Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~   作:八坂 義景

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筆が乗ったので早めの投稿です。
ついにG.Bibleが開かれます。


File53.M-14~ゲームを愛しなさい~

~『ミレニアムサイエンススクール』 部室棟~

side-"先生"

 

「"――『G.Bible』の解読、思っていたより早かったね。()()の翌日、昨日で終わるなんて..."」

「だねー。開発したのがキヴォトス随一のハッカーだし、流石『ミレニアム』って所だね」

()()()()だったってことで、タワーに突入したマリサ先輩やアリスも次の日には無罪放免で解放されたしな。『G.Bible』の中身を見る瞬間に立ち会い損ねなくて良かった」

 

 "ゲーム開発部"の部室がある階の廊下を歩きながらモエ、サキと会話を交わす。

 

―――私達は今朝、モモイから『G.Bible』の解読が終わったから見に来てもいいと誘われ、二つ返事で受け入れてこうして部室に向かっている。

 

―――一昨日に決行した、[鏡]奪取の為の"セミナー"()()は成功に終わった。モモイとミドリによる[鏡]捜索と奪取を支援する為の"セミナー"拠点突入を敢行した―――"ゲーム開発部"からはマリサとアリス。"エンジニア部"からはニトリ、タカネ、コトリ。

 以上五人は奇襲直後に"C&C"のエージェント"02(ゼロツー)"であるアカネが仕掛けた爆薬で吹き飛ばされて気絶してしまい、交戦による撹乱を果たせず捕縛されてしまった。

―――しかし、サキが言った通り()()を受けた"セミナー"はこれを()()()()として『ミレニアム』内外に発表。その為、捕縛も()()()()()として扱われた事で翌日の午前中に捕縛された面々は留置場から解放された。

 

「――アヤの役割は本当に重要だったわね。そりゃ()()で無理矢理突破する訳だわ。...まぁ、あの後助けてやった恩を仇で返されたけど。あのウカビとか言うメイド...『任務失敗の八つ当たりだコノヤロー!』っていきなり撃ってきたのよ?!目を覚ましたら留置場に居て驚いたんだから!」

「またその話を...解放された時に謝ってくれたんだから、それでいいでしょう」

 

―――私の左隣でアヤと共に歩くハタテはアヤの働きを褒める一方、離脱が叶わず捕縛された事を愚痴りながら地団駄の代わりの様に翼を揺らし、アヤは半目でハタテを見ながら窘める。

 

―――ハタテは()()以降も『アヤが興味津々な組織なんでしょ?だったら"スポイラー"として独り占めは許せないわ!』と言って、ミレニアム(ここ)に留まっていて、昨日の解放後すぐに約束通り彼女の取材に応えた。

 その後に彼女が運営している『花果子念報』の記事を幾つか見てみた所、記事の文章は読みやすく、情報も誰もが理解しやすい様に纏められていたけど―――()()()()()()()、サイトのコメントも『読みやすいけどネタが古い』『分かりやすいけど写真やネタが既に他で見たものばかり』等々()()()()()に言及されたものが多かった。これさえ解決出来ればアヤの『文々。新聞』にも劣らない記事を書ける筈だ。ハタテが自力で解決出来ずに悩んでいるようであれば"先生"として解決を手伝うべきだろう。

 

―――閑話休題。

 

「"――っと、話している内に着いたね"」

 

―――コンコン...

 

「『G.Bible』...()()()()()()()()()()()()()()。果たしてその中身は如何に」

「もし本当にそういうマニュアルなら大スクープね。公表しようものならゲーム界隈に大激震が走ること間違いなしよ」

 

―――"ゲーム開発部"の部室前に着き、アヤとハタテ(記者二人)が期待に満ちた呟きを零す中ドアをノックする。

 

―――ガチャ...

 

「...あ、来たんだね」

 

―――ドアが開き、マキが顔を覗かせる。しかし―――その表情は()()()()()()()()見える。

 

「"――マキじゃないか。どうして君がゲーム開発部(ここ)に?"」

「昨日『G.Bible』が解読できたから、データが入ってる[ゲームガールズアドバンスSP(モモのゲーム機)]の引き渡しついでにあたしも見てみたくてさ。...とりあえず、入っていいよ。()()()()()()だけど...」

 

 マキが"ゲーム開発部"部室に居る経緯を説明しながらドアを大きく開け、彼女に続いて入ると―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「......」」」」」

 

「"...こ、これは..."」

「な、なんだこの暗い雰囲気は...明るいモモイとアリスですら...」

「...先に見たっぽいわね。こんな暗い雰囲気が部屋に満ちるってことは...」

「――()()()()()()()()()()()()。そんな()()()()()()()()()()()()()()()()ってことかしらねぇ」

 

―――モモイ、ミドリ、アリス、ユズ、マリサ。五人揃って[ゲームガールズアドバンスSP(モモのゲーム機)]を囲んで暗い雰囲気を纏って項垂れていて、サキが戸惑い、アヤとハタテが小声で会話を交わす。

 

「...あぁ、"先生"達来てたのか。...雰囲気で察せるだろうが――とりあえず『G.Bible(コイツ)』を見てみてくれ」

 

―――マリサが私達に気付いて顔を上げ、[ゲームガールズアドバンスSP(モモのゲーム機)]を手に取って私に差し出す。それを受け取って画面を見れば―――

 

 


 

  ......ゲームを愛しなさい  

  ゲームを愛しなさい  

  ゲームを愛しなさい  

 


 

「"...スクロールもできない...本当に、文章はたったこれだけみたいだ"」

「...これは...」

「...眉唾物だとは思っていたが、()()()()()()()()()()()()()()()()()言葉だけなのか...マニュアルの体すら成してないぞ」

「...そりゃぁ凹むよコレは...」

「...な、中身がなさすぎる...」

「...あやや、これは酷い」

「こんなの誰でも書けるじゃない...Bible(聖書)なんて銘打つ文書の中身がこれだけって...」

 

 画面に映る三行の同じ言葉を見て口々に感想を挙げる。

 

―――()()()()()()()()()()()()。そんな都合が良過ぎるマニュアルは存在しないと思っていた。でも、『廃墟』探索で『G.Bible』が見付かり、高度な暗号やセキュリティが施されていて、私も()()()()()()と思い始めていた。

 

―――『廃墟』探索、[鏡]奪取の為の"セミナー"()()()()回避条件である『ミレニアムプライス』に出品し、()()()()()()()()()()()()()の開発を成す為に求めた物は―――力になれるものだとは到底思えなかった。

 

「...分かってはいた。()()()()()()()()()()()()なんて都合が良過ぎる代物なんてある訳ない。――だが、『G.Bible』が見付かって、そう簡単には解読できなくて...無意識に期待してたんだろうな。結局その中身がソレなもんで、こんな風に()()()()()()()()有様だが」

 

 私達の反応を見たマリサは苦笑して頭を搔く。勝気で前向きな彼女ですらこんな暗い雰囲気を纏ってしまうとは、かなりショックが大きい様だ。

 

「...ま、まだ諦めるには早いです...!『G.Bible』を見つける前に『TSC2』のコンセプトができ始めていたんですから!アリスももっと手伝いますし――」

「...その気持ちは嬉しいけど...正直、無理だよ。スランプ脱却の為に『G.Bible』を求めたのに、中身がこんなスカスカじゃもう手詰まりだよ...」

「...アリスちゃん、ごめん。気持ちは嬉しいけど...眉唾物だって内心分かっていても、まさかこんなにスカスカなものだと目の当たりにしちゃうと...こんなにも堪えるものなんだね」

「...『廃墟』を探し回って...まさか『G.Bible』が実在するなんて思わなくて...でも、未知のセキュリティですぐには読めなくて、もしかしたらと思って[鏡]を取り返す為に"セミナー"を襲って...そこまでした結果が...これじゃぁ...《vib:1》うぅ...」《/vib》

「うわーん!皆MPに強力なデバフを受けてしまっています!」

 

 アリスが前向きにしようと意見を挙げるも、モモイすら後ろ向きな意見を返し、更に項垂れて暗い雰囲気も強まってしまい、アリスも泣きそうな表情を浮かべて声をあげる。

 

「..."先生"、どうしたらいいんだろう...?モモとミドの友達として、あたしはどうしたら...」

「"...どうしたものか..."」

 

 更に落ち込む"ゲーム開発部"の面々を見たマキが縋る様に私を見る中、画面に映る『G.Bible』の中身を改めて見つめる。

 

 

  ゲームを愛しなさい  

 

 

―――『ゲームを愛しなさい』

 

 

―――()

 

―――何事も、それに対するモチベーションや真摯さ、本気度...要するに()が無ければ上手く行かない。

 

―――例えば『アビドス』は、滅びに瀕しても尚()()()()()()を捨てる事無く、"鬼傑組"の策謀にも抵抗し続けて遂には野望を打ち砕き、果てには最大級の脅威(ビナー)をも打ち倒して復興への道を拓いた。

 

―――例えば『便利屋68』は、シオンの()()で依頼を遂行出来ず報酬を得られなくとも、ハルカの()()()()で依頼を失敗してしまっても、『次がある』とアルが前を向き続けるからこそ、社員達の()()()()()()を得て結束を強めている。

 

―――例えば"エンジニア部"は、青天井の予算で"セミナー"を悩ませ、タカネ(金庫番)を送り込まれても尚()()()()()()()()()()を続け、その産物は[光の剣:スーパーノヴァ(アリスの相棒)]となり、リカの[イビルアイ∑(『廃墟』探索や襲撃成功の一助)]...様々な力となった。

 

 

―――何事も、それに対するモチベーションや真摯さ、本気度...要するに()が無ければ上手く行かない。

 

 

「"――モモイ、ミドリ、ユズ、マリサ"」

 

―――四人それぞれの名前を呼び、それぞれが顔を上げて私を見上げる。アリスは大丈夫そうに見えたから呼ばなかったけど、釣られる様に不思議そうな表情を浮かべて顔を上げる。

 

「"――君達の()()()()()()は、実際は中身がスカスカだったこのBible(聖書)()()()で折れる程度のものなのかい?

――思い出してみてほしい。私達がよく知らない、でも君達なら詳しく知っているであろう"ゲーム開発部"()()()()()()()()を"」

 

 

―――半年前―――

~"ゲーム開発部"部室 ロッカー~

side-ユズ

 

「...うぅ...」

 

―――外の音をシャットアウトして、扉の覗き窓から少しだけ差し込む部室の灯りが暗闇で私を照らすロッカーの中。()()()()()より落ち着いている気がするけどそれでも身体の震えは止まらない。

 


★☆☆☆☆

ここまでクソだとは思わなかった

どこか懐かしいドットグラフィックに惹かれたが、シナリオも操作性も何もかもが酷い。プロトタイプでこれでは正式版リリースはやめた方がいい。

 

★☆☆☆☆

星を付ける価値すらない

何もかもがゴミ。ギリギリゲームの体を成していることが奇跡。レビューシステムの都合で星を0にできないのが悔しい。

 

★☆☆☆☆

RPGでシビアな操作を求めるな

古式ゆかしいRPGなのに入力判定がやたら厳しい場面が多々ある。しかもミスするとバッドエンド直行の場面があるのも最悪。開発者はさぞ腕が立つプレイヤー様なんだろう。


 

【クソゲー】かべちゃんクソゲー発掘隊 103番坑道【掘り出せ】

 

302:名無しのクソゲーハンター ID:u1JliMuFF

おまいら!Jeung-gi*1ですごいの掘り出されたぞ!

Jeung-giリンク↓

[Jeung-gi] project Stories

 

303:名無しのクソゲーハンター ID:5kn8q9pAn

>>302

発掘感謝。開発版というだけでスメルを感じるぞ!

で、ストアページ見た感じドットグラフィックのRPGか?これまたえらくレトロだな。

 

304:名無しのクソゲーハンター ID:iPW+Bv5mr

>>302

発掘乙。早速ダウンロード中。開発版なのもあるだろうけど、ドットグラフィックのおかげか容量小さいな。

 

305:名無しのクソゲーハンター ID:vQBXNyLlu

>>302

発掘乙。

ワイもダウンロード中。早く中身を見せてくれ!

 

 

―――プレイ中でレスが少ないので割愛―――

 

347:名無しのクソゲーハンター ID:Ufv6iJL47

>>302のproject Storiesどうなん?時間的に評価が出始める頃合いだが。バイトの小休止中なもんでここもストアページもしっかり見れてなくてな。

 

348:名無しのクソゲーハンター ID:RqDiVzx2X

>>347

開発版とは言え、ここまでクソなのはクソゲーハンターになって以来初めてだぜ...

 

349:名無しのクソゲーハンター ID:d6Ko+DTZn

最初の操作チュートリアルの移動でボタン指示に従ったら主人公が爆発して、セーブデータも一緒に吹っ飛んだんだが??

初見殺し大好きなあそこでも操作面で初見殺しはしねぇぞ。

 

350:名無しのクソゲーハンター ID:ehApovkhp

>>349

これの時点でクソゲーのスメルが一気に醸し出されたよな。これは初見殺しじゃなくて理不尽だよ。

 

351:名無しのクソゲーハンター ID:qTB+vMIoC

>>349

正解のボタンが分かるまで三回主人公とセーブデータが爆発した。マジで理不尽だよ。正直ここでやめたくなったが、こんな最序盤で終わっちゃクソゲーハンターの名折れだからな。

 

352:名無しのクソゲーハンター ID:f9T4chVvl

>>351

そんな初見殺しを越えた先に待つのは銃を持ったスライムと唐突なQTE~クソ短い猶予を添えて~

 

353:名無しのクソゲーハンター ID:q3UegzMMH

>>352

しかも死んだら村全滅のバッドエンドだ!

 

354:名無しのクソゲーハンター ID:JfTlDxh5M

>>352

>>353

おまけにQTEのボタンはランダムだ!...こんな笑いより怒りが湧くクソは初めてだよ

 

355:名無しのクソゲーハンター ID:aRIjhbx0Y

あそこでワイはプレイを諦めた。正式版がどんな呪物になるか怖過ぎる。いや、正式版なんてあってはいけない代物だよコレ。

 

356:名無しのクソゲーハンター ID:bA6pw/5ET

開発版終点の序盤ボスまで何とかたどり着いたが、正体が主人公の前世の腹違いの兄弟で親友って何??背景が理解できなくて宇宙猫になった。

 

357:名無しのクソゲーハンター ID:4fJ2HnAid

>>356

キャラ設定も意味分からんが、序盤ボスが村襲う経緯と理由も意味分からん。屋台の飯食ってたらいきなり主人公との繋がりを思い出して、主人公の母親を寝取ってマウント取る為に村を襲う。

...何言ってんだこいつって思うだろ?これマジです()

 

358:名無しのクソゲーハンター ID:sJ465hEf0

まさかこんな高品質なクソゲーが発掘されるとはな...坑道掘り尽くすまでクソ要素を掘り出すぞ!

 

 

―――以下様々な酷評が続く―――

 


 

「...なんで...初めてなりに頑張って...こんなに酷い評価しかないの...?」

 

―――目を閉じても思い出せてしまう、『Jeung-gi』ストアページのレビューや『かべちゃんねる』での酷評。いくら身体を縮こめても大量の酷評文が脳裏を過り続け、震えは止まらない。

 

―――ゲーム好きが高じて、好きなジャンルの一つであるRPGゲームを作ってみようと思い立ち、部活動―――"ゲーム開発部"設立を"セミナー"に申請して、でも()()()()()()()()()()()()()()()を満たせていない為()()()()()()()()()ことを条件として課されて部室の借用と予算配分を認められ、開発に必要な環境を揃え、知識や技術を自力で勉強してから作った『project Stories』。

 自分でプレイした感覚だけでは評価は難しいだろうとと思い、プロトタイプ(開発版)として『Jeung-gi』にアップロードしてみた。初めて作ったから、厳しい評価は少なからず出て来るだろうと覚悟していた。―――でも、酷評しか無かったのは予想外だった。

 

―――『ねぇ、[Jeung-gi]で話題の()()プレイした?』

―――『あぁ、[project Stories]?"クソゲー発掘隊"のスレを見て私も入れてやってみたんだけど...アレはすごいね』

―――『多分初めて開発したんだろうけど、辛うじてRPGゲームの体を成しているのが奇跡ってレベルだよねー』

 

 更に、酷評や冷やかしが多すぎて、『モモッター』所か学校内でもあちこちで噂を聞くレベルになってしまった。その内容も酷評か開発者―――私を冷やかしたり厳しく評価するものばかりで、こうしてロッカーに籠って逃避しようとしているけど―――僅かな光源だけの薄暗い空間は寧ろ、『project Stories』と私への酷評や冷やかしを再認識させるばかりだった。

 

「...怖い...外に出たらまた...うぅ...こんなことになるなら『project Stories(あんなゲーム)』作らなきゃ――」

 

 

 

 

コンコン...>

 

「ひっ...?!」

 

―――突然聞こえてきた、ロッカーの外、部室のドアがノックされた音に驚いて肩をビクッと跳ねさせる。

 

「誰も居ない...誰も居ない...!『project Stories(あんなゲーム)』を作った人なんて居ない...!」

 

 自分に言い聞かせる様に呟いて身体を縮こませ、気配もできる限り消してノックには応えない姿勢を取る。部室の電気も消しているし、不在だと分かれば―――

 

 

ドンドンッ...!>

 

「ひっ...?!ま、また...?!」

 

―――しかし、さっきよりも強いノック音が聞こえて来てまた肩をビクッと跳ねさせる。強くノックして来るなんて、諦めが悪い来訪者だ。

 

「誰も居ない...誰も居ないから...!『project Stories(あんなゲーム)』を作った人なんて居ないから...!早く...早く部室から――」

 

 

―――ガチャ...>

 

「――ッ...?!」

 

「...居ないな。出払ってるのか?」

「そんな筈ないよ!この部室棟の娘達も『姿を見かけた』って言ってたし!」

「入れ違いの可能性もあると思うよ、お姉ちゃん...」

 

~ッ...!

 

―――部室のドアが開き、三人分の声が会話を交わしながら()()()()()()()()足音が聞こえ、口を塞いで声が出ないように必死に抑え込む。

 

「...どうする?今回は諦めるか?」

「いいや!きっと居るよ!マキだってカメラとかハッキングして映像記録を洗って裏付け取ってくれたしさ!」

「...はぁ、お姉ちゃんは相変わらず...じゃあ、居ると仮定したら...あのロッカー、とか?」

《/blur》>《/right》

 

ッ...ッ...!

 

―――声は近くなり、部室を歩き回る足音が聞こえて来て更に身体を縮こませて口を塞ぐ手も握りしめるけど、見付かる事と―――それ以上に『project Stories(あのゲーム)』の事で()()()()()()()()()()()()()んだと言う()()()()()()()による恐怖で更に身体が震えるけど、幸いロッカーを揺らさない程度には抑えられている。このまま抑え続けて―――

 

 

「おぉ、如何にも隠れるに打って付けなロッカーじゃん!じゃあ早速...!」

 

 

 

―――ガチャッ...!

 

「ひっ...?!」

 

「――うわ、ホントに居たよ?!」

「...ま、まさか予想が当たるなんて...」

「本当に隠れてたのか...だが、明らかに()()()()()な...」

 

―――ロッカーの扉が開き、肩を大きく跳ねさせて縮こまると、私を見付けて驚いた様な声と、戸惑う声二人分が聞こえて来る。恐る恐る顔を上げると―――

 

「...お姉ちゃんがごめんなさい。私はミドリ、『才羽ミドリ』です。えっと...『project Stories』を開発した"Mrs.UZ"は貴女...で会ってるかな?」

「...っ...!」

 

―――緑色のラインが走る猫耳のヘッドホンカチューシャを被り、明るい緑色のアクセントを飾るジャケットを纏う一年生(同学年)らしき生徒―――『才羽ミドリ』さんと名乗った生徒が私と目線を合わせてそう尋ねて来て、ビクッと身体を震わせる。"Mrs.UZ"―――『project Stories(あのゲーム)』のアップロードの為に作った『Jeung-gi』上のサブアカウント名だけど、どうやって知ったんだろう。

 

「...反応的に図星か。私は『霧雨マリサ』、二年生だ。モモイ――この双子のピンクの方な。コイツが"ヴェリタス"って()()()()()()に所属してる友達(ダチ)に頼んでアカウント主を特定して、お前が――『花岡ユズ』って生徒はここに居るって分かってな。この部室棟の連中もお前が居るって言ってたし、こうして訪ねてみた」

「私が『才羽モモイ』!ミドリは双子の妹だよ!――ハッカーに頼んでまで貴女に会いに来たのは、『project Stories』について()()()()()()があってさ」

「...っ...ごめんなさいごめんなさい!あんな酷い出来のゲームを出して――」

 

 側のこめかみから三つ編みを垂らす金髪の長髪、『ミレニアム』生の制服である白いワイシャツの襟元に空色のネクタイを締め、黒い薄手のベストの上に裏地が白い、黒地に黄色いラインが走るパーカーを羽織った、『霧雨マリサ』さんと名乗った生徒が経緯を説明し、ミドリという生徒とよく似た服装で、アクセントをピンク色にして差別化している『才羽モモイ』さんと名乗る生徒が予想通りの動機を―――『project Stories(あのゲーム)』について話したい事があると明かし、()()()()()()()()()()()()()()()んだと察して頭を下げて必至に謝って―――

 

 

 

 

 

 

「――すごいよ!あんな()()()()()()()()()()()()()は初めてだよ!」

「...ふぇ...?」

 

―――でも、酷評や冷やかしじゃない言葉が聞こえて来て、困惑しながら顔を上げると満面の笑顔を浮かべたモモイさんが居た。その後ろでは二人も笑顔を浮かべている。

 

「――沢山あった酷評の内容は否定できないけど、お姉ちゃんが言った通り今までにない要素が沢山あって、()()()()()()()よ」

「二人の言う通りだ。不便な所も不満な所もあったが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()に私は惹かれた」

「......!」

 

 ミドリさんとマリサ先輩も楽しかったと感想を挙げる。―――酷評、冷やかししか無かったレビューで『project Stories(あのゲーム)』は()()()()()()()()()()()だったと自覚し続けていた。でも―――初めて()()()()()()()()()()()()人が現れた。驚きと嬉しさで声が出せないまま三人を見上げる。

 

「まぁ、こんな感想はレビュー挙げればいいんだけどね。でも、こうしてリア凸したのはさ――()()()()()()()()()()()()()()()()()からなんだ!」

「――私はお姉ちゃんと一緒にゲームを遊んできたけど、『project Stories(貴女が作ったゲーム)』を遊んで――初めて()()()()()()()()()()()()()()()()()って思ったんだ」

「――私は元々"エンジニア部"所属だったんだが、開発が全く上手く行かなくて悶々としててな...気晴らしに適当なゲームを漁って遊んでいたら、『project Stories(お前が作ったゲーム)』を見付けた。初めてだぜ――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて思ったのは。勢いで退部したはいいが、誰が作ったか分からんからどうしたものかと思っていた所で、同じくお前を探していたモモイとミドリに出会してな。こうして一緒に訪ねたって訳だ」

「――え...?」

 

―――モモイさん達三人が部室(ここ)を訪ねた理由を明かし、更なる驚きで一瞬呆けてしまう。大量の酷評や冷やかしを見て来たせいか、素直に信じられない。でも―――三人揃って()()()()()()だ。

 

「...さ、三人は...げ、ゲームが好きなんですか...?」

「勿論だよ!ゲームのおかげでミドリと仲も良くなったしね!」

「今も偶に喧嘩しちゃったりするけど、ゲームのおかげでお姉ちゃんのことも理解できたんだ。だから――私とお姉ちゃんが仲直りできたみたいに、()()()()()()()()()()()()()()()()を、一緒に作りたいんだ」

「二人と違ってゲームは偶にやる程度だったが...作ることでもっと理解を深められる筈だ。ゲーム開発についての知識は現状まるでないが――努力は得意なんでな」

 

 私の問いに三人揃って頷く。眼差しも変わっていない。三人は本当に―――

 

「...う、うぅ...」

「ど、どうしたの...?!私、何か傷付けるようなこと言っちゃった?!」

「...うぅ...違い、ます...酷評や冷やかししかない、『project Stories(あんなゲーム)』でも...喜んでくれる人が居ることが...一緒にゲームを作ろうって言ってくれる人が来てくれたことが嬉しくて...!」

 

―――こみ上げて来た涙を抑えられず泣き出すとモモイさんが戸惑った声をあげるけど、涙声で嬉しいんだと伝える。涙は止まらず、視界も涙で歪んで―――

 

 

―――ポンッ...

 

「...ふぇ...?」

「――『project Stories(あのゲーム)』からはゲームへの確かな愛と、王道常道を往かない未知への挑戦を感じられた。私はそれに惹かれて"エンジニア部"からここに来た。ゲーム作りは初めてだが、一緒に挑戦していこうじゃないか。批判されても、冷やかしをされても――私が守ってやる。お前が作った『project Stories(あのゲーム)』は愛がある良いものだと言い続ける」

「ちょっとちょっと!――これからは私達も一緒だよ!皆で頑張ればもっといいゲームができるよ!」

「...私達もゲーム開発なんてやったことはないけど、一緒に頑張ろう。――私達も、貴女が作ったゲームはいいものだと思ってるから」

 

―――頭に手が置かれ、撫でる様に動く感覚を感じて顔を上げると、マリサ先輩が優しい笑みを浮かべていて、その後ろでモモイさんとミドリさんも笑顔で頷く。頭上で手が動く感覚は少し擽ったいけど、確かに優しさも感じられて緊張と恐怖が和らいでいく。

 

―――やろう。

 

 

 

―――『project Stories』を楽しいと言ってくれたこの三人と一緒なら、きっと...!

 

 

 

「...分かりました...い、一緒にゲームを作りましょう...!...私は、"ゲーム開発部"部長、『花岡ユズ』です...!」

「改めてよろしくね、ユズ!」

「よろしくね、ユズちゃん。一緒に頑張ろう...!」

「よろしくな、ユズ」

 

―――ロッカーから出て三人と相対し、改めて自己紹介して手を差し伸べ、三人は笑顔で私の手の上にそれぞれの手を重ねる―――

 


 

side-"先生"

 

「...『TSC』のプロトタイプになった『project Stories』。沢山――()()()()()酷評や冷やかししかなかったのに、心から楽しいといってくれたのは、直接ここに来たモモイ、ミドリ、マリサの三人だった...おかげで、最低人数も満たせたから部活動として正式に認められた...」

「『project Stories』をプレイした時は初めて心から楽しめたし、何が起きるかワクワクしたよね。確かに理不尽だったりまるで理解できない要素も沢山あったけど...マリサが言ってた()()()()()()は確かに感じられた」

「うん。...だから、ただゲームを遊ぶだけじゃなくて、皆が楽しめるようなゲームを()()()()って思ったんだ」

「――あの感覚は忘れられないな。空飛ぶ箒の開発がまるで進まなくて悶々としていた時に、何となく気になってプレイしたら感じた、あの()()()()()()()()()()()感覚。クソゲーと言われちゃ反論できないが...『project Stories』のおかげでゲーム開発の可能性に気付けたし、お前達とも出逢えた」

 

―――四人はお互いに見つめ合い、"ゲーム開発部"設立時の事を思い返す様に話し合う。暗い雰囲気は部室に入った時よりも和らぎ始めていて、四人の瞳にも光が戻りつつある。

 

「"――改めて質問するよ。()()()()()()()()()は、『G.Bible』の真実を知ってしまって折れてしまうものかい?"」

「...そんなことはない、です...!ゲーム開発をやろうと決めたのはゲームを遊んで楽しむだけじゃなくて、皆が楽しめるゲームを作りたくて...何より()()()()()()()だから...!」

「...そうだよ。私達は()()()()()()だから――大好きなゲームを()()()、皆を()()()()()ものを作りたくて"ゲーム開発部"を正式なものにしたんだ!」

「...思っていたより難しくて、開発よりも遊ぶことが圧倒的に多くて今の状況になってるけど...それでも、()()()()()()()であることに変わりはないです...!」

「『TSC』は一緒に勉強しながらの開発だったが、少しずつゲームが形になっていくことを実感できて楽しかったな。お前達のおかげでそこそこのゲーマーにもなったし――()()()()()()はますます強くなった。――『G.Bible』の中身はスカスカだったが、おかげで()()()()()()を思い出せたぜ...!」

「おぉ...四人共、デバフが取り除かれて――いえ、寧ろバフが掛かっています!『TSC』は他の誰かにとってはクソゲーでも、アリスにとっては多くを学べた神ゲーです!アリス達なら、()()()()()()()()()()()このパーティーなら――『TSC2』を形にできます!」

 

―――私の問いに四人はそれぞれ答えて立ち上がる。瞳も雰囲気も、初めて出会った時以上に明るいものになっている。その様子を見ていたアリスも嬉しそうに瞳を輝かせながら声をあげる。ユズは部員四人を見回して頷き―――

 

 

「――皆、やろう...!『ミレニアムプライス』まで残された時間は少ないけど、『TSC2』を完成させて私達の()()()()()()を証明しよう...!」

 

「「「「おーーーっ!!」」」」

 

―――ユズの音頭を受けた、"ゲーム開発部"の意気軒昂な掛け声が部室に響く。

 

 

「――あの中身では毒にも薬にもならないと思いましたが..."ゲーム開発部"の皆さんにとってはいい薬になったようですね」

「"そうだね。――何事も、それに対する愛やモチベーション...()()()()()()()()()()()()がなければ途中で折れてしまうからね。モモイ達はそれを改めて思い出せた――『TSC2』はきっと完成するよ"」

「理由も動機もなく物事を続けることなんてできないものね。私もアヤも、()()()()()()()()()ことを動機にして一緒に『クロノス』に入ったし」

 

 士気が回復した"ゲーム開発部"の面々の様子を見ながらアヤの言葉に頷き、ハタテもそう同意して頷く。―――理由も動機も無いのでは、惰性でダラダラと続く内に自然消滅する様に止まってしまう。だから、長く物事を続けるには理由や動機、目標が必要だ。『G.Bible』に記された『ゲームを愛しなさい』という言葉は、誰でも言える様な薄っぺらい言葉に見えて、ある意味真理を突いた言葉だ。

 

―――[ゲームガールズアドバンスSP(モモイのゲーム機)]の()()()()()()()()()()()()してまで手に入れたデータ媒体としては()()()()()()()()事は気になるけど、『G.Bible』はBible(聖書)として役目を果たした様だ。

 

「モモ達が復活できて、友達としても嬉しいよ!でも――五人で手が足りないならいつでも頼ってよ!友達が困ってたら助けるものだしね!」

「"『シャーレ』としても、君達のサポートを続けるよ。"ゲーム開発部の()()回避"が遂行中の依頼だからね"」

「勿論、私達"RABBIT小隊"も"ゲーム開発部"の皆さんをサポートします。特殊任務とゲーム開発では毛色が違うので、できることは少ないですが...」

「正直、一昨日の()()みたいなことは勘弁して欲しいが――やれといわれたらやるぞ。それが兵士だからな」

「そっちのやる気充分なら、私らもやる気出してサポートできるしねー。ミヤコが言った通り、できることは少ないかもだけど」

「うん...!私達も、できることでサポートしていきます...!」

「『シャーレ』ビルの留守番もあるので付きっ切りは難しいですが、ご用命があればいつでも呼んでください。"キヴォトス最速"は伊達ではありません」

 

 嬉しそうなマキの言葉に続いて、私達も改めて"ゲーム開発部"の()()回避をサポートすると宣言する。ミヤコの言う通り、ゲーム開発のサポートと言っても何が出来るか分からないけど―――依頼を請け負った以上、出来る事をやっていこう。

 

「乗り掛かった舟だし、私も協力するわ。でも...本当に大丈夫?」

「何のこと...?」

 

―――ハタテも協力を宣言するけど、スマホの画面とホワイトボードのカレンダーを見比べながら疑問を挙げ、モモイが首を傾げる。

 

 

 

 

 

 

「――"セミナー"発信の広報だと、『ミレニアムプライス』出品作品の()()()()まで後()()()よ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「えぇ~~~~~??!!」」」」」

 

―――ハタテが挙げた懸念を受けて"ゲーム開発部"の五人は一瞬呆け、部室にの驚いた声が響き渡る。

 

 

―――to be continued―――

 

 

*1
증기(ジュン ギー)。韓国語で蒸気を意味する。元ネタは某超巨大ゲームプラットフォーム




という事で、『G.Bible』の中身が何も無いショックから立ち直りました。

東方、原作新タイトル発表されましたね。記念すべき20弾『東方錦上京』。いやぁ、20作品出るまで来たんだなぁ...出逢えて良かったマジで。
初心に帰ってレイマリだけ。山の聖域を舞台に、過去の異変の力を持つ石を手に...ネムノ、美天再登場も期待できるし新キャラも出るだろうから楽しみ...!
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