Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
~トリニティ総合学園 ティーパーティー執務室~
side-??
《『連邦生徒会』生徒会長の名を以て、キヴォトスの行政機能、及び治安が回復したことを宣言します。前生徒会長の失踪に伴う混乱により、多くの学校、住人に多大なご迷惑をお掛けしたことを謝罪致します。ですが、混乱の最中に発生した全ての事件、異常事態を解決できた訳ではありません。特に、『矯正局』より脱獄した七名の生徒"七囚人"は――――》
―――『キヴォチューブ*1』の『連邦生徒会』公式チャンネルにアーカイブとして残されている、昨日の報道発表の動画を見ながら紅茶を一口飲む。壇上で言葉を紡いでいく現"連邦生徒会長"である『八雲
―――もし、彼女が
「おっはよ~『ナギ』ちゃん!」
「おはよう『ナギサ』。ごめんなさいね、お見舞いで少し遅れたわ」
―――執務室のドアが開き、天真爛漫な笑顔で挨拶する―――右側でお団子に纏めたピンク色のフワフワとした長い髪の頭上に、淡い紫と水色のグラデーションで作られた雲の様な立体的なヘイローを浮かべ、腰から一対の白い翼を伸ばし、ケープを羽織った白い制服の襟元に青いリボンを締め、内側に星空の様な模様を模った白いスカート、白いタイツと踵にリボンを飾った黒いハイヒールを履く、"ティーパーティー"ホストの一人にして"パテル分派"リーダー、そして私の幼馴染でもある『
―――そして、晴れ空の様に青い長髪の頭上に桃を模り、
―――『トリニティ総合学園』を統治する、所謂生徒会に準じる学内最高組織"ティーパーティー"を私と共に纏める人物二人が入って来るのを視界の端に捉えて思考と動画を止める。
「――おはようございます、ミカさん、テンシさん。大丈夫ですよ、丁度紅茶も淹れ時ですから」
微笑みながら挨拶を返し、カップを二つ出してポットから紅茶を注ぐ。
「さぁ、どうぞ。――『セイア』さんの容態はどうでしたか?」
「相変わらず意識不明で面会謝絶よ。『ミネ』団長は"治療に全力を尽くしている"って言っているけど...
「ホントに心配だよ。...一体誰がセイアちゃんを...もし『ゲヘナ』の子達だったなら――」
二人が座ってすぐに掛けた私の問いに対し、テンシさんは心配そうな表情を浮かべてため息を吐き、ミカさんは黄色い瞳を
「――ダメよ、ミカ。『ゲヘナ』が嫌いなのは解るけど、先入観で決め付ける短絡的な思考は良い結果を齎さないわ。それに、憎しみによる破壊は更なる憎しみしか生まない。――感覚で動きがちだけど、本当はちゃんと頭が良い貴女ならそれが解るはず。だから幼馴染として、掛け替えのない親友として――貴女が憎しみで狂う様は見たくないの」
「――うん、そうだね...ごめんねテンちゃん。"
―――テンシさんが優しく思いやる眼差しでミカさんを窘め、彼女は素直に頷いて謝罪する。そんなやり取りを見ていると―――微笑ましさの裏で羨望を感じてしまう。
―――聖園家と比那名居家が隣同士である故か、テンシさんは私以上にミカさんと仲が良いと常々感じている。私は
「...(いつからでしょうか...ミカさんとテンシさんと、
「――なんて顔してるのよナギサ。相変わらずの疲れを隠せていない貼り付けた微笑み...私達以上に政争を頑張ってることの証左ね。様々な派閥の連合で成り立つこの学園を統治する者として責任感の強さと政治的駆け引きは必要だし、だからこそ私達"ティーパーティーホスト"の中心的存在になれている。
でも、時には張り詰めた心を緩ませること――自分に素直になることも大事だと思うわ。張り詰めたままじゃいつか疲れてしまって、
「テンちゃんの言う通りだよ!ナギちゃんはいつも色々な交渉してるし、"
―――指摘通りの表情を無意識に浮かべていたのだろう。テンシさんが私を見つめて優しい笑みを浮かべて私を思いやる言葉を掛け、ミカさんがそれに続いていつもの天真爛漫な笑顔で彼女の言葉に賛意を示す。―――テンシさんは本当に思いやりが出来て、自分では気付いていなかったものに気付いてくれる。
「――お二人共、お心遣いありがとうございます」
―――でも、今はその思いやりを素直に受け取る訳にはいかず、薄っぺらいお礼しか言えない。二人が言わんとする事は理解出来る。しかし―――
「――ですが、今は休む訳にはいかないんです。『トリニティ』と『ゲヘナ』の融和のきっかけとなる『エデン条約』の締結――実現がもうすぐに迫っている今は、締結の障害となるものを徹底的に排除しなければなりません」
―――二人の気遣いを否定する事に申し訳無さを覚え、条約の締結が今は最優先だと自らに言い訳するように言い聞かせて二人に宣言する。
―――長きに渡る『トリニティ総合学園』と『ゲヘナ学園』の対立。もはや伝統とも言える対立を軟化させるきっかけになるであろう『エデン条約』。ミカさんの言う通り、前"連邦生徒会長"による提案を受諾して以来、学内の派閥の意思統一に加え、
―――発起人である前"連邦生徒会長"が突然
―――ここまで来たのだ。是が非でも『エデン条約』は実現したい。その為に―――
「――条約については一旦置いておきましょう。テンシさん、前々から話していた『補習授業部』創設に際しての"成績不良者"の調査はどうなっていますか?」
「つい昨日全生徒を調べ終わって、今の所は四人ね。名前と今の成績をリストアップしたのを送るわ」
テンシさんがスマートフォンを取り出して手早く動かすと、私のスマートフォンにデータが送られてくる。
―――『
―――『
―――『
―――そして、『
「――ナギちゃん、怖い顔してるよ?今回『補習授業部』に入る子達の成績、そんなに悪いのかな?」
―――ミカさんが私の顔を覗き込みながら尋ねて来て思考を止める。
「――そうですね。四人共、このままでは
「...過去に創設された実績がない訳じゃないけど...私は態々『補習授業部』に入れて合宿で勉強させる程深刻とは思えないのよねぇ」
テンシさんは今回の『補習授業部』創設に消極的な様だ。―――私だって、本当ならこんな事はしたくない。過去には『補習授業部』入りした生徒がいじめに遭って精神を病んでしまった事例もある。―――でも、今回入れる子達は
「...まぁ、ナギサがそれでもやるって言うのなら反対しないわ。
「私も反対しないよ!卒業するなら一人も欠けることなく卒業したいじゃんね☆」
「――えぇ、そうですね」
―――笑顔のミカさんの言葉でズキリと胸が一瞬痛むけど、誤魔化す様に紅茶を一口飲む。
―――セイアさんの
~ゲヘナ学園
side-??
「...『マコト』、昨日の『文々。新聞』の記事は見たかしら?」
「キキキッ、勿論だとも。議長たるこのマコト様がキヴォトスの情報を逃す訳がないだろう。結局『サンクトゥムタワー』の制御権は『連邦生徒会』の手に戻ったが――
議長席から見て右側、
「科学技術の水準はキヴォトス随一である『ミレニアムサイエンススクール』の頭脳と技術を以てしても、侵入すらできなかった『サンクトゥムタワー』の制御権をあっさり自身の手に取り戻し、これまたあっさり『連邦生徒会』に制御権を移した。...
「無欲なものだ。『サンクトゥムタワー』の制御権が自分の手に転がり込んだというのにあっさりと手放すとは...私ならそのまま制御権を使ってキヴォトス支配に乗り出したな」
「野心家の貴女ならそうするでしょうね。...そんなことをしたらキヴォトス中の学校から袋叩きに遭うでしょうに。――いや、やる前に『ヒナ』に速攻で潰されるかしらね」
レミリアはそう言って呆れた表情を浮かべる。その表情は鎮圧行動に臨む"風紀委員長"を彷彿とさせる。―――"風紀委員会"、か。
「...我が『ゲヘナ』の
「...ついでに『矯正局』から
私の言葉にレミリアがそう付け加えて冗談めかした物言いをしつつも困った表情を浮かべてため息を吐く。
―――私やレミリアが入学する前から、『ゲヘナ学園』は"自由と混沌"という校風によるキヴォトス屈指の治安の悪さで有名だった。誰もが自分に忠実であり、他人の事など気にしない。―――しかし、誰もが好き放題にやりたい事をやっていては早晩廃校となっていただろう。我が"
―――だが、私が"
―――美食を求め、気に入らない店は爆破し、時には"給食部"部員を誘拐し(当然爆破は欠かさず行っている)料理を作らせる『美食研究会』。
―――温泉の源泉を求め、可能性があればどんな場所であろうと掘削し、事故を起こす『温泉開発部』。
―――常に二人で行動し、気まぐれで喧嘩を吹っ掛けたり強盗したり、挙句の果てには"風紀委員会"の鎮圧行動に乱入して更に混乱を齎す、『ゲヘナ』内でも群を抜いた問題児『双月の悪魔』こと『
―――そして、今の『ゲヘナ』屈指の危険人物であり、一度破壊衝動に目覚めると疲れて眠ってしまうまで暴れ続け、最大で
―――最早問題が起きない方が希少であり、"風紀委員会"は当然、我が"
「――なぁレミリア。私に替わって"
「謹んでお断りするわ。トップに立つより
「キキッ、冗談だ。――条約が実現すれば、多少は我々の負担が減るだろうからな。発起人として主導していた前"連邦生徒会長"が
―――半目で睨むレミリアの返事に冗談だと笑いながら、改めて条約締結を実現すると宣言する。条約の内容は相互に人員を派遣して組織する『
「――いや、今は高望みが過ぎるか」
「何か言ったかしら?」
「キキッ、なんでもない」
―――今は『エデン条約』の実現に注力しよう。そう一人で決意を新たにしつつ、レミリアにそう返した。
~???~
side-??
ドアを開けて部屋に入ると、校内でもとりわけ清潔を保たれているバシリカが私を出迎える。その最奥にある像の下に
「――"母さん"」
声を掛けると、"母さん"は振り向くなり心底嬉しそうな笑みを浮かべる。
「――あら、戻って来てたのね。おかえりなさい。怪我はしてない?
「私も、
「当たり前でしょう!皆掛け替えのない、可愛い可愛い
"母さん"は相変わらずだと苦笑しながら大丈夫だと答える。成長して所謂高校生並の年頃になった今では鬱陶しいと思ってしまったりもするが、"母さん"が私達に注ぎ込んでくれる愛情は私達の原動力となっている。
―――閑話休題。
「――"アズライール"から報告を貰ってきた。――"
「――そう。"
「"母さん"が直に動けば良くも悪くも目立ってしまうし、"
心底申し訳無さそうに目を伏せる"母さん"に私達は
「...本当、良くも悪くもいい子に育ってくれたわね。"お母さん"嬉しいわ。――『トリニティ』の
"母さん"は嬉しそうに微笑み、
「――"
「えぇ。"
"母さん"が
「――私は何をしたらいい?」
「皆優秀なのは"お母さん"よーく知ってるけど...特に粒入りの子達を選んでおいてくれる?私は機を見て"
「分かった。"母さん"の期待に応えられるように全力を尽くそう。全ては――」
次回、後編でSRT、ミレニアム、そしてアビドスのプロローグを書いて序章は終わりです。
・メタい話
トリニティにはティーパーティーメンバーが新たに生えたおかげで状況が好転する...かもしれない。
ゲヘナは東方キャラのキャスティングの結果...原作以上に治安がクソみてぇに悪化しました()マコト様も風紀委員会に嫌がらせする余裕は一切無く、綺麗になって苦労しています。
―――そして、最後のシーンでは色々伏せたりぼかしていますが、
生徒情報
名前:
所属校:トリニティ総合学園
年齢:17歳
学年:三年生
役職:"ティーパーティー"サンクトゥス分派ホスト
特務部隊"ソーサーナイツ"総長
装備:SMG(
名前:
所属校:ゲヘナ学園
年齢:17歳
学年:二年生
役職:"
装備:SR(