Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~   作:八坂 義景

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 筆が乗ったので連続投稿です。

 今日はコミケにて東方錦上京製品版頒布とsteam同日解禁に、8月分のブルアカらいぶみにと忙しかったですね。
 同日steam配信はありがてぇ...とりあえず下手なりになんとかEXまでクリアは出来ました。Normalであの密度はキツイって...感想としては―――まさかの繋がり、設定、まさかの登場でおったまげました。そりゃまぁ捨てる場所って必要だけども...錦上京ってそういう意味かぁ...今時な元ネタや皮肉もちりばめられていてすげぇ...


 ブルアカらいぶは相変わらずのみに(大噓)でしたね。
 ワイルドハント芸術学院が遂に本格登場!!初手から完全新規イベントと共に新規実装!!デカパイ魔女っ子エリにモップ系ゾンビっ子カノエ!ツムギもレナも今回実装無し...配布生徒無しは珍しいなぁ。
 というかツムギお前...オカルト研究会所属だったんかい!!ヘビメタメインだと思ってたよ!!第4寮、404号室とかもう番号から不吉!
 そしてまさかの新規メインvol.6!エデン後アリウス掘り下げ!!待って待ってパヴァーヌ編〆てメモロビ書いたら次のメインはエデンなんだが??内容次第じゃシナリオプロット考え直しなんだが?!ともかく掘り下げ嬉しい!!

さて、前回に続いて『Key』との決戦です


File72.M-33~対世界終焉都市救出戦E.R.I.D.U⑥~

~『廃墟』近郊上空~

side-イナバ

 

 

「――照準よし!ロケット弾掃射!」

 

ドドォォォンッ!!

[[[[GiGi...?!]]]]

[[[[Ga...?!]]]]

[[[[■■■ー?!]]]]

 

―――リンゴの宣言でロケット弾がポッドから放たれ、『廃墟』から出て来たオートマタやドローンの()()の真っ只中で次々炸裂する。十数体が吹き飛ぶけど残骸に目も向けずに進み続け、()()の移動は止まらない。

 

『――こちら"WOLF1"!廃墟から尚もオートマタやドローンの()()が移動中!進行方向は変わらず!』

「"Кролик1"、了解!――一体何が起きてるの...?」

 

 『廃墟』でオートマタやドローンの動向を監視している"WOLF1"(モミジ)の報告を受けるけど、この様な状況が起きている理由が解らず困惑した声を思わず漏らす。

 

―――『こちら"WOLF1"!廃墟内でオートマタやドローンの動きが急速に活発化しています!まるで()()()()()()()()みたいに移動を...これは――まさか、廃墟の領域外に出ようとしている?!』

―――『緊急事態発令!全部隊は直ちに出動!..."Кролик1"、イナバ先輩。急ではあるけど――』

―――『了解よ。私達の装備は大群殲滅には向かないけど、追いかけて攻撃しながら動向を追う!"Кролик小隊"、緊急任務よ!』

 

―――元々、"教官"の指示を受けて『SRT』本校に向かい、"WOLF小隊"が配置されている『廃墟監視サイト』へ輸送する装備品を受領し、サイトへと送り届けるのが任務だった。輸送を終え、小休憩も兼ねてカゲロウと雑談に興じていたら(モミジ)から齎された異常事態の急報。

 任務は装備品輸送であり、小隊としても隠密作戦に向いているけど、目の前で異常事態が発生した状況を見せられ、特殊部隊の兵士(SRTの生徒)として見て見ぬふりは出来ない。

 

―――今は『廃墟』を離れ、オートマタやドローンの大群の進行方向に沿って追い掛け、時々攻撃を仕掛けている。ただ、気になるのは―――

 

「――やっぱりおかしい。進行方向は間違いなく『ミレニアム』方面だけど...進行方向中には()()()()しかない」

 

―――戦術端末を取り出して画面を立ち上げ、『廃墟』と『ミレニアム』自治区の境界隣接区域を中心とした地図を開く。これまで得た情報を基にして進行方向の矢印を改めて引き直してみると、やはり大群は『ミレニアム』の未開発区域である森の真っ只中を目指している。

 私達のヘリもこのまま追い掛けて行けば『ミレニアム』自治区に入る事になる。引き返して『ミレニアム』に通報して後を任せるか、『SRT』の介入権限を利用してこのまま侵入するか―――

 

 

「――"WOLF1"!貴女達はそのまま『廃墟』でオートマタやドローンの動向監視と可能な限りの阻止攻撃を続けて!私達はこのまま『SRT』介入権限を以て『ミレニアム』へ侵入、大群の動向を追って状況調査を行う!」

『"WOLF1"、了解しました!何が起きるか分かりません、お気を付けて!』

「了解よ!――"Кролик3"、このまま『ミレニアム』自治区へ侵入して大群を追うわ!"Кролик4"は本校の"教官"に状況と介入権限行使の報告を!」

「「了解!」」

 

―――数秒の思考。自身の()を信じ、このままオートマタやドローンの大群を追い掛ける事にした。"WOLF1"に私達の行動方針を伝え、リンゴとレイセンに行動を指示する。

 

「...思い切った判断ね。あんな大群でどこかを目指している動きの先に何があるかは、私も気になるけど...」

 

 ミニガンの銃身を冷却しているセイランが私を見てそんな言葉を漏らす。

 

「それも理由ではあるけど――」

 

 

 

 

「――()()()()がするの。あの大群が向かう先で何か...()()()()()が起きているんじゃないかって」

 

―――『ミレニアム』自治区へ入り、大群が森を搔き分けて突き進む様子に目を向けながら自身の胸中に渦巻く()()()()を吐露する。

 

 


~『エリドゥ』セントラルタワー 正面玄関前広場~

side-アヤ

 

―――バサッ...!

 

パパッ...!

 

―――オートマタやドローンの群れの頭上を飛び、紫色の弾幕を躱しながら[C4]をばら撒いて群れの中に落としていく。

 

「――アカネさん、ばら撒き終わりました!」

『――了解致しました』

 

ドドドォォォンッ!!

 

[[[[GiGi...?!]]]]

[[[[Ga...?!]]]]

[[[[■■■ー?!]]]]

 

―――アカネさんに報告して数秒後、群れの中で[C4]が炸裂してオートマタやドローンが一気に吹き飛ぶ。

 

[[[[GiGi...]]]]

[[[[Ga...!]]]]

[[[[■■■...!]]]]

 

「――まだまだ来るみたいね...!一度戻りましょうか」

 

―――バサッ...!

 

 しかし、オートマタやドローンは吹き飛んだ残骸を踏み越え、爆破で空いた穴を埋める様に更にオートマタやドローンが前進して来る様子を見届け、翼をはためかせて陣地へと戻る。

 

 

スタッ...!

 

「――アヤ先輩!」

「――アヤさん、爆撃の首尾は如何でしたでしょうか?」

「数十体一気に吹き飛びましたが、その穴を後続がすぐに埋めてしまいましたね。アレはまだまだ後続が続きそうです」

「成程...現状は何とか数十メートル先で食い止められていますが、後続が途切れないとなると...」

 

 帰還して着地した私にミヤコさんとアカネさんが気付き、首尾を報告するとミヤコさんは眉を顰めて考え込む。

 

―――オートマタやドローンの迎撃を始めてからそれ程時間は経っていないものの、私達が置かれている状況は厳しくなりつつある。人手は充分だし、弾薬補給も万全だけど―――それを圧し潰さんとする凄まじい数が止め処なく『エリドゥ』に侵入してこのタワーを目指している。

 

「――おぅ、戻ってきてたかアヤ。アカネの発破で一気に吹っ飛んだのはあたしも見たが、それでも止まらねぇか」

「"セミナー"の支援が来てくれたことも大きく作用して防衛線は維持できていますが、このままオートマタやドローンの侵入が続くようではこちらが疲弊してしまいます」

「...しかし、休息の為に手を止める暇もありません。今の人数全員で交戦していることで戦線を維持できているので、ローテーションを組む余裕もありません」

 

―――防衛線を構築出来ている一方で、現状が続く事による懸念をミヤコさんと共に挙げる。全員が全員体力に自身がある訳では無い。今戦闘中の人員が疲労や被弾で欠けてしまえば、その分他の方に負担が掛かる。それが連鎖すれば―――()()()()()()()()()()()()だろう。"先生"と"ゲーム開発部"の()()がいつ成功するかも、そもそも成功するかも不明だ。でも―――

 

「――それでも、あたしらの全力でオートマタやドローン(アイツら)を止めなきゃならねぇ。ゲーム開発部(チビの仲間)アリス(チビ)を助け出せると信じてあたしらのすべきことをやるだけだ。...話は一旦止めだ。口より手を動かせ!オートマタやドローン(アイツら)を――」

 

 

 

 

―――ドドドドド...!

 

「...っ?!」

「あれは――」

 

―――突如、オートマタやドローンの大群の後方で轟音が響き、何かが弾き飛ばしながらこちらへ前進して来る様子を目の当たりにする。

 

ギャリリリ...!

[――!!]

 

『――こちら"エンジニア部"!これより[アバンギャルド君Mk.2]と共に防衛戦に加わる!遅れてすまない!』

 

 ウタハ部長の通信と共に大群を突き抜けて現れたのは[アバンギャルド君]――頭部には赤い角が追加され、胴体には"ヴェリタス"ロゴのグラフィティを描き、アサルトライフルとシールドはレールガンらしき砲身とドリル二本に換装されている――をベースとした、"エンジニア部"の改造を施されたらしい[アバンギャルド君Mk.2]なる機体。

 その背中や真っ直ぐ伸びた上腕には"エンジニア部"の面々とハタテがデサントしていて、大群を突き抜けて私達の目の前で反転して大群と相対すると面々が降りてきてこちらに駆け寄って来る。

 

「――改めて、遅れてすまない。"エンジニア部"とハタテも防衛戦に加わる」

「ごめんなさい、ちょっと遅れたわ!」

「――おう、ありがてぇ援軍だ!...しっかし、よく突き抜けてこれたな。ミヤコが安全を最優先にしろって言ってた筈だが」

 

[――!!]

バララララ...!

 

 "エンジニア部"の面々がそれぞれ配置に付き、[アバンギャルド君Mk.2]がガトリングガンで弾幕を張り始める中、ネルさんが[ツインドラゴン(サブマシンガン)]を撃ちながらウタハ部長に尋ねる。

 

「最終調整に手間取ってしまってね...でも幸い、こちらが合流を図ったタイミングではオートマタやドローンの大群の侵攻ルートから離れていてね。背後から奇襲を掛けられると踏んで、合流も兼ねて突っ込んだ。危険な行動ではあったけど――あのビームのような弾幕も弾ける[アバンギャルド君Mk.2]の装甲のおかげだ」

 

[[[[GiGi...!]]]]

[[[[Ga...!]]]]

[[[[■■■...!]]]]

パパパパ...!

 

 ウタハ部長はネルさんにそう答えながら、オートマタやドローンの大群による紫色のビームの様な、無数の紫色の弾幕を弾く[アバンギャルド君Mk.2]に目を向ける。

 

「こうして無事に合流できてるならいい!今、司令室(タワーの中)じゃ"先生"と"ゲーム開発部"がアリス(チビ)を助け出す()()を実行中だ!それが成功するまで、あたしらはオートマタやドローン(アイツら)がタワーに、地下の発電設備に入らねぇように守る!」

「成程...街の電気が一斉に消えたのはそういうことだったのか。――了解だ。[アバンギャルド君Mk.2]もワイヤレスでの充電システムが使えないが、そもそもバッテリー容量がかなり大きいからね。継戦能力確保の為にドリルも装備させたし、存分に任せてくれ!」

 

 ネルさんの説明にウタハ部長は頷き、[雷ちゃんMk.2]のガトリングガンと共に[マイスター・ゼロ(サブマシンガン)]を構える。

 

「――[アバンギャルド君Mk.2]と"エンジニア部"の来援は大きいわね。とは言え...司令室()で行ている()()は成功するのか...そもそも――一体どんな作戦なのかしら」

 

 私も[バレットパパラッチ(相棒)]を構えながら、ふと湧いた疑問を零す。

 

―――状況の急変により、ユメミ"教授"が提案したという()()の具体的な内容は把握していない。今、アリスさんの身体は『Key』なる存在に主導権を乗っ取られているらしい事は私も推測している。

 

 

―――はたして、アリスさんをどうやって助け出すつもりなのだろうか。

 

 


~『天童アリス(AL-1S)』人格内~

side-"先生"

 

「"――ここは..."」

「...ん...あ、"先生"!」

「...!"先生"、皆...」

「...ぅ...ここは...」

「...お?この様子じゃ皆無事に入れたっぽいな...」

 

―――目を開くと、縦長の円柱型の空間に居ると分かった。私の周りにはモモイ、ミドリ、ユズ、マリサ―――"ゲーム開発部"の四人も居て、私に続いて目を開く。

 

「...!お姉ちゃん、ここって...!」

「――!そうだよ、私達がアリスを見付けた...!」

「――ここは...!うん、間違いないよ...!」

「――"教授"は侵入対象の記憶や心象に合わせてロケーションを仮想的に構築する、とか言ってたが...アリスにとっては、初めて私達と出逢ったこの場所が印象的なんだな」

「"...成程。ここが君達とアリスが出逢った場所なんだね"」

 

 四人は空間を見回し、口々にアリスと初めて出逢った場所だと―――『廃墟』の地下空間だと証言する。

 

―――『あなた達には、私が開発したこの[試作フルダイブ型ハックツール]で()()()()()()()()()してもらう。時間がないから理論理屈の説明はしないけど――このツールで対象の記憶や精神を基にした仮想空間を構築し、()()()()()()()()()()()()よ。失礼な言い方になっちゃうけど、アリスがアンドロイド――()()()()()()()だからこそこのツールが使える。

 今、アリス(あの子)を動かしているのは"Key"なる存在。だけど――()()()()()()()()()()()()()()()()筈。"Key"の口振りでは、Key(アレ)はあくまでアリス(AL-1S)()()()()()でしかない。つまり...今、"Key"が振るっている力は()()()()()()()()使()()()()()ということ。そして――()()()()()()()()()()()()()()()()()だと私は推測している。その為に...あなた達の接触が――()()()()()()()()()()が必要なの』

 

―――ユメミの説明を思い返す。()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ゲームでよく見る重要シーンのシチュエーションを直に体感する事になるとは思わなかった。アリスは人間と何ら遜色無い感情、人格を持っているけど、それでもアンドロイドの様な存在である事は変えられない。要は、通常のハッキングによるアクセス、内部システムへの干渉を、仮想空間を構築して私達の人格をそこに送り込み、対話や行動でハッキングを行おうという事。ただ、気になるのは―――

 

「――侵入できたのはいいが...あの『Key』とかいうのが阻止しなかったし、今も干渉して来ないのが気になるな。Key(アイツ)からしたら、目的成就を止める脅威になる筈だぞ」

「"――もしかしたら、『Key』は止めたくても、()()()()()()()()()()のかもしれないね。ユメミ曰く、『Key』は()()()()()()()()()()である可能性がある。だから――"」

 

 

 

 

「......」

 

―――空間の奥。丁度中心辺りに目を向けると、椅子に座っているアリスが、どこか虚ろな表情で仮想画面らしきものを見上げている様子を目の当たりにする。

 

「"――アリス...!"」

「「――アリス!」」

「――アリスちゃん...!」

「――あ、アリスちゃん...!」

「...モモイ、ミドリ、ユズ、マリサ..."先生"まで...どうして、来てしまったんですか...?」

 

 一斉にアリスに呼びかけながら駆け寄ると、アリスも私達に気付いて戸惑った様な、泣きそうな表情を浮かべて震えた声で尋ねて来る。

 

「決まってるでしょ!アリスを連れ戻しに来たんだよ!」

「...アリス、一緒に戻ろうぜ。お前は私達の大切な仲間だ。お前なしじゃ"ゲーム開発部"とは言えない」

 

 モモイの宣言とマリサの言葉を受けてアリスは一瞬瞳を揺らし―――しかし、()()()()()目を伏せる。

 

「...戻りたく、ありません。...いいえ、アリスは――()()()()()()()()んです。アリスは世界を滅ぼす――()()なんですから」

「そんなこと、ないよ...!アリスちゃんは魔王なんかじゃない!」

「そうだよ...!アリスちゃんは力持ちで、元気一杯で――勇者に相応しい娘だよ...!」

「...アリスは、勇者なんかじゃありません。...勇者になんてなれないんです」

 

 ミドリとユズも説得の言葉をかけるけど、アリスは泣きそうな表情を浮かべて顔を上げ、仮想画面を見上げる―――

 

『あーもう数が全然減らないじゃん!』

『狙わなくても当たるけど、そもそもの数が...!』

『愚痴る暇があるなら撃ちなよ、二人共...!』

『...ふぅ...補給の弾薬、持って来たわ...!』

 

―――補給を受け、悪態を吐きながらオートマタやドローンに銃撃を浴びせる"特異現象捜査部"の四人。

 

『まだまだ来るわよ~!コユキちゃんも撃って撃って!』

『ひ、退きましょうよぉ!あんな数無理ですってぇ!!』

『退ける訳ないでしょ!主目標の達成は私達の防衛に懸かってるんだから!』

『火力、継戦能力から見てコユキちゃんの[マリ・ガン(マシンガン)]は重要です。逃げ出そうとした場合は――()()()()反省部屋行ですよ』

『うあぁああああ——なんで——!』

 

―――大量に、止め処なく攻め寄せるオートマタやドローンの大群を前にコユキが弱音を吐くも、ユウカとノアにバッサリ否定されて泣き叫ぶ"セミナー"の面々。

 

ドドドドド...!

『――降下!』

『――っと...!突然ですぐには飲み込めないでしょうけど、支援するわ!』

『――ゴールデンフリース号以来だね。私達も混ぜてよ!』

『――イナバ先輩..."Кролик小隊"?!』

『何でお前らが...いや、この際人手が増えるんならありがてぇ!』

 

―――ヘリが陣地の上空に現れ、ガトリングガンとロケット弾を掃射する中"Кролик小隊"のイナバ、セイラン、リンゴがラペリングで降りて来て支援に加わる様子。

 

―――アリスも外で起きている状況を、タワーの外での壮絶な防衛戦を把握している様だ。アリス自身が見たいと思ってたからなのか、それとも―――

 

「...アリスのせいで、皆が危険な状況に陥っています。アリスがあんな大群をも呼び寄せられる力を持っているから...」

「"――アリス。その身体を、その力を持っているのは()()()だ。あの『Key』と名乗る存在は君の力を行使しているけど、本来の主導権は君にある筈だ。...現に、私達の侵入を止めなかったのは――()()()()()()()()()()()()()()()()じゃないかい?本当は...誰かに助けて欲しいんじゃないのかい?"」

「...!...っ...アリスは――」

 

 私の言葉を受けたアリスの瞳が震え、意を決した様に―――

 

 

 

 

―――フッ...

 

「――否定。『王女』は()()()()()()()()()()()()に、敢えてあなた達を招いたのです。『王女』の力であれば、今すぐにでもあなた達を()()できます。...()()()使()()を阻害する要素を除去しようとしない『王女』の思考は理解できませんが」

 

―――私達の目の前にアリスと完全に瓜二つの少女――瞳とヘイローの色は"ヴェリタス"部室倒壊事件の際に見た、あの()()()だ――『Key』が姿を現し、無表情、無感情の眼差しで私達を見回す。

 

「アリスが二人――いや、お前が『Key』ってヤツか...!」

「貴女がアリスを唆したんだね...!」

「――理解不能。私は『王女』を補佐する(Key)として、『王女』が使命を果たせるように導いているだけです。『アリス』などという()()()()()を勝手に付け、使命を忘れさせるような活動を重ねた――あなた達は『王女』の、"無名の司祭"の要請執行における()()()()です。...『王女』よ。この()()()()()()()()()を再度提案します」

 

 『Key』はマリサとモモイの言葉に対しても一切揺らがず、淡々と私達を()()()()だと詰り、()()を提案してアリスを見つめる。

 

「...っ...皆、早く外に戻ってください。リオ会長が、()()()()()()()()()()()を持っている筈です。――アリスは勇者なんかじゃありません。皆が傷付いて、倒れてしまったら...アリスは――」

 

 

 

 

 

 

「あーもう!ごちゃごちゃうるさいッ!!」

―――ガシッ...!

 

―――モモイが突然大声をあげ、アリスの目の前につかつかと歩み寄って両肩をガシッと掴んでアリスを至近距離で見つめる。

 

Key(他人)に言われての言葉なんかアリスの本音じゃないでしょ!私達が聞きたいのは!知りたいのは!――()()()()()()()()()()()()だよ!!」

「『王女』よ、妨害要素の戯言に耳を貸す必要h「うるさいッ!!関係ないヤツは黙ってて!!」ッ...?!」

 

 『Key』が割って入ろうとするも、モモイの剣幕にたじろぐ様に驚いた表情を浮かべる。

 

「周りが魔王呼ばわりしても!Key(変なの)が『王女』とか言って持ち上げても!それは()()()()()()()()()()()()()()()!!大事なのは()()()()()()()()()()()()()!!...私は信じるよ――自分を魔王と認めても、『王女』とか呼ばれることを受け入れても――()()()()()()()と願っても!それが()()()()()()()()()()なら、私は受け止める!!それが――信じることが仲間としての絆なんだから!!」

「...お姉ちゃん...そう、だね。もし、アリスちゃんが本当に魔王に、『王女』になりたいと願うなら――それが()()()()()()()()()()()()()()なら、私達は止められない。...アリスちゃん。貴女は――どんな存在になりたいの?」

「...私達は、()()()()()()()()()()()()()。...それがネル先輩やリオ会長、皆の願いに反することになっても――私達は()()()()()()()()()()()()()()よ...!」

「――確かにお前は普通じゃない力の持ち主だ。やろうと思えば世界だって滅ぼせるだろうさ。...だが、()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()。アリス...お前はもう立派な人間だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()だけ、のな。()()()()()()()()()()()。お前の――()()()()()()()()を聞かせてくれ。私達はお前を連れ戻すべくここまで来たが――お前の選択を尊重する」

 

 モモイの言葉を皮切りに、三人も同様の意見を―――()()()()()()()()()()()と伝える。

 

『...っはぁ...はぁ...!どれだけ来るのさアイツら...!』

『弱音吐いてんじゃねぇぞウカビ!あたしらが一分守ればアリス(チビ)の説得に一分余裕ができる!アイツらが連れ戻して来ることを信じろ!』

『分かってるよ...!』

 

『Gi...GaGa...』

『[アバンギャルド君Mk.2]が...!』

『履帯もやられて大群の真っ只中でドリルを振り回していたからね。ここまでよく耐え抜いたと褒めるべきだろう』

『[アバンギャルド君Mk.2]のように、"先生"と"ゲーム開発部"の皆さんもアリスさんを説得し続けている筈です。[アバンギャルド君Mk.2(強力な戦力)]は倒れてしまいましたが、諦める理由にはなりません!』

 

『――ユメミ、本当に大丈夫なの?!もし失敗したらもう止める手段は...!』

『"先生"を、"ゲーム開発部"の娘達を、何より――()()()()()()を信じてあげなさい!どれだけリスク排除しようが、綿密な準備をしようが――()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだから!』

『――そうですね。世界終焉阻止、アリス救出の為に手は尽くしています。後はアリス(あの子)の意思次第です。こればかりは、超天才病弱美少女ハッカーであり、好奇心旺盛な分析家、かつ科学少女である私でも人為的に変えることはできませんから』

 

―――仮想画面では"C&C"や"エンジニア部"、リオ達が防衛線を崩さない様に必死に戦いながら、私達がアリスを連れ戻せる事を祈っている様子が映し出されている。

 

―――アリス自身の選択次第では、彼女達の期待、祈りを裏切る事になるかもしれないだろう。それでも、私は―――

 

「"――アリス。君自身はどうしたいかを聞かせてほしい。どう選んでも、それは私達や、外で戦っている皆に影響を与えるだろう。それでも――"」

 

 

 

 

 

 

「"――君には()()()()()()()()()()()()()()()んだ、アリス"」

 

「...アリスが...どうしたいか...」

 

―――私の言葉を、()()()()()()()()()()すると言う想いを受けてアリスは考え込む様に瞑目する。

 

「『王女』よ、考える必要などありません。貴女は『名もなき神々の王女』――"無名の司祭"の要請、祈りの執行者です。滅ぶべき者達の戯言に耳を傾ける必要など――」

 

 

 

 

 

 

「――アリスは...アリスは!っ...勇者になりたいです...!"ゲーム開発部"の仲間で在り続けたいですッ...!!」

 

―――シュゥゥン...!

 

―――椅子から立ち上がったアリスが自らの意思を宣言した瞬間、椅子が光に包まれて[光の剣:スーパーノヴァ]が姿を現す。

 

「あれは...!」

「[光の剣:スーパーノヴァ(アリスちゃんのレールガン)]...!」

「アリスちゃんの意思に...()()()()()()()って意思に応えてくれた...?!」

「――聖剣にしちゃ見た目も乖離しているしデカくて重いが、アレを持っていてこそアリスだな」

「"――アリス。君の意思、確かに届いたよ。後は...君の意思のままに成すべきことを成すんだ!"」

「――はい!」

 

―――ガシャッ...!

 

「『王女』...?!理解不能...理解不能...!貴女は()()()()()()()()()()()()()()()()()のですか?!()()()()()使()()()()()()()というのですか?!」

 

 アリスが[光の剣:スーパーノヴァ]を手に取って持ち上げ、銃口を『Key』に向けると、『Key』は困惑した表情を浮かべる。対するアリスは青い瞳をキッと鋭くして―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「アリスのクラスは『魔王』でも、『王女』でもありません!アリスは――“勇者”です!!」

 

カッ―――!!

 

「...理解...不能...」

 

―――アリスの意気軒昂な宣言と共に青い閃光が『Key』に向けて放たれ、困惑しっぱなしの声と共に『Key』の姿が青い閃光に包まれる―――

 

 


~『エリドゥ』セントラルタワー 正面玄関前広場~

side-ミヤコ

 

カッ―――!!

 

「っ?!」

「な、何だァ?!」

 

―――突如背後のタワーから青い閃光が迸って広がり、ネル先輩共々思わず銃撃を止めて腕で顔を覆う。

 

[[[[Gi――]]]]

[[[[Ga――]]]]

[[[[■――]]]]

 

ガシャガシャ...!

ガシャンッ...!

ガラガラ...!

 

「――え...?」

「...あやや...オートマタやドローンが一斉に...」

「...倒れて動かなくなった...のか?」

 

―――目を覆って数秒後、金属質の物体が崩れる様な音が目の前で聞こえ、腕を離して視界を確保すると、大通りを犇めき、陣地の至近距離まで迫っていたオートマタやドローンの大群が―――()()()()()()()()()()()()いて沈黙と共に大通りを埋め尽くしていた。

 

―――各々の得物の銃身過熱による摩耗や疲労により迎撃能力が低下するに連れて大群との距離も縮まり、このままでは白兵戦を―――()()()()()()()()()()()()()()()()白兵戦を覚悟していた矢先、いきなり急変した状況を目の当たりして私含め誰もが困惑した声を零す。

 

「――接触による反応の有無を見てみましょう。"Кролик2"、"Кролик3"」

「「――了解」」

「...イナバ先輩...!」

 

―――イナバ先輩に続いてセイラン先輩、リンゴ先輩も立ち上がってバリケードを乗り越え、各々の得物を構えながら慎重に倒れて動かないオートマタやドローンの傍に近付いて行く。危険だと思い、止めようと立ち上がり―――

 

 

『――こちらウタハ!陣地の至近距離まで迫っていたオートマタやドローンの大群が一斉に動かなくなった!そっちも状況は同じかい?!』

「――こちら"RABBIT1"。状況はそちらと同様です。タワーから放たれた青い閃光――あれが原因だと思いますが...」

 

―――そこに反対側の陣地を受け持っていたウタハ部長からの通信が入り、向こうもこちらと同じ状況になっていると知る。直近の状況を鑑みれば、あの青い閃光が間違い無く原因だろう。閃光はタワーから放たれた。つまり―――

 

 

 

 

『――こちら司令室、全員に通達。――AL-1S...否、()()()()()()()()()()()()()。世界終焉の脅威は排除された。現時刻を以て()()()()を宣言。状況を終了します』

 

「...終わった...のか?」

「...っはぁぁぁ~...!今までで一番疲れた...!もうこんなの懲り懲りだよ!」

 

―――リオ会長の作戦成功の宣言が全員に通達され、ネル先輩が半ば呆然とした声に続いて隣のウカビさんが大の字に倒れて安心し切った声をあげる。

 

「――接触による反応なし。...本当に終わったみたいね」

「――っはぁ...終わったんだな...本当に危ない所だったぞ...!」

 

 続いてオートマタやドローンへの接触を終えたイナバ先輩達も陣地に戻って来て反応無し―――オートマタやドローンは()()()()()()()事を報告し、サキも疲れた様に片膝を付いて息を吐く。そんな反応を皮切りに、タワー周辺で安堵の声が響き、安心で弛緩した雰囲気が広がっていく。

 

「――皆さん、お疲れ様です。...こんなにあっけなく終わるなんて、作戦成功をイマイチ実感できませんね」

「――皆、お疲れ様。あっさり過ぎて本当に終わったのかと疑ってしまうね」

 

―――そんな私達の下にユウカ先輩、ウタハ部長達も合流し、お互いに労いながらもイマイチ作戦成功を実感出来ない困惑を共有する。

 

「...えぇ、唐突過ぎてイマイチ受け止めにくいですねぇ。タワー侵入を阻止し、アリスさんを助けられたことは確かに嬉しいんですが」

「そうですね...司令室()で何があったのか分かりませんし、単なる宣言だけでは――」

 

 

 

 

―――ウィィン...

 

―――背後でタワー正面玄関の自動ドアが開く音が聞こえて振り向く―――

 

 

「――お疲れ様。あなた達の必死の防衛戦は作戦成功に大いに貢献したわ」

「皆お疲れ様。――全員が力を合わせたおかげだね」

「ふふ、人を信じた結果が成した作戦成功ですね。...ほらリオ、貴女も」

「...取り返しのつかないことをやろうとした下手人の身で言えたことではないけれど――皆、ありがとう」

 

―――ヒマリ部長の車椅子を押すユメミ"教授"。安心した様に微笑むヒマリ部長とチヒロ先輩。ヒマリ部長に促されて私達に頭を下げるリオ会長。

 

「"――皆、お疲れ様。私達の作戦成功だけでなく、()()()()()を阻止することもできた。君達が力を合わせて全力を尽くしてくれたおかげだ"」

「皆、ありがとう!おかげで大切な仲間を救えたよ!」

「皆さん、本当にありがとうございます...!」

「...本当に...あ、ありがとうございます...!」

「――皆、ありがとな。あわや世界を滅ぼす状況になりかけたが、こうして仲間を助け出せた。――改めて、自己紹介してやってくれ」

 

―――ユメミ"教授"発案のアリスさん救出作戦に臨んだ、"先生"と"ゲーム開発部"の皆さんが頭を下げて謝意を述べる。そして―――

 

 

 

 

 

 

「――はい!アリスは『天童アリス』!『ミレニアムサイエンススクール』一年生、"ゲーム開発部"部員(パーティーメンバー)であり――勇者を目指す者です!」

 

―――私達がよく知っている、元気一杯で笑顔が絶えないアリスさんが、満面の笑顔で改めて自己紹介を宣言する。

 

 

―――to be continued―――

 

 




ということで決着!次回はエピローグです。

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