Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~   作:八坂 義景

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とある存在についての掘り下げ的なものです。


Folder04.~神秘と幻想の記録②~
File74.TD-1~第1回シャーレ教職会議~


~『シャーレ』オフィスビル 執務室~

side-"先生"

 

~♪

 

「"――"連邦捜査部"『シャーレ』です"」

『――SRT"教官"のサグメだ』

 

―――デスクの『シャーレ』専用電話がベルを鳴らし、受話器を取って応対するとサグメの声が耳に入り、執務室の壁掛け時計が示す時刻を横目に確認する。

 

「"――や、サグメ。この時間に電話ってことは、()()()だね?"」

『あぁ。昨日の連絡通り、今朝方ミレニアム発のドローンで物品が届いた。――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。...本当にこれだけでいいんだな?』

「"ユメミが送ってくれた前準備のマニュアルだとそうなっているね。ユメミが嘘を吐くとは思えないし、"全知"の頭脳と『ミレニアム』生としての技術力を信じたいけど...正直、私も()()()()()()()()()()()少し不安だよ。何せ――私も()()()()()()だからね"」

 

 


 

―――昨日―――

 

Prof.ユメミ

 "先生" 

 今大丈夫かしら?  

 

シャレ先

 大丈夫だよ

 何か用かな? 

 

 

Prof.ユメミ

 例のものが完成したわ 

 でも、テスト運用にあたって 

 お願いしたいことがあるの 

 

シャレ先

 エリドゥの件の後始末も 

 あっただろうに早いね 

 それで、頼みたいことって? 

 

Prof.ユメミ

 貴方の人脈に教職は居ない? 

 テスターの数は多ければいいし 

 運用が安定しているなら 

 共有したい提案があるの 

 

シャレ先

 成程ね 

 分かった。一人心当たりはあるから 

 話してみるよ 

 

 


 

―――昨日『モモトーク』でユメミとやり取りした内容を思い返す。以前ユメミから提案された『シャーレ』に関わる()()()()()()()()が完成し、そのテスト運用を依頼された。それに加え、私が知り得る教職にもテスターとして参加して欲しいとのことで、『SRT』の教職("教官")であるサグメに()()()()()()の情報を共有し、彼女は快諾してくれた。そうして今日を―――テスト実施日を迎えたけど、不安は拭えない。

 

『――もうすぐ時間だ。――マニュアル通りなら、()()()()()で次は対面できると信じよう』

「"そうだね。それじゃ――"」

 

 通話を切り、受話器を置いて"シッテムの箱"の画面を点ける。

 

『――"先生"!いよいよユメミ"教授"のプロジェクトのテスト開始ですね!』

「"いよいよだ。――アロナ、ユメミのプロジェクトではOSである君の働きが重要だ。行けるね?"」

『勿論です!スーパーAIアロナにお任せください!』

 

 画面にアロナが映り、念押しの確認を取ると自信満々な答えが返って来る。

 

「"――よし、時間だね。始めよう"」

『はい!』

 

 壁掛け時計がテスト開始時間を示し、"シッテムの箱"を手に取るとアロナが人差し指の腹を差し伸べ、私も右手の人差し指の腹を重ねる。

 

 

 

 

「"......我々は望む、七つの嘆きを。......我々は覚えている、ジェリコの古則を"」

『――"アカシアの(はこ)"、検索開始』

 

アロナと同時にパスワードを口頭で告げた瞬間、意識が"シッテムの箱"の画面へと()()()()()()()()を感じる―――

 

 


~"シッテムの箱"仮想空間~

 

「"――うん、ホーム画面でいつもみる光景だ"」

 

―――吸い込まれる感覚が治まり、目を開くと視界には崩落しかかった教室と、崩落部分から遠い水平線が見える海が―――アロナが常駐している"シッテムの箱"ホーム画面の風景が見える。

 

―――シュゥン...

 

―――シュゥン...

 

―――そして、私の左側で()()()()()()が、右側で()()()()()()*1が立ち昇り―――

 

 

 

 

「――接続は成功したみたいね。...感覚も異常なし」

「...〈――これは...成程。仮想空間へ意識をフルダイブさせる技術か...流石『ミレニアム』と言うべきか〉」

 

―――見た目上は異常無さそうなユメミとサグメがそれぞれ光の柱から姿を現し、各々自身の姿を確認する。

 

「――"シッテムの箱"、"アカシアの匣"間の接続状況は高水準で安定しています!接続テストは成功です!」

「よし、最初の関門はパスできたわね。――二人共、それぞれ見えてる他人の姿や声に異常はない?」

 

 そんな私達の前にアロナが現れ、笑顔で接続状況を報告するとユメミは満足そうに頷き、私とサグメに尋ねる。

 

「"異常はないよ。ここも現実じゃないかと思ってしまう位に何も変わっていない"」

「...〈私から見聞きしても異常は見当たらない〉」

「...結構。グラフィック、音声も大丈夫そうね。――それじゃあ、本題に入る前に、各々の記憶の欠落の有無の確認もかねて自己紹介をしましょうか。既に見知った関係でも、ダイブ中に異常が出る可能性もあるから」

「...〈――分かった。私は『SRT特殊学園』所属、"連邦生徒会"公認専属教師『稀神サグメ』。通称"教官"だ〉」

「"――連邦捜査部『シャーレ』顧問、"先生"だよ"」

「――『ミレニアムサイエンススクール』現役三年生、最高学位"全知"取得者、"連邦生徒会"公認専属教師『岡崎ユメミ』。通称"教授"よ。...よし、各々の記憶も大丈夫そうね。重要箇所の確認はOKよ。『エリドゥ』でアリス救出に使ったツールで試せたのが大きかったわね」

 

 各々自己紹介すると、ユメミは微笑みながら頷く。

 

―――『"先生"。私から見て、シャーレの人員とその活動規模は見合っていない。大きな案件が同時多発で起きたら手が回らない可能性があると思わない?そこで――()()()()()を提案したいの』

 

―――"アカシアの匣"。以前『ミレニアム』でユメミから提案され、賛成した()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()体制改革で重要な要素となるタブレット端末だ。見た目では"シッテムの箱"同様、『シャーレ』ロゴを誂えた単なるタブレット端末だけど―――アロナのおかげで、その性能は"シッテムの箱"に劣るけど既存の端末と比べれば遥かに高性能な機能を有しているという。

 今、私達が行っている仮想空間内での交流はその機能の一部だ。『エリドゥ』でアリスの精神内への侵入に使用したツールの技術も使っている様で、改めてユメミが"全知"を保有出来るだけの天才的頭脳の持ち主なのだと実感する。

―――閑話休題。"アカシアの匣"の機能一つが問題無く機能している事は解ったけど、これだけでは"アカシアの匣"を開発した目的―――『シャーレ』の体制改革の具体的な内容は分からない。

 

「"――ユメミ。君から提案を受けた時も、体制改革の具体的な内容は話してくれなかったね。"アカシアの匣"は――教職(私達)の単なる交流手段として設計したものではないよね?"」

「勿論よ。――じゃあ、本題に入りましょうか。立ちっぱなしも何だし、二人共適当な席に着いて」

「"分かった"」

「...〈了解した〉」

 

 ユメミの言葉に頷き、目に付いた机の椅子に座る。ユメミはその様子を見ながらアロナと共に黒板の方へと歩き出す。

 

「さて――アロナ、『シャーレ』に舞い込む依頼の要請元、要請内容、要請日で分けた統計データを出せる?」

「お任せください!――データ集計完了!グラフを表示します!」

 

 アロナはユメミの指示に頷き、二、三秒で黒板に二つの円グラフ、一つの折れ線グラフを投影する。

 

「...〈『シャーレ』活動開始から一月以上経ったが、()()()()()()()()()か〉」

「...予想通りね。こう見ると、三大校からの要請は現状少ない一方、中、小規模校からの依頼が圧倒的ね。『アビドス』からの要請に応え、問題解決を行ってからは圧倒的に要請数が増えている。――滅びかけだった『アビドス』が一転復興の道筋が見えてきたから、自分達も...って所かしらねぇ」

「"こうしてグラフで統計を取ると、こんなに依頼が入ってきてたんだね...毎日朝に要請を確認して、内容で分類しながら受諾の是非を決めて、ミヤコ達やアヤ、ハタテ、場合によっては"当番"も現地に向かわせて、必要なら私も指揮の為に出て..."」

 

 投影されたグラフを見ながら『シャーレ』での毎朝のルーチンワークを思い返す。―――思い返すと明らかに人員に見合わない業務量で、生徒の為に働く事は苦では無いけどそれでも思わず眉を顰めてしまう。

 

「...〈明らかに人手が足りないな。これでは"RABBIT小隊"の負担も大きい。経験を積むことも重要だが、その経験を出力する身体を壊してしまえば本末転倒だ〉」

「そう。――『シャーレ』に足りないのは第一に()()。"当番"も二ヶ月先までシフト予約が解禁すぐに埋まる位には大人気だけど、それでも尚足りない。そこで...アロナ、私の"アカシアの匣"に入れてあるプレゼンデータを投影して」

「はい!――"アカシアの匣"ID:Milのストレージ検索。――該当ファイルを確認、投影します!」

 

 ユメミがサグメの言葉に頷き、アロナに指示を出す。黒板の中央に新たな仮想画面が立ち上がり、スライドのタイトルが―――

 

 

 

 


 

『シャーレ』()()体制案

発案者:岡崎ユメミ

 


 

「...〈――ほう...〉」

「"――()()?"」

 

―――タイトルだけではユメミの提案が分からず首を傾げる。

 

「――さっきも言った通り、現在の『シャーレ』にはキヴォトス中の大小様々な構成校から多種多様な要請が舞い込んでいる。現状の人数では到底全てに応える余裕なんてないわ」

 

―――スライドが『シャーレの現状』というサブタイトルに代わり、中心『シャーレ』ロゴに四方八方の学校のマークから要請を示しているらしい矢印が伸び、『シャーレ』ロゴはまるで限界を訴える様に震える。

 

「そこで、私が提案するのは――()()()()()()()()()()()()()()への、『シャーレ』の()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()及び、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()シャーレとしての活動を行う『シャーレ分室』の設置よ」

 


 

シャーレ分室

【責任者】:構成校所属の"連邦生徒会"公認教師

【付与権限】

・シャーレ窓口

・要請受託可否決定権

・分室人事権

分室所属校自地区、及び周辺中小校自地区限定の活動権

 


 

―――スライドが無地に変わり『シャーレ分室』と大きなサブタイトルが目立つエフェクトと共に現れ、その下に分室に与える予定の権限が、ユメミの説明を要約した箇条書きで示される。

 

「――所属自治区周辺の中小校自治区への介入活動も認めているのは、前提である教職が全ての学校に居る訳ではないことが一つ。もう一つ、遠隔地では『シャーレ』本体の即応性にも限界があるから、近隣自治区での活動を行うことで『シャーレ』本体への負担を減らすことよ」

「...〈要するに――『シャーレ』に、"先生"達に一極集中している現状から、各構成校に限定的な権限を付与した組織を置いて対応を分散させよう、という訳か〉」

「そう。――一人で手が足りないなら、二人、三人で分担して一緒に。分散による一人辺りの負担軽減が『シャーレ』には必要だと思わない?」

 

 サグメの言葉にユメミは頷き、スライドが切り替わって『シャーレ分室』設置による改善内容が映し出される。各地の学校に自地区内からの要請が分室に流れ、一部に分室が対応し、残りはここ『シャーレ』本体へと送られ、そこから"分室対応許可"、或いは"シャーレ直接の介入"と記された矢印が返されていく。

 

「――このように、分室だけでは対応が難しいと判断した場合は"先生"達の『シャーレ』本体に要請内容が送られ、受託可否決定、或いは『シャーレ』の直接的介入を判断するようにもしてあるわ。この分室とのネットワークを成し、同時に監査も行うのが"アカシアの匣"よ」

「"...分室での対応が難しい場合の体制も備えてあるのは流石だ。ただ――そもそも分室責任者、()()()()()()()()()の点が気になるね。ユメミ、サグメのように誠実な人物が全てではない筈だ。...()には、教職の立場を盾に、或いは隠れ蓑にして()()()()をやる()()()()も居たから"」

 

―――ここまでの説明で気になった疑問を挙げる。ユメミは現役生徒でもあるから少し例外だけど、サグメは立派な()()()教職だ。()で度々ニュースになった、教職の汚職や犯罪の事を思い出すと―――『SRT』以上に強力な権限を持つ『シャーレ』の権限を限定的にとは言え、教職(大人)に分け与える事に不安を覚える。

 

「――"先生"の懸念は尤もね。仮に無軌道にこの分室を設置していたら、"先生"が言う()()()()が権限を悪用する可能性は否定できない。『カイザー』みたいな企業が生徒会(行政組織)に干渉する足場にもなりかねないわね。――だからこそ、()()()()()()()の教職に限定しているの。少なくとも...()"連邦生徒会長"が認めた教職は信用していいと思うから」

「"――()"連邦生徒会長"が、君達を?"」

「...〈――"先生"には詳しく話してなかったな。そもそも、()()()()()()()()()という役職自体が――()()()()()()()()()()()()()()だ〉」

 

 ユメミから聞いた事が無かった事実が明かされ、サグメが頷きながら話し始める。

 

「...〈()()()()()()()()()設立以前から、構成校の一部では自発的に()()()()()()()()()事例は少なくなかった。試験監督、採点を行う教員はそれなりに居るし、キヴォトスでの学習は『BD』で大半を熟せるようになっている。だが――卒業し、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()B()D()()()()()()()。その経験を生徒達に教える事で、社会人となってから少しでも苦労苦難に見舞われないようにしたい。――そんな理念、決意を抱いた者は自発的に教職、それに準じる役職に就いた。

 かく言う私も出身、卒業は『百鬼夜行連合学院』構成校、『ツキト*2分校』だ。

 卒業後しばらくして、ツキト分校(母校)の"自治委員会"から要請されて"鷲兎衆(すうさぎしゅう)*3"という分校独自の特殊部隊養成の為に"教官"を務めていた。

 その実績を把握してか、()"連邦生徒会長"が就任早々にキヴォトス中の学校を視察して回り始め、その一環で『百鬼夜行』に来て、現在の"学院長"、"理事長"へ()()()()()()()()()としての指名、就任を要請した後――『ツキト分校』にも訪ねて来て、私は『SRT特殊学園』開校に際しての()()()()()()()()()"教官"としての就任と、"鷲兎衆"として養成中の生徒から数名を『SRT』に転校させて欲しいと養成された。()"連邦生徒会長"は"学院長"、"理事長"からも既に承諾は得ていて、私は少し悩んだが..."鷲兎衆"から転校を志願した生徒――イナバ達現"Кролик小隊"の四人の説得を受けて私は受け入れることにした。こうして今に至っている訳だ〉」

 

 サグメは自身が『SRT』"教官"に就いた経緯を語り、懐かしむ様に目を伏せる。

 

「へぇ...じゃあ、私も話しておくわ。私は元々教職("教授")に興味はなかったんだけどね。『廃墟』探索の成果を研究する環境が欲しくて岡崎研究室(自分の研究室)を作りたかったんだけど、リオが中々頭を縦に振ってくれなくてねぇ...そんな時に、『ミレニアム』視察に来た()"連邦生徒会長"から私に()()()()()()()()()としての"教授"就任を求められたの。

 就任すれば自分のオフィスが持てる――オフィスの体で研究室を立ち上げられるって考えて即決したわ。リオは私の狙いと、私に教職("教授")が務まるのかって頭を抱えてたけど、()"連邦生徒会長"が『ユメミさんなら、きっとミレニアムをより良いものにします。()()()がそう言っているんです』って説得して、合理性を重んじるリオは珍しく彼女の()を信じて私の"教授"就任は成ったの。"教授"としてたまに講義も開いてるけど、これも結構楽しくてね。"教授"に就いたことは私にも大きなプラスになったわ」

 

 ユメミも懐かしむ様に目を細め、()()()()()()()()()()私に目を向け直す。

 

「――()"連邦生徒会長"は()()()()()()()()()()ってレベルで、実際に運用されると想定通り、或いは想定以上の効果を齎す政策を布いていた。その()が、()()()()()()()()()として選んだ教職達は信じていいと思うの」

「"...なるほどね..."」

 

 二人が教職に就いた経緯を知り、瞑目して考える。―――少なくとも、サグメとユメミは信じられる。でも、現状私が知り得る教職はこの二人以外に居ない。『百鬼夜行』所属教師らしい"学院長"と"理事長"も気になるし、教職が就いている他の学校も気になる。

 

―――私自身の繋がりを広げる為にも、分室設置の可否は()()()()()()()だろう。出会った生徒達の声、教職本人の人と成り―――それらは直接聞かねば評価出来ない。

 

「"――分かった。まずは試験運用で様子を見よう。ただ、分室設置の可否は顧問である私に決定権を持たせて欲しい。交流が殆どない学校も多いからね。直接見て、話をして――それから決めたい"」

「元よりそのつもりよ。"アカシアの匣"はある程度の台数を製造しているから、折を見て"先生"に送るわ」

「...〈試験運用は重要だ。"教官"としての職務もあるが、『シャーレ』の多忙振りは端から見ていて不安になるものだったからな。その負担を和らげられるなら、一肌脱ごう〉」

 

 私の要求も既に対応として盛り込んでいた様で、サグメも頷きながら協力に賛意を示す。

 

「――"先生"、念の為確認するけど、『シャーレ分室』体制はこの案で試験運用。成果次第で改善、変更を掛ける。――これでいいわね?」

「"――それで大丈夫だよ。それから一応、"連邦生徒会"にも説明と報告はしておくけど構わないね?"」

「『シャーレ』の強力な権限なら報告は要らないと思うけど...構わないわ」

 

 ユメミの確認に頷き、私からの確認にユメミは頷く。―――確認しておきたい事はこの位だ。後は試験運用で問題点、改善点を洗い出していきながら確認、解決していこう。

 

「――さて、仮想空間内でのやり取りは充分安定しているわね。今日は後...データ送受信、ビデオ通話、チャット機能、諸々の端末内機能の動作確認で終わりよ。明日から早速試験運用と行きましょうか」

「"分かった。――少しでも『シャーレ』の力が、助けを求める生徒達により届くようにこの体制が上手く働くことを祈るよ。ユメミ、サグメ――改めて教師(同業者)としてよろしくね"」

「――えぇ、よろしくね"先生"」

「...〈――こちらこそ、至らぬ点は互いに補い、職務を全うできるように努めよう。よろしく頼む、"先生"〉」

 

―――仮想空間内ではあるけど、ユメミ、サグメと握手を交わす。

 

「"――あ、そうだ。もし、他の学校の教職について知っているなら教えてくれるかい?今後他の学校に訪ねに行く時に前情報があると助かるから"」

「...うーん...私は殆ど知らないわねぇ。『ゲヘナ学園』の"学園長"はいかにも『ゲヘナ』らしい()()()()()()()()()()なんて噂は聞くけど」

「...〈私も多くは知らない。百鬼夜行(母校)の"学院長"と"理事長"は同期だからそれなりに知っている。だが他には――『山海経』"校長"に関する噂を聞いている位だ。それもそこそこ古い情報だ〉」

「"...成程。キヴォトス構成校とはいえ、独立性の高さ故にお互いを知る機会も少ないんだね"」

「...〈学校運営はあくまで生徒会の役目。教職が顔役として外交に立つこともないしな〉」

 

 今後の学校訪問の為に二人以外の教職についての情報が無いかと尋ねるとそんな答えが返ってくる。―――教職の存在はその学校内では知られていても、外部に知られている訳ではないらしい。サグメの言う通り、学校運営は生徒会の役目故に教職が表に出る事は殆ど無いのだろう。

 

「でも、"連邦生徒会"には公認教師の登録情報位はある筈よ。()"連邦生徒会長"個人が主導していたとは言え、公的役職だから記録を残さない筈がないわ」

「"確かにそうだね...分かった。テストが終わったら報告ついでに問い合わせてみるよ"」

 

 ユメミのアドバイスに頷く。()()()()()()()()()はその名の通り、"連邦生徒会"が認めた役職だ。常識的に考えれば公的役職として記録は残っているだろう。私がキヴォトスに招かれる直前の()"連邦生徒会長"()()による混乱で"連邦生徒会"に聞いてみる価値はある。

 

「"――それじゃあ、改めてこの場は解散としようか"」

「えぇ。次の機能確認もあるから接続は残しておいてね」

「"分かった"」

「...〈了解した〉」

「では、先に"先生"を当空間よりログアウトさせますね!」

 

 改めてこの場の解散を宣言して立ち上がり、アロナの宣言から数秒して()()()()()()()()()()()を感じながら視界が暗転する―――

 


side-ユメミ

 

「...〈行ったか。では、私達も...その前に、"教授"。聞きたいことがある〉」

教職(同業者)だし、ユメミで構わないわよ。――で、何かしら?」

 

 私もログアウトしようと立ち上がると、サグメが呼び止める。

 

「...〈"シッテムの箱"OSの仮想義体であるアロナ。"先生"の働きを支える重要な存在であり、"アカシアの匣"との繋がりやシステム維持の根幹を成す側面もある。...だが、()()()()()()()()()()()()()()()()がある〉」

「――何が気になったの?」

 

 サグメが目を細めてアロナについて話し、疑問を抱いたと吐露する。私は()()()()()()()、敢えて尋ねる。

 

 

 

 

 

 

「...〈――あの容姿、声...幼くはあるが...()"連邦生徒会長"に()()()()()()?〉」

 

―――『初めましてですね。――"連邦生徒会長"の■■■です。貴女が岡崎ユメミさん、ですね?』

 

―――サグメの疑問と共に、『ミレニアム』に来て、私の下を訪ねて来た()()の姿と声を思い返す。

 

 

―――to be continued―――

 

 

*1
ブルアカにおけるこの色は...

*2
当作品オリジナル分校。漢字を敢えて当てれば『月都』

*3
鷲=イーグル、兎=ラビット




ということで、教職による"アカシアの匣"での繋がり構築、『シャーレ』分室の設置と、当作品における教職勢の掘り下げでした。今後も教職の登場は増える予定です。
因みにサグメの口調は本来もう少し女性的ですが、仕事中なので口調固めです。

それから、2025年8月26日に日間二次ランキング16位にランクインしていました。UAと栞が急激に増えていて何事だと思ったら...本当にありがとうございます!これを励みに執筆頑張ります!

【挿絵表示】


さて、次回は某弾幕少女のメモロビです。

感想、評価、お気に入り、栞、ここすきは大歓迎です。作者が喜びでわっぴ~します。
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