ヘビはカエルに食べられる。たまに兎に食べられる。 作:Kkmn
その警察署の会議室に緊張感が漂っていた。中央のコの字テーブルにはオールマイトを始めとした事件に関わったヒーロー達が集まる。天井の蛍光灯が冷たい光を放ち、部屋全体を明るく照らし出しているが、その光はむしろ事件の深刻さを一層際立たせるかのようだった。
「状況を整理しましょう。」と、主任刑事の塚内が口を開いた。彼の声は低く落ち着いていたが、その目には鋭い光が宿っていた。テーブルの中央に置かれたホワイトボードには、事件現場の写真や関係者の情報が貼り付けられており、複雑に絡み合う糸が描かれている。
「被疑者である敵は合わせて4人、まず最初に北方の地方村を襲撃したのが二人、オールマイトとエンデヴァーが捕縛。そして次に数分後、同じタイミングで風見と塩野を襲撃したのが二人。それぞれミルコとギャングオルカが捕縛」
「どうみても最初の2匹は陽動でエサだな。俺達はまんまと釣られてしまったというわけだ、なぁNo.1」
一番ホワイトボードが見やすい位置に座っているエンデヴァーのおっさんがオールマイトを煽るように笑う。いいぞそのまま喧嘩しろ!!いい加減オールマイトも微笑むだけじゃなくて乗ってやれよ!オッサンが可哀そうだろ!
「で、何かそいつらから証言は得られたのか?最も俺が塩野で捕らえたヤツはイカれてるようにしか見えなかったが」
「んだな、アタシと喧嘩したヤツも何も考えてなかったな」
塚内はかぶりを振ってそれに答える。コイツなんで部屋の中なのにコートきてんだよ。
「残念ながら何一つ証言は得られなかった。と言うより…確保してから5時間後、皆同じタイミングで死亡した。死因はまだ究明中だが心臓麻痺と思われる」
「死亡……同じタイミング、ねぇ。私達が戦ったアレは、果たして本当に人間だったのかしら?何かの個性で作り出された生き物だったりしないの?呼吸をほとんどしてなかったら、私の個性も効果薄だったわ」
「いや、DNA鑑定は人間だった…ただ、薬学的や医学的に多大な改造を施されていたらしい。それと米国や中国で行われている個性強化手術のような類のものも。」
「……どんなコトをしたら人間があんなのになるのよ」
その正体を知っているアタシは、あのヘビっ子の言っていたことはどうやら全て本当のようだと改めて頷いた。
「ソイツら、個性複数持ちだろ?特に風見のヤツは少なく見積もっても8つはあったぜ」
その言葉に全員の注目が一気にアタシに集まる。それを受けて刑事は言葉を続けた。
「……ああ、その通りだ。因子検査の結果、この敵達は全員複数の個性を持っていることが判明した。最も多い者はその数なんと13つ」
「ありえん。そうそういるもんじゃないだろう複数持ちなど!」
「何かそういう横の繋がりや組織でもあるのか?異形個性の人々みたいに、複数個性の人たちの集まりのような…」
「ギネスでも確か4つよね?複数個性は」
流石にその言葉にはヒーロー達も少し戸惑いの色が隠せていないらしい。…その中でもひと際固まってるのはオールマイトだな。笑顔のまま何考えこんでんだアレ。……そうだ、ちょっとカマかけてみるか!
「────個性を与えたり奪ったりできるヤツがいるんじゃねぇか?こんなのもうそう考えるしかねぇだろ」
…オールマイトの顔から笑みが消えたな。
「バカバカしい、そんな敵がいるなら何故No.1の個性を奪いに来ない?」
「流石にそんな個性の敵がいたら、もうとっくにこの世界はそいつが支配しているだろう」
「それよりも個性強化手術の延長線上で考えた方が現実的だと思うけど」
で、アタシはアホみたいにオールマイト以外の全員からブーイングを受けると!コイツら全員ケンカしてやろうか!!
「悪ィ悪イ!さすがにそんな個性あるわけねーよな!!」
ハハハ、と笑い飛ばしてその場は誤魔化すが…。あのヘビっ子が嘘ついてなさそうな以上、それがマジっぽいんだよなぁ。どうやって伝えたもんか…。あーマジめんどくせぇ。ケンカしてぇ。それかヘビっ子抱きてぇ。
「…………?」
何か視線を感じてその方に目をやると─────笑ってないオールマイトと目があった…睨んでんのかアレ?やべぇゾクゾクする!あんな顔したオールマイトと真剣ガチでやり合ってみてぇ!!
──────▼▼──────
「ケロケロ、長かったわね。」
警察所内の受付前の待合椅子に腰かけながら、私はめっずらしいスーツ姿のミルコさんを出迎えたわ。いや…ホント似合ってないし、なんでスーツなのに胸出してるのこの人。写真撮っておこうかしら。
「おう!お前も取り調べご苦労さん!変なコト言われなかったか!!」
「まったく。みんないい人ばっかりだったわ」
ぽんぽんと私の頭が叩かられる。そう、私は目撃者としてちょっと警察所内で刑事とヒーローの人たち相手にお話をしなきゃいけなかったの。もちろんまぁ色々脚色して誤魔化したけど。
「あらお師匠をお出迎えかしら?ルミのお弟子ちゃん」
「ケロっ。あなたは…もしかしてミッドナイトさん?」
「やっぱりアナタがそうだったのね!薄々そうなんじゃないかとあの時から思ってたのよ~!!や~~小さい!かわいい~~♪」
「ぎゅむむ」
スーツ姿だから本気で分からなかったわ。嫌だってヒーロー姿と360度くらい別人なんだもの。まるで先生みたいな恰好よ。
「ちょっとどういう風邪の吹き回しなの?『チームアップは弱虫のすることだ!!』とか何とかいってたじゃない!あ、それともアレ?この子はもしかして2代目ミルコに─────」
「ちげーよバカ!!死ぬまで引退しねーっての!!良い根性してやがるから喧嘩教えてやってるだけだ!」
「へぇ~~??え?お名前は?何年生?この子とはどうやって出会ったの?」
「蛙吹梅雨よ。中学3年で、ミルコさんのお仕事の邪魔しちゃったのがキッカケだったわ」
そんな風に抱きしめられていると、ふわぁ…♡と良い香りがどこからともなく漂ってくる。ケロ。なるほど…ナナちゃんの”魅惑”より爽やかだけど甘すぎず、どこかスッキリとするような香り。
「ちゅちゅちゅ、中学生!?いいなぁ~~これから青春真っ盛りじゃない!ちょっとルミ!この子の素敵な青春生活の邪魔しちゃダメよ!!」
「めんどくせー……あそうだセンパイ、ちょっとアンタをプロと見込んで聞きたいことがあるんだけどさ」
「えぇ!?ルミが私に!?ちょっと何やめてよそんな明日雪が降るんじゃないかしら!…あ、分かったわ!このお弟子ちゃんをどう教育すべきかってコトね!任せてよこう見えても私は教師として数多のプロヒーローを─────」
「いや、女同士でヤる時なんだけどさ。最近ちょっと思いつくのやりつくしちまって。先輩ならそういうの詳しいかな~~ってさ」
そこまで言うとあのミッドナイトさんのキラキラした整った美しい顔がカチーン!と音を立てて凍ってしまった。あ、私も気になるわそれ、私もナナちゃんと色んな体勢やプレイを試したけども、ちょっと物足りないのよね。なんかこうもっと刺激が欲しいわ。
「──────────」
「アレ??お~~い?せんぱ~~~い??大丈夫かァ?この前の敵にコイツみたいに鼓膜やられちまったのか?」
「─────ハッ!?いや…え?そのあのねルミ?中学生と大人でそういうコトするのは例え同性であっても、同意があったとしても法律に抵触する可能性があるのよ?だからね?その、そういう若気の至りは嫌いじゃないし何も言わないけど、そういったことは例え親しい人でも簡単には言っちゃだめよ??」
彼女の顔が途端に優しい、そうまるで子供に向けるような生暖かいような笑みになって。ミルコさんの頭をよしよしと撫でて─────こう見るとミルコさんに比べてミッドナイトさんの身長ってすっごく高いわね、ホントにモデルさんみたいだわ。で、対するミルコさんは頭に?マーク浮かべて首を傾げてるわ、可愛い。
「は?…ああ、まだコイツとはヤってねぇぞ?いや直接はヤってねぇけど二人でアイツを─────」
「キャー!!STOP!!STOP!!ダメ!!後で電話でたっぷり教えてあげるから黙りなさい!!ココどこだと思ってんのよ!!!」
「ケロ、ごめんなさいね、ミッドナイトさん。この人ちょっと天然だから」
「????」
あまぁいニオイを充満するミッドナイトさんの胸元から抜け出し、ミルコさんのおててを掴んでズルズルと引っ張っていく。そういえば確かこの人はヒーローと並行して雄英で教師をしているらしいわね、何だか苦労人の気配がするわケロケロ。
「蛙吹ちゃん!LINEあげるからいつでも連絡してね!そのアホ師匠のコトで何かあったらすぐに私に電話するのよ!!」
「ありがとうございます、ミッドナイトさんも活動頑張ってくださいね」
「良い子!!!!!!」
ブワァと涙を溢れさせた彼女に向かって手を振り、警察署を後にする。学校の近くの警察署とはいえ、一時間以上も取り調べされれば少し疲れてしまったわ。そしてミルコさんからバイクのヘルメットを受け取り─────ミルコさんのヘルメット、兎耳が出てるけどアレはいいのかしら…???
「さっさと帰るか。日曜に悪ィけどもうちょっと付き合え!!」
「もちろんよ、気にしないで」
その立派なバイクの後ろ座席に座り、ミルコさんの身体に抱き着く。ジャケットに覆われたその背中はとっても大きくて、とってもガッチリしてて、こんな風に抱き着いているととっても安心するわ。…出張続きでお母さんもお父さんにもそんなに甘えられなかったし、こんな風に誰かに抱き着くのなんて久しぶり。
「おッし!脱兎の如く跳ばすぞぉ!!死ぬ気で捕まってろォ!!!」
かき鳴らされるエンジン音をともに、風圧が浴びかかってくる。でもミルコさんに抱っこされながら跳んだ時ほどじゃないわ。
「ミルコさんなら跳んだ方が早くないかしら。一直線で帰れるし」
「そりゃ敵でもでりゃあ跳ぶけどな!たまにはコイツも走らせてやんないと機嫌悪くなンだよ!!それにアレだ!下にコス着てねぇしな今!!」
「ケロ、そうなのね」
─────▼▼─────
風を切る音とエンジン音に負けぬよう叫ぶ。風が気持ちいい。もう6月の中旬ともなると暑さも本格的になってきている。街行く人やヒーローも夏の装いの割合が増えてきた。
「お前さ、アイツ…ヘビっ子から何処まで聞いた?」
「ケロ?何処までって言うと?」
ミルコさんの大きく落ち着いた声が私の耳朶を打つ。癖で思わず口元に手をやろうとしたけど、今しがみついてるのを忘れてわ、危ない危ない。
「アイツまだアタシらに何か隠してやがるんだよな。それも自分のことをさ。上手くはぐらかしやがるけど…。まずアイツ孤児院に居たって言うけど、それ以上のこと何にも言わねぇ!どこ出身なのかも、自分の本名も。」
赤信号で止まった私達を道行く歩行者が物珍しそうに足を止め、スマホを向けてくる。
「おい、アレミルコだ!!」「あの後ろの誰?子供!?」「サイドキックだろ?」「バカ、ミルコはサイドキック取らねーんだよ!オールマイトみたいに!」
それにヒラヒラと手だけ振って反応する彼女に倣い、私もペコリと会釈だけする。すると歓喜の声と声援で反応された。
「わかるわ。何か隠してるって言うのは私も同じことを感じてる。最近…いいえ、あの事件からナナちゃん、とっても素直に甘えてきてくれるようになったけど…時々とっても辛そうなお顔をするもの」
「だよな?アタシとヤる時もここ数日何かこうフッ切れたみたいにスッゲー素直になりやがるんだけどさ。時々正気に戻ったみたいに泣いたり謝ってきたりして…。スッキリするけどスッキリしねエ!!!」
コクコク、とミルコさんからは見えないけどその言葉に頷いて同意する。あの事件以降、ナナちゃんはおかしい。何だかとっても性格も柔らかくて女の子らしくなったけど、一方でどこか諦めたような…どこか無理をしているような…。あのツンツンしているナナちゃんもとっても大好きだったのに。
「テメェみてェに思ったことスグ喋ってくれりゃやりやすいんだけどよ。アイツそんなんじゃねえもンなぁ」
ミルコさんのいつにもなく深刻そうな声音。それが私には少し嬉しかったわ。信じてないわけじゃなかったけど『ああ、この人は本当に真剣にナナちゃんのコト心配してくれてるんだ』って思えて、ちょっとホッっとしたの。
「だからよ!!!これから買い物にいくぞ!!」
「……??話が見えてこないわ、何か美味しい物でも買って帰るの??」
「ちげーよ!!コレだわ!センパイから返信来たんだよ!!」
そういって私に突き出したスマホ。受け取ったそこに映っていたお店の情報を見て─────私は少し噴き出してしまった。
『─────ミッドナイト公認のお店!!鞭から手枷まで!SMグッズのことなら十松堂へお任せを!!!塩野支店もよろしく!!』
あのさっきの気品あるスーツの彼女が、全裸よりも下手したらえっちな恰好のコスを纏いにこやかに宣伝している画像。…いや、良い人なのは間違いないのでしょうけど、イイのかしらこれ。教師なのよねあの人?雄英だいじょうぶ?
「近くに支店あるらしいからなァ!!!お前も今から何買うか考えとけよ!」
「ケロ。でもわたしもう今月お小遣いがピンチだから…」
「はァ~~~!?ヒーローミルコを舐めんじゃねぇ!無駄にカネ入ってくるからな!お前が幾ら買おうがアタシの財布が軽くなるこたねーよ!!好きなだけ買ってやる!!!そんであのヘビっ子をぶっとばして口割らせるぞ!!」
「(性的に)ぶっとばすのね、ケロケロ。でも頼もしいわ」
アクセルを吹かした彼女の背中にぎゅっと抱き着きながら、私はあの蛇の女の子にどんな首輪や下着が似合うか悶々と妄想し続けた。
えっちなてえてえ百合が書きたいという
ごめんねオールマイト
どういう展開がいい?
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スーパー梅雨ちゃん無双
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主人公ちゃんがひたすらえっちぃ目に
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スーパーミルコさん無双
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ひたすら百合百合