ヘビはカエルに食べられる。たまに兎に食べられる。 作:Kkmn
────マズい。マズい!このままだと、最悪の事態になる!
確かこの兎っぽい風貌とスーツの女性ヒーローは…覚えてる!『"ラビットヒーロー"ミルコ』!トップクラスの実力で、まだデビューしたての時も凄いのが現れたと─────あれ記憶が…?いや、今はどうでもいい!
「間一髪だったなあ、あの蛙っぽい学生も食うつもりだったんだろ!?この蛇ヤロウめ!」
「も…がぁっ…!ゅる、る…!」
そして今自分は、そのヒーローに抱え上げられ─────と言うより捕縛され連行されている。しかも出会い頭に装着された猿轡…そういう敵対策用の一瞬で展開し口を拘束するガジェットだ。そのせいで、この状況を打開する唯一の手段である対話もできない。ついでに腕も縛られている。
「あぁ?悪ィがまた民間人を操ろうたってそうはいかねえ。同じ轍踏むかよバーカ!!」
「…ふっ…んむ、しゅる…!!」
雨のビル街を跳躍し、彼女は自分を肩に担いだまま何処かへ駆けていく。本当にダメだ。このまま警察に突き出され、それがニュースにでもなろうものなら…あの蛇女は完全に姿をくらます。そうなればDNA鑑定や因子判定で多少の差異があろうとも、自分が犯人に仕立て上げられるのは想像に難くない!
─────そうだ、警察なんてそんな奴ばかりだった…いや。今はそんな思い出した記憶なんてどうでもいい!
「ハッ…おい蛇女。お前なんか変なコト企んでやがるな?そんな顔してやがる」
「ん、ん-っっ!!しゅるん、んしゃ…!!!」
くそっ、元の個性『※※』だったら─────ああ、もう!何で今思い出す?せめて今役に立つことを思い出せ。苛立ちをぶつけんばかりに蛇の下半身もくねらせて全身を捩り抵抗するが…片手の力で軽々抑え込まれる。
(だったら…あの反動で肌が裂ける『怪力』の個性を使ってでも────ダメだ。人に対して使うのだけは…それだけは…)
そう、記憶も個性も名前までも失い、敵と同じ姿に貶められたとはいえ自分はヒーローだったのだ。その一線だけは何があろうと超えてはいけない。それをしたら"敵"だ。だったら…そうだ。まだ上手く制御できないが、頭上の蛇をけしかければ─────!
「─────?!ん、ぐぅっ…」
「へへ、こうやって髪の毛結いじまえば蛇だろうが茨だろうが、身動きとれねーよなあ!!」
なんだ、これ…髪の毛、いつのまに団子ヘアーにされていたんだ…!?これでは蛇達が絡まってまるで身動きできない。マズい。そもそも今の自分は何の訓練もしていない女子高生の子供に、手も足も出ず一方的にやられる程に非力なのに。
ああくそ、またあの子が────梅雨ちゃんが助けに…くそ、何を考えてるんだ、元ヒーローの癖に。それに無理だ。いくら俊敏な彼女とはいえ現プロに追いつくなんてことは……。
「はっはー!やっと吠え面搔きやがったな!そのゲッスゲスな顔した澄ましヅラが……ヅラが……ん?あ?」
ミルコの無邪気な満面の笑みが徐々に薄れ、次第に真顔を通り越して怪訝な顔になっていく。さらにはビルの屋上を駆けていた足も止めてしまい、肩の荷物をそこにゴロンと放り出した。
「ん?なんだこの甘ったるいニオイ…?てめぇ、何かしたのか?」
そしてそのまま呻く哀れな獲物の顔を、深くのぞき込もうと身体に脚をかけて─────。
「─────待って!!はぁっ…お願い!…はぁはぁ…話、を…けほっけほっ…」
「んあ?…なんだお前、ファンか?」
その転がされてる哀れな獲物は、耳朶を打った少女の声に自身の耳を疑った。待て、車なんかよりよっぽど早い速度でこのヒーローは飛んで来たのに。それをこんな短期間で追いついたのか?。
「あ、さっきのカエルっ子か!?マジかよ、結構アタシガチで走ってたんだぞ!やるなぁ~~!…悪いけど今忙しいからサインは後でな!」
「…違うわ。ごめんなさい、あなたのことは知らないけど…その子は敵じゃないわ。放してあげて」
「はぁ??」
あんぐりと口を開けたと思ったら…彼女は地面に横たわる蛇の少女をキッと鋭い瞳で睨みつけた。
「てめぇ蛇女、こんな子供も操ってやがったのか。」
「ん、しゅんむ……」
恐らく彼女が、ミルコが言っていることはあの本当の蛇女が持っていた『支配』のことだろう。誤解であることを伝えたいが、相変わらず口を塞ぐ猿轡を外す手段は見つからない。
「カエルっ子、いいか?コイツは…この敵は人を操る個性をもってんだ。何を吹き込まれたか知らねーけど、さっさと忘れてお家に帰りな」
「帰らないわ。私は操られていないし、その子はそんな個性持ってない。それに、例の児童誘拐事件が起こってた時には私と一緒にいたわ。写真もあるわよ。」
上位一桁のプロヒーロー相手だと言うのに、蛙吹梅雨は一切物怖じせずキッパリと言い放った。その佇まいと態度に彼女も少し瞼をピクリと動かしたものの、すぐに不機嫌そうな顔へと変貌する。
「お前高校生か?わかんねえけど…敵の味方をして、ヒーローの邪魔するってんなら。そりゃどういう意味かわかるよな?」
「わかるわ。でもその子は敵じゃない。─────私のお友達よ。」
瞬間、弾けるように駆け出した梅雨は、その勢いのまま倒れている少女に長い舌を伸ばした。早い。蛇の少女の双眸と、頭上の全ての蛇の目で見てもその動きは追えない。しかも一週間前の夜の出来事の時より、遥かに力強く、そして早くなっている…!
「─────!!ケ、ロ」
だから、その舌が軽々と兎のヒーローによって掴まれ、引っ張られている姿を見た時は目を見開いた。
「お前なんだ?今の加速系の個性か?…いや、蛙だよな。ってことは自力か!?すげえな!やるなあ!!」
鋭い目をギラギラと輝せ、白い歯をむき出しにした彼女はそのまま舌を力任せに引っ張る。それにより梅雨ちゃんはバランスを崩した状態で距離を詰めさせられる…!そしてそれを待ち構えるように、脚を大きく振りかぶり─────
「ちょっと痛いが勉強料だ!とっとけ!!─────お?」
「う…ぎっ…ケロっ…」
ヒーローの褐色の右脚が空を切り裂くように高く蹴り上げられたが─────梅雨もそれに応じるように素早く反応し、自分の脚を使ってその攻撃を防いだ。衝突する脚と脚から生まれる衝撃音が、夜の静寂を一瞬だけかき乱す。
「なあ!お前その制服どこのヒーロー科だよ!!アタシん所来いよ、その根性気に入ったぜ!」
「…ごめんなさい、まだ、中学生…よっ」
「はぁ!?マジかよ、最近の子供ってスゲーなあ…っと!!」
緩んだ雰囲気のスキを見逃さず再びこちらへ向かって跳躍してくるが…それもミルコの脚に妨げられる。だが彼女は一切ひるまず、素早く次の一手を繰り出す。ここにきて初めて直接ミルコを────それも顔面を狙うが、俊敏に身を翻して避けられ、そのまま反撃に転じる。強烈な蹴りが腹部を目掛けて迫るが、梅雨もまたその一撃を受け流すように反応する。が…続けられる素早いジャブのような蹴りの応酬のその速さと力に、彼女は思わず後退する。
─────ニィ。
兎のヒーローの美貌が、野性を剥きだしにしたワイルドな笑みに歪む。
それに相対してる梅雨の顔は…今にでも気を失いそうなほど蒼白で息も絶え絶えだった。
「やべえ。久々に楽しくなって来ちまった…でもここまでだな」
「…ケロ?」
「お前それ脚ヒビいってるぞ。攻撃全部を馬鹿正直に受けっからだ。病院まで連れて行ってやるから今日は帰れ」
「……お友達と一緒に帰ってもいいかしら?」
「ダメだ、コイツは警察に─────ん?」
そこまで言うと彼女は背中からけたたましく鳴動するスマホを取り出し、怪訝な顔をした後それを兎の耳にあてた。ちらり、とこちらを見やった梅雨ちゃんの不安げな目とあったが…「ごめん」という目を返した。…このヒーローでよかった。もし他のヒーローだったら梅雨ちゃんも一緒に罪に問われていたかもしれない。
「もしもしミッドナイトか??なんだよアホみたいな着信履歴しやがって……はぁ!?何言ってんだ、いやだってコイツはここに…」
どこか焦ったような声音で電話に応対しながら、ミルコは自分を逃がさないように足をかけている。
「あ~~…いや、何でもねえけど…あー…いや、マジで悪かった…ああ、わかったよ。それじゃ」
そして電話を終えた彼女は、その紅の瞳で自分の瞳をのぞき込んで─────。
「……おまえ、誰????」
─────▼▼─────
「────ってコトなの。だからこの子、例の事件の敵じゃないわ」
「……ん~、まぁ、言ってることは分かった!確かによく見りゃ全然ツラちげえし!言ってくれりゃすぐに分かったのによ!」
「い、いおうとしたのに…」
「まぁまぁ良いじゃない、結果オーライよ。ケロケロ」
あの後、猿轡が外れた自分と梅雨ちゃんで必死に説得したミルコ…さん?により、近くの高そうなマンションの一室へと連行された。何でも日本中を駆け回ってる彼女には何処にでも拠点があるらしく、ここもその一つらしい。それにしたって何にもない…一通りの家具とニンジンのダンボールだけだ。
「よし、カエルっ子の話は分かった。じゃあ次はお前だな」
「…ケロ?わかってくれたんでしょ?ならこれ以上は…」
「ばっか、それでやっと"グレー"だよ。同じ個性、同じ見た目、同じ複数個性で関係ねーワケねーだろ?」
「…たし、カに」
ボリボリとニンジンを生でいきながら、彼女は顎でこっちを指し示し、話を促した。ちなみに自分と梅雨ちゃんの前にも生ニンジンが出されてるが…ちょっと無理。
「ナナちゃん、大丈夫…?無理しなくても…」
「うウん、へい、キ。じぶ、ンは─────「あ、ちょっと待て」
覚えてる自らの過去を口にしようとした出鼻を遮られる。すると机の下からゴソゴソと何か────え?…スタンガン?───を取り出した彼女は…それを鱗の上からこっちの右手に押し当てて??
────バ、チッ!!
「~~~~~っっ!?!?!」
「な、何して……!?」
「手の中に小型の発信機か盗聴機かわかんねぇが、何かヘンなの入ってた。心あたりあるか?お前」
電撃が走った手を梅雨ちゃんに撫でられながら、そのミルコの言葉に驚愕した。心当たり─────しかない。あの蛇女や化け物どもに脳に記憶から個性まで弄られているのに心当たりが無いわけない。
「アり、マす…ごめンナさい…」
「責めてるワケじゃねえよ。まだあるかもだからお前のカラダを調べてからだな。続きは明日な!」
「………」
……鱗に覆われた醜い右手を呆然と見ながら、自分は今までの短絡的すぎる行動を悔いた。もし、これが盗聴器だったら?自分は良い。失うものなどないのだから。でも、でも。梅雨ちゃんは?自分のせいで一週間も一緒にいた梅雨ちゃんが─────もしあいつらに狙われたら…。
───ポロ、ポロ。
「…ひぐっ…うぅ…ふぇ…??うソ、ナんで、ないて……」
「ナナ、ちゃん?」
自分が敵として捕まるのも、あいつらにもう一度捕まるのも耐えられる。でも梅雨ちゃんが、もしだいすきな梅雨ちゃんがもしあいつらに捕まったりなんてしてしまったら。
「ひぐっ…ゴめん、つユ、チャん…まきこんで…ぐすっ…」
─────▼▼─────
「…はぁ、めんどせぇコトになったかなあ」
あの後泣きつかれた蛇の少女は眠ってしまい、お友達のカエルっ子も「明日また来い!」とだけ言って今日は返した。最後まで心配そうな顔をやめなかったが、責任をもって保護すると何度も伝え無理やり安心させた。それに電話番号も教えたし、彼女の身に何かあったらスグに飛んでいけるだろう。
(…最後の別れ際に、蛇女…違う、眠ってるこいつにキスして帰ったのには声でそうになったけどな)
しかしそれにしてもどうするか。
まず唾液を採取して信頼できる検査機関に送る。現場で採取された蛇女の唾液や血液と比較すればハッキリ結果がわかるはずだ。ついでに個性の検査もしたい。あとは一応カエルっ子のスマホを借りて撮った写真に怪しい所がないか確認して…。で、結果がでてもし別人だと分かれば…そうなれば…。
「結局コイツの証言次第だな」
くぅくぅと眠るその幼い顔に近づき、はだけている上着のボタンを外していく。どうやらサイズの合わないものを着ていたらしく、胸のところはパツパツだ。
「─────さっさと済ましちまうかあ」
たぷん♡と揺れる彼女の乳房から漂う甘ったるいニオイに眉をひそめながら、ミルコはその肢体に手を伸ばした。
どういう展開がいい?
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スーパー梅雨ちゃん無双
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主人公ちゃんがひたすらえっちぃ目に
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スーパーミルコさん無双
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ひたすら百合百合