Blue"Fantasy"Archive~透き通るような"幻想"世界~   作:八坂 義景

98 / 115
ブルアカ5周年なので初投稿です。これからも青春の物語が続くことを切に願います。

Day1からすげぇや...イロハとキサキのAMSRに五大施策!生徒誕生日のグッズ販売!全国スタンプラリー!...北海道と東北...VRイベント!これまでのお時間に新規シーン追加!全国ZeppDJツアー!...東北...3Dライブ!新規モデルもお披露目!
そして周年アニメ!ゲームで見たことがあるアレソレがアニメで見れるなんて...!新規のハイランダー、ワイルドハント、ニコメディアまで...!

5周年の興奮はさておき補習授業、開始です。


File92.ET-03~補習授業部(問題児達の隔離所)①~

~『トリニティ』構内 "補習授業部"合宿所~

side-ミヤコ

 

「...ん...」

 

―――目を覚まし、サイドテーブルのスマホを手に取って時刻を確認する。[5:03]...起きるべきだろう。『SRT』のガンルーム、『シャーレ』の部屋のそれよりも遥かに柔らかく寝心地が良いベッドが齎す二度寝の誘惑に抵抗しながら起き上がり、ベッドから降りてカーテンに向かう。

 

「...いい天気ですね」

 

―――カーテンを開ければ朝日が部屋と私を照らし、眠気が冴えていく。

 

「さて、着替えましょうか」

 

 部屋のクローゼットに向かい、扉を開けて寝間着を脱いでいつもの制服を―――

 

―――『そう言えば..."RABBIT小隊"の皆さんは、アビドスではあちらの制服を着ていましたよね?』

―――『あぁ、アビドスの先輩達に頼まれたからな。あれはあれで新鮮な感覚を味わえたな...』

―――『では、せっかくですからトリニティの制服を着ちゃいましょう!馴染んでしまえば周りから変な目で見られることもないでしょうから!』

―――『...変装か?確かに、現地の環境に溶け込むにはいい手だと思う』

―――『あら、いいですね♡見た目は同じ、でも二人きりになったらその正体を明かして...』

―――『な、何言ってるのよ?!』

 

「――『アビドス』でも『ミレニアム』でも...確かに環境に溶け込める変装と考えれば妥当ですし、こうして他校の制服を着るのは不思議と楽しいですし」

 

―――昨日から滞在が始まっている、"補習授業部"にあてがわれたこの建物。教材や日用品、保存が効く食料、飲料は揃えられていたものの、味気ないと感じたらしいヒフミ先輩の提案で足りない、それぞれが別途必要な食料品や日用品の買い出しを行っていた道中でヒフミ先輩から提案された事を思い出し、隣の『トリニティ』一般生徒用の制服を手に取る。制服を着て、腰にマグポーチベルトを締め、ニーパッドとブーツを履く。

 

「――よし...行きましょうか」

 

 着替え終え、部屋を出る―――

 

 


~合宿所 教室~

side-"先生"

 

「"――皆、おはよう"」

「おはようございます、"先生"!」

「ふふ、おはようございます♡」

「おはよう」

「...お、おはよう...ございます」

「――皆様、おはようございます。寝坊せず出席...良い行いです」

 

―――合宿所内の教室。黒板の前にミヤコ達と並んで立ち、挨拶を交わす。パッと見た所では皆健康そうだ。

 

「"皆元気そうで何よりだ。――さて、今日から補習授業開始だ。改めて自己紹介しよう。――"連邦捜査部"『シャーレ』顧問、"先生"。"ティーパーティー"からの依頼により、君達"補習授業部"の顧問を務める。補習期間中、よろしくね"」

「――『シャーレ』指揮下、『SRT特殊学園』一年生、"RABBIT小隊"小隊長、"RABBIT1"『月雪ミヤコ』です。"先生"と共に皆さんをサポートします」

「――同じく、"RABBIT小隊"ポイントマン"RABBIT2"『空井サキ』だ。よろしく頼む」

「――同じく"RABBIT小隊"オペレーター"RABBIT3"『風倉モエ』だよ。皆よろしくねー」

「――ら、"RABBIT小隊"スナイパー"RABBIT4"『霞沢ミユ』です。よ、よろしくお願いします...!」

 

 私に続いてミヤコ達が自己紹介を行う。

 

「"――次はヒフミ達の自己紹介をお願いするよ。昨日は準備でバタバタしちゃったからね。改めてお願いするよ"」

「はい!――改めまして、今回"補習授業部"部長を努めます、二年生『阿慈谷ヒフミ』です!皆で協力して補習授業を突破しましょう!」

 

 席を立って自己紹介の先陣を切ったヒフミの自己紹介に対してパラパラと拍手が返る。

 

「――二年生、『白州アズサ』だ。...転校してから()()()()()()()()()()、勉強が追い付いていなかった自覚はあった。"補習授業部"は学力試験に合格できなければ()()()()退()()()()()と聞いている。――そんな事態を避ける為に、私も全力を尽くそう」

 

 次はアズサの自己紹介だ。昨日の初対面時に着けていたガスマスクは外していて、淡い紫色の瞳に凛とした眼差しを宿して私達を見回し、拍手が返る。

 

「では、次は私ですね♡――二年生、『浦和ハナコ』です。まさか私も補習授業の対象になってしまうなんて...()()()()()()()()はありましたが、ここまでとは思いませんでした。こんな私ですが――皆さん()()()、よろしくお願いしますね♡」

 

 アズサが着席し、ハナコが立ち上がって自己紹介を行う。身振りや所作が()()()誘惑する様なもので、昨日と違って水着ではないけど、それでも制服越しでも分かる()()()()()()()()()()を周りに見せ付ける。その所作のせいか、拍手も少し小さい。

――ハナコの前の席に座っているコハルが目線を背けているけど、ハナコはさりげなく身体をコハルの方に向け、それとなく近付けていて、コハルも薄々それに気付いているのか、しかし肩の震えが激発を我慢している事を示している。

 昨日のやり取り―――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に対し、コハルが()()()()()()()()()ツッコみを入れる。そんな反応でコハルを気に入ったのだろうか。

 

「...一年生、"正義実現委員会"のエリート、『下江コハル』よ。ほ、本当なら試験なんて()()()()()できるし、委員会の仕事は忙しいの!こんな部活さっさと抜けてやるんだから!仲良くしようだとか、なれ合いなんてしないんだから!」

 

 ハナコが着席し、そのコハルが立ち上がって仲良くなんてしないと宣言する。―――やはり、コハルは人見知りが強い娘の様だ。それを自身がエリート、優秀だと思い込む事で誤魔化そうとしているけど―――ハナコが()()()()()()()()()()()を浮かべている様に、私から見ても彼女の発言が強がりにしか見えない。

 

「最後は私ですね。――一年生、"シスターフッド"所属。『久栗キクリ』と申します。シスターとしての活動に傾倒したあまり、肝心の勉学が疎かになっていたのは私の不徳が致したもの。これは主が私に与えたもうた試練でしょう。これを突破できなければ()()()()()退()()――個人の力では乗り越えられない苦境苦難も、皆様で力を、知恵を合わせれば突破できると信じています。――皆様、よろしくお願いいたします」

 

 コハルが着席し、キクリが立ち上がって自己紹介を行って頭を下げる。なれ合いはしないと宣言したコハルへの反論もさり気なく含めているけど、コハルは聞き流したのか、或いは反論に気付いたのかは分からないけどツンとした表情でキクリを見ている。

 

「"皆、よろしくね。――さて、皆は既に知っていることだろうけど、改めて説明するよ。"補習授業部"を突破する条件は、期間中三回行われる特別学力試験で、()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 コハルが言っていた通り、短期間での突破を目指せるのが確かに望ましい。部活動所属の娘も居ることだしね。――その為にも、私達がサポートする。今日は初回だから授業ではなく、()()()()()()()()()()()()テストを行う。さっき挙げた特別学力試験の範囲を基に、()()()()()()()()を解いてもらうよ。試験時間は二時間。本番の特別学力試験ではないから、緊張せず解いてね。――ミヤコ"」

「――了解しました。合図があるまで裏返さないようにしてください」

 

 "補習授業部"の突破条件を説明し、試験とは別のテストの実施を宣言する。ミヤコに指示を出し、脇に抱えていたファイルケースからテスト用紙を取り出し、五人に配っていく―――

 

 

「"――では、回答始め"」

 

―――合図を出した瞬間、紙が捲れる音と共にシャーペンが紙を走る音が聞こえ始める。

 

 

side-ミヤコ

 

「......」

 

―――紙を捲る音、シャーペンが紙を走る音。三人と共に不正行為を行っていないか監視しながらゆっくり歩く。教壇では"先生"が座って『トリニティ』の教材を見ながらノートに何か書き込んでいる。

 

―――『これは...いつの間にこのようなテストを?』

―――『"まずは五人の学力を把握したいからね。時間が無くて突貫工事だったけど...()()()()()()()()()()よ"』

 

―――昨日、"先生"に宛てがわれていた部屋の灯りが遅くまで灯っていた事が気になっていたけど、まさか今五人が解いているテストを作っていたとは思わなかった。

 用意されていた教材はかなりの量があり、それらを読み込むだけでも一日以上掛かるだろうと思えた。アロナさん(AI)の力を借りたとしても、私達が眠っている間にテストを作成してしまうのは流石"先生"と言うべきか。

 

 そんな"先生"が作り上げたテストの手応えはどうか―――ゆっくり歩きながら各人の様子を見る。

 

 

...これは...えっと...

 

―――ヒフミ先輩は時々手が止まるけど、回答の記入自体は順調だ。やはり、試験さえ受けていればこうして"補習授業部"の世話になる事は無かったのだろう。

 

「......」

 

―――アズサ先輩はスラスラとシャーペンを動かしていて、ヒフミ先輩よりも手が止まる頻度が少ない。先に問題を一通り解いてから後で見直していくタイプだろうか。

 

「...ふむ...」

 

―――キクリさんは時々手を止めて思い出す様に考え込むけど、回答は順調に進んでいる。"シスターフッド"での活動に傾倒していたという、ヒフミ先輩と似た方向での成績不振の理由だったから彼女も勉強は充分出来そうだ。

 

「......♡」

 

―――ハナコ先輩はニコニコと微笑みながらテスト用紙にシャーペンを走らせている。"勉強は苦手"だと言っていたけどその雰囲気は余裕に満ちている。

 

...あれ...こんなのあったっけ...えーと...あぅぅ...

 

―――そんな中、コハルさんだけは()()()()()()()()()()()()。表情も今にも泣きそうなもので、シャーペンもすっかり止まってしまっている。"先生"曰く、コハルさんの学年に合わせて基礎的な範囲から問題を作ったそうだけど...

 

「...(最初の特別学力試験は二週間後。結果次第では全員合格は厳しいかもしれませんね...)」

 

 胸中に不安を感じながら監視を続ける―――

 

 

~教室横 教員控室~

side-"先生"

 

トントン...>

「"――どうぞ"」

「――し、失礼します...!」

「――失礼いたします」

「"君達の採点結果と、問題点を伝える。――ミヤコ"」

「はい。――どうぞ」

 

―――ドアがノックされ、ヒフミとキクリが控室に入室する。教室で一人一人を呼んで結果と問題点の指摘を行っては、部員とは言え集まって日が浅く、衆人の前でプライドが傷付く可能性があると考えて控室に呼んで結果通知と指導を行う事にした。ミヤコに目配せして、彼女が二人それぞれに採点した回答用紙を渡す。

 

「"――おめでとう。君達は合格点だ。とは言え、『トリニティ』の学力水準、現学年的に()()()()()()基礎的問題で幾つか間違いがあった。恐らく()()()()()()()()()()()せいだと思うけど...()()()()()()()ね?"」

「――"シスターフッド"での活動への傾倒ですね。私自身では合格点に届いていないと思っていたのですが...結構覚えているものですね」

「あ、あはは...」

 

 キクリが素直に答える一方、ヒフミはバツが悪そうに目を背ける。

 

「"――取り敢えず、現状の君達は自力で苦手な、忘れている箇所を見付けて勉強できると判断する。少し忙しくなりそうだけど、君達には他の娘達が分からない所を教えたり、或いは一緒に勉強したり...サポートも合わせてお願いしたい。大丈夫かな?"」

「――私は構いません。お互いに協力することは、皆様の連帯の強化と補習授業の突破に大いに貢献するでしょう」

「わ、分かりました...!どこまで力になれるか分かりませんが、補習授業を突破する為にも頑張ります!」

 

 私が考えた補習授業での行動方針を二人共受け入れる。困っている他者へ真摯に協力出来る二人なら他三人へのサポートも出来るだろう。

 

「"二人共、頼んだよ。――次はアズサを呼んでくれるかい?"」

「承知しました。――失礼いたします」

「分かりました!」

 

 次はアズサをここに向かわせる様に頼み、二人が頭を下げて退室する。

 

「――ヒフミ先輩とキクリさんは大丈夫そうですね。事情は兎も角、これまで試験を受けられなかっただけで勉強自体は充分できるようですね」

「"そうだね。ただ、問題は――"」

 

トントン...>

「"――どうぞ"」

「――『白洲アズサ』、入室します」

 

―――ドアがノックされ、ミヤコとの会話を止めて入室を促せばドアが開いてアズサが入室する。

 

「"――君は不合格だった。コハル、キクリに合わせて一年生の履修範囲から基礎問題を作ったけど...やっぱり元居た学校とは履修範囲が違っていたかな?"」

「...正直に言えばその通り。アr...元居た学校では見たことがなかった問題が思っていたより多かった」

 

 ミヤコが採点した回答用紙を渡し、不合格の原因を指摘するとアズサは素直に頷く。やはり、学校の違いが勉強範囲の違いになって追い付いていない様だ。

 

「"やっぱり学校の違いに馴染めず追い付けていないか...ヒフミとキクリは合格している。君が間違った所を二人が正解している問題もあるから、分からなかったら二人に聞いてみて"」

 

 アズサの返答に頷き、方針を提案する。―――()()()()()()()()()、しっかり勉強すれば充分合格点に届くと判断した。恐らく特別学力試験も合格出来るであろう二人のサポートがあればその可能性はより高まるだろう。

 

「なるほど...流石はあの二人だな。――分かった。分からない所があったら二人に聞いてみよう」

「"分からない所を分かるようにすれば、君も充分合格点に届く。諦めずに頑張るんだよ"」

「勿論だ。――諦めなければいつか道は開く。退学を避ける為にも全力を尽くそう」

「"その意気だ。私達もサポートするから頑張るんだよ。――次はコハルを呼んでくれるかい?"」

「分かった。――失礼しました」

 

 次はコハルを呼ぶ様に頼み、退室するアズサを見送る。

 

「――真面目な方ですね、アズサ先輩は。採点結果を見れば、間違った箇所をしっかり勉強し直して覚えていけば充分合格点に届くでしょうか」

「"そうだね。アズサもきっと問題なく合格出来るだろう。...さて、次は――"」

 

トントン...>

「"――どうぞ"」

「――し、失礼します...」

 

―――ドアがノックされ、入室を促せばドアが開いてコハルが入室する。その表情は緊張で強張っていて、キョロキョロと室内を見回しながら私達の下に来る。

 

「"――試験お疲れ様、コハル。採点結果を渡すよ。――ミヤコ"」

「はい。――どうぞ。こちらがコハルさんの結果です」

「あ、ありがとう......!」

 

 ミヤコが採点した回答用紙をコハルに渡し、彼女は受け取った瞬間愕然とした表情を浮かべる。

 

「"――"飛び級制度"を利用しているから、少なくとも一年生の全履修範囲は解けるだろうと考えた設問だったんだけど...難しかったかい?"」

「...うぅ...そ、その...き、今日は調子が悪かっただけよ!本当ならこの程度の問題なんて()()()()()んだから!」

「......」

 

 私の言葉に対してコハルは強がる様に言い訳を挙げる。ミヤコが何か言いたげに眉を顰めるけど、私がチラリと目を向けるとすぐ平静を装う。

 

「"確かに、コンディションも試験においては重要だね。緊張していると覚えていた筈のことを思い出せない事態はよくあることだ。

――今回の範囲を熟知しているなら、次の()()――一回目の特別学力試験での合格を期待するよ。その為にも、今回間違った箇所を改めて見直すこと。それから、君が正解していて、他の娘達が間違っている問題があったら教えてあげること。自分で見直すだけでなく、他人とお互い教え合うことで理解度はより深まるからね"」

「...わ、分かったわ。――見てなさいよ!次の試験はちゃんと合格してやるんだから!」

 

 私が挙げた方針にコハルは頷き、ビシリと私を指差して合格を宣言する。

 

「"期待しているよ。――さて、ハナコを呼んでくれるかな?...テストの見直し、次に向けた勉強を優先したいならミヤコを向かわせるけど"」

「...だ、大丈夫よ!ハナコ(アイツ)を向かわせるだけのちょっとした時間も勿体ない程に時間は惜しくないし!」

「"...分かった。じゃあ、ハナコを呼んできてね"」

「分かったわ!...し、失礼します!」

 

 コハルは私の気遣いを拒否し、自分でハナコを呼んで来ると宣言する。私はそれに頷き、退室するコハルを見送る。

 

「――回答中の様子を見ていましたが、()()()()()()()()()が故の焦りが見えました。あの点数を見てもあれ程強がれるとは...一人での解決はかなり厳しいのでは?」

「"...人見知りを拗らせたエリート意識。これを解決、改善しないことには彼女が部員達と馴染むのは難しい。ここでそれを指摘しても、私とミヤコ――馴染みが薄い初対面の人相手にすら()()()()()が見抜かれているとますます拗らせるだけだっただろうし、今は彼女とヒフミ達に任せよう"」

「...分かりました。――結果の通知は最後ですね。それも、()()()()()()()――」

 

トントン...>

「"――どうぞ"」

「――失礼します♡」

 

―――手元に残っているハナコの回答用紙を見て眉を顰めるミヤコの言葉を遮る様にドアがノックされて入室を促すと、惹きつける様な、しかし思わせぶりな微笑みを浮かべたハナコが入室する。

 

「ふふ、別室に呼び出すなんて...一体()()をされるんでしょうか♡コハルちゃんに聞いても、顔を真っ赤にして『さっさと行きなさいよバカ!』なんて怒られるだけでして...♡」

「"...採点結果と問題点の指摘、改善方法の提案をするだけだよ"」

「...こちらが採点結果です」

「ありがとうございます♡...あらら、これは...」

 

 身体をさり気なくくねらせながら用件を尋ねるハナコにそう答え、ミヤコが採点結果を手渡す。結果を見たハナコは()()()()()()()()眉を上げる。

 

「"...ハナコ、正直に言うよ。――君の成績は()()()()()だ。事前にある程度君達の直近の成績は確認しているけど...ここまで酷いとは私も思わなかった"」

「ふふ、申し訳ございません♡――私、見た目や雰囲気とは反対に勉強は結構苦手なんです。...昔は()()()()()()()()()()こともありましたが、実態はこの通りなんです♡」

 

 ハナコは私の言葉を素直に受け止め、勉強は全然出来ないと明かす。確かに、テストの結果だけを見れば()()()()()()()な状況はハナコの学力がかなり低い様に見えるけど―――

 

「"――取り敢えず、五人の中では現状ヒフミとキクリが優秀だ。二人には君達へのサポートも合わせて頼んでいるから、分からない所があったら教えてもらうんだ。勿論、私達もサポートするからね。

――二週間後に一回目の特別学力試験が行われる。それまでに、できる限り分からない所を解消して合格点に届くように頑張るんだよ"」

「分かりました。ふふ...手取り足取り、()()()()教えてもらいますね♡――では、他になければ失礼しますね?」

「"うん。他に言っておくことはないよ"」

「では――失礼しました♡」

 

 ハナコは微笑みながら頷き、退室する。

 

「...まさか、()()()()()()()()点数を取るとは。一年生の範囲であの結果では...」

「"確かに、()()()()()()()()ハナコの現状はかなり厳しいね。一回目の特別学力試験全員合格は厳しいかもしれない。ただ――少し()()()()()()があるんだ"」

「...()()()()()()、ですか?」

 

 ミヤコが首を傾げる。―――コハルについても少し厳しい問題点があるけど、()()()()()()()()()()()()()()のがハナコだ。前述の通り、()()()()()()()()()()()()コハル以上に学力が低い様に見える。でも―――()()()()()()()()()()()()()事に違和感を感じている。

 

「"うん。...正直、ハナコの成績の悪さが()()()()()ように見えるんだ。――『トリニティ』の進級制度を見れば、試験合格数、授業出席数が規定されている。そして、ハナコは今二年生。つまり――一年生ではちゃんと試験を合格できている筈なんだ"」

「つまり――()()()()()()()()()()()()()()筈だ、と?」

 

 机に置いてある教材や書類の中から『トリニティ』内進級制度の規定を取り出して確認し、ミヤコの言葉に頷く。試験を受け、合格しているという事は―――その為に少なからず勉強している筈だ。どう勉強を進めるにせよ、試験が絡めば覚えようと努力するものだからだ。

 故に―――例え勉強が苦手だと本人が言っていても、それをそのまま受け止める事に違和感を感じてしまう。そこで―――

 

「"――今日の残り時間は今回のテストの見直しをさせる。その間に私は、"ティーパーティー"に掛け合って()()()()を入手する"」

 

 午後からの予定をミヤコに伝える。―――"補習授業部"設立と顧問就任を請われた時に貰った五人の直近の成績だけでは、それぞれの問題点や改善点をしっかり洗い出せない。

 そこで、"補習授業部"顧問権限に紐付けられた『シャーレ』の権限が活かせる。"ティーパーティー"とは宣誓書を交わしているし、成績不振の解消になるならナギサ達も断らない筈だ。

 

「――了解しました。護衛として私が随行します。...因みに、どのような情報を?」

 

 

 

 

 

 

「"――五人それぞれの()()()()()が欲しいんだ。ハナコを含めた、ね..."」

 

 ミヤコの言葉にそう答え、『シッテムの箱』をジャケットの内ポケットにしまって立ち上がる―――

 

 

 

 


 

~『トリニティ』内空き家~

side-サオリ

 

―――ドンドンドン...ドンドン...!

 

―――()()()()()()である廃墟同然の空き家。ドアがノックされ、ノックパターンを脳内で照らし合わせ、合っていると頷いて立ち上がってドアの前に立ち、覗き窓を開く。窓越しに馴染み深い、優しく、しかし確かな意志を宿した黄色い双眸が私を見つめる。

 

「――Vanitas vanitatum, et omnia vanitas.」

「――Plenitudo plenitudinum, et omnia plena.*1

 

―――合言葉を確認し、ドアを開く。

 

「――元気そうね、サオリ」

「――お前こそ息災のようだな、『ルイズ』」

 

―――紫のリボンを飾った白い帽子を被った金髪、紫のカラーに同色のリボンタイを締めた白いセーラー服とスカートを纏い、ブーツを履いた『旅籠(はたご)ルイズ』―――コードネーム"トラベラー"が中に入り、お互いに息災を確認する。

 

「...あら、三人は?」

「あぁ、姫達なら――」

 

 

「――サッちゃん、()()は終わったよ。あ、来てたんだねルイズ」

「――ちょうど来たみたいだね。久しぶり、ルイズ」

「えへへ、お久しぶりですねルイズさん...」

 

―――ちょうど背後で物音が聞こえて振り向けば、ヘイローが消えた(気絶した)『トリニティ』生徒会"ティーパーティー"の連中三人をそれぞれ背負った仲間達―――"アリウススクワッド"の『秤アツコ』、『戒野ミサキ』、『槌永ヒヨリ』が姿を現し、背負っていた"ティーパーティー"の連中を下ろしながらルイズと挨拶を交わす。

 

―――ルイズとの()()()()()()を行っていたこの場所だが、今回この"ティーパーティー"の連中が付近をコソコソと彷徨いている様子を確認した為()()を行った。

 万が一ルイズとの()()が目撃されていたら私達だけでなく、最悪()()()()()()までバレかねなかった。

 

「ふふ、久しぶり。――はい、()()()よ。これは前にヒヨリが欲しがってた雑誌。最新号まで揃えてあるわ」

「えへへ...流石ルイズさんですね。これでまた次まで頑張れます」

 

 ルイズは微笑みながらスーツケースを開き、数冊の雑誌を取り出してヒヨリに差し出せば彼女はニヘラと笑ってそれを受け取る。

 

「――アツコにはこれ。ちょっとした偶然で"園芸部"を少し手伝ったお礼で貰ったの。()()()()()()で育つかは分からないけど...」

「ふふ、ありがとう。これでまた()()に彩りが増えそうだね」

 

 姫―――アツコには種が入っているらしい小袋と品種の説明書らしき書類を渡し、アツコは嬉しそうに微笑む。

 

「――ミサキにはこれを。...一応貴女のプライバシーを尊重して、このまま渡すわ。中身は自分で確認して」

「...うん、前にお願いしたものだね。毎回ありがとう、ルイズ」

「ふふ、また部屋に()()()()()が増えるんだね」

「...うるさい」

 

 ミサキには少し大きな紙袋を渡し、中身をチラリと確認した彼女は頷いて少し口角を上げる。その反応を見てアツコがクスリと笑うと、ミサキは微かに頬を赤くしながら目線を逸らす。()()()()()...おそらくぬいぐるみの事だろうか。

 

「サオリにはこれね。()()()()()()()()"騒霊楽団"のアルバムは大人気で、古いタイトルでもいい値段だから苦労したわ。ついでに――()()も」

 

 最後は私で、『手に入れられたらでいい』と無理強いはしなかったのに、数枚も手に入れたらしい"騒霊楽団"――最近いい曲だとハマり始めたものだ――CDと―――()()を纏めたファイルを受け取る。

 

「...前のタイトルまで幾つか手に入れてくれたのか。本当にお前には恩を貰いっぱなしだな...」

「ふふ、()()()()()()ついでよ。『()()()()は成長の糧になる』って"()()()"もよく言っているし」

 

 "()()()"から課された()()だけでも大変な筈なのに、私達が()()()()求めた物品まで調達してくれる事に感謝しながらファイルの中身をザッと確認する―――

 

「――ん?この"補習授業部"とはなんだ?アズs..."アズライール"がこれに加入させられたようだが...」

「...今回は深く探れなかったわ。成績不振な生徒の為の救済措置らしいけど...()()の締結も近いこのタイミングで設立するような部活動には思えなかったわ」

「成績不振...居残り授業みたいなものか。()()()()()()()()『トリニティ』での勉強の大変さを考えればおかしくはないが...確かに、この時期に立ち上げる部活ではなさそうだな」

 

―――ファイルの中に記された情報の中で気になった情報について尋ねると、ルイズは申し訳無さそうな表情を浮かべてそう答える。

 補習授業―――()()()でも居残り授業という似たような物があるが、真面目で努力家の"アズライール"が世話になった事は無かったと記憶している。

 だが、()()()()()()故に『トリニティ』とは勉強範囲や方法が色々と違う筈だ。それに馴染めなければ成績は当然落ちもするだろう。格式高い『トリニティ』にその様な救済措置がある事には驚かされるが―――何故、()設立するのか。その違和感の方が勝る。

 

「――分かった。とりあえず、"アズライール"の行動は制限されそうだな。"()()()"に伝えて()()をどうするか話し合っておこう。――私達からはこれを。”()()()"からの指示も幾つか入っている」

「ありがとう。――渡しておくものはそれで全部よ。次の()()までに、何か欲しいものはある?」

 

 "()()()"からの指示や共有事項を纏めたメモを受け取ったルイズは私の言葉に頷き、私達を見回しながら尋ねる。

 

「私は特にない。引き続き気を付けて()()にあたってくれ」

「私も大丈夫。"()()()()"も心配してるから、気を付けて」

「...私も大丈夫」

「私は...ま、また新しいジャンルの雑誌でも持ってきてくれればいいかな、なんて...あ、無理なら大丈夫です。今回のだけでも充分過ぎるので...」

 

 私達三人が大丈夫だと答える一方、ヒヨリは早速読み始めていた雑誌から顔を上げてそう答える。

 

「...欲が過ぎるぞ、ヒヨリ。()()締結が近いこの時期に...」

「ふふ、その図々しさがヒヨリらしさよ。――分かったわ。ヒヨリの気を引きそうなものがあったら集めておきましょう」

「えへへ、ありがとうございますルイズさん...断られるかもしれなくても、ダメ元で頼んでみるものですね...」

 

 私の呆れた言葉に対してルイズは微笑み、ヒヨリの要望を受け入れる。彼女は嬉しそうにニヘラと笑う。

 

「全く...今回の()()を終了する。次回は接触場所を変える。()は出しておくから、時期がきたらそれとなく探しておいてくれ。――ルイズ、お前は先に行ってくれ。()()()をコイツらに見られたらマズいからな」

 

 ()()終了を宣言し、三人が囲む"ティーパーティー"の連中を一瞥してルイズに先に戻る様に提案する。

 

「そうさせてもらうわ。それじゃあ――」

 

 

 

 

 

 

「「「「――全ては、我ら『アリウス』の為に」」」」

「――我らの献身は"()()()"の願いの為に」

 

 

―――To be Continued―――

 

 

*1
満ちるものの満ちること、すべては満ちている




ということで補習授業始まります。ハナコが難しい()
そして、アリウスも動き出しているようです。

感想、評価、お気に入り、栞、ここすきは大歓迎です。作者が喜びでわっぴ~します。

登場生徒紹介
名前:旅籠(はたご) ルイズ
所属校:アリウス分校
学年:二年生
部活動:アナテマスクワッド"偵察手"
装備:HG+SR(SIG Sauer P365 XL+Blaser Tactical 2(パッサージュ))
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。