ヘビはカエルに食べられる。たまに兎に食べられる。   作:Kkmn

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24.雄英文化祭 in 梅雨ちゃん&ナナちゃん withおともだち

「通形!!そっちから回り込んで…!!うわぁっ!!?」

「うおおおお!!!ちょっと洒落になってないパワーだよね!!!」

「なんであの子たち追いつけないのー!!?不思議!!!」

 

雄英の巨大演習ルームの一つ。

そこで文化祭の今日はとある2年のクラスにおいて公開演習を行っていた。

それも外部から()()()()()()()()()()()()()()()を呼んで─────。

 

「いつでもいいよフロッピー!」

「ありがとうナナちゃん─────怪我したらごめんなさい!!ちょっと本気でいくわよ!!」

 

その2年生3人組の実力は素晴らしく。もはや普通のプロヒーローでは相手にならない程だ。

しかし悲しいかな、彼ら3人に相対しているのは()()()()()()()()()ではなかった。

それを強化ガラスで遮られた見物窓から見ていた観客達が「おお!!」と大きな期待の声を皆漏らす。

 

「─────水無月堕蹴!!!」

 

─────SMAAASH!!

 

その強化ガラスにヒビが入る程の強大な必殺技がその間近に放たれ、観客の興奮は頂点に達した。

舞い上げられた凄まじい砂埃も最新鋭の換気システムによりすぐに換気される。

そして最後にそこに立っていたのは─────もちろんプロヒーロー・フロッピーだった。

 

「あら、どうしましょうナナちゃん。こういう時ポーズとった方がいいのかしら?」

「げほっ、げほぉ…手だケ振っとこ…げほげほ」

「あらあらごめんなさい。まさかこんなに砂まで本物使ってると思ってなくて本気で打っちゃったわ」

 

 

「凄いぞ雄英生ー!!!プロ相手にこんなに食らいつくなんて!!」

「カッコよかったぞー!!天喰~~!!」

「キャー!!ねじれちゃんこの後ミスコンあるのにー!!!」

「フロッピーこっち向いて~~~!!!」

 

三者三様の完成が見物席から鳴り響き、それに軽く手を振りながらナージャことナナは相対した相手を見やった。

さすが雄英生の中でも優秀な生徒らしい。手加減が一切できなかった。

学生の演習して欲しいと言われた時は手加減どうしようと思ったものだが、いらない心配だった。

 

「いやぁ…惜しかったよね!!あのフェイントは通じると思ってたんだけど!」

「インターンで戦ったどんな敵より強かったよ…でもいい経験になった」

「リューキュウさんみたいな戦い方だったぁ!!!その鱗さわりたい!触って良い??ねぇいい?」

 

肩を貸し合う彼らはまったく折れた様子も負の感情も感じない。

声をかけようとしたが先生らしき人に連れられていったため、手を振るだけに留めておいた。

きっとまたすぐ再会するだろう、その時はお互いヒーローとして。

 

 

 

─────▼▼─────

 

 

 

「いや~~ホント凄かった!!あんなの見せられたらアタシも身体動かしたくなっちゃうよ!!」

「同意。自らの至らなさをひしひしと痛感させられました。将来の先輩方に負けぬよう鍛錬せねば…」

 

 

雄英文化祭。

あの警備厳しい雄英が一般に向けても解放される日。

もちろんその中には保護者や他の学校の生徒のみならず、来年そこを受験する中学生も混ざっている。

 

「芦戸ちゃんも塩崎ちゃんもアれくらイ出来るよ。ちょっと身体を鍛えればすぐに…」

「無理だってェー!!普通の人間は片手だけで3mもジャンプできませーん!!!!」

「ケロケロ」

 

隣をたこ焼きを持って歩くのは芦戸ちゃん。

先月巨大な敵を捕まえた時に捕縛を手伝ってくれた中学生。それ以来ずっと連絡を取り合ってて、今日も待ち合わせしていたのだ。

 

「しかし気になります。途中ムチのように髪を伸ばしていましたが、あれもナージャ様の個性故ですか?」

「ケロ?そうね、アレはナナちゃんが髪の蛇ちゃん達を伸ばしたのよ。でも塩崎ちゃんのその『ツル』の方が良く伸びるし、ちゃんと動かせると思うわ」

「うんうん」

 

そのもう一つ隣を歩くのはさっき芦戸ちゃんと出会い仲良くなった塩崎茨ちゃん。

迷っている所を助けてもらったらしい。しかも彼女と同じく今年受験とのこと。受験仲間ができてお互い嬉しそうだ。

 

「とんでもございません…!!あの髪さばき、わたくしなど到底足元にも及ぶものではございません。似た『個性』の先達として、大変勉強させて頂きました…!」

「え、ええ!?いや、わたしより梅雨ちゃんのベロの動きとかを参考にした方が…」

「ねー!凄いよね!この二人と一緒の教室で学べるように、アタシ達も受験勉強頑張らなきゃだね!!」

 

そういってシュッ!シュッ!と腕を突き出す芦戸ちゃんの姿を見て、思わず梅雨ちゃんと目を合わす。

 

 

「ね!二人はもう楽勝?受験勉強!!って聞くまでもないかー!!」

「そもそもお二人は我々と同じ門戸での試練になるのでしょうか?既にヒーローの免許を持っているのなら特別枠で…」

 

 

梅雨ちゃんと合わせた目がまん丸になる。梅雨ちゃんのお目目は元からまん丸だけど。

 

 

「ケロ…私達、特に雄英受けるつもりはないのだけれども…」

「うん」

 

 

「「え”?」」

 

 

塩崎ちゃん達の目が点になり、ハモる。

芦戸ちゃんの黒白目だと目が点になると、どこに瞳があるか分かりづらいなぁ…。

 

「え!?じゃあ二人ともなんでいるの!?受験する学校の見学に来たんじゃないの!?」

「そりゃ…ケロ、ねぇ?」

「うん、仕事。」

「仕事」

 

塩崎ちゃんが聞き返してくる。

わたしと梅雨ちゃんは普通にただ雄英から仕事で呼ばれただけだ。『公開演習の相手役をしてほしい』という。

ミルコさんも今日はめっずらしく事務所でお仕事してるし、その本人から行ってこいって言われたお仕事だし。

 

「…!と言うことはさ!ミルコも来てるの!?アタシ会いたい!!この間助けてくれたお礼直接言いたいんだー!!!」

 

その黒白目をキラキラさせながら芦戸ちゃんが両手を合わせている。

この間と言うのはマキア?とかいう巨大な敵から助けてくれた時のことを言ってるのだろう。

 

「ごめんなさいね。ミルコさん今日は事務所でアルバイトの面接してるのよ」

「うン。()()()()()()()()()()()がアルバイトの応募ニ来て…ミルコさまと顔見知りだから直接面接するって」

「へ~~~???いいなぁその子!アタシも憧れヒーローの所で働けたら楽しだろうなぁ~~!!」

 

頬っぺたを抑えながら乙女チックな仕草の芦戸ちゃん…勉強になるなぁ…。

そう、今日はファンの間ではちょっとした有名人の子が事務所のアルバイトに来ているはずだ。

私もこの間ちょっと()()()()()()()()()したけど…悪い子ではないと思う。ミルコさまも気に入ってたし。

 

「あの子だよね?金髪お団子デ『ミルさまぁ~!!もっと血まみれになってくださぁい!チウチウさせてくださ~い♪』っていツも言ってる子。」

「そうそうあの子ね。応援は独特だけど、いっつもお菓子とか飲み物差し入れてくれる良い子だわ。いつも来てくれるし。」

「っていうかミルさま…?ミルコさまはわたしだけのご主人さ

 はっ!?う、受かるといイね!!きっと同年代だもんねあの子!」

「ケロケロ、きっと受かるわ。ミルコさんも笑顔がワイルドで素敵って言ってたもの。」

 

溢れそうになった暗い感情を誤魔化し、塩崎ちゃんと持っていたおやつを交換する。

たこ焼き1個あげたら笑顔でワッフルを一つくれた…これシャークトレードって言うのでは。せ、聖女…。

 

 

「え~~~ナナちゃん梅雨ちゃんと一緒に入学できると思ってたのにぃ!!それだけを生きがいに頑張ってたのにぃ~~~!!!詐欺だ!!!」

「ではお二人は何処(いずこ)へ?やはり士傑でしょうか?」

 

ぷんすか!とほっぺを膨らます芦戸ちゃんを梅雨ちゃんがクレープでなだめる。

うわ一口で食べた…芦戸ちゃん口おっきい…。

 

 

いや、高校いかなイ。ヒーローに専念しようかなって」

「ケロ、私もよ。」

 

「「えええぇ!!?」」

 

 

二人がこけそうになったので塩崎ちゃんを蛇の尻尾で支える。芦戸ちゃんも梅雨ちゃんの舌に支えられていた。

 

「勿体ない!勿体なさすぎるよ二人ともぉ!!いばらんも何か言ってやって!!」

「角の仔に同意します。私達はまだ若芽...学び舎でしか得られない経験も、人生には肝要かと存じます」

「ケロ…」

「…うーん…」

 

「つ、角の仔

 

二人の言ってる事も分かるが、もうわたし達も結構考えた結果の話だし…。

どう説明しようかと少し梅雨ちゃんと一緒に口元に指をやって考えてた所─────。

 

「その通り!青春なしの人生なんて気の抜けたビール!」

 

突如背後から投げかけられた大きな声!

周囲の人が振り返るのと同じように、わたしもその方に振り返ってみると…。

 

「そんな若いうちから大人ぶってる仔が大人になると◯◯なプレイにハマって人生投げ出しちゃったりするのよ!!」

 

そこにいたのは極薄ボディタイツに身を包んだ女性。

そう、雄英にて教師として働いているとは聞いていたが…周囲の学園の風景から浮きまくっている。

 

「うわぁー!18禁ヒーローミッドナイトだ!本物だー!きっわどーい!」

「な、なんと不埒な...淫靡極まりない...」

「ダ…大丈夫?塩崎さん…?」

 

「どれだけのヒーローが青春の日々に原点(オリジン)を見出したと思ってるの!うら若き日々はプライスレス!どれだけお金を払っても得られない最高の宝物なのよ!それを捨てるだなんてとんでもない!」

 

「凄い!本当にまるで本物の先生みたいなこと言ってる!」

「え?先生よ?」

 

スンっ…と真顔になってそんな反応をするミッドナイトだが。私達も似たような感じだ。

 

「うーん…」「ケロ…」

 

「フロッピー!ナージャ!校長先生が呼んでるわ!ぜひ直接会って今日のお礼がしたいんですって!─────ちょっとだけお友達を借りるわね二人とも!」

 

いってらっしゃーい!と手を振る芦戸ちゃんと塩崎ちゃんに手を振り返しつつ。

わたしと梅雨ちゃんは半ば引っ張られるようにしてミッドナイトに連行されたのだった。

 

 

─────▼▼─────

 

 

「普通の職員室ね」

「めっちゃ普通だぁ……」

 

連れてこられたのは職員室。凄く一般的だ。天下の雄英と言えど何か特殊な設備があるわけではないのか。

普通にコーヒーの香り漂う普通の職員室…あ!あそこにいる忌々しい元公安っぽいカウボーイ風情は…。

 

「やぁやぁやぁ!!わざわざご足労…ってナナ君は何をしているのかな!?」

「殺意を送っています。」

「やめたまえ!…ああ!彼は元公安だからなんとなく理由は察せれるけども!彼は今や優れた一人の教師なんだ!」

「ナナちゃんめっ。キスするわよ?」

「しゅるるるるる…命拾いしタな…」

 

座らされた机に現れたのは小柄な人影…人?人か?

ネズミのようなイヌのようなクマのような…いや本人がネズミって言ってるならネズミなんだろう。

そんな雄英の校長、根津先生がわたしと梅雨ちゃんの対面の席に腰かけた。

 

「ミッドナイトから聞いたよ!お友達と文化祭を楽しんでくれてたのに申し訳ないね!しかしもう既に入学後の学友を作ったとは流石だね!」

 

そのまるで雄英に受験することが確定しているかのような物言いに、コーヒーを少し噴き出しかけた。

 

(やっぱりこうなっちゃったわね?)

(ね)

 

ちょっと予想していた話の内容に、わたしたちは目だけを合わせて会話した。

 

「兎山君から聞いたよ。君たちの今後の進路について」

「…ケロ。私はそもそも、高校に進学する気はありません。私はもう色んな人から多すぎる恩を受けています。」

 

梅雨ちゃんの視線が落ち、コーヒーに映る彼女自身に目が向けられる。

静かな呟きだった。だけどその言葉に職員室が静まり返り、全員の視線が彼女に注がれた。

 

「学校に行くより、ヒーローとして社会に貢献したいと思っています」

「………それは……素晴らしい…心構えだね。君は?」

 

次はわたしに根津校長つぶらな瞳が向けられ、少しだけ息を呑んだ。

事前にミルコさまから聞いた限りでは、彼はわたしの過去は知らない。だが公安に深く所属しているのは知っているらしい。

…なら…そんなに誤魔化す必要はないか。

 

「わたしは本免許もあリますし、ここで学ぶ必要はありません。ワたしが受験すればそのせいで一人、ここで学ぶ機会が奪われる誰カが生まれる。それは嫌です。…それに平日の昼間でモ公安の任務に駆り出されることもあります」

 

今度は室内のヒーロー達の目線がわたしに注がれる。その中に少し哀れみの感情が混じってるのを感じ取り、居心地が悪く感じた。

 

「ナージャちゃ…」

 

傍の席にかけていたミッドナイトが立ち上がるが、それを根津校長が制した。

そして重々しい空気の中、ゆっくりとその口を開き─────

 

 

「─────なるほど!!!!!じゃ特別枠ならいいわけだね?」

 

 

「…え?」

 

 

「そして任務があればそちらを優先!!それくらい容易いことさ!!これできみの杞憂は解決だね!!!!ようこそ雄英へ!!」

「え?え?え?」

「そして蛙吹くん!!」

「ケロ」

 

戸惑うわたしを完全に無視し、梅雨ちゃんに視線を向ける根津さん。

 

「これは秘密の予定だったが、君の決心が想像より遥かに硬かったので明かそう!!これは他ならぬ兎山君からの願いなのさ!」

「ミルコさんの?」

「そうさ!」

 

大声で口が乾いたのか、彼は一度コーヒーに口を付けてから話し出した。

 

「君が活動の為に高校を受験しないと聞いた時一番ショックだったのは彼女だ。…君達が一番知ってると思うが、彼女はいつも『明日死んでも後悔しない』くらい過激にヒーロー活動に勤しんでるのは知ってるね?」

「ああ。」

「それは...そうね。」

 

これは私が言ったのは秘密にしてほしいんだが、と事前に呟いて彼は言葉を続ける。

 

 

「彼女は…本当に君たちを大事に思っているんだ。君たちに立派なヒーローになって欲しいと願っている。─────たとえもし、自分が明日死ぬようなことがあったとしてもね。」

 

なるほど。

ヒーロー活動は命がけだ。確かに『愛情』を持つ自分が近くにいようとも、いくらアレだけ強いミルコさまであろうとも。

明日には死んでしまうことだって…確かに可能性は0ではない。

確かにそうなればわたしたち…わたしはいい、でも梅雨ちゃんはどうなる?

わたしと違い公安の後ろ楯もないし、オールマイトも正当な後継者が見つかったと聞いた…それなら…。

 

「だからそのために昨日、私に頭を下げにまで来た。『あのガキ共をアンタから説得してくれ』とね。」

 

「…ケロ」

「…ふしゃ」

 

言葉が出ないわたしたちを前に、彼はテーブルに飛び乗り両手を広げ叫んだ。

 

 

「免許があると君たちは言ったが、我々がただ免許に受かるためだけの教育をしていると思うかい!?答えはNOだ!我々がしているのは超一流のヒーローになるための教育さ!」

 

 

そしてそうしたと思ったら次には、真摯な目でわたしたちをまっすぐと見据え、頭を深々と下げた。

 

 

「絶対に後悔はさせない。どうか来てくれないか」

 

 

梅雨ちゃんの顔を伺うと、わたしの顔をのぞき込もうとしてた梅雨ちゃんと目があった。

どうやら考えていたことは同じらしく、静かに頷き合って─────。

 

 

 

 

────▼▼────

 

 

 

 

「で?テメェ動機なんだ?」

「はい!!風見で両腕千切れて血まみれになりながら戦うミルさまに一目ぼれしたんですっ♪だからミルさまになりたい!!血をチウチウしたいなぁって♪あとお手伝いもしたいです!」

「き、君!ふざけているのか!?すぐに帰りなさ────」

 

 

「裏表ねェな!いいぞ、採用!!」

 

「わぁい♪」

どういう展開がいい?

  • スーパー梅雨ちゃん無双
  • 主人公ちゃんがひたすらえっちぃ目に
  • スーパーミルコさん無双
  • ひたすら百合百合
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