Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
大晦日にまた距離詰めてきた某キャスパリーグに続いて、元旦に某パテルのお姫様新規3Dお披露目、からの甘酒!んで月曜日のお時間貰うとかYostar飛ばしてるなオイ!あのハイライト無い表情まであるのは拘りが凄まじいぜ...!
さて、2025年なので初投稿です。
ブルアカにはメモロビ以外にもグループストーリーというものがあります。なので当作品でもグループストーリーを書いていきます。...最初がこれでいいのか()
~『アビドス高等学校』自治区某所 ガレージ~
side-セリカ
「...麺、具材各種、調味料諸々...スープ、鍋、フライパン、丼、お皿...よし、全部揃ってるわね」
メモ帳にリストアップした必要な物を全てチェックし終え、自分に言い聞かせる様に頷いて冷蔵庫、棚の扉を閉じる。
「――セリカ、そっちはどうだ?」
―――そのタイミングで、ドアを開け放っている後部からネイトが上がってきて状況を尋ねて来る。
「必要なものは全部あるわ。ネイトの方は?」
「エンジンも機器もバッチリ、燃料満タン。――こっちも準備万端だ」
「なら良かった。――いよいよ本格デビューね...」
「あぁ。...『アビドス』内回って
私の言葉にネイトは頷き、困った様に頭を搔く。
―――
「大丈夫よ。私も一緒だし、"大将"に
「...おぅ、そうだな。客の前で弱気になる訳にもいかねぇ。――じゃあ、行くか!」
「えぇ!」
ネイトの言葉に頷き、ネイトに続いて後部から降りてドアを閉め、しっかりロックを掛けて前に向かい、助手席側のドアを開けて助手席に座る―――
「――よし、出発だ。目指すは『D.U.外郭地区』!」
「――『柴関ラーメン』
―――シートベルトを締め、ネイトがエンジンを掛けてキッチンカーがガレージを出る。一度止まってリモコンでシャッターを閉め、所々に砂が吹き溜まる住宅街の道路に繰り出して幹線道路を目指して走り出す―――
~『柴関ラーメン』屋台~
ズズズッ...
―――麵を啜る音が止んでいく。
「...ふぅ。ごちそうさま~。美味しかったよ!」
「――ごちそうさん。美味かったぞ」
「うへ、ごちそうさま~」
「ん、ごちそうさま」
「...はぁ~。ごちそうさまです☆」
「ふぅ...ごちそうさまでした」
「...うむ。ごちそうさん」
「――ごちそうさま。美味かったぞ」
「お粗末様。そう言ってもらえると嬉しいけど――」
「お粗末さん。そう褒められると嬉しいが――」
ホシノ先輩達委員会の面々と、トオルさんとマミゾウさんが柴関ラーメンを食べ終え、それぞれご馳走様を告げる。皆満足そうな表情を浮かべ、私達も安心しながら答えるけど―――
「......」
―――ほぼ同じタイミングで食べ終えた"大将"は、挨拶はせず箸と空の丼を置いて無言で腕を組んで余韻を吟味する様に瞑目する。そんな"大将"の反応を見てネイトと揃って一瞬で緊張が戻って来て固唾を飲む。
「二人共、美味しかったよ~。食レポとかやったことないから具体的に何か評価はできないけど...こんなに美味しいなら『アビドス』の外でもやっていけると思うよ!」
「"大将"から色々教わってたのは時々見たが、こんな早く
「その"大将"は...審査中みたいだね~」
「私達としては合格だけど...決めるのは"大将"」
先輩達は私達の緊張に気付いてフォローしながらも、やっぱり不安なのか瞑目する"大将"に注目する。
―――"鬼傑組"撃退や『ビナー』討伐。激動の後始末が終わって復興への道を進み始めた中で、ネイトは柴"大将"から本格的にラーメン作りを教わり始めた。ネイトは"大将"の教えをスポンジが水を吸う様なペースで覚えていき、一ヶ月も経たずにこうして"大将"から暖簾分けを認めて貰う為の試験に臨める腕前にまで上達した。
一方私はネイトみたいにスープや出汁、タレといったラーメンの重要な要素を最初から作る腕前にまでは至れなかったけど、具材の切り分けや盛り付けといった補助的作業は今までより要領良く出来るようになれた。私のメインは接客になるだろうけど、調理でもネイトをサポート出来る筈だ。
「......」
―――緊張しながら見守る事約一分。"大将"はゆっくり目を開き―――
「――こんなに早く俺の味をものにするとはなァ。これなら...安心して『柴関ラーメン』の暖簾を託せる」
「――っしゃぁ!!」
「や...やったぁ!」
―――ニヤリと笑った"大将"の言葉を聞いてネイトと抱き合って喜ぶ。
「やったね!二人共おめでと~!」
「二人共良かったね~。おじさん嬉しいよ」
「良かったな、セリカ、ネイト」
「ふふ、二人共おめでとうございます☆」
「ん、暖簾分けおめでとう」
「二人共、おめでとう...!」
抱き合う私達を見た先輩達も嬉しそうに暖簾分けを祝ってくれる。―――私もネイトも、手を抜かず"大将"からの教えを丁寧に実践したけど、ちゃんと認められるか不安だった。でも、その不安はたった今払われた。
「――さて、暖簾分けするにあたってセリカとネイトに用意したものがある。まァ、俺はアドバイスと意見、細やかながら金を出しただけだが...」
「――うむ。皆、時間はあるかの?」
"大将"がそう言ってマミゾウさんとトオルさんを見ると、マミゾウさんは私達を見回しながらそう尋ねる。
「私達は今日はこの試験以外に予定はないわ」
「セリカの言う通りだが...どうしたんだ?」
「うへ?おじさん達も特に予定はないけど...」
「――実は、セリカとネイトの暖簾分けを見越して儂らで
「物はマミゾウ私有のガレージにある。この近くだから歩いて行くとしよう」
「屋台と諸々の片付けは俺がやっておくから、嬢ちゃん達は先に行ってきな!――俺から見てもいい物だってのは保証しておくぜ!」
マミゾウさんとトオルさんが席を立ち、"大将"は先に行っても大丈夫だと促しながら席を立つ。三人揃って
「マミゾウさんとトオルさん、"大将"が協力して...一体何だろう?」
「さてな...見てのお楽しみって所か」
「一体何を用意したんだろうな...」
「あんなに自信満々だから、すごいものなんでしょうね...」
エプロンとバンダナを脱ぎ、歩き出した先輩達に続いて私とネイトも歩き出す―――
~マミゾウ私有ガレージ~
「――さて、御開帳じゃ」
―――歩く事約三分。車両三台分の規模のガレージの前でマミゾウさんは足を止め、コートのポケットから小さなリモコンを取り出して一つのボタンを押す。
リモコンはシャッターの操作ボタンだった様で、シャッターがゆっくり上がっていき―――
「これは...一トントラックか?」
「『柴関ラーメン』って、側面にロゴをペイントしてる...」
「マミゾウさん、これは一体...?」
―――傷一つ無い、明らかに新品の青い塗装の一トントラックが姿を現し、先輩達と揃って首を傾げながらマミゾウさんとトオルさんを見る。このトラックは一体―――
「――柴"大将"監修の下、俺とマミゾウで
「...え...?」
「...あ、アタシらの為にか?」
トオルさんの言葉を聞いてネイトと揃って目を点にする。
「うむ。信じられぬなら皆で直に確認してみるがよい。ほれ、これがキーとリモコンじゃ」
マミゾウさんが頷き、キッチンカーのリモコンを受け取ったネイト、先輩達と一緒にキッチンカーに近付く。
「側面の四角はなんだと思ったが...ルーフとカウンターだったのか」
「こりゃすげぇ...コンロに冷蔵庫にシンクまで...これだけの広さなら!」
「調理器具も必要なものが全部揃ってるわ...しかも新品で明らかに高品質...!」
後部のドアを開けばコンテナ内はキッチンになっていて、器具も全て新品で明らかに高品質で結構な値段になりそうな物ばかりだ。
「――どうじゃ?」
「すごいけど...どうして態々キッチンカーを用意したの?お店はないけど、"大将"の屋台はあるから私達もそこで働くと思っていたんだけど...」
私達の様子を見守るマミゾウさんの言葉に対してそう尋ねる。―――この前の騒動で、"鬼傑組"の策謀によって『柴関ラーメン』のお店は爆破されてしまっている。でも、"大将"が嘗て引っ張っていた屋台が無事だったから、お店を再建出来るだけのお金を稼げるまでは屋台を引いて回ると"大将"は言っていた。だから、バイトである私達もこのまま屋台で働くだろうと考えていた。
「――"大将"の屋台は元々一人で切り盛りしていた故に、三人では手狭じゃからな。お主らに暖簾を分けるなら、しっかり活躍できる場を作ってやりたい――故に、屋台とは別にキッチンカーを用意してやりたいと"大将"から相談されてな。
儂とトオルも"大将"の気遣いに賛成し、"大将"監修の下車両、機器や器具の選定を行い、儂とトオル、そして"大将"の
「
「確かに結構な出費になったが...二人が充分に実力を発揮できる環境を用意できるなら安いものだ」
「うむ。充分な実力を発揮できればその分儲けが出る。良き人材の発掘と、その人材が力を発揮できる環境への投資は基本じゃ。それに――お主ら可愛い後輩達が活躍できるなら、この程度の出費何するものぞ」
ネイトの言葉に対してマミゾウさんとトオルさんはそう答える。―――相変わらず私達への気遣いや支援が手厚い大先輩二人だ。復興への道も拓けてより多忙なのに、変わらず私達の事も気に掛けてくれるのはありがたい。
「――どうだい?これなら二人も充分切り盛りできるだろ?」
「――"大将"!」
「――肩に担いでるものはもしかして...!」
―――そこに、何かを巻いた長い竿らしきものを担いだ"大将"がやって来る。
「――セリカ、ネイト。コイツをお前らに託す。俺の味を継ぐ証だ」
「コイツは...!」
「この暖簾って...!」
「おぅ、察しがいいな。――店を爆破されたあの時。奇跡的に無事だったヤツだ」
"大将"は肩に担いでいた物―――お店の出入口に掲げていた暖簾を私達に差し出してニヤリと笑う。建てたばかりだったというあのお店は一から建てなければならない程に吹き飛ばされてしまったけど、暖簾は無事だったらしい。
「どう切り盛りするかは二人に任せる。仮に稼ぎが少なくても、それで給料を減らすなんてバカな対応はしねェから安心しな」
「そりゃありがてぇが...アタシらだけで切り盛りは不安だな...」
「接客や会計はそれなりにできるし、一応委員会の"会計担当"でもあるからお金の勘定はできるけど...お店の経営なんてやったことがないわ」
"大将"から暖簾を受け取るけど、ネイトと揃って懸念を挙げる。言った通り、接客や会計はそれなりにノウハウを積んでいる自負があるけど、それは調理も含めお店での作業の一環でしかない。経営となればお客さんを集める方法を考えたり、稼ぎに合わせて次の方法を考えたり...食材の調達は"大将"に倣えば良いけど、経営のやり方なんて私達には分からない。
「――ならば、仕事の合間に儂が教えよう。大企業の一部門としがないラーメン屋では規模に大きな差があるが、経営の基本は変わらぬ。基本さえ掴めば、若く頭脳も柔らかいお主らならすぐじゃろう」
「――しばらくはこの『アビドス』内を回って、キッチンカーの運用や経営に慣れるのもいい手だろう。馴染みある住人、生徒補正で公正な評価は得にくいだろうが、人に商品を提供し、より喜ばせる為の方法を模索する経験を直に得られる筈だ」
そんな私達の懸念に対してマミゾウさんとトオルさんが提案を挙げる。会社を二つ経営するマミゾウさんが教えてくれるなら心強い。それに、『アビドス』内でまずは慣れるという提案も良い方法だと思う。
「わぁ、いいですね~☆『アビドス』内であれば、私達もすぐにお手伝いに駆け付けることもできます☆」
「うへへ、セリカちゃんとネイトちゃんのラーメンをすぐに食べられるのはおじさん達地元住人の特権だね~。二人が『アビドス』外でもしっかり切り盛りできるように、おじさん達もできることをやろっか~」
先輩達も嬉しそうに提案に賛成する。『アビドス』外でしっかり働ける様になるまで先輩達も手伝ってくれるなら心強い。
「...先輩達が手伝ってくれるならありがてぇ。――セリカ、一緒に頑張ってくれるか?」
「――なに当たり前のことを聞くのよ。ネイトは相変わらず接客下手なんだから、私がその分頑張らないと、ね?」
「ぐっ...そういうセリカだって厨房は...いや、最近一緒に頑張ったな。まぁ、厨房優先になるだろうが接客もこれから頑張るさ」
手を差し伸べるネイトに対する私の指摘に反論出来ずネイトは苦笑するけど、そう言って笑みを浮かべながら改めて手を差し伸べ、私はその手を握る。
「――やる気充分みたいだな。折角だ、その暖簾をルーフに提げて記念写真でも撮るか」
「わぁ、いいですね☆キッチンカーも外に出して明るい所で撮りましょう☆」
「今日は天気もいい。早速やろう」
「では、開けたり出したりしたものをしまいましょうか」
モコウ先輩の提案に皆色めき立って動き出す。
「――セリカ、ネイト。運転免許はあるな?」
「えぇ、ちゃんとあるわよ」
「アタシもつい最近取得したぞ。...不良になって失効してからそれなりに経ってたが、結構身体は覚えてるものなんだな」
「ならば良い。キッチンカーとこのガレージは『柴関ラーメン』所有となる。これからあちこち回ることになるであろう。整備や補給は欠かさずにな。どうすればいいのか分からぬ時は儂かトオルに連絡するがよい」
「相変わらず手厚い支援だな...本当にありがてぇ」
「本当にね...ありがとう、トオルさん、マミゾウさん」
相変わらず私達後輩に優しい二人にお礼を述べ、写真撮影の準備をする先輩達の下に歩き出す―――
~『D.U.外郭地区』 第二キツネビ公園~
side-セリカ
「...っと...よし、テーブルはOKね」
折り畳み式の丸テーブルを広げ、真ん中のホルダーに日除け雨除け用の大きなパラソルの柄を差し込んで傘を広げる。仕上げにパイプ椅子を四つ並べて一息吐く。キッチンカーの方を見れば、既に湯気がカウンターの窓から立ち昇り始めている。そんな中を動き回るネイトの方も準備は出来ている様だ。
「後は...」
スマホを取り出してカメラを起動させ、キッチンカーと公園の景色を画角に収められる位置を探す。
「...ここなら良さそうね。......うん、いい感じ。後は...」
写真を取り、『モモッター』を立ち上げる。
「...タグ付けて..."『柴関ラーメン』出張キッチンカー、本日より始動します!"っと...よし、これで準備は全部OKね!」
―――SNSでの広告や告知は私とネイトで考案したものだ。"大将"はSNSに...というよりはそもそも広告の打ち出しに興味が無いのだろう。お店、屋台に暖簾は提げるけどそれ以上の客寄せを行う様子は見た事が無い。
『アビドス』での騒動が解決して以降は自治区外の生徒が態々屋台を訪ねて来たりする様になったけど、その娘達はラーメン通のコミュニティで『柴関ラーメン』の情報を収集、共有しているらしい。そんな少数で閉じたコミュニティでしか告知されていないのではお客さんも中々来ないだろう。そこで、SNSでの広告や告知を思い付いた訳だ。
しかし、アカウントも立ち上げたばかりでフォロワーも委員会やトオルさんとマミゾウさん、学校の皆以外には居ない。ここ『D.U.外郭地区』はアビドスよりも遥かに多く人の往来はあるだろうし、『柴関ラーメン』を多くの人に知って貰えれば―――
「――失礼致します。こちら、『柴関ラーメン』のキッチンカーで合っていますでしょうか?」
「――あ、はい!『柴関ラーメン』で合っていますよ。いらっしゃいま――」
―――背後から
「――ふふ。つい先日の屋台振りですわね、セリカさん」
「先日振りー!"大将"さんのラーメン美味しかったよ!」
「私達が一番乗りだね!今日はちゃんと食べられそう...!」
「つい先日はお世話になりました~。ふふ...美味しくお腹も満たせたのはいつ以来でしょうか」
「び、"美食研究会"...!」
―――長い銀髪、小さな黒い翼と尻尾を伸ばした、淑女然とした雰囲気を纏う『黒舘ハルナ』さん。何処かで買って来たらしいハンバーガーを食べながら目を輝かせる、大きなおさげで結い上げた髪に巻き角を伸ばした『獅子堂イズミ』さん。一番乗りを喜ぶ、赤いローツインテールに角を伸ばし、小さな赤い翼を覗かせる『赤司ジュンコ』ちゃん。そして、長い金髪に黒い角を伸ばし、群青色の瞳にマゼンタ色のバツ印の瞳孔が特徴的な、体型や髪型もあって何処かノノミ先輩に似た雰囲気を纏う『鰐淵アカリ』さん。
―――つい先日。ネイトと一緒に屋台で修行とバイトの最中に訪ねて来た"美食研究会"の面々だと分かって思わず目を点にして硬直する。
あの時は新顔だと喜んだ"大将"が出したラーメンを普通に食べて満足そうに帰って行ったけど―――軽くネットを調べただけで次々出て来る"美食研究会"による
爆破されたお店は軒並み
私やネイト、勿論"大将"も真摯に丁寧にラーメン作りに向き合っている自負はある。でも―――私達が良くても"美食研究会"としての
―――前回は"大将"がメインで作ったけど、今この場に"大将"は居ない。間違い無く目的は―――
「――おいセリカ、どうs...び、"美食研究会"?!」
―――そこにネイトがやって来て、私と同じ様に驚く。
「ご機嫌よう、ネイトさん。
「あ、それから――」
「――お姉さん達が美味しいラーメンを作ってくれるのかー?」
―――アカリさんの影に隠れていて見えなかった女の子――金髪のボブカットの左側頭部に赤いリボンを留め、頭上に闇の様な黒いヘイローを浮かべ、白いシャツに赤いリボンタイを締め、黒いベストを重ね、白いラインが走る黒いプレーティングスカートと赤いスニーカーを履いた――明らかに高校生ではない小さく幼さが残る女の子が子供らしい小さな足取りで私達の前に立ち、真っ赤な瞳で私達を見上げて尋ねて来る。
「こ、この子は...?明らかに高校生には見えないんだけど...」
「――ルーミア。『ゲヘナ学園』
「しっかり自己紹介できて偉いですわ、ルーミアさん。――実に
前回は生憎と中等部での授業が重なってしまって連れていくことができず...本日はご予定が空いていたので、折角だからとこうしてお連れした次第です。まだ幼い面はありますが――美食を求める舌は確かにあること、私ハルナが保証しますわ」
「それに、
「えへへー、ご飯を食べるのは大好きなのだー」
ルーミアと呼ばれた子は中学一年生らしく、しかし"美食研究会"の面々からは将来を期待されている様で、ハルナさんとアカリさんに頭を撫でられて嬉しそうに笑う。微笑ましい反面―――この子が将来"美食研究会"として
「ルーミアちゃん、ね。――『黒見セリカ』。『アビドス』一年生、『柴関ラーメン』のバイトよ」
「――『水元ネイト』。同じく『アビドス』一年生、『柴関ラーメン』の暖簾を分けて貰ったばかりのバイトだ」
「セリカ、ネイト。...うん、覚えた。よろしくー」
―――閑話休題。ネイトと一緒にルーミアちゃんに自己紹介し、彼女は子供らしい笑みを浮かべる。
「――しっかし...来客第一号がよりにもよって"美食研究会"か...いや、丁度いいのかもしれねぇ。アタシの腕がどの程度なのか確かめるには――コイツらの舌は最適だ」
「だ、大丈夫なの...?!前に屋台に来た時と違って、私達だけなのよ?!ネイトも暖簾分けされたばかりで、もし
「それはネイトさん次第ですわ。少なくとも、前回の屋台で貴女方の食への真摯な振る舞いは拝見しました。後は――"大将"に認められたその腕前が如何程か、ですわ」
"美食研究会"を前にして意気軒昂な様子のネイトに最悪の懸念を挙げるけど、ネイトの反応を見て嬉しそうに頷くハルナさんは見定める様にネイトを見つめる。
「――セリカ、"美食研究会"の
「...あぁもう!分かったわよ!ネイトが前向きなら私も前を向かないと...!――改めて、いらっしゃいませ!それでは、席にご案内しますね!」
ネイトはそれでも前向きな姿勢を変えず、私は頭を振って不安を払って切り替え、"美食研究会"の面々を案内する―――
「...おー...」
―――ネイトを手伝ってチャーシューやネギを切っていると、ルーミアちゃんの声がカウンターの方から聞えて来る。手は止めずに目を向ければ、アカリさんに抱えられて興味津々に私達の様子を眺めるルーミアちゃんの姿が見える。小柄でカウンターから覗き見れないからだろうか。しかし、アカリさんに抱えられる様子は何処か姉妹の様にも見える。
「――あら、何か気になることでも?」
「...いや、その...何だか姉妹みたいだなって」
私の視線に気付いたアカリさんの言葉にそう返す。瞳の色や角の有無で違いはあるけど、雰囲気が似ている気がする。
「ふふ、よく言われます。姓や身体的特徴と色々違いはありますが...私によく似て食欲旺盛ですし、きっと雰囲気が似ているんでしょうね~」
「わはー。アカリには何だか親近感が湧くのだー」
アカリさんは嬉しそうに微笑み、屈託なく笑うルーミアちゃんと顔を見合わせる。そんな様子もまた、姉妹の様な雰囲気をより醸し出す。
「――セリカ!麺上がったぞ!」
「分かったわ!」
―――ネイトの報告を受け、ちょうど具材も全て切り終えたのでネイトと位置を交代して麵の湯切りを行う。その間にネイトはスープや脂を用意する。
「――湯切りはOKよ!」
「よし、後は盛り付けだ!」
湯切りを終えた麺をスープに入れ、ネイトと共に具材を盛り付けていく。
「――できたわ!」
「――こっちもできた!さぁ運ぶぞ!」
「おー、美味しそうなのだ」
「ふふ、楽しみですね~。席に戻りましょうか」
アカリさんとルーミアちゃんもキッチンカーを離れて席に戻り、お盆に出来上がったラーメンを乗せ、お盆を手に持ってネイトに続いてキッチンカーを降りる。
「――お待たせしました!『柴関ラーメン』大盛り一つ、普通盛り三つ、レディース一つです!」
「ふむ...時間は"大将"と大きな差はありませんわね。そしてこのレディースサイズ...」
「来た来た!美味しそー!」
「あの値段でサイズ毎の値段増減もない...万年金欠の私には嬉しいわね!」
「大盛りも相場以上のボリューム。ふふ、"大将"の気概はしっかり引き継いでいるようですね」
「おー、美味しそー!」
―――ネイトと共にそれぞれが注文した『柴関ラーメン』を並べていき、今の所は好意的な反応を見せる。
「では、いただきましょうか。食材に、このラーメンを作って下さったお二方に感謝して――」
「「「「「いただま(~)す(!)」」」」」
―――五人揃って手を合わせて挨拶し、箸、或いはれんげを手に取る―――
「――ご馳走さまでした」
「ご馳走さま!普通サイズでもボリューミーだからお腹も満足だよ!」
「ふぅ...ご馳走さま!値段以上の美味しさとボリュームはお腹にもお財布にもいいわね!」
「ご馳走さまー。美味しかったよー」
「――ご馳走さまでした。...あら?ルーミアちゃん、口周りがまだ汚れていますよ~。ちょ~っと、失礼しますね~」
「んー...」
―――約三十分後、それぞれが食べ終え、ハルナさん以外は好意的な反応を示す。アカリさんがルーミアちゃんの口をハンカチで拭く中、ハルナさんは吟味する様に瞑目する。キッチンカーで食器洗いの準備を終えて戻って来たネイトと一緒に固唾を飲んで見守る。
「――少々粗を感じる点はありましたが、作り続けて経験を積めば充分改善するものですね。何より――柴"大将"の、『柴関ラーメン』の味をしっかりと継いでいるだけでなく、女性故の繊細な気配りが感じられましたわ。
特に私がいただいた、このレディースサイズ...油ものも嗜む私ですが、胃の腑は生憎と小さいのでこれは大変ありがたい気遣いです。供された料理を残すなど、美食以前に食そのものへの冒涜。
柴"大将"の気前の良さと漢気はそこらのラーメン屋よりも一回り程大きいボリュームに表れていますが、私の胃の腑のようにそれが苦になってしまう場合もあります。――このレディースサイズであれば、私の様な胃の腑が小さく、食が細い方でも満足できるでしょう」
「...それって...」
「えぇ。――貴女方の『柴関ラーメン』は好評に足るものと、私は判断します。皆様はどうですか?」
一通り評価を―――好評に値すると判断したハルナさんは"美食研究会"の面々を見回して問う。
「私もいいと思う!接客もサービスも満足できるものだよ!」
「値段もお手頃なのにこのボリュームはいいわね。美食家、ラーメン通だけじゃなく、誰でも満足すること間違いなしだと思う。財布が寂しくなったら来るのもありかな」
「ふふ、大変素晴らしいラーメンでした。たった一杯で概ね満足できる大盛りは初めてです。これは他のラーメンも気になる所ですね~」
「美味しかったー。今はもうお腹いっぱいだけど、ラーメンが食べたくなったらまた来たいなー」
「...そうか...満足できるものを出せたなら、『柴関ラーメン』の暖簾を分けられた身としてはありがてぇ」
「よ、よかった...
"美食研究会"全員が揃って好評を挙げ、ネイトと揃って安堵の溜息を吐く。
「――皆様満足されたようで何よりですわ。『モモッター』の公式アカウントでも宣伝させていただきますので、より多くの方々がこのキッチンカーに誘われることでしよう」
"美食研究会"全員の好評を聞いたハルナさんは満足そうに頷き、『モモッター』の公式アカウントで宣伝すると宣言する。―――
「セリカが調べた話じゃ、"美食研究会"の宣伝効果はすげぇらしいからな...忙しくなりそうだが、その分"大将"に恩返しができるってもんだ」
「"美食研究会"が高評価を下した――この実績に胡座をかいて慢心しないようにしないとね...!」
ネイトと揃って決意を新たにする。お客さんが多く来てくれればその分儲けが出る。その儲けで『柴関ラーメン』のお店を復活させる一助になれれば"大将"への貢献、恩返しになるだろう。
「――そろそろお暇しましょうか。私達のおかげで、こちらが気になれど不安で遠巻きに見ている方々がちらほらといらっしゃるようですので」
―――サッと公園を見回したハルナさんの言葉で"美食研究会"の面々が席を立つ。―――倣う様にザッと公園を見渡せば、何処かの生徒やら何処かの企業のサラリーマンらしき大人やらがスマホを弄ったり、雑誌を読んだり、談笑したりしながらも
「――改めて、ご馳走様でした。機会がありましたら、またこちらに伺うこともあるでしょう」
「ご馳走様!お腹いっぱい食べくなったらまた来るかもね!」
「また来るわ。このお手頃価格でお腹いっぱいになれる所なんて早々見つからないしね!」
「ラーメンの気分になったら、また来ることもあるかもしれませんね~。その時はまた、満足できる一杯をお願いしますね~」
「美味しかったー。お金とお腹に余裕があったらまた来るのだー」
「――ありがとうございました!またのお越しをお待ちしております!」
「――あざっしたー!
また来るだろうと挨拶し、歩き出した"美食研究会"の面々の背中にネイトと揃って頭を下げる。
―――最初のお客さんが"美食研究会"になるなんてまるで予想出来なかったけど、真摯に丁寧に臨んだおかげで好評を得られた。"美食研究会"のインフルエンサーとしての影響力を考えればこれから忙しくなりそうだけど―――忙しさにかまけて腕を落とし、
「――ネイト、改めて頑張りましょうか」
「あぁ。沢山のお客を満足させて、沢山稼いで――"大将"に恩返しだ!」
―――"美食研究会"が歩き去った様子を確認したのか、こちらに歩いてくる数人の人影を視界に納め、ネイトと向き合って拳を突き合わせ、食器の片付けと拭き掃除、接客準備に取り掛かる―――
ということで、『柴関ラーメン』出張キッチンカーの始動グルストでした。流石にオリキャラだけは当作品コンセプトとしてアレなのでルーミアが生えた美食の皆さんにも来てもらいました。
ルーミアは体型やその他色々絡みを考えた結果、高校生ではなく中学生となりました。コラボとかソラちゃんとかで中学生は居るしね!...最初はアカリと姉妹にしようかと思いましたが、果たしてその設定がいいのか悩みに悩んで、姉妹みたいな仲良し関係に収まりました。
さて―――次回よりメインストーリーに戻ります。
~生徒紹介~
名前:
所属校:ゲヘナ学園 中等部
学年:一年生
部活動:美食研究会 会員候補
装備:HG×2[