Chevalier『シュバリエ』〜約束の騎士達の物語〜   作:ジャック・オー・ワンタン

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お久しぶりです!

プライベートが落ち着いたので続きを書いて参ります!
なろう版は不具合のせいで投稿できません。



第65話:それぞれの戦い

三属性の精霊の力をもろに受けた僕達は全員地面に倒れてしまう。くそっ!頼りにしていた精霊の力すら利用されてしまうなんて。

 

「アッハッハッハッハッ!!無様だねぇ!」

「黙れよ・・・この程度でくたばるか!クソが!」

 

高笑いするカリオストロに対し、カイは屈することなく立ち上がる。そうだ!ここで諦めたらいけない!立つんだ!

 

「アレス准将!カリオストロ准将相当官!準備が整いました。」

 

すると帝国兵の一人がアレスとカリオストロに報告をする。何の準備だ?カイに続いてなんとか立ち上がった僕は帝国の連中を見る。

 

「ご苦労。では行こうではないか。グランデ・キャニオンへ。」

「グランデ・キャニオンだと!?一体何を・・・うっ!?」

すると区長ウィスターが突然苦しんで地面に蹲る。

 

「ッ!?区長!!」

 

それにいち早く気付いたエレミアと医者達はすぐさま区長の元へ駆け寄った。

 

「嘘だろ?」

「そんな!」

 

僕らもまた区長の容態を見て絶句する。なんと彼の腹部には知らないうちに瓦礫の破片が刺さっていたのだ。もしかしてさっきの精霊攻撃で?

 

「区長!しっかりしろ!私だ!エレミアだ!分かるか?」

「ダメです!意識がありません!」

「血圧は?」

「下がっています!出血も止まりません!」

 

医者達が会話する中、アレス達はそれを無視して立ち去ろうとする。

 

「ッ!おい!待てッ!」

「それで待つと思うかい?まあ、アンタ達も気になるなら来るといいさ!」

 

カリオストロはそれだけ言い残すとアレス達と共にこの場を後にする。今の体力で深追いは無理だ。それより区長ウィスターが!

 

「応急処置は施した。だが、これでは!」

「破片が内蔵にまで達している。一早いオペが必要だろう。」

 

壮年の医者がそう言葉を漏らす。しかし、執刀医として名乗り出る者は誰一人としていない。いや、区長を除いて出来る者が居ないのだ。・・・一人を除いて。

 

「アフラン自治区で執刀が出来るのは区長とお前だけだ。・・・エレミア。」

 

エレミアに顔を向けて言った。しかし、過去のトラウマを抱えていた彼女の表情は険しく応急処置を施していた手が小刻みに震えていた。

 

「いや・・・だめだ。アタシには・・・出来ない。やれば失敗する。」

「何を言っているんだ!今、オペが出来るのはお前だけなんだぞ!」

「でも!」

「失敗を恐れるな!区長はそう言っていただろう?」

 

医者の言葉にエレミアは葛藤する。次第に辛い表情をする彼女を見て他の医者達は諦めの様子を見せ始めた。僕もかける言葉を失い、ただこの状況を見るだけに留まっていたその時。咄嗟にシルヴァがエレミアの元へ駆け寄ると彼女の肩に手を優しく置いた。

 

「シルヴァ?」

 

シルヴァの行動にキョトンとすると彼女は笑みを浮かべてエレミアに言った。

 

「アタシを助けてくれたアンタなら出来るわよ。大事なのは『失敗をしないこと』じゃなくて『絶対にやり遂げる意志』じゃないの?それにアンタが言ったんでしょ?"待ってるだけじゃ救えない命がある"ってさ。」

 

その言葉にエレミアは震えた手を止め、暫く俯くと意を決した表情をすると医者達に指示を飛ばした。

 

「・・・オペ室へ運ぶよ。準備しなッ!」

「エレミア!・・・分かった!サポートは俺がやろう!」

「よし、薬剤とアドレナリン。麻酔の用意をしろ!」

的確に指示を送ったエレミアは小さな身体で区長を載せた担架の後を追う。

 

「オレ達もやらなきゃな。アイツにはアイツの戦いがある。」

 

カイは口元に付いた血を拭いながら言った。

 

「そうだね。僕達も行こう!"グランデ・キャニオン"へ!」

 

アフラン自治区から見える大きな山を指して皆を見る。そうだ!戦わないといけない!僕らは帝国とエレミアは過去のトラウマと!

 

◇◇◇

 

「これより。区長の腹腔鏡下手術を行う。・・・メス。」

 

オペ室に入ったエレミアは緊張しながらも冷静な表情で開復術を行う。長らくメスを握っていなかったが彼女のオペの腕は健在だった。

 

「破片、取り除きます。」

「分かった。クリップ。」

 

破片を取り除く為、エレミアは一時血管から血液が漏れないように施術を行うと区長の腹部に刺さっていた破片を無事に取り出すことに成功した。

 

「破片。除去しました。」

「よし。血管を縫合して閉じるよ。」

 

何事もなく手術を終え、一安心・・・そう思っていた時だった。

 

「血圧低下!心拍数も下がっています!!」

「・・・ッ!?」

 

容態が急変し、モニターからけたたましい音が鳴り響く。蘇るトラウマ・・・人を救えない恐怖がエレミアの心を蝕んでいく。

 

「エレミア!落ち着け!」

 

呼吸が荒くなるエレミアにサポートの医者が檄を飛ばす。しかし、焦る彼女にその言葉は届かない。

 

「やっぱり・・・アタシは・・・アタシは・・・!」

 

◇◇◇

 

 エレミアがオペで奮闘していた頃。僕達は医者達に気休め程度ではあるが怪我を治療して貰い、アレス、カリオストロら帝国軍が向かった山・・・グランデ・キャニオンの麓まで辿り着いた。

 

「ここがグランデ・キャニオンか。」

「予めアフラン自治区の医者に場所を聞いておいて正解だったな。」

 

ウィルダーはそう言って目の前に聳え立つグランデ・キャニオンを見上げた。

 

「ねぇ!あれ見てよ!」

 

するとシルヴァが何かを見つけて僕達もそちらに顔を向けるとそこには帝国の戦艦が停泊していた。

 

「チッ。あんな所に隠してやがったか。つくづくクソな連中だ。」

「おやおや・・・早かった様だねぇ~」

 

停泊している戦艦の方から多くの人影が現れると僕達を囲むようにしてカリオストロ率いる帝国兵が姿を現す。

 

「全員で歓迎か。優遇されてんな。俺達は。」

「同感だ!ぶっ殺し甲斐があるぜ!」

 

エルデとカイはそう言いながら互いの背中を預けて身構える。

 

「貴方達に聞きたいことがあります。どうしてここに来たのですか?」

 

僕はカリオストロを見てそう尋ねる。ここへ来た奴らの目的は一体何なのか?カリオストロは不敵な笑みを浮かべてこう答えた。

 

「簡単なことさ。”土の精霊ノーム”を回収しに来たのさ。」

「ッ!?」

 

彼女の目的に僕達は戦慄がはしった。精霊を・・・取りに来ただって!?するとウィルダーは身構えながらカリオストロに言った。

 

「それは無理な話だ。精霊は聖剣を持っている奴の前にしか現れない。」

「あぁ、そうさ。でもアンタ達も見ただろう?」

 

しかし、カリオストロは自身気に先程使用したあの赤い石を取り出す。

 

「賢者の石!アタシが錬金術で作成した魔石よりも優れた石!あらゆる元素、万物の力を吸い取り、力にする!それは精霊の力も例外じゃないのさ!」

「そんな!精霊の力が効かないって事?」

 

カリオストロの出した赤い石・・・賢者の石の効果を知ってシルヴァは絶望する。正直、僕もシルヴァと同じ気持ちだ。

 

精霊の力ありきという訳ではないが僕らの素の戦闘力でもこれ程の帝国兵を倒すのは難しい。

 

仮に全員倒せたとしてカリオストロとアレスに勝てるのか?彼女だけならともかくアレスも控えているとなると話は別だ。

 

「さあ?大人しく降参するかい?今なら命だけは取らないでやるさ。」

「クソッ!おい!シエル!どうする?」

 

カイは汗を流しながら僕を見る。考えろ・・・どうやったらアイツらに勝てる?打つ手はもう無いのか?嫌、絶対に・・・

 

「絶対に・・・」

「あん?」

 

無意識の行動だった。ゆっくりとエクスカリバーを構えた僕はカリオストロを睨んだ。

 

「絶対に・・・諦めない!!」

 

そう叫んだ途端、僕の身体を蒼白い稲妻が纏うとそれは衝撃波の様に広がって帝国兵の半数を戦闘不能に追い込むのだった。

 

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