Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
前回のあらすじ:
~『ミレニアムサイエンススクール』商業区~
side-"先生"
「"――これで頼まれたものは全部だね"」
「はい!後は
「多種多様なインスタントラーメンに、ゴミ袋とかの消耗品、そして大量の[妖怪MAX]...ハレが見たら喜びそうね」
―――スーパーを出て、[妖怪MAX]
「記事編集で偶に徹夜することもあるから、この[妖怪MAX]みたいなエナドリのストックを何本か買うことはあったけど――こんな箱買いは初めてね。レジで直前に居た娘も箱買いしてたから
「"
ハタテの言葉に頷き、『ミレニアム』滞在中に何度か飲んだ[妖怪MAX]の効力を思い返す。
―――『ミレニアムプライス』出品作品の提出期限は後
―――『――――って感じでこの章は進めようと思うけど、どうかな?!』
―――『...その展開にするなら、主人公の背景は少し減らすべきですね。これでは
―――『お、なんかいい感じだな。これならプレイヤーの印象に残るんじゃないか?』
―――『――立ち絵のラフできましたよ。設定的にはこんなビジュアルでしょうかね』
―――『...すごい...私もこんな姿だろうなって考えてました。アヤさんは絵も描けるんですね』
―――『状況によってはカメラが使えない場合もあるので、メモに雑なスケッチを描く程度ですがね』
―――『それでもありがたいです。早速ドット打ちに取り掛かります...!』
―――『...ん?――モエ、ユズ。ちょっといいか?この技、説明と実際の威力が合っていないぞ。今のレベルなら...これくらいの火力が出る計算になるが』
―――『ユズ、ちょっとコード見せて!...あー、ここだ!このくらいの修正は私がやるから、このステージのデータ私のパソコンに転送してからユズは先を進めて!』
―――『わ、分かった...!』
―――シナリオ構成、グラフィック作成、テストプレイ、デバッグ..."RABBIT小隊"とアヤも開発に全面的に強力していて、[妖怪MAX]で眠気を飛ばして寝る間も惜しんで全力で開発を進めている。今頃も部室は騒がしいだろう。
今日の『シャーレ』メンバーのシフトとして、アヤは『シャーレ』オフィスビルで応対と留守番。ミユはサキとテストプレイを交代して仮眠中。ミヤコはモモイやマリサとシナリオを詰めていて、もう少しで全体の構成が終わりそうとの事だった。
そして―――私達は三人は丁度手が空いていた為、こうして買い出しを請け負っている。部室に詰めている人数が人数だから、買い出しの量も中々多い。
「"――『G.Bible』解読から二日。開発進捗はもうすぐ半分って所だけど、できれば期限ギリギリでの提出は避けたいからあまり余裕はないね"」
「期限ギリギリってどうしても慌てちゃうから、詰めが甘かったりミスが残ってたりしても気付かなくて、出した後に見直して気付いて、でも時すでに遅し...なんてこともあるものねぇ。全部終わってからザッと確認する時間は欲しい所ね」
私の言葉にハタテはうんうんと頷く。新聞記者として、取材で得られたネタを出来る限り早く記事として編集して世に出す作業を行うから、期限との戦いを理解出来るのだろう。
「今、睡眠中の皆は大丈夫でしょうか...アリスは
「
アリスの心配そうな言葉を聞いたハタテはそう言ってアリスを見る。
―――『アリスってば凄いんだよ!私達が寝ている間にも、[TSC]以外のゲームも
―――モモイ達曰く、アリスを"ゲーム開発部"に迎えてから彼女は
―――アリスと"ゲーム開発部"の出逢いから、今のアリスの性格と言動を作り出したのは間違い無くゲームであり、
「――随分大荷物ね。"ゲーム開発部"の娘達向けの買い出し中?」
―――私達が歩く歩道のすぐ隣を走り抜ける、上部に小さなレドームや細々とした機材を載せたワゴン車。それが数メートル程前で止まり、私達が並んだ所で助手席側の窓が降りてユメミが顔を出して声を掛けて来る。
「おぉ、"教授"の登場です!――はい!アリス達はおつかいクエストの途中です!ですが、この成果を持ち帰れば今回のクエストは達成です!」
「"アリスの言う通りだよ。――車を態々止めたってことは、私達に用があるのかな?"」
「えぇ。正確には――アリスに、だけど」
ユメミは私の問に頷き、[妖怪MAX]の箱を肩に担いだまま不思議そうに首を傾げるアリスを見つめる―――
~『岡崎研究室』技術試験場 観測室~
side-ユメミ
「――測定、記録機材の準備は?」
「もうすぐで配備完了だ。――にしても、態々"教授"が相手するのか?
―――試験場上部に据えられた観測室に入ると、仮想キーボードを叩いて機材のセッティングを進める生徒―――金髪のツインテールの上に水兵帽風の帽子を被り、頭上に黄色いヘイローを浮かべ、襟元が青いセーラ服に水色のネクタイを締めその上にジャケットを羽織り、ホルスター、マグポーチ付きベルトを締めた白いショーツ、ブーツを履いた―――私の助手である『
「
「...そういや、
「他のエージェントも連れないで一人で請けたもの。何か起きたら彼女一人でやるしかないわ。尤も――メンバーに報告を入れないってことは、
チユリにそう返しながら窓の前に立ち、そこから見下ろせる試験場の向こう―――
『突発的なバトルイベント...!アリス、誰が相手でも全力で挑みます!』
『"私は見届け役として観戦しかできないけど、アリスが勝つことを祈っているよ"』
『誰が相手か分からないけど、これはいいネタになるわね...!あぁ、今日はアヤが居なくてよかったわ!』
―――準備を終えて待機室から出て来たアリスと"先生"、ハタテのやり取りを試験場内の集音マイクが拾う。
―――リオの
相手をするのは私だけど、ここまでその事は
「じゃあ、準備が終わったらアナウンスしてね。そのタイミングで出るから」
「あぁ、任された」
窓から離れてチユリに準備を任せて観測室を出て、階段を降りてアリス達が待機していた方とは反対側の待機室に向かう―――
~『岡崎研究室』技術試験場~
side-"先生"
『――悪い、少し待たせたな。観測車を運転してた時に軽く自己紹介はやったが、改めて。――私は[北白河チユリ]、一年生だが"教授"の助手を務めてる。今回、そこのアリスの"
―――試験場に出て来て数分。私達の前にホログラム姿の生徒―――私達を送迎した観測車のドライバーを務めていたチユリが現れ、改めて自己紹介して私達を見回す。
―――『これから向かうのは私が設立した研究室よ。で、このドライバーの金髪ツインテールの水兵みたいな娘は私の右腕よ』
―――買い出しの帰路にあった私達を拾ったワゴン車―――"岡崎研究室"が所有する観測車を運転して"ゲーム開発部"部室に運び入れ、その足でここ"岡崎研究室"に送ってくれた上で、準備も進めていたとは...本当にユメミの右腕として働いている様だ。
「アリスは『天童アリス』です!...[鏡]奪還クエストでは満足に戦えなかったので、今回はアリスの全力を自分でも把握できるちょうどいいゲリラクエストです!」
「――『クロノス』の『姫海棠ハタテ』よ。もしかしたらお世話になるかもだから、『花果子念報』の名前と記者の名前は覚えておいてよね!」
「"――"連邦捜査部"『シャーレ』顧問、"先生"だよ。...送迎からこの場の準備まで君一人でやったのかい?"」
こちらも車内では出来なかった自己紹介を返し、チユリに尋ねる。
『まぁな。一応
「――その"教授"は何処に行ったのかしら?アリスの戦闘能力を見たいって言ってた張本人は居ないの?」
チユリが私の問に答え、ハタテが怪訝そうに眉を曲げて尋ねる。―――この"岡崎研究室"に着いた時に別れたけど、ハタテが言った通り"
『あぁ、"教授"なら――』
「――ふふ、私をお探しかしら?」
―――おもむろに私達の視線の先、反対側のドアが開き、ユメミが―――普段は背中に背負っている[レッドクロス・クライシス!]を
「――!まさか...アリスの相手は"教授"ですか?!」
「ご名答。――
「う、嘘...?!ヤバいわよコレ...!『ミレニアム』の『岡崎ユメミ』"教授"と言えば――内外で
アリスの問に頷くユメミを見たハタテは驚きと
「――"教授"が相手でも不足はありません!寧ろ、ここで"教授"に勝てればアリスは『ミレニアム』
―――アリスは一切怖気付かず、寧ろ
「...ふふ、流石ね。その前向きな精神もまた
『はいよ!――これより、[天童アリス]と[岡崎ユメミ]の戦闘を始めるぜ!"先生"と
「"分かった。――アリス、全力で思うままにね。君の勝利を祈っているよ"」
「よし...スマホのバッテリーも容量も大丈夫...!アリス!紙面を湧かせるような勝負を期待するわ!相手は相当な実力者だけど頑張りなさい!」
―――意気軒昂なアリスを見たユメミは微笑みながら頷き、チユリに呼びかけるとアナウンスが入る。チユリの指示に従い、青いラインで区画されたエリアに移動しながらハタテと共にアリスに応援の言葉を掛けておく。
「"これは..."」
『終わるまではそこに居てくれよ。そのセーフティの
「へぇ...流石『ミレニアム』。この中に入れば、アリスと"教授"の戦闘の
―――チユリが示したセーフティゾーンに入ると青いラインに沿ってバリアのようなスクリーンが展開され、チユリの説明を受けた私達は『ミレニアム』の技術力の高さに関心しながらベンチに座る―――
side-ユメミ
「――さて。準備はいいかしら?」
「はい!――アリス、戦闘開始です!」
アリスは頷き―――[
アリスの初動は予想通り。レールガンのエネルギーコイルが青白く輝き、アリスは筐体を構え―――直前で真横に跳ねて射線をずらす。
「先手必勝です!――光よ!」
アリスが吼え、銃口から放たれた青い閃光の様な曳光が私を狙い―――
「レールガンの強みは火薬式を凌駕する初速と貫通力。だけど――射線が分っていれば避けられる」
―――横へとステップで避け、弾頭が高速で飛び抜けて空気を震わせる余波が三つ編みを揺らす。すかさず[レッドクロス・クライシス!]の縦軸を開き、空冷ジャケットを纏う銃身を展開。トリガーを引き、重厚な銃声が鳴り響く。
「っ...![
アリスはステップを交えて駆け、避けられない弾は[
「へぇ、近付いてくるつもり?なら――」
僅かに目を動かし、足元を見る―――
―――私のアイコンタクトに反応して足元の床パネルが跳ね起きる様に起き上がり、後方へ跳躍させる補助装置が作動。跳躍して距離を取りながら、銃把を回して縦軸の反対側を展開―――ランチャーからロケット弾を放つ。
「――!」
アリスは即座に[
「おぉ!どうやったのか分かりませんが――環境利用とはさすがです、教授!」
「ふふ、アリスも咄嗟の反応で防ぐなんてやるじゃない。でも――」
―――HMG側の外装を閉じ、[レッドクロス・クライシス!]を突き立てて銃把を九十度回せば横軸の外装が開き、マイクロミサイルポッドが起動する。
「――これは避けられるかしら?さぁ、貴女の全力を見せなさい!」
―――マイクロミサイルが放たれ、着弾すると
「きゃっ...?!うわーん!十字架が多すぎます!」
アリスは
「回避経路は結構潰したつもりだけど...動体視力も中々ね」
「――この程度の弾幕なら盾は必要ありません!」
「――そこです!」
「――っ...!」
―――[光の剣:スーパーノヴァ]の銃口から閃光が迸ったのを見逃さず、咄嗟に[レッドクロス・クライシス!]の側面を向けて放たれた銃弾
「速射...なるほど、我ながら盲点だったわ」
銃弾を防ぎながら呟き、[
「うわっ?!」
アリスはまさかの反撃に驚き、速射を止めて[光の剣:スーパーノヴァ]を盾にして防ぐ。―――これでお互い仕切り直しだ。
「――流石、勇者を目指す娘ね」
「――"教授"こそ、すごく強いです。『廃墟』でのクエストの時も頼もしかったですが、こうして戦っていると改めて
アリスの士気はまだ折れておらず、キラキラと目を輝かせて[光の剣:スーパーノヴァ]を構える。―――強い娘だ。モモイ達がこの娘に与えた経験がこの人格を形作った事もあるだろうけど、勇者を目指そうという意思を曲げない精神の強さは彼女自身が築いたものだろう。この精神の強さなら、もし
「ふふ...なら、私もやられないように気を付けないとね」
微笑み、[
「うわっ?!」
「――!」
―――突然、轟音と共に私達の頭上の天井が崩れ、私とアリスはそれぞれバックステップで落下してくる瓦礫を回避する。
『おい誰だぁ?!
―――幸い観測室に被害は無かったけど、天井に備えていた機材が
「――よぉ、ユメミ。なーんか面白そうなことしてんじゃねぇか」
―――大きなアホ毛が伸びる、左側頭部に三つ編みを垂らしたオレンジ色のショートヘアにメイドプリムを嵌め、襟元を大きく開けたメイド服の上にスカジャンを羽織り、黒と赤のスニーカーを履く―――"C&C"部長にして"約束された勝利の象徴"の二つ名を戴く"
side-"先生"
「"あれは...
「ま...まさか"約束された勝利の象徴"が乱入してくるなんて...!こんな生涯最高のネタ、是が非でも独占よ!」
ハタテが一心不乱にユメミとアリスの間に落下した瓦礫の上に立つネルに向けてスマホのカメラを構える隣で、私もネルに目を向ける。―――"セミナー"
「"――説明の時にホログラムで容姿を見たけど、本当に
「..."先生"、本人の前ではそれツッコまないでよ。当人は
―――ハタテはスマホを構えたまま、私に目を向けて忠告する。どうやらネルは身長にコンプレックスがある様だ。ホシノ、そしてヒナもネルと同じ位に小柄だったけど、それを気にしている様子は見られなかった。ネルは実力者として、任務を遂行するエージェントとしてプライドもかなり高いのかもしれない。
「"生徒を不快にさせる物言いをするつもりはないよ。でも、問題は..."」
ハタテにそう答えながら、三人の方に目を向ける。私は"先生"として他者を傷付ける物言いをするつもりは無い。故にネルの身長に何か言うつもりは無いけど、問題は―――
「おぉ...!まさかの乱入イベントです!そのメイドなのに不良みたいな容姿と雰囲気――貴女が噂の"約束された勝利の象徴"ですね!アリスは『天童アリス』です!」
「...初めて見る顔だが、あたしのことをよく知ってるじゃねぇか。いかにも、あたしが"C&C"のリーダーにして、『ミレニアム』最強のエージェント"
アリスが目を輝かせて自己紹介すると、ネルはニヤリと笑って頷いて自己紹介を返す。
「――ネル。どういうつもりかしら?」
「案件終わった帰りに
ネルはユメミの問いにそう答え、珍しい物を見る様にユメミを見下ろす。―――ユメミも高い実力の持ち主だけど、その力を積極的に見せる事は少ないらしい。
そして、やはりアリス―――
―――閑話休題。
「
「はい!"教授"の言う通りです!アリスは
「ほー、なるほどな。――なら、
―――ユメミとアリスが事情を説明すると、成程と頷いたネルは赤い瞳をギラリと光らせてアリスを見下ろす。
「おぉ!"約束された勝利の象徴"と戦えるとは...アリスは大歓迎です!――でも、アリスはチビじゃありません!」
「あん?どう見ても
「そのモモイとミドリとほぼ同じ
―――一瞬で場の雰囲気が凍り付き、ネルの眉がピクリと上がる。
「ヒューッ...十中八九そこを突くと思ってたけど、ここまでの煽りはちょっと想定外ね」
「...あーあ、言っちゃった..."先生"の懸念的中ね。ここまで煽ったのはアリスが初めてじゃないかしら?」
―――一瞬で場の雰囲気が凍り付き、ネルの眉がピクリと上がり、纏う雰囲気が鋭くなる。ユメミは口笛を吹いて関心した表情を浮かべ、ハタテは憐れむような目をアリスに向ける。
―――アリスは様々な要因の影響を受けやすいと私は感じている。言葉の随所にゲーム用語やゲーム的表現が混ざるのは、モモイ達が『TSC』を始めとするゲームを遊ばせた結果だ。そんな人格形成は兎も角―――
「...今、なんつった?」
「
「うっわ...更に抉ったわよあの娘」
眉をピクピク震わせるネルの問に対してアリスは
「...そうか。
「てめぇ、ぶっ飛ばす!!!」
―――瞬間。ネルが目を剥いて吼え、
「うわっ?!――
アリスは飛び退いて弾幕を躱し、意気軒昂に瞳を輝かせて[光の剣:スーパーノヴァ]を構える。
「...全く。とんだ独立変数が飛び込んできたわね」
ユメミは呆れたように息を吐き、
「あぁ、始まった!これは永久保存ものよ!『花果子念報』の購読数爆増間違いなし!」
ハタテは目を輝かせて再度スマホのカメラを構える。戦闘は三つ巴の乱戦に持ち込まれそうで、本来のユメミによる
<~♪
「"――ん?『モモトーク』が..."」
―――『モモトーク』の着信通知でポケットの中のスマホが震え、取り出して画面を開く。
Prof.ユメミ
先生
このIDにネル乱入の件を連絡しておいて
@cc03-M.A.
トークしてみれば誰かはすぐに分かるわ
あ、私への返信は不要よ
「"...ユメミからだ。スマホは操作していないのにどうやって..."」
―――
side-ユメミ
「おらおらおらおらぁっ!!」
ネルは接近しながらチェーンを振り回し、勢いを付けて回転射撃。対するアリスは[光の剣:スーパーノヴァ]を盾にして弾幕を凌ぎながらネルへ迫り、右足で蹴り込むように反撃を仕掛ける。
「その大きな筐体では接近戦は不向きでしょうに...」
そう呟きながら[レッドクロス・クライシス!]を構え、バレルを展開。横からアリスとネルの間に射線を通すように弾幕を張りつつ、反対の手で[
「はっ!二人がかりかよ!上等だ!」
ネルは体を回転させながら[ツイン・ドラゴン]の銃口二つを私に向け、私の脚元へ連射。跳躍で交わし―――
「魔力充填百パーセント――行きます!」
―――同時にアリスのレールガンがチャージを終え、光が奔る瞬間を視界に捉え、私は咄嗟に跳躍する。
「光よ――!」
閃光がネルの背中を襲う直前、彼女は伏せて回避し、マガジンを再装填する。
「いい火力じゃねぇか、チビ!」
「うわっ?!」
言葉と同時にネルがアリスへ詰め寄り、[ツイン・ドラゴン]をヌンチャクの様に振り回してチェーンを伸ばし、アリスの足に引っかけて崩そうとする。アリスは少し反応が遅れるけど、[光の剣:スーパーノヴァ]を振り回して強引に払いのけて距離を取る。
「これは手強いです...!――ですがアリス、まだいけます!」
「尚士気は高い、か...逃げねぇのは褒めてやる」
アリスはそれでも尚士気を保ち、瞳を輝かせて[光の剣:スーパーノヴァ]を構え、ネルは関心した様にニヤリと笑って[ツイン・ドラゴン]を構える。
―――十秒、二十秒。時間は過ぎていき、五分、十分と戦闘は続いている。私は距離を取りつつ弾幕をばらまき、ネルの行動制限に徹する。
「――!」
「っと...!」
ネルの短機関銃が私に迫り、対する私は[
「光よ――!」
「――っち...!」
「ふっ...!」
―――アリスがその瞬間、隙を突くようにチャージを終えた[光の剣:スーパーノヴァ]を私とネルを巻き込もうとする様に撃ち込み、私はネルと揃ってバックステップで銃弾を躱し、空気を貫く衝撃波がそれぞれの髪やジャケットを揺らす。
―――ネルは片膝をついて着地し、私達を見回して笑う。
「ははっ...いいじゃねぇか、やるじゃん二人とも!」
「
「アリスの戦闘能力評価になっているか怪しい所だけど...アリスのコンディションはまだまだ最高潮みたいだし、ね」
―――私の言葉を合図にした様に、それぞれの銃口を互いに向ける。アリスはチャージした[光の剣:スーパーノヴァ]を、私は[レッドクロス・クライシス!]を、ネルは[ツイン・ドラゴン]を私とアリスにそれぞれ構える。
―――誰もが、撃てば終わるとわかっていた。
『――"教授"。
「――了解。二人共、ここまでよ。データは充分取れたわ」
「...分かりました。勝敗がついていないのが不満ですが――クエストの依頼人が達成と判断したなら、アリスはそれに従います」
―――チユリから報告を受けた私は頃合いだと銃を下ろして終戦を宣言する。アリスはそう言って[光の剣:スーパーノヴァ]のチャージを解く一方、ネルも少しの間を置いてゆっくりと[ツイン・ドラゴン]を下ろす。けど―――その表情には
「中々楽しめたが...クソ...物足りねぇな」
ネルは地面に座り込み、愚痴る様に言葉を零す。
ウィィン...
―――そんなネルの背後で、私が出て来たドアが開き、"先生"を通して呼び寄せた
「――そうだ。次はタイマンでやらせろよ。乱戦じゃ相手の動きを細かく把握できねぇからな。そこの
「...さっきの私の宣言、聞いてなかった?――貴女は乱入者。継戦を決める権利はないわ」
「うるせぇ。あたしが請けた案件...成功したはいいが、
「――部長。その案件の達成報告をまだ受けていませんが」
―――静かなな声が、ネルの背後に静かに立つメイド服の生徒―――アカネから放たれ、ネルの身体がピシリと固まる。
「...アカネ。なんでここに居やがる」
「"教授"より、"先生"の『モモトーク』を通して部長を連れ戻すようにと依頼を請けまして」
ネルは固まった表情のままギチギチと音を立てていそうなぎこちなさでアカネへと振り向き、尋ねるとアカネは
「――報告放棄、施設の天井爆破及び機材破壊。これは
「勿論そのつもりよ。じゃあ、後はお願いね」
私に向き直って深々と頭を下げるアカネに頷き、ネルを連れ戻す様にと促すとネルは絶望した様な表情を浮かべる。
「ちょ、ちょっと待て!まだあたしは――」
「現在、
ネルの反論虚しく、アカネ首根っこを容赦なく掴み、簡易的なカーテシーで私達に別れを告げ、ネルをズルズル引き摺るようにして歩き出す。
「...まったく。そういう好戦的な所が周りから恐れられる要因なのに。アリス、ネルはああ見えて人をよく見るし、面倒見もいい娘よ。ただ、見た目と雰囲気と言動とあの好戦性で距離を取られがちなだけなの」
「なるほど!
「...それから、一つ忠告。その
「はい!アリス、これからは
「...仲間とプライドの問題になっては私も止めにくいわね」
アリスは笑顔で頷いてそう答え、ネルの言動を考えれば今後も
「――"教授"。アリスはどうでしたか?アリスは――
「そうねぇ...」
アリスは一転真剣な表情を浮かべ、そう尋ねる。私は顎に指を添え、私と、そしてネル乱入後の戦闘での動きを思い返す―――
「――単刀直入に言って、
―――そう評価を述べて微笑み、アリスの頭を撫でる。アリスはパッと表情を輝かせ、[光の剣:スーパーノヴァ]を抱くように握り締める。
「ありがとうございます、"教授"!アリス、もっと強くなります!」
「ふふ、頑張りなさい。――チユリ、セーフティゾーン解除後データ回収と後始末。"先生"達もアリスを褒めたいでしょうしね」
『はいよ、任された』
インカムで観測室のチユリに指示を出し、数秒後に"先生"達が居るセーフティゾーンのバリアが解除され、"先生"とハタテがこちらに歩いてくる様子を目に留める。
―――アリスの実力は、経験を詰めば開花するだろう。問題は、
ということで、ネルパイ乱入はあれどアリスの性能評価は終わりました。
~生徒紹介~
名前:
所属校:ミレニアムサイエンススクール
学年:一年生
部活動:岡崎研究室 教授専属"助手"
装備:HG(