Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~   作:八坂 義景

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前回に続き、『廃墟』探索の導入です。


File46.M-7~探索クエスト:神ゲーの聖典②~

~廃墟監視サイト01 メインゲート前~

side-ミヤコ

 

―――キュラキュラ...

 

―――私達含め誰もが困惑を隠せない中、真っ黒に塗装された[M1A2 SEP V2]が速度を緩めて止まり、エンジン音が小さくなっていく。黒いだけでは無い。遠隔操作式の銃塔の形状は()()()()()()()()()()()()()に変貌していて、索敵の挙動なのかギョロギョロと()()()()()()()()()()()()()()()()が動く。

 

―――スタッ...

 

「っと...おぉ!ここが『廃墟』の監視拠点...!」

「っしょっと...」

「――おぉ!これは真っ白なお城のようにも見えます!」

「――よっと...ユズ、大丈夫か?」

「だ、大丈夫...っとと...」

 

―――車長キューポラからモモイさんが最初に降り立ち、続けて残る"ゲーム開発部"の四人が降りてくる。そして―――

 

 

―――ガコン...

 

「――土壇場で迎撃を止めるとは。ついでに[イビルアイΣ]の防御性能評価も行いたかったのに残念なのです」

 

―――先端を赤いリボンで留めたおさげを二つ垂らし、赤い戦車兵ヘルメットを被った頭上に紫色のヘイローを浮かべ、『ミレニアム』制服の白いシャツに水色のネクタイを締め、その上に紫色のジャケットを羽織り、ポーチ付きベルトを締めた茶色のショーツを履き、茶色のブーツを履いた一年生(同学年)らしき『ミレニアム』生が、不満そうな表情を浮かべながら車体のキューポラから出て降りて来る。

 

「"――君は一体...?"」

「――『ミレニアム』一年生。"エンジニア部"の"戦車技師"、『戦娘(せんこ)リカ』なのです。部長から『シャーレ』と"ゲーム開発部"のことは聞いているのです。[光の剣:スーパーノヴァ]がそこのアリスの手に()()()()()()、ついでに[イビルアイΣ]の性能評価を行うべく"ゲーム開発部"の皆を連れて来たのです」

 

―――"先生"の問いにリカさんはそう答え、()()()()()()()()アリスさんを一目見てから背後の[M1A2 SEP V2(黒塗りの戦車)]に目を向ける。

 

「――ただの移動でこんな戦車を使うなんてどうかしてるぞ...警戒損じゃないか」

「こんな戦車じゃないのです。最強究極の戦車を目指す[イビルアイΣ]なのです」

 

 サキさんが勘弁してくれと言いたげに頭を抱えてぼやくと、リカさんは据わった眼差しでサキさんを見つめて訂正する。

 

「――コイツ"エンジニア部"所属ではあるんだが、普段から『技術棟』じゃなくてその近くにある『車輌整備場』を拠点にして籠ってばかりでな。戦車開発だけでなく、ミレニアム(ウチの学校)で保有してる戦車の整備も一手に引き受けてる――『ミレニアム』随一の()()()()だ」

「褒め言葉感謝なのです。夢を追い求める者はバカでなきゃやってられないのです」

 

 マリサ先輩がリカさんについて説明すると、リカさんはバカ呼ばわりされても表情を変えず言い返す。―――普段から技術棟(エンジニア部の拠点)に居ないのであれば、一昨日面識が無かったのも納得だ。

 

「"――それで、どうしてイビルアイΣ(この戦車)で来たんだい?"」

「アリスちゃんが[光の剣:スーパーノヴァ]を受け取ったので、ついでに"エンジニア部"に移動手段の手配をお願いしたんです。当初はサナエ先輩が車を出してくれる筈だったんですが...」

「そこに珍しく整備場から出てきたリカ(コイツ)が来てな。モモイ達に紹介して、移動手段について話したら渡りに船だと[イビルアイΣ]での移動を提案してきたんだ」

 

 "先生"の問いにミドリさんとマリサ先輩が経緯を説明する。確かに、リカさんは性能評価ついでにと言っていた。

 

「[イビルアイΣ]のエンジンを更新して今期配分の予算が枯渇したので、部長に予算融通をお願いしにきたらマリサ達が居たのです。移動手段()を求めていたので、ついでに性能評価ができたらと、"ゲーム開発部"を乗せたのです」

「いやー、まさか戦車に乗るなんて思わなかったよ。アリスがすごく乗りたがったからリカの提案を受け入れたんだけど...こんなことになるなんて」

 

 モモイさんは先程まで私達に迎撃態勢を取られていた事を思い出したのか、疲れた表情を浮かべて項垂れる。

 

「そりゃ戦車が突っ込んでくるんだから敵襲だと思うだろ普通...事前に連絡してくれればこうして迎撃態勢を取ることもなかったと思うが」

「それに関してはすまん...リカの奴がやたら飛ばすから私達は耐えるので精一杯だったんでな」

「機動性と耐久性の評価なので最大出力で飛ばすのは当然なのです。それに、若干の遅刻も補えたので結果オーライなのです」

 

 サキさんが半目でモモイさん達を見回して指摘すると、マリサ先輩はそう答えて頭を掻き、リカさんはまた悪びれる様子も無く当然だと反論する。―――(モミジ)先輩の報告では目測でも時速百キロ以上出ていたらしいから、その速度で曲がったりしては相当揺れるだろう。そのせいで私達への連絡が出来なかった様だ。

 

「..."教授"も大概だけど、やっぱり『ミレニアム』は()()()()()()()()()娘が多いわね。――さて、貴女達が少し遅れると言っていた五人ね?」

「あぁ、そうだぜ。今回の『廃墟』探索に加わる"ゲーム開発部"だ」

「まさか戦車で乗り付けて来るなんてね...一応身分確認は行いましょう」

 

 苦笑するカゲロウ先輩が確認し、マリサ先輩が頷くと(モミジ)はそう言って近くの"防衛室"の方々に目配せし、"防衛室"の方々は頷いて()()()()()"ゲーム開発部"の面々の身分確認を行う。

 

「――確認が取れました」

「よろしい。――人が揃ったなら、作戦会議(ブリーフィング)に移りましょうか。当直班はしばらく警戒を強化してください」

「了解しました」

 

 一分程で身分確認が終わり、(モミジ)先輩は"防衛室"の方々に警戒強化を指示する。―――戦車に乗っていたのが"ゲーム開発部"の面々だから良かったけど、こんな事態が一度起きてしまっては警戒を強化するのは必然だろう。

 

「では、改めて指揮所に行きましょうか」

「はい」

「"分かった。行こうか"」

「『廃墟』...[イビルアイΣ]がどれだけ戦えるか楽しみなのです」

 

 "防衛室"の方々が本来の配置に戻り始める中、私達もカゲロウ先輩の先導でサイト内に―――

 

 

 

 

「――待て。今回のメンバーじゃないのになんでついて来てるんだコイツ?!」

「うわ、しれっと私達と一緒に来てるじゃん?!」

「...?」

 

―――サキさんが声をあげ、モモイさんが続いてツッコむ様に声をあげる。私も含め一斉にリカさんに顔を向けると、リカさんは不思議そうに首を傾げる。

 

「――リカ、私達が頼んだのはここまでの送迎だ。性能評価はついでの個人的なものだろ」

「実戦環境での評価なんて『ミレニアム』に居ては早々できないのです。危険な場所なら[イビルアイΣ]を狙う敵も居るだろうしちょうどいいのです。最強究極の戦車実現の為に協力しやがれなのです」

 

 マリサ先輩が指摘するも、リカさんはまるで当然と言いたげに協力を要求する。戦車となればここまでブレない―――()()()()という例えは的確だ。

 

「――仕方ないわね。万が一()()()になった場合の備えとして、()()()()()()で認めましょうか」

「...確かに、"連邦生徒会長"より我々に通達された岡崎"教授"に与えられた『廃墟』に関する権限であれば受け入れは可能です。...()()()()()()()()()()を取った者を入れるのは、正直反対したい所ですが」

「流石、"教授"はよく分かってるのです。[イビルアイ∑]もサイト内に入れて、ついでにエンジン周りの状態も診るのです...!」

 

 "教授"が見かねた様に息を吐き、『廃墟』に関する()()()()で受け入れると提案し、(モミジ)先輩が渋々と言った表情で賛意を示すと、リカさんはパアッと笑みを浮かべて[イビルアイ∑]の車体キューポラから車内に入ってしまう。

 

「すまないな"教授"、皆。いきなり一人をねじ込むことになっちまって...」

「一人位なら構わないわ。『廃墟』地上部の探索は初めてだし、もしかしたら戦車の火力が必要になる可能性は否定できないしね」

「"行動は兎も角、良くも悪くも『ミレニアム』らしい娘だね。――じゃあ、改めて指揮所に向かおうか"」

 

―――グィィィン...!

 

 "先生"の言葉に頷き、[イビルアイΣ]から再びエンジン音が響き始める中サイト内に足を向ける―――

 

 


~『廃墟』監視サイト01 会議室~

side-"先生"

 

「――では、我々"WOLF小隊"より『廃墟』について説明させていただきます」

 

 (モミジ)はそう音頭を取り、『廃墟』全域の俯瞰図を広げたテーブルを囲む私達を見回す。

 

「――『廃墟』管理権が"連邦生徒会"に移管されて以来、"防衛室"が領域の封鎖と監視を一手に引き受けて来ました。ここ『監視サイト01』を指揮所とし、『廃墟』領域境界をカバーする全十ヶ所にサイトを配置しています」

 

 (モミジ)が説明しながら、カゲロウがサイトの位置を示す黒い駒十個を『廃墟』領域境界に並べていく。サイト間の距離は大凡等間隔で、領域を囲う様に配置されている。

 

「サイトには"防衛室"より抽出された人員が一個小隊駐屯していますが、指揮所でもあるここ『サイト01』には二個小隊と我々"WOLF小隊"が監視及び、()()()()()要員として配置されています」

「"監視は兎も角、()()()()()?"」

「私達が来る以前は()()()()()()()()()は必要なかったのよ。――私達が配置されたのは二ヶ月くらい前。()()()()()()()が度々侵入しているのが確認されて、駐屯部隊が捕縛を図ったけど悉く逃がしてしまうものだから、広域監視、標的捕縛に長ける私達に白羽の矢が立ったのよ。――まぁ、発見は早くなっても、()()()()の逃げ足も速くなってしまっていたちごっこだったのだけど」

「~♪」

 

 カゲロウは私の問いに答えながらユメミをキッと睨み、ユメミは目を逸らして口笛を吹く。

 

「...カゲロウでも追い切れない逃げ足は兎も角。サイト01(このサイト)は高所にあるので、『廃墟』を見下ろしての監視が可能です。()()()()もあって、『廃墟』全域が()()()()()()()()()()()()

「"...この広さを一人で見張れるのかい?"」

「はい。――私は()()()()()()()()を持っていますから。廃墟の端、境界を彷徨う小型ドローンだって見えます」

(モミジ)先輩が"千里の監視者"と呼ばれる所以ですね。(モミジ)先輩が侵入者、目標(ターゲット)を捕捉し、カゲロウ先輩が迅速に発見地点に向かい、捕縛、制圧する――それが"WOLF小隊"の戦術です」

 

 (モミジ)が持つ広大な視界の技能を知って驚くと、ミヤコが補足する。―――『ミレニアム』自治区全域と同等かそれ以上に広大な『廃墟』を、サイト01(このサイト)からでも()()()()()()()―――文字通り()()()()()()()なんて凄い才能だ。『廃墟』の監視要員としてはこの上無く最適だろう。でも―――

 

「"成程..."WOLF小隊"はこの上無く最適な配置なんだね。――けど、(モミジ)一人に監視を任せるのは危険じゃないかい?彼女だって飲食や睡眠は必要だろうし――連日連夜寝ずの番という訳にもいかないだろう?"」

「その為のヘリ配備よ。各サイトに一機ずつ配備してるから、モミジが万が一監視任務(この任務)を離れる事態になってもカバーできる監視、哨戒網を構築してあるわ。...本当はドローンも追加して更に省力化を図りたかったけど、予算が厳しくてね」

 

 私の懸念に対してカゲロウが対策済みだと答え、困った様に眉を八の字に曲げる。各サイトに一機ずつ―――即ち計十機ものヘリも監視要員として活用している様だ。機数が多いと感じるけど、広大な『廃墟』全域をカバーするならこれだけの機数が必要だろう。更にヘリの維持、人的コスト軽減も図ってドローンも配備しようとしていたけど、予算不足でそれが実現出来なかったのは[イビルアイ∑]接近時の緊急対応の最中で聞いている。

 

「それに私自身でも体力、能力の限界は把握していますから、ご心配には及びません。――さて、『廃墟』と我々の監視体制については以上となります。続いて、我々の監視任務の中で確認された()()について説明します」

 

―――(モミジ)が次の説明へと切り替え、地図の上にヘリからの空撮らしき写真のコピーを並べていく。

 

「――まずはオートマタ。白とネイビーブルー、二種の機体色が確認されています。キヴォトスで現在流通している型式とは明らかに異なる技術が使われているようで、相手に合わせて戦術を変える高度なAIも脅威ですが――何より武装が異質です。放たれる青い曳光からの速い弾速と高い貫通力...現行のアーマーでも耐えられるか怪しい所です」

 

 (モミジ)は並べた写真の内の二枚を指し示して説明を始める。白いオートマタは『アビドス』でも見かけた事があるけど、ネイビーブルーのオートマタも色の違い以外は同型に見える。そして、このオートマタが持つ武装は確かに異質だ。

 

「"――この白いオートマタは『アビドス』でも見かけたことがあるね。生徒達が交戦したことがあるけど、武装は確かに異質だね。青い曳光と軽い銃声――SF系のゲームで見られるレーザーライフルとか、ビームライフルの類だと思うよ"」

「私達も、探索でこの白いオートマタに見付かって、何度か戦ったことがあるけど...レーザーライフルとかビームライフルが現実(リアル)に存在するなんてね」

 

 私の言葉に続けてモモイが感心する様に頷く。―――『アビドス』でも見かけたものと同型のオートマタが『廃墟』にも存在する。少なくとも、『アビドス』と『廃墟』には()()()()()()()の産物が存在している様だ。

 

「光学兵器をライフルレベルにまで小型化しているのは、流石古代文明という所かしらね。『ミレニアム』でも、[光の剣:スーパーノヴァ(レールガン)]が最先端だからこのライフルも"オーパーツ"の類ね。

――でも、レーザーやビームなら()()()()()()()()()が期待できるわ。光学兵器の弱点は水分子による乱反射だからね。とはいえ、水を用いる兵器を開発するよりはEMPでオートマタそのものの無力化を狙うのが現実的ね。基本的に精密機械にとって外部からの大電流、大電圧は危険だから。実際、試作した[EMP弾]もこのオートマタに大きな効果を上げたわ」

「成程...折を見て"防衛室"、"連邦生徒会長"にEMP兵器の検討と配備を上申してみましょう。...現状だと検討止まりになりそうだけど」

 

 ユメミの"教授"らしい言葉にカゲロウは関心した様に頷き、自分達でもEMP兵器の配備を考えてみると答える。

 

「"連邦生徒会"がダメならミレニアム(ウチ)に頼ってもいいわよ。[EMP弾]を起点に『廃墟』探索向けの武装はちまちま開発してるから、評価試験の名目で融通は効くわ」

「ありがとうございます、岡崎"教授"。...常習的な無駄侵入が無かったらもう少し信用できるのに...さて。このネイビーブルーの個体は目撃は稀で交戦数も少ないですが、性能は白い個体と遜色はありません。――我々が現状、()()()()()()()()()目標(ターゲット)と判定しているのがこの()()()()()()()()()()です」

 

―――(モミジ)は真剣な眼差しを宿し、路地を浮遊する()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()黒、灰色、淡い紫色で構成されたドローンらしき物を指し示す。

 

「――これは...私も見たことがないわね。この戦闘用、メンテナンス用のドローンともまるで違う...この触手やアーム...何かのデータにあったような...

 

 ユメミは興味津々な表情を浮かべ、傍に並べられた二種のドローンと見比べながらブツブツと呟き始める。どうやら何度も()()して来たユメミでも見た事が無い物らしい。オートマタやドローンと比べても明らかに異質な見た目だ。機械ではあるけど、不気味な生物の様にも見える。

 

「我々"WOLF小隊"が配置される以前から、極々稀に徘徊が確認されていたそうでしたが――一週間程前の()()()()()()()目撃以降、数が増えたのか活動が活発化したのか...発見報告が増加傾向にあります」

「発見が増えるだけならいいけれど――不気味なのは、こちらを見てもオートマタやドローンと違って迎撃態勢を取ったりせず、そのまま()()()()()()()()徘徊を再開する挙動が多数確認されている点よ。迎撃行動を取らないから、武装や性能も不明...厄介な存在よ」

 

 (モミジ)とカゲロウは写真を見ながら説明する。()()()()()()()―――ユメミの話を思い返せば、恐らくアリス発見後のマリサによる脱出口を造った時のものだろう。言葉には出さないけど、(モミジ)達はアリスを連れたユメミ達を見付ける事は無かった様だ。任務を果たせなかった二人には申し訳ないけど、あの時にアリスが見付かっていたら状況は大きく変わっていただろう。

 

()()()()()...まだ『廃墟』には何かありそうですね」

「無い方がおかしいでしょ。これこそ見た目だけでも明らかこの時代のものじゃないしさ」

「発見頻度が上がったタイミング的には、()()()()()()()()()()()()()()()()()んだろうな。()()()()()()()ってことは、()()()()()()()()()()()()()から、とかな...まさかな...だがタイミング的には...

 

 ミヤコ、モエに続いてマリサが推察を挙げ、ポツリと何か呟く。

 

「――『廃墟』で現状確認されている脅威については以上です。探索にあたり、これらとは違う存在、新たな挙動が確認された場合は情報を共有してもらえると我々としても助かります」

「地上部じゃ私でも知らない物が沢山ありそうだしね。()()()()()()情報を共有しておくわ」

「...まぁ、情報を共有してくれるだけ感謝しておくわ。――最後に、今回の探索における体制についてね。まず、このサイトから陸路で『廃墟』内に入域できるこのルートで入って貰うわ」

「ふむ...移動はリカの[イビルアイΣ]を利用しましょうか。中に乗り切れなくてもデサントできるし、()()()()()()に即応できるように『廃墟』の傍で待機させておきたいわ」

 

 カゲロウが最後の議題に切り替え、地図上でサイト01(このサイト)の奥から『廃墟』に伸びる道路を指で示して辿り、ユメミがリカの[イビルアイΣ]を足兼万が一の戦力として利用する事を提案する。―――交戦は避けていくつもりだけど、大規模な交戦が発生する可能性はゼロではない。その時に[イビルアイΣ(戦車)]の火力と装甲は頼りになるだろう。

 

リカ(戦車バカ)がじっとしてられるかは不安だが、万が一の時に頼りになりそうなのは確かだな。...リカ(アイツ)ならついて行きたがるだろうが、未知の場所でいきなり交戦(派手なドンパチ)は色々マズいしな」

「確かに、万が一が起こった場合の即応戦力はあってもいいわね。その提案を受け入れましょう」

 

 マリサとカゲロウが賛意を示し、リカの[イビルアイΣ]の利用方針も決定する。"ゲーム開発部"を送るついでに性能評価を図る程に戦車好きの彼女には申し訳ないけど、マリサの言う通り『廃墟』という未知の場所で望んで騒ぎを起こすつもりは無い。

 

「――最後に、我々"WOLF小隊"はこのサイトからの監視、索敵で皆さんの調査をサポートします。()()()()であれば任務との同時進行も可能ですから。

 それから、調査を切り上げる場合は通信で帰還を報告して下さい。恐らく皆さんの調査中にヘリの整備も終わるでしょうから、空路での迅速な回収が可能です」

「ヘリに気付いたオートマタやドローンの迎撃が懸念点だけど、そこは貴女達で回収地点(PZ)の制圧をお願いするわ。ヘリが降りる以上騒ぎになってしまうからそこは仕方ないわ」

「"千里の監視者"の()()()()の支援があるのはありがたいわね。"先生"の"シッテムの箱"もあるけど、未知の場所なら支援は多いに越したことはないしね」

 

 (モミジ)の言葉にユメミは頷く。個人的には(モミジ)の負担が増える事が気になるけど、ユメミの言う通り『廃墟』という未知の場所に本格的に入る以上、支援は多い方が良い。

 

「"確かに支援は多い方がいいね。――でも、(モミジ)は無理しないようにね。最悪、こっちも調査を切り上げて戻るから"」

「...噂通りの方ですね、"先生"は。ですが、お気遣いありがとうございます。――では、今回の『廃墟』調査の作戦会議(ブリーフィング)は以上となります。何か質問や提案などはありますか?」

 

 (モミジ)はそう言って私達を見回すけど、私含め皆から沈黙が返って来る。

 

「――無いようですね。では作戦会議(ブリーフィング)を終了します。イビルアイΣ(戦車)の整備が終わりましたら、出発としましょう」

「――あぁ、そうだわ。各々の銃器、弾薬は大丈夫かしら?必要なら案内するわ」

「弾薬は大丈夫ですが、念の為銃器はメンテナンスしておきたいですね。いざ交戦状態になった時にトラブルが起きて撃てないでは話になりませんから」

「そうだな。『ミレニアム』を出る前にやったが、一応もう一度メンテナンスしておくか」

「あ、私達もメンテナンスしておきたい![光の剣:スーパーノヴァ(アリスのレールガン)]の評価試験と受領で朝一から動いてたからさ」

「私は弾薬が少し欲しいな。モモイの言う通り、朝一から動いて少しバタバタしていたんでな...」

 

 ミヤコの提案にサキやモモイ、マリサが頷く。確かに、いざ戦闘となって撃てないとなっては大変だ。リカもまだ整備中みたいだし、私達も万全を期して出来る事はやっておくべきだろう。

 

「分かったわ。弾薬が欲しい娘は(モミジ)について行って。私は作業台の方に案内するわ」

「分かりました。では、こちらに――」

 

 (モミジ)、カゲロウそれぞれが歩き出し、各々ついて行く―――

 


~『廃墟』 サイト01方面侵入路~

side-マリサ

 

―――キュラキュラ...ガクン...

 

「――"RABBIT小隊"、周辺索敵!」

「「了解!」」

 

―――[イビルアイΣ]が嘗ては大勢が行き交っていたであろう―――今は罅割れ、陥没、草木に塗れた交差点で止まり、ミヤコ達"RABBIT小隊"が先に降りて四方に散って周囲を索敵する。

 

「――クリア!」

「――クリア!」

「――こっちもクリア!」

「――く、クリア...!」

 

「――敵影無しか。私達も降りるぞ。よっと...ほら、ユズ」

「う、うん...っと...!」

 

―――十数秒後、四人が敵影無しと報告し、私達もデサントしていた[イビルアイΣ]から降り、ユズの降車を支えてやる。

 

「よいしょっと...!」

「っと...わぁ、すごい風景...!」

「っと...おぉ、これは探索しがいがありそうです!」

 

 私とユズに続いてモモイ達も降りて、各々嬉しそうに目を輝かせる。

 

―――ガコン...

 

「"っと...ここが『廃墟』..."」

「っしょっと...改めて見ると地上部も探索しがいがありそうね」

 

 私達が降りた後砲塔のキューポラが開き、念の為で[イビルアイΣ]の中に乗せておいた"先生"と"教授"も降りて来る。

 

―――ガコン...

 

「――では、私と[イビルアイΣ]はここで待機するのです。...どうせなら、ここまでオートマタやドローンを連れて来て帰還しても構わないのです」

「流石にそんな危険なことはできないわ。...[イビルアイΣ]に近付くオートマタやドローン(脅威)に対する()()は許可したんだから、今回はそれで我慢してちょうだいな」

「......分かってるのです」

「おい、その間はなんだその間は」

 

 車体の操縦手キューポラが開いてリカが顔を出し、出発前に説得して、今の"教授"の言葉でも尚不満そうなリカの返事の()()()()()に思わずツッコむ。この辺りでオートマタやドローンを見かける事はかなり稀らしいのが幸いだが...

 

「"はは...自衛は兎も角、遠目にオートマタやドローンを見付けて撃っちゃったりして無用な騒ぎは起こさないでね"」

「分かってるのです。無駄撃ちで『廃墟』に二度と入れないなんてことは御免被るのです」

 

 私のツッコみに"先生"は苦笑しながら重ねて無駄な騒ぎは起こさない様にと注意するとリカは頷きながら"教授"を見る。―――『廃墟』入域の同行者を決める権利を持つのは"教授"だ。不興を買って入れなくなるのは戦車バカのリカも流石に避けたい様だ。

 

「――分かってるならいいわ。さて、出発前に確認よ。今回の探索の主目的は"『G.Bible』の発見と回収"。データ媒体であることは確かだから、これまで同様にコンピュータ機器や端末を重点的に探していくわよ」

 

 "教授"が今回の探索の目的を説明し、私含め皆頷く。―――『廃墟』探索を始めてから、アリスを見付けた以外に"ゲーム開発部"存続に繋がる成果は出せていない。今回の探索で『G.Bible』は是非とも見付けたい所だ。

 

「"――それから、今回は私と"RABBIT小隊"も同行するし、"WOLF小隊"の支援もある。大所帯になるし支援も手厚いけど――『廃墟』は謎が多い場所だ。何が起きても不思議じゃない。慢心せず、警戒は緩めず探索していこう。――折角だし、アリスに音頭をお願いしようかな"」

「――!」

 

 続いて"先生"が油断しない様にと注意喚起し、早く出発したいと言いたげにうずうずしているアリスに目を向ける。音頭を譲られたアリスは嬉しそうに満面の笑みを浮かべ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「――では、『G.Bible』探索クエスト開始です!」

『『『『おーーーーッ!!』』』』

 

 『廃墟』の空に私達の意気軒昂な掛け声が響く―――

 

 

―――to be continued―――

 

 




エンジニア部所属の戦車キチ娘リカの登場です。...前話書いててキャスティングしてたのに出し忘れたのでこのタイミングになりました。さて、次回から『G.Bible』探索です。果たして見付けられるのか。

ブルアカの方は給食部で新規イベント来るみたいですね。スチルでしれっと振り回される横乳は草生える。私服の給食部とセナいい...セナの夏みたいな真っ白な私服いい...

~生徒紹介~
名前:戦娘(せんこ) リカ
所属校:ミレニアムサイエンススクール
学年:一年生
部活動:エンジニア部"戦車技師"
装備:HG(M1911(タンカーソウル))
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