Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~   作:八坂 義景

73 / 115
前回のあらすじ:今まで味方だった強力なキャラがラスダンで牙を剝いてきた時の心境や如何に


File69.M-30~対世界終焉都市救出戦E.R.I.D.U③~

~『エリドゥ』セントラルタワー 司令室~

side-リオ

 

『――[トライ・ポッド]、掃射』

バララララ...!

『っと...!大丈夫ですかアスナさん?』

『うわっ?!アヤちゃんありがとー!...うーん...今なら行けるって()が働いたのに...』

『っち...!アスナの勘も読めるのか!』

 

―――トキが操る[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]を相手取る"C&C"と『クロノス』の新聞記者アヤ。

 

 

『...!!』

バララララ...!

『っく...!EMPからの復帰が早いですね...!』

『装甲もサブマシンガンの弾では貫通できないようだね。貫通力ではミユの[RABBIT-39式対戦車ライフル(対戦車ライフル)]が期待できるが...』

――ギィン...!

『――またシールドで防いだぞ![アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]程ではないが鋭い反応速度だな...』

 

―――[アバンギャルド君]を相手取る"エンジニア部"と『シャーレ』の"RABBIT小隊"。

 

 そして―――

 

 

 

 

『...嘘、だよね...?嘘って言ってよ"教授"!』

―――ダァンッ...!

『『『『っ?!』』』』

『――私は本気よ。私は()()()()()()()...一人だけで背負える限界を理解してる癖に、責と罪を負うのは自分だけでいいと苦しんでる幼馴染の親友の為に、ね』

 

―――[レッドクロス・クライシス!]から銃弾を一発天井に放ち、改めて"ゲーム開発部"と相対すると宣言するユメミ。

 

「...ユメミ、何故貴女は...私と意見を違えたのに...」

 

 監視カメラの映像越しでも分かる、本気で()()()()()()つもりの真剣な眼差しを真っ赤な瞳に宿すユメミを見て呟く。

 

 

―――『ユメミ、どういうつもり...?!』

―――『――リオの言わんとすることも理解できる。だから...せめて私だけでも、貴女の側に付くわ』

 

―――セーフハウスの一つでヒマリ、ユメミと共に『AL-1S』についての判断共有を行った時。意見を違えてヒマリが敵対を宣言した為、その結果に備えて伏兵として隠していたトキを動かす直前にユメミが()()()()()()と宣言した時はらしくもなく驚いた。

 

―――『...私の側に付くと言っても、どうするつもり?』

―――『貴女が動いたら、私は"ゲーム開発部"の側でしばらく行動する。頃合を見て――()()()()()()()()()()()()つもりよ。...貴女からしたらはいそうですかと信じられないでしょうけど――お願い、リオ。一度くらいは()()()()()()()()()()を信じてほしいの』

 

―――続けてユメミは自身の行動方針を明かし、()()()()()()()()()()()で私を見つめて信じてほしいと頼み込まれた時は―――否定の言葉を口に出せなかった。

 普段であれば確固たる根拠、理論が無い言葉は信じない。でも、あの眼差しはユメミが()()()()()()動く時に浮かべるものだった。昔から―――『ミレニアム』進学前、小学生の頃から変わらない、私とヒマリを振り回す破天荒な行動力を真面目に発揮する際にいつも浮かべていた眼差し。

 

「――ユメミ。貴女は...一体どんなビジョンを持っているの?」

 

 ホールの様子を映す監視カメラを一瞥し、"ゲーム開発部"に向き直って[レッドクロス・クライシス!]を床に突き立てるユメミを見て呟く。

 

―――私の側に付くと宣言し、その通りに行動しているけど、彼女は最後まで自身の狙いを明かさなかった。ユメミは一体何を狙っているのだろうか―――

 

 


~『エリドゥ』 中央大通り~

side-アヤ

 

バララララ...!

 

「っく...!」

 

―――()()()()()()()()()()()[トライ・ポッド]の弾幕を躱し、即座に翼をはためかせて距離を詰め、[バレットパパラッチ(愛銃)]を構えてマガジン内の残弾全てを吐き出して弾幕を張る。

 

「...!」

 

ゴォッ...!

 

 しかし[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]は脚部スラスターを吹かして回避し、右腕の[トライ・ポッド]を私に向けて構え―――

 

―――ダァンッ!

 

「――予測通りですね」

 

ゴォッ...!

 

「おっと...!」

 

―――カリンさんの[ホークアイ(対戦車ライフル)]による背後から隙を突いた狙撃を、スラスターを吹かして躱しながら距離を取り、私に向けて[トライ・ポッド]を構える瞬間を捉え即座に離れる。

 

―――スタッ...

「――戻って来たか。その様子だとカリンとの合わせ技もダメだったか」

「えぇ、ダメでした」

 

 撃たれる前にネルさんとウカビさんが潜む路地に飛び込み、着地した私に気付いたネルさんに報告する。

 

―――私の飛行能力とスピードを活かし、空から攻撃を仕掛けて翻弄している隙を突いてカリンさんの[ホークアイ(対戦車ライフル)]で狙撃する作戦を取ったものの、それすら[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]は()()()()()()かの様に回避した。

 

「ホントにチートだよアレ。意識外からの攻撃すらアッサリ回避するってどうなってんのさ...!」

「[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]を留められているだけマシだが、攻略法が見えねぇのはもどかしいな、ったく...」

 

 ウカビさんの何度目かの憤慨した言葉にネルさんは頷いて頭を搔く。―――様々な方法で"C&C"と連携を取り、誰かしらの攻撃で引き付けてから意識外からの奇襲、横槍を図れど、その悉くを[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]は()()()()()()()()回避して見せた。ウカビさんの言う通り、正にチートじみた回避システムだ。しかし―――

 

「――何かしら弱点はある筈です。リオ会長が天才的なエンジニアとは言え、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()でしょうから」

「そりゃ尤もだが...その弱点をどう見付ける?」

「弱点...とは言えませんが、[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]の飛行高度は()()()()()()()()()()()()だと思われます。高度を維持しつつ高機動を実現できるだけでも凄まじい技術ですが――ゲームでのパワードスーツやロボットよろしく()()()()()()()()()()()()()()()()()()。故に[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]の機体規模と共に、高度的限界は十数メートルと推測しました」

 

―――空からのアプローチで攻撃を図って気付いた事を挙げる。チートじみた回避システムと高い機動力が合わさる事でこちらの攻撃の悉くが回避されているものの、飛行能力を持つにしては()()()()()()()と私は感じた。感覚としては―――

 

「――要は、()()()()()()()()()()()ってことだね。[アームドハート*1]とかの高機動アクションロボゲーでも偶にそういうコンセプトの機体があったりするね」

 

―――ウカビさんの言葉に頷く。[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]と交戦を始めてから、私達は一撃離脱を徹底している。大通りに陣取って飛行する[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]の前に一瞬躍り出て攻撃し、横道や路地へと離脱する。攻撃は結局チートじみた回避システムで悉く回避されるものの、[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]が路地まで回り込んで追撃する事は無かった。

 飛行能力があるならば、より高度を取って肩部のビーム砲での掃射も出来る筈だ。しかし、[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「...だったらどうするってんだ。飛行高度が低いからって何ができる?」

「...刺さるかは分かりませんが、作戦を思い付きました。陸戦機ならば――」

 

 

 

 

「――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()可能性があります」

 

 

『――こちら"02(ゼロツー)"、配置に付いた』

『――こちら"03(ゼロスリー)"、()()()()()()()()()()()()。合図があればいつでも発破可能です』

「――了解だ。...さて、[アビ・エシュフ(アイツ)]は食いつくのか?そもそもそこをクリアできなきゃ作戦そのものが破綻しちまうぞ」

 

―――大通り沿いにある立体駐車場の一階。キヴォトスでもよく見るそれよりも一際大きい車両出入口の前で私と共に[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]の誘導役を受け持っているウカビさんを待つネルさんが私に目を向けて尋ねて来る。

 

「恐らく食いつく筈です。――[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]が私達の迎撃、殲滅を目的としている以上逃がす筈がありませんから」

「そりゃそうだが...ここまで入って来るか?駐車場にしては高さもあるし、[アビ・エシュフ(アイツ)]も入れそうな入口ではあるが」

「そこは私達次第でしょう。さっきも言った通り、私達の殲滅を目的とするならば――」

 

 

『――こちら"05(ゼロファイブ)"!そっちに[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]を連れて行くよ!』

「――おう、しっかり連れて来い。...さて。アヤ、お前の作戦を信じるぞ」

「相手が嵌まるか不安ではありますが――やれるだけやりましょう」

 

―――ウカビさんからの報告が入り、帽子を被り直しながらネルさんに答えているとスラスターの音が少しずつ聞こえて来る。ウカビさんは作戦通り誘導出来ている様だ。

 

―――ゴォッ...!

 

「――来たな」

「――始めましょうか」

 

 こちらに向かって全力疾走するウカビさんと、それを追い掛ける[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]を視認して[バレットパパラッチ(愛銃)]を構え、翼を広げる。

 

「――!...ほら!こっちだよ!」

「――オラオラ!こっち来やがれ!」

 

―――ウカビさんが入口に飛び込む様に駐車場内に入り、ネルさんが[ツインドラゴン(サブマシンガン二丁)]で弾幕を張りながら駐車場内へと下がっていく様子を確認し、私も二人を援護する様に[バレットパパラッチ(愛銃)]で牽制射を撃つ。

 

「...!少々狭いですが...追撃は可能ですね」

 

 [アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]を操るトキさんは何か呟き、[トライ・ポッド]を構えながら駐車場内へと入って来る。

 

―――()()()()だ。後はこのまま屋上まで[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]を―――

 

―――ゴォッ...!

 

「...追い詰めました。空を飛べる方が居ますが――逃がしません。主戦力はここで撃破します」

 

―――駐車場屋上。トキさんはバイザーのライトを光らせ、屋上の端に追い込まれた形となった私達に[トライ・ポッド]の銃口を向ける。

 

―――退き撃ちで[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]を牽制しながら私達は()()()()に駐車場の屋上へと到達した。恐らく脚部のスラスターユニットはホバーとしての機能も有しているのだろう。駐車場床面から数メートル浮きながら高いスピードでこちらの射撃を回避しながら迫られた時は驚いた。しかし、一方で[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]が陸戦機である事は確信した。これなら―――

 

「チートみてぇな回避システムでその機体共々気も大きくなってるみてぇだな――」

 

 

 

 

「――罠に嵌ったのはお前の方だトキ(新入り)アカネ、やれ!」

 

―――ドォォォンッ!!

 

―――私達の真下から響く複数の爆発音。

 

ゴゴゴ...!

 

―――トキさんの真下、その周囲の床に亀裂が走る。

 

―――バゴッ...!!

「...?!飛行モードに変更――」

 

―――亀裂は崩落して[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]よりも大きな開口部となり、[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]の脚部からスラスターの噴射炎が奔るも―――

 

「――高度限界...?!」

 

「――アヤの予測が当たったな!この高さじゃ飛べねぇみてぇだな――カリン!」

『――"02(ゼロツー)"了解』

 

―――私の予測通り、高度限界で飛行能力が無力化された[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]はアカネさんの爆破により駐車場の階層をぶち抜いた開口部を落下し始め、ネルさんが不敵な笑みを浮かべながらカリンさんに合図を出し―――

 

 

―――ダァンッ...!!

 

―――ギィンッ...!

 

「あ、当たった...!」

「よし、奇襲が嵌ったぜ!アヤ、とりあえず一度離脱するぞ!」

「了解です。...しかし、[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]が()()()()()()()()()()()()()()()とは...」

 

 喜ぶ二人の襟首を掴んで翼をはためかせ、駐車場から飛び降りながらふと湧いた違和感について思案する。―――これまでこちらの攻撃の悉くを予測して回避して来た[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]が、飛行能力を無力化されたあの状況では被弾した。飛行能力を永久に失う事は無いだろう。恐らく()()()()()()()()()()()()()()()()()()()―――

 

 

「――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()...?」

「――あん?どうしたアヤ」

 

―――大通り、駐車場の近くに降り立ち、二人を下ろしながら漏れた呟きをネルさんが聞き留める。

 

「...[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]を罠に嵌めたあの状況を見て、ある推測が浮かびました」

 

―――バコンッ...

 

―――私達の目の前で駐車場の出入口周りが崩れ、[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]が姿を現す中言葉を続ける。

 

「...[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]の回避システムは――()()()()()()()()()()()()()()だと思われます。チートじみた攻撃予測を実現する為に相当なリソースを注ぎ込んでいるのでしょう」

「――それってつまり...」

 

「――姿勢制御復帰。戦闘モードに移行します」

 

 

 

 

「――新たに作戦を思い付きました。あの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

―――スラスターを吹かして浮き上がる[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]を見上げながら、頭の中で思い付いた作戦について明かす―――

 

 


~『エリドゥ』 セントラルタワー付近~

side-ハタテ

 

[...!!]

 

バララララ...!

 

「っち...!」

「ここは私がやるよ!そーれ食らえ!」

 

―――[アバンギャルド君]のガトリングガンによる弾幕を躱して路地に飛び込めば、ニトリが[MK153 SMAW(ロケットランチャー)]を構えて入れ替わる様に大通りに身を晒して射撃する。当たれば恐らく装甲も貫通出来るだろうけど―――

 

[...!]

―――ドォンッ...!

ダダダダ...!

 

―――[アバンギャルド君]はシールドで弾頭を防ぎ、カウンターの様にアサルトライフルでニトリに銃撃を浴びせる。

 

「ひゅいっ?!...危ない危ない...やっぱりシールドで防がれちゃうかー」

 

 ニトリは咄嗟に飛び込んで躱し、起き上がってランチャーにバックパックから取り出した次の弾頭を装填しながら言ちる。

 

「全く、あんなダサい見た目からは予想できない高性能振りねぇ...こちらハタテ。見えてたかもだけど、私とニトリのアプローチは失敗したわ」

『――こちら"RABBIT1"。攻撃と[アバンギャルド君]の対応は確認しました。...少し注意を逸らしてからの攻撃ではすぐに対応できるようですね』

 

 別の路地にウタハ部長達と共に隠れている、この場での指揮役を買って出たミヤコに報告すると、ミヤコは悩ましげな声色でさっきのアプローチをそう評価する。

 

『よし、次の攻め手を試してみよう。――ヒビキの[ファンシーライト(迫撃砲)]で[EMP弾]を撃ち込み、[アバンギャルド君]が身動きを取れない瞬間にニトリ、ミユで本命の攻撃を行う。どうかな?』

『...EMPによる電子障害からの復帰は速いようですが、一撃を入れるだけの余裕はあるでしょう。――分かりました、次はその作戦で行きましょう。ヒビキさんは[EMP弾]を用意。ハタテ先輩は――[アバンギャルド君]相手にまた身を晒すことになりますが、弾着観測をお願いします』

『了解。...[アバンギャルド君]の位置は殆ど変わってないから、諸元は変えなくて大丈夫だね』

「了解。空は私に任せなさい」

 

 ミヤコはウタハ部長の作戦を受け入れ、ヒビキと私に指示を出し、私はヒビキ共々快諾する。

 

『――"RABBIT4"、ニトリ先輩はいつでも動けるようにスタンバイをお願いします』

「了解。――次は履帯を狙ってみるよ。有効打が出なくても、足回りを破損させれば次に繋がる筈だ」

"RABBIT4"了解...!私は引き続き[アバンギャルド君]の頭部を狙います...!

「私は先に上に行ってるわ」

バサッ...

 

 ミヤコが次いでニトリとミユに指示を出して二人が答えた事を確認し、翼を広げて傍のビルの屋上を目指して飛び立ち、[アバンギャルド君]の視界に入らない位置で降り立つ。

 

『――こちらヒビキ。装填手のリカ共々準備完了...弾着観測よろしくね、ハタテ先輩』

『こちらニトリ。こっちもいつでも出られるよ!』

こちら"RABBIT4"、私もいつでも行けます...!

「了解。さて...行くわよ!」

 

―――バサッ!

 

『――砲撃開始』

ッポン...!>

―――大通りへ飛び立つと同時に、耳が[ファンシーライト(迫撃砲)]の砲撃を捉える。迫撃砲の強みである、ある程度の高さの遮蔽を挟んで撃ち込める曲射。そろそろ―――

 

[...!!]

ギャリリ...!

―――ブゥンッ...

 

「はぁ?!――アバンギャルド君(アイツ)()退()()()砲撃を躱したわ!ヒビキ、照準ちょい上げ!」

『了解...!』

 

―――バララララ...!

「っち...!」

 

 ヒビキに照準修正を指示した直後、[アバンギャルド君]は私に頭を向けてガトリングガンで弾幕を張り始める。スピードを上げて弾幕を躱しながら次の弾着の結果を―――

 

[...!!]

ギャリリ...!

―――ブゥンッ...

 

「嘘でしょ?!...今度は前進して躱したわ!照準戻して――」

 

 

[...!!]

―――バシュッ...!

 

「っ?![アバンギャルド君]がロケット砲を――」

 

 

 

 

―――ドォォンッ!!

『うわっ...?!』

『くっ...?!』

「ヒビキ?!リカ?!」

 

―――私に向けてガトリングガンで弾幕を張る一方、ロケット砲を装備したアームが動き出し、そこから放たれたロケット弾はヒビキ達が即席の迫撃砲陣地を構築していた路地へと着弾し、ヒビキとリカの声が耳に入る。

 

『大丈夫...爆風が少し強烈だったけど被害は軽微...!』

『私も大丈夫なのです!』

 

―――スタッ...!

「っと...無事ならよかったわ!――ミヤコ、ウタハ。作戦は失敗よ。砲撃を回避しただけなく、カウンターでロケット弾を撃って来たわ」

 

―――路地に飛び込んで着地し、ミヤコとウタハに報告する。

 

『音はこちらでも聞こえました。...陣地転換を行わなかったこちらにも非はありますが、数発の砲撃から陣地の位置を特定するとは』

『流石リオだ。見た目は兎も角、[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]に九割のリソースを注ぎ込んでいるにもかかわらず、[アバンギャルド君(アレ)]単騎でここまで戦えるとはね...』

「もしかしたら、交戦を始めたばかりの時に迫撃砲を一度食らったことも大きいかもしれないわね。どうしたものかしら――」

 

 

『――こちらマガンとマキ!ロボやらドローンやらの妨害がなくなってフリーになった!ハッキングでも戦力増強でも、何でも行けるぜ!』

 

―――私達の通信にマガンの声が入る。[アビ・エシュフ(Abi Eshuh)]投入の影響か、"ヴェリタス"への妨害も治まった様だ。人手が増えるのはありがたい。"ヴェリタス"での荒事向きの二人ではあるけど、ハッカー集団である"ヴェリタス"に所属している所以であるハッカーとしての腕もしっかり―――

 

 

 

 

「――そうだハッキング...!マガン、頼みがあるの!ミヤコ、作戦を思い付いたわ!」

『おう、何だ?』

『――聞かせてください、ハタテ先輩』

 

―――新たな作戦を思い付き、マガンとミヤコに頼みと内容を伝える。

 

 


~『エリドゥ』セントラルタワー 玄関ホール~

side-マリサ

 

「...ぅ...」

「...う、ぅ...」

「ミドリ、ユズ...くそ...!」

 

ダダダダ...!

 

―――少し離れた所で倒れて苦し気に呻くミドリとユズをそれぞれ見て悪態を吐きながら[バレットシャワー・ブルーム(相棒)]を構えて弾幕を張る。

 

「っふ...!」

 

ドドド...!

 

―――相対する、余裕然とした"教授"は軽やかなステップで弾幕を躱し、[レッドクロス・クライシス]を構えてカウンターで射撃を返して来る。片手だけで保持してるのに射線がブレないのは流石だ。

 

「っち...!」

 

 "教授"の弾幕を飛び込む様に躱し、伏せ撃ちの形で[バレットシャワー・ブルーム(相棒)]を構えて弾幕を再度張る。

 

「――!」

 

ガガガ...!

 

―――対する"教授"は即座に[レッドクロス・クライシス!]の側面を向けて外装で銃弾を防ぐ。すかさず空いている左手で[SOCOM Mk.23(ハンドガン)]を抜き―――

 

 

「――やぁぁっ!!」

 

―――"教授"の背後で倒れていた()()()()()()()モモイがガバリと起き上がって[ユニーク・アイデア]を構えて吶喊しながら銃撃を―――

 

 

 

 

「――その程度の搦手を見抜けないと思って?」

 

―――ダダンッ...!

 

「ぎゃんっ?!」

 

―――しかし"教授"は分かっていた様に、振り向きざまに[SOCOM Mk.23(ハンドガン)]をモモイに向けて数発撃ち、銃弾はモモイの額に当たってモモイは仰け反りながら倒れる。

 

「モモイッ...!」

 

 私は即座に起き上がって[ミニ八卦炉]をベルトから外して構え、神秘を流し込み―――

 

 

 

 

―――ジャキッ...

 

「――さて、コレは避けられる?」

「しまっ――」

 

―――見えなかった。

 

―――盾にしていた筈の[レッドクロス・クライシス!]が右手で保持されていて、至近距離で銃口が私の腹に突き付けられていて―――

 

 

 

 

ダァンッ!

「がッ...?!」

「"マリサ...?!"」

 

―――刹那、腹に強烈な衝撃を感じ、数メートル吹き飛んで転がる。飛びかける意識の中で"先生"の声が聞こえるが、被弾の衝撃が強烈で起き上がれない。

 

―――アリスの下に一番近付けたタイミングでの突然の寝返りで戸惑っていた事もあったが、戦端を開いてからあっという間にこのザマだ。"先生"の指揮があれど、ゲーム開発部(私達)自身の実力と『ミレニアム』()()()()()である"教授"の実力差は絶望的だった。

 

「っぐ...クソ...」

 

 "教授"に手も足も出ない己の無力を呪いながら顔を上げると、"教授"は倒れ伏す私達を見てフッと息を吐く。

 

「...貴女達の意思は、覚悟はその程度?このままだと貴女達の大切な仲間を――()()()()()わよ?」

「...ぐ...そんな結末、認める訳ないだろ...!」

「...っ...いや、だ...!アリスは...絶対、に...!」

「...ぅ...いや、です...!アリスちゃんは、絶対...!」

「...っ...そんなの...ここまで、来て...!」

 

 "教授"の言葉に言い返しながら、痛みを堪えて立ち上がると、モモイ達も続いてフラフラと立ち上がり始める。

 

「っ...なんで...!なんで"教授"は会長に味方するの?!私達と一緒にアリスを見付けて、アリスと戦ったりもしたでしょ?!会長なんかよりよっぽどアリスのことを知ってるなら――」

 

 

 

 

「――仮に、貴女達それぞれにとって大切な子達が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()様を見て何も思わないのかしら?」

 

―――モモイの言葉を"教授"は静かな声で問を返し、その内容に私達は口を噤む。

 

「...リオは"ビッグシスター"なんて大層な二つ名を戴くセミナー会長(生徒会トップ)だけど、その内面は不器用で精神()が弱い、寂しがり屋な子よ。その癖、役目を負ったらその責務と責任を一身に背負おうとする覚悟と責任感を持ってる。嫌われる原因の一つである合理性の追求も、"()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()"――そんな想いの現れ...面倒な子よ、全く」

 

 "教授"は会長について話し始め、一度言葉を切ってフッと苦笑の様な、仕方ないと言いたげな表情を浮かべる。

 

「――自分で集めた情報、それらから自身が導いた結論や判断を徹底的に隠して、理論武装して一方的にああしろこうしろって要求するのは、傍から見ればなるほど独り善がりで冷酷。だけど――」

 

ガシャ...

 

―――教授は[レッドクロス・クライシス!]を肩に担ぎ、目を細める。

 

「――リオの行動は冷酷さからくるものじゃない。()()()()()()()()()()()()()から来る行動よ。理解や同情は求めない。貴女達に求めるのは――」

 

 

 

 

「――"()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と信じ通す()()"よ」

 

―――"教授"は[レッドクロス・クライシス!]を構え、静かな、だがしっかりした言葉でそう呼び掛ける。

 

「"...四人共、敢えて聞くよ。――()()()()()()()()()()()()()()かい?"」

 

 "教授"の言葉に呆ける私達に"先生"がそんな問を掛け、私は瞑目する―――

 

―――"教授"は()()()()()()()()として会長の覚悟に寄り添おうとしている。アリスは魔王ではなく、勇者だと信じている私達と同じ覚悟だ。

 

―――これは、お互いの意地のぶつかり合いだ。いきなり"教授"が私達に敵対して来て戸惑ったし、さっきまで()()()()ボコられて実力差を痛感した。だが―――

 

 

 

 

「――当たり前だろ。アリスは確かに只人とは思えない身体能力や才能を持ってる。だが――それでアリスを世界から拒絶する理由にはならない」

「――アリスは『TSC』を神ゲーだと言ってくれた。元気一杯で、色んなことを手伝ってくれる子が、魔王なんて有り得ない!"教授"も立ちはだかるなら...っ...会長の前に打ち倒す!!」

「...アリスちゃんは、掛け替えのない大切な仲間です。普通じゃない能力があったとしても、それが世界を滅ぼすかもしれないと言われても――仲間である私達が信じてあげなければ...『廃墟』で出逢って、受け入れると決めた覚悟を否定することになりますから」

「...っ...皆の言う通り、です...アリスちゃんは、私達"ゲーム開発部"の大切な仲間です...仲間が酷い目に遭いかけているのに、それをただ傍観するような、薄情者にはなれません...!」

 

―――制服も所々ボロボロだし、傷もいくつか出来ているが、覚悟を新たに決めて[バレットシャワー・ブルーム(相棒)]を構える。

 

「ふふ、意気軒昂で結構――」

 

 

 

 

 

 

「――来なさい、アリス(勇者)の仲間達。アリス(勇者)を殺さんとするリオ(ラスボス)の下に至る直前の試練――()()()()()()()()()を踊り抜いて見せなさい――!」

「"指揮とサポートは私が受け持つ!さぁ皆、構えて!"」

「「「「了解!!」」」」

 

―――"先生"の号令一下、[バレットシャワー・ブルーム(相棒)]を構えて引き金に指を添える。

 

 

―――to be continued―――

 

 

 

*1
元ネタ:某アーマードなコアのロボゲー




各戦闘は多分次回で決着です。

感想、評価、お気に入り、栞、ここすきは大歓迎です。作者が喜びでわっぴ~します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。