ヘビはカエルに食べられる。たまに兎に食べられる。 作:Kkmn
薄暗い部屋の中、唯一の光源は、青白い輝きを放つパソコンの画面だった。壁に取り付けられたモニターが、今まさに実験が行われていることを示すように、ちらちらと明滅している。部屋の中央に置かれた大きな机には、乱雑に積み重ねられた資料や試験管、奇妙な液体が入ったビーカーが散らばっている。
「は~、どうせなら事務所が近くのギャングオルカが来てくれればよかったのに、せっかく"安定型"のこの子の実戦データ収集のチャンスがフイになりましたわ。ねぇドクター?」
「アホっ!文句を言う暇があったら手をうごかせぇい!こっちはお前がアホみたいな調整した方の脳無の記録を収集するので忙しいんじゃっ!あ~~~ワシの可愛い脳無よ、こんなアホがいるせいで未完成で放り出されて可哀そうに…」
その机に向かって、ひとりの女が座っていた。ウェーブがかった金髪が彼女の顔に影を落とし、その冷徹な眼差しはスクリーンに釘付けになっている。彼女の唇には満足げな微笑が浮かんでいた。白衣の袖をまくり上げ、スリムな指がキーボードの上を軽やかに踊る。
「まぁまぁ、失敗作ちゃんが予想以上に頑張ってくれてますし。コレでヨシとしますわ。…しかしまぁ」
モニターに映る光景に思わずほくそ笑む。醜い蛇の少女は
「さて…もういいですわね。先に北の方に送った子たちもエンデヴァーとオールマイトに消し炭にされたみたいですし、そろそろこっちに来るかもですわ…『そいつを殺しちゃいなさい』」
この命令でリミッターが解除され、あの薄汚い蛇は処分されるはずだ。ちょうど雨も降ってきたようだし回収してメンテナンスと修理をしてあげよう。
「さてコーヒーコーヒー。先生様も方も目ぼしい個性をご発見なされてると良いのですけれど。」
書類の山に埋もれていたコーヒーサイフォンを引っ張り出し、沸かしたお湯を投入していく。今頃手筈通りに進んでいれば、風見の方では先生が駆け付けた有象無象のヒーローを殺害&個性はく奪しているはずだ。もちろん姿を隠して。
「いや~~楽しみですわぁ!!もし"サーチ"とか"巨大化"とかがゲットできれば、脳無ちゃんが凄いことになりま─────おお???」
出来上がったコーヒーをフラスコで直に一気飲みしていた私はモニターに映った情報に噴き出しそうになる。いやおかしいおかしい。なんで
「は…?誰ですかこれ???子供???学生???は???」
その脳無の電子機器から送られた映像に映っているのは…カエルっぽい見た目をした学生?なんだコイツ?いや何でこんな奴に対オールマイト調整したこの子がダウンさせられてる??そんなことがありえるのか?
「ワハハハハ!!こっ、子供に負けとるぞお前の脳無!ワハハハハハ!」
「チッ…ああもうコーヒーがクソ不味くなりますわ!!」
彼女は苛立ちを露わにしたまま腰を再び椅子に深く預け、ヘッドセットを付けなおした。
──────▼▼──────
『何してるんですのおバカ!!さっさと起きなさーい!!!目の前の子供がオールマイトより強いとでも!?』
「…………??」
唇に指を当て、思わず聞こえて来たその声に首を傾げてしまう。だが今はそんなことどうでもいい。それよりもさっきまで戦っていたナナちゃんの方が大切だ。その倒れる巨漢を尻目に後方でうずくまりえづく彼女にそっと寄り添い、両肩に手を添える。
「大丈夫?ナナちゃ─────」
「なんデ!!!!!きた!!!!!??」
目がちょっとだけまん丸になる。えぇ?この子この期に及んでまだそんなこと言ってるのかしら。っと、そんなこと言うと余計に傷つけてしまいそうなので少し聞いてあげる。
「関係ないって言ったのに!!!!自分一人だけのことっていったのに!!!なんでいつも!!!そんなおせっかいばっかりして!!!!甘えたくないのに!!!どうしていつも─────んむぐっ!?!」
「─────ちゅうっ……ケロんむ…///」
そのうるさい口をキスで黙らせ、涙でグチャグチャになった顔を胸の中にぎゅっと抱きしめてあげる。いつも以上に儚く小さく感じられる彼女のボロボロのカラダ。そうか…この心の底からふつふつと湧いてくる温かい気持ち。これが母性なのかしら。
「ん……や、めっ…ふしゃるむっ…///」
生意気なことを言う悪いナナちゃんのベロをたっぷりお仕置きした20秒くらいの長いキスの後、ちょっと名残惜しいけど唇を引き離す。
「はい、これでバッチリ回復したわね。それに私もカラダがとっても調子よくなったわ。」
「あ、あぅ……///」
えっちすると回復する個性はキスでもバッチリ直してくれるみたい。おかげでナナちゃんの傷は治ったし、私は普段の数十倍くらい調子がいいわ!うん、雨も降ってきたしこれ以上ない最高のパフォーマンスね、ケロケロ。
「さて、それじゃあちょっと待っててね。あっちの悪い子にもおしおきしてくるわ」
「…えっ…まっ…!!」
「ダメ、ナナちゃんだって待ってくれなかったもん」
ちょっと意地悪な笑みを浮かべて、ナナちゃんの頭をナデナデしてから化け物の方へ歩みを進める。
「それにね、多分──────────勝てるわ」
「???」
キョトン、と綺麗な琥珀のお目目を見開いた彼女の顔はとっても可愛らしい。何でこの子の一挙一動は母性本能をくすぐるのかしら。
『はぁぁぁぁ~~!?!勝てるゥ~~??思いあがったメスガキがクッソつまんねぇご冗談でございますわぁ!!そういうガキの命乞いを聞くのが私サイッコウに好きなんですの!!!─────『脳無、このきったねぇカエル面を叩き殺しあそばせ!!』』
「あなた、喋り方下品ね」
「─────GYARUGYARUGYARUGARU!!!!!!!!」
「ごめんなさい。あなたに言ったんじゃないのよ」
私よりも、お父さんよりも遥かに一回りも二回り以上も大きいその巨体が低いうなり声をあげてこちらに突進してくる。スピードも速いし筋肉が膨張する異常な音からして直撃すると死は免れないと感じる。ただ、いくら何でも予備動作が大きすぎる。避けるなら簡単だが、後ろにはナナちゃんがいるのだ、避けられない、なら。
「ケロ」
予備動作の時点で予め軽く跳躍していた結果、まんまとその黒い肌の怪物は一番の弱点…よね?頭の部分を思い切り私の落下地点に晒すことになってしまった。空中で身体をスピンさせ、蛙の尋常ならざる脚力を乗せた蹴りの一撃がその頭に叩き込まれる。
「─────
─────GUSYAAAA!!!
…我ながら怖いくらいの快音と共にその脳がベコリと凹む。それだけでは飽き足らず、その勢いそのままに彼の首から先はアスファルトに深々と埋まってしまった。プスプスと黒い煙を上げて頭を地面に埋めてるその巨漢に、追撃すべきか大いに迷う。
「ご、ごめんなさい…人に打つのは初めてで…痛くなかったかしら」
『─────!!(ピガー)─────!!おふざけあそばせ!?オールマイト、オールマイトと互角のパワーですのよ!?何故あなたみてぇなケツの青いガキに!!』
「ケロッ」
埋まったままの巨漢の脚が関節を無視してまがり、こちらに蹴りかかってくる。しかし遅い。雨で動きやすいしナナちゃんのキスのおかげで身体に元気が無限に溢れてくる。多分今ならミルコさんのキックだって避けれる!…かしら。1秒前に私がいたとこを蹴り飛ばした太い脚は、たまたま近くにあった電柱と雑居ビルの外壁を軽々と粉砕してしまう。
「─────GOWAGOWAMUJUJU!!!」
「…これ以上暴れて欲しくないわね。どうしようかしら。」
あの電話のヒーロー、ミッドナイトさんだったかしら?彼女はまだ救助を待っている民間人がいると言っていた。なら街の建物に被害を出すわけにはいかない、建物の下敷になり死ぬ人だっているかもしれない。じゃあガードする?ナナちゃんを時々キスしながらガードしてもらえば…現実的じゃないわね。しかし避ければ余波で死人が出るかもしれない。
(─────じゃあもうミルコさんと特訓した"アレ"しかないわね。)
『馬鹿が!向こうから突っ込んできやがりましたわ!お望み通りぶち殺して遊びばせなさい!私の脳無!』
瞬間、その化け物の腕が数十本になり、その拳が全部飛んできた。いや、早すぎてそう見えるだけなのだが、それでも今の私なら対応できる。何とかできる!聴力も触覚も何もかもをフル動員して!
「私のお友達を傷つけたおしおき、させてもらうわよ!!」
その最初の巨大な拳が私の腹部に直撃して─────その強大な衝撃は内臓に達し、脊髄に至り、そして腰、最後に脚へと至り─────そして
「df8&*GJ4j$#!2Klg~}{V7!<>}hs9!?!?!?!」
耳が聞こえなくなるほどの炸裂音!!そしてそれをそのまま!!迫ってくる全部の拳に対して同じことをする!!!
─────▼▼─────
『お前バカ正直に攻撃受けすぎって前にいったろ?お前にピッタリの技があんだよ!アタシが昔やろうとして失敗したヤツ!!』
ミルコさんと出会って2日目、ナナちゃんのカラダに変な発信機とかがないかをまだ調べている間のことだ。な・ぜ・か、ナナちゃんは乱れたベッドの上で裸でお昼までぐっすり寝てたので、ミルコさんは私を連れ出してどこかのビルの屋上へと跳んできた。
『スリッピングアウェイだ!それも衝撃を殺すだけじゃねぇ!相手にそのままぶつける!!!これができりゃお前はオールマイトにも勝てるぞ!』
『スリ…なんて??いえ別にオールマイトと戦いたくないし…。っていうかどうして私に?ヒーローなのに民間人に訓練していいの?』
『ハハハハハ!質問多いなオイ!』
わしゃわしゃと大きな手で髪を撫でつけられる、ケロ、私長女だからこういうの何か新鮮だわ。
『お前"蛙"だろ?アタシの"兎"並みに脚太ってぇ上に、柔軟さは多分お前の方が上だ!この間"蹴って"わかった!鍛えりゃお前はアタシくらいにぴょんぴょん跳ねて蹴れるヒーローになれる!!』
『……??太くないわよ?私に二代目ミルコになれってこと??』
『ちげーよ!!死ぬまで引退しねーわバカ!惚れたヤツくらい守れるようにしてやるっつってんだ!』
なるほどナナちゃんのことね。でも…私が強くなる意味なんてあるのかしら…?ミルコさんもいるし、ナナちゃんがもし何か事件に巻き込まれても、ヒーローや警察が来るまで待つべきでしょうし…。そんな考えを読み取ったかわからないけどミルコさんは。
『お前ガマンできるようなツラしてねぇもんな!もしアイツが何か危険な目にあってたら何も考えずに飛び出すだろ!!』
大笑いしながらそんなことを告げられてしまっては、うぐ、と反論の言葉も喉から出てこなかった。
『安心しろ。そんときゃ迷わず個性使って飛び出せ!他の奴らに見つかったらアタシの名前出せ!!安心しろ!一度守るって決めたヤツぁぜってぇ守ってやる!減俸でも停職でも免停でも喰らってやらァ!!!』
─────▼▼─────
─────ええ。私も同じよ。ミルコさん。
記憶の中の師に、心の中でそう呟く。もはや目の前の巨漢は明らかに疲労とダメージが見て取れ、全身がふらついていた。それに対して私の身体はいまだ健康万全そのものだ。蛙の身体と相性のスリッピングアウェイと言えど無傷では済まない、実際既に何回か骨にヒビも入っているはずだ。しかしおそらく…いや、ナナちゃんとのキスのおかげか、まるで"超再生"の個性でもあるかのようにスグに治癒してしまうのだ。
「─────ふしゃぁっ!!」
グラついた隙を突き、そのナナちゃんが蛇の下半身でとぐろを巻くようにその巨漢をあっという間に拘束する。しかし馬鹿力で腕だけを無理やりこじ開け、最後の力を込めて大ぶりの拳を掲げた。もちろん標的は─────私。
「ナナちゃん、しっかりガードしててね」
「…?!?…うん!」
生存本能がアラートをけたたましく鳴らしているのを感じる。なるほど、オールマイトが本気を出して人を殴り殺そうとしたらきっとこんな感じになるのかしら。きっとあれを避ければこの背後にある家数件─────否、この町なみそのものが破壊されてしまってもおかしくない。まさに必殺の一撃。
「来なさい」
「2Lm!#f8G@4*&jKlV7~<>9g3@+}{[>1!!!!!!!」
冷たく告げると、その化け物は今までのどんな一撃よりも重い拳を前に突き出してきた。これを受けるの?私が?と一瞬冷静になるが、ダメだ。ミルコさんも言ってたじゃない。"ステゴロは冷静になったら負ける"って!!
「ケ──────────」
─────GURASHAAAA!!
鼓膜が爆発した。アッパーカットだ。視界が明暗し、顎が、全身の骨が砕け散りそうに、いや、砕けた─────それがどうしたって言うの!?全身の骨が砕けたくらいで!!!気絶なんかしてるんじゃないわよ蛙吹梅雨!!!!あの子の前でしょ!私はこの子のヒーローなのよ!!!
そのまま空中で一回転して!体内で炸裂して暴れまわる衝撃を一か所に集約させて!ナナちゃんから貰った再生で必要な骨だけ最低限の修復をして!!目の前の敵に叩きこむのよッ!!!
「─────
その蹴りが敵の体に炸裂した瞬間、地面が轟音とともに爆発した。
高評価1件ごとに梅雨ちゃんのぱうぁーが1000000%デラウェア・デトロイトスマッシュします。
あとえっちぱうぁーも1000000%デラウェア・デトロイトスマッシュします。
どういう展開がいい?
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スーパー梅雨ちゃん無双
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主人公ちゃんがひたすらえっちぃ目に
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スーパーミルコさん無双
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ひたすら百合百合