Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~ 作:八坂 義景
さて、ヘルメット団の前哨基地攻略です。
~アビドス自治区 "RABBIT小隊"借家~
side-ミヤコ
「...ん」
目を覚まし、ベッドから起き上がる。そのままベッドから降りて窓に向かいカーテンを開けると、窓にこびり付いた砂越しに朝日が私を照らして意識を覚醒させる。
「...着替えましょうか」
窓から離れ、クローゼットを開けて着慣れた制服を―――
―――『折角アビドスに滞在するのなら、
「――こちらの方でしたね」
―――脳裏にノノミ先輩の言葉を思い出し、その隣に掛けてあるまだ新品でシワも汚れも無い『
―――三日前、『アビドス』での初日。『柴関ラーメン』での歓迎会を兼ねた昼食を終えた昼下がり。『アビドス』での活動が長期に渡ると予測し、"先生"が私達の『アビドス』への滞在をホシノ先輩に提案し、あっさり受け入れられたと思いきや―――唐突に挙げられたノノミ先輩の"
―――『
ホシノ先輩の一声で午後は商店街にある服屋に連れて行かれ、採寸された翌日には私達にあてがわれたこの借家に制服が届けられていた。
「...他校の制服を着る、というのは不思議な感覚ですね。半日で用意されたのも驚きましたが...それなりに値段がする制服を四人分あっさりまとめて買ったノノミ先輩の財布事情が気になりますね。
委員会の皆さんは借金返済用の資金と委員会の活動費以外に生活と趣味を両立できる位に稼いでいるようですが...それでもノノミ先輩の金払いは委員会の皆さんの中で群を抜いている気がしますね」
そう呟きながらクローゼット備え付けの姿見で服装の乱れを確認し、仕上げにサイドテールを結い上げて部屋を出てリビングダイニングに向かう―――
~"RABBIT小隊"借家 リビングダイニング~
「――おはようございます」
「おはようミヤコ。もう朝飯できてるぞ」
「おはよーミヤコ」
「...おはよう、ミヤコ」
―――既に三人は起きていた様で、テーブルに並んだサキさんお手製の朝食を囲んでいる所で挨拶を交わしてから空いている椅子に座る。
見慣れた兎耳を飾る白いヘルメットを被り、ブレザーは身に着けず、明るい空色のネクタイを締めたワイシャツにマグポーチ付きのベルトを締め、脛当てとブーツを履いたサキさん。
ブレザーのボタンは留めずに羽織りハンドガンのホルスターを付けたベルトを締め、ストッキングとブーツを履いたモエさん。
私と同じ様にブレザーのボタンを留めて身に付け、弾薬ポーチ付きベルトを締め、白いタイツに脛当を履き、見慣れた白いスニーカーを履いたミユさん。
―――ある程度は
隣の借家で寝泊まりしている"先生"にも『アビドス』の明るい空色のネクタイと"廃校対策委員会顧問"の腕章が渡されていたけど、"先生"も私達みたいな気分を味わっているのだろうか。
―――閑話休題。
「朝食を食べて片付けたら、今日の予定を確認してから登校しましょう。...ミユさんは昨夜遅くまで作業していたようですが、大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫...なんとか情報は纏め終わった」
ミユさんは少し眠そうではあるものの、大丈夫だと答える。
―――委員会の皆さんが予定している"カタカタヘルメット団"への
「これで
「そうだねー。この三日間空輸を続けてきて今日が最終便だけど、結局
サキさんの言葉にモエさんが頷く。『アビドス』で活動している"カタカタヘルメット団"は末端組織の可能性もあるけど、
「ミユさんが集めた情報があれば効果的な作戦も立案しやすいでしょう。...つくづくミユさんが私達の仲間で良かったと実感できますね。――では、いただきましょうか」
そう言葉を締め、私達は朝食をとり始める―――
~アビドス高等学校 "対策委員会"部室~
side-"先生"
「――皆集まったかな?それじゃ、"対策委員会"会議を始めるよ~。アヤネちゃん、今日の議題は~?」
「本日の議題は、"『シャーレ』に要請した物資の輸送完了の確認"、"ヘルメット団
―――物資輸送を行っていたヘリの最終便が帰るのを見送った後。部室に皆が集まりホシノの音頭で委員会の会議が始まり、アヤネが今回の議題を挙げる。
「まず最初に"
「"今日の輸送分で君達が挙げたリストの物資は全部輸送し終わった。――ホシノ、この報告書にサインをお願いするよ"」
「りょうか~い。――"先生"、本当にありがとね~。元々受け入れられないだろうと思って
ホシノは私が差し出した『シャーレ』の報告書が画面に表示された"シッテムの箱"とサイン用のタッチペンを受け取り、依頼人の欄にサインを書きながら眠たげな目に喜色を浮かべてお礼を言う。
「ん、新しい"ロードバイク"で早くツーリングしたい」
「まさか絶版だと思っていた"たのしいバナナとりのメモ帳"が手に入るなんて思わなかったよ~」
「最新の"レーダーデバイス"が手に入るなんて思ってもみませんでした。ですが、これで"ヘルメット団"の襲撃をより早期に察知できます」
シロコ、ユメ、アヤネがそれぞれリストに挙げたものが貰えた事を喜ぶ。アヤネが挙げたものはこの校舎を守る為に必要だから解るけど―――ホシノ、シロコのものは完全に個人の趣味のものだ。まぁ喜んでくれてるし、これで皆の信用が得られるならいい事だ。
「...はい、書いたよ~」
「"ありがとう、確認するね。...よし、これを連邦生徒会に送れば晴れて『シャーレ』最初の要請は遂行されたことになる。アロナ、送信お願い"」
『分かりました!』
ホシノからタブレットとペンを返してもらい、自らの目で内容とサインを確認し、アロナにそう指示を出してから画面の電源を落とす。
「"――要請は遂行できたけど、また物資が足りなくなってきたら私達『シャーレ』に補給を頼んでもいいからね。マミゾウ、トオルは忙しいみたいだし、二人からも頼まれてるしね"」
「うへ、必要になったら頼らせてもらうよ~」
私の言葉にホシノは素直に頷く。
特に大人を信用していなかったセリカも、まだ言葉の端々に少しトゲはあるものの眼差しに宿る疑心は無くなっている。
「――では、次の議題に移ります。『シャーレ』が私達の要請に応えてくれる前から、この校舎は頻繫な襲撃を受けていました。その頻度の高さから校舎の近くに拠点がある可能性が高いと推測していましたが、物資に余裕がなく周辺の偵察も厳しい状況でした。
ですが、"先生"と共に"RABBIT小隊"が来たことにより戦力の大幅な増強と、周辺の偵察が可能になりました。特に、モコウ先輩が捕虜から得られた情報とミユさんのおかげで、"カタカタヘルメット団"の
「は、はい...!」
アヤネが次の議題へと進行させ、指名されたミユが席を立ってホワイトボードの前に立つ。
「...ら、"RABBIT3"『霞沢ミユ』、報告します...!――まず、モコウ先輩が三日前の
――こちらの放棄された物流倉庫を
「情報を聞いた時はまさかと思ったが...この校舎の屋上から屋根がチラリと見える距離に拠点を構えていやがったとはな」
ホワイトボードに屋根に砂を幾らか積もらせた古びた大きな倉庫の外観を捉えた数枚の写真、開いた出入口を行き来する"ヘルメット団"団員達を捉えた写真、倉庫を上面から見た簡略図に矢印を加えた手書きの図、そしてモコウが捕虜にした幹部から得た情報で描いたらしい内部の簡略な図を貼ってから始めたミユの報告を聞いて、モコウは悔しそうな表情を浮かべる。
―――アヤネが説明した通り、
「――倉庫の窓は多くが板で塞がれていたこと、内部潜入による被発見のリスクを鑑みて内部の確認と裏付けはできていませんが、タイヤ痕や装軌車輌の移動痕等は倉庫周辺で殆ど確認されなかったため車両の類が配備されている可能性は低いかと思われます」
「うへ、車両を相手しなくてもいいかもしれないのはありがたいけど――可能性がゼロってワケでもないし、機関銃陣地も幾つか備えてるみたいだしね~」
ミユの分析に対してホシノは安心出来る要素では無いと反論する。内部の図では、倉庫の入り口を守る様に簡易的な陣地と遮蔽や障害が殆ど無い空間―――所謂
「――最後に、倉庫近辺の居住可能な空き家も幾つか調査した結果、"カタカタヘルメット団"が住処として勝手に使っている様子はありませんでした。団員達は、
報告を終えたミユは緊張を吐き出す様に息を吐き、それと共に小さく呟きながら席へ戻る。
「ミユさん、ありがとうございました。――では、このまま"カタカタヘルメット団"
「ん、ミユに質問。――矢印的に、歩哨はツーマンセルじゃなくて一人だけ?」
「は、はい。偵察した限りでは歩哨は単独でした。...また素人目線ではありますが、ルートの取り方もお互いの視界を確保できない死角が多いようにも見えました」
シロコの質問にミユはそう答える。特殊部隊を養成する『SRT』に所属していて素人は謙遜し過ぎだけど、分析は正確だと思う。軍事には疎い私でも、倉庫の周りを走る矢印を見て相互に姿を捉える事が出来ない死角が多い様に見て取れる。
「うへ、キヴォトス中に居る不良達が高度な軍事訓練を受けてたらそれこそ不気味だね。
ホシノの言葉を受けて皆考え込み始める。
―――ミヤコ達"RABBIT小隊"も、ホシノ達委員会の皆も高い戦闘能力を有している。
写真を見れば、倉庫の屋根には何も備えは無く天窓が幾つか割れている。幸いな事にこの校舎にはヘリが一機配備されていて、アヤネが操作技能を持っている。燃料枯渇でずっと動かせていなかったけど、
「――はいはーい!いい作戦を思い付いたよ!」
「モエさん、どうぞ」
「うへ、何やら自信満々だね~?」
―――突然モエが元気一杯の挙手と大きな声で作戦を思い付いたと宣言し、私を含め皆が注目する。
「――まず、内部に関する情報の裏付けはないでしょ?モコウ先輩の情報にはない備えがある可能性があるよね?つまり、倉庫に突入して室内戦を行うのはちょっとリスクが大きい。そして、"ヘルメット団"は
~"カタカタヘルメット団"前哨基地 付近のビル屋上~
side-モコウ
『"ホシノ、そこの壁が最後の設置地点だ"』
『りょうか~い。...うへへ、設置よ~し。じゃ、おじさんは
『ホシノ先輩の周囲に脅威無し。そのまま離脱してください』
『"先生"、こっちも設置完了よ!』
『"よし、セリカは――歩哨が来てるから隠れて!"』
『こちらで動きを監視します!...ほっ...離れましたね。セリカちゃん、今の内に離脱しましょう☆』
『了解!』
『こちら"RABBIT2"、設置完了。
『了解、気を付けてねー。
『...うっかり
インカムに次々通信が入って来る。
上空を見上げれば、私達のヘリが倉庫を見下ろす様に周回している。機内ではアヤネがパイロットとして、"先生"とモエがオペレーターとして乗り込んでホシノ達準備班と通信を交わしている。
「"ヘルメット団"、全然出て来ないね~。本当に対空手段も無いのかな?」
双眼鏡から目を離したユメが疑問を口にする。辺りにはヘリの飛行音が響いているから気付けない訳が無い。
「歩哨のヤツらが開き直ったみたいに普通に振舞ってる辺り、諦めてるんだろうな。
「――テメェら、こんな所に連れて来て何のつもりだ」
「お前に
ユメにそう返し――私の隣に立たせている、捕虜にした"カタカタヘルメット団"幹部の質問にニヤリと笑って返す。
―――『お主ら正気か?それともバカか?仔細を聞くに確かに効果的ではあるじゃろうが...まぁ、校舎周りの土地はお主らの管理地域じゃ。儂らがどうこう言う権利は無い。せいぜい"ヘルメット団"以外の損害は出さぬようにな。トオルには儂から伝えておく』
―――『嬢ちゃん達、随分思い切ったことをやるじゃねぇか。"ヘルメット団"の連中は金も払わねぇで俺のラーメンを食おうとした前科があるからな。思いっ切り灸を据えてやってくんな!』
―――作戦を決定した次の日、
『――ん、設置完了。離脱する』
『周囲に敵影無し...で、ですが気を付けてください...』
『"――全ての設置個所への設置を確認。皆、気を付けて離脱してね。私達はこのまま空から監視を続けるよ。全員の集合を確認したら――
『くひひ..."先生"のおかげで
インカムにシロコとミユの報告が入り、"先生"が次の段階へ進めると宣言し、モエが関心した様に褒める。
―――"先生"が持っているタブレット"シッテムの箱"の『アロナ』と名乗るOSはかなり高性能だ。敵の位置や動きを特定し、"先生"の指揮下にある生徒の弾薬や状態を詳細に確認出来る事に加え、今しがた終わった準備に際してはより効果的な設置位置を示せる程に高度な機能を持っている。更に、戦闘時は特殊なシールドの様なものを発動して
タブレットの見た目だが妙に軽く、充電要らずで、しかも"先生"以外では起動すら出来ない未知のセキュリティを有している、所謂
―――閑話休題。
「――うへ、皆着いたよ~」
「ホシノちゃん、皆お疲れ様~」
―――ホシノの声が聞こえて振り向けば、倉庫で
「全チーム、余すこと無く設置した。――"先生"の指揮様々だな。私達の死角に居る敵の位置も動きも分かるのはとんでもないアドバンテージだ。おかげで楽に損害なく準備できた」
「ん、流石"先生"とアロナだね。――それより、気付かれて解除される前に早くやるべき」
サキの言葉にシロコが頷くが、早く
「おぅ、そうだな。――さて、散々私達を悩ませてくれたお前らの
「...何度も言ったし、実際に見ただろ」
「念押しの確認だ。――この辺りは私達『アビドス』が直接管理してる土地だ。お前らは許可も得ず勝手に倉庫を
「......へっ、元々十人も居なかったテメェらに許可を取る意味なんかねぇよ。今は五人位増えたみてぇだが、所詮付け焼き刃だ」
私の言葉に対し幹部のヤツはバイザーの下の目に
「うへ~、こりゃ反省の色なしだね。――じゃ、手始めに
『キタコレ!それじゃ、目おっぴろげてよーく見ててよ!』
ホシノがインカムでモエに合図を送ると、喜色満面の声が聞こえ―――
「――は?」
「ん、いい爆発」
「倉庫から"ヘルメット団"の奴らがどんどん出てくるわ!」
「爆発に驚いて慌ててるみたいですね~♣」
―――倉庫の一角から爆炎が立ち昇り、一瞬遅れて爆発音が響き渡る。幹部のヤツは呆然として固まり、双眼鏡で倉庫を監視しているセリカとノノミが"ヘルメット団"のヤツらの反応を伝える。キヴォトスにおいて銃弾は当然、爆発で吹っ飛ぶ事もよくある事だが、好き好んで吹き飛ばされる物好きは早々居ない。
「...あれで全員かな?本当に三十人位居たんだね~。散々私達を悩ませてきた娘達だけど、人的損害は無ければそれはそれでいいことだからね。――じゃ、モエちゃん
『キタコレキタコレ!』
「っ?!ま、待――」
ドォォォォン!!
―――倉庫の各所に仕掛けられた"C4"が次々起爆していく。
―――爆発が治まって十数秒後、倉庫から出て来た"ヘルメット団"の奴らが呆然としてその様子を目の当たりにする中。倉庫は轟音を立て、砂煙に包まれながら崩落する。砂煙が治まると―――そこには
『"――倉庫の崩落を確認。周囲の被害を確認して"』
『くっひひひ!!やっぱり火力があるっていいねー!』
「うへ~、こりゃ派手に崩れたね~」
「ん、反撃の狼煙」
「...周りの倉庫、建物は特に被害が無いわね。無事だった窓が割れた位かしら?」
「"ヘルメット団"の皆さんも、砂だらけな点以外は特に怪我はなさそうですね☆」
"先生"の指示を受けて各人双眼鏡で崩落した倉庫の周りを確認していく。
「――さて、これで解っただろ?私達は『アビドス』を捨てたりしない。殆ど砂漠で、無事なこの辺りも砂漠に侵食されつつあるが――それでも、
「......」
"ヘルメット団"幹部にそう忠告するが、呆然と崩落した倉庫を見つめていて何も答えない。――バイザーの下の目には
「...何だか変だね?たかが
「そうだな...兎に角、確認が終わったら倉庫の方に行くぞ。
~崩落した倉庫前~
side-"先生"
「――お、来たか。
「お疲れ様です、モコウ先輩」
「"お疲れ様、モコウ。――作戦は成功だね。周りの倉庫は積もった砂の重さに耐えきれずに屋根が崩落したものばかりだし、少なくともこの辺りに再度拠点を構えることはできない筈だ"」
「くひひ...あんな派手な爆発と崩落は後にも先にも見れないね!しっかり動画で保存したから、何度でもあの瞬間を見れるよ!」
ヘリを崩落した倉庫の傍の開けた所に降ろし、アヤネとモエを連れてモコウ達の下に着いて彼女の出迎えを受ける。
「"...後は"ヘルメット団"の娘達に改めて忠告して帰せば仕上げだけど――"」
モコウ達が銃を片手に囲む中では、"カタカタヘルメット団"の幹部と砂まみれの団員達が座って―――いや、
「――"先生"も気付いたか。見ての通り、
「"――確かにそうだね。まるで
『念の為防弾フィールドを展開しておきますね!』
「ありがとう、アロナ。さて...」
アロナの計らいに頷き、モコウ達の包囲の中に入って幹部の娘の前にしゃがむ。私に気付いて少し頭が動くけど、すぐに元の様に俯く。
「"...この辺りは
「...んなことは分かってる。でも、アタシらは――
「"...どういうことかな?"」
幹部の娘の言葉にそう聞き返す。
―――キヴォトスにおいて、各学校は自治独立し"生徒会"、それに準ずる組織が行政権を有している、正に
―――彼女の言葉が事実なら、"
「――アタシらは"カタカタヘルメット団"の中でも末端の末端。それも、"学校から独立して自由にやるんだ"と息巻く
"カタカタヘルメット団"が
銃と僅かな手榴弾、整備しても結構な確率でジャムっちまう機関銃以外に装備が無いアタシらはこうやってテメェらの校舎に近い所で、雨風を凌げる倉庫を見付けて拠点にした。――散々テメェらを落ち目だ滅ぶ寸前だって煽って襲ったけどよ、実際はアタシらもテメェらと同じくらいカツカツだったんだ。流通が少ねぇ弾薬を実入りの悪い闇バイトのなけなしの稼ぎで買ったり、ゴミ捨て場から粗悪品を集めたりしてやっとそこそこの量を溜めて――全部テメェらに跳ね除けられた。ヘリがテメェらに物資を運んで来た時に成功していたらもしかしたらと思ってたんだけどな...そして今、アタシらは雨風を凌げる家まで喪っちまった。
―――学籍なんて喪って久しいし、命令も果たせなかったから"ヘルメット団"からもハブだ。......アタシら、もうどうすりゃいいんだろうな」
幹部の娘はそう言ってより俯いてため息を吐く。―――私を含め、誰もが沈黙していた。こういう時に一番キツい言葉を吐きそうなセリカも困惑した表情で彼女達を見ている。
「...捕虜にしていた間、そんな話はしなかったな?――私は持っている情報は全部吐けって言った筈だが」
「言ってもテメェらは信用しなかったろ?それに、これはアタシらの問題なんだ。学校を去ったことも、去って"カタカタヘルメット団"に流れ着いたことも。――まぁ、今は何処にも付けないハグレ不良だけどな。...こうなっちまうなら、全部間違った選択だったんだなぁ。――アタシらはただ、普通に学校生活をしたかっただけなのに、こうも上手く行かないものなんだな」
幹部の娘はそう言って自嘲する様に笑う。
―――『"先生"、私の選択は間違ってたの?何で皆、私に普通の学校生活を送らせてくれないの?』
―――脳裏に
その娘は学校を中退し、家族と共に何処かに引っ越してしまった。
私はイジメを行った生徒やその親、上に掛け合って謝罪を促したりイジメ防止を測ったけど―――イジメをした側はまるで反省せず、寧ろイジめられていた娘に責任を押し付け、更に上はイジメの隠蔽を図り、私は内々に責任を取らされてその学校を去らざるを得なかった。―――ただの一教師の力では何も出来なかった。
―――あんな表情は、
―――でも、今の私なら。
―――"連邦捜査部『シャーレ』"顧問たる私ならこの娘達を―――!
「"――ホシノ、
「学校のことは"生徒会"、或いはそれに準ずる組織が決定権を持つからね~。学籍を与えて生徒にすることは可能だよ。不良相手ならその娘の意志を確認すればいいだけだしね~。
―――ホシノは珍しく眠気を感じさせない真剣な眼差しを浮かべてそう聞いてくる。どうやら、ホシノも私と同じ事を思い付いた様だ。
「――ホシノちゃん、もしかして...!私は大賛成だよ!きっと『アビドス』復興の大きな力になるからね!」
「――成程な。話を聞いちまった以上、このまま放り出すのは後味最悪だし...散々私達に迷惑かけて来た償いをさせるなら丁度いい」
「私も賛成です♪どうやら根っからの不良という訳ではなそうですし――何より
「ん、
「...今までずっと私達を襲ってきたのですぐに信用できませんが...でも、そんな苦境に在る方々を無情に追い出す程薄情にはなれません」
「...そんな暗い悲しい雰囲気じゃ怒る気も失せるわ。でも、これまでの私達への行いを反省して償う気があるなら、ビシバシ働かせるから覚悟しなさいよ!」
モコウ達"対策委員会"の皆も私とホシノの考えを察したのか、一様に賛成する。
「――委員会の皆さんがそう決めるのであれば、何も言うことはありません」
「ミヤコと同意見だ。――前の"連邦生徒会長"が失踪した直後は、私達もコイツらと同じことになりかねなかったしな」
「作戦の発案者としてちょっと罪悪感あったけど...これならハッピーエンドだね!」
「...わ、私も賛成...!」
"RABBIT小隊"の皆も賛意を示す。―――方針は決まった。
「...テm...アンタら、何のつもりだ?」
「"――本当はちゃんと学校に通って、学生生活を過ごしたい。これは噓偽りのない本心だね?"」
「...あぁ。...皆理由は様々だが、マトモに通うのも辛かったのは皆同じだからな。こんな不良生活なんて本当はしたくなかったし、だから"ヘルメット団"の中でもハブられてたんだが」
私の念押しの問いに皆頷く。
「――これが、最初で最後のチャンスだよ。もし、反省しているなら。散々おじさん達を襲ったことに罪悪感を感じていて償いたいなら――」
答えを確認したホシノは一度言葉を止めて幹部の娘と団員の娘達を見回し、幹部の娘の目の前に歩み寄って差し伸べる様に手を伸ばし―――
とあるまとめスレからインスピレーションが湧き、ミヤコ達にアビドスの制服着せるネタを入れてみました。
因みに、本作での"シッテムの箱"メインOSアロナは"先生"以外とも会話出来ますが、機能は"先生"のみが使える設定です。
さて、前哨基地攻略法はまさかの爆☆破―――したらまさかの一気にアビドス生が三十人くらい増えました。ゲームではボコボコやられてる不良にも、きっとこういう娘達が居ると思ってこんな展開にしました。...執筆中にふとこの展開のインスピレーションが湧いたのは内緒()
元ヘルメット団、現アビドス生モブの見た目は黒髪ショート、白髪長髪のメカクレに明るい水色のヘイロー。制服は元不良なので、雑に絞められたネクタイだったりブレザーは引っ掛けてるだけだったりです。
幹部の娘ことオリキャラネームドモブ(予定)の詳細は次回を待て!