エイプリルフールで正実モブの可愛さを再認識したので初投稿です。スチル以外の立ち絵はしっかり目隠れしてるの拘り過ぎィ!...実装、しないんですか?僅か一日の夢で我慢しろと言うのですか?(血涙)
さて、セミナー襲撃の戦闘回です。
~『ミレニアム』構内の何処か~
side-ユメミ
「...ふぅ、ご馳走様。美味しい上に、300mlカップの見た目以上にボリューミーな食べ応え...何処で買って来たの?」
「『正門前』駅前広場に出店されていた『柴関ラーメン』の出張キッチンカーです。最近始めたという[300カップ]による持ち帰りサービスがありましたので、ご観戦なさるなら小腹を満たせるものが良いだろうと思い立ち、お土産として買って来た次第です」
―――スープを飲み干し、空になったカップと割り箸を傍に控えていたメイド服の生徒―――"C&C"所属でありながら会長権限により最高機密でプロフィールを伏せられた、リオ専属のボディーガード"04"『飛鳥馬トキ』に渡しながらラーメンについて尋ねるとそんな返答が返って来る。
「『柴関ラーメン』...あぁ、最近『モモッター』で話題になった『アビドス』のラーメン屋ね。あの"美食研究会"が賞賛する程だからちょっと気になっていたんだけど、これはちゃんとしたラーメンが食べたくなるわね。...リオ、貴女はどう?」
「...この品質、各材料の費用で売値三百円は収益が出るのかと思うけど、消費者側からすればコストパフォーマンスはかなりいいわね。キッチンカーだというならあちらこちらへ移動しての出店になるでしょうから、そこだけが惜しいわね」
丁度食べ終えたリオも珍しく驚いた様に眉を上げながら如何にも彼女らしい評価を下す。見てくれはバリバリ仕事が出来る様だけど、その実態は家事が下手で、食事もエナジーバーか値引きされた弁当で済ませるのが常である事はよく知っている。"買い物の費用は出来る限り安くするのが合理的"と拘る彼女からしたら、このラーメンの出来と値段は魅力的だろう。
「ふふ、いつか時間と機会に恵まれたら食べにでも行きましょうか。――さて、と...」
『柴関ラーメン』の話題を切り上げ、私のタブレットで複数展開した仮想画面に映るハッキングした監視カメラやドローンのカメラから見た"セミナー"襲撃の様子に目を向ける。
―――[鏡]奪還を図って襲撃を敢行するモモイ達"ゲーム開発部"、襲撃を跳ね除けるべく"C&C"を援軍として呼び込んだ"セミナー"。それぞれの作戦会議、準備が進む中。襲撃を受ける『ミレニアムタワー』から離れ、『ミレニアム』内外に設けたリオのセーフハウスの一つにリオと共に潜み、襲撃の結果を見届けるべくタワー周辺のカメラやドローンをハッキングして様子を見守る準備を行った。
―――そして、トキのお土産で小腹を満たしたタイミングで、襲撃が始まった。
「ふむ...襲撃側の初動、三方面から仕掛けたのはいい手ね」
『――行け、[サンダーアイズ]!一斉射!』
『腕が足りないなら増やせばいい!<のびーるアーム>!』
『操作権限を復旧できないなら[M4A1(76)W]は破壊して!玄関だけは死守するわよ!』
―――『ミレニアムタワー』正面の広場を走り回り、砲撃を浴びせる[イビルアイΣ]と[M4A1(76)W]、そして銃撃やランチャーの砲撃を浴びせる"ヴェリタス"や"エンジニア部"、『シャーレ』の荒事が得意な面々とエレン以下"セミナー保安部"の面々。
『っく...!ウタハ先輩と[雷ちゃん]は兎も角、迫撃砲と狙撃の横槍が厄介だ...!』
『直接的な荒事は不得手なんだけどね。早々手出しできない位置からの支援攻撃は厄介だろう?――タワー方面への横槍は阻止させてもらうよ!』
―――タワーへの横槍が可能なビルの屋上でウタハとかなり挙動が鋭い[雷ちゃん]からの攻撃、ヒビキの[ファンシーライト]の砲撃、"RABBIT小隊"のミユの狙撃を避けていくカリン。
『――索敵システムだけは死守してください!レーダーの復旧を最優先に!』
『おっとっと...セミナーもやるねー』
『レーダーの制圧状態は維持しよう。屋上組への増援は阻止する!』
―――路地裏で点検口から引っ張り出したコードを各々の端末に繋いでハッキングの攻防に集中する”ヴェリタス"の三人と、タワーの司令室でハッキングからの防御を指揮するノア。
―――画面で見ても真剣で激しい攻防が繰り広げられる様子を見て呟く。
「タワー正面、狙撃ポイント、システム侵入。――やられる側としては厄介ね。広場での戦闘の指揮をしながらハッキングへの防御もしなければならないし、現状狙撃支援も望めない。その上で屋上の換気ダクトからの侵入を図る――エレベーターからの侵入、突破がほぼ不可能な状況では当然取り得る策ね。でも――」
『いっくよー!』
『さっさと倒れろ...!』
『っと...![FA-MAS]と[M3 Grease Gun]とは距離を選ばない最適な組み合わせですねぇ。この場合厄介ですが...!』
『ミドリ、サポート行けそう?!』
『屋上のこの広さじゃスナイパーの意味はないけど...大丈夫、サポートできる...!』
リオは言葉を切ってもう一つの仮想画面―――タワー屋上に着いたはいいけど"C&C"のエージェント二人が迎撃戦力として待ち構えていて、積極的に攻撃を仕掛けるアヤとそれをサポートする才羽姉妹の様子に目を向ける。
「――ユウカ達は自力でエレベーター以外の進入路を把握して対策を講じた。迎撃戦力として"C&C"という精鋭を置くのもいい手ね。"キヴォトス最速"を謳う新聞記者と、"ゲーム開発部"の二人の実力は未知数だけど――この交戦によってタワー侵入の動きは止まる」
「侵入できないのではここまでの作戦は無意味。モモイ達はここからどう動くつもりかしらね」
リオの言葉に頷き、仮想画面に注目する―――
~『ミレニアムタワー』 正面広場~
side-ミヤコ
「――タワー玄関からの増援を確認!」
「ちっ...またか!索敵する!」
私の報告を受けてマガン先輩は舌打ちを漏らして[サンダーアイズ]を遮蔽から出して索敵する。
「――せっかく開きかけた戦列の穴を塞ぎやがった!またAT手もチラホラ居るみてぇだし、アレをフリーにしたら[M4A1(76)W]は全滅だぞ...!」
『敵AT手は優先して排除しやがれなのです![M4A1(76)W]はどうでもいいですが、[イビルアイ∑]の損壊は是が非でも避けるのです!』
どうやら開きかけた突破口を増援が塞ぎ、またAT手が配置された様だ。[イビルアイ∑]で広場を掻き回す様に走り回るリカさんからもAT手を優先排除するようにと要請される。
―――『"セミナー"が保有する装甲戦力は総じて自動化、省力化を徹底していて、遠隔操作での無人稼働すら可能になっているのです。ですが――幸いなことにその機能実装を手掛けた人物が、今ここに居るのです』
―――リカさんが"戦車技師"として『ミレニアム』が保有する装甲戦力の整備や改造を手掛けていて、その一環で実装したと言う遠隔操作での無人稼働を利用出来ないかと提案された。作戦会議中は半信半疑だったけど―――整備場で整備を終えて返還待ちだった[M4A1(76)W]の遠隔操作システムを乗っ取って動かす様子を実演されては納得するしか無かった。
―――[イビルアイ∑]には万が一に備える...という名目で秘密裏に、遠隔操作システムの主導権を強制的に乗っ取る機能が実装されており、初動の奇襲ではこれを利用したおかげで私達は一気に広場内へと突入出来た。私達の目的は"セミナー”側主戦力の釘付けと―――
「<のびーるアーム>の調子が悪い!ちょっと緊急でメンテするから援護頼むよ!――タカネ!今更だけど、玄関さえ突破できればエレベーターは使えるようにできるって話は確かなんだよね?!」
「うわっ...!――確かにできるよ!私が居なくなった後に気付かれてなければ、だけどね!」
―――緑色の大きなバックパックから展開された、<のびーるアーム>なる[M249]二丁を構えた二本のロボットアームを引っ込め、バックパックを下ろして工具を取り出し始めるニトリ先輩。その援護として[RABBIT-31式短機関銃]で制圧射撃を行う横で、ニトリ先輩は銃撃を行うタカネ先輩に確認する様に尋ねる。
―――『いやー、実はさ..."セミナー施設部"時代、タワーで起きた同時多発的な設備トラブルの対応を一人でこなしていた時に、エレベーターのセキュリティシステムを回避できる穴を見つけたんだ。それが――認証コード送受信用の回線ケーブルの不具合なんだけど...あの時はマジでデスマーチ状態でさ。後回しに後回しを重ねて――今になって直してないやって思い出したんだ。
報告提出後も何も言われなかったし、ノア辺りならまず気付く筈だし、気付かれたらユウカが指摘ついでに小言を言う――でも、今までそんなことはなかった。だから...今も気付かれていない可能性がある』
―――このタカネ先輩の提案で、広場での撹乱に加えて玄関を突破してエレベーターを動かし、直接セミナーに侵入する役割が追加された。タワー屋上からの侵入に合わせて"セミナー"内部に突入し、乱戦状態に持ち込んでモモイさん、ミドリさんによる[鏡]奪取を支援するのが目的だ。その為には―――
「――どうする?コイツで玄関ごとぶち抜くか?」
「流石に威力過剰だよ!玄関入って少し歩けばエレベーターホールなんだから!エレベーターまで貫いて壊れたら意味ないよ!」
「むむむ...マリサがダメならアリスの[光の剣:スーパーノヴァ]もダメですね...」
弾幕の継続をコトリさんに任せ、[バレットシャワー・ブルーム]の銃身を休ませているマリサ先輩がベルトから[ミニ八卦炉]を取り出して<マスタースパーク>による強行突破を提案するも、タカネ先輩は威力過剰だと否定し、アリスさんはそう言って悔しそうな表情を浮かべる。
―――マリサ先輩の[ミニ八卦炉]とアリスさんの[光の剣:スーパーノヴァ]は私達にとって最大級の火力だ。その火力なら成程目の前の戦列は突破出来るだろう。しかし―――その威力が落ちずにエレベーターまで到達し、損害を受けて使用不可能な状態に陥っては作戦が破綻してしまう。
「――突破火力は[イビルアイ∑]の砲撃に頼りましょう。HEであれば玄関の破壊だけを狙えるかと。ですが――すぐに玄関を狙うのは悪手だと考えます。私達が玄関を突破して"セミナー"内部にまで侵入するという意図に気付かれてしまえば、セミナーは更に守りを固めるでしょう。"屋上からの侵入を支援する"という目的を果たす為、今暫くは戦況の掻き回しと"セミナー"側戦力の漸減を続けるべきです」
「流石SRT、ナイスアイデアだね!HQに伝えて、ミヤコの提案通りに動こうか!」
「了解だ!――[バレットシャワー・ブルーム]銃身冷却OK、いつでも弾幕張れるぜ!」
「提案と説明は私が行いましょう!マリサ先輩、交代お願いします!」
「<のびーるアーム>のメンテはもうちょい掛かりそうだし、ついでにリカへの要請は私がやっておくよ!」
私の提案を受けて誰もが素直に頷いて受け入れ、各々が再び動き出す―――
~『ミレニアムタワー』付近のビル屋上~
side-ウタハ
―――ドォォンッ!
「っくぅ...!」
「――そこだ!」
ヒビキの[ファンシーライト]の砲弾が着弾し、その衝撃でカリンがよろめいた隙を突いて[雷ちゃん]と共に[マイスター・ゼロ]で銃撃を浴びせる。
「――はっ...!」
―――しかし、流石C&Cのエージェントと言うべきか。咄嗟に飛び退く様に跳ねて弾幕を躱し―――
「――っぐ...!」
ッタァァン...
―――回避先に照準を置いていたミユの狙撃がカリンの頭部を狙うも、カリンは狙撃に気付いたのか咄嗟にスライディングする様に伏せて惜しくも狙撃は外れてしまう。
「――っ...?!」
ッタァァン...
すかさずミユが第二射を放つも、カリンは跳ね起きる様にバク宙を決めて回避する。
「うーむ...今の連携すら凌いでしまう、か。流石"C&C"、精鋭エージェントと言うべきか」
軽く息を吐くカリンを見据えながら思わず関心の言葉を漏らす。
―――カリンとの戦闘を始めてどれ程経っただろうか。ヒビキの迫撃、ミユの狙撃の支援を受けた私と[雷ちゃん]の連携をカリンは見事に凌いで見せている。私はこう言った荒事は不得手な方であるという自覚はあるが、だからこそ[雷ちゃん]には―――
『...あ、あの...![雷ちゃん]の足回りの挙動と操作への反応速度が最初より遅くなってきています。通信回線に問題はないので、た、多分...駆動系が壊れかかっているかも、です...』
「...もう摩耗しかかっているのか。――ユズ、君のコントローラ捌きは相当なようだね」
『うぅ...その...ご、ごめんなさい...!』
「謝る必要なんてないさ。寧ろ感謝したい。――プロゲーマーの操作技能に現状の機体は追い付けていない、と分かったからね。君の才能は素晴らしいよ、ユズ」
―――インカムでユズからの報告と謝罪を受け、謝罪する必要は無いと窘めつつ彼女の操作技能を褒める。
―――『カリンとの戦闘は私とヒビキ、ミユで受け持つ。とは言え、ヒビキも同様だが私も荒事は不得手だ。そこで、この[雷ちゃん]も戦闘に投入するつもりなんだが――ユズ、君のUZQueenとしての高度な操作技能を借りたい』
―――不得手な荒事の成功率を高めるべく[雷ちゃん]に遠隔操作機能を実装する事にし、その操作をユズに―――作戦会議前の雑談でモモイがユズが"UZQueen"という、私でも名前だけは聞いたことがあるプロゲーマーである事を自慢していた事を思い出して彼女に依頼した。
会話では自信が無さそうだったが、会議終了後の準備で遠隔操作機能を実装してユズに試運転をさせてみればコントローラ捌きとそれに合わせた[雷ちゃん]の挙動は今まで見た事が無い程に素早く的確なものになっていて驚いた。時間が無くて[雷ちゃん]の機体強化が出来なかったのが悔やまれるが―――
「――妨害は想定していたけど、まさか直接的な戦闘を仕掛けてくるとはね。"エンジニア部"はこういう荒事が不得手な人が多いと思っていたけど...そのロボットは厄介だね。この屋上への横槍を狙えるポイントは限られるから方角はある程度予想は着くけど――そのロボットは挙動のキレとこちらの動きへの反応がかなり鋭い。まるで中に人が居るかのようだ」
「荒事が不得手であるなら、それを補う対策は施すものだよ。[雷ちゃん]は椅子を基にした私のかけがえのない相棒だ。相棒なら強くあってもらわないとね」
カリンは[雷ちゃん]の挙動を見て鋭い推察を挙げるが、言及はせず[マイスター・ゼロ]を構え直す。―――本当ならすぐにでも[雷ちゃん]のメンテナンスと改良を施したい所だが、こうして戦闘中である以上カリンはそんな時間を与える事はしないだろう。
「――さて、おしゃべりはここまでだ。現状孤立無援の君を撃破して、タワーへの横槍は阻止させてもらうよ!」
「――確かに孤立無援で、そちらは逆に支援は厚い。厳しい状況だ。だが、それでも――任務の邪魔をする障害は排除する!」
[マイスター・ゼロ]を構え、ユズが操る[雷ちゃん]と共に駆け出す―――
~『ミレニアムタワー』司令室~
side-ユウカ
「保安部の戦力はこの分隊が最後よ!せめて玄関だけは守り抜いて!――ノア、ハッキングへの対応状況は?!」
―――"セミナー保安部"の予備戦力の残り最後を広場の戦闘へ投入し、"セミナー情報部"のサイバーチームのハッキング防衛を指揮するノアに尋ねる。
「現状の侵食状況で食い止めていますが、反撃は厳しいです!カメラ類は主要なものは死守できていますが、レーダーとダクト内のセンサー類は未だ使用不能です!」
「カメラが生きてるならまだマシよ!無理な反撃は狙わないで防衛に専念して!」
普段は決して見せない厳しそうな表情を浮かべるノアの報告にそう返し、レーダーやセンサー類の感知履歴の指示画面がオフライン状態で沈黙しているメインディスプレイを見る。
カメラは広場で繰り広げられる銃撃戦や、丁度エレベーターを出ていく保安部の最後の予備戦力の様子を映す。その中には―――
「――"01"、答えられたらで構いません。戦況はどうでしょうか?」
『まだ五分五分ってところかなー?ウカビちゃんが残りの二人を受け持ってるから一応、作戦会議で言われた全ターゲットの侵入阻止はできて――おっと!そこだね!』
―――アカネの問に対してアスナ先輩が戦況を報告し、いきなり言葉を切ったかと思いきや、カメラでは捉えられないスピードで肉迫したアヤのジャケットを掴み、しかしアヤは咄嗟にジャケットを脱ぎ捨てて距離を取って降り立つ様子がカメラの視界に映る。
「――今、掴んだのがジャケットだったから脱ぎ捨てられて逃がしたけど...カメラで捉えられないスピードで超低空を飛んで迫る物体を掴んだわよね?」
「はい、その認識で合っているかと。――部長であれば余裕で捕まえるでしょうが、先程の対応は"01"――アスナ先輩の直感がなせる業ですね」
恐らく私と同様の驚きを覚えたのか、遠目だけど困った様な表情を浮かべて頭を搔くアヤと、不思議そうに首を傾げるアスナ先輩の様子を見ながらアカネに尋ねれば、確かにアスナ先輩は高速で飛ぶアヤのジャケットを掴んだと肯定する。
「直感...経緯や理論での順を追った推理推測を経ず、何となくで正解を導く感覚。いつ見てもにわかには信じられないわね...」
「人間の感覚というのは数字やコードで理論的に説明できるものではないでしょう。アスナ先輩の直感はそういうものであると受け入れるしかありません。――"05"、そちらの戦況は?」
私のボヤく様な呟きに対してアカネはクスリと微笑んでそう答え、ウカビちゃんに戦況を尋ねる。アスナ先輩とアヤが戦闘を再開した反対側のカメラでは―――
『――何処ぞの大型犬みたいな先輩のせいで二対一だよ!連携は中々上手いけど明らか荒事の場数が足りてない、私でも何とかなる程度の強さだからまだマシだけどさ...!』
―――モモイとミドリの中~遠距離からの銃撃をダクトや室外機で凌ぎながらカウンターの銃撃を浴びせてすぐ身を隠し、リロードしながらアスナ先輩への悪態を吐きながら報告するウカビちゃんの様子が映っている。
「戦闘しつつ報告できるのであればまだ余裕はあるようですね。そのまま戦闘を継続し、目標の侵入阻止を継続してください」
『簡単に言ってくれるなぁもう...!』
アカネからの戦闘継続の指示に対してウカビちゃんはまた悪態を吐きながらも、モモイとミドリの銃撃が止んだ隙を突く様に[M3 Grease Gun]で銃撃を浴びせる。
「侵入は阻止できてるわね。流石"C&C"、『ミレニアム』最強のエージェントチームは伊達ではないわね」
「ふふ、お褒めの言葉ありがとうございます。――しかし、現状に満足してはいけません。飛行能力を有するアヤさんを先に制圧できれば、残る二人は屋上からの離脱も不可能となるので――」
―――ッチュゥゥン...!
『――うわわっ?!』
―――突如、ウカビちゃんの周りで銃弾が跳ね、彼女は驚いた声をあげながらその場に伏せる。銃弾は上空から撃たれた様だけど―――
―――バサッ...!
『――は?』
『――ん?』
「――おや?」
「――あ、あれは...!」
―――時を少し遡る―――
~"ヴェリタス"部室~
side-"先生"
「"ウタハ達は上手くカリンを抑えてるね。問題は[雷ちゃん]だけど..."」
カリンの狙撃ポイント特定の為に利用していたドローンのカメラがビルの屋上でカリンを相手取るウタハと[雷ちゃん]を見下ろしていて、戦端を開いた時と比べて挙動がぎこちない[雷ちゃん]に気付いて呟き、隣のデスクを見る―――
「...明らかにこちらの操作に対しての反応が遅い、です。通信は正常なので...そ、そろそろ足回りが壊れてしまうかもしれません...!」
―――隣のデスクでは、[雷ちゃん]搭載カメラの映像をじっと見つめてコントローラを忙しなく動かして[雷ちゃん]を遠隔操作するユズが居て、コントローラを操作する指は止めずに[雷ちゃん]の状態を報告する。ウタハは時間が無くて[雷ちゃん]の機体強化が出来なかった事を惜しんでいたけど、ここに来て[雷ちゃん]がユズの操作に追い付けていない影響が顕在化しつつあった。このままでは[雷ちゃん]が行動不能に陥り、ウタハへの負担が大きくなってしまうだろう。それまでに―――
「――うーん...屋上組は膠着してるみたいだねー。最初はアヤ先輩が前衛、モモイとミドリとで後衛だったのにいつの間にか分断されちゃって...流石"C&C"だよ」
ハレ達がハッキングを維持している機器の一つ―――タワー屋上を映す監視カメラの一つでは、アヤとアスナ、モモイとミドリ、ウカビとで二手に分かれて交戦する様子が映し出されていて、モエは関心した様に頷きながら状況を報告する。
「ちょっとマズいかもしれないわね..."C&C"が配置されているのがこの場合厄介になっているわ。体格的に侵入に向いたモモイとミドリだけど、荒事は得意ではない。その上でC&Cが相手...膠着しているのが不思議な位よ」
「"いや...敢えて膠着させているのかもしれない。セミナーからすれば私達が[鏡]の奪取を諦めれば勝利だ。その奪取を受け持つモモイとミドリの動きが止められていては――"」
―――コンコン...
―――ガチャ...
「――お邪魔するわよー...って、何やってるの?知らない顔も居るし...」
―――部室のドアがノックされ、ドアが開き―――少し癖がある茶髪を紫色のリボンでツインテールで纏め、頭上に紫色の茨の輪を象るヘイローを浮かべ、黒いネクタイを締めた薄いピンクのブラウスの上に紫色のジャケットを羽織り、背中からアヤのそれとよく似た黒い翼を一対伸ばし、黒と紫の市松模様のスカート、紫色の線が走る黒いハイソックス、紫色のスニーカーを履いた生徒が顔を覗かせ、突然の来訪に驚く私達を見て困惑した表情を浮かべる。
「――何か用かしら、ハタテ?見ての通りこっちは取り込み中なんだけど」
「取材の帰り際に『ミレニアムタワー』の方から銃声やら砲撃音やら聞こえてきてさ。掲示板とかは『セミナー防衛訓練中』なんて表示してたけど――"ヴェリタス"なら何か把握してるかなーって。...もしかして、ガッツリ当事者だったり?」
チヒロは彼女を『ハタテ』と呼び、半目で睨みながら尋ねると、ハタテと呼ばれた生徒は経緯を軽く話し、アヤと似た―――ネタを見付けた時の様な輝きを瞳に宿して逆に尋ねて来る。
「...まぁ、タワー前広場に出てる娘も居るし、そうかるかしらね。――"先生"、モエ。彼女は『姫海棠ハタテ』。『クロノス』"新聞部"の新聞記者よ」
「"ハタテ...あぁ、そうだ。『アビドス』でのあの作戦で、アヤがメディア対策を少し手伝わせたって言ってたね。――初めまして。"連邦捜査部"『シャーレ』顧問、"先生"だよ"」
「『シャーレ』指揮下、『SRT』"RABBIT小隊"の"RABBIT3"『風倉モエ』だよ。...今ガッツリ集中してるこの娘は、"ゲーム開発部"部長の『花岡ユズ』。ま、宜しくー」
「『シャーレ』って...あのアヤが随分興味津々な"連邦生徒会"傘下の部活じゃん!折角会えたし取材を――」
「"――ごめんね、ハタテ。チヒロが言った通り私達は取り込み中でね...今取材に応える時間はないんだ"」
私達の自己紹介を聞いたハタテはますます瞳を輝かせて取材を申し込んでくるけど、今は取り込み中―――[鏡]奪取作戦のオペレート中だと断る。
「じゃあさ――その取り込み中の案件に私も一枚噛ませてくれる?アヤ程速くはないけど私だって空を飛べるし、役に立つ筈よ!対価は『シャーレ』がミレニアムで何してるかの独占取材ってことで!ね、ね!どう?!」
「"いきなりだなぁ...新聞部所属とはいえ、初対面で――"」
「――いえ、使えるわ。屋上組の膠着を打破できるかもしれない...!」
―――チヒロは眼鏡のレンズを怪しく光らせ、そう呟きながらハタテを見つめる―――
~『ミレニアムタワー』屋上~
side-アヤ
「――チヒロ部長から聞いたけど、随分面白そうなことやってるじゃないの」
「――ハタテ...何で貴女がここに?」
「ミレニアムで取材の案件が幾つかあってね。ちょっと手間取ってこんな時間になっちゃったけど――おかげでこんな楽しそうなことをやってるって知れたわ」
―――モモイさん、ミドリさんとウカビさんの間に割り込む様にダクトの上に降り立ち、それとなく視線を向けてウカビさんの動きを警戒しながら、ハタテはそう答える。
<「――誰だか知らないけど...兎に角今がチャンス!ミドリ、行くよ!」
<「う、うん...!」
「っ...!逃がす――」
―――チュゥゥン...!
「うわぁッ?!」
「――ま、『シャーレ』への独占取材を対価に協力してあげるって、チヒロ部長と『シャーレ』の"先生"と約束したからね。状況的に増援は欲しかったでしょ?――何時ぶりかの協働と行きましょうか」
「――えぇ、そうね。今回はその取材を譲りましょう」
―――今がチャンスだと、お二方が侵入ポイントのダクトから入り込んでいく様子を見咎めたウカビさんが動こうとするも、ハタテはすかさず[GLOCK 18C]で牽制して動きを止め、不敵な笑みを浮かべて協働を要求して来る。―――少しだけ癪に障るけど、膠着した状況を打破するきっかけになってくれた事に感謝しなければ。頷いて要求を受け入れ―――
「――足引っ張るんじゃないわよ」
「――こっちのセリフよ」
「あ"~も~!すっごく面倒なことになったじゃん...!ふざけんな!!」
「アッハハ!まさかのまさかだねー!――"03"ごめん!中に二人侵入始めちゃった!」
―――頭を抱えて吼えるウカビさん、あちからすれば状況は不味いと言うのに明るさが変わらないアスナさんに、それぞれ相棒を向けて構える―――
―――To be Continued―――