Chevalier『シュバリエ』〜約束の騎士達の物語〜 作:ジャック・オー・ワンタン
「ガレス!ガヘリス!やれ!」
ノアールは自身の団員である小柄なエルフ族の双子の少年に指示すると彼らは俊敏な動きで赤い眼を光らせながら僕にボーガンを向け、矢を放った。
「させないわ!」
しかし、シルヴァが前にでると卓越した弓術でその矢をどちらも相殺させる。
「アイツ、ボクの矢を!!」
「やってやる!やってやる!!」
「何よこの双子!」
それに怒った双子のボーガン使いガレスとガヘリスは俊敏な動きを駆使してシルヴァを翻弄する。
「そこだっ!」
「しまった!」
「ッ!シルヴァ!」
二人の放った矢の一つがシルヴァに迫ろうとしたがオーガイが自身の銃でそれを撃ち落とし、電撃を纏った。
「おいおい。女一人にそりゃ卑怯だろ?お前ら!加勢するぜ。嬢ちゃん。」
「お茶はお断りだけど今回はOKって言ってあげるわ!」
シルヴァはそう言うとオーガイとタッグを組んでガレス、ガヘリスと戦闘を始める。・・・彼女の事はオーガイに任せて良いだろう。
「余所見するなよ!」
「ッ!?」
直後、ローズルが目の前に現れると僕目掛けて両腕を大きく振り落としてくる。
「おらあああっ!」
「はあああっ!」
しかし、カイとウィルダーが僕の前に割って入るとその大きな腕を各々の得物で受け止めて見せた。
「カイ!ウィルダーさん!」
「俺達の事はいい!アンタはノアールを倒せ!」
「そうだ!おい未来視の天騎士!足引っ張んなよ!」
「その言葉・・・そっくりそのまま返してやる!未来視は戦闘では使えないが・・・視えなくとも戦える!」
カイとウィルダーは同時にローズルの巨体を弾き返すとそのまま彼と戦闘を始めた。
「よし!僕はそのまま・・・」
ローズルを二人に任せ、ノアールの元へ向かおうとした・・・その時だった。
「シエル君!危ない!」
「えっ!?」
ルーチェがそう叫びながら飛んできていた魔法の光弾を自身の魔法で相殺する。うわっ!?危ない!ルーチェに止められてなかったら直撃していた。
「あーあ、外れたか。」
そんな声が聞こえてくると今度は眼鏡を掛けたハーフット族の青年が被っているトンガリ帽子を上げながらこちらを見つめると自身の背丈より長い杖を構えた。
「今の魔法・・・貴方ただの魔導士では無いわね?さっきオーガイの団員たちを真っ先に光弾で一掃したのも貴方ね?」
「ご名答。全てこの黒曜騎士団の天才マーリンの魔法さ。」
マーリンと名乗った黒曜騎士団の魔導士はルーチェに杖先を向ける。
「シエル君、彼は私が相手するわ。一人になるけど・・・貴方なら大丈夫よ!」
「ルーチェ・・・ありがとう!」
ルーチェは僕に優しく微笑むとそのままマーリンと互いの魔法をぶつける戦いに身を投じた。
「気が付けばボクとキミだけ残ったね!」
するとノアールが黒い稲妻を纏いながら僕の前に現れる。
「キミの持っている剣は知っている。聖剣エクスカリバー・・・精霊の力を扱える代物。果たしてそれがあっても勝てるのかな?ボクとこの”魔剣アロンダイト”に!」
奴はそう言うとあの漆黒の大剣・・・アロンダイトから放っていた黒い稲妻を大きくする。・・・まだあの稲妻から感じる苦しみが襲い掛かってくるのは事実だ。でも、ここで奴を野放しにしたら”自由”がなくなる!自分と同じ顔で何者か分からないけど・・・
「絶対に負けない!」
強い意志を持ちながらエクスカリバーを手にすると剣雷を纏ってノアールの黒い稲妻とぶつけ合うと辺りに白と黒の雷が降りかかり地面を焦がしていく。
そして・・・地面を蹴りながら飛び上がり、柄を両手で握り締めるとノアールの持つアロンダイトと刃を交錯させた。
「ぐっ・・・・うおおおおおっ!」
エクスカリバーとアロンダイトの刃から無数の白黒の稲妻が飛び交い、まるで柱の様に聳え立つと暗雲を突き抜けて青い空を微かにむき出させる。
「ぐっ・・・・くううっ!!」
「随分苦しそうだね?キミは聖剣を持っていても力は付いてきていないんだ。」
「まだ・・・だ!まだやれるッ!」
ノアールの言葉に屈することなく鍔迫り合いになったまま刃に炎を纏い、火の精霊サラマンダーの力を開放する。
「それは精霊の力か!?」
「喰らえッ!”烈火(バーニング)の斬撃(スラッシュ)"!!」
そのままノアールを退けると渾身の力で聖なる炎の斬撃を放つ。
「いっけぇえええええ!!!」
放たれた炎の斬撃はノアールにこのまま直撃すると確信し、その結末を見届ける・・・。
「”闇(ダーク)の空間(スペース)”」
「・・・は?」
しかし、彼はアロンダイトから小さな黒い渦を出すと聖なる炎の斬撃を吞み込んで無効化する。嘘・・・だろ?精霊の力を無効化した!?
「どう・・・なってんだよ?」
「驚いている暇はないんじゃないか?」
「ハッ!?しまっ・・・」
「”黒(ブラック)の斬撃(スラッシュ)”」
「がはっ!?・・・・うぐあああああっ!!」
動揺していた隙を突かれ、ノアールの放った黒い斬撃が直撃すると僕は体に大きな斬り傷と鮮血を吐きながら凄まじい勢いで吹き飛ばされ何度も身体を地面に打ち付けて倒れた。
「あっ・・・ぐうううっ」
立ち上がる力もなく口から血を流すと地面に突き刺さったエクスカリバーを拾い上げようとするがそれより先にノアールが僕の目の前にやってきてこちらを見下ろした。
「無駄だよ。そんな傷でどうやって戦えるの?」
「・・・ぐっ・・・ごほっ・・・お前ッ・・・」
まだ希望に満ちた蒼い目で奴を睨む。大丈夫・・・まだ皆が。
「きゃああああああっ!」
「うわっ!」
「・・・は?」
直後、シルヴァとオーガイの悲鳴が聞こえると僕の視界にガレス、ガヘリスに敗北し傷だらけで倒れて気絶した二人の姿が映った。
「シルヴァ!シルヴァァァァァァッ!!!」
倒れたシルヴァに声を掛けるも彼女からの返答は無かった。
「くそっ!ぐわあああああっ!」
「うわああああっ!」
「ッ!?カイ!!」
更にローズルによって互いの身体を打ち付けられて地面へ乱暴に落とされたカイとウィルダーの姿が映る。彼らもまた返事がなく地面に鮮血がどくどくと流れていた。
「嘘だ・・・こんな!」
怒りが頂点になり、痛みを忘れて立ち上がり、ノワールへ殴りかかろうとした瞬間・・・僕目掛けてマーリンの放った魔法の光弾が迫ってくる。
「シエル君!!!ダメッ!!」
直後、ルーチェが僕の前に出ると魔法を繰り出す暇もなくその光弾を小さな体で受け止めた。
「きゃあああああああああああああっ!!」
「ルーチェ!!!」
彼女は傷だらけになると僕に声を掛ける間もなく膝から崩れ落ち、地面にうつ伏せで倒れてしまった。
「そ・・・そんな・・・」
仲間が全員倒れてしまった事実に僕は目から光を消すとその場に崩れ落ちて涙を流す。・・・負けた?僕らが?
「そうさ!キミ達は負けたんだよ。」
「ッ!お前ッ!」
「ほら」
抵抗する僕をノアールは蹴り飛ばすと先程喰らった傷が痛んでその場に倒れる。最早、彼らに抵抗する力もなく僕は身体を震わせながら無情にも歩み寄ってくるノアールを見つめる事しかできなくなる。
「さて、キミを取り込むとしようか?そうすればあんな剣を使える人物なんて当分現れなくなる。」
奴はそう言って僕を掴み上げようと手を伸ばしてくる。ここで・・・終わるのか?仲間達を守れず師匠との約束を果たせないまま僕の冒険は終わるのか?・・・そんな絶対に嫌だ!負けたくない!まだ・・・この状況でも・・・僕は・・・勝つ!
「・・・めない!」
「なんだい?」
最後の力を振りしぼり、何とか膝を付いたまま身体を起こした。
「絶対に・・・諦めない!!」
そう叫んだ時だった。突然、辺りが蒼白く光り出すと徐々に輝き始めるが僕これが自分の身体から放たれていることに気付かなかった。
「ぎゃああああっ!?」
「これは・・・まさか!?おい!ノアール!」
「ッ!?んぐううううううっ!?」
光に包まれたノアールは苦しみだすと僕からどんどん退いて仲間達の元へ戻っていく。
「間違いない!あれは・・・”騎士王の威光”!」
マーリンは光を見てそう言うも感情が高ぶっていた今の僕には彼が何を言っているのか分からなかった。
そのまま無意識に手をかざして衝撃波を放つと黒曜騎士団の面々は軽く吹き飛んだ。
「んぐ!?んぐあああああああっ!?」
「おい!団長の意識が朦朧としてんぞ!」
「くっ・・・無意識とはいえあれを放てるとは・・・今すぐ団長を連れて撤退するぞ!」
光に怖気付いた黒曜騎士団は苦しむノアールを連れて去っていく。その様子を見届けて力を抜かすと蒼白い光もまた嘘のように消え、辺りはしんと静まり返った。
「うっ・・・ぐうううっ」
直後、大きな疲労が襲い掛かると僕は意識を失ってそのまま闇の中へ誘われるのだった。
一周年記念 外伝作成予定!誰の活躍(過去)を見たい?
-
オーディン
-
ローズマリー
-
オーガイ
-
ゼウス
-
その他