Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
~『エリドゥ』セントラルタワー 司令室~
side-リオ
『――[トライ・ポッド]、掃射』
『っと...!大丈夫ですかアスナさん?』
『うわっ?!アヤちゃんありがとー!...うーん...今なら行けるって
『っち...!アスナの勘も読めるのか!』
―――トキが操る[
『...!!』
『っく...!EMPからの復帰が早いですね...!』
『装甲もサブマシンガンの弾では貫通できないようだね。貫通力ではミユの[
『――またシールドで防いだぞ![
―――[アバンギャルド君]を相手取る"エンジニア部"と『シャーレ』の"RABBIT小隊"。
そして―――
『...嘘、だよね...?嘘って言ってよ"教授"!』
『『『『っ?!』』』』
『――私は本気よ。私は
―――[レッドクロス・クライシス!]から銃弾を一発天井に放ち、改めて"ゲーム開発部"と相対すると宣言するユメミ。
「...ユメミ、何故貴女は...私と意見を違えたのに...」
監視カメラの映像越しでも分かる、本気で
―――『ユメミ、どういうつもり...?!』
―――『――リオの言わんとすることも理解できる。だから...せめて私だけでも、貴女の側に付くわ』
―――セーフハウスの一つでヒマリ、ユメミと共に『AL-1S』についての判断共有を行った時。意見を違えてヒマリが敵対を宣言した為、その結果に備えて伏兵として隠していたトキを動かす直前にユメミが
―――『...私の側に付くと言っても、どうするつもり?』
―――『貴女が動いたら、私は"ゲーム開発部"の側でしばらく行動する。頃合を見て――
―――続けてユメミは自身の行動方針を明かし、
普段であれば確固たる根拠、理論が無い言葉は信じない。でも、あの眼差しはユメミが
「――ユメミ。貴女は...一体どんなビジョンを持っているの?」
ホールの様子を映す監視カメラを一瞥し、"ゲーム開発部"に向き直って[レッドクロス・クライシス!]を床に突き立てるユメミを見て呟く。
―――私の側に付くと宣言し、その通りに行動しているけど、彼女は最後まで自身の狙いを明かさなかった。ユメミは一体何を狙っているのだろうか―――
~『エリドゥ』 中央大通り~
side-アヤ
「っく...!」
―――
「...!」
しかし[
「――予測通りですね」
「おっと...!」
―――カリンさんの[
「――戻って来たか。その様子だとカリンとの合わせ技もダメだったか」
「えぇ、ダメでした」
撃たれる前にネルさんとウカビさんが潜む路地に飛び込み、着地した私に気付いたネルさんに報告する。
―――私の飛行能力とスピードを活かし、空から攻撃を仕掛けて翻弄している隙を突いてカリンさんの[
「ホントにチートだよアレ。意識外からの攻撃すらアッサリ回避するってどうなってんのさ...!」
「[
ウカビさんの何度目かの憤慨した言葉にネルさんは頷いて頭を搔く。―――様々な方法で"C&C"と連携を取り、誰かしらの攻撃で引き付けてから意識外からの奇襲、横槍を図れど、その悉くを[
「――何かしら弱点はある筈です。リオ会長が天才的なエンジニアとは言え、
「そりゃ尤もだが...その弱点をどう見付ける?」
「弱点...とは言えませんが、[
―――空からのアプローチで攻撃を図って気付いた事を挙げる。チートじみた回避システムと高い機動力が合わさる事でこちらの攻撃の悉くが回避されているものの、飛行能力を持つにしては
「――要は、
―――ウカビさんの言葉に頷く。[
飛行能力があるならば、より高度を取って肩部のビーム砲での掃射も出来る筈だ。しかし、[
「...だったらどうするってんだ。飛行高度が低いからって何ができる?」
「...刺さるかは分かりませんが、作戦を思い付きました。陸戦機ならば――」
『――こちら"
『――こちら"
「――了解だ。...さて、[
―――大通り沿いにある立体駐車場の一階。キヴォトスでもよく見るそれよりも一際大きい車両出入口の前で私と共に[
「恐らく食いつく筈です。――[
「そりゃそうだが...ここまで入って来るか?駐車場にしては高さもあるし、[
「そこは私達次第でしょう。さっきも言った通り、私達の殲滅を目的とするならば――」
『――こちら"
「――おう、しっかり連れて来い。...さて。アヤ、お前の作戦を信じるぞ」
「相手が嵌まるか不安ではありますが――やれるだけやりましょう」
―――ウカビさんからの報告が入り、帽子を被り直しながらネルさんに答えているとスラスターの音が少しずつ聞こえて来る。ウカビさんは作戦通り誘導出来ている様だ。
「――来たな」
「――始めましょうか」
こちらに向かって全力疾走するウカビさんと、それを追い掛ける[
「――!...ほら!こっちだよ!」
「――オラオラ!こっち来やがれ!」
―――ウカビさんが入口に飛び込む様に駐車場内に入り、ネルさんが[
「...!少々狭いですが...追撃は可能ですね」
[
―――
「...追い詰めました。空を飛べる方が居ますが――逃がしません。主戦力はここで撃破します」
―――駐車場屋上。トキさんはバイザーのライトを光らせ、屋上の端に追い込まれた形となった私達に[トライ・ポッド]の銃口を向ける。
―――退き撃ちで[
「チートみてぇな回避システムでその機体共々気も大きくなってるみてぇだな――」
―――私達の真下から響く複数の爆発音。
―――トキさんの真下、その周囲の床に亀裂が走る。
―――亀裂は崩落して[
「――アヤの予測が当たったな!この高さじゃ飛べねぇみてぇだな――カリン!」
『――"
―――私の予測通り、高度限界で飛行能力が無力化された[
「あ、当たった...!」
「よし、奇襲が嵌ったぜ!アヤ、とりあえず一度離脱するぞ!」
「了解です。...しかし、[
喜ぶ二人の襟首を掴んで翼をはためかせ、駐車場から飛び降りながらふと湧いた違和感について思案する。―――これまでこちらの攻撃の悉くを予測して回避して来た[
「――
「――あん?どうしたアヤ」
―――大通り、駐車場の近くに降り立ち、二人を下ろしながら漏れた呟きをネルさんが聞き留める。
「...[
―――私達の目の前で駐車場の出入口周りが崩れ、[
「...[
「――それってつまり...」
―――スラスターを吹かして浮き上がる[
~『エリドゥ』 セントラルタワー付近~
side-ハタテ
[...!!]
「っち...!」
「ここは私がやるよ!そーれ食らえ!」
―――[アバンギャルド君]のガトリングガンによる弾幕を躱して路地に飛び込めば、ニトリが[
[...!]
―――[アバンギャルド君]はシールドで弾頭を防ぎ、カウンターの様にアサルトライフルでニトリに銃撃を浴びせる。
「ひゅいっ?!...危ない危ない...やっぱりシールドで防がれちゃうかー」
ニトリは咄嗟に飛び込んで躱し、起き上がってランチャーにバックパックから取り出した次の弾頭を装填しながら言ちる。
「全く、あんなダサい見た目からは予想できない高性能振りねぇ...こちらハタテ。見えてたかもだけど、私とニトリのアプローチは失敗したわ」
『――こちら"RABBIT1"。攻撃と[アバンギャルド君]の対応は確認しました。...少し注意を逸らしてからの攻撃ではすぐに対応できるようですね』
別の路地にウタハ部長達と共に隠れている、この場での指揮役を買って出たミヤコに報告すると、ミヤコは悩ましげな声色でさっきのアプローチをそう評価する。
『よし、次の攻め手を試してみよう。――ヒビキの[
『...EMPによる電子障害からの復帰は速いようですが、一撃を入れるだけの余裕はあるでしょう。――分かりました、次はその作戦で行きましょう。ヒビキさんは[EMP弾]を用意。ハタテ先輩は――[アバンギャルド君]相手にまた身を晒すことになりますが、弾着観測をお願いします』
『了解。...[アバンギャルド君]の位置は殆ど変わってないから、諸元は変えなくて大丈夫だね』
「了解。空は私に任せなさい」
ミヤコはウタハ部長の作戦を受け入れ、ヒビキと私に指示を出し、私はヒビキ共々快諾する。
『――"RABBIT4"、ニトリ先輩はいつでも動けるようにスタンバイをお願いします』
「了解。――次は履帯を狙ってみるよ。有効打が出なくても、足回りを破損させれば次に繋がる筈だ」
『"RABBIT4"了解...!私は引き続き[アバンギャルド君]の頭部を狙います...!』
「私は先に上に行ってるわ」
ミヤコが次いでニトリとミユに指示を出して二人が答えた事を確認し、翼を広げて傍のビルの屋上を目指して飛び立ち、[アバンギャルド君]の視界に入らない位置で降り立つ。
『――こちらヒビキ。装填手のリカ共々準備完了...弾着観測よろしくね、ハタテ先輩』
『こちらニトリ。こっちもいつでも出られるよ!』
『こちら"RABBIT4"、私もいつでも行けます...!』
「了解。さて...行くわよ!」
『――砲撃開始』
―――大通りへ飛び立つと同時に、耳が[
[...!!]
「はぁ?!――
『了解...!』
「っち...!」
ヒビキに照準修正を指示した直後、[アバンギャルド君]は私に頭を向けてガトリングガンで弾幕を張り始める。スピードを上げて弾幕を躱しながら次の弾着の結果を―――
[...!!]
「嘘でしょ?!...今度は前進して躱したわ!照準戻して――」
[...!!]
「っ?![アバンギャルド君]がロケット砲を――」
『うわっ...?!』
『くっ...?!』
「ヒビキ?!リカ?!」
―――私に向けてガトリングガンで弾幕を張る一方、ロケット砲を装備したアームが動き出し、そこから放たれたロケット弾はヒビキ達が即席の迫撃砲陣地を構築していた路地へと着弾し、ヒビキとリカの声が耳に入る。
『大丈夫...爆風が少し強烈だったけど被害は軽微...!』
『私も大丈夫なのです!』
「っと...無事ならよかったわ!――ミヤコ、ウタハ。作戦は失敗よ。砲撃を回避しただけなく、カウンターでロケット弾を撃って来たわ」
―――路地に飛び込んで着地し、ミヤコとウタハに報告する。
『音はこちらでも聞こえました。...陣地転換を行わなかったこちらにも非はありますが、数発の砲撃から陣地の位置を特定するとは』
『流石リオだ。見た目は兎も角、[
「もしかしたら、交戦を始めたばかりの時に迫撃砲を一度食らったことも大きいかもしれないわね。どうしたものかしら――」
『――こちらマガンとマキ!ロボやらドローンやらの妨害がなくなってフリーになった!ハッキングでも戦力増強でも、何でも行けるぜ!』
―――私達の通信にマガンの声が入る。[
「――そうだハッキング...!マガン、頼みがあるの!ミヤコ、作戦を思い付いたわ!」
『おう、何だ?』
『――聞かせてください、ハタテ先輩』
―――新たな作戦を思い付き、マガンとミヤコに頼みと内容を伝える。
~『エリドゥ』セントラルタワー 玄関ホール~
side-マリサ
「...ぅ...」
「...う、ぅ...」
「ミドリ、ユズ...くそ...!」
―――少し離れた所で倒れて苦し気に呻くミドリとユズをそれぞれ見て悪態を吐きながら[
「っふ...!」
―――相対する、余裕然とした"教授"は軽やかなステップで弾幕を躱し、[レッドクロス・クライシス]を構えてカウンターで射撃を返して来る。片手だけで保持してるのに射線がブレないのは流石だ。
「っち...!」
"教授"の弾幕を飛び込む様に躱し、伏せ撃ちの形で[
「――!」
―――対する"教授"は即座に[レッドクロス・クライシス!]の側面を向けて外装で銃弾を防ぐ。すかさず空いている左手で[
「――やぁぁっ!!」
―――"教授"の背後で倒れていた
「――その程度の搦手を見抜けないと思って?」
「ぎゃんっ?!」
―――しかし"教授"は分かっていた様に、振り向きざまに[
「モモイッ...!」
私は即座に起き上がって[ミニ八卦炉]をベルトから外して構え、神秘を流し込み―――
「――さて、コレは避けられる?」
「しまっ――」
―――見えなかった。
―――盾にしていた筈の[レッドクロス・クライシス!]が右手で保持されていて、至近距離で銃口が私の腹に突き付けられていて―――
「がッ...?!」
「"マリサ...?!"」
―――刹那、腹に強烈な衝撃を感じ、数メートル吹き飛んで転がる。飛びかける意識の中で"先生"の声が聞こえるが、被弾の衝撃が強烈で起き上がれない。
―――アリスの下に一番近付けたタイミングでの突然の寝返りで戸惑っていた事もあったが、戦端を開いてからあっという間にこのザマだ。"先生"の指揮があれど、
「っぐ...クソ...」
"教授"に手も足も出ない己の無力を呪いながら顔を上げると、"教授"は倒れ伏す私達を見てフッと息を吐く。
「...貴女達の意思は、覚悟はその程度?このままだと貴女達の大切な仲間を――
「...ぐ...そんな結末、認める訳ないだろ...!」
「...っ...いや、だ...!アリスは...絶対、に...!」
「...ぅ...いや、です...!アリスちゃんは、絶対...!」
「...っ...そんなの...ここまで、来て...!」
"教授"の言葉に言い返しながら、痛みを堪えて立ち上がると、モモイ達も続いてフラフラと立ち上がり始める。
「っ...なんで...!なんで"教授"は会長に味方するの?!私達と一緒にアリスを見付けて、アリスと戦ったりもしたでしょ?!会長なんかよりよっぽどアリスのことを知ってるなら――」
「――仮に、貴女達それぞれにとって大切な子達が
―――モモイの言葉を"教授"は静かな声で問を返し、その内容に私達は口を噤む。
「...リオは"ビッグシスター"なんて大層な二つ名を戴く
"教授"は会長について話し始め、一度言葉を切ってフッと苦笑の様な、仕方ないと言いたげな表情を浮かべる。
「――自分で集めた情報、それらから自身が導いた結論や判断を徹底的に隠して、理論武装して一方的にああしろこうしろって要求するのは、傍から見ればなるほど独り善がりで冷酷。だけど――」
―――教授は[レッドクロス・クライシス!]を肩に担ぎ、目を細める。
「――リオの行動は冷酷さからくるものじゃない。
「――"
―――"教授"は[レッドクロス・クライシス!]を構え、静かな、だがしっかりした言葉でそう呼び掛ける。
「"...四人共、敢えて聞くよ。――
"教授"の言葉に呆ける私達に"先生"がそんな問を掛け、私は瞑目する―――
―――"教授"は
―――これは、お互いの意地のぶつかり合いだ。いきなり"教授"が私達に敵対して来て戸惑ったし、さっきまで
「――当たり前だろ。アリスは確かに只人とは思えない身体能力や才能を持ってる。だが――それでアリスを世界から拒絶する理由にはならない」
「――アリスは『TSC』を神ゲーだと言ってくれた。元気一杯で、色んなことを手伝ってくれる子が、魔王なんて有り得ない!"教授"も立ちはだかるなら...っ...会長の前に打ち倒す!!」
「...アリスちゃんは、掛け替えのない大切な仲間です。普通じゃない能力があったとしても、それが世界を滅ぼすかもしれないと言われても――仲間である私達が信じてあげなければ...『廃墟』で出逢って、受け入れると決めた覚悟を否定することになりますから」
「...っ...皆の言う通り、です...アリスちゃんは、私達"ゲーム開発部"の大切な仲間です...仲間が酷い目に遭いかけているのに、それをただ傍観するような、薄情者にはなれません...!」
―――制服も所々ボロボロだし、傷もいくつか出来ているが、覚悟を新たに決めて[
「ふふ、意気軒昂で結構――」
―――"先生"の号令一下、[
各戦闘は多分次回で決着です。
感想、評価、お気に入り、栞、ここすきは大歓迎です。作者が喜びでわっぴ~します。