Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~   作:八坂 義景

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シュポガキが超特急で3Dモデル化して凸ってきたので初投稿です。君ら3Dモデル化速すぎん???

遂にミレニアムプライスです


File55.M-16~ミレニアムプライス~

~『ミレニアムプライス』会場~

side-"先生"

 

ワイワイ...

ガヤガヤ...

 

―――観覧席を埋めていく住人や、『ミレニアム』内外の生徒達の喧騒が会場に響く。私達はその喧騒から少し離れた、ステージ側面二階の()()()の末席でミヤコと共に『ミレニアムプライス』開催を待っている。元々この席は『ミレニアム』と懇意にしている企業の幹部にあてがっていたらしいけど急用でキャンセルとなり、ユウカからの誘いで私達がここに座っている。

 ここから全体を見渡せる観覧席の奥では、"セミナー"と『クロノス』所属らしき娘達がそれぞれカメラを設置してライブ中継、撮影の準備を行っている。

 

「...この時が来ましたね。私も、不思議と緊張しています」

「"私も同じだよ。提出まで寝る間も惜しんで手伝ったから、まるで我が事みたいに思ってしまうんだろうね"」

 

 緊張で表情を少し強ばらせているミヤコの言葉に頷き、『TSC2』提出までの()()()()()を思い返す。

 

 

―――()()()()()()()()を測るべく、ユメミからの頼みで"岡崎研究室"の試験場で戦ったあの日から()()()()()()まで、モモイ達"ゲーム開発部"と私達『シャーレ』は()()()()寝る間も惜しんで作業を続け、完成と提出を目指した。

 

―――でも、ありがたい事に私達『シャーレ』以外にも、『TSC2』開発を手伝ってくれる娘達が何人か来てくれたおかげで負担や疲労は少し和らいだ。

 

―――『モモ、ミド、皆お疲れー!ちょっと時間が空いたから手伝いに来たよ!』

―――『ヴェリタス(ウチ)のプライス向けの作品提出は済んだんでな。あの()()までして[鏡]を取り返して、結局お前らが提出失敗(門前払い)になっちまったら申し訳ねぇ。何かできることはあるか?』

 

―――"ヴェリタス"からはマキとマガンが部室を訪ねて来て、ユズ、モエでも追い付いていなかったデバッグの殆どを受け持ってくれた。

 

―――『やぁやぁ、進捗はどうだい?"部長"命令でちょっと手伝いに来たよ。まぁ、私達はプログラミングは不得手だからそっち方面じゃ力になれないけど』

―――『"セミナー"襲撃(先日の件)では()()()()()()()()からと参戦できませんでしたが――その代わりに"ゲーム開発部"の皆さんを少しでもお手伝いしたくて、ウタハ"部長"にお願いしてニトリさんと一緒に来ました!』

 

―――"エンジニア部"からはニトリとサナエが部室を訪ねて来て、テストプレイや物資の買い出しを受け持ってくれた。

 

―――『...こりゃ随分大所帯なこって。そこのアリス(チビ)から話は聞いてるだろうが、あたしが"C&C"の部長のネルだ。――アカネの()()でお前らの状況を聞いてな。...あの時の()()()()()()でお前らに()()()を与えちまったら寝覚めが悪ぃ。

 見た所――エナドリやらエナジーバーの類しか食ってねぇな?眠気飛ばしと即座の補給にゃ丁度いいだろうが...ちったぁちゃんとしたものを食わねぇと()()()()()ぞ。だから――あたしがサクッと摘めるメシを作ってやる。部室(なか)に給湯室はあるだろ。ちょっと借りるぞ』

 

―――手伝いの為の来訪者で驚くべきは、ネルが訪ねてきた事だろう。あの戦闘の後で私達の事情を知った様で、そう理由を挙げて中半無理矢理に給湯室を占拠し――生鮮食品や調味料は殆ど無かったから私やアリス、ハタテが買い出しに走らされたけど――所謂()()()の様な、簡単に作れてお腹も膨れる食事を提供してくれた。

 

 私達『シャーレ』だけじゃなく、これまで"ゲーム開発部"が得た繋がりが多くの支援を齎してくれた。おかげで―――

 

「提出は結局()()()()()()になってしまいましたが...『TSC2』は受賞できるでしょうか」

「"私達だけじゃなく沢山の娘が手伝ってくれたんだ。『TSC2』開発に携わった思い入れ補正は無視できないけど...大丈夫。きっと受賞できるよ。それに――"」

 

 観覧席の一角に並んで座っている"ゲーム開発部"の面々へと目を向けながら、ミヤコの言葉にそう返し、スマホを操作してある画面を開く―――

 


★★★☆☆

思っていた以上に楽しめた

『Project Stories』と『TSC』をプレイしていたのでまさかの続編リリースに戦慄していたが、二作品の様なクソゲーではなくなっていてクリエイターとしての成長を感じられた。一部の不便なUIやシビアな操作に思うところはあるが、過去二作品よりは受け止めやすくなったシナリオ、キャラ背景の狂いっぷりにはポテンシャルを感じられた。

 

★★★★☆

これがあの『TSC』を作った所の作品ってマジ?

『TSC』がクソ過ぎて、同タイトルに"2"のナンバリングがされていて戦慄したが、拙い所はあるもののレトロチックなRPGとしてプレイできるクオリティだったとは驚いた。シナリオのトンチキっぷりも緩和されたし、普通にゲームとして遊べるようになったからこのトンチキなシナリオが『TSC』シリーズの味になりそうで今後に期待できる。

 

★★★☆☆

クソゲー卒業おめでとう

しがないクソゲーハンターとしてはクソゲーから脱皮したのは残念だが、ゲーマーとしてはこれからに期待できるタイトルだと思う。

 


 

「"――『Jeung-gi』のレビューもいい感じだ。審査員の選考にこれが加味されているかは分からないけど..."」

「『かべちゃんねる』でも少し話題になっていましたね。こちらでも結構いい評価が多いです」

 

 ミヤコもスマホを操作し、『かべちゃんねる』のあるスレを開いて私に見せる―――

 


【RPGは】かべちゃんRPG総合スレ Part413【いいぞ】

 

475:名無しのゲーマー ID:Or8TIi5cS

これからに期待できるタイトルだと思ったので紹介する。

リンク↓

[Jeung-gi] Tales Saga Chronicle 2

 

476:名無しのゲーマー ID:Zk7AQ9+Pc

>>475

TSCの後継か?スレチだからクソゲー発掘隊のスレにあげろよ

 

477:名無しのゲーマー ID:mrpuRzmLD

>>476

とりあえずダウンロードしてプレイしてみろ。容量は少ない方だし、実際にプレイすれば何故このスレにあげられたか分かるはずだぞ。

 

478:名無しのゲーマー ID:+Bl3TQ+Nw

>>475

まさかクソゲーがこれからに期待できるタイトルに脱皮するとは思わんかった。開発経験が浅いが故の拙さは所々にあるけど、RPGが大好きなんだってクリエイターの想いがよく伝わってきた。

 

479:名無しのゲーマー ID:/fCcMXtPg

シナリオとキャラの設定のトンチキっぷりは前作と比べると緩和されたけど、これくらいならシリーズとしての味になりそうだから開発者には頑張ってほしい所やね。

 

480:名無しのゲーマー ID:AbefVyB7a

前作で多用された上にクソだったQTEシーンは今作では重要な場面に絞られているし、ドットグラフィックでも没入感がすごい。相変わらず入力判定はシビアだし、失敗するとバッドエンド行きの場面もあるけど、ただのRPGにはしたくないって開発者の意思が伝わってくる。

 

481:名無しのゲーマー ID:6tu4Iuhaw

『クロノス』"新聞部"の記者が記事あげてたから紹介しておくぞ。

文々。新聞↓

【ゲーム】将来性あるRPG『Tales Saga Chronicle 2』

花果子念報↓

【ゲーム】『Tales Saga Chronicle 2』は王道を往かない

 

482:名無しのゲーマー ID:vKsjtEn9z

>>481

『花果子念報』が珍しく新しめの話題出しててビックリ。本当に記事は読みやすいんだけどなぁ。

 

483:名無しのゲーマー ID:d5uA08gx+

>>481

記事リンク乙。『文々。新聞』、TSC2のストアリリース当日に開発者インタビューしてて草。相変わらず最速だなこの記者。

 

484:名無しのゲーマー ID:eawOa3oof

>>481

『クロノス』の有名な"ダブルスポイラー"が同じ話題を出すのもちょっと久しぶりじゃね?『花果子念報』はこうやって新しい話題を記事にしていけば『文々。新聞』といい勝負ができると思うんだが...

 

 


 

―――ミヤコの言う通り、掲示板でも高評価が多い。掲示板の評価を審査員が加味するかは分からないけど、『TSC2』をプレイ人達は高評価を挙げている。これならもしかしたら―――

 

 

『――お集まりの皆様!遂にこの時が来ました!我がミレニアムに集う数多の技術の粋を競う"ミレニアムプライス"が、今年度も開催されます!司会は私、"エンジニア部"一年生"豊見コトリ"が務めさせていただきます!』

 

―――そんな中、ステージ袖からコトリが姿を現し『ミレニアムプライス』開催を宣言する。

 

 

―――"ゲーム開発部"()()回避の条件である、"『ミレニアムプライス』に作品を提出し、()()()()()()()()()()"事。果たして『TSC2』は―――

 

 

―――一週間前―――

 

~"ゲーム開発部"部室~

side-"先生"

 

「――お姉ちゃん、提出フォーマットはできたよ!後はTSC2(データ)を添付して出すだけ...!」

「もうちょっと待って!...誤字なし新たなバグなしデータ破損なし...

 

―――ユズのパソコンで提出フォーマットを確認していたミドリがモモイに声を掛け、モモイは自身のパソコンでデータを確認しながらそう答える。

 

「もうちょい...後ちょっと...!――よし、出来た!ユズ、転送するよ!」

「――転送確認...!後は添付して...うん...フォーマットに問題なし――これで...!」

 

 

 

 


Millennium PRICE

 

――作品提出完了――

 

作品名:Tales Saga Chronicle 2

出品者:ゲーム開発部


 

「て...提出完了...!」

「やったー!間に合ったー!」

「やった...!何とか間に合った...!」

「ぱんぱかぱーん!提出クエスト達成です!」

 

「何とか間に合ったか...はぁぁ...一気に疲れが吹き出してきたぜ」

 

―――画面に()()()()の画面が映り、ユズが震えた声で宣言する。モモイとミドリは抱き合って喜び、アリスは笑顔で万歳し、マリサは深く息を吐いてソファにドサリと座って天井を仰ぎ見る。

 

「――提出完了おめでとうございます。私達のサポートもその一助になれたなら幸いです」

「期限の時間()()()か...本当にギリギリだな。データのアップロードが間に合わなかったらと思うと...」

「くひひ、提出できたならいーじゃん!今は無事に提出できたことを喜びなよ、サキ!」

「お、おめでとう皆...!」

 

「――()()()()()()()()は突破できましたか。一先ず、おめでとうございます」

「皆、おめでとう。私はガッツリ最初から関わってはいないけど、それでも少し手伝った身としては嬉しいわ」

「"皆、よくやったよ!()()()()()は無事突破だ!"」

 

 ミヤコ達"RABBIT小隊"、アヤとハタテに続いて私も"ゲーム開発部"の面々を労う。―――そう、()()()()は突破出来た。

 

「...次は、()()()()だな。ここを突破できなきゃ――()()()()()()()だ」

 

―――モモイ達に向き直ったマリサの言葉に、モモイ達は一転表情を固くする。

 

「――『ミレニアム』外部より招かれた審査員による、()()()()()()()()。これを経て、『ミレニアムプライス』提出作品のランキング、各種賞が決定されます。"ゲーム開発部"の皆さんに課せられた()()回避の条件は――『ミレニアムプライス』で()()()()()()()()()()こと、でしたね」

「"『ミレニアム』()()の、か...『ミレニアム』内で完結させては、身内意識が働いて公正な評価が得られない可能性を考慮してるんだね"」

「そうだったんだ...私達、『ミレニアムプライス』提出は今回が初めてだからさ。流石新聞記者...アヤは詳しいね!」

 

 アヤの言葉にモモイと揃って関心した言葉を返す。―――()()から招いた審査員による選考。仮に『ミレニアム』の生徒のみに任せてしまえば、人間関係によって評価が変わってしまい、本来下されるべき評価が成されない可能性がある。外部の人間による審査選考は基本的ではあるけど、重要な評価方法だ。

 

「過去に取材経験がありましたから。――しかし、選考中の一週間。提出した側にできるのは受賞を祈ること位でしょう。この場に居る方々は大体()()()()()の疲労もしっかり取れていないでしょうし、休息を提案します」

 

 アヤがそんな提案を挙げると、私達の間に疲労疲弊に満ちた雰囲気が漂い始める。―――期限までに提出出来るか。その不安と緊張が無くなった事で、仮眠や休憩で癒し切れなかった疲労が一気に湧きあがって来た様だ。

 

「あぁ、アヤに賛成だぜ。ちゃんと提出できる(出せる)かも不安でマトモに眠れてなくてな...丸一日、寮のベッドでグッスリ――」

 

 

 

 

「――その前に!せっかく出来上がったんだし、『Jeung-gi』に『TSC2』を()()()()()()してみようよ!」

 

―――モモイが唐突に挙げた提案。疲れを隠せていない表情で賛意を示したマリサも含め皆目を点にしてモモイを見つめる。

 

「...お姉ちゃん、忘れたの?ユズちゃんは『Project Stories』をアップロードして、()()()()()酷評や冷やかしを受けたんだよ?私達が作った『TSC』も結局クソゲー評価だったし、『TSC2』も同じような酷評になったら――」

「アップロードする前からそんな悲観的な見方はダメだよミドリ!目的は『ミレニアムプライス』への作品提出だけど――()()()()()()()()()()()()()()()だよ!」

「確かにそうだが...ユズは作ったゲームが酷い評価を受けてトラウマになってる。それを考えればアップロードは――」

 

 

「...や、やろう...!確かに『Project Stories』はあんな酷い評価を受けたけど...『TSC2』は、"先生"や『シャーレ』の皆、他にも沢山の人が手伝ってくれた。だ、だから...きっと酷評ばかりにはならないはず...!それに――モモイの言う通り、()()()()()()()()()()()()()()()だから...!」

 

―――ミドリとマリサが懸念を挙げるけど、ユズは意を決した表情で『TSC2』を『Project Stories(ゲームストア)』にアップロードしようと賛成し、モモイ達は目を点にする。―――『G.Bible』の捜索や[鏡]奪取、そして期限が近い中で多くの生徒達の手伝いを受けての『TSC2』完成。これまでの活動はユズに大きな影響を与えた様だ。

 

「――そうか。ユズがやろうって言うなら、私は止めないぜ」

「...ユズちゃんがやりたいなら、私も止めないよ」

「アリスにとって『TSC』は多くの学びを得られた神ゲーでした。アリス達や皆で力を合わせて作った『TSC2』は――間違いなくいい評価が得られる筈です!」

 

 マリサがフッと笑って賛意を示すと、ミドリとアリスも続いて賛意を示す。

 

「...っ...皆、ありがとう...!じゃあ、早速準備して...!」

 

 マリサ達が揃って賛意を示した事に感極まった様に息を吞んだユズはお礼を言い、自身のパソコンに向き直る。

 

「――テストプレイは少しやりましたが、『Jeung-gi(ゲームストア)』にあがるのであれば私もプレイしてみますかね」

「ついでにちょっとした記事でも書こうかしら。新聞記者として贔屓はできないけど、読んだ人に興味を持ってもらえそうな内容を書く自信はあるわよ」

「"選考期間は一週間。ボリューム的には一周目クリアまでは行けるだろうからいい考えだね"」

 

 アヤとハタテの提案に頷き、私も一週間の間にダウンロードしてプレイしてみようと思いながらユズの作業を見守る―――

 


 

~『ミレニアムプライス』会場~

side-ミヤコ

 

『――続きまして第七位!我が"エンジニア部"より"白石ウタハ"部長の作品[光学迷彩下着セット]がランクインです!身に付けていてもその下の素肌が見えてしまう為、着ているのか着ていないのか分からないというエキセントリックな作品ですが――――』

 

「"...これまた凄い作品がランクインしたね..."」

「光学迷彩...Кролик小隊(イナバ先輩達)の装備にも利用されている技術ですが、それを下着に使うとは...」

 

―――『ミレニアムプライス』が始まって少し時間が進み、()()()()である十位以上の発表に移っている。"エンジニア部"のウタハ部長が提出したらしい作品の説明をコトリさんが進める中、"先生"と揃って苦笑する。

 光学迷彩という高度な技術を態々下着に利用するとは技術の無駄遣いと感じてしまうけど―――所謂()()()の一つなのだろう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()特徴にどんな需要があるかはまるで分からないけど、十位圏内にランクインしたという事は今回の審査員からすれば何か惹かれるものがあったのだろう。

 

 

『――――続きまして第六位!こちらは"トレーニング部"”よりスミレ部長の作品がランクイン!テーマは――――』

 

コトリさんは続いて六位にランクインした作品の発表に移る―――

 

 


~『ミレニアムプライス』会場 観客席~

side-マリサ

 

『――皆様、お待たせしました!遂に第一位の発表です!前回は"セミナー"書記であるノア先輩より提出された[思い出の詩集]が、睡眠導入剤としての高い効果を評価されて見事一位を獲得しました!果たして今回は、どのような作品が選ばれるのか?!』

 

フッ...

 

ダララララ...!

 

―――会場が薄暗くなり、スポットライトが揺れ始めると同時にドラムロールが鳴り始める。

 

「お願い...!ここまで発表されなかったんだから、ここで一位を取れればユウカも...!」

「お願い...!ここで受賞できなかったら私達は...!」

「お、お願いします...!『TSC2』を...!」

「アリス、心臓(循環ポンプ)が凄く速く動いています...これが、()()という感覚でしょうか...?」

「頼むぞ...あんな()()()()()をキメて受賞できなかったじゃ協力してくれた連中にも申し訳が立たない...ここで...!」

 

 私含め皆手を組んだり目をギュッと閉じたりして『TSC2』のランクインを必死に祈る。

 

―――第二位までにランクインしたのは、"エンジニア部"や"新素材開発部"、"セミナー"やら有名所の部員が提出した作品ばかりだった。一部はなんでそんなものを作ったのか理解出来ないものもあったが、なるほどランクインすると納得出来る作品ばかりだった。

 だが―――ここまでで『TSC2』の名前は出ていない。()()回避条件である『ミレニアムプライス』での()()()()()()()()―――このままでは最も重要なこの条件を達成出来ない状況にある。

 

『第一位は――!』

 

 

 

 

『"ヴェリタス"より"小鈎ハレ"先輩および"幽玄マガン"先輩の連名で提出された[エナドリメーカー]です!』

 

「...え?」

「...えっ...噓...」

「そ、そんな...」

「『TSC2』が...呼ばれませんでした...」

「...噓だろ...」

 

『おめでとうございます!トロフィーと副賞の贈呈を行いますので、提出者のお二方はご登壇をお願いします!さて、こちらの[エナドリメーカー]は自分が好きなフレーバーの材料を投入することで好みのエナドリを作ることができる優れものです!欲しいフレーバーが売られていない時にこれを使えば、モチベーション向上も期待できます!更に――――』

 

―――()()()()()()()()が発表された瞬間、耳が遠くなる感覚を感じる。コトリに呼ばれた二人がステージに登壇する様子も不思議とぼやけて来る。

 

―――『G.Bible』を求めて『廃墟』を探索し、見付けたはいいがセキュリティや暗号はすぐには解読出来ず。"ヴェリタス"が作った[鏡]であれば解読出来ると、[鏡]を押収した"セミナー"を()()して[鏡]を奪取した。だが、解読した中身は"ゲームを愛しなさい"なんてあまりにも薄っぺらいもので。それでも、"先生"の言葉で私達が"ゲーム開発部"として活動を始めた理由を思い出し、『TSC2』を提出するべく()()()()()で完成まで漕ぎ付け―――勇気を出したユズが『Jeung-gi(ストア)』へのアップロードを決意して、前作よりもいい評価を得られた。

 

―――だが、それでも今回の『ミレニアムプライス』審査員の()()()()()()()()()()()()()()()。『シャーレ』に支援を依頼して、他の生徒達からも手伝いを得られたというのに―――

 

 

 

 

『――――改めて、第一位の受賞おめでとうございます!――さて!前回まではここで終幕となりますが...今回は、審査員の皆様から()()()()()があるそうですよ!それでは、お願いします!』

 

―――コトリのそんな司会が聞こえ、顔を上げるとステージの袖から機械人(オートマタ)や獣人...審査員らしき六人の大人が出て来て真ん中に並ぶ。

 

『――こうしてステージに直接立つのは今回が初めてでしょう。皆様初めまして。我々が今回の審査を受け持ちました。まずは――今回、ミレニアムの技術の粋に触れる機会を頂けたことに感謝を申し上げたい』

 

 代表らしき横長頭の機械人(オートマタ)がそう言って審査員六人が揃って頭を下げる。

 

『――さて。ミレニアムプライスはこれまで、生徒の皆さんの才能と能力が生み出した作品に対し、()()()を重視して受賞作品を選定してきました。当プライス開催理念である、"より良い未来を求め、実現していく"ことに基づくものです』

 

 頭を上げると、『ミレニアムプライス』の開催理念について話し始める。最早()()()()()()()私達からすればどうでもいい事だが―――

 

 

『――ですが。例年以上に多い提出作品の中で、()()()()()()()()実用性を我々に感じさせてくれた作品が――()()()がありました。この現代、高解像度で美麗なグラフィックやVR...まるで現実と錯覚しそうなゲームが主流です。しかし―――そんな時代の流れに抗うような、()()()()()()()()()()()()()()が提出作品の中にありました。未来に目を向け続けることも重要ですが――時には()()()()()()()()()ことも重要だと我々は考えます』

 

―――()()()()()()()()()()()()()()。その言葉が聞こえた瞬間、私も勿論、モモイ達もハッと顔を上げる。

 

『よって――今回我々は主催である"セミナー"に掛け合い、()()()()()を行うこととしました。それは――()()()の設置です。この賞を――』

 

 

 

 

 

 

『――我々は、"ゲーム開発部"提出作品『Tales Saga Chronicle 2』に贈ります』

 

 


 

ミレニアムプライス

特別賞

『Tales Saga Chronicle 2』

 


 

 

―――代表の宣言と共に、背後のスクリーンに『Tales Saga Chronicle 2(私達の提出作品)』の名前が映し出される。

 

『これはまさかまさかの受賞です!()()()という史上初の試みの名誉を授かった"ゲーム開発部"の皆さん、ステージへご登壇を!さて、この"Tales Saga Chronicle 2"――"2"というナンバリングで察せるかと思いますが、前作が存在します!こちらは()()()()()()()()()()()()()()という称号を得たゲームでして――――』

 

「...呆けてないで行くぞ」

「...あ、うん!ほらミドリ!ユズも行くよ!」

「う、うん...!」

「ほ、本当に...『TSC2(私達のゲーム)』が...!」

「やりました!ランキングではありませんが、それでも()()()()()です!」

 

 コトリが『TSC2』について説明し始める中、私と同様にまさかの発表で呆けていたモモイ達を促して席を立ち、ステージに登壇する。

 

『――――ということで、レトロチックなゲームにも未来への可能性があるとして特別賞に選ばれました!おっと、"ゲーム開発部"の皆さんが登壇しましたね!それでは、()()()トロフィーと副賞の贈呈に移ります!部員の皆さんの中から代表二名、審査員の皆様の前へ!』

「...ユズ、トロフィーはお前が受け取るへきだ。副賞は私が受け取ろう」

「っ...わ、分かった...」

 

―――ステージに登壇すると、ちょうど説明を終えたコトリが私達に気付き、進行を合図に、運営スタッフなのか"セミナー"らしき生徒二人がステージ袖から出て来て審査員の代表と獣人の審査員に、虹色に光る『ミレニアム』校章のホログラムが浮かんだトロフィーと、副賞らしき包装された少し大きな箱を渡す。

 ユズは私の提案に頷き、緊張でガチガチなぎこちない動きながらも審査員の前に歩き出し、私も後に続く。

 

『――"ゲーム開発部"提出作品"Tales Saga Chronicle 2"。過去の経験や懐かしさが未来への可能性を拓く一例を示したことを評価し、ここに特別賞を授与します。――おめでとう』

「...っ...あ、ありがとうございます...!」

「――『TSC2(私達の作品)』を選んでくれたこと、感謝するぜ」

 

 審査員の代表が()()()授与を宣言し、ユズが緊張しながらもトロフィーを受け取り、私は副賞を受け取る。

 

『"ゲーム開発部"の皆さん、おめでとうございます!それでは――特別賞を受賞した"ゲーム開発部"の皆さんに拍手を!』

 

パチパチパチパチ...!

 

「...や...やったんだ...本当に私達は...!」

「...やった...!私達、やったんだ!」

「うん...!これで()()は避けられる...!」

「ぱんぱかぱーん!メインクエスト達成です!」

 

―――コトリの音頭で会場に拍手が響き渡る。コトリや審査員達も拍手を送り、モモイ、ミドリ、ユズが感極まった様に会場を見回し、アリスが一際大きな動きで万歳して()()回避を喜ぶ中、ステージ側面二階の来賓席に―――"セミナー"経由で来賓として招かれたという"先生"とミヤコの方に目を向ける。

 

「"...!"」

「...!」

 

―――少し遠いが、私の視線に気付いた二人が微笑みながらサムズアップする反応が見える。

 

 

―――これで、"ゲーム開発部"の()()は回避出来る。"先生"達『シャーレ』、"エンジニア部"や"ヴェリタス"、"C&C"...私達に協力してくれた連中には感謝してもしきれない。

 

「...ありがとな、皆」

 

 ポツリと呟き、会場に満ちる拍手を一身に受ける―――

 

 

―――to be continued―――

 

 




ということで、無事廃部回避!次回、パヴァーヌ編前半の区切りです。
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