Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~   作:八坂 義景

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遂に"理事"の登場です。



File6-Ab.~アビドスを想う者達~

~『アビドス高等学校』校舎付近の商店街~

side-ミヤコ

 

「――お、見えてきたね~。あれこそが『アビドス』随一のラーメン屋――『柴関(しばせき)ラーメン』だよ~」

 

 モコウ先輩が"カタカタヘルメット団"の幹部との()()を終え、私達は委員会の皆さんの案内で校舎の近くにある商店街に来ていた。―――殆どの店舗にシャッターが降り、砂が溜まりつつある中で出入口の引き戸に[商い中]の木札を提げ、『柴関ラーメン』という看板を掲げる建物をホシノ先輩は指差す。

 

「『柴関ラーメン』の特徴は何と言っても"安くて美味い"、ですね~☆看板メニューの"柴関ラーメン"はなんと一杯五八〇円なんですよ☆」

「"や、安い...このお店の大きさだと千円近い値段のラーメンを出しそうだけど..."」

 

 ノノミ先輩の説明に"先生"は驚いた表情を浮かべて『柴関ラーメン』の看板を見上げる。ラーメンの相場は分からないけど、外食としては安い値段である事は解る。でも、大抵は値段が低い分質が落ちている印象もある。"安くて美味い"―――よく聞くその謳い文句は果たして事実なのか。

 

「ラーメンか...『SRT』に入学してからは訓練や任務ばかりで、そもそもこういう外食が久しぶりだなぁ」

「確かにそうですね...専ら学園内の食堂か購買、任務中は戦闘糧食(レーション)でしたから」

「それは随分大変だね~。折角だし、お互いの学校生活のことでも話そっか~。さ、入るよ~」

 


~柴関ラーメン 店内~

side-ミヤコ

 

―――ガラッ...

 

「へいらっしゃい!」

「いらっしゃいませー!」

 

 店内に入ると、大きく快活な男性の声と―――()()()()()()()()()()()()()が出迎える。

 

「"あれ?この声って..."」

「ま~ま~、取り敢えず座ろっか~」

 

 "先生"も気付くけどホシノ先輩に背中を押されていき、私達は空いている席に座る。店内は明るく清潔に保たれていて、壁にはメニューを記した木札が並んでいる。

 

 

「ん、これメニュー表」

「ありがとうございます。...醤油、味噌、塩...それに炒飯や餃子といった付け合わせも色々ありますね」

 

 私の向かい側に座ったシロコ先輩からメニュー表を受け取り見てみると、ラーメンや炒飯、餃子等色々なメニューが並んでいる。

 

「"ふむ...初めてだし、看板メニューを試してみるかな。『柴関ラーメン』の...久しぶりだし()()()にしよう"」

「うへ、流石大人で男の人だね~」

 

 "先生"はすぐに注文を決め、ホシノ先輩は関心した様に笑う。―――その眼差しは()()()()()()()()()であるのが気になったけど、すぐにその眼差しを引っ込めてしまう。

 

「...私は塩ラーメンにします」

「私はチャーシュー麺にするぞ」

「私は味噌にしよっかなー。あ、食後にアイス二つも付けよっと」

「...し、醤油ラーメンで」

 

「ん、今日は醤油の気分」

「私は味噌にしましょう☆」

「塩ラーメンでお願いします」

「...大分動いたし、『柴関ラーメン』にするか」

「私も『柴関ラーメン』にしよ~っと」

 

 "先生"の決定を皮切りにして各人頼みたいものを挙げていく。

 

「おじさんは醤油にするかな~。――よし、皆決まりだね~。すみませ~ん、注文お願いしま~す!

<『はーい!』

 

 ホシノ先輩が厨房に向けて声を挙げると、やはり()()()()()()()()が返って来て―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「――はい!ご注文...を...」

 

―――頭にバンダナを巻き、襟元に空色のリボンを止めた黒いシャツの左胸に『柴関ラーメン』の"アルバイト店員"である事を示すカードを留め、スカートの上に店名を誂えた紺色のエプロンを巻いたセリカさんが注文票を留めたバインダーを片手に、私達の前に立つなり瞳を点にして固まる。

 

「"聞き覚えがあるなぁと思ったら...やっぱり君だったんだね"」

「やっほ~セリカちゃん、相変わらず精が出るね~」

 

「な...なな...

 

 

 

 

 

 

 

「なんで皆して来たのよ~~~~??!!」

 

―――店内にセリカさんの叫び声が響き渡った。

 

―――猫耳少女混乱中...―――

 

「ハッハッハ!見ない顔が居ると思ったが、まさか『アビドス』の外から来たなんてなァ。()()()()連中は大勢見てきたが、()()()()()のを見たのは実に久しぶりだ!」

「"やっぱりアビドス(ここ)の人口流出は深刻なんだね...と言うか、人間大で二足歩行して喋る柴犬なんて画面の向こうの存在だと思っていたよ..."」

 

 『柴関ラーメン』のロゴマークを誂えた青い作業着の腰にエプロンを巻き、バンダナから耳を覗かせる"犬獣人"の()()―――『柴関ラーメン』店主『(しば)』"大将"が右目と左頬に傷が走る顔に関心した表情を浮かべ、"先生"はまじまじと彼を見ている。

 

「ん?獣人()程度ならあちこち居るが――アンタもしかして()から来たのか!益々珍しいじゃねェか!」

「"そうだね。――私は前の連邦生徒会長の指名で()から来て、今は連邦捜査部『シャーレ』顧問に赴任しているんだ。

 今回、ホシノ達対策委員会の要請を受けてね。要請に応えるついでに『アビドス』の問題を解決する手助けをするつもりだよ"」

「私達は『SRT特殊学園』所属ですが...現在『シャーレ』指揮下にあり、"先生"のサポートをしています」

「――そうか...俺はこうしてラーメンを出す位しかできねェが、嬢ちゃん達の頑張りに気付いて手ェ差し伸べる存在が新たに現れるとはな...『アビドス』の住人としても頼む、嬢ちゃん達を手伝ってやってくれ」

「"勿論だよ。どこまでできるか分からないけど...できることは全てやるつもりだよ"」

 

 大人同士である故か、"先生"と柴大将はすぐに打ち解けた様だ。彼もまた『アビドス』を、復興を目指す生徒達を想う()()である様だ。

 

「――っと行けねェ行けねェ!セリカ、嬢ちゃん達の注文取ってくんな!初見さんも居るし、今日は()()()()()()()()()()()!」

 

 柴大将はセリカさんにそう言って厨房に戻っていく。

 

「あ、はい!――ほら、さっさと頼んで!人数が人数だから私も手伝わないと!」

「セリカちゃん、()()()()()()()()ですよ~?そんな砕けた口調ではきっと不快に思う方も居るでしょう?」

「ノノミちゃんの言う通りだよ~。初見さんも居るし、最初の印象は大事だよ?」

「"こらこら煽らない。――キヴォトス(ここ)じゃどうか分からないけど、()では『カスハラ』っていう、お客さんが店員に暴言を吐いたり暴力を振るったりして精神的、肉体的ダメージを負わせる行為に厳しくなりつつあったんだ。

――()()()()()()()()。これはあくまで店員がお客さんへの応対をする上での心構えであって、お客さんは店員に何をしてもいいって言う特権ではない。店員もお客さんも、双方が互いを思い遣り、マナーを守ることで気分よくなれるんだ。分かったかい?"」

 

―――いたずらっぽくセリカさんを煽るノノミ先輩、ホシノ先輩に対して"先生"は真面目な表情を浮かべてそう窘める。

 

「――うへ~、"先生"らしい言葉だね。でも納得できるし...ごめんね、セリカちゃん?」

「――確かに、ちょっと意地悪だったかもしれませんね~。ごめんなさい、セリカちゃん」

「...だ、大丈夫よ。お客さんは大体馴染みのある人ばかりだし...まさか"先生"達が来るなんて思わなかっただけ。――さ、改めて!ご注文を伺います!」

 

 ホシノ先輩、ノノミ先輩が謝るとセリカさんは大丈夫だと手を振り、注文を取っていく―――

 

「"ホシノ、もしかして――セリカが柴関ラーメン(ここ)で働いているところを見せたかったの?"」

「うへ、その通りだよ~。セリカちゃんは恥ずかしがって柴関ラーメン(ここ)でバイトしてることを教えたがらないだろうから、歓迎会も兼ねてサプライズでここに来たんだ~。――ツンツンしてるけど、あの娘も『アビドス』が大好きな生徒なんだよ~」

 

<「大将、麺あがりました!」

<「はいよ!」

 

 厨房に目を向けると、"大将"と共に厨房内を忙しなく動き回り、ラーメンを作っていくセリカさんの姿が見える。"大将"に比べれば所々拙い所はあるものの、"大将"のペースについて行っているだけでもかなり手慣れていると解る。

 

「セリカちゃんは()()()()()()ところはありますが、あんな風に真面目で頑張り屋さんなんですよ~♪」

「...稀に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のが玉に瑕だが、いつか私達三年生が卒業してもやっていける筈だ」

「...セリカさんは委員会の会計担当ですよね?そんな人が詐欺に引っ掛かるなんて...」

 

 モコウ先輩の言葉に思わず表眉を顰める。

 

「バイトの求人とか探してるのは専らセリカちゃんだからね~。『アビドス』の現状のせいでそもそもの求人がかなり少ないし、いつもスマホとかチラシと睨めっこしているんだ~。詐欺だと気付けないのはそうやって必死だからってところもあるから、一概にセリカちゃんが悪いとは言えないね~」

「だから、セリカちゃんが新しくバイトを見付けてきたら私達でチェックするんだけど...()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のはどうかなって思うね~」

 

 ユメ先輩はそう言って困った様に眉を下げて笑う。セリカさんも彼女なりに出来る事をやっている様だけど、詐欺に引っ掛かってしまうとは...

 

「――はいよ!『柴関ラーメン』大盛り一丁、普通二丁!」

「"お、来た――"」

 

 

 

 

 

―――ドンッ!!

 

―――白いラインが一本走る赤い丼に盛られた、縁を囲う味玉と海苔、麺も見えない程山の様に盛られたチャーシュー、コーン、メンマ、モヤシ。

―――モコウ先輩、ユメ先輩が頼んだものと比べると"先生"が頼んだ()()()はその()()()()はある様に見える。"大将"の手で目の前に置かれたそれを見て"先生"は目を点にして固まっている。

 

「...わーお」

「な、なんだこのデカさ...?!」

「み、見てるだけでお腹いっぱいになりそう...」

「ハッハッハ!大盛りを頼む客は久しぶりでなァ。()()()()()()()()()()()らこんなになっちまった!男のアンタなら大丈夫だろ?気に入ってくれると嬉しいぜ!残りももうすぐ出来上がるからちょっと待っててくんな!」

「...う、うへ~...まさか()()()()しちゃうとはおじさんビックリだよ~」

 

 厨房に戻っていく"大将"が残した豪快な笑い声と言葉も聞き流してしまう程に、"先生"が頼んだ『柴関ラーメン』は巨大だった。―――注文を決めた時にホシノ先輩は一瞬いたずらっぽい眼差しを浮かべていたけど、今は冷や汗を流し、貼り付けた様な笑みを浮かべながら"先生"の『柴関ラーメン』を見ている。

 

「..."先生"、大丈夫ですか?」

「"...ミヤコ、大人には...男には退けない戦いがある。――今がそうさ。いただきます!"」

 

 意を決した表情を浮かべた先生は割り箸を手に取って割り、挨拶して食べ始める。

 

「...『柴関ラーメン』は美味しいんだけど、こんな風に"大将"の気分次第で()()()()()()()()()んだ~。"先生"達は初見さんだし、初見さん相手だとほぼ確実に"大将"も張り切るだろうから驚かせようと思って伏せてたんだけど...うへ~...」

 

 ホシノ先輩は『柴関ラーメン』を食べ進めていく"先生"を見ながら申し訳無さそうな表情を浮かべて私達にそう説明する。

 

「...わ、私達のは大丈夫だよな?」

「どうだろうな...さっきホシノも言ってたが、初見さん相手だとほぼ確実に"大将"は張り切る。"先生"程にはならないだろうが――」

 

 

 

―――ガラッ...

 

「――失礼するぞ。...委員会の皆――と、初めて見る顔があるな」

「――"大将"、失礼するぞ~...おや、確かにアビドス(ここら)では見ない顔じゃな。ましてや人間(ひと)そのままの大人とはのぉ...」

 

―――お店の引き戸が開いて声が聞こえて振り向くと、黒いスーツの上に同色のコートを羽織った大柄な"機械人(オートマタ)"の大人と―――赤茶色のふわふわとしたセミロングの髪の上に狸の耳を伸ばし、()()()()()()()()()()()()()を浮かべ、白いワイシャツの上に黒いジャケットを羽織り、臙脂と黄土色の縞模様で彩ったアライグマの様な尻尾を伸ばしたタイトスカートとストッキング、ハイヒールを履き、緑色のコートを羽織った()()()()()が現れ、"先生"を見て赤い機械的な眼光、丸縁メガネを掛けた赤茶色の瞳に物珍しいものを見るような眼差しを浮かべる。

 

「いらっしゃいませ――って、『マミゾウ』さん、『トオル』さんじゃない!」

へいらっしゃい!――おぉ、"理事"さん達か!ちょいと久しぶりじゃないかい?」

「少し仕事が立て込んでおったんじゃが、ひと段落着いたのでな。久方振りに"大将"のラーメンが食べくなってこうして足を運んだ次第じゃ。――ホシノ、隣失礼するぞい」

「うへ、どうぞ~。久しぶりだねぇマミゾウさん」

「――隣、構わないか?」

「"あ、どうぞ...ってヤバい、箸を止めたら見ただけで..."」

 

 "大将"が嬉しそうに二人を出迎え、女性と男性はセリカさんからそれぞれ『マミゾウ』さん、『トオル』さんと呼ばれながら空いている席に座る。

 

「...ふむ...何処かで見たと思ったら、『文々。新聞』の記事にあった()から来たという"先生"か。『シャーレ』とかいう()()()()()()()()()()()()の顧問でもあるらしいの?」

「"うん、その通りだよ。――そう言う貴女達は?ホシノ達と知り合いみたいだけど...あ、もしかして――"」

「ふむ、ホシノ達からある程度は聞いておったか。――儂は『二ツ岩(ふたついわ)マミゾウ』。『カイザーローン』および『カイザーコンストラクション』代表取締役と『カイザーコーポレーション』"理事"をやっておる」

「――『御門(みかど)トオル』、『カイザーPMC』代表取締役、そして同じく『カイザーコーポレーション』"理事"でもある。マミゾウとは同じ学校を卒業した同級生だ」

 

 二人はそれぞれ自己紹介しながら名刺を取り出して"先生"に渡す。―――この二人が、()()()()()()()()()()()()()()()()の様だ。しかし、『カイザーコーポレーション』由来の()()()を知る身としては警戒してしまう。

 

「...して、兎耳を付けたお主らは『SRT』の"RABBIT小隊(白い兎)"じゃな?」

 

 そして、マミゾウさんは私の視線に気付いて顔を向けてそう尋ねて来る。

 

「...はい、その通りです。現在は『シャーレ』――"先生"の指揮下で行動していますが。貴女方の会社のことはよく知っていますよ。――何度か、()()()()()()()をしましたから」

「そうであろうのぉ。お主ら『SRT』が()()()()()()()()()おかげであ奴らも()()()()やらざるを得なくなっているようでな...あぁ、別に()()()()をするつもりは毛頭ないわい。"連邦の懐刀"たるお主らを敵に回すと()()()()()じゃからな。儂もトオルも、揃って()()()()()()()()()し、傘下の連中にもそれを徹底させとるから安心せい」

「...分かりました」

 

 マミゾウさんは勘弁してくれと言う様に手をひらひらと振り、警戒するなと言う。―――私達が入学する以前の記録では特に『カイザーローン』の()()()()()()()()()()()()()()()()()、『カイザーコンストラクション』の()()()()()()()()()()()の摘発が多かったけど、最近は『カイザーローン』、『カイザーコンストラクション』の()()()()は確認されていない。どうやらこの二人は法を犯す様な事業は展開していない様だ。

 

「"マミゾウさんにトオルさんか。よろしくね"」

「さん付けは止しとくれ。マミゾウで構わぬぞ」

「俺に対してもさん付けはいらん。『シャーレ』は今の所顧客でもないしな。――"大将"、『柴関ラーメン』二つだ」

「はいよ!」

 

 トオルさんの注文に"大将"は快活に応えて作業に戻る。

 

「っと...お待たせしました!醬油、味噌、塩それぞれ二丁、チャーシュー一丁!」

 

 入れ替わる様にセリカさんが丼を二つ乗せたお盆を三往復して運んで来て、私達の前に並べていく。

 

「――して、"先生"よ。お主は何故アビドス(ここ)に来た?"自治独立しておる学校の垣根を越え、問題解決に臨む"という謳い文句が確かであれば引く手数多であろうに」

「"確かに、初日から要請メールが次々届いてきたね。でも、殆どが態々シャーレ(こっち)で解決するものでもないか、学校で止められたからシャーレ(こっち)に回したであろうとんでもない案件ばかりでね。――その中で、『アビドス』からの要請メールが気になったんだ。他と違って、真面目で切実な物資の補給要請。初めての業務として相応しいと思って、ヘリの空輸でホシノ達が挙げたリストの物資を継続して運んでいる最中なんだ"」

 

 "先生"がマミゾウさんにそう説明すると、トオルさんが心配そうな表情(は変わらないけど眼に心配の色を宿している様に見える)を浮かべる。

 

「...ホシノ、物資が足りなかったのなら、カイザーPMC(俺達)に言っても良かったんだぞ?お前達が居なくなってしまえば――」

「――最近暴れた()()()()()対策で忙しかったでしょ~?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の解放が急務の今、私達が邪魔する訳には行かなかったからね~」

 

 トオルさんの言葉にホシノ先輩はそう返す。

 

「ふむ...確かに幹線道路の解放をせねば儂らも厳しい状況ではあるが、物資をお主らに分ける余裕はあったぞ。『シャーレ』という儂ら以外に頼れる伝手を見付けたのは良いが、卒業生――先輩として後輩を助けるのは当然のこと。遠慮せず頼っても良いのじゃぞ?」

「...相変わらず後輩想いな大先輩達だね~。分かった、『シャーレ』でも手が足りない時は頼ってみるよ」

 

 マミゾウさんの言葉にホシノ先輩は素直に頷く。"先生"以外でホシノ先輩達が()()()()()()()()であるのは確かな様だ。二人が委員会の皆さんを見る目は純粋に善意だけだ。

 

「"...ホシノ達によく目を掛けてるんだね"」

「当然であろう。――儂らは()()()()()()()()でもあるからな。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()今でも思い出せる。――ホシノ達には、あの時のような無力感と絶望を味わわせとうない」

 

 "先生"の言葉にマミゾウさんはそう返し、トオルさんと揃って真面目な、決意を宿した表情を浮かべる。部室での状況説明で見た、砂嵐に呑まれる高層ビル群の写真の様な光景をこの二人は直接見たらしい。―――なるほど、"対策委員会"の『アビドス』復興を目指す努力を支援する訳だ。

 

「――俺達は『カイザーコーポレーション』に就職し、いつか偉くなって『アビドス』で復興事業を展開することを夢見て努力してきた。...とは言え、周囲から見れば『アビドス』は最早滅亡寸前。理事会(当時の上の連中)は見向きもしなかったが...ホシノが入学した頃だった――俺達が『アビドス』での事業展開を命ぜられたのは」

「命令を快く請け、将来的には復興事業を展開することを目指し、儂らは拠点を進出させた。――数十年振りに見た『アビドス』は想像以上に滅亡に瀕しておったがな。気が遠くなりそうな程嵩んでいた借金を見直させ、報酬付きの仕事を回したりしてホシノ達"対策委員会"の信用を得て、今もこうして支援を続けておるのじゃ」

 

 マミゾウさんはそう言葉を締める。―――この二人も、"先生"と同じ様に本気で『アビドス』復興を願っている。だからこそ、()()()()()に騙され続けてきたホシノ先輩達の信用を得られたのだろう。

 

「――じゃが、ホシノが言っておったように()()()()()対策に儂らはリソースを割いておる。それ故ホシノ達に手を差し伸べられぬ時もある。――元より支援するつもりで要請を請けたのであろうが、敢えて言わせてくれ。――"先生"よ、『アビドス』の住人として頼む。ホシノ達を助けてやってくれぬか?」

「――滅亡寸前の苦境にある『アビドス』で、ホシノ達は滅亡を避ける為にできることをしている。その範囲を広げる為にも――どうか頼む」

 

 マミゾウさんとトオルさんは揃って"先生"に頭を下げる。

 

「"勿論そのつもりだよ。困っている生徒を助けるのが私の――教師の役目だから"」

「――感謝する」

「期待しておるぞ、"先生"よ」

 

「――お待たせしました!」

「――へいお待ちどォ!!『柴関ラーメン』二丁だ!」

 

―――"先生"が二人の頼みを引き受けたタイミングで"大将"とセリカさんが『柴関ラーメン』を運んで来る。"先生"が頼んだ大盛り程ではないけど、それでも普通とは思えないボリュームだ。

 

「――相変わらずじゃな"大将"。儂らは"先生"以上に齢を食っておるんじゃが...」

「すまねぇな!久しぶりってんで()()()()()()()()()()!ま、"先生"の大盛りよか少ないから大丈夫な筈だ」

「最悪持ち帰りだな。..."先生"、今度からは普通に頼むといい。"大将"の()()()()は凄まじいからな」

「"そうだね。今、身をもって実感してるよ。...夕飯入るかな..."」

 

 "先生"は後悔した表情を浮かべながら『柴関ラーメン』を再び食べ進める。

 

―――それから私達はマミゾウさんとトオルさんから『アビドス』が砂漠に覆われる前の話を聞いたり、ホシノ先輩達とお互いの学校生活の事を語らった。途中で"大将"の計らいで休憩時間として私達の輪に加わったセリカさんも、初対面の時より私達や"先生"と少し打ち解けた様に感じた。

 

 

―――to be continued―――

 




 
 という事で、"理事"と―――『カイザーローン』代表取締役兼もう一人の"理事"としてマミゾウさんが生えました。現在作者が考えている大人のキャスティング基準から少し外れていますが...妖怪としてはかなり格が高い人物でもあるので大人としてキャスティングしてみました。原作でも幻想入り前は人間相手に金貸しもしてたし。深秘録でスーツ姿も披露してたしね!
 また、カイザーPMC理事本人も綺麗になり、『御門(みかど)トオル*1』という名前と、アビドス卒業生というトンデモ設定も生えました。多分二次創作界隈でも初めてじゃないかな。ブルアカは女子生徒しかいないけど、キヴォトス一の規模を誇った学校なら男女共学だったとしてもおかしくないでしょ!

『カイザーコーポレーションの』組織形態は

『カイザーコーポレーション』"理事"会
┃ トップ:プレジデント
┣━『カイザーローン』
┃   トップ:二ツ岩マミゾウ
┣━『カイザーコンストラクション』
┃   トップ:二ツ岩マミゾウ
┣━『カイザーPMC』
┇   トップ:御門トオル

上記の様な解釈で構成しています。

さて次回、ヘルメット団前哨基地攻略...の予定。

~人物紹介~
名前:二ツ岩(ふたついわ) マミゾウ
所属:カイザーコーポレーション"理事"会
役職:カイザーローンおよびカイザーコンストラクション"代表取締役"
卒業校:アビドス高等学校

*1
カイザー=皇帝=みかど+声優の名前から読みを起用

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