偽救世主未満が行くブルーアーカイブ 作:N_box
そんなこんなで時間は進み現在俺含むアビドスの面々はブラックマーケットに来ています。いやいますというか帰るところというか、あれだよ。銀行強盗してきました。
で、集金記録のついでに奪った億はある金をホシノが捨てるよう言っている。
「原作」通りの流れだ。この辺別に「先生」が介入するポイントないんだよな。金を捨てるよう「先生」が言ったところでたいした影響力は無いし。
そんなことよりもうまいこと阿慈谷ヒフミと出会えてこうなっていることの方が俺にとっては何倍も価値がある。
阿慈谷ヒフミ、トリニティ総合学園に通う2年生。自称「普通」の少女。
ゲームでのキャラ紹介だとそんな感じの生徒だ。
まあ彼女は全く持って普通ではない。ペロロにハマって大事な試験を欠席するわ、未来の話になるがアズサと組んで正実を数十人病院送りにするわ、挙げ句の果てにはなんかすごい「奇跡」を起こすわ。どこが普通だといったところだ。
……彼女が「普通」に見える視点が存在するのかもしれない、が、それは今考えることじゃない。
今気にすることは追手とアルについてだろう。……やっぱヘイローで個人認識はできないんだな。単純にキヴォトスの住人が覚えないだけにしてはちょっとおかしいし、俺の視点で例えると人の鼻とか口とかの形みたいなもんかとも考えてたんだが、顔を隠す→顔が見えず「正体不明」という認識→ヘイローがあることはわかっても具体的な形はわからない。みたいなことだったりするのか?
俺の視点だけじゃなくキヴォトスの一般的な視点がいるな……まあとりあえずメモっとこ。時間が作れたら検証してみたい。
……え、何?俺の意見?そもそもこの金使えないでしょ。ぶっちゃけシロコが銀行強盗をするって言った時も思ったけどどうしたって金の出どころが不明になるから怪しまれて捕まるだけじゃん。カイザーならスルーしそうとは思うけど流石にカイザーの銀行から奪った金でそのまま借金返済に使うのは不可能じゃないか?
マネーロンダリングは少なくとも今の俺にはできないし。
あ、セリカが吠えながらバックごと金を投げ捨てた。めちゃくちゃ飛ぶな。流石はアビドスの生徒ということか。紙束って結構重いんだぞ?
というかあの重さだと普通に凶器……まあキヴォトス市民の耐久力なら大丈夫だろう。
……アルちゃんにぶつかった………まあええか!
キヴォトスの治安は終わっている。平気で銃弾や戦車が飛び交い横行するのがこの都市だ。「先生」がくる前と比べて治安が悪くなってはいるらしいが、それを踏まえても普通に暮らしている時点で俺の視点では元からやばいと言う他ないだろう。
だが現在の状況はそれを踏まえていても、
いや……ひっでえなぁ。
そんな感想がつい出てしまった。
それは今
トラブルなど日常茶飯事なキヴォトスにおいてはこの程度まれによくあることであるし、そもそもトラブルにトラブルが連鎖して大きなことになっていくのは言ってしまえば
だからってさぁ、これはさぁ……
うん、そっちそっち。で、そこの裏、手榴弾投げて。今回り込んできてるのがいるからそっち行ってもらって……、あ、その辺に隠れてるから狙い撃ってくれ。
前を見る。横を見る。頭の後ろの方向だって理解ができる。
「先生」の力か「チート」としての力か、どちらかは知らないが今の俺はそんなことができるようになっている。
直感的なイメージを伝えるテレパシーみたいな力すらある。
高速思考、マルチタスク能力だって存在する。これら以外にもある「力」のおかげで暴力に触れてこなかった俺でも指示を出し問題なく物事を進めてこれたわけだが、数が、今回ばかりは数が多すぎる。
「原作」における一連の流れ、便利屋の逮捕や「先生」の確保など複数の目的を抱えてヒナに対してなんら相談せずアコがアビドスに対して風紀委員会を差し向けた一件。
こんなに人多いなんて聞いてなかったよ……
いや、考えてみれば当然のことなのだ。ゲヘナ学園はキヴォトス三代校の一つでありそこに属する生徒は多い。
だったらそこで大きな組織が多数の人材を抱えていないはずはなく現に今直接戦闘をしている人数だけでも三桁はいる。
あーキッツイ、これだけの数を相手にしているのもそうだが8人指揮、長時間というのもキツい。ここまで頭を回したことないんだよ。
だがヒナがこの場にくることは知っているので、耐えていれば「原作」の流れ通り解決するはずだ。
懸念点としては今朝からホシノにつけていた
耐えていればいい。
イオリが突っ込んできた。本当に凸砂なんだ……やっぱ戦闘のマニュアルは違うよな。銃弾1発で死ぬことが無いのなら元の世界とは前提が異なる。
適当に守ってもらって他に来る風紀の子たちにもダメージを与えていく。
……だからといって凸砂はどうなんだ?その銃の用途と違うだろ。前提が違うとはいえ限度はあるだろうに。
銃身で殴るんじゃ無いよ。んー、イオリと、多分3年生かな?その辺りだけ気にしてればよさそうか。チナツは何考えてるかよくわからんが積極的に動く気はなさそうだ。
それにしてもヒナはまだかね。
はいそっちね、迂回されたところで見えてる。あと少しでその辺から来るから撃ってくれ。あー奥の方にもまだいるな。予備戦力か。動かす前に終わって欲しいな。
……あ、来た。ヒナだ。かなりのスピードだからすぐ気づけた。これで終わりだな。追い討ちを決める必要はなさそうだ。
ある程度倒しおわり少しの余裕がこちらに生まれる。押されてはいるものの踏みとどまれている。これでーーー
………
おかしくね?ヒナ?ヒナちゃん?空崎ヒナさん?そこいますよね?今誰も目を向けてないけどそこの影に。何ですぐ来ないの?
戦闘が続く。戦況としては変わらず風紀委員会が優勢のはずだがこちらは誰一人としてダウンしておらず負傷者の数を積み上げているのは相手だけだ。
それでも被害はあるし、疲労が溜まっていっている。むしろ一人でも崩れればそこから流れるように決着がついてしまうだろう。
何が原因でヒナはそんなことを……まあ理由はわからんが原因は俺か。それ以外に考えつかない。だがそれがわかったところで………しょうがねえ、
具体的にはあのプロローグの件のようにチートを使う。今も使ってはいるがより直接的に。
そう決意をして足元を踏み締めた時、ようやく彼女は動いた。
「ーーー総員、戦闘行為を中止して」
空崎ヒナ。ゲヘナ学園3年生風紀委員会委員長。
年齢とは異なり体は小さく、小5の水着が現在も着れるレベル。しかしその身に秘めた力は大きく、風紀委員会が強大な組織として扱われる要因に彼女の存在が挙げられることもある。
描写だけでもその辺りの有象無象とは最低でも3回りはスペックが違うことがわかる。
そして実際の彼女はどうなのかというと……やばい。マジでやばい。
存在感、威圧感とでもいうべきものがやばい。先ほどまで誰も彼女のことを認識さえしていなかったのに、だ。
ゲヘナシロモップとかいってふざけられるような相手じゃないな。実際戦っていたすべての人間が手を止め彼女を注視している。
あ、便利屋だけは逃走準備始めてら。まあ気にしていられない。
「アコ、この件についての話は後で聞くわ」
『ヒ、ヒナ委員長、その、これはですね…』
「そういう話は後で、今は通信を切って校舎で謹慎していなさい、アコ」
向こうが会話をしているうちに整理しておこうか。
この状況ーーゲヘナの風紀委員会がアビドスに、正確には自治区付近ってことになっちまってんだろうがそこで戦闘行為を事前通告など無しに行った。
それに付随する「原作」の諸々もあると考えていい。
だから考えるのは「原作」と異なっている点、つまりは「俺」とそれに伴うヒナの行動の変化だ。
……聞けばいい。今それを聞くのは不自然じゃないはずだ。問題は「原作」通りにことを運べるか。カイザーの話を聞けるかだ。
警戒、友好、興味……彼女が「俺」に対してどのような関心でいるのか。それを見極める。最悪聞けなかったら「シャーレ」の名前を使ってだすか?あまり使いたくない手だが。
さて、便利屋はとうに逃げた。お話を始めよう。自分より遥かに強大な相手と対峙するというのは勇気が必要な行為だ。
……ワカモ以来だなこの感覚は。キヴォトスにいる以上これからも同様の経験をしなければならないのは「先生」という存在が「強い」ということを確信させる。
「はじめまして、先生。私はゲヘナ学園風紀委員会委員会委員長の空崎ヒナというわ」
自己紹介どうも。シャーレの「先生」です。…何でこのタイミングなんですか?いつ止めてくれるんだろうなって待ってたんですけど。
「…やっぱり気づいてたのね」
「ええっ!」だの聞こえてくるのでやはり誰も気づいていなかったらしい。まあ俺もチートがなかったら気付けていた気はしない。
それはどうでもいいんだけど今出てきたのは止めてくれるってことでOK?
「…先生、いえ、その前に謝罪が先ね」
そういうとヒナはこちらに頭を下げた。
「事前通達無しでの無断兵力運用、他校の自治区で騒ぎを起こしたこと。このことについては私、空先ヒナよりゲヘナの風紀委員会の委員長としてアビドスの対策委員会に対して公式に謝罪する。……静観をしていたかとについても」
そうされると俺個人としてはどうすることもできないわけで。
「今後、ゲヘナの風紀委員会がここに無断で侵入することは無いと約束する。どうか許してほしい」
俺がやれることは生徒たち自身に任せるしか無い。
アヤネ、どうする?……おーい、大丈夫か?
「……はっ!?申し訳ありません、驚いて止まってしまいました。……謝罪は受け入れます。ですが、先生が言ったように静観をしていたというのならそれは何故ですか?」
「そうね、私が何もせずに待機していた理由は、先生、あの状況で私がこの場にいなかったと仮定して、貴方はこの状況一人でなんとかできた?」
ふん、なるほど?
「私は先生がそれをできると思った。だから先生を止めるために何もしていなかったのだけれど……その行動は間違いだったわ」
……これは俺、というか俺のチートのせいか?チートに関してはチナツにはっきりと見られている。特に隠してはいないが説明もしていないので不思議な力を持ってるぐらいの認識を持たれてると思っていたのだがそれが間違いだったのかもしれない。
……ワカモを取り押さえたのが不味かったか。あれで少なくとも武力を示してしまった。だがあそこでああしないことはできなかったからしょうがないと割り切るしか無い。
「先ほど貴方は
色々と言ってくれてありがと。まあ俺にも俺の都合ってやつがあるんだ。察してくれると助かる。
「そう。理解したわ」
少しの沈黙が流れる。するとそれを見計らったかのように彼女が現れた。
「うへ〜、こいつはまた何があったんだか。すごいことになってるじゃ〜ん」
いつも通りの気の抜けるような声。だがそんな声を出す彼女はこのような場で気を抜くことなど無い。
「……あれー?おじさん来るの遅かったかな?もうこれ解決してる感じ?」
とはいえこの場ではもう必要はなさそうだ。
その後はだいたい「原作」に近い形で物事が進んだ。再度ヒナが謝罪をして、カイザーコーポレーションが砂漠で何かしてるらしいという話を聞いた。
とりあえず一ヶ所は把握しているんだが……ウトナピシュテイムの本船は見当たらないしあそこであってるのか?