Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
前回のあらすじ:廃部回避クエスト達成!
~部室棟 第一レクリエーションルーム~
side-マリサ
「――皆、飲み物は注いだな?」
ジンジャーエールを注いだグラスを持ち、レクリエーションルームに集まっている面々―――『シャーレ』の"先生"と"RABBIT小隊"。チヒロ先輩を除く"ヴェリタス"の面々。(相変わらず戦車改造に勤しんでるのであろう)リカを除くウタハ部長達"エンジニア部"の面々。
モモイが『トロフィー見せつけてユウカの鼻を明かしてやるんだ!』と言うので招待したらまさか来てくれるとは思わなかった"セミナー"のユウカとノア。ちょうど任務が無く手すきだったらしい"C&C"のネル先輩とアカネ。
そして―――モモイ達"ゲーム開発部"の皆。各々飲み物を注いだグラスを持っていて、念押しの確認を行う私に注目している。
「大丈夫そうだな。――さて、昨日の『ミレニアムプライス』で私達"ゲーム開発部"が提出した『Tales Saga Chronicle 2』は特別賞という、開催以来初めて設けられた賞にノミネートされる名誉に預かった」
そう切り出し、私達の傍のテーブルに置かれた
「だが――それ以上に重要なことがある。この
「そんな馬鹿げたことする訳ないでしょ。
「今朝方、"セミナー"のミーティングにて"ゲーム開発部"を
軽く揶揄う様に補足してユウカを見れば、半目で私を睨みながら条件達成を認め、ノアが補足する様に
「認めてくれるならそれでいいさ。――で、だ。
「あ...ありがとうございます...!」
「皆、ありがとう!」
「本当に、ありがとうございます...!」
「アリス達を手伝ってくれて、本当にありがとうございます!」
私に続いてモモイ達も皆に向かって頭を下げる。―――『シャーレ』に依頼を出すというのはモモイの発案だったが、まさか応えてくれるとは思わなかった。おかげで『廃墟』探索でも助かったし、それから今まで私達を手伝ってくれた。
それに加え、[
―――これ程沢山の支援が無ければ『TSC2』の開発も碌に進まず、『ミレニアムプライス』での受賞も叶わなかっただろう。本当に、感謝してもし切れない。
「"セミナー"
「もう
ウタハ部長が微笑み、タカネは勘弁してくれと言いたげな表情を浮かべて応える。
「モモ達が部活動存続できて友達としても嬉しいよ!あたしもその一助になれたみたいだから尚更ね!」
「[鏡]については
「今回の『ミレニアムプライス』で私とマガンの作品が一位を取った時は、嬉しさよりもモモイ達への申し訳なさが勝ってたからね。――
マキ、マガン、ハレが各々笑って答える。
「"セミナー"
「『アイツらのゲームがどんな出来か確かめてやる』などと言って、『ミレニアムプライス』の選考期間中に
ネル先輩が気恥ずかしそうに頭を掻きながら説教するが、目を細めるアカネの指摘を聞いて一転ギクリと肩を震わせる。―――言葉は厳しいが、私達の事を気に掛けていたみたいだ。
「――さっきも言ったけど、"ゲーム開発部"の
後は――常にやれとまでは言わないから、ちゃんとゲーム開発もやりなさいよ。『TSC2』で貴女達の開発能力を示したんだから。またサボったり、インスピレーション獲得の為ってゲーム購入予算ばかり求めるようなら――もう救済措置は与えられないから」
「わ、分かってるよ...!『TSC2』はこれからに期待してくれるレビューが多かったし、クリエイターとしてはそれに応えないとだから」
ユウカは半目でモモイを睨み、対するモモイは珍しく素直に頷く。『TSC2』の評価が良かった事もあって、クリエイター魂が刺激されたのだろうか。
「"『シャーレ』としても、君達の
「私達"RABBIT小隊"としても、今回の活動は大きな経験になりました。今まであまり縁がなかったゲームの楽しさにも気付くことができましたし――私達からも感謝します」
最後に『シャーレ』の"先生"とミヤコがそれぞれ微笑みながら言葉を返す。
「――本当に、皆ありがとな。じゃあ――長ったらしいお礼はここまでにして、乾杯するか。さぁ、グラスを掲げろ!」
私の言葉を受けて、皆グラスを掲げる。
「――私達"ゲーム開発部"の
―――レクリエーションルームに乾杯の歓声が響き渡る。
「――そこです!」
「なッ?!あぁクソ...!――おい
「アリスは何度でもお相手しますよ!またアリスが勝ってみせます、
「今度こそはぶっ飛ばす!」
―――ネル先輩が操るファイターがアリスのファイターに吹っ飛ばされ、アリスの勝利、ネル先輩の敗北としてリザルト画面に切り替わる。ネル先輩はもう一戦やれとアリスに求め、アリスも余裕そうな表情で勝負を受けてファイター選択に入る。
その後ろでは、観戦しているユウカとノアが小声で
―――レクリエーションとして、『大乱戦ブレイクシスターズ』で適当に対戦相手を組んでのプレイ。いの一番に名乗りを上げたアリスとネル先輩がずっとタイマンでバトルしているが―――ネル先輩はアリスに対して
「あやや、『ミレニアム』
「ネル先輩ならやりそうなのがな...しかし、『TSC2』開発の時も飯とかテストプレイで手伝ってくれたし、噂とか遠目に見かけた時の印象とは違う一面があったんだな..."約束された勝利の象徴"も、ちゃんと人間なんだなって思うぜ」
私の隣で観戦しているアヤの言葉にそう返す。―――小柄だが、纏う雰囲気は強者のそれで近付き難い印象があったが、"自分のせいで悪影響を及ぼしたら申し訳ねぇ"と手伝ってくれたり、
「――『ミレニアム』
「さぁな。"教授"――
アヤの疑問にそう答える。―――『G.Bible』捜索の為に『廃墟』を一緒に探索してくれて以来、度々私達を気に掛けてくれている"教授"。このパーティーに招いて改めてお礼したかったが、"
―――"全知"を持つ天才でコミュニケーション能力も高く、請われれば個人や講義で授業を行ったりして
そんな"教授"が
~『岡崎研究室』 プロジェクトラボ~
side-ユメミ
「――お、来たか」
―――研究室で最も規模が大きく、私達が進めている
「――時間ちょうどね。普段はもう少し早く来るのに、何かあったのかしら?」
軽くウェーブが掛かった金髪のショートヘアに赤いカチューシャを飾り、頭上には
「気まぐれ屋な"教授"が指示した集合にギリギリだったり、遅れるなんてことは今に始まったことじゃないでしょ?ちゃんと来てくれただけいいんじゃないかしら」
―――机に笠を模した帽子を置き、後頭部で黒髪をおさげ二本で結い上げ、頭上に
―――そんな我が"岡崎研究室"所属の生徒三人が揃っている事を確認し、空いている席に向かう。
「ごめんなさいね。
席に着き、コンソールを操作して窓のカーテンを閉じ、防音装置、ジャミング装置―――外部から見られないように機密対策を施しながらそう切り出せば、三人共頷く。
―――"ゲーム開発部"から
「――『AL-1S』、現在は『ミレニアム』一年生、"ゲーム開発部"所属生徒『天童アリス』として籍を得ている――『廃墟』にて見付かった、
説明しながらコンソールを操作し、机の投影装置から
「――そこで、貴女達にはそれぞれのアプローチで
「
チユリは愚痴を零しながら手元のコンソールを操作して映像を―――私、そして乱入したネルと
「――まず、筋力的に
私がアリスと銃火を交える映像を見ながら、チユリはまず
「――――最後に、戦闘面の評価だが...ぶっちゃけ『ミレニアム』最強クラスの"教授"やネル先輩じゃ比較にならない。だが――三つ巴の乱戦でも余裕がありそうな様子を見るに、ポテンシャルはありそうだ。...現状じゃこれが限界だ。正直、期間とデータ収集の機会がもっと欲しいぞ」
「報告ありがとう、チユリ。...期間については申し訳ないわ。
チユリは報告を締めくくりながら不満げな表情を私に向け、私はお礼を言いつつ期間が長く取れなかった理由を挙げる。―――
「――じゃあ、次は私から。皮膚も人工皮膚としては既存のもの以上に
―――ナルミがそう発言してコンソールを操作し、採血サンプルの調査結果を映し出して説明を始め、思考を止めて耳を傾ける。ナルミは生物学を専攻していて、義肢義足、人工皮膚、ナノマシン等の研究を主に行っている。その為
「――――最も注目すべきはナノマシンね。ナノマシンは
ナルミはそう説明しながら、顕微鏡カメラで拡大されたナノマシンを映し出す。血小板に似た小さな球形だけど、外観は白く無機質で明らかに人工物であると解る。この小さな小さな機体に、複数の機能を詰め込んでいるとは―――"オーパーツ"に他ならないだろう。
「損傷修復機能はまだ分かるが――ハッキングやら通信やら...ナノマシンに必要なのか、それ?」
「
ナルミはチユリの問いにそう答え、報告を締めくくる。
「報告ありがとう、ナルミ。――じゃあ、最後にアリスね」
「了解よ。――私は、
最後に、アリスに報告を促す。アリスは私が渡した『廃墟』探索時に
「――――このように、『廃墟』での発見時は機械的な言動だったものが、"ゲーム開発部"の下で活動を続けている内に感情豊かな娘に変化している。外的要因を情報として学習しているのだろうとは分かるけど――これ程豊かに変化する理由が推測できない。今の
アリスはチユリと同様に期間の短さに不満を零して報告を締め括る。
「報告ありがとう。――じゃあ、現状出された情報から
「結論って言っても...どう出せばいいんだ?私らが挙げた情報的には、"常人とは思えない特異性がある"ってことは共通してるが」
そう音頭を取れば、チユリがそう質問を挙げる。
「あぁ、その辺りはまだ伝えてなかったかしらね。
~発着場 四番ヘリパッド~
side-"先生"
「――"先生"、改めて、この度の"ゲーム開発部"
「本当にありがとう!おかげで私達はこれからも活動できるよ!」
「『シャーレ』は素晴らしいパーティーメンバーでした!機会があったら、アリスはまたパーティーを組みたいです!」
「"こちらこそ、君達の力になれてよかったよ。これからは、ちゃんとゲーム開発も進めるんだよ?君達には『TSC2』みたいな作品を生み出す能力があるんだから"」
「私達にとっても今回の依頼は貴重な経験でした。選考期間中にプレイした『TSC2』は私達でも楽しめましたから、今後"ゲーム開発部"の皆さんが開発したゲームがリリースされたら遊んでみますね」
「そりゃありがたい。...モモイ、こうして期待してる連中も居るんだからな。開発漬けになれとまでは言わないが、ちゃんとゲーム開発も進めるぞ」
「わ、分かってるよ...」
―――モエが
―――"ゲーム開発部"
『――こちら"RABBIT3"!いつでも飛べるよ!』
「"了解。――それじゃあ、私達は帰還するよ。"当番"も歓迎するし、困ったことがあったら直接ビルに来てね。業務や依頼次第では直接応対できないこともあると思うけど..."」
「"当番"は相変わらずシフトが一か月先まで埋まっている程の盛況振りですが――やはり、常駐出来る人員はもっと欲しいですねぇ。...
「...もしかして、『シャーレ』って結構忙しい感じ?」
―――モエの報告と同時にヘリのローターが回り始め、風が吹き始める中で私とアヤの言葉を聞いたハタテが顔を青ざめさせる。
―――『"先生"。アヤには話したんだけど――私もシャーレに所属していいかしら?あのアヤが興味津々な存在だし、"先生"がどんな人物か判断するには別視点も必要だと思うの。アヤ程速くは飛べないけど飛行能力持ちだし、"ヴェリタス"も一目置くハッカー技能は戦力価値も高い筈よ!』
―――パーティー中にハタテからそんな提案を受け、『シャーレ』二人目の部員兼"サイバー担当"としてハタテを受け入れる事にした。ビルに帰還したら、書類を用意して正式に部員として迎え入れる予定だ。彼女の能力は未知数だけど、
「あら、今更怖気づいたの?そうやって肝心な所で日和るから私に勝てないのよ。折角"先生"の近くに――
「――ひ、日和ってなんかないわ!アヤが不得手な分野で"先生"と『シャーレ』に貢献してやるから見てなさい!」
―――『シャーレ』が人手不足故に多忙であると察して青ざめるハタテに対し、アヤがニヤリと笑って煽ると、ハタテはアヤを指差して宣言する。
「はいはい、期待してるわよ。..."先生"、そろそろ行きましょうか」
「"そうだね。――それじゃあ、またね。"ゲーム開発部"のこれからの活躍に期待しているよ"」
「"RABBIT小隊"、帰還します。――"ゲーム開発部"の皆さんも、ゲーム開発に励んでくださいね」
「またな。またサボって
「皆、ゲーム開発頑張って...!」
「――皆さん、道中お気を付けて」
「またねー"先生"!」
「また会いましょう、"先生"!いつかアリスも"当番"クエストに行きます!」
「またな、"先生"。もし"当番"になった時はよろしく頼むぜ!」
"RABBIT小隊"の三人は敬礼し、私とアヤ、ハタテは手を振ってヘリに乗り込む。
「――皆乗ったね?それじゃ、離陸するよー!」
―――全員乗り込んだ事を確認してドアを閉め、モエがヘリを離陸させる。
「――『アビドス』程ではありませんでしたが、それでも長い期間の滞在になりましたね」
「"そうだね。でも、ユメミ――『ミレニアム』の
「...わ、分かってるわよ。所属する以上は全身全霊でやらせてもらうわ!」
ミヤコやハタテと会話を交わしながら、こちらを見上げて手を振るユウカ達の姿がだんだん遠くなっていく様子を見届ける―――
side-モモイ
「行っちゃったね...」
「そんなしんみりすることもないだろ、モモイ。――別に今生の別れって訳じゃない。"当番"になれば会いに行けるからな」
―――夕焼けが広がる空に遠く点になっていく『シャーレ』のヘリを見上げながらポツリと零した呟きを聞いたマリサがそんなフォローする様な言葉を掛けてくれる。
「その当番、現状一か月以上先まで枠は全部埋まってるけどね。キャンセルを確認したり、次の予約枠解禁のタイミングを見たり、入れるの大変なんだから本当...」
「...ユウカお前...三日に一回『シャーレ』に行ってるって噂、マジなんだな」
「...せ、"先生"は浪費の傾向が強いから、私みたいに経理ができる誰かが時々見てあげないといけないのよ。持ってる権限と業務量に見合わない給与なのに"生徒の為だから"って......気持ちは嬉しいけどそれで生活まで厳しくなったら...あぁ、でもその時は私が...いやいや流石にそれは――――」
ユウカの愚痴る様な補足に対してマリサがニヤニヤ笑いながら言葉を返すと、ユウカは頬を薄らと赤く染めて目を逸らしてブツブツと呟き始める。
「...こりゃ随分お熱みたいだな。――そろそろ帰るか。パーティーの片付けも終わってるだろ」
「うん、帰ろっか。明日からは、次のゲーム開発のネタでも考えよっか」
「おぉ...モモイがやる気です!アリスが来たばかりの時は、ゲーム内イベントや攻略のことしか考えていなかったのに...」
「おぅ、いい心掛けだ。これまでのアレコレがいい薬になったみたいだな。...三日坊主で終わらなきゃ尚いいが」
「だ、大丈夫だって!ミヤコ達も期待してくれてるし、その期待を裏切る訳にはいかないんだから!」
すっかり自分の世界に入ってブツブツ呟き続けるユウカを置いてマリサとアリスと一緒に歩き出す―――
ということで、岡崎研究室のメンバー揃い踏みです。
とりあえずパヴァーヌ前半はここまで!...ですが、本作ではパヴァーヌはこのまま後半まで走ります。
さて、次回は繋ぎとして、コユキが登場するあのイベントに入ります。
感想、お気に入り、評価、ここすき、栞等は大歓迎です。作者が感謝でわっぴ~します。
~登場生徒紹介~
名前:
所属校:ミレニアムサイエンススクール
学年:二年生
部活動:岡崎研究室
装備:AR(
名前:
所属校:ミレニアムサイエンススクール
学年:二年生
部活動:岡崎研究室
装備:SR(