Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~   作:八坂 義景

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vol.6アリウス編解禁、みにらいぶ出たので初投稿です。

 現状ベアおばの陰は無さそうで良かった。役目を終えた舞台装置が出張ることはないんやなって。崇高を目指した存在が知らなくていい存在に堕ちるとはベアおばへの最高の侮辱。

 そして新規ネームド2名はそれぞれ梯スバルと立木マイア。スバルは予想外の口調だし表情豊かだしでおったまげた。あのスチル見せておいて内心カッコつけすぎか?なんて自問しててすき...境遇や他者の意見に理解を示しつつも己の根底を曲げないのはアリウス居残りのリーダーとしては最適だなぁ。
マイアは希望が残ってるアオバみたいな感じで可愛い。

そしてそして自警団が出るとは!チョイ役でもなく正義信念について自分のスタンスを示す大事な場面貰っちゃって...!レイサが思いっ切り地雷原を走ったのは相変わらずというか流石というか...()

 ストーリーとしてはエデン条約編で不透明だったあれそれの解決が明示されててよかった。今回はアリウスの現状説明感が強いし、本格的な動きは次章以降か。アリウスもベアおばの陰は殆ど無いし、支援が続けば復興も...とか思ってたら変なの出やがった。サオリが何かされたのに何事も無かったみたいに振舞ってるし、ミメシスみたいな感じもあるけど何より...トリニティ、アリウスに対してラッパは元ネタ、モチーフ的に恐ろしい厄ネタぞ...()

 今回の内容的に、後半は十中八九一悶着ありそうで次が楽しみですね。今週末のライブで情報出るといいなぁ。

 そんなこんなで書いてたららいぶ当日ですよ奥さん。相変わらず情報量がミニじゃねぇな(褒め言葉)

 初手ピックアップはワイルドハントからミヨ!初登場から実装速くない君?!そして二人目フユって誰だよ!!また新規かよ最高かよ!!
 そして次回ピックアップでボクっこリツ!何だこのロリロリしたボクっ子??!!何だそのEXスキル!お前その見た目でゴリラかよ!!

 ピックアップで予想は付いたけどやっぱりワイルドハントで新規イベント!絶対アキラ出て来るよこのタイトル...と思ったらPVで出たよ!!しかもしれっとまた新キャラチラ見えしてるし!!制帽的に寮監隊っぽいがはたして...
 特殊交易部...やっぱり規制されてる物品を流す調達屋だったか。絵画の贋作すり替えってそりゃアキラも出張るか。絶対裏がある依頼じゃんコレ...
 そしてスケジュールでワイルドハント実装!相変わらず五稜郭みたいな学区構造だ!ミニストーリーでは寮監隊フォーカス!
 
 そしてそしてモモイの愛用品も遂に実装!そしてコユキの愛用品と思しきコインの紐から考察される犯罪臭...コユキならやりそうなのがまた()

 オラトリオ第2章やっぱり来た!スバルその目ぇやめろぉぉ!!どう見ても曇る展開じゃねぇかコレ!!案の定とんでもねーことになるじゃん!!第1章の展開的に拙作のエデン条約編プロット大丈夫かと思ったらあのスチルよ...

さて、まだまだ暑い日もあるのでとある生徒達の夏イベです。本当は8月中に出す予定でしたがミレニアム編が結構長引いたので...


File79.MS-Ab~アビドスリゾート探索委員会①~

~大型ボート『サドガシマ号』 操舵室~

side-モコウ

 

「――地図的にはもうすぐで目(・)的(・)地(・)の(・)島(・)だな」

「ボート(コイツ)を久しぶりに動かすが、元気で何よりじゃ。...む、二時の方向に機影らしき黒点。モコウ、確認できるかの?」

「ちょっと待ってくれ...」

 

―――南天に昇りつつある太陽の下、大海原を疾走するマミゾウ所有の大型ボート『サドガシマ号』の操舵室。ボートを操るマミゾウの言葉に頷いて窓を開けて上半身を乗り出し、双眼鏡で二時の方向の空を見回す。機影―――ヘリのシルエットを見付けて限界までズームすると白塗りの機体と側面の『シャーレ』ロゴマークが見える。

 

「――『シャーレ』のヘリだ。連中も無事に来れたみたいだな」

「そうか。無事に合流できるなら何よりじゃ。――分室とやらで体制も改善されておるようじゃが、それでも変わらず『シャーレ』は多忙。これが僅かでも息抜きになると良いが...」

 

 マミゾウは私の報告に頷く。

 

「――息抜きも結構だが、本(・)命(・)は(・)あ(・)く(・)ま(・)で(・)依(・)頼(・)の(・)遂(・)行(・)だ。それは忘れるなよ」

「分かっておるわい。...何じゃトオル、提案した時からずっとノリが悪いのぉ」

「...『シャーレ』の支援を取り付けていなければ、学校の留守を守っていたからな。...そっちの方が気楽だ」

 

 マミゾウの隣の席に座ってレーダーや計器を見ているトオルが釘を刺すと、マミゾウは茶化す様に笑って尋ね、トオルは計(・)器(・)類(・)か(・)ら(・)目(・)を(・)離(・)さ(・)ず(・)答える。

 

―――トオルも麦わら帽子に赤いアロハシャツ、デニムの短パンという、普段はまず着ないであろう夏を満喫する装いだが、異性(男)としてはマ(・)ミ(・)ゾ(・)ウ(・)含(・)め(・)た(・)私(・)達(・)皆(・)の(・)装(・)い(・)が気になってしまうんだろう。

 

「何を気にしておるんじゃ、らしくもない。このキヴォトスの男女比を考えればこうなるのは必然じゃろうて。学生の頃(昔)は儂ら女のツナギ姿でも制服姿でも――学(・)校(・)指(・)定(・)の(・)水(・)着(・)でも大して気にせんかったじゃろう」

「...制服、指定水着と今(・)の(・)お(・)前(・)達(・)の(・)装(・)い(・)とでは露(・)出(・)度(・)合(・)い(・)が(・)違(・)う(・)。――それが三十人以上だ...目のやり場に困る」

 

 トオルは尚も計器類から目を離さずマミゾウにそう答える。やはり、今の私達の装い―――各(・)々(・)の(・)着(・)飾(・)っ(・)た(・)水(・)着(・)姿(・)はトオル(異性)にとって困る様だ。

 

―――『うむ、皆居るようじゃな。夏も終わると言うに暑さも和らがず、お主らも苦労しておるじゃろう。そこで――依頼がてら、アビドスの皆をリ(・)ゾ(・)ー(・)ト(・)地(・)に連れて行きたい』

 

―――三日程前。トオル共々学校に訪ねて来たマミゾウが持ち込んできた、"リ(・)ゾ(・)ー(・)ト(・)予(・)定(・)地(・)だ(・)っ(・)た(・)と(・)い(・)う(・)無(・)人(・)島(・)の調査"依頼。

 詳しい事情は現地で説明すると言っていたが、夏を満喫出来そうな誘いにユメとノノミが速攻で食い付いた。ホシノは学校を空にする事に懸念を示したが、トオルが選出した『カイザーPMC』の顔馴染みの傭兵達を留守番に置くと提案し、顔馴染み且つトオルが選ぶならと"廃校対策委員会"委員長であるホシノが依頼を受領し、三日間を準備に―――主(・)に(・)今(・)の(・)私(・)達(・)の(・)装(・)い(・)を繕う時間に費やした。

 

―――『...なぁノノミ。私は別にスク水でもいいんだが』

―――『そんなの断固としてめっ、ですよ~♣モコウ先輩もちゃんと女の子なんですから、こういう時は着飾らないといけません☆私が先輩によく似合うスタイルを選びますから、どーんと、任せてください♪』

 

―――入学時に制服と共に支給されたはいいが、砂(・)漠(・)が(・)傍(・)に(・)あ(・)る(・)今(・)の(・)校(・)舎(・)じゃプール授業なんざ出来る筈も無く、ずっとクローゼットの肥やしになっていたスク水を当初は着るつもりだったが、同じくスク水以外の水着が無かったユメ共々ノノミに断固拒否されてアイツのなすがままにされて水着を見繕わされた。それが―――

 

「――いい歳の男がそんな思春期の如く...まぁいいわい。やはり若い者の方がより新しくて愛いのぉ。モコウ、よく似合っとるぞ」

「――そりゃどうも。コレが流行りなのかは分からんが、ユメも喜んでたし...流石ノノミだな」

 

―――長い白髪をポニーテールで結い上げ、白地に赤い炎状の模様をプリントしたビキニの上に普段の赤いジャージ...に似せた薄手のジャケットを羽織り、白いパンツに上に赤いホットパンツを重ね、茶色のサンダルを履いた私の水着スタイルを見てマミゾウは目を細め、私は気恥ずかしさを紛らわす様に頭を掻きながら礼を言う。

 

「――こちら『サドガシマ号』、トオルだ。......あぁ、久しぶりだな、"先生"。......やはり、こちらから見えた機影は『シャーレ』だったか。......あぁ、そうだ。進路上にある島が目的地だ。......了解した。――マミゾウ、モコウ。『シャーレ』のヘリもこちらを確認した。これから先行して上空から島を偵察する、とのことだ」

 

―――トオルがインカムに触れて『シャーレ』の連中と交わした通信内容を共有する。

 

「ふむ、そいつはありがたい。――あそこは実(・)質(・)持(・)ち(・)主(・)な(・)き(・)島(・)じゃ..."ヘルメット団"のような不良が巣食っておる可能性もある。空の目は心強いのぉ」

「――なんだそりゃ。曰く付きの島みたいだな...お、見えてきた。あの島か...」

「うむ。――正直、こんな遠方の僻地ではこちらに取り戻す価値もあまりないんじゃが...契(・)約(・)を(・)締(・)結(・)済(・)に(・)も(・)関(・)わ(・)ら(・)ず(・)土(・)地(・)代(・)が(・)支(・)払(・)わ(・)れ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)島じゃ。切り捨てても良いが、その前に調べておきたいんじゃ」

 

 マミゾウの言葉を聞いて胸中に不安を感じながら双眼鏡を覗き、船主方向の水平線に見えてきた島に目を向ける―――

 

 

~未完成のビーチ 空き家~

side-"先生"

 

「――"先生"。此度の儂、ホシノ連名での支援依頼の受け入れを感謝したい。『シャーレ』抜きでも何とかするつもりじゃったが、そこな"RABBIT小隊"のSRTの生徒(特殊部隊の兵士)としての知見があればより安心できるのでな」

「"先生"、今回はありがとね~」

「"困ったことがあれば応えるのが『シャーレ』の、私達の役目だからね。それに――分室もあるし、『シャーレ』部員も少し増えたから、留守番を任せられるようになったおかげでもあるよ"」

「『シャーレ分室』――"先生"の下に一極集中していた体制を分散させるとはな。一人で背負うよりは複数人で協力する方が余程いい。だが――『シャーレ』の権限は『SRT』以上に大きい。分室設置説明の配信は俺も見たが、分室を任せる者は慎重に見定めることだ」

「"勿論だよ"」

 

―――ビーチの近く、船一隻が停泊できる程度の最低限の完成度の埠頭に係留されたボートから『アビドス』の皆――一様に水着姿だ――が色々な荷物を降ろしていく様子を横目に、内装は殆ど未完成な海の家の中を仮設の本部としてミヤコ、アヤと共にマミゾウ、トオル、ホシノと会話を交わす。

 

 


要請書

要請件名:バカンス先調査支援

要請者:

 アビドス高等学校 三年生 小鳥遊ホシノ

 カイザーコンストラクション 代表取締役社長 二ツ岩マミゾウ

要請文

 おじさん達、マミゾウさんの誘いで学校の皆でバカンスに行く事になったんだ。でも単なるバカンスじゃなくて、マミゾウさん曰くバカンス先の島は厄介な事情を抱えているらしくて、おじさん達にその調査も依頼して来たんだ。

 そこで、『シャーレ』におじさん達の支援をお願いしたい。特に、"RABBIT小隊"の支援があれば心強いってマミゾウさんは言ってたから、依頼を受けてくれるなら一緒に連れて来て欲しいな。

 

追伸

 『シャーレ分室』のおかげでかなり楽になってるみたいだけど、それでも多忙でしょ?折角だし、"先生"達も一緒にバカンス満喫しない?

 


 

 

―――二日前、『シャーレ』に届いた『アビドス』からの要請書。真面目なミヤコやサキはバカンス(遊び)ついでの依頼という形に難色を示したものの、私は受けるべきだと勘を抱いて受けると即決した。

 "RABBIT小隊"は『シャーレ』配置から『アビドス』での依頼を受けて以来あちこちに随行させて来た。時間を見繕ってしっかり休ませてはいるものの、それでも取り切れていない疲労もある筈だ。それを癒してもらう為に、ホシノ、マミゾウが寄せた依頼は渡りに船だった。

 

―――『職務に真面目なお二方の意見は尤もですが...受けてもいいのでは?"広報員"としてはいいネタになりますし――"RABBIT小隊"はシャーレの主力メンバーとして出ずっぱりです。取り切れていない疲労を癒すにもちょうどいいと私は考えます』

―――『アヤに同意するわ。それから――"先生"、貴方も一緒に行くべきよ。分室のおかげで楽になったとは言え、相変わらず多忙でしょ?生徒への献身は尊敬すべきだけど、献身が過ぎて身(・)体(・)を(・)壊(・)し(・)た(・)ら(・)元も子もない。外(・)の人間故に私達よりずっと脆いし、ね。責任者不在が気になるなら、私が代行するから。数日位なら多少多忙になっても回す自信はあるわ』

 

 私以外ではアヤが"広報員"としてネタになると食い付いた事。その時ちょうど『ミレニアム分室』から『シャーレ』本体に判断を委ねたい依頼の協議を行っていて、リモートで同席していたユメミも賛意を示した上で私も一緒に行くべきと提案し、私が不在の間は『シャーレ』の顧問代行を買って出てくれた事。

―――これらから私、"RABBIT小隊"、アヤで『アビドス』からの依頼を請ける事とし、要請書に添付されていた情報を基にこちらでも事前に情報を少し集め、こうしてヘリで合流した。リゾートの中心地らしい、宿泊施設として建設されていたらしい建物の屋上にヘリポートがあったものの内部の調査が出来ていない為、私達のヘリはビーチの近くにあった着陸に向いた岩場に一先ず降ろしている。

 

「――依頼受領時に、事前情報としてこの島の位置は調べておきましたが...このような僻地にリゾートを建設しても、客が来ず費用回収ができないのでは?」

「うむ。仮に完成しておったとしても碌に収益は得られず早晩潰れておったじゃろうな」

「――マミゾウさん、そろそろ今回の依頼について説明して欲しいな~。バカンスも勿論楽しむけど、モコウ先輩から聞いた話だと何だか穏やかじゃない事情があるみたいだしさ~」

「そうじゃな。まずはお主らに説明しておこう」

 

 マミゾウはホシノの言葉に頷き、埃を掃ったテーブルに契約書らしき書類を出す。

 

「――数年前、儂が『カイザーコンストラクション』社長に就任して間もない頃。あるテレビ番組で行われた無人島調査企画を切っ掛けとして、キヴォトス中でリゾート開発が流行ったことがあった。リゾートに向く島々を個人や零細企業が挙って買い漁り、リゾート施設を建てんとした。我が『カイザーコンストラクション』としても、土地取引や建設請負で多忙ながらも大いに稼ぐチャンスでもあったのぉ。

――その流行の最中、この島の購入を求めて『カイザーコンストラクション』を訪ねて来た客が居た。土地取引程度なら儂が出張るものではないんじゃが――その客は島(・)を(・)分(・)割(・)ロ(・)ー(・)ン(・)で(・)買(・)い(・)た(・)い(・)と言ってきおってな。当時の担当が決めかねて、上に上に判断を仰ぎ...儂が出張ることになった」

「――何故マミゾウさん自らが?土地をローン契約で買うことは珍しいことではないでしょう?」

「アヤの言う通りじゃが――契約書の土地代総額と、この島の立地を見てくれ」

 

 マミゾウは契約書の下から地図を出し、今私達が居る島を指し示す。―――大陸は勿論、島すら近くに全く無く、大海原に一つポツンと浮かぶ島。私達で調べた情報通り、船で向かうにしてもかなり時間が掛かる立地だ。こんなに小さな島では空路もヘリしか使えない。開発する価値が無いせいか、契約書上の土地代もかなり安いものだ。この額を分割ローンで払おうとするとは、その客はかなり困窮していたのだろう。

 

「"――こういうのは素人だけど、この土地代なら...事業を起こせるだけの資本があれば分割しなくても一括で買えそうだね"」

「うむ。――その客は元々の事業を巧妙な詐欺で乗っ取られたそうでな。家族を養う為にも流行りに乗ってリゾート事業を起こしたいが、有望な所は軒並み他に買われておるし、客自身資本も心許ない。なりふり構っておれず、分割でもいいから早急に、流(・)行(・)り(・)が(・)廃(・)れ(・)る(・)前(・)に(・)島が欲しい――と、土下座してきた。

 その日は"検討させてくれ"と一度帰し、その客について素性を調べてみた所、ホテルや旅館を複数運営して安定した業績を出していた。潰れかけの零細旅館を立て直した実績もあったし――儂は信用してみることにした」

「――そうして契約を結んだものの、こうしてマミゾウさんが来ているということは...」

 

 マミゾウは土地購入契約の経緯を語り、その先の展開を察したミヤコの言葉に頷く。

 

「――契約を結んで以来、他の仕事も多忙になって支払い状況の確認も後回しになってしもうてな。取引額、規模は小さいし、最初は支払いが確認できたから信用しておったのもあったが――契約から数年。ふと確認してみたら、とうにローン支払いが滞納しておった。無論すぐに問い合わせようとしたが音信不通。ブラックマーケット(裏)の情報網も使って足取りを追って接触しようとしたが――完(・)全(・)に(・)蒸(・)発(・)しておった」

「"だから契約不履行として、差し押さえる為にここに来た...ということだね"」

 

 マミゾウは頷く。―――業績があっても、お金が無くてはどうにもならなかったのだろう。他の仕事に気を取られている間に蒸発し、差し押さえる為にこの島に来た。ただ、それだけでは態々『シャーレ』まで呼んだ理由としては弱い。

 

「単なる差し押さえなら儂と『カイザーコンストラクション』ですぐじゃ。だが――契約を結んで土地を渡してから数年。大海原の孤島とは言え不(・)良(・)が(・)巣(・)食(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)可能性がある。交通の便は最悪じゃが――裏を返せば人(・)目(・)に(・)付(・)き(・)に(・)く(・)い(・)ということ。

 故に、差し押さえと共にこの島の状況を調べておきたいのじゃ。それで犯罪捜査も行うSRTの生徒(特殊部隊の兵士)の知見を欲したんじゃよ」

「"なるほど...事情は理解したよ。依頼は既に受領しているし、喜んで手伝わせてもらうよ"」

「この島は立地的に拠点には向きませんが、マミゾウさんの懸念も理解できます。"RABBIT小隊"も、調査に全面的に協力します」

 

 ミヤコと揃って依頼に応えると宣言する。―――空からこの島をざっと見回して偵察したけど、このビーチと近くの施設エリア以外は手付かずに見える森、砂浜が島の半分を占めていて、空の目では私(・)達(・)以(・)外(・)の(・)人(・)の(・)姿(・)は確認出来なかった。調査は地上で行う必要があるだろう。

 

「うむ、協力に感謝するぞ。――尤も、こんな僻地では犯罪利用も厳しい。調査よりもバカンスを楽しむことになるじゃろうな」

「...楽観が過ぎるぞ。確かに孤島ではあるが、自給自足を達成できれば拠点を構えられる。安全なバカンスにする為にも、寝床や拠点の構築を終えたらまずは俺(・)達(・)の(・)足(・)で(・)の(・)島全体の調査だろう」

「分かっておるわい。バカンスを提案した者として皆を楽しませる責任があるし、ローン滞納に早期に気付けなかった儂にも責任の一端はある。調査は早く、じゃが的確に終わらせ、皆でバカンスと洒落込もうぞ」

 

 トオルがマミゾウの楽観的な見立てを窘めると、マミゾウは分かっていると頷いて宣言する―――

 

 


~リゾート施設『Hidden Paradise』 フロントホール~

side-セリカ

 

「――ネイト、セリカ!リゾート全体の地図があったわ!」

「今見に行く!――スタッフルームは空っぽだな。建設途中みたいだから当然だが」

「マミゾウさんが言っていた通り、本当に建設中に島を買った人が蒸(・)発(・)しちゃったのね...」

 

―――私とネイトを呼ぶ声が聞こえ、ホールへと戻る。フロント中央の大きな柱の根本、床に落ちていたらしい大きなボードを起こしている一年生(同級生)―――青い長髪の先端を金色の丸い髪留めで結び、黄と青のヘイローを頭上に浮かべ、黄色で縁取った青いビキニの上に探検家を彷彿とさせる茶色のクロップジャケットを羽織り、ビキニと同じカラーリングのビキニパンツ、茶色のサンダルを履いている―――"カタカタヘルメット団"時代はネイトの右腕を務めていて、今はネイトと同様『アビドス』所属の一年生として高校生活をやり直していて、最近ネイトの推挙で"廃校対策委員会"に迎え入れた『道神(みちがみ)ナレコ』の下に近付いてボードに描かれた地図を眺める。

 

―――『元"カタカタヘルメット団"、ネイトの右腕を務めていた"道神ナレコ"よ。ネイトの推挙で"廃校対策委員会"に加わらせてもらうわ』

 

―――元々『アビドス』出身で、私とアヤネが卒業した『アビドス公立第一中学校』とは違う、結構距離が離れた学区にあった『アビドス公立第四中学校』に通っていたけど、親の都合で『トリニティ』へ転校した。けど、『トリニティ』では陰湿なイジメに遭って半年で中退。不良として流れた果てに"カタカタヘルメット団"に入り、ネイトのグループに加わったという。

 編入当初は目立たなかったけど、"カタカタヘルメット団"が壊滅してもまだ少なくない不良達の散発的な襲撃からの防衛で才能を発揮し始め、ネイトの推挙で"廃校対策委員会"の"防衛担当"に就いている。

―――閑話休題。ナレコの後ろでリゾート全体の地図を眺める。今私達が居る『Hidden Paradise』を中心として、周囲に様々な施設が設置されている様だ。

 

「ここ『Hidden Paradise』を中心に、船とヘリを泊めたビーチと港があって、畑や牧場、釣り場も周辺にある。森も一部は狩猟向けに整備されている――筈だったみたいだな。この島で衣食住を自給自足するつもりだったのか...」

「建物とインフラは整備済みたいだけど、内装は未完成の箇所が目立つわね...ホールでこれだから、宿泊施設もそのまま使える可能性は低いわね」

「宿泊施設の方はモコウ先輩、ユメ先輩で調べている筈。使えなかったとしてもテントや寝袋は持ち込んでいるから問題ないと思うけど...」

 

―――『サドガシマ号』から荷物を降ろして一度ビーチの日陰に集積し、私達はリゾート内の調査を行っている。宿泊施設やインフラが利用出来ないか、この島に私(・)達(・)以(・)外(・)の(・)人(・)間(・)が居ないかを調べるのが目的だ。建物とインフラは完成しているから、お風呂や寝泊まりは大丈夫そうだ。今は地下にあるらしい電気設備の調査を"先生"、アヤネ、モエで行っているから、稼働させられれば―――

 

「――とりあえず、この地図は情報共有の為にも持っていきましょうか」

「そうするか。――セリカ、持てるか?」

「このくらいなら――」

 

 

 

―――カランッ...

 

「――ん?」

 

―――ネイトに答えてボードに近付いた瞬間、私のサンダルが何かを踏んで転がる音が聞こえる。足元を見降ろせば―――

 

コロコロ...

 

「...薬莢?」

 

―――[9mmパラベラム]のものと思しき薬莢が私の足元で転がる。

 

 

~『Hidden Paradise』地下階層 インフラ制御室~

side-"先生"

 

「――発電システムは使えそうだね。いい性能したソーラーパネルが屋上にあるから、今から動かせば夕方にはインフラを動かせるだけの電力は確保できそうかなー」

「"お風呂やクーラーが使えるのはありがたいね。――アヤネ、非常用発電機の状態は?"」

「――非常用発電機内には充分燃料がありましたが、数年も放置されていると腐敗や劣化が怖いので現状では使えないと思います。使おうとしたら、燃料を抜いて点検が必要かと」

 

―――地下階層にあるインフラ設備の調査を進める中、電気系統の状態を調べていたモエとアヤネの報告を受ける。電気水道が使えるのはありがたい事だ。

 

「それにしても...このリゾートを建てようとした人は変な建て方をしてるね。こんな僻地の島でこんな大(・)袈(・)裟(・)な(・)も(・)の(・)、必要だったのかな?」

 

―――発電設備の制御端末を調べ終えたモエは制御室の壁に据えられた大きなディスプレイに映る文字を―――

 

 


 

『Hidden Paradise』防衛システム

OFFLINE

 


 

―――リゾート施設にしては物々しいシステムの画面を見上げて眉を顰める。

 

『――"先生"!システム調査が完了しました!施設の各所にカモフラージュされてタレットやレーダーが配備されているみたいです!実際に稼働させないと分かりませんが...故障なく動く可能性は高いです!』

「"ありがとう、アロナ。...何故こんな防衛システムを備えていたのか。当人が既に居ないのでは知ることはできないね"」

 

―――この制御室に入ってすぐに防衛システムの存在に気付き、アロナに任せていた調査結果が報告される。

 

「うーん、ますます変だねー。当人じゃないから推測しかできないけど...土地代すらローンにする位だから、滞納で差し押さえが来た時に抵(・)抗(・)するつもりで備えたのかな?」

「でも、その理由で防衛システムを備えたとしたら...土地代の支払いも厳しいのに施設建設よりも防衛システムを優先した理由が分からないよ、モエちゃん。

 来るかも分からない脅威に備えるよりも――リゾートを完成させてお客さんを呼び込んで、その収益をローン支払いに充てる方が確実だと思う」

 

 アロナの報告を受けてモエとアヤネが防衛システムの存在意義について議論を交わす。―――アヤネの意見は尤もだ。ローン完済の為にも、リゾートを完全させて運営し、その収益をローンに充てる事が信用も得られるし確実だろう。ただ、マミゾウが語っていた、この島を買った客の状況を考えると―――

 

「"――防衛システムを最優先にする程に失(・)敗(・)が(・)怖(・)か(・)っ(・)た(・)のかもしれないね。島を購入する時点で切羽詰まっていたみたいだし、差(・)し(・)押(・)さ(・)え(・)を(・)跳(・)ね(・)除(・)け(・)て(・)でも、リゾートを完成させるつもりだったのかもしれない。そうなれば、何故建設途中で蒸(・)発(・)したのかが気になるけど..."」

「成程...スタッフルーム等はセリカちゃん達が受け持っています。もしかしたら、何かメモや記録が残って――」

 

 

 

 

『――全員、聞こえておるな?こちらマミゾウ。全員、ビーチの仮設本部に集まってくれ!皆(・)に(・)共(・)有(・)せ(・)ね(・)ば(・)な(・)ら(・)ぬ(・)状(・)況(・)が判明した!』

 

―――インカムにマミゾウの真(・)剣(・)な(・)声(・)色(・)の集合要請が飛び込む。

 

 


~ビーチ 仮設本部~

sideーミヤコ

 

「――皆、集まったな?...単刀直入に伝える。――この島には、儂(・)ら(・)が(・)来(・)る(・)以(・)前(・)よ(・)り(・)何(・)者(・)か(・)が(・)来(・)て(・)い(・)た(・)可能性がある」

 

―――完成していれば海の家の食事エリアになっていたであろう広い部屋。マミゾウさんが挙げた懸念を受けて場が緊張に包まれる。

 

「――皆には数人でグループを構成し、各所の調査を進めて貰ったが...幾つかの施設内、近くの森の中でこれらの人(・)の(・)痕(・)跡(・)が見付かった」

 

 マミゾウさんは、私達の中心に並べられた物品―――

 

 

―――殆(・)ど(・)劣(・)化(・)し(・)て(・)い(・)な(・)い(・)、様々な大きさの空薬莢。明(・)ら(・)か(・)に(・)刃(・)物(・)で(・)削(・)ら(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)、串や杭としていたらしい雑多な木の枝。出(・)来(・)る(・)限(・)り(・)小(・)さ(・)く(・)潰(・)さ(・)れ(・)た(・)飲み物や缶詰の空き缶。

 

―――明(・)ら(・)か(・)に(・)人(・)の(・)手(・)に(・)よ(・)る(・)痕(・)跡(・)を眺めて眉を顰める。

 

「――これらは殆どが砂(・)や(・)土(・)の(・)中(・)、施設内であれば人(・)目(・)に(・)付(・)か(・)な(・)い(・)所(・)に隠(・)さ(・)れ(・)て(・)お(・)っ(・)た(・)。トオルやミヤコの見立てでは、劣化具合からして――一(・)、二(・)ヶ(・)月(・)程(・)前(・)のものらしい」

「"――リゾートの建設に従事していた人達の痕跡の可能性は?"」

「...ほぼ有り得ないな。施設が未完成にも関わらず重機も建材も見当たらない。履帯やタイヤの轍も古く殆ど埋まっていたし、建設業者が撤収して久しいだろう。そして、これらの痕跡は――サ(・)バ(・)イ(・)バ(・)ル(・)生(・)活(・)の(・)産(・)物(・)だ。それも隠すということは――島(・)に(・)居(・)る(・)事(・)が(・)違(・)法(・)行(・)為(・)だと自覚していることの証左だろう」

 

 "先生"の問いにトオルさんが答える。―――彼の推測は私と同じだ。この島に着陸する前に空から見回した島全体には、マミゾウさんの『サドガシマ号』以外の船舶は見当たらなかった。ただ―――丁度ビーチの反対側の海岸には洞(・)窟(・)が(・)あ(・)り(・)そ(・)う(・)な(・)岩場があった。もしかしたら―――

 

「――調査後インフラを整え、荷物を整理してからバカンスと洒落込みたかったが...儂(・)ら(・)以(・)外(・)の(・)何(・)者(・)か(・)が(・)居(・)る(・)可能性がある以上、より詳細に調査せねばならぬ。インフラ調査、稼働班と調査班に全体を分け――調査範囲を島全体に拡張する。...そう広い島でもない。今日中には全体の調査は終えられるじゃろう。じゃが、より最新の痕跡の発見、及び儂(・)ら(・)以(・)外(・)の(・)人(・)間(・)、或(・)い(・)は(・)集(・)団(・)と(・)の(・)接(・)触(・)――最悪交(・)戦(・)に陥りそうな場合は即座の通報を頼む」

 

 マミゾウさんは行動方針を宣言し、皆異論を挟まず頷いて各々立ち上がる。―――この島に今(・)は(・)居ない可能性もあるけど、私(・)達(・)以(・)外(・)の(・)人(・)間(・)が(・)居(・)る(・)、或(・)い(・)は(・)居(・)た(・)可能性の真偽を確定させなければならない。

 

―――バカンスを楽しむ為にも、私(・)達(・)を(・)襲(・)い(・)か(・)ね(・)な(・)い(・)脅(・)威(・)は排除しなければ。

 

 


~ビーチ反対側の洞窟~

side-??

 

「――隊長、今帰ったぜー」

「――おかえり。...あのヘリのローター音の正体は分かった?」

 

―――洞窟の中、岩の桟橋に泊めているうちらのホバークラフトの傍の広い空間で仲間と駄弁っていると、洞窟の最奥、島内部に出られる出入口から偵察に出ていた娘が戻って来たのを迎え入れる。

 

―――"ヘルメット団"はキヴォトス全体で厄介者扱いされている不良集団だ。それはうちら"ジャブジャブヘルメット団"も例外ではなく、安全に暮らせる場所は少なく大半は他所の集団が占拠してしまっている。

―――そんなうちらが孤島とは言え建物とインフラがあるこの島を見付けられたのは、皆でコツコツ貯めたお金で買ったホバークラフトの試運転中の偶然だった。リゾートとして建てられていたみたいだけど内装は殆ど未完成で、こんな大海原の孤島じゃ経営にまで漕ぎ着けられなかったんだろう。でも―――屋根だけじゃなく、電気や水道まで使えそうな状態なのはヘルメット団(不良集団)としては本当にありがたい環境だ。"ジャブジャブヘルメット団"全体を纏めるリーダーではなく、この約三十人の集団のリーダーでしかないけど―――それでもリーダーとして皆を食わせ、養う責務がある。

 

 だから、この島を拠点とするべくこの洞窟を足掛かりとしてホバークラフトで最寄り――それでも片道で半日以上は掛かる遠さだ――の陸と往復して物資を少しずつ移動させ、島の調査も行ってきた。

―――万が一他(・)の(・)人(・)間(・)が――最悪のこ(・)の(・)島(・)の(・)持(・)ち(・)主(・)がやって来る可能性を考慮して、いつでも痕を残さず撤収出来る様に痕跡を出来る限り隠しながら。

 

 コツコツ往復して物資も溜まってきたし、そろそろリゾートの方に本格的な拠点を構築しようかと考えていた今日―――ヘ(・)リ(・)の(・)ロ(・)ー(・)タ(・)ー(・)音(・)が聞こえて来た。

 

「――ウチらのホバークラフトよりもデカいボートが泊まってて、パッと見こっちと同数の生徒っぽい連中がビーチと施設を出入りしていた。それから――見たことがない白い塗装のヘリだった。側面にロゴマークがあったが、どこのヤツか分かんなくてな...写真を撮ってきた」

 

 スマホを取り出し、その写真を映し出した画面をうちらに見せる。十字線が走る、方位磁針みたいな円形図の上にヘイローが浮かんだデザインのロゴマーク。これは確か―――

 

―――『"――君、大丈夫?こんな裏路地に座り込んで...よければ、何があったか聞かせてくれるかい?"』

 

―――いつだったかの『D.U.外郭地区』。実入りが良さそうな闇(・)バ(・)イ(・)ト(・)を見付けていざ現地に行ったら騙されて持っていた金――バイトを終えたら『ブラックマーケット』の銀行に作った口座に入れる予定だった皆の稼ぎだ――を全て奪われ、皆に合わせる顔が無いと裏路地で座り込んでいたら声をかけて来た、優しい顔をした大人の男の姿を思い返す。来ていた白いジャケットの左腕の腕章にあったロゴマークが同じだった。

 

「このマークは確か、『シャーレ』のヤツだった筈。...でもなんでこんな僻地の孤島に――」

 

 

 

 

 

 

「――今、『シャーレ』と仰いました?」

 

―――突然だった。うちらの輪に加わらず、一人静かに[九九式短小銃(ライフル)]の整備をしていた、白い狐の面を被り、白に淡い水色や紫を飾ったビキニの上に長くゆったりとした着物みたいなタオルを羽織った、先端が赤い狐耳と尻尾を持った不良―――万が一の襲(・)撃(・)に備えて用心棒として大枚叩いて雇った『狐坂ワカモ』が狐耳をピクリと揺らしてこちらを見る。狐の面で顔は見えないけど、その声色はまるで―――

 

 

―――to be continued―――

 

 




ということで、もう少し続くんじゃよ。皆水着でキャッキャウフフはもうちょい先です。

『東方錦上京』より三面ボス『道神馴子』の登場です。まさかアビドス編終わった後にエジプト系(設定的には見た目だけ)のキャラが出るとは...スフィンクスと道祖神を組み合わせるなんて流石神主。体験版最後のボスとして門番系の傾向が強い三面ボスとして分かりやすいキャラですね。
ネイトと共にアビドスに編入された元カタカタヘルメット団組の中、無名から生えてきた感じで登場となりました。

感想、評価、お気に入り、栞、ここすきは大歓迎です。作者が喜びでわっぴ~します。

名前:道神(みちがみ) ナレコ
所属校:アビドス高等学校
学年:一年生(年齢的には二年生)
役職:"廃校対策委員会"防衛担当
装備:SG(IWI Tavor TS12(ゲートキーパー))
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