持ちも分かるけど、今は善意を信じてあげよう?"鬼傑組"が
「...えぇ、分かっていますよ。想像以上に大物が来たので思わず疑ってしまっただけです。それに――あくまで私は個人の意思による協力者ですから。『アビドス』の皆さんが両校の支援を受けると決めたのであればそれに従いますよ」
―――しかし、ヒフミさんとユメさんの言葉を受け、肩を竦めながら受け入れる姿勢を示す。個人的には裏を勘ぐってしまうけど、あくまで協力者であって『アビドス』の決定に意見を挙げる事は出来ても決定を覆す事は出来ない。『アビドス』が受け入れるのであれば、それに従って受け入れるまでだ。―――それに、ヒフミさんには『トリニティ』生としては珍しい
「――疑念は一応解消したようね。
「それはこちらもよ。『ゲヘナ』から来たのがよく見知った貴女達で良かったわ。今後の為にも、今回の支援での協働は大きな糧になる筈よ」
レミリアさんがテンシさんにそう話しかけると、テンシさんも安心した様な微笑みを浮かべて答える。―――
お互いまさか
「――では、改めて。今回は
私達『アビドス』を長く支援している『カイザーPMC』の戦力もありますが、『アビドス』を狙う"鬼傑組"の戦力は強大でこのままでは防衛できない可能性がありました。――確認しますが、『ゲヘナ学園』からは
「えぇ、変更はないわ。『ハイランダー』に依頼して戦車部隊は移送中だけど、夕方までには移送が終わる予定よ」
「
アヤネさんが改めて支援への感謝を伝え、送られる戦力の差異を確認する。二人は変更無く展開中だと答え、夕方までには終わると答える。―――"鬼傑組"の攻撃がいつ始まるかは不明だけど、奇襲効果を考えれば夜襲の可能性が高い。夕方までに展開が終わるのであればいいタイミングだ。
「分かりました。――"鬼傑組"の襲撃が確認された場合、全体的な指揮は私達『アビドス』で行いますが、何か要望はありますか?」
「そうね...私達の来援と展開は
「『カイザーPMC』にまで...?何か意図があるの?」
アヤネの問にレミリアさんがそう要望を挙げ、ユメさんが意図を尋ねる。
「"鬼傑組"の部隊を一網打尽にする為に奇襲効果を上げたいの。今までは『ブラックマーケット』を中心に裏社会での活動に留めていたのに、今になって学校と自治区を制圧して勢力圏に収めようと動き出した。
『ブラックマーケット』の外に出ようとする行動は阻止しなければならない。逃してしまえば、違う学校の自治区を狙う可能性もある。――だから、
「なるほどね。それに、"鬼傑組"はまさか私達が――
レミリアさんが意図を答えると、テンシさんも賛意を示して悪戯っぽい笑みを浮かべる。奇襲効果だけでなく、犯罪、暴力組織への抑止力とする事も狙いたい様だ。
「...ユメ先輩、どうしますか?私はいい考えだと思います。『カイザーPMC』に――トオルさんに伏せることは申し訳ないと思いますが、効果は非常に大きいかと」
「ん、私も賛成。折角
「私も賛成です☆ここで装甲戦力を壊滅させることができれば、仮に人員を逃がしてしまっても他校自治区を攻める戦力を再び揃えることは難しくなるでしょうから」
「私も賛成します。
「皆賛成か...うん、いいよ!私達だけじゃなく、他校にも将来的なメリットがあるならやるべきだよ!」
私含め皆さんが賛意を示し、ユメさんは大きく頷いてレミリアさんの要望を受け入れる。
「要望の受け入れ、感謝するわ。――早速、部隊の展開位置を考えましょうか。『アビドス』の地図はあるかしら?地形の把握と、"鬼傑組"が取り得る侵攻ルートの予測を立てたいわ」
「分かりました。すぐにご用意しますね」
アヤネさんは頷いて席を立ち、書棚に向かう―――
~『アビドス』砂漠上空 [SA 330 Puma]機内~
side-テンシ
『――間もなく降下地点です!降下用意!』
インカムに"雨雲号"を操縦しているアヤネの号令が入り、スライドドアを開けると砂混じりの風が機内に吹き込む。しかし、背後のイク含め"ソーサーナイツ"の面々は一切動じない。
―――『あの、テンシ様...空挺降下での奇襲、"ソーサーナイツ"の皆さんも参加するべきだと思います。さっき"砲術委員会"とアビドスの方々に相談して、アビドスの生徒の皆さんの一部を護衛として配置してもいいと確認を取ったんです。
ほ、本来の目的から逸れてしまいますが...トリニティ屈指の精鋭の一角でもある"ソーサーナイツ"を護衛で置くより、奇襲攻撃に加わって壊滅をより確実なものにするべきだと思うんです。...ど、どうでしょうか...?』
―――"砲術委員会"の[
本人は普通の生徒だと言っているけど―――恐らく本人は無自覚な、時々見える才能の一辺を目の当たりにするとナギサが目を掛ける理由も解る。
―――閑話休題。
「――"ソーサーナイツ"各位。今回の空挺降下も、装甲戦力の真っ只中での白兵戦も、私含め皆初めての作戦行動だけど、行けるわね?」
背後に目を向けて尋ねれば皆無言で、しかし揺るぎない眼差しで揃って頷く。流石『トリニティ』でも上澄みの実力者達。初めての作戦行動でも動じない。我ながら素晴らしい娘達を集められたものだと思う。
「ふふ、頼もしいわね――」
号令一下。開け放ったドアから飛び出し、降下しながら比那名居家に伝わる宝剣にして
ということで、アビドス逆転の始まりです。獣王園より登場の三人は元ネタが日本由来なので百鬼夜行出身の仲良しという設定です。組同士の抗争とは別に普段は外食したりする関係。
そして、テンシは新たな役職が判明しました。元々この設定は無かったのですが、ふと『ティーパーティーに直轄戦力生やしたら面白そう』と思い立ってソーサーナイツが生まれました。
ソーサーとはティーカップを受ける皿の事で、円卓と同様丸い皿にあやかって貴賤派閥を気にしない実力者(但し現状はテンシとイク以外はモブ)が集い、
~生徒紹介~
名前:
年齢:16歳
出身校:百鬼夜行連合学院
所属:"鬼傑組" No.2"若頭"
装備:AR(
名前:
年齢:16歳
出身校:百鬼夜行連合学院
所属:"勁牙組" No.2"本部長"
装備:SG(
名前:
年齢:16歳
出身校:百鬼夜行連合学院
所属:"剛欲同盟" No.2"副同盟長"
装備:SMG(
名前:
年齢:17歳
学年:三年生
所属校:トリニティ総合学園
所属校:"ティーパーティー"サンクトゥス分派
特務部隊"ソーサーナイツ"副長
装備:SR(