ヘビはカエルに食べられる。たまに兎に食べられる。 作:Kkmn
「異形共を排除しろー!!」
「皆で異形反対デモをするから尊いんだ。絆が深まるんだ。真なる社会は真なる人によって!!」
「異形優遇政策はんたーい!!隔離して国外退去!!もしくはしかるべき処置を!!!」
時は6月、暑さも本格的になってきたこの時期に、元気に街中を練り歩くデモの団体。
それを見て周辺警戒に駆り出されていた鳥顔の警官は深く溜息をついた。
鳥顔というのは比喩ではなく、本当に鶏の頭なのだ。そういう個性だから仕方がないぞ。
(暇なんだねぇ、この人ら)
欠伸を噛み殺しながらデモに参加している人々を見る。身なりも掲げているプラカードもボロボロでおざなり。
どうせロクに働きもせずに、自分の不幸を誰かをけなして慰めたいだけの人種なのだろう。
最もそんなこと口が裂けても言えやしないが、異形である自分の前で異形排斥を叫ばれればそうも思ってしまうものだ。
「コラ!集団からバラけないで!事前に申請していたルートだけにしなさい!!!」
「黙りなさぁい!!!警察はこんな化け物の雇用をやめなさあああい!!警察のブランドに傷がつきますよぉぉぉおおお!!!!」
「なんだとぉ……!!」
耳元で拡声器で叫ばれ、うんざりと言った顔になってしまう。
流石に見かねた部下が喰ってかかろうとするが、それを右翼で制した。しかし。
「許さねぇ!俺らが異形排斥デモをすると知っててこんな化け物を警備に割り当てやがった!!これは警察からの宣戦布告だ!!」
「そうだそうだ!!我ら如きの警備など、人間を当てるまでもない!畜生風情で十分だと!!」
「貴様ーっ我々を愚弄する気かーっっ」「こ、こんなことが許されていいのか。」「警察って奴は結構鬼畜だな」
「異形は人以下なんだ。悔しいだろうが仕方ないんだ。」
どうやら部下のその態度と自分の見た目が彼らに火を付けてしまったようだ。
筋骨隆々の男達が集団の中から割って表れ、ある者は個性か知らないが腕から黒い触手のようなモノを蠢かせている。
「そろそろ異形の血が見たいですね。」「生でね」
「─────!!付近のヒーローに連絡を─────」
「許せなかった…異形が我々と同じ空間にいるだなんて…!!!死ねェェェ!!!」
「こ、これ以上は危険や!デモを止めるぞ!!う、 う わ あ あ あ あ あ あ あ 」
そして一人が枷を切れば、あとはもう雪崩のようだった。
赤信号、皆で渡れば怖くないという名言の通り、集団心理の前では一線など簡単に超えてしまえれるのだ。
(コケェ……死にたくないよぉ……)
暴徒と化したデモ隊が真っ先に狙ったのは勿論異形である自分。目の前に個性を発露させた数十人が飛び掛かってきて─────。
─────SLAM!!
彼らの手が届く刹那、彼らの身体は大きく宙に舞った。
地面が炸裂したかのような衝撃により宙に投げ出された暴徒たちは状況が理解できず、頭に?を浮かべていた。
それは鶏の警官も同じことだったが、自身の身体に何かが─────長い舌?が絡みつくと、彼は空中に浮く一人の少女を見つけた。
(…蛇?女の子?白い…ああ、確か…ミルコがサイドキックを採ったってニュースであんな子が…)
その少女は空中に浮かんだまま、唇を鱗に覆われた白い両手で覆う。
口を押えているというよりはその可憐な姿も相まり、まるでそう、投げキッスでもするかのような。
「─────ヤれヘビっ子!!ブチのめしてやれ!!!」
そして乙女極まりない衣装を纏ったその少女が放ったのは投げキッスではなく─────。
「
─────VENOOOOM!!!
その牙が覗く口から放出されたのはそんな可愛らしいモノではなく、薄い黄色のモヤ状のガスだった。
空中に放り出された暴徒たちは逃げる事はもちろん、回避もできず、ましてや隠れることもできない。
もがくように足掻く者。口を覆う者。顔を隠す者。対応は様々だが共通点は一つ。
その全員が地面に落ちてきた頃にはピクピクと痙攣するだけになり、声すら挙げなくなってしまったことだ。
「うっし!!上出来じゃねーか。”敵未遂の奴ら”はアタシだけだったら手加減メンドクセーからパスしてたぞ!!!やっぱお前便利だ!!」
「ミルコさまがお耳で察知してくれたおかげです。そんな…」
「カエルっ子も今のよくやったな。警官混じってたのよく気づいた!ダマになってからまとめて吹き飛ばしちまった」
「ケロケロ」
時間にして数十秒…いや、十秒もかかったか?そんな現着から凄まじいスピードで対処完了させ、もうデブリーフィングをしている。
そんな少女ら二人を先生のように撫でつける女性はヒーローミルコ。拠点を持たず全国を流浪するヒーローだ。
最近はこの辺りで活動してると聞いていたが…幸運だった。
「コケッ…た、助かりました。ありがとうヒーローミルコ…と、お嬢さん方。後はコチラで対応できます。ご協力心より感謝申し上げます」
「ああ。アンタも運良かったな!あ、あとこの小瓶ほら。このガキの毒の血清だからよ、時間経ちゃあ消えるだろうけど、重症化しそうなヤツいたらコレ使ってくれ。…あ?季久寺市で銀行強盗?おし!行くぞガキども!!」
胸の谷間から取り出した小瓶を手渡される…生暖く、反応に困る。
そして跳躍し、あっと言う間にあらたな現場に向かい跳躍する彼女たちの姿を、その鶏の警官は消えるまで見守っていた。
「ケロ、さっきの毒毒アタック凄かったわ。でもナナちゃん疲れてないかしら?大丈夫?」
「ん……大丈夫ダよ。ありがとう」
「次の所でもアレ使えそうか?」
「ちょっと今日はもウ無理かも…毒からっポ」
「んじゃ次の所はいつも通り民間人救助と誘導と周辺整理しとけ!いいな!」
「ん」
ミルコさまの腕の中でお姫様だっこされながら宙を駆ける。
不本意だけど仕方ない。わたしの『愛情』でバフされたミルコさまについていけるのなんて梅雨ちゃんかオールマイトくらいのものだもの。
数ある個性のうちの『怪力』を使えばついていけないこともないが…体力が無いから現実的ではない。
(しかし一週間か。表立ったヒーロー活動なんて一か月経っても慣れないだろうけども…)
僅か2週間で建て直された新生マイトタワーで行った記者会見から、もうそれだけの日数が経った。
当事者のヒーロー達による、あのマイトタワー襲撃事件の詳細説明。
なんとオールマイトが直々に、あのビルを一撃で粉砕した少女について説明するとなり世間は騒めき立った。
『え~~と…まず!!!かの少女が勇敢に撃退したあのスーツ姿の敵についてだけど─────』
『そんなのどうでもいいですよ!あの女の子について最初にお願いします!』
『そうです!どうせただの思想犯かオールマイトのこじらせオタク敵でしょう!?そんなの国民は興味ありません!!』
『私達はあの蛙っぽい女の子と!一緒にいたもう一人の蛇っぽい女の子について知りたくて来たんです!!』
…ただ悲しい事に、その彼女が倒した凶悪な敵についてはほとんど触れられなかった。更に世間も大した興味を持つこともなく、最後にカメラに映った姿が無数の燃える手が蠢く姿だったことから「ファイアー手マン」などと不名誉な名前でSNS上では呼称されているらしい。
(どうやってあの化け物の詳細を誤魔化すか、めっちゃ悩んでたのに…可哀そうオールマイト…)
ある意味では幸運だった。なんせ『個性を与奪する個性』に加え、『オールマイト以上かもしれない巨悪』なんて公に発表したら世界は混乱必至なのだから。
そういう意味では梅雨ちゃんは世界を救ったのかもしれない。
『結論から言おう!彼女は
オールマイトの弟子。それが自分やミルコさん、そして公安とオールマイトが相談して決めたカバーストーリーだった。
…オールマイトが不在の所、マイトタワーのトレーニング施設で訓練していたミルコと少女の元に敵が襲来。オールマイトがいないことに腹を立てた敵が大暴れ…それをミルコの戦闘許可の元撃退した。というのが、嘘の話。
それにマイトタワーはオールマイトの私有地だから個性の使用は問題ない。
『……しかし、彼女はまだ中学生なのですよね?敵と戦わせるなど、余りにも危険がすぎるのでは…』
『あぁ?ンなこた一撃でビル粉砕するガキに怪我させれる敵連れてきてから言え!!それに後でそのガキにも話させるが、ケガ一つしてねぇからな』
『!?…し、失礼しました』
『NO PROBLEM!!だがそういう声も最もだ!!!だから今日こうして皆に集まってもらったのは、皆に釈明させて欲しいからさ。彼女らは
…で、あの羞恥極まりない発表会につながるというわけだ。酷い。
その発表会までの僅かな間に、梅雨ちゃんは仮免を取り、わたしはヒーロー免許の更新の手続きを済ませたが大変だった。
なんせ免許委員会の人たちに自分が”この免許”と同一人物であると説明するのは骨が折れた。
他人の個性の影響などで外見が変わってしまうヒーローは珍しくないが、性別年齢見た目全て違うのだから。
─────パシャパシャ。
「─────あ!!フロッピーだぁ~~~!!!」
「やばい写真撮らなきゃ!!きゃ~~手振ってくれた!!!」
「可愛い~~~!!子ウサギって感じで超マブかわ~~♡」
「あらまぁ、ほんまにちっこいヒーローやねぇ。頑張りなぁ」
「ケロケロ、ありがとうね」
で、それから一週間。水無月ヒーロー・フロッピーこと梅雨ちゃんはそれはもう凄まじい大人気だ。
道行けばこうしてあらゆる人達から視線を求められ、黄色い歓声が飛び交う。
なんせあのオールマイトの弟子、そしてあのミルコのサイドキック兼弟子扱いなのだから。
そして最初は世間から懐疑の眼が向けられていた実力も申し分なし!
『
─────SMAAAAASH!!!!
カッコイイ技名と共に敵に繰り出される超ド派手な一撃一撃は、ニュースや新聞の一面を大いに、派手に飾り立てた。
結局派手さがモノをいう所もあるこのヒーロー社会。とにかく戦い方が映える梅雨ちゃんは大いに世間にウケた。
オールマイトから分けて貰った?というパワーもあっと言う間にモノにしてしまってるし、本当に梅雨ちゃんはすごい。
「良いなぁ~~~あの蛇の子!!ミルコにお姫様だっこされて!」
「あれもフロッピーと一緒にデビューした子なんだろ?名前なんだっけ?」
「なんだっけ?なんか複数個性あるとかは聞いたけど……」
「あんま新聞とかニュースに映らないもんな」
「めっちゃ可愛いんだけどね…何だったっけ名前…」
で、わたしはコレだ。だって仕方がない。
見た目が蛇で
それに治癒持ちヒーローと言ってももリカバリーガールをはじめとした前例があり目新しさはない。
そもそも当事者はともかく、マスコミが喜ぶのは一面を飾る派手さだから、治癒してる所は撮影なんかされない。
…そんな感じで影が薄い。やることもほとんどミルコさまと梅雨ちゃんが気持ちよく敵を倒す為のサポートだし。さっきみたいなのは稀。
『もっと目立てない?公安ヒーローを名乗るあなたの名前が売れなくてどうするの??』
とかあの公安局長はほざいていたが知ったことではない!!こんなバカげた衣装を着てるんだから、これ以上何をしろというのだ!!
それにこの衣装!粗悪品だ!ミルコさまのコスをオマージュしたと言っているが出来が悪い!
ああ、くそっ…無駄に大きな乳房の位置が収まりが悪いし。胸の下に熱と汗が籠って気持ち悪く不快だ!
─────む、わぁ…♡
「ああもう…///くそっ…///」
身じろぎすると、そこに溜まった甘い汗や芳しい匂いが溢れ漏れ出てしまう。『魅惑』のせいだ。
と言うよりそもそも胸周りが小さいのだ!コスからはみ出して脇にまで乳肉がまびろ出して邪魔だ!
ただでさえ邪魔なこの乳房が、余計に腕を動かしづらい脂肪の重りになっている!
「あ?胸疼くんなら帰ってからたっぷり触ってやるから後にしろ」
「えっ…ち、ちがっ…!!その、収まりが悪くて!」
「大通りでるぞ、マスコミいるだろうからちょっと我慢しとけ」
その言葉通り、次の一跳びでわたし達は大通りに─────そこに駆け付けたマスコミや衆目からパシャパシャとフラッシュを焚かれる。
ミルコが片手を頭上に添え、うさ耳ポーズを彼らに向けると、それにならい梅雨ちゃんも両手でウサ耳を形作った。か、かわいい。
私も胸元を弄っていた手を急いで頭上にやるが─────…うぅ…恥ずかしい…///
あっ梅雨ちゃん!?何でスマホで私をパシャパシャしてるの!?撮られてるよ!?!?
(でもフラッシュ多いな…目が……うん?)
─────ぎゅぅ~~~っっ……♡
私を片手で抱えるミルコさまの腕の力が不意に強くなる。しかも私の姿勢を無理やりひっくり返し、その大きな胸に正面から抱き着くような姿勢に変えさせる。
そう、まるでこの過激なフラッシュの嵐から、わたしを庇ってくれるような─────。
(~~~~~っっっ♡♡♡)
─────きゅんきゅんきゅんっ♡
ミルコさまが守ってくれている。ミルコさまが庇ってくれている。その事実を認識した途端、身体の奥からじくじくとした甘い熱が沸き起こる。
そしてお腹の奥がときめき、酷く疼く。心臓が恋する乙女のように甘く高鳴り、抱き着いているミルコさまに聞こえてしまわないか不安になるほど大きくなる。
(ミルコさま…腕おっきい…太くて逞しくて…かっこいい…♡♡動いた後だから汗ばんでて、うぅ…♡やめろ…落ちつけ…♡でも…スリスリしたい……征服されたい。使われたい…♡だめ…すきが、止められない…♡♡)
─────すり…♡すり…♡
蛇の下半身が揺れ動き、その上にギリギリある太ももが勝手に擦り合う。快感を得ようと浅ましく勝手に動いてしまう。
頬は紅潮し吐き出す吐息には僅かにピンクに色づき、甘い香りが漂う。
こんな公で何をやっているだと強く自戒しても、一度ピンクに染まった理性は歯止めが利かない。
しかし、そんな私に気づいたのか。ミルコさまは私が蠢く胸元にそっと唇を近づけ、こう囁いた。
「─────帰ったらたっぷり使ってやるから……楽しみにしとけ♡。」
睫毛が美しい、整い過ぎている美顔に見下ろされ。チョーカーをくい♡と強く引っ張られてそう耳元で囁かれれば。
わたしは必死にそのミルコさまの乳房の谷間に顔を埋め、甘い声を押し殺した。
(……ちょっと…イっちゃった…かも…♡♡)
そして少し煩悩が解消されたわたしは、少し深呼吸をしようとそこから顔を上げる。
すると…群衆の中の一人の男と目が合ってしまった。
その手にはプラカードが掲げられており…そうまるでさっきの異形排斥を叫んでいたデモ隊と雰囲気が似てて…
その異様にギラついた眼に、マスコミに手を振っているミルコさま達はまだ気づいていない!
「異形は─────特に畜生風情の異形は死ぬべきなんだ!!!」
プラカードを投げ捨てた男が懐から取り出したのは短いナイフ。
それで空中にいる私達に突撃してくるか?と思ったが瞬きした次の瞬間には、それがまるで如意棒のように伸びて来たではないか!
『伸縮』か?いやそれがミルコさまの胸…つまりわたしがいる所に向かって伸びてくる!
「きゃっ、キャァァァアアアア!!」
「……!?ナナちゃん!!!?」
それに気づいた群衆の一人が叫び声をあげ、頭を抱え伏せる。
毒?ダメだ人がいる。『怪力』もダメだ細かい調整ができない。『転移』もまだ咄嗟にできない!逸らす?ダメだ他の民間人に刺さってしまうかも!
だからここは─────。
「──────────っ!!」
正確無比にわたしの胸を狙い、突き立てられた刃。そのまま進めば心臓を貫通するのは間違いない。
それを私は─────
「な、なにぃっ!!?」
「……」
そしてそのまま両手で乳房ごと挟み込み『怪力』を調節して発動し─────思い切りへし折ってやった。
そのまま勢い余って刃物を握っていた男はそのままビルに叩きつけられ、気を失った。折れた刃物は落下して二次被害が出る前に伸ばした頭上のヘビがキャッチした。
(おっぱいで白刃取りしたわ…)
(デカ胸で白刃取りしやがった…)
やばい、ミルコさんと梅雨ちゃんがなんか変な目でこっち見てる。それはどういう感情の目なの?
「う、うおおおおおっっ!!凄ェエ!!一瞬で!!」
「……凄い!!今の見た!?」
「うおおお!なんだ今の!すげぇ反射神け…おっぱいだ!!」
「ちょっと!!スタッフ!今の撮った!?ねぇ!」
「ええバッチリですよ!ちゃんと胸で白羽取りした瞬間バッチリ取れました!これは夕方のニュースは決まりですね!!!」
「ちょっとインタビューさせてもらっていいですか?えっと…ミルコのサイドキックさん!!!」
周りの群衆から歓声が上がった。でも何かミルコさんや梅雨ちゃんの時の完成とは違う気がする…。
とにかく逃げよう、ホラミルコさん早く行きましょう…としたら梅雨ちゃんが背後からガッチリホールドしてきた!?
「今の凄かったですね!!複数の個性をお持ちということですが!まさかそのおっぱいも個性ですか!」
「チガイマス」
「え、じゃあ誰かの個性でおっぱいを大きくしてもらったとか…?」
「チガイマス」
「じゃあそのおっぱいはいったい!?!?触ってみていいですか?????」
「ダメです」
「お尻もすっごくハリがあって形いいですよね!?触っていいですか?」
「なんだかとっても蠱惑的な香りがするんですが、香水は何を使っているんですか?」
「その可愛さの秘密は何ですか?」
………。
その日の夕刊、わたしはこの女の子の姿になって再デビューしてから初めて新聞にまともに映った。
もちろんその写真は─────その大きな胸の谷間で白羽取りをしているわたしの姿だった。
どういう展開がいい?
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スーパー梅雨ちゃん無双
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主人公ちゃんがひたすらえっちぃ目に
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スーパーミルコさん無双
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ひたすら百合百合