Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~   作:八坂 義景

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GWで筆が乗ったので早め投稿です。

前回のあらすじ:廃部回避クエスト達成!


File56.M-17~祝福の裏で~

~部室棟 第一レクリエーションルーム~

side-マリサ

 

「――皆、飲み物は注いだな?」

 

 ジンジャーエールを注いだグラスを持ち、レクリエーションルームに集まっている面々―――『シャーレ』の"先生"と"RABBIT小隊"。チヒロ先輩を除く"ヴェリタス"の面々。(相変わらず戦車改造に勤しんでるのであろう)リカを除くウタハ部長達"エンジニア部"の面々。

 モモイが『トロフィー見せつけてユウカの鼻を明かしてやるんだ!』と言うので招待したらまさか来てくれるとは思わなかった"セミナー"のユウカとノア。ちょうど任務が無く手すきだったらしい"C&C"のネル先輩とアカネ。

 

 そして―――モモイ達"ゲーム開発部"の皆。各々飲み物を注いだグラスを持っていて、念押しの確認を行う私に注目している。

 

「大丈夫そうだな。――さて、昨日の『ミレニアムプライス』で私達"ゲーム開発部"が提出した『Tales Saga Chronicle 2』は特別賞という、開催以来初めて設けられた賞にノミネートされる名誉に預かった」

 


 

ミレニアムプライス

特別賞

『Tales Saga Chronicle 2』

 


 

 そう切り出し、私達の傍のテーブルに置かれた()()()のトロフィーを見る。虹色に光る『ミレニアム』校章のホログラムを浮かべる白い台座の黒いディスプレイには間違いなく『Tales Saga Chronicle 2(私達の提出作品)』の名前が浮かんでいる。

 

「だが――それ以上に重要なことがある。この()()()受賞によって、私達"ゲーム開発部"の()()()()()()()()ということだ。――ユウカが今更になって条件変更やら反故にするやらをしなければ、だが」

「そんな馬鹿げたことする訳ないでしょ。()()()の設置は私もあの場が初耳だったけど――()()()()()よ」

「今朝方、"セミナー"のミーティングにて"ゲーム開発部"を()()()()()()より()()しました。なので――"ゲーム開発部"は今後も部活動として存続可能ですよ」

 

 軽く揶揄う様に補足してユウカを見れば、半目で私を睨みながら条件達成を認め、ノアが補足する様に()()を撤回した事を証明する。普段はツンツンしているが根は真面目なユウカなら反故にするなんて惨い事はしないと分かっているからこその確認だ。

 

「認めてくれるならそれでいいさ。――で、だ。()()()を受賞できたのは、こっちの自業自得な面が強いにも関わらず、私達が出した依頼に応えてくれた『シャーレ』。私の古巣"エンジニア部"。[鏡]奪取と『G.Bible』解読で世話になった"ヴェリタス"。"C&C"からはネル先輩。それから、この場には居ないが"教授"。大勢の支援を得られたおかげだ。――本当に、ありがとな」

「あ...ありがとうございます...!」

「皆、ありがとう!」

「本当に、ありがとうございます...!」

「アリス達を手伝ってくれて、本当にありがとうございます!」

 

 私に続いてモモイ達も皆に向かって頭を下げる。―――『シャーレ』に依頼を出すというのはモモイの発案だったが、まさか応えてくれるとは思わなかった。おかげで『廃墟』探索でも助かったし、それから今まで私達を手伝ってくれた。

 それに加え、[光の剣:スーパーノヴァ(アリスの相棒)]を探すアテを求めて訪ねたエンジニア部(私の古巣)、『G.Bible』の解読方法を求めて[鏡]奪取に協力してくれた"ヴェリタス"、その奪取の為に"セミナー"を()()した時は敵対したが、私達が()()()()()中にアリスと"教授"と()()()()()()を繰り広げたというネル先輩達"C&C"。

 

―――これ程沢山の支援が無ければ『TSC2』の開発も碌に進まず、『ミレニアムプライス』での受賞も叶わなかっただろう。本当に、感謝してもし切れない。

 

「"セミナー"()()で部員達の鬱憤も少し晴らせたからね。こちらこそ感謝するよ。万が一()()の憂き目に遭ったら君達を引き入れるつもりだったが、杞憂に終わってよかったよ」

「もうセミナー襲撃(あんな暴挙)はやめてほしいけどね、いやホントに。まぁ、マリサ達が()()回避できたのは同じ部員だった身としては嬉しいよ」

 

 ウタハ部長が微笑み、タカネは勘弁してくれと言いたげな表情を浮かべて応える。

 

「モモ達が部活動存続できて友達としても嬉しいよ!あたしもその一助になれたみたいだから尚更ね!」

「[鏡]についてはヴェリタス(ウチ)の事情だったが、おかげで私らも[鏡]の性能を知ることができたからな」

「今回の『ミレニアムプライス』で私とマガンの作品が一位を取った時は、嬉しさよりもモモイ達への申し訳なさが勝ってたからね。――()()()はまさかのサプライズだったね」

 

 マキ、マガン、ハレが各々笑って答える。

 

「"セミナー"()()なんてしでかしてたことにゃ驚いたが、()()が迫ってたんならなりふり構ってられねぇって一応納得はできた。だが――そもそもそういう状況にならねぇように活動しときゃぁよかったはずだ。『TSC2』はあたしもプレイしたが――成長できるポテンシャルはあるんだ。サボって腐らせる真似はもうするんじゃねぇぞ」

「『アイツらのゲームがどんな出来か確かめてやる』などと言って、『ミレニアムプライス』の選考期間中に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のは何処の"00(ダブルオー)"でしたか?」

 

 ネル先輩が気恥ずかしそうに頭を掻きながら説教するが、目を細めるアカネの指摘を聞いて一転ギクリと肩を震わせる。―――言葉は厳しいが、私達の事を気に掛けていたみたいだ。

 

「――さっきも言ったけど、"ゲーム開発部"の()()は撤回済よ。...私だって()()はできれば避けたかったし、今回の『TSC2』の()()()受賞は素直に喜ばしいことよ。

 後は――常にやれとまでは言わないから、ちゃんとゲーム開発もやりなさいよ。『TSC2』で貴女達の開発能力を示したんだから。またサボったり、インスピレーション獲得の為ってゲーム購入予算ばかり求めるようなら――もう救済措置は与えられないから」

「わ、分かってるよ...!『TSC2』はこれからに期待してくれるレビューが多かったし、クリエイターとしてはそれに応えないとだから」

 

 ユウカは半目でモモイを睨み、対するモモイは珍しく素直に頷く。『TSC2』の評価が良かった事もあって、クリエイター魂が刺激されたのだろうか。

 

「"『シャーレ』としても、君達の()()回避を達成できて嬉しいよ。でも――ユウカが既に言ったけど、また()()の危機に見舞われないように、これからはゲーム開発も進めるようにね"」

「私達"RABBIT小隊"としても、今回の活動は大きな経験になりました。今まであまり縁がなかったゲームの楽しさにも気付くことができましたし――私達からも感謝します」

 

 最後に『シャーレ』の"先生"とミヤコがそれぞれ微笑みながら言葉を返す。

 

「――本当に、皆ありがとな。じゃあ――長ったらしいお礼はここまでにして、乾杯するか。さぁ、グラスを掲げろ!」

 

 私の言葉を受けて、皆グラスを掲げる。

 

「――私達"ゲーム開発部"の()()回避を手伝ってくれた皆への感謝と、『TSC2』の『ミレニアムプライス』()()()受賞を祝って――」

 

 

 

 

「――乾杯!!」

 

『『『『かんぱーい!!』』』』

 

―――レクリエーションルームに乾杯の歓声が響き渡る。

 

 

―――数十分後―――

 

「――そこです!」

「なッ?!あぁクソ...!――おい()()、もう一戦だ!」

「アリスは何度でもお相手しますよ!またアリスが勝ってみせます、()()()()()先輩!」

「今度こそはぶっ飛ばす!」

 

「またネル先輩は...これで六戦目よ」>

「ますますムキになっていますね。今度はどうやって負けるんでしょうか」>

「ここまで全部違うパターンで負けてるから、予想が難しいわね...」>

 

―――ネル先輩が操るファイターがアリスのファイターに吹っ飛ばされ、アリスの勝利、ネル先輩の敗北としてリザルト画面に切り替わる。ネル先輩はもう一戦やれとアリスに求め、アリスも余裕そうな表情で勝負を受けてファイター選択に入る。

 その後ろでは、観戦しているユウカとノアが小声で()()()()()()()()()()()()()()()()()を予想し合っている。

 

―――レクリエーションとして、『大乱戦ブレイクシスターズ』で適当に対戦相手を組んでのプレイ。いの一番に名乗りを上げたアリスとネル先輩がずっとタイマンでバトルしているが―――ネル先輩はアリスに対して()()()()()()()()()()()()。おかげで他がプレイ出来ていないが、ネル先輩が次はどんな風に打ち負かされるかを観戦してる連中で予想し合っていて暇にはなっていない。

 

「あやや、『ミレニアム』()()()()()がまさかこのようなゲームでは正反対に弱いとは。素晴らしいネタですが...記事にしたら()()()()されそうなのでやめておきましょう」

「ネル先輩ならやりそうなのがな...しかし、『TSC2』開発の時も飯とかテストプレイで手伝ってくれたし、噂とか遠目に見かけた時の印象とは違う一面があったんだな..."約束された勝利の象徴"も、ちゃんと人間なんだなって思うぜ」

 

 私の隣で観戦しているアヤの言葉にそう返す。―――小柄だが、纏う雰囲気は強者のそれで近付き難い印象があったが、"自分のせいで悪影響を及ぼしたら申し訳ねぇ"と手伝ってくれたり、()()じゃ負け無しでもゲームではまるで勝てなかったり―――『ミレニアム』()()()()()"00(ダブルオー)"も一人の人間なんだと実感する。

 

「――『ミレニアム』()()()()()と言えば。"教授"は何故来られなかったんでしょうかね。あの方の性格的に、この手のパーティーは好みそうですが」

「さぁな。"教授"――ミレニアム(ここ)専属の教師だし、そっち方面で忙しいんじゃないか?」

 

 アヤの疑問にそう答える。―――『G.Bible』捜索の為に『廃墟』を一緒に探索してくれて以来、度々私達を気に掛けてくれている"教授"。このパーティーに招いて改めてお礼したかったが、"()()()()()()()()()()()がある"と断られている。

 

―――"全知"を持つ天才でコミュニケーション能力も高く、請われれば個人や講義で授業を行ったりして教授(教職)としての仕事にも従事し、しかし研究の為なら(以前まではだが)侵入が禁じられていた『廃墟』への侵入すら平気で試みる、連邦生徒会(権力)にも真っ向から立ち向かう破天荒さを併せ持つ"教授"。

 

 そんな"教授"が()()()()()()()()()()()とは何なんだろうか―――

 

 


~『岡崎研究室』 プロジェクトラボ~

side-ユメミ

 

―――ウィィン...

 

「――お、来たか」

 

―――研究室で最も規模が大きく、私達が進めている()()()()()()()()を進めている『プロジェクトラボ』に入ると、"助手"のチユリが先に気付き―――

 

「――時間ちょうどね。普段はもう少し早く来るのに、何かあったのかしら?」

 

 軽くウェーブが掛かった金髪のショートヘアに赤いカチューシャを飾り、頭上には()()()()()()()()()()()()を浮かべ、白いワイシャツに青いネクタイを締め、青いベストを重ね、白衣の様な丈が長いジャケットを羽織り、ホルスター付きの赤いベルトを締めた青いスカートと茶色のブーツを履いた―――我が"岡崎研究室"所属の二年生『真神(まがみ)*1アリス』が続いて気付く。そして―――

 

「気まぐれ屋な"教授"が指示した集合にギリギリだったり、遅れるなんてことは今に始まったことじゃないでしょ?ちゃんと来てくれただけいいんじゃないかしら」

 

―――机に笠を模した帽子を置き、後頭部で黒髪をおさげ二本で結い上げ、頭上に()()()()()()()()()()()()()()を浮かべ、首元に赤いマフラーを巻き、白いワイシャツに青いネクタイを締め、グレーのベストを重ね、グレーのロングコートを羽織り、グレーのスカートと黒いタイツ、赤いブーツを履いた、アリスと同じ二年生『矢田寺(やたでら)ナルミ』が相変わらずの軽い毒舌を吐く。

 

―――そんな我が"岡崎研究室"所属の生徒三人が揃っている事を確認し、空いている席に向かう。

 

「ごめんなさいね。()()()()()()()()()で遅れたわ。――さ、それぞれ研究、検証結果は纏めたわね?」

 

 席に着き、コンソールを操作して窓のカーテンを閉じ、防音装置、ジャミング装置―――外部から見られないように機密対策を施しながらそう切り出せば、三人共頷く。

 

―――"ゲーム開発部"から()()回避のお祝いに招待されたけど、()()()()()()()()()―――()()()()()()()との()()()()もあったし、こうして研究室の娘達を集めてこれから行う事の方が重要だから、残念に思いつつ参加は見送った。それが―――

 

「――『AL-1S』、現在は『ミレニアム』一年生、"ゲーム開発部"所属生徒『天童アリス』として籍を得ている――『廃墟』にて見付かった、()()()()()()()アンドロイド。生徒情報は()()する形になったけど――"AL-1S(この娘)の性能を研究し、評価する"ことを見返りとしてセミナー(向こう)には黙認してもらっている」

 

 説明しながらコンソールを操作し、机の投影装置からアリス(AL-1S)の肖像を投影する。

 

「――そこで、貴女達にはそれぞれのアプローチでAL-1S(この娘)の研究、評価を行ってもらった。先日、試験場で行った私とAL-1S(あの娘)の戦闘もその一環だった」

()()()()()()()がなきゃ、もう少しデータが集まったんだがな...じゃあ、まずは私から報告させてもらうぜ」

 

 チユリは愚痴を零しながら手元のコンソールを操作して映像を―――私、そして乱入したネルとアリス(AL-1S)の戦闘を様々な視点から撮影し、反応速度や精度、様々なパラメータを計測している記録映像を仮想画面で複数投影する。チユリはアリス(AL-1S)の戦闘能力の評価によるアプローチを受け持っている。『廃墟』探索で得た私のデータ、"セミナー"()()でのアリス(AL-1S)の戦闘、そして先日の試験場での戦闘―――これらを基にチユリは検証、評価を行っている筈だ。

 

「――まず、筋力的に()()()が認められるな。この体格で重量百キロ越えの[光の剣:スーパーノヴァ(レールガン)]を保持するだけでなく、咄嗟の判断で盾にしたりと取り回すのは明らかに異質だ。体型やら鍛え方やら次第では違うかもしれないが――少なくとも、()()()()()見ればアリス(AL-1S)の体型と筋力は見合っていない。それから――――」

 

 私がアリスと銃火を交える映像を見ながら、チユリはまずアリス(AL-1S)の筋力についての検証結果を報告していく。―――測定結果や映像分析の結果や考察を見るに、やはりアリス(AL-1S)は間違いなく()()()()()()だろう。[光の剣:スーパーノヴァ(レールガン)]を軽々と取り回せる筋力を筆頭に、()()()()()()()()()()()()が見られている。

 

「――――最後に、戦闘面の評価だが...ぶっちゃけ『ミレニアム』最強クラスの"教授"やネル先輩じゃ比較にならない。だが――三つ巴の乱戦でも余裕がありそうな様子を見るに、ポテンシャルはありそうだ。...現状じゃこれが限界だ。正直、期間とデータ収集の機会がもっと欲しいぞ」

「報告ありがとう、チユリ。...期間については申し訳ないわ。AL-1S(この娘)の調査を依頼してきた()()()()が、"()()()を考えれば、時間的余裕は少ない"ってせっついてきたから」

 

 チユリは報告を締めくくりながら不満げな表情を私に向け、私はお礼を言いつつ期間が長く取れなかった理由を挙げる。―――アリス(AL-1S)()()()()追認の対価である調査の期間は、充分な検証や研究を行うには短く設定されていた。()()はその理由を明かさなかったけど―――少なくとも、岡崎研究室(私達)アリス(AL-1S)調査結果を早期に知りたがっているのだろうとは推測出来る。あらゆる情報、データを収集し、仮説を立て、幾重にも検証を重ねて真偽を見出す事に拘る()()が、岡崎研究室(私達)が調べた結果を知ってどう判断するか―――

 

「――じゃあ、次は私から。皮膚も人工皮膚としては既存のもの以上に()()()()()()()()レベルの出来だけど――AL-1S(この娘)の血の方が遥かに特異性が高い。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()された、()()()()の類ね。この血液の成分は――――」

 

―――ナルミがそう発言してコンソールを操作し、採血サンプルの調査結果を映し出して説明を始め、思考を止めて耳を傾ける。ナルミは生物学を専攻していて、義肢義足、人工皮膚、ナノマシン等の研究を主に行っている。その為アリス(AL-1S)の調査では、健診の名目で採取した血液や皮膚の研究調査を行っている。

 

「――――最も注目すべきはナノマシンね。ナノマシンはミレニアム(ここ)でも開発されているけど――これはまさに"オーパーツ"ともいうべき代物。()()()()()()()()()でありながら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()...他にも()()()()()があるみたい」

 

 ナルミはそう説明しながら、顕微鏡カメラで拡大されたナノマシンを映し出す。血小板に似た小さな球形だけど、外観は白く無機質で明らかに人工物であると解る。この小さな小さな機体に、複数の機能を詰め込んでいるとは―――"オーパーツ"に他ならないだろう。

 

「損傷修復機能はまだ分かるが――ハッキングやら通信やら...ナノマシンに必要なのか、それ?」

()()()()()()()()()()()()()()()なら、必要ではないわね。ただ...コードやセキュリティが難解だし、血だけではナノマシンも機能しないみたいなの。だから、これらの機能が何の目的で搭載されているかは現状不明。――私からは以上よ」

 

 ナルミはチユリの問いにそう答え、報告を締めくくる。

 

「報告ありがとう、ナルミ。――じゃあ、最後にアリスね」

「了解よ。――私は、AL-1S(この娘)の人格面からのアプローチを図ったわ。"教授"の証言、AL-1S(この娘)と接触したことがある生徒へのインタビュー等から、『廃墟』での発見時から現在までの変化を比較した。結論から言えば――AL-1S(この娘)の頭脳がAIであると仮定した場合、これ程()()()()()()()()()()AIは『ミレニアム』でも、キヴォトスでも存在しないわ。会話、感情表現の比較分析を行った結果――――」

 

 最後に、アリスに報告を促す。アリスは私が渡した『廃墟』探索時にアリス(AL-1S)を見付けた時の映像や、『G.Bible』探索時の映像、"セミナー"()()時の記録映像を投影して報告を始める。―――こうして映像で見返せば、発見時のロボットの様な言動から現在の勇者を目指す明るい人格への変化の大きさがよく分かる。

 

「――――このように、『廃墟』での発見時は機械的な言動だったものが、"ゲーム開発部"の下で活動を続けている内に感情豊かな娘に変化している。外的要因を情報として学習しているのだろうとは分かるけど――これ程豊かに変化する理由が推測できない。今のAL-1S(この娘)はキヴォトスの生徒と何ら遜色ない存在よ。チユリとナルミが調べたナノマシンや身体能力とかの特異性を除けば、だけど。――こんな所かしらね。やっぱり、詳しく調べるにはもっと時間が欲しいわ」

 

 アリスはチユリと同様に期間の短さに不満を零して報告を締め括る。

 

「報告ありがとう。――じゃあ、現状出された情報から()()()()()()()()()を出しましょうか」

「結論って言っても...どう出せばいいんだ?私らが挙げた情報的には、"常人とは思えない特異性がある"ってことは共通してるが」

 

 そう音頭を取れば、チユリがそう質問を挙げる。

 

「あぁ、その辺りはまだ伝えてなかったかしらね。()()が求めていたのは――」

 

 

 

 

 

 

「――AL-1S(この娘)が持つ能力が、"()()()()()()()()()()()"の判断よ」

 

 


~発着場 四番ヘリパッド~

side-"先生"

 

「――"先生"、改めて、この度の"ゲーム開発部"()()回避のサポート、ありがとうございました」

「本当にありがとう!おかげで私達はこれからも活動できるよ!」

「『シャーレ』は素晴らしいパーティーメンバーでした!機会があったら、アリスはまたパーティーを組みたいです!」

「"こちらこそ、君達の力になれてよかったよ。これからは、ちゃんとゲーム開発も進めるんだよ?君達には『TSC2』みたいな作品を生み出す能力があるんだから"」

「私達にとっても今回の依頼は貴重な経験でした。選考期間中にプレイした『TSC2』は私達でも楽しめましたから、今後"ゲーム開発部"の皆さんが開発したゲームがリリースされたら遊んでみますね」

「そりゃありがたい。...モモイ、こうして期待してる連中も居るんだからな。開発漬けになれとまでは言わないが、ちゃんとゲーム開発も進めるぞ」

「わ、分かってるよ...」

 

―――モエがシャーレ(私達)のヘリの離陸準備を進めているヘリパッド。そのヘリの前で見送りのユウカ、モモイ、アリス、マリサと会話を交わす。

 

―――"ゲーム開発部"()()回避を祝うパーティーが終わり、もうすぐ夕方になる時間帯。依頼終了という事で私達はこれから『シャーレ』オフィスビルに帰還する。ミヤコ達もモモイの提案で着ていた『ミレニアム』制服を脱ぎ、本来の『SRT』―――"RABBIT小隊"の制服に戻している。

 

『――こちら"RABBIT3"!いつでも飛べるよ!』

「"了解。――それじゃあ、私達は帰還するよ。"当番"も歓迎するし、困ったことがあったら直接ビルに来てね。業務や依頼次第では直接応対できないこともあると思うけど..."」

「"当番"は相変わらずシフトが一か月先まで埋まっている程の盛況振りですが――やはり、常駐出来る人員はもっと欲しいですねぇ。...()()()()()()()()()とは言え、それでもまだまだ足りません」

「...もしかして、『シャーレ』って結構忙しい感じ?」

 

―――モエの報告と同時にヘリのローターが回り始め、風が吹き始める中で私とアヤの言葉を聞いたハタテが顔を青ざめさせる。

 

―――『"先生"。アヤには話したんだけど――私もシャーレに所属していいかしら?あのアヤが興味津々な存在だし、"先生"がどんな人物か判断するには別視点も必要だと思うの。アヤ程速くは飛べないけど飛行能力持ちだし、"ヴェリタス"も一目置くハッカー技能は戦力価値も高い筈よ!』

 

―――パーティー中にハタテからそんな提案を受け、『シャーレ』二人目の部員兼"サイバー担当"としてハタテを受け入れる事にした。ビルに帰還したら、書類を用意して正式に部員として迎え入れる予定だ。彼女の能力は未知数だけど、部員(人手)が増えるのは素直にありがたい。

 

「あら、今更怖気づいたの?そうやって肝心な所で日和るから私に勝てないのよ。折角"先生"の近くに――()()()()()()に立てるチャンスなのにねぇ」

「――ひ、日和ってなんかないわ!アヤが不得手な分野で"先生"と『シャーレ』に貢献してやるから見てなさい!」

 

―――『シャーレ』が人手不足故に多忙であると察して青ざめるハタテに対し、アヤがニヤリと笑って煽ると、ハタテはアヤを指差して宣言する。

 

「はいはい、期待してるわよ。..."先生"、そろそろ行きましょうか」

「"そうだね。――それじゃあ、またね。"ゲーム開発部"のこれからの活躍に期待しているよ"」

「"RABBIT小隊"、帰還します。――"ゲーム開発部"の皆さんも、ゲーム開発に励んでくださいね」

「またな。またサボって()()の危機になったら、今後はシャーレ(私達)でもどうにもならないからな」

「皆、ゲーム開発頑張って...!」

 

「――皆さん、道中お気を付けて」

「またねー"先生"!」

「また会いましょう、"先生"!いつかアリスも"当番"クエストに行きます!」

「またな、"先生"。もし"当番"になった時はよろしく頼むぜ!」

 

 "RABBIT小隊"の三人は敬礼し、私とアヤ、ハタテは手を振ってヘリに乗り込む。

 

「――皆乗ったね?それじゃ、離陸するよー!」

 

―――全員乗り込んだ事を確認してドアを閉め、モエがヘリを離陸させる。

 

「――『アビドス』程ではありませんでしたが、それでも長い期間の滞在になりましたね」

「"そうだね。でも、ユメミ――『ミレニアム』の教職("教授")とも繋がりを得られたし、"ゲーム開発部"の依頼遂行を通して私も経験を得られた。..."シッテムの箱"である程度業務は片付けているけど、私の手が必要な作業は溜まっている...ビルに戻ったら忙しくなるね。ハタテも、受け入れ作業が終わったら働いてもらうからね"」

「...わ、分かってるわよ。所属する以上は全身全霊でやらせてもらうわ!」

 

 ミヤコやハタテと会話を交わしながら、こちらを見上げて手を振るユウカ達の姿がだんだん遠くなっていく様子を見届ける―――

 


side-モモイ

 

「行っちゃったね...」

「そんなしんみりすることもないだろ、モモイ。――別に今生の別れって訳じゃない。"当番"になれば会いに行けるからな」

 

―――夕焼けが広がる空に遠く点になっていく『シャーレ』のヘリを見上げながらポツリと零した呟きを聞いたマリサがそんなフォローする様な言葉を掛けてくれる。

 

「その当番、現状一か月以上先まで枠は全部埋まってるけどね。キャンセルを確認したり、次の予約枠解禁のタイミングを見たり、入れるの大変なんだから本当...」

「...ユウカお前...三日に一回『シャーレ』に行ってるって噂、マジなんだな」

「...せ、"先生"は浪費の傾向が強いから、私みたいに経理ができる誰かが時々見てあげないといけないのよ。持ってる権限と業務量に見合わない給与なのに"生徒の為だから"って......気持ちは嬉しいけどそれで生活まで厳しくなったら...あぁ、でもその時は私が...いやいや流石にそれは――――」

 

 ユウカの愚痴る様な補足に対してマリサがニヤニヤ笑いながら言葉を返すと、ユウカは頬を薄らと赤く染めて目を逸らしてブツブツと呟き始める。

 

「...こりゃ随分お熱みたいだな。――そろそろ帰るか。パーティーの片付けも終わってるだろ」

「うん、帰ろっか。明日からは、次のゲーム開発のネタでも考えよっか」

「おぉ...モモイがやる気です!アリスが来たばかりの時は、ゲーム内イベントや攻略のことしか考えていなかったのに...」

「おぅ、いい心掛けだ。これまでのアレコレがいい薬になったみたいだな。...三日坊主で終わらなきゃ尚いいが」

「だ、大丈夫だって!ミヤコ達も期待してくれてるし、その期待を裏切る訳にはいかないんだから!」

 

 すっかり自分の世界に入ってブツブツ呟き続けるユウカを置いてマリサとアリスと一緒に歩き出す―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――パッ...

 

 

 Divi:Sion 

 

 

―――フッ...

 

 

―――to be continued―――

 

 

*1
原作での姓『マーガトロイド』のアレンジ。「マーガ」の部分を「真(ま)」と「神(がみ)」に分け、日本風の響きを持たせている




ということで、岡崎研究室のメンバー揃い踏みです。
とりあえずパヴァーヌ前半はここまで!...ですが、本作ではパヴァーヌはこのまま後半まで走ります。
さて、次回は繋ぎとして、コユキが登場するあのイベントに入ります。

感想、お気に入り、評価、ここすき、栞等は大歓迎です。作者が感謝でわっぴ~します。

~登場生徒紹介~

名前:真神(まがみ) アリス
所属校:ミレニアムサイエンススクール
学年:二年生
部活動:岡崎研究室
装備:AR(Colt M4A1(ドールメイカー))

名前:矢田寺(やたでら) ナルミ
所属校:ミレニアムサイエンススクール
学年:二年生
部活動:岡崎研究室
装備:SR(338-RECON(畢竟成佛))


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