Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~   作:八坂 義景

47 / 115
ということで、アレの入手回です。

Code:Boxはあのシルエットが明らかになりましたね。ミライとはミレニアムらしい名前だ。しかし『疑似科学』とはそりゃミレニアムじゃあね。ミレニアム生一人一人の癖すら把握しているリオが思い出すのに時間を要する位に存在感も成果も無かったんやなって。ストーリーでやってた事を見るに、研究者というよりは商人や企業家に近い感性ねこの娘。そりゃリオ達とは相容れないわな。しかしその某ダ女神みたいな顔は覚えたぞ!
BSA...とんでもねぇトラッキングツールじゃねぇか。ヒマリがヴェリタスを立ち上げたのも納得だよコレ。自らの汚点だと認めて破棄する反省があって良かったマジで...


File44.M-4~勇者(アリス)()を探す~

~"ゲーム開発部"部室~

side-ユメミ

 

―――カチャ...

 

「――ごめんなさいね。ちょっと野暮用を...って――」

 

―――リオとの話を終え、元々予定していた"ゲーム開発部"部室に顔を出してみると―――

 

 

「...これじゃ『TSC』の二の舞だよ、お姉ちゃん」

「えーなんでさ!こうやって奇をてらわなきゃ注目されないよ!」

「ただでさえ『TSC2』って――TSC(界隈屈指のクソゲー)のナンバリングシリーズって銘打っちまったんだ。基本的にナンバリングは数を重ねればその分ブラッシュアップされるものだしな」

「...あ、でも...この要素は...」

 

 

―――付箋や新作ハードやタイトルのチラシが乱雑に貼られたホワイトボードに無理矢理開けたスペースに、『Tales Saga Chronicles 2』とタイトルらしき名前を書いた下にコンセプトを書き連ねながら話し合うモモイ達の背中。

 

「――おっと、その隙は見逃しませんよ」

なっ?!い、今のカウンター見抜いたのか?!」

「動体視力には自信がありますからね。――はいそこ、見えてますよ」

「うわーん!また撃墜されました!アヤが強すぎます!」

「あっという間に...これ程にゲームが上手い方だったとは」

 

―――『大乱戦ブレイクシスターズ*1』をプレイしているらしい、"RABBIT小隊"の娘達と"キヴォトス最速"で有名な『クロノス』"新聞部"『射命丸アヤ』らしき娘の背中。

 

「"――ユメミじゃないか。来るのが遅かったね"」

「ちょっと野暮用を済ませて来たの。こっちはこっちで進展があったようね?それに――"キヴォトス最速"の新聞記者までいつの間に居たなんて」

 

―――少し賑やかな部室で、見守る様に距離を取っている"先生"が私に気付き、掛けて来た問に答えながら後ろ手にドアを閉める。

 

「"そうだね。モモイ達は『ミレニアムプライス』に向けたゲームのタイトルを決めた所で、今は採用したいコンセプトとかシステムを話し合っている所だよ。アヤはミレニアム(ここ)で取材があったらしくてね。終わったついでに様子見に来たそうだよ"」

「――ちょっと"先生"!駄弁るくらい暇なら私達を...って、"教授"いつの間に?!」

「――モモイ?...おぉ!本当に"教授"が居ます!」

「――あやや、いつの間に。どうも、お邪魔してます。"文々。新聞"記者兼『シャーレ』"広報員"『射命丸アヤ』です。"教授"の噂はかねがね聞いていますよ」

 

 "先生"に振り向いたモモイが私に気付いて声を上げると、アリス達も手を止めて私に顔を向け、アヤが自己紹介をする。

 

「こちらこそ、"キヴォトス最速"の新聞記者の活躍は噂に聞いてるわ。さて...野暮用を済ませてたら遅れたわ。――"先生"から大体は聞いたけど、進展があったみたいね?」

「そうだよ!私達は『ミレニアムプライス』に向けて『TSC2』を作ることにしたんだ!」

「とは言っても、まだタイトルと『TSC』と同じようにRPGで進めると決まっただけですが...」

「それでも前進したのは確かでしょう?開発も研究も一朝一夕にできるものではないしね」

 

 ホワイトボードに書かれたタイトルとジャンルを見ながらミドリにそう返す。―――研究や開発は試行錯誤の繰り返しだ。そして実験や試験には時間を要する事もあったりして、どうしても時短が出来ない局面も現れる。

 時間が掛かる事を言い訳にして結局サボっているのでは無意味だけど、ゲーム開発ではシナリオやイラスト、グラフィックと言った芸術的感性も絡んでくるからより時間が掛かるのは確かだ。でも―――"先生"が何か良い影響を与えたのだろう。ほんの少しとは言え、ゲーム開発が前進したのは良い事だ。

 

「――じゃあ、進展があったなら『G.Bible』はもういらないかしら?」

「そんなことはないよ!開発をより速く進める為にも必要だよ!今もRPGで進めることは決まったけどシステムとかシナリオは全然だし!」

「そりゃ話し合い始めて間もないからな。――だが、『G.Bible』は変わらず今の私達に必要だ。その中身の真偽は兎も角、な」

「お姉ちゃんの言う通り、もしかしたら『G.Bible』が私達のゲーム開発にプラスになるかもしれないので...やると決めた以上は、見つけ出したいです」

「み、皆の言う通り『G.Bible』があればもしかしたら...『TSC』以来のスランプを脱出できるかもしれないし...『廃墟』に行くのはやっぱり怖いけど、皆が行くなら"部長"として私も行かないと、ですから...」

 

 敢えて『G.Bible』捜索継続の是非を問えば、予想通り必要だと答える。―――仮にこの娘達が『G.Bible』に頼らない選択肢を取ってもその意思を尊重するし、()()()()()()()()()()為に捜索は継続するつもりでいる。けど―――『廃墟』入域が()()()()()()()()おかげで未探索区域が一気に広がった事で人手が要る状況になったから、"ゲーム開発部"が『G.Bible』捜索を続けるつもりなら渡りに船だ。

 

「――なら良かったわ。()()()で『廃墟』への()()()()()()()を得たから、未探索区域が一気に広がったおかげで人手が欲しいのよねぇ」

「――へ?()()()()()()()って...」

「――それ、結構凄いことなんじゃ...?」

「――おいおい、しれっと凄いことカミングアウトしたな」

「"――医務室の方で話は聞いたけど、本当に今まで()()()()()()()()()んだね..."」

「――『廃墟』は"連邦生徒会"の管理下だろ?よく許可下りたな...」

「...医務室での話を聞いた身からすると、よく許可が下りましたね...」

 

 "ゲーム開発部"の娘達の意思に頷き、リオから許可証を貰った事を明かすとモモイ達は目を点にして、"先生"達は苦笑したり呆れた表情を浮かべる。

 

「――あの"連邦生徒会"がよく許可を出しましたね。調()()()()()()()()()()()程ですから、それだけ危険な領域ということでしょう?」

「あぁ、そうだな。私達はごく最近潜入に同行し始めたばかりで"教授"に比べれば経験は浅いが――あそこは確かに危険な場所だ」

 

 眉を上げるアヤの言葉にマリサが頷く。―――リオから請け負った()()()()()についてはまだ伏せておこう。アリスの正体についての判断を下せる程の情報も無いし。

 

「"セミナー"が受ける()()()()()()をどうにかする為に、()()()()()()()()骨を折ってくれたのよ。連邦生徒会(向こう)も私に許可を下す方がメリットがあると判断したんでしょう。それに、()()()()()()()()()()()()権限も貰ったから――おかげで『G.Bible』捜索が捗るわ」

「――確かに、今まで行けなかった所にあるかもしれないしね。そんな許可を実現した"教授"の親友はすごい人なんだね!そうだよ!そんなことができる"教授"の親友なら私達の廃部も――」

「それは流石に無理でしょ。...ねぇマリサ。"教授"が親友と呼ぶ人って確か...」

「...偶に聞く噂じゃ二人居る筈だな。それで片方が...あぁ、そりゃ"連邦生徒会"から許可を取れるだろうなぁ」

 

 "連邦生徒会"側の判断の推測を挙げつつ経緯を話すと、少し強欲なモモイにミドリがツッコみ、マリサと小声で何か話し合い、マリサは頷きながら納得した様に私を見る。―――リオと()()()()との関係は特に隠しているつもりは無いけど、『ミレニアム』生は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()傾向が強く、それ故に他人の交友関係を気にする娘は少ない。でも、噂レベルでは私達の関係は知られている様だ。

 

「――さて。『廃墟』探索にあたって、()()()()()()()の。分かるかしら?」

「問題?人手...は、私達が居るよね」

「うーむ...未探索区域が多過ぎることか?」

「...許可が適用される時期、とか?」

 

 モモイ、マリサ、ミドリが問題点を挙げる。ミドリの問題点は残念ながら外れていて、モモイとマリサが挙げた問題点は確かに検討が必要だけど―――

 

 

 

 

「――はい!()()()()()()()()()がまだ見付かっていません!」

「――正解よ、アリス」

 

―――元気に挙手したアリスの答えに微笑みながら頷く。

 

「"――()?もしかして...銃のことかな?"」

「そうだよ。アリスはゲーム用語によく例えるからね。でも、銃は貰ってるんだけど――」

「確かにアリスはミレニアム(ここ)に来た次の日に貰いました。ですが――()()()()()()()は勇者に相応しくありません!」

 

 アリスはジャケットのポケットから[M17]を―――あげたその日から塗装もカスタムもされていない、グリップに『ミレニアム』校章だけをあつらえたものを取り出し、不満そうに頬を膨らませる。

 

―――"銃を持たない者は全裸で出歩く者より少ない"。そんなキヴォトスの銃社会は『ミレニアム』とて例外ではない。しかし―――『ミレニアム』生は何よりも自分の研究を優先する所がある為、銃の管理や訓練をおざなりにする娘が少なくない。そんな()()()()()な娘達向けに、『ミレニアム』では入学生に向けて任意で[M17]を支給して最低限自衛出来るだけの装備を与えている。しかし―――

 

「見た目からして持ってるだけ感が確かにあるな...カタログとか見せたり、ガンショップに行ったりはしたのか?」

「うん、色々見せたんだけど...どれもアリスちゃんのお眼鏡には適わなくて」

「誰かが持っているような銃ではダメなんです!勇者が持つべきはこの世で唯一――魔王を倒せる力を持つ聖剣ですから!」

「――とまぁ、こんな感じでな。銃を持たせない訳にもいかないから、"教授"を通して支給された[M17](コイツ)を持たせてはいるが...最初の試射以来使ってないはずだ」

 

 サキの問いにミドリが答え、続くアリスの真剣な表情での主張を聞いたマリサが少し困った様に眉を八の字に曲げる。―――『TSC』を始めとするRPGに特に強く影響を受けたらしいアリスは、この様に()()()()()()()を求めていた。それも―――

 

「聖剣かー。アリスちゃん、具体的にはどんなものが欲しいの?」

「はい!アリスは"教授"が背負っている[レッドクロス・クライシス!]の様な装備が欲しいです!」

 

 "RABBIT小隊"のモエがアリスに尋ねると、そう答えて私の背中の[レッドクロス・クライシス!]を見て目を輝かせる。

 

「"――そう言えば、ユメミが背負っている武器は他とは大きく違う見た目だね"」

「製造は依頼したけど、()()()()()()()()()()()()()()ものだもの。ヘビーマシンガン(HMG)ロケットランチャー(RL)を、この十字形に組み合わせたのは後にも先にも私だけでしょうね」

「じ、()()()()()()()、だと...?!」

「す、すごい...!」

「――流石『ミレニアム』ですね。まさか銃火器を自力で開発するとは...」

「赤主体、大きな十字形のデザインは確かに"教授"によく似合ってるねー。しかもヘビーマシンガン(HMG)ロケットランチャー(RL)の複合火器なんていいじゃん...!」

 

 "先生"の問に答えると"RABBIT小隊"の面々が驚いたり目を輝かせたりする。

 

―――今はサイドアームとして装備している[SOCOM Mk.23]が『ミレニアム』入学前からの相棒だったけど、何となく()()()()()を感じていた。そこで、『ミレニアム』入学後に関連分野の勉強や研究を優先して行い―――[レッドクロス・クライシス!]を生み出した。ヘビーマシンガン(HMG)の弾幕と、ロケットランチャー(RL)の制圧火力。そして[SOCOM Mk.23](サイドアーム)で近距離や室内を補う。正に私が求めていた装備だ。

 

―――『...その火力の組み合わせを、よく個人携行可能なサイズに落とし込めたわね。対人、対兵器をこなせる歩兵は大きな脅威になるわ』

―――『その頭脳をそんな自己満足の火器の設計開発に割く貴女は相変わらずですね...しかし、()()()()()()()()()()()()()()()ですし、()()()()()()()()()()()()な貴女にはお似合いですよ』

 

―――[レッドクロス・クライシス!]のお披露目を()()()()()()に行った時の反応は今でも思い出せる。これが私の『ミレニアム』での最初の成果となり、『ミレニアムプライス』でも賞を取る事が出来た。...尤も、製造依頼のせいで当時の"エンジニア部"の琴線(ロマン志向)に触れてしまい、研究の邪魔になる程にスカウトを仕掛けられ続けたのは予想出来なかったけど。

 

―――閑話休題。

 

 

「――で、そんなアリスが求める火器(聖剣)を探すついでに――そろそろゲーム開発部(この娘達)に馴染んできただろうから、次は『ミレニアム』()()()()に馴染む段階に移そうと思うの」

「――ゲーム開発部(私達)以外の部活動との交流を始めようって訳か。購買に連れて行ったりしたことはあるが、ゲーム開発部(私達)以外の部活動と接触したことはないからな」

「――!アリス、ついに冒険に出られるんですね!」

 

 私が言わんとする事を察したマリサの言葉に頷くと、アリスが嬉しそうに目を輝かせる。―――多分にゲームやゲーム開発部(マリサ達)の影響を受けているけど、『廃墟』から連れ出した当初に比べればとても人間らしくなった。故に、『ミレニアム』生として校内に馴染ませる頃合いだと判断した。

 

「えぇ、その通りよ。それで、アリスが望む()()を探すことも兼ねてまずは――」

 

 

 

 

 

 

「――機械の専門家たる"マイスター"の集団。『ミレニアム』随一、最先端の技術が集まる場所。そして――万年"セミナー"を悩ませる()()()()()()()。"エンジニア部"に向かうわよ」

 

 


~『ミレニアムサイエンススクール』 技術棟~

side-"先生"

 

「――"部長"!!なんなのこの予算配分?!前期の予算をそっちで溶かしておいてまたこの額を...!」

「これは必要な経費なんだ()()()。私達の目的に向けて前進する為にね。...これでも譲歩したつもりなんだけどね。"部長"として、他部員の開発も支援しないといけないから」

「だったらこの予算の三割は他に回して欲しいんだけどなぁ?!()()()()()()も大概だけど、"()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()"ってぼやいてるんだから!」

 

―――『部活動エリア』を離れ、道中アヤが"当番に留守を任せっぱなしも良くないし、そろそろ『シャーレ』に戻る"と別れ、ユメミの案内で"ゲーム開発部"と"RABBIT小隊"の面々と共に"エンジニア部"の拠点だという『技術棟』に入ると、いきなり大きな声と落ち着いた声のやり取りが聞こえて来る。

 ガトリングガンを二門載せた薄く紫色を帯びた白いロボットらしきの傍で工具を広げて作業中らしき―――紫色の長い髪、『ミレニアム』の制服の上にグレーのジャケットを羽織った、落ち着いた雰囲気を纏う三年生らしき娘に対し―――緑色のセミロングヘアの上に緑の迷彩柄の帽子を被り、頭上に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を浮かべ、『ミレニアム』の制服の上に帽子と同様緑の迷彩柄のジャケットを羽織り、茶革のブーツを履いた娘が、タブレットの画面を見せながら大声で抗議している様だ。どうやら部内での予算配分で揉めている様だけど―――

 

 

「――おや、随分と大所帯だね。しかも知らない顔がこんなにも..."エンジニア部"へようこそ。――ユメミは兎も角、マリサも来るなんて珍しい。遂に"ミニ八卦炉"の解析を認める気になってくれたのかい?」

「――き、"教授"?!それにマリサまで!」

「おぅ、久しぶりだなタカネ。相変わらず金勘定は大変そうだな。...そんなつもりはないし、無理矢理やるってなら――()()()()()()()()()()からな、"部長"。

 用があるのは確かだが、私はゲーム開発部(ウチの部員達)との付き添いだ。――皆、この紫の髪のが現"部長"の『白石(しらいし)ウタハ』。緑の迷彩の方が"会計"の『山城(やましろ)タカネ』。元"セミナー"だ」

「そんなことをされては堪らないね。()()()引き下がろう。ご紹介に預かった『白石ウタハ』だ。よろしく頼む」

「元"セミナー"、今は"エンジニア部"会計の『山城タカネ』だよ。よろしくね」

 

―――二人が私達に気付き、マリサを見て声を掛けるとそれぞれで異なる返事を返し、二人を紹介してくれる。どうやら彼女が元"エンジニア部"所属だったのは確かである様だ。

 

「"――"連邦捜査部"『シャーレ』顧問、"先生"だよ。よろしく"」

「――『シャーレ』指揮下、『SRT特殊学園』"RABBIT小隊"小隊長"RABBIT1"『月雪ミヤコ』です"」

「――同じく"RABBIT小隊"ポイントマン、"RABBIT2"『空井サキ』」

「――同じく"RABBIT小隊"オペレーター、"RABBIT3"『風倉モエ』。よろしくねー」

「――ら、"RABBIT小隊"スナイパー、"RABBIT4"『霞沢ミユ』、です...!」

 

―――マリサの紹介を受け、私達も自己紹介する。

 

「『シャーレ』か...『アビドス』での活躍の噂は勿論私達にも届いてるよ。――私達が『カイザーPMC』に提供した()()()()()()()()が有効だと証明かれたおかげで、開発が大いに加速したからね」

「"――そう言えば、あの()()()()()()()は君達から得た技術だと言ってたね。確かにあれは作戦で大きな貢献を果たしてくれたよ。――本当に、ありがとう"」

 

 ウタハの言葉で『アビドス』での『ビナー』討伐作戦で致命の一撃を与えた()()()()()()()の事を思い出し、微笑みながらお礼を述べて頭を下げる。

 

「こちらこそ、お礼を言わせて欲しい。()()()()()()()()()で折角確立した理論の実証ができずに頭を悩ませていたけど、『アビドス』で――あそこで活動することを選択した『シャーレ』や『カイザーPMC』のトオル"理事"、支援者達のおかげで貴重なデータが得られたんだ。――ありがとう、"先生"、『シャーレ』の皆」

 

 ウタハも微笑み、お礼を返す。―――()()()()()()()が無ければ、『ビナー』討伐は成し遂げられなかっただろう。『アビドス』にとっても、ウタハ達"エンジニア部"にとっても、お互いの利益が嚙み合った奇跡と言えるだろう。

 

「――さて、君達はミレニアム(ウチの生徒)のようだけど初めて見る顔だね。だが――マリサが居るということは、"ゲーム開発部"の娘達だね?」

「その通り!私は"ゲーム開発部"シナリオライター、『才羽モモイ』!よろしくね!」

「...同じく"ゲーム開発部"イラストレーター、妹の『才羽ミドリ』です。お姉ちゃん共々、よろしくお願いします」

「げ、"ゲーム開発部"部長の『花岡ユズ』、です...よ、よろしくお願いします...!」

「"ゲーム開発部"期待の新人にして勇者を目指す者!『天童アリス』です!」

 

―――ウタハはモモイ達に目を向け、マリサを一目見て予想を立てるとモモイが頷いて自己紹介し、三人もそれに続く。

 

「――四人共、よろしく頼むよ。ミニ八卦炉(彼女の相棒)のことで()()()()()()()()()になってしまったけど、マリサが努力家で頼りになる娘であることは保証するよ。ゲーム開発という私達の分野とは少し方向性が違う開発でも、きっと君達の支えになるだろう」

「実際頼りになってるよ!危ないことになれば私達の前に立ってくれたり、私達の意思や決定も尊重してくれるし!」

「そうです!マリサはRPG序盤から同行してくれるベテランのように頼りになります!」

「そ、それだと途中で何か起きて離脱することになるんじゃ...」

「辞めるつもりはないから心配するな、ユズ。私は一応二年生(先輩)だからな。一年生(後発)の面倒を見て、前に立つものだろ?」

「ふふ、部活動を移っても変わりないようだね、君は。――さて、エンジニア部(ここ)に来たのは顔合わせだけじゃないだろう?」

 

 マリサの言葉を聞いたウタハは満足そうに頷き、用件を尋ねる。

 

「はい!アリスは今、勇者に相応しい聖剣を探しています!高名な鍛冶屋であれば見付かるかもしれないので、最初の探索クエストとしてここに来ました!」

「――要はワンオフの銃をアリスは求めてるんだ。それも、"教授"の[レッドクロス・クライシス!]みたいなヤツをな」

「――成程ね。[レッドクロス・クライシス!]のように設計製造を私達に依頼したいのかな?」

「それでは遅すぎます!アリス達は『G.Bible』捜索クエストがメインクエストなんです!これをクリアできなければゲーム開発部廃部(パーティー崩壊)となって失敗してしまうので、何としても、できる限り早く成し遂げなればいけないんです!」

「――アリスは[M17](支給品のハンドガン)じゃ満足しなくてな。銃を持たせずに外で行動させる訳にもいかないし、エンジニア部(ここ)なら――()()()()()()()()()使()()()()()()()があるだろうと思ってな。設計から始めるんじゃ時間が掛かるし、既にできたものが欲しいんだ」

 

 アリスの言葉をマリサが翻訳する。

 

「ふむ...銃火器は幾つかある筈だけど結構前に開発して以来だから、何処に置いたか分からないな。タカネ、君は知ってるかい?」

会計(金庫番)の仕事が多すぎて碌に開発(活動)もできてない私が、倉庫とか開発品の保管状況なんて知る訳ないでしょ...」

 

 ウタハが顎に指を添えて考え込みながらタカネに尋ねると、呆れた様な表情を浮かべて知らないと答える。―――"エンジニア部"の予算はかなり大きいと言うから、タカネの反応や表情を見るに予算管理は本当に大変みたいだ。

 

「――なら、"エンジニア部"の紹介ついでに銃火器を探してアリスに試してもらおう。銃火器以外にも、きっと君達の興味を惹くものやゲーム開発のプラスに繋がるものがあるかもしれないしね」

「――!つまりフィールド探索ですね!」

 

 ウタハの提案にアリスはまた目を輝かせる。―――『アビドス』でトオルも言っていたけど、"エンジニア部"は予算を多く取る分技術もあるらしいから、その産物を見たり触れたり出来るいい機会だろう。

 

「"エンジニア部(君達)を知るにもちょうどいいね。じゃあ――"」

 

 

 

 

―――ウィィン...

 

 

「――やぁやぁタカネ、"部長"から予算はぶん取れたかい...って、ひゅい?!知らない顔が沢山?!」

「――あら、確かに大所帯で、知らない顔が大勢ね」

 

―――『第二ガレージ』と銘打たれた自動ドアが開くと二人の生徒が出て来る。

 

―――一人は青い髪を赤い木の実の様なアクセサリーでツインテールで結い上げ、緑色のキャスケット帽を被り、頭上に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を浮かべ、『ミレニアム』制服の上に水色のジャケットを羽織りポケットが沢山付いた水色のスカートと水色のブーツを履き、背中に大きな緑色のバックパックを背負った娘で、私達を見て驚いた様に声をあげる。

―――もう一人は紫色の長髪に白いヘアリボンを留め、頭上には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を浮かべ、『ミレニアム』生の白いシャツに水色のネクタイを締め、白衣を羽織り、黒いズボンと黒いブーツを履いた娘が眉を上げて眼鏡の下の紫色の瞳で私達を見回す。

 

「――おや、ちょうどいいタイミングだね。()()()()()()。彼らは『シャーレ』と"ゲーム開発部"だ。エンジニア部(私達)で作った銃火器を求めて訪問してきたそうでね。部の紹介ついでに探してあげたいから、君達も手伝ってくれるかい?」

「そんな暇は...と言いたい所だけど、()()()()のおかげで()()()()()()()()()()()()()()()()()()からそれ位ならいいわよ。――っと、紹介が遅れたわね。"エンジニア部"所属、二年生の『朝倉(あさくら)リカコ』よ」

「同じく二年生、『河城(かわしろ)ニトリ』だよ。私もリカコと同じく()()()()()()()()()から、今ならお安い御用だよ」

 

 二人の生徒―――リカコとニトリは自己紹介してウタハの提案を受け入れる。予算を多く取っていても、二人の様に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()状況になるとは、どうやら均等な配分が行われている訳でも無さそうだ。

 

「私は[(いかずち)ちゃん]のメンテナンスを終わらせたら向かうから、先に行って案内や開発品の紹介を頼むよ」

「分かったわ。――軽く注意しておくわ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()。とりあえずこれだけは守ってちょうだい」

「"当然のマナーではあるけど、新しい物、知らない物を見ると興奮で触りそうになったりするからね。気を付けるよ"」

 

 ウタハは傍に鎮座するロボットを見て先に行く様にと促し、リカコが出発前に挙げた注意喚起に頷く。

 

「――じゃあ、まずは『第二ガレージ』に行くよ!ここ『技術棟』でも一番大きな施設だよ!」

 

―――ニトリが先頭を歩き出し、私達もついて行く―――

 

 

―――to be continued―――

 

 

 

*1
元ネタ:任〇堂の超ビッグタイトルお祭りゲーム




 ということで、エンジニア部の登場でした。以外な事に中間層の二年生が居ない原作エンジニア部。絶対居るよなとにとり、ジェットパックから()学より()学だろうと理香子をキャスティング。
 そして原作では商売人だけど、山童という河童とほぼ同類の種族だからエンジニアの知見もありそう...と元"セミナー"所属だけど、"エンジニア部"の金庫番として転部したたかねも入れてみました。まぁ、エンジニア部にユウカみたいな予算に頭抱える娘が欲しかったとも言う()

 次回、エンジニア部探索です。

~生徒紹介~

名前:河城(かわしろ) にとり
所属校:ミレニアムサイエンススクール
学年:二年生
部活動:エンジニア部
装備:RL(MK153 SMAW(キューカンバー・ブラスト))

名前:朝倉(あさくら) リカコ
所属校:ミレニアムサイエンススクール
学年:二年生
部活動:エンジニア部
装備:SMG(LWRC SMG-45(ロケット・フライハイ))

名前:山城(やましろ) タカネ
所属校:ミレニアムサイエンススクール
学年:二年生
部活動:エンジニア部"会計"
装備:AR(Colt M4A1(フォレスト・カモフラージュ))
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。