ヘビはカエルに食べられる。たまに兎に食べられる。 作:Kkmn
しばらくはのんびりこちらの連載を毎日続けていこうと思います!
「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!!」
「オールマイトだー!」
修善寺先生による看護授業を終え、ヒーロー基礎学の授業のために1-A教室へとやってきたわたし。そこで梅雨ちゃんと昨日倒した敵についてや出演予定のTVについて相談し合ってた所にオールマイト先生が現れ、そそくさと席へ戻った。生徒達はシルバーエイジ?時代のコスだの本物だ!の盛り上がっていて微笑ましい。
「……ケホ…」
誰にも聞こえるはずのない、した本人さえも気づかないレベルの小さな咳。…やはり無理しているな
定期的に彼に対して『愛情』による口づけの治療は行っているのだが…それでも彼の酷すぎる容態に対しては現状維持が精一杯。わたしは彼に…平和の象徴に対しては敬愛に近い感情を抱いてるし、彼の方もわたしに対して悪くない印象を抱いているのはわかっている。
しかしそれでも梅雨ちゃんやミルコさまのようにキスだけで全回復とはいかない。あののっぺらぼう手だけクソ敵の調教のおかげで、わたしは脳への深刻なダメージと引き換えに誰に対しても100%の愛を抱けるようになった。けれども、それを使ってでも彼を満足に治癒することは出来なかった。だからこの間わたしは─────。
『SHIT!?ちょっと待って!!?何で全裸になろうとしてるのかなキミは!?!?』
『キスだけで効果が足りないなら、もう『
『いや絶対ダメだから!!回復はしたいけど絶対にその一線だけは超える気はないからねワタシは!!』
吐血しながら必死に説得され、『キミの事情は聞いてるが、今は女の子なんだから身体を大事にしなさい』『あれだけの大怪我を負ったのにまだヒーローとして活動できるなら十分だ』『蛙吹少女の気持ちを考えたまえ!』とか何度も言葉重ねられ最終的には。
『蛙吹少女、そして緑谷少年という素晴らしい後継者を得つつ、それでいてまだヒーローとして居られるんだぜ!!今のわたしはこれ以上ない程恵まれてるんだ!もう十分さ!』
「─────はぁ」
「…どうしたんだ、具合わりィのか」
「ん…?あ」
前の席の男子生徒がかけてくれた声で現実に引き戻される。どうやらもう説明は終わったらしく、皆ジュラルミンケースを担いでキャッキャと騒いでいた。あぁ、訓練場に行くから
「ごめん、大丈夫だ…よ、ありがとう」
「そうか」
少しはにかみながらそう彼に告げると、さっさと去ってしまった。白と赤の綺麗なツートンの髪…。あぁそういえばNo.2ヒーローのエンデヴァーの倅も今年雄英に入学したらしいとは、昨日ミルコさまが言っていたことだ。彼がそうか?いやでも何度かミルコさまがチームアップしたことがあるけど、雰囲気が全然違うな?
エンデヴァーは敵が人質を取ってれば人質ごと焼き払うタイプだし、多分他人の心配なんて絶対しない。その時は私が人質を火から庇ったけど鱗がハゲた。
と、そこまで考えていると梅雨ちゃんが私を手招きしていたので歩み寄った。なんだろう、無表情だけど何処か雰囲気が険しいぞ?
「ねぇ昨日、何処でお着換えしてたの?更衣室にいないから私心配してたのよ?」
「そーだよー!ナージャちゃん消えちゃったからそういう個性も持ってるのかと思ったじゃん!」
「葉隠も消えてたじゃん」
ウッ、と思わず言葉に詰まってしまう。顔と頭上の蛇達の目を逸らしながら必死に言い訳を考える。いやだって、梅雨ちゃんだけなら良いけど他の女の子もいるんでしょ?絶対ダメだ。元男としてそれは論理的にアウトだ。
「いや…その、トイレの個室で着替えてたんだけど。そのね、わたしね、服脱ぐと『
しゅるん!と伸びて来た長い舌に絡みつかれ、梅雨ちゃんはそのままズルズルと引きずられてしまう!?そしてそのまま…これは女子更衣室の方へ向かってる!?
「ケロ。ごめんなさい皆、この子ってばちょっと照れ屋さんなのよ。それにちょっと見た目にコンプレックス持ってて…」
「そ、そうなんですのね…大丈夫ですわ七十七さん!ここにあなたの外見を嗤うような生徒は一人もいませんわ!」
「そうだよ!!とってもカワイイから自信もって!!ね!!」
「むぐぐ」
ずるずると引きずられる背中をぽんぽんと叩く手。わたしはその優しさをしみじみと感じながらも、諦念しながら女子更衣室へと連行されたのだった…。
▼▼
グラウンド・βと言うからに開けた広場を想像していたのだが、どうやら無人の街のようだった。それも結構な高さの高層ビルが雑多に入り交じり、交差点には歩道橋まで掛けられている。
凄いな、この訓練場だけでも公安の所有する訓練施設の倍くらいあるぞ。こんなだだっ広い市街地での訓練なんてVRでしかやったことがない。
「あら、うさ耳ちょっとズレてるわ、動かないでね」
「あ。ありがと」
隣に立つのは
他には首元部分のファーが若干梅雨ちゃんの方がふわふわしてたり、フリルが各所に盛られてたり、脚がないわたしでも着れるようにクロッチ部に留め具があったり、『
(……何でわたしだけこう、乳房のところ立体裁断されてるんだろう。おかげで二人より胸の形がくっきり出てやだなぁ…)
「おぉ~!わかってたけどテレビで見るのと同じ
「やっぱ動きやすさって大事だよな!!わかるぜ!」
「二人もとってもカッコイイわ。本物のヒーローに負けてないわよ、ケロケロ。」
芦戸ちゃんと切島くんがわたしたちに手を振ってくれる。彼らも立派な
他の生徒達をぐるりと見渡してみるが…皆やはり動きやすさ重視の子が多い。特に女子生徒は個性のためか肌の露出がとんでもない子が居たり、かなりパッツパツでボディラインが浮かび上がってる子もいる。…あれ?もしかしてわたしのこの衣装って…普通なのか?恥ずかしがってるわたしがおかしいのか?今時の子はこれくらい肌を露出するのは普通なのか…??
「今日は屋内での対人戦闘訓練を行う!」
あぁいけない。そんなことを考えてたらオールマイトによる説明が始まった。
今回の内容はツーマンセル同士の対抗戦。片方がヒーロー役、もう片方がヴィラン役となっての戦闘訓練ということだ。その舞台はこの訓練場にあるビル内であり、つまり今回は屋内戦の演習ということになる。
「…申し上げますが、それは基礎訓練の前に行う授業なのでしょうか…?」
「どんな能力が基礎として求められるかを知るためさ!」
わたしの問いかけにそう答えると、彼はそそくさとカンペを取り出しそれを読み上げ始める…かわいい。他の生徒からも質問の声があがるがそれを手で制しながら。
「いいかい!? 状況設定はヴィランがアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている! ヒーローは制限時間内にヴィランを捕まえるか、核兵器を回収すること。ヴィランは制限時間まで核兵器を守るか、ヒーローを捕まえること! コンビおよび対戦相手はくじで決めるぞ!」
核兵器か。たしか昔潜入した宗教団体が崇めてたなぁ…。重度の放射能汚染地域に本部を構えてたから『無敵』のわたし一人で乗り込むハメになって大変だった。でも彼らが作ってた放射線入りの青く輝くコーラは美味しかったな。後でグレネードの材料にしたが。
「あ、それと!七十七少女と蛙吹少女!─────君たちだけは3on1、もしくは3on2ね!」
「はい」「んケロ」
わたし達に回りの生徒からの視線がぎゅっと集まる。中には舌打ちしているような男子生徒もいるし、少なくないざわめきが起こるけども気にしない。わたしは「よしじゃあ誰でもいいや!COME ON!」と箱を構えるオールマイトの元へ這いよりクジを引いた。
そして厳正なるくじ引きの結果…わたしは運良く3on2の方を引けた。しかも相方は葉隠ちゃんとなり、まだ会話もしたこともない生徒だらけの中で数少ない知り合いとペアになったことにちょっと安堵した。おまけに言えば相手…つまりヒーロー方は轟くん、常闇くん、尾白くん。
パッと見た感じフィジカル寄りに近い個性の3人が固まったようだ。…力押しで突破されることもあり得る。余り舐めると赤っ恥をかかされてしまうだろう。
「いえ~~い!ナージャちゃんゲットォ~!もう勝ち!勝利確定だよコレ!脚引っ張らないようにいっぱい頑張るね!!」
「うん、良い訓練にしようね。」
ぴょんぴょんとわたしの周りを跳びまわる彼女に薄く微笑みつつ、わたしは相手となった3人の方を見やった。
「じゅ、授業初日からヒーローと闘うのか…マジかぁ…」
「臆するな。初日から全力を発揮できる良い機会ではないか。胸を借りるつもりで行こう」
「………」
するとこちらをジッと見つめる轟…くんと目が合う。無表情だ。梅雨ちゃんの無表情なら感情が分かるが…。そんな風に首を傾げていると。一回戦が始まるので演習を行わない面々は、ビルの地下に用意されたモニタールームへ移動するように、と言われ、そのまま視線が外された。
演習ビル内に設置された多くのカメラから撮影された映像が、無数に並べられたモニターに映し出される。演習を行う生徒たちだけでなく、他の生徒も戦闘を俯瞰して見ることで、学ぶものがあるということだろうか。しっかりしてるなぁヒーロー科というものは。
『ケロケロ。全力で、本気で
で、一回戦の内容はと言うと─────爆豪、緑谷、麗日vs…梅雨ちゃんである。これ大丈夫だろうか。あの緑谷くんと爆豪くん?はかなり不仲なように見受けられたが、チームとして成立するのか?
演習の開始前に与えられた打ち合わせの際からずっと…まるで子供同士の大喧嘩だ。緑谷が何とか相談しようとするも爆豪は一人で独断先行し、それを不安そうに見つめる麗日さん。
「なんで敵も見つけてないのにアイツあんなドカンドカン爆発してんだよ…」
「幸先が不安になっちゃうよ…。数の有利があると言え相手はあのフロッピーなんだよ?喧嘩なんかして大丈夫?」
「大丈夫じゃねぇだろ」
始まる前から瓦解してるヒーローチームに、心配そうな眼差しを向ける生徒達。わたしも頭上のヘビ達の頭を撫でながら、彼らの様子を見やる。
梅雨ちゃんが負けるワケが絶対ないが、相手は"実技試験次席"爆豪君に、"もう一人の継承者"緑谷くん、そしてこれまた実技試験高順位の麗日さんだ。少し心配だったがこれでは相手にすらならないかも…。
「なぁ七十七…ってうわ、なんか高い猫撫でる悪役みたいなコトしてんなお前」
「ん?なぁに?」
髪の蛇たちを椅子の形に固定しつつそこに腰かけ、太ももに乗せた一匹の蛇を撫でるわたしに声をかけたのは…上鳴くん?と瀬呂くんだっけ?あ、隣に芦戸ちゃんが詰めて座ってきた。
あっこら蛇たち!座ってきた芦戸ちゃんに甘えようとして椅子の形を崩すんじゃない!!
「うっひゃー!!みんな甘えて来たー!!かわいいー!」
「…フロッピーの相棒からしてどうよ?どっちが勝つと思う?」
「プロの目線から見た下馬評聞かせてくれよ!」
目を無邪気に輝かせて聞いてくる少年たちの純真な眩しさときたら。…でもまぁ、こんなの聞くまでもなく結果はわかると思うんだけど。
「梅雨ちゃんが勝つよ。……でも、そんなことよりモニター見なくていいの?凄いことになってるよ?」
▽▽
…演習開始の合図。それとともにこの5階の窓を突き破って表れた男子生徒、爆豪。彼は凄まじい速度でガレキに腰かけていた蛙吹梅雨に肉薄した。
敵が陣取るなら最も入口から離れているココに決まっている。外れてもそのまま虱潰しに上から探せばすぐに見つかるはずだ。そして速攻を仕掛ける!
それが彼が考えた作戦であった。事実、実力差が顕著になる前に勝負をかけるというのは間違いのない作戦だったのだ。
「同じ立場なら私もそうしたわ。でもね。爆豪ちゃん」
背後を取った。虚を突いた。室内という地の利も得ている。しかし─────爆豪の振りかぶった腕の先に、もう彼女の姿はいなかった。
「ちょっとそれは大ぶり過ぎるわね」
(何がヒーローだ。こんなすっとろい猫背カエル女が何でオールマイトの弟子なんだ─────)
かつて彼女を見た時に抱いた印象。それが今、音を立てて崩れ去っているのを感じた。そして今回の演習で鼻を明かしてやると活きこんでいた自信も一緒に。
「ちゃんとガードするのよ?─────
耳元で彼女がそう囁いた次の瞬間。その訓練ビルに設置された全てのカメラが
どういう展開がいい?
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スーパー梅雨ちゃん無双
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主人公ちゃんがひたすらえっちぃ目に
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スーパーミルコさん無双
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ひたすら百合百合