元提督な先生   作:赤飯軍曹

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終わり

「……私のミスでした。」

 

誰だ?

 

「私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況。」

 

何のことだ。

 

「結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて……。」

 

何を言っている。

 

「私が信じられる大人である、あなたになら、この捻れて歪んだ終着点とは、また別の結果を……。」

 

ああそうかこれは記録か。

誰かの記憶を追体験しているのか。

 

「そこに繋がる選択肢は……きっと見つかるはずです。」

 

ーー

「私はあの子を助けることが出来ませんでした。」

「幾度の旅路を越えても救えなかった子達がいます。」

 

「あなたがこの記憶の持ち主か。」

 

「はい、あの記憶は私のものです。」

 

なぜ見せたと聞くと「救ってほしい娘達がいるんです。」と返してきた。

誰かと聞くと「不知火カヤ、そして調月リオ」と返してきた。

 

「私ではあの子達を救えません。」

「手を伸ばすことが出来ませんでした。」

「先生の私では彼女達を救えない。」

「ですがあなたなら、提督である貴方なら。」

「彼女達を救えるはずです。」

 

「なぜ私に頼む?」

提督なら他にもいる。それこそ深海棲艦との戦争を終わらせた紛れもない英雄が。なのになぜ?

 

「あなたをよく知っているからですね」

 

「私と君は初対面だと思うが」

 

「あなたにとってはそうかも知れませんが私はよく知っていますよ」

 

誤魔化されたな。だがこれ以上聞いても何も言う気はないようだ。

 

 

「救えなかった彼女達を。そして私の生徒達をよろしくお願いします。」

 

安請け合いはできない。だが民間人を守るのは我々(軍人)の務めだからな。

「わかった。その頼みを引き受ける。」

ーー

 

「その結果がこれか」

眼前にあるのはボロボロになったシャーレ(最後の砦)散っていった|彼女達《ヴァルキューレ、風紀委員会、正義実現委員会》の遺体そして

「深海棲艦どもめ」

深海棲艦本来ここ(ギヴォトス)に居ないはずの敵。

なぜここにいるかは知らないが事実上学園都市ギヴォトス(我々)は敗北した。

深海棲艦には88mmクラスの砲でなければ効かずそんな火砲は効くことが判明したときには大半が壊れたいた。

 

「先生もう弾薬がありません」

 

不知火カヤがそういう。もう生存者は我々くらいだろう1時間前までは銃声や砲声が聞こえたものだが今はめっきり聞こえない。

逃げようか考えたがそんなことは無理だと切り捨てる。

ここシャーレが最後の砦であり逃げる先なんて存在はしない。そもそもここは包囲されており出ることが不可能だ。

 

「食料も底を突きました。」

 

調月リオがさらなる悲報を届ける。限界か。元々宛のない籠城だった。このギヴォトスから脱出できた生徒が救援に来てくれる。そんな希望を信じて立て籠もった。だがもう限界だ。私一人ならここで自決するだろう。

だが彼女達がいる。軍人なら最後まで抵抗するか自決するか決めろと言っただろう。もしくは弾薬が尽きる前に包囲に風穴を開け伝令に走らせたかもしれない。

だが彼女達は軍人じゃない。なら逃がしてやらないと。

「こいつの使い所か」

大人のカード

本来は未来を対価に奇跡を起こす代物だが私のは少々異なる。過去を対価に奇跡を起こすそれが私のカード。

カードを使う。彼女達をここではない何処かへ。安全な場所(世界)へ。

対価は私の全て。持っていけるものは全て持って行け。

「カヤ、リオ向こうでも元気でね」

 

「先生何を言っているんですか」

「まさか特攻しようとか考えてませんよね!」

「一回分は弾薬を見つけてきました。」

 

「食料は有りませんが水はまだあります。」

「ですからまだ

 

「だからまだ

 

諦めないで。そう言おうしたのだろうがその言葉を口にする前に大人のカードが効力を発揮した。

 

「体が光って…先生何をしたんですか!」

 

「大人のカードを使ったそれに身を任せればここから脱出出来る。」

それから少し問答をした。何処に出るのか、安全なのかそして私も行くのか。そこで私は嘘をついた。あとから行くと。

それで納得したのか彼女たちは光の中に消えていった。

 

視界が揺れる。私はダレダ?大人のカードを使ったことは覚えている。これが代償か想像以上にきつい。彼女達が誰だか忘れた。親友が誰だったか忘れた。部下達のことを忘れた。なぜここにいるかそれも忘れた。

「ゴメンな熊野お前のところに帰れなくて」

唯一覚えていた妻へ謝罪の言葉を述べる。

なぜ覚えていたのかは知らないが思い当たる節がある。

薬指に着けている妖精さん製の結婚指輪だ。材質不明、製法不明の品だが文字通り死が二人を分かつまで決して無くならない愛を保証させる品だ。

外から砲声が聞こえてきた。もう私の命も終わりだろう。

「熊野、私は君を

 

ーーー

 

パリン

 

「いた」

 

「大丈夫ですか熊野さん」

 

「ええ大丈夫ですのよ。でも。」

指輪が割れてしまった。私と彼との結婚を記念して作ってもらった結婚指輪が。

胸騒ぎがする。

(大丈夫かしら)

 

彼女は祈る夫の無事を祈って。彼女は知らないもう二度と夫には会えないことを。彼女は知ることになる。奴らの手によって夫が殺されたことを。




お読みくださってありがとう御座いました。続きは書く予定はありません。こんなだめ作者の小説に付き合ってくださってありがとうございます。
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