Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
さて、やっと『G.Bible』探索に入ります。
~『廃墟』~
side-ミヤコ
「――こちら"RABBIT1"」
『"――こちら"先生"。ミヤコ、そっちはどうかな?"』
「
―――嘗てはコンビニだったらしい廃屋のすっかり割れて無くなったショーウィンドウ傍の壁に身を隠し、
『"巡回ルート的には隙を突いての前進も難しい...ミヤコ、オートマタの
「"教授"から頂いた[EMPグレネード]はありますが...縦隊の間隔が広いので一、二体巻き込めない可能性があります」
『"成程...撃ち漏らしが出そうならこのルートは諦めよう。
「"RABBIT1"了k――」
「――ッ...!」
『"ミy――"』
―――答えようとした瞬間、視界に
浮遊する様な駆動音が身を潜めている壁の
「......」
私は只管息を潜め、この場を離れる事を祈り続け―――
「...!」
―――割れた窓から触手が伸びて羽根の様にも見える先端部を右に左に動かす様子を目の当たりにして、喉から出かかった声を必死に抑え込む。
触手は私の目の前で先端部を動かし続け、しかし奇跡的にも
―――どれ程経っただろうか。触手は外に戻っていき、声かも機械音かも分からない音を漏らしながら浮遊する様な音が遠ざかっていく。
「......」
音が聞こえなくなってから少し待ち、恐る恐る、ゆっくりと動作音を出来る限り減らして壁から外を覗き見る。あのドローンらしきものも、オートマタも居ない事を確認してインカムに触れる―――
『"――ミヤコ!やっと繋がった!大丈夫かい?!"』
「ッ...!――こちら"RABBIT1"。
―――鼓膜を揺さぶる"先生"の大きな声に一瞬肩を震わせるけど、すぐ平静に戻して報告する。
『"そんなことが...
「ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした。――"RABBIT1"、改めて偵察任務を終了し、
安堵に満ちた"先生"の言葉にそう答えながら警戒しつつ歩き出す。
『――こちらユメミ。移動しながらで構わないわ。ミヤコ、貴女が直面した状況は
「はい。ですが...私見では、通信内容まで把握しているようには見えませんでした。単に、
"教授"から通信が入り、先程直面した状況の要約に頷き、私見を挙げる。
―――仮に通信内容まで傍受していたら、
しかし、あのドローンらしきものは触手だけで、傍から見れば
故に、
『――成程ねぇ...あのドローンらしきものには
「そうですね。通信感知の可能性が浮上した今、このような人員を分離してのルート偵察は危険かと思われます」
"教授"の言葉を肯定し、人員を分離してのルート偵察は今後危険だと意見を挙げる。
『"通信内容が分からずとも、通信していると感知したら捜索の為に近付いてくる...厄介な性能だね。――アロナ、ミヤコに接近したドローンらしきものの反応は記録してあるね?"』
『はい、勿論ですよ!――今後は、この反応パターンに類似したものを感知したらすぐ報告します!』
『"ありがとう、アロナ。――ミヤコが戻ったら、皆で固まって進もう。近場の偵察位でなら人を分けるけど、万が一件のドローンらしきものが近付いた場合は回線を切ってやり過ごすことを優先するんだ"』
『探索効率は落ちるけど仕方ないわね。ミヤコ、貴女なら大丈夫でしょうけど――帰還中も気を付けて』
「"RABBIT1"、了解」
"先生"の方針変更を受け入れ、"教授"の言葉に頷いて通信回線を一度切る―――
~『廃墟』 廃ビル街~
side-"先生"
『――
「"――ユズ、今だ!"」
「は、はい...!」
―――モエの報告を聞いて即座にユズに指示を出し、彼女は表情を少し強張らせながら[
引き金が引かれ、ランチャーから砲弾が窓の外へと放たれる軽快な音が出て―――
『――こちら"RABBIT3"![EMP弾]の効力射を確認。オートマタのグループ全体に効果ありだよ!』
―――[EMP弾]の炸裂音とオートマタ達の驚いた様な、電磁波を食らった様な声が聞こえ、モエが効力射を報告する。
「"よし、皆移動するよ!"」
『道中気を付けてねー!こっちは"RABBIT4"ともうちょい監視してるから、殿は任せてよ!』
「了解。――"RABBIT2"」
「あぁ。――"RABBIT2"、"RABBIT1"と先行してルートを索敵する」
「――"教授"、そろそろ行くぞ!」
「ちょっと待って!もう少し...これで...いいわ、データ吸い出し完了!解析はお預けね」
「むむむ...もしかしたら『G.Bible』が入ってるかもしれないのにもどかしい...!」
「唸ってないで行くよ、お姉ちゃん...!」
先行偵察に動き出すミヤコとサキを見送る背後では、ユメミ達が部屋の中に据えられていたコンピュータからのデータ吸い出しを終えて動き出す。
―――ミヤコとドローンらしきものとの接触を機に全員固まっての探索に方針を変えてから暫く経った。何ヶ所かでコンピュータやサーバーを見付けてユメミがデータ吸い出しや解析を行っているものの、大半が読めない程に破損しているか、運良く解読出来ても断片的過ぎて理解出来なかったりと、現状成果は無い。
『――こちら"RABBIT1"。現ルート上に敵影なし。
『こちらも先程のオートマタのグループ以外に、私達に近い反応は捉えていません!』
「"了解。ミヤコとサキは、私達が追い付くまでそこで少し待機して警戒を"」
『"RABBIT1"、了解』
ミヤコ、アロナの索敵報告を聞いて、私達が追い付くまで警戒と監視を行うようにと指示を出す。
『――こちら"RABBIT3"。オートマタは完全に沈黙。あれじゃこっちを追いかけるのも無理だねー。"RABBIT4"と一緒に殿に就くよ』
「"了解。――モエ、ミユ。アロナも索敵してるけど、君達も自分の五感で以て索敵するんだよ"」
『了解了解。そっちも気を付けてね』
『り、了解...!』
続いてモエから[EMP弾]で制圧したオートマタのグループが完全に沈黙したと報告を挙げられ、殿として後方の索敵と警戒を重ねて指示する。
「...しっかし、『G.Bible』じゃなくても、何かしら研究に使えそうなデータやら遺物やらも禄に見つからないなんてなぁ」
「『廃墟』地上部の探索はまだ始まったばかりよ。地下も大概だし、『廃墟』の網羅は一朝一夕では不可能よ」
―――マリサが周囲警戒の眼差しを緩めずぼやくと、ユメミはすぐに見付かるものでは無いと窘める。
道路やサイトから見下ろしたあの全景でも、『ミレニアム』自治区と同等かそれ以上の規模だ。全域を探索しようとすればどれだけの時間が掛かるだろうか。しかし―――
「――でも、せめて今回で『G.Bible』は見付け出したいよ!『TSC2』を作るって決めたはいいけど...やっぱり決め手に欠けるからさ」
「今の時期的には、どこの部活も『ミレニアムプライス』に向けた提出品の仕上げや細部見直しに移り始める頃合だ。――『TSC2』を作り始めないとそろそろヤバいぞ」
「だからこそ『G.Bible』が必要なんだよ!
「――アリス、ちゃん...?」
「――お?どうした?」
「"――アリス...?"」
―――マリサとモモイが会話を交わす中、ミドリの戸惑った様な声が聞こえて振り向けば、アリスが足を止めてキョロキョロと
「...誰かが、
「――
「はい。...クエスト進行に必要な、『
戸惑うマリサの問にアリスはそう例えを挙げて答える。―――例え方は兎も角、重要なのは
「――
「アリスは
「――アリス、それを見付けたいです!アリスには、"ゲーム開発部"での経験以前の記憶はありません。いつ、どうやって
ユメミの考察にマリサが頷き、アリスは真剣な表情を浮かべてアリスに呼び掛けた存在を探したいと主張する。
「...そ、それって大丈夫なの...?私達も本来のアリスちゃん、アリスちゃんの過去なんて知らないし、もしも...もしもの話だよ?アリスちゃんが自分の過去、本来の姿を知って
ミドリは表情を顰めて懸念を挙げる。―――ゲームでも、記憶喪失系キャラクターが
「――大丈夫です!アリスの過去が、真実がどんな形であれ、アリスは勇者を目指す者であり、
「流石アリス!その勇者を目指す精神があれば、
―――しかしアリスはミドリの言葉を遮って満面の笑顔で宣言し、モモイも頷いてアリスを信じてあげようと提案する。やはり、"ゲーム開発部"の面々との交流はアリスに大きな影響を与えている。
「――アリスが自分で確信を持って大丈夫だって言うなら、こっちがとやかく言う権利はないな」
「...お姉ちゃんは兎も角「兎も角って何さ?!」、アリスちゃんが大丈夫だって言うなら、私は信じるよ」
「...わ、私もアリスちゃんを信じる...!」
「――このまま目に付いた物を漁るよりはいいかもしれないわね。でも――アリスに何かが接触した以上、予想外のことが起きる可能性がある。皆、改めて気を引き締めなさい」
「"――アリスがそうしたいと望むなら止めはしないよ。でも、ユメミの言う通りオートマタやドローンへの警戒は怠らないようにね。――ミヤコ、モエ。こちら"先生"。聞こえるかい?"」
やれやれと頭を搔くマリサの賛意に続いて私達も賛成の声を挙げ、ミヤコ達に方針変更を伝えるべく通信を繋ぐ。
『――こちら"RABBIT1"。何かありましたか?』
『――こちら"RABBIT3"。"先生"どしたのー?』
「"いきなりだけど、探索方針を変更するよ。アリスがね――――"」
通信を繋いだミヤコとモエにアリスが
「"――――そういう訳で、これからはアリスの言葉に従って移動する。"RABBIT小隊"は一度私達の下に合流して欲しい"」
『...了解しました。ですが、私達の現在地が比較的無事な部屋なので、アリスさんに関する情報の共有と確認の為にもこちらでの小休止を提案します』
「"――分かった。ミヤコの提案を受け入れる。ミヤコはサキと一緒に現在地点で警戒を。モエとミユは私達に合流できそうかい?"」
『多分そろそろ...あ、"教授"が見えた!いやー、全身赤いからよく目立つね』
「――私も見えたわ。ミユもちゃんとついて来てるわね」
ミヤコからの提案を受け入れ、モエに状況を尋ねるとそんな返事が返ってきて、ユメミの方を見やれば―――私達が通って来たボロボロ廊下の奥、遠目にこちらに手を振るモエとミユの姿と、それに手を挙げて応えるユメミの後姿が見える。丁度私達と合流出来そうだ。
「"無事に合流できるなら何よりだ。それじゃあ、モエとミユが合流したら、私達もミヤコとサキの所に向かおう"」
『"RABBIT1"、了解』
『"RABBIT3"了解だよー』
通信を切り、廊下を歩いてくるモエとミユを待つ事十数秒―――
「――"先生"、皆お疲れー。"RABBIT3"、"RABBIT4"合流したよ」
「"――モエとミユの合流を確認。二人もお疲れ様。...じゃあ、このまま警戒しつつ、ミヤコとサキの下に合流しよう"」
「二人の所に着いたら小休止だよね。そろそろ喉小腹が空いてきたからちょうどいいや」
「アリスはまだまだ元気一杯ですが、こまめな
「じゃ、私とミユでまた殿やるね」
―――二人の合流を確認し、ミヤコとサキの下へと歩き出す―――
~『廃墟』 データセンター付近の廃ビル~
side-マリサ
「...あれが『データセンター』とかいう建物か...」
「ここまでで集めた断片的なデータからの推測だけどね。この辺りは技術研究特化の地区だったみたいだから、諸々のデータを集積、管理する施設があっても不思議じゃないわ」
「大きな建物だね...こりゃ探索も大変そうだ」
ガラスが殆ど無い窓から顔を覗かせ、双眼鏡で横長の大きな廃墟建造物を眺めながら"教授"、モモイと会話を交わす。
―――アリスが
「"――アリス、
「はい!間違いなくあの建物の中から反応を感じます!それに、
「
"先生"の確認に対してアリスは力強く頷く。サキはアリスの言葉に何か引っ掛かる様な言葉を漏らしつつも双眼鏡から目を離さず外からの侵入は厳しいと意見を挙げる。私も改めて双眼鏡で『データセンター』の建物周りを見回せば―――
[[[[...Gi...]]]]
―――隊列を組む白いオートマタのグループ複数に紛れる
「――件の
―――ミヤコが接触しかけた
「"WOLF小隊"の皆さんやリカさんの[
「"うーん、どうしたものかな...他の場所からも偵察して、オートマタやドローンが少なそうな場所を――"」
『――"先生"、皆さん!地形走査を行った結果、こんなものが!』
―――アロナが声をあげ、"シッテムの箱"の画面からホログラムの立体地図が立ち上がり、私含めモモイやミヤコ、サキ、"教授"が集まる。どうやら『データセンター』と周辺の地上、地下の構造を調べていたみたいで、地下部分を見ればハイライトされた通路が一本―――
「"――地下もアリの巣みたいに複雑だけど、このハイライトされた地下通路...このビルから『データセンター』に繋がっているね"」
『はい!非常に複雑で走査はちょっと苦労しましたが、廊下みたいな構造なので、敵の数も少ないかと!』
「交戦を避けて入れるならありがたいわね。この廃ビルから行けるっていうのは
―――ハイライトされた通路を指先で辿る"先生"の言葉にアロナは自信満々に答え、"教授"も疑念を抱きながらも賛意を示す。
確かに、交戦を避けられるルートを模索しようとしている時に都合良く使えそうなルートが見付かるのは
「"――じゃあ、この地下通路を利用して『データセンター』に入ろうか。でも、敵が居ない可能性はゼロじゃないからね。引き続き警戒しながら行くよ!"」
「"RABBIT2"、了解した。またミヤコと先行偵察を受け持とう」
「ついに
"先生"の音頭に皆頷き、各々動き出す―――
~『廃墟』データセンター メインサーバールーム~
side-サキ
「――クリア!」
―――酷く乱れていたが、辛うじて『メインサーバールーム』と判読出来た電光掲示板みたいなネームプレートを打ち付けた部屋にミヤコと入ってクリアリングを行う。
照明は完全に落ちていて、私達が入ったドアからの明かりと私とミヤコのライトで、大きなディスプレイらしきものとキーボードやボタンに見えるコンソールらしきものが正面に見える。それ以外の存在―――オートマタやドローンは幸いにも居ない様だ。ミヤコと揃って敵影無しと報告する。
「外の警戒は私とミユに任せてねー」
「ふむ...照明は死んでるわね。正面の設備はディスプレイとコンソールみたいだけど動くかしら...」
「"――アリス、本当にこの部屋なんだね?"」
「はい!――あのディスプレイとキーボードの方からアリスに呼び掛けています!」
外の警戒でモエとミユを置いて"教授"達も部屋に入って来て、"先生"の念押しにアリスは力強く頷く。
―――地下通路にはオートマタもドローンも居らず、『データセンター』内へは容易に侵入出来た。しかし、建物内には
「――本当にここなのか?どうみても目の前のコンソールは動きそうにないぞ」
「マリサ先輩の言う通りだ。この雰囲気だと電源の供給も届いて――」
「――勇者を呼ぶ者よ!あなたは何者か?!」
「ちょっ、アリス勝手に――」
―――アリスがそんな呼び掛けをしながらズカズカとコンソールに近付き、モモイや私達が止める間も無くコンソールに触れて―――
―――ディスプレイに明かりが灯り、そんなアナウンスと同時にコンソール上に赤いライトでハイライトされた、
「う、動いた...?!」
「マジか...ってか、あの窪みは何だ?まるで
「――アリス、手を入れれば良いんですね?!」
「アリスまた勝手に――」
「アリス、大丈夫?!」
「アリス、大丈夫か?!」
「アリスちゃん、大丈夫?!」
―――アリスが手を入れた瞬間、カバーらしきものが閉じ、間を置かずにアリスは驚いた声をあげる。しかし、すぐにカバーは開いてアリスの手を解放し、モモイ達"ゲーム開発部"の面々がすぐさま駆け寄る。
「アリスは大丈夫です!――いきなり指先に
「無事なら...いや、無事なのか?採血って例えるなら、コイツの認証には血が――」
―――アナウンスが終わると同時に、ディスプレイに赤紫色の円を背景に『Divi:Sion System』という名前が浮かび上がる。どうやらアリスの血―――否、
「『Divi:Sion System』...?」
「何だか物々しい名前...」
「まさか起動した上に、アリスの血...いや、システムのアナウンス的には
マリサ先輩が"教授"に目を向けると―――
「ふむ...『Divi:Sion』...この名前もデータに幾つか出てたわね。やっぱり
―――"教授"は画面を見つめながら顎に指を添えて考え込みながらブツブツと呟いていてマリサ先輩の言葉には答えない。『Divi:Sion System』という名前に何か心当たりがありそうだが...
「"――アリス、
「――この『Divi:Sion System』が起動した時点で、アリスが心の中で呼び掛けても何も反応しなくなりました。多分――このシステムを使うべきなんだと思います」
―――"先生"の問いにアリスはそう答えて『Divi:Sion System』の画面を見上げる。
「使うべきって言ってもなぁ...そもそもどう使えばいいんだ?」
「うーん...ここって『データセンター』なんでしょ?だったら
―――モモイの言葉に反応したのか、画面から『Divi:Sion System』のタイトルが消え、赤紫色の円が波打つ様に揺れる。
「――マジかよ」
「――まさか本当にできちゃうなんて...」
「おぉ、モモイの予想通りです!――では、『G.Bible』という名前のデータはありますか?」
分類コード:遊戯
ライブラリ番号:No.193
廃棄対象データリスト:No.001
「――あった!『G.Bible』あったよ!」
「――え...」
「――ほ、本当にあった...!」
「――マジかよ。こんなあっさり見付かるのか...」
―――アリスの言葉に対して赤紫色の円が反応する様に揺れて数秒。画面に『G.Bible』の情報が映し出される。それを見たモモイ達は喜んだり、驚いたりとバラバラな反応を見せる。
「まさか、『G.Bible』が実在するものだったなんてな...
「...まだ喜ぶには早いかと。名前だけ合っていて、中身が別物である可能性があります」
「"確かに、その可能性は否定できないね...アリス、この『G.Bible』の中身を――"」
「――ご、五分?!」
「うわーん!中を確認する余裕がありません!」
「この残り時間が事実ならマズいぞ...」
「は、早くデータをダウンロードしないと...!」
―――ミヤコ、"先生"と会話をしているとアナウンスがとんでもない事実を告げ、モモイ達は一転して慌て出す。
「――中身の確認は後ね。今はこの『G.Bible』のデータを回収しましょう。アリス、このメモリに入れられるか試してみて。...明らかに規格や仕様が違うだろうからマッチングするか怪しいけど、物は試しよ」
「はい!――アリス達は『G.Bible』をダウンロードしたいです!どうすればいいですか?!」
「はい!」
―――"教授"からスマホに近い大きさのメモリデバイスを受け取ったアリスが画面に呼び掛けると、コンソールにまた四角い窪みが現れ、アリスはメモリデバイスを入れる。窪みの蓋が閉じて―――
「――へ?」
「――え?」
「――え...?」
「――は?」
―――しかし、アナウンスは"教授"のメモリデバイスではダウンロードするとデータ破損のリスクが高いと告げながら蓋を開いてメモリデバイスを吐き出す。その様子を見て私も含め誰もが目を点に―――
「...へぇ...まさか、
―――いや、"教授"だけは何だか
「...ないな、スマホならあるがデータに余裕がな...」
「...私も、スマホくらいしかない」
「...わ、私もスマホしか...」
「"――私もスマホくらいしかないね"」
『私も、ストレージの余裕はありませんね...廃棄されると困るデータも入っているので、こういう未知のデータを入れるのはちょっと...』
「...私もスマホしかありませんね」
「私も同じだな。本当にどうするんだ?このままじゃ――」
「――私の[ゲームガールズアドバンスSP]ならどうかな?ストレージ500GBで一番多いエディションだし、今は
―――私含め誰もが持っていないと答える中、モモイはジャケットのポケットから[
「ゲーム機のストレージで通用するかしら...いえ、時間もないし試すしかないわね。――アリス、お願いできる?」
「はい!」
「お願い...!エラー吐かないで...!」
"教授"は仕方ないと首を振ってモモイの提案を受け入れ、モモイはアリスに[
「おぉ...!」
「"認証が通った!これで...!"」
「やったー!これで『G.Bible』を――」
「...へ?それってまさか...?!ま、待って――」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!積みゲーのセーブデータとトロコン寸前の『ゼルナの伝説』のデータがあ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
―――アナウンスが告げた対応を止める間も無く、モモイの[
「...自分で供出しといて覚悟してなかったのか?どんなデータかも分からない以上、データ容量がデカい可能性もあっただろうに...」
「だっでぇ...!マニュアルなんだがら文書系だろうじぃ、ぞんなに容量食わないでしょって思っでぇ...ゔぅぅ~...!」
「セーブデータならオンラインサービスのバックアップで...あ、でもお姉ちゃんが今遊んでるゲームは大半...」
「まだザービズ
『G.Bible』のダウンロードが進む中、マリサ先輩が呆れと同情が混ざった表情で尋ねれば、モモイは涙声を震わせながらそう答え、途中で察して同情する様な表情を浮かべたミドリの言葉に対してそう答えながら泣きじゃくる。
「可哀想だけど、未知に触れるにはちょっと楽観が過ぎたわね。――兎に角。『G.Bible』――貴女達"ゲーム開発部"が求めたものは手に入ったわね。...圧縮して尚500GBのストレージに入り切らないデータ量...やっぱり
"教授"はやれやれと肩を竦めながらも目標達成だと判断し、また小さく何か呟く。
「――終わったみたいだな。...モモイのセーブデータは残念だが、"ゲーム開発部"が
「ぐずっ......分かった...目的は果たした!後は帰って『G.Bible』の中身を見て、神ゲーを生み出す秘訣を――」
「――ッ?!」
「な、何だ?!」
「"警報...?!"」
―――突如警報音らしき音がけたたましく鳴り響き、咄嗟に[
「――ふ、
「ど、どういうこと?!アリスでアクセス認証は通ってるのに...?!」
「い、一体何が――」
『――た、大変です!建物内は勿論、建物外からも
―――今度は"シッテムの箱"からアロナが慌てた声をあげ、ホログラムの立体地図でここ『データセンター』とその周囲を映し出す。建物内、外を動く赤い光点は一様にここを―――
『――こちら"RABBIT3"!ヤバいよコレ!警報音とアナウンスに混ざって
「"――こうなってしまった理由を詮索する余裕は無い!ミヤコ、『監視サイト01』に状況報告と回収を要請!アロナは敵オートマタやドローンの動きを注視しつつ比較的安全なルートの策定!他の皆は離脱の用意!間違いなく交戦状態になるから今の内に銃や弾薬の状態を確かめるんだ!"」
「――"RABBIT1"、了解!」
『り、了解です!スーパーAIアロナにお任せを!』
「――"RABBIT2"了解!囲まれる前に早く離脱するぞ!」
―――インカムに届いたモエの急報を聞いた"先生"は声をあげて指示を飛ばし、混乱しかけていた私の思考も一瞬で冴え、すぐに[
~『データセンター』裏側出入口~
side-ユメミ
―――アリスの[光の剣:スーパーノヴァ]の銃口から青い曳光が奔り、銃を構えて外の通りからこちらに駆け寄るオートマタやドローン十数機を一瞬で消し飛ばす。
「"――よし、外に出るよ!"」
―――すかさず"先生"が指示を出し、私達は『データセンター』の外に出て走り出す。
「――後方、建物内から足音複数!」
「うぇ?!アイツらもう追い付いて来たの?!」
「――マズいわね。今正面の道は拓いたけど、早く離脱しないと挟撃...最悪数に任せた包囲を組まれかねないわ」
―――後方、殿を受け持つモエが建物内で撒いたオートマタやドローンが追い掛けて来ている事を報告し、モモイが顔を青ざめさせる中で思わず顔を顰める。
「"――ミヤコ、監視部隊の状況は?!"」
「――既にヘリ四機が出動、こちらに向かっている筈ですが...回線は繋がりますが応答はありません!」
「通信が繋がってて応答しないってことは――向こうも何か起きてるのか?」
「考えられるのは...
[[[[――Gi!!]]]]
「――前方!正面及び左右からオートマタやドローン多数出現!件のドローンらしきものまで居るぞ!」
「ひのふの...ダメだ多過ぎる!パッと見でも
―――走り続ける前方の通りや廃ビルの陰から次々オートマタやドローンが現れ、サキの報告を聞いたマリサが敵の数を数えようとして諦める。
「――アリス、[
「撃つことはできますが――エネルギー不足で
「そ、それってマズいんじゃ...あの数を私達の銃で相手にするのは――」
「――それでもやるしかないわ。せめて突破口は開けるわよ!」
「"――それしかないか...!皆、銃を構えて!正面のオートマタ、ドローンの大群を迎撃するよ!"」
アリスの[
[[[[Gya?!]]]]
―――突然、正面のオートマタやドローンの
「――へ?」
「な、何が――」
[[[[Gaaa...?!]]]]
―――間を置かず、倒れ伏すオートマタやドローンを踏み潰しながら、
―――
「な、なんでリカのヤツが――」
「――詮索は後![イビルアイΣ]の足の速さと火力なら突破しながらの離脱は可能よ!"先生"とモモイ、アリスは車内に!機関銃持ちはデサントして迎撃支援を!」
戸惑うマリサの言葉を遮り、皆を連れて[イビルアイΣ]に駆け寄る。
「"っしょっと...!"」
「待って!私も皆と一緒に迎撃を――」
「アリスも敵の迎撃を――」
「お前は[
"先生"が乗り込み、モモイとアリスが迎撃に加わりたいと抵抗するもマリサがそう声をあげながらキューポラから二人を車内に押し込む様に入れ、私達は砲塔や車体上にデサントして各々銃を構える。
「――"先生"、全員乗ったわ!」
『"了解!――リカ、全員乗ったよ!"』
―――"先生"が合図を出し、[イビルアイΣ]が動き出す―――
ということで、『G.Bible』は見付かりました。果たしてその中身を拝むことはできるのか?次回を待て!