Chevalier『シュバリエ』〜約束の騎士達の物語〜 作:ジャック・オー・ワンタン
「アレス!!」
僕は鍔迫り合いになったアレスを睨む。アイル以来の再会・・・今度こそコイツは僕が倒す!!水の精霊の力を纏ったエクスカリバーを手に猛攻を仕掛ける。
「シエル!」
「カイ!ウィルダー!手を貸すな!」
即座に助けに入ろうとしたカイとウィルダーを制止させる。
「無茶だ!相手は十二神騎だぞ!?お前は自ら滅びに行くと言うのか!?」
「ウィルダー!僕は正直、占いとか予知とかそんなもの・・・信用して無いんです!だって!・・・やってみなきゃ分からないから!」
その言葉にウィルダーは目を見開いて驚く。その証拠にアレスは僕の攻撃で部下達の前まで退くと体制を崩しかけてよろめいた。
「准将!」
「バカな!相手は十二神騎だぞ!?」
アレスと互角の力を見せる僕に帝国兵達からは驚きの声が上がる。
「フフ・・・フフフフフッ。」
「何がおかしいんだ?」
しかし、不敵な笑い声を上げるアレスを見てカイは警戒する。
「いや・・・喜びもあるのだ。強くなったな。シエル!!益々貴様は騎士で収まっていい立場ではない!!」
そう言うとアレスは勢いよく飛び出すと全身に炎を纏って襲いかかる。
「炎剣牛突猛進!!」
牛の姿を象った炎はアレスを包むとそのまま僕へ突進する。
「うわぁぁぁぁっ!」
その威力は纏っていた聖なる水の力すらも蒸発させ、僕は仰け反ったまま地面に倒れてしまった。
「シエル!」
「シエル君!」
カイとルーチェは僕に駆け寄ると迫り来るアレスを睨んだ。
「退け。シエルは俺が貰う。」
「あげるかよ!オレ達の団長なんだよッ!!」
「団長?」
「ええ、そうよ!彼は騎士団の団長。貴方程の人がそんなことも知らないのかしら?白翼の騎士団団長・・・それがシエル君よ!」
ルーチェから僕が団長と聞かされるとやや残念そうに頭を下げると勢いよく剣を振り上げた。
まずい!2人共逃げろ!
そう叫ぼうと口を開きかけた瞬間・・・アレスの前に小さな人影が入ると得物のメイスで彼の攻撃を難なく受け止めた。
「エレミア!?」
「何?」
僕らは目の前に立つエレミアを見て驚く。
「へっ!ぬるいな!これが十二神騎って奴の実力かい?見掛け倒しじゃねぇのか?」
「あまりバカにするな。」
アレスは難なくエレミアのメイスを剣から離すとそのまま彼女を吹き飛ばしてしまった。
「エレミア!」
「畜生・・・!」
家屋に激突し、頭から血を流したエレミアはそれでも立ち上がってメイスを構える。
「エレミア!頭部から出血しているぞ!お前には無理だ!」
「うるせぇ!非戦闘員は引っ込んでろ!!」
区長の言葉を一蹴したエレミアは自身の頭から流れてきた血を舐めて笑みを浮かべながら言った。
「黙って見てたら助けられねぇ命があるんだよ!」
「エレミア・・・」
彼女の言葉に突き動かされた僕は再び立ち上がって剣を構える。皆を守る為に一人でアイツを倒そうと思ったけど・・・無理だ!
「カイ!ウィルダー!」
「やっと頼る気になったか!」
「その意気だ!俺達が束なら勝てる!」
「あら、その勝率は占ったのかしら?」
勝率があると言ったウィルダーに対してルーチェは揶揄うように返す。
「いや・・・俺の勘だ。」
ウィルダーの答えに僕達は自然と笑みを浮かべる。
「ちょっと皆!」
すると病室で休んでいたシルヴァが駆け付けて声をかける。
「テメェ!休んでろって言ってただろ!」
「待ってるだけじゃ救えない命があるんでしょ?」
「・・・ケッ。そう来たか!自己責任だぜ!」
自分の口癖をそっくりそのまま返されたエレミアは笑みを浮かべ、彼女の戦闘参加を許可する。
「ん?なんだ!?うわぁぁぁぁっ!」
刹那、帝国兵達の方から悲鳴が上がり出す。
「准将!未確認の獣に攻撃を・・・」
「どけっ!」
「ぎゃぁぁああっ!」
報告に来た帝国兵すらもなぎ倒した獣は僕らの前までやって来る。
「エルデ!?どうしてここに!?」
「悪りぃ!遅くなった!この近くに安全に船を停泊できる場所があってな。ここまでやってきた。」
エルデはそう言うとアレスに視線を移した。
「テメェがアレスか?悪りぃがシエルを殺るんなら俺達が許さねぇぞ!」
アレスを睨んだエルデは僕らの前に立って身構える。全員揃った上にエレミアとウィルダーもいる!これなら勝てるぞ!
「待ちな!」
しかし、その僕らの勢いを挫くかのように声が響くとアレスの前に帝国士官と思しき女性とその部下達が現れた。
「チッ、増援か。制服からして中佐みてぇだな。」
「ご名答。アタシはカリオストロ!ロワ帝国中佐!だが、アタシは特殊でねぇ。宰相直轄の部下ってことで今は二階級特進扱いの准将でもあるのさ!」
「宰相?」
カリオストロと名乗った女性士官から放たれた名称に眉を寄せる。
「ロワ帝国宰相。ロワ帝国軍の全権を掌握する立場にして世界征服作戦を仕切ってる張本人だ。」
カイはそう言って宰相の役割を答えてくれた。つまり宰相はロワ帝国事実上のトップと言うべき存在。その直属の部下が目の前に!?
「どうだい?ビビって小便漏らしただろう?」
「その程度で狼狽える程弱くねぇよ!」
嘲笑うカリオストロにエルデは顔を顰めた。
「アンタ達。知ってるかい?帝国内だとアンタ達は指名手配されているんだよ。特にマルケイルでアヌビスを倒したことはウチの上司も怒っててねぇ〜」
「そんなの関係ない!支配に任せて世界を統治するのは間違っている!この世界は自由であるべきなんだ!」
僕の反論にアレスは鉄仮面から覗かせる目を見開く。
「甘ちゃんだねぇ!それで済むなら騎士も軍人も要らないのさ!」
「その日が来るまで戦う!それが騎士だ!」
カリオストロの言葉に僕は更に反論を返す。
「チッ、大人しく捕まってくれたら苦労しないのにさ!」
「気を付けろ!仕掛けてくるぞ!」
身構えたカリオストロを僕達は警戒する。刹那、地面が微かに揺れると地中から土で出来た巨大な蛇が現れた。
「な、何よあれ!」
「分かんねぇ!魔法かなんかか?アンタなら分かるだろ?」
大蛇を見たエレミアがルーチェに尋ねる。しかし、魔法に対して博識な彼女ですら大蛇の正体がなんなのか分からない表情を浮かべていた。
「魔法?そんな安っぽい芸当じゃないのさ!」
しかし、カリオストロはこれが魔法ではないと否定する。じゃあ、あれは何なんだ?明らかに魔法に見えるけど・・・
「アタシが使うのは錬金術!ルーツは魔法だが魔法よりも優れた術さ!さあ!御託は終わりだ!やりな!ウロボロス!!」
カリオストロの指示で土の大蛇ウロボロスは大きな口を開けて咆哮を上げると巨大なしっぽを振り上げ、僕らに攻撃してきた。
「クソッ!おい!シエル!精霊の力を寄越せ!」
「分かった!」
僕は精霊の力を解放するとサラマンダーの力をシルヴァにウンディーネの力をカイにシルフの力をエルデに纏わせた。
「エルデ!手ェ貸せ!」
「任せろ!」
獣化しているエルデはカイを背中に乗せると風を纏ったまま勢いよく地面を駆け出す。
「喰らいな!"風水撃(ふうすいげき)"ッ!」
聖なる風と水の力を纏ったカイの薙刀は青と緑色の鮮やかな斬撃を放ってウロボロスに直撃するとウロボロスは雄叫びを上げながらゴロゴロと音を立てて呆気なく崩壊していった。
「チッ、小賢しいねぇ!精霊の力?そんな迷信な力を使って強いと威張れるのかい?」
「負け惜しみか?」
舌打ちするカリオストロにカイは笑みを浮かべる。
「ふん、だったらこれはどうだい!」
するとカリオストロは懐から赤い石を取り出す。なんだ?あれ・・・よく分からないけどあれから物凄く嫌なものを感じる。
「とっておきさ!錬金術の最高潮"賢者の石"の力を見るがいい!」
禍々しいオーラを纏った赤い石はカリオストロの声に呼応して輝く。
「なっ!?」
刹那、僕らが纏っていた精霊の力があっという間に赤い石の中へ吸い込まれていく。そんな!!精霊の力が吸い込まれた!?
「クククククッ!精霊の力・・・返して欲しいかい?返してあげるよッ!」
笑みを浮かべたカリオストロは石から吸い込んだ精霊の力を発すると僕らに襲いかかるのだった。
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