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10
夕暮れの残光が基地の厳しい風景をわずかに和らげていたが、その穏やかさは一時的なものに過ぎない。マルフーシャは疲れた足取りで、ほかの兵士たちと共に宿舎の建物へと向かっていた。彼女たちの影が長く地面に伸びる。
――どうしようかな
ある重大な悩みを抱えつつも、疲労困憊の脳ではいい解決策も思い浮かばず、ただただ歩いていくと、いつの間にか今の“家”にたどり着いた。
建物の外観は灰色のコンクリートで、屋根には緑色の銅板が使われ、窓は鉄条網で補強されており、その堅牢な構造はマルフーシャを囚われの身だと錯覚させる。
貼り付けたように軽い扉を開けると、内部からは消毒液のような鋭い匂いが迎えた。マルフーシャは一瞬、その匂いに鼻を顰める――がすぐに慣れ、自分の部屋へと直行した。
宿舎内は薄暗く、天井から吊り下げられた電球がかすかな光を放ち、床は無機質なセメントがむき出しになっていた。壁には剥がれかけのペンキが所々に見られ、生活の跡が随所に刻まれている。
マルフーシャが廊下を歩き進むと、疲れもあってか、いつもより重たいブーツの音が静かな通路に反響する。
そこから、やがて通路は無数の扉が等間隔で埋め込まれた少し広い通路に変わっていく。兵士たちの個室だ。
その中でも少し奥の方、9番目の部屋に向かうと、扉を開ける。もちろん自分の部屋であり、その中にマルフーシャの帰宅を咎める存在はいなかった。
代わりに四隅に鉄骨が立ち並ぶ、相変わらずの狭さと無機質な雰囲気で一杯の部屋が顔を出した。壁は長年の汚れでぼんやりと色を失い、部屋の一角には表面に無数の傷が刻まれた古びたボロボロの冷蔵庫。
無造作に吊るされ洗濯物から、じめじめとした空気が漂っている。石鹸の香りはほとんどしない。
天井にはスピーカーが取り付けられ、国家からのプロパガンダが絶え間なく流れている。その音は常に部屋に響き渡り、耳には休む間もなく国の声が入り込む。隅に置かれたテレビもまた、国による情報のみを映し出し、どんなにチャンネルを変えても、画面には指導者の演説や国家の成果が繰り返し放送されているだけだ。
――前線は今日も勝利…か
流れる前線の吉報を聞き流しながら、マルフ―シャは冷めた気持ちでいた。
最近の門に来る前線の撃ち漏らしとやらは、増加する一方だ。備品の数も減って、基地の雰囲気も張りつめている。本当に勝っているのか、本当は前線はすでに崩壊寸前で、自分たちはお偉いさんが逃げる時間稼ぎの消耗品に過ぎないのではないか?
――もしそうなら…
彼女は重い装備を担ぎながらゆっくりと歩き出した。
マルフーシャはガシャガシャという音を宿舎内に響かせながら自分のロッカーを開け、重い武装をロッカーに詰め込んでいく。
それぞれの装備をしまう手つきは慣れたものであったが、マルフーシャの表情からは疲労が滲んでいた。それでもなんとか荷物を叩き込み終え、荷物がなくなったことで心なしか疲れが取れた気さえする。
と、そこで気が付く。同居人の姿がない。いつもなら必ずマルフ―シャよりも先に部屋に戻り、洗濯物を畳んだり、片付けをしたりしているのに、今日はその姿がなかった。
とうとう洗濯物を畳みすぎて洗濯物に押しつぶされたのかと心配するが、その洗濯物は列整然と折り畳まれたおり、皺ひとつない。
朝はそんなことをしている余裕はなかったので、多分、一度帰ってきて、わざわざ畳んでから出かけたのだろうか? それともマルフーシャが朝の巡回任務に行った後の5分ほどで全てやったのか?
どちらにしても、律儀というか、世話好きというか。
装備を放り込み終えたマルフーシャはテレビの前を横切り、自分のベッドに向かう。ベッドはシンプルで狭いが、整然とシーツが貼り直されている。
――やはり、一度帰ってきたはずだけど…
シーツをこんなに綺麗にする習慣はマルフ―シャにはないので、ベルカだろう。シミ一つ無いので恐らく、一度洗濯したモノを取って戻ってきたのか、さすがに朝に共同洗濯所まで行くのは不可能のはずだ。
ちなみに部屋にも洗濯機はあるが、今は壊れている。
なら、ベルカはどこにいるのだろう。疑問に思ったが、今はヴァレリーのところにでもいるのかもしれないなと、そこまで考えてそれ以上考えるのはやめた。
何かすることがあるわけでもないマルフーシャは、適当に足をパタつかせる。
誰もいないというのは新鮮で、しばらくは少し物珍しくもあったが、すぐに飽きて侘しさを感じ始める。
ベッドは鉄枠のフレームに薄いマットレスが一つ乗せられているだけだった。一応、二段ベットの要素を満たしてはいるものの、正直上で寝るのはごめんだと思う。
ベッドの隣には小さな木製の手作り棚があり、その上には個人的な小物を置くスペースがわずかにある。
義妹の写真が置いてあるのを見て、ここが自分の空間だという実感が湧いてきて、少し気が楽になる。
部屋の隅には個人用の小さな机と椅子が置かれ、壁には基地の規則が書かれた掲示板が掛かっていた。
「栄誉ある兵士へ」と書かれている。
Big brother wathcing you
マルフーシャは自分のベッドに腰掛け、周囲の静寂を感じ取りながら、疲れた体を休める。
――スパイなんて、本当にいるのかな?
上段の主は今いない。当然部屋にも見当たらない。狭い部屋だし見逃しているはずもない。
もしや、今はチャンスかという思いが浮かび上がる。
ベルカは几帳面な性格だから、あからさまに物を漁ればバレる可能性はある。だが、普段は勤務時間の関係で、どちらか一方だけが不在ということは滅多にない。
なら今のうちに探りを入れてしまってもいいんじゃないか?マルフ―シャの心に冷たい感情が宿る。
――やめておくか
くだらない画策を取りやめて、マルフ―シャは歯を磨こうと、奥のシャワー室兼洗面室――浴槽もついてはいるがそれは水を回収するためで、風呂に入ることはない――に向かう
「ベルカ?」
彼女の声が静かに響くと、遠くから鼻歌が返ってきた。
「♪」
薄暗い室内にシルエットが浮かび上がり、水音がリズミカルに聞こえてくる。マルフーシャは一歩ずつ音の方向へと近づき、カーテンをそっと開けた。
「きゃあ!」
可愛らしい悲鳴が聞こえて。けど、そこにベルカはいなかった。
正確には、その女性をベルカを認識するのに数秒を要した。
そこにいたのは確かにベルカだった。しかし、マルフーシャの記憶の中のベルカとは全く違う姿だったのだ。濡れた髪が肩にかかり、彼女は生まれたままの姿で立っていた。普段の軍服に隠れていた彼女の柔らかなラインが露わになり、一時的にマルフ―シャの現実感を失わせた。
純粋な瞳がマルフーシャを見つめ返すその瞬間、マルフーシャは自分自身の感情の揺らぎを自覚する。
「もう、ビックリさせないでよね」
意識が現実から離脱したマルフーシャは返事をしない。
「マルフーシャ? すぐに上がるわ」
マルフーシャもシャワーを浴びたいと考えたのだろう。ベルカがシャワーを止めようと手を伸ばす。
「…何でもない。気にしないで」
それを静止しながら、マルフ―シャは急いでその場を離れ、心臓の鼓動が早まるのを感じながら、ベッドに戻ろうと浴槽から距離を取る。
それを見たベルカが、困惑したように声をかけた。
「いいの?」
「うん」
「遠慮しなくていいのに…やっぱり浴びたいってなったら言いなさいよ」
そう言いながらも、嬉しいのだろう。ベルカは無邪気な笑顔を浮かべ、手で水をすくい上げながら、鼻歌を続けている。その無防備な姿に、マルフーシャは思わず視線を逸らす。
「じゃあね」
ようやく声を絞り出したマルフーシャに、ベルカは気づきもせず、ただ楽し気に湯を浴びている。普段からは想像できない無邪気な表情だった。
胸が苦しい。
シャワー室を出た後も、その感覚が消えないまま時間は過ぎていき…15分ほど経った頃だろうか。
ガチャ。
という音を立てて、ベルカが出てきた。制服は脱いでいたが、その下のシャツは軍指定のものを着こんでいた。とはいえ、さすがにボタンは緩く止められているだけだ。
「上がったわよ、本当にいいの?」
ベルカは再三の確認を行うが、マルフ―シャは笑って頷くだけだ。それしかする余裕がなかったと言い換えることもできる。
「そう…」
腑に落ちない様子だったが、ベルカは自分の寝床に備え付けられた梯子を使って上って行った。上段のベッドに横たわったのが、振動で何となく伝わってくる。
疲れているのもあってベルカとの会話もほとんど無言に近いが、その静けさは共有する疲労を映し出しているだけで、気まずさはない。
ちなみに、シーツを毎回洗うのが大変なので、二人はいつも、もう一枚シーッの代わりの軍用の寝袋を上に広げるのだが、今日は二人ともそれを忘れていた。がそれを指摘する者はこの場にいない。
「おやすみなさい、ベルカ」
言葉少なく、ベルカに夢への旅たちを告げる。
「おやすみ」
マルフーシャは真っ白なシーツの上へ座り、少しの間、窓の外を眺めた。外はすでに暗くなり始めており、基地の灯りがかすかに点滅している。その光をじっと見つめながら、眠りについた。
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11
目が覚める。銃声が響いた気がした。事実として響いたのだろう。この2か月ですっかり慣れたもので、その音は既に起床の一部となっている。
ベッドから降り、時計を見る。少しいつもより遅い起床だ。昨日は少し気分が変になったことで眠れなかったこともあるだろう。
髪を手櫛しながら、奥のシャワールームに向かう。もちろん、優雅に朝シャワーをする暇はない。歯を磨いて、後は顔を洗うのが精々だ。洗面台とトイレとシャワーがセットなので。奥の部屋にいる時間は、ひょっとしたら一番長いかもしれない。もちろんベッドで寝る時間を除いてだが。
ほとんど飾りみたいなものだが、ドアを押し開くと。あまりの軽さにそのまま取れそうになった。慎重に開けていくと。ベルカがすでにコップと歯ブラシを持って歯を磨いていた。
歯ブラシは深いマルーン色で、その優しい色合いは、ベルカが普段見せる厳しい外面の裏にある、より繊細で柔らかな部分を暗示している。そういう脆さが彼女にはあるとマルフーシャは感じ取っていた。
鏡越しにベルカと目線が合い。洗面台に顔を向けていた彼女が振り返った。
ベルカは質素な寝間着を身に纏っていた。ワンピースのようなデザインで。サイズはゆったりとしており、首元はゆるくカーブを描いている。見ていて寒そうな薄手の素材が特徴的である。仄暗い色で、素材は薄くて通気性が良いコットン製である。デザインといえるデザインは皆無で。非常に単純、無駄な装飾は一切なく、ベルカの整然とした性格と、彼女の好む無駄のなさを反映している。
「何見てるの?」
あまり普段は見ない。というかマルフ―シャの方が早く寝て遅く起きるので、寝間着を見たことがなかっただけなのだが、制服以外の珍しい光景に目をやっていると。ベルカは不思議そうに尋ねてきた。
「ああ、ごめん」
言外に突っ立てどうした、と言っている様に聞こえたマルフ―シャは一言謝って、洗面台に並ぶと、自分のブラシを取った。
洗面所には、備え付けの小さなコップが二つ置かれている。これらのコップは頑丈な金属製で、軍の備品だ。ちょっと不衛生かもしれないので、ベルカは自前のモノを用意している。マルフーシャは別に何でもよかった。気にしなければ気にならない。まず納得することから全て始まるのだ。2つ並んだ内の左にある方を取って、銀色に鈍く光るコップに水を満たし、水面に映った自身の顔を見た。まだ自分の顔が老けていないのが気味が悪かった。
「少し遅いわよ」
ベルカもコップに水を満たしながら、マルフーシャの遅い起床について軽く注意を与えた。彼女の言葉は厳しさを含みつつも、朝の穏やかな光の中で交わされるため、その調子はやさしい。
そんな穏やかな朝に無粋極まりない放送が唐突に流される。
〖本日ヨリ、国民税ガ導入サレマス。納税ハ憲法で定メラレタ国民ノ義務デス。ヨク働キヨク税ヲオサメマショウ〗
二人はすっかり慣れた様子で――もちろんそれもうんざりとしながらだが――いつものように会話を始める。
「今日から国民税か…住民税と何が違うの?」
ベルカが問いかけた。
「わからないけど、きっと今まで国民じゃなかったんだよ」
マルフーシャは投げ気味に、顔を拭きながら答えた。
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12
薄明かりが基地の兵舎を照らし始め、冷たい空気が漂い始める朝、マルフーシャとベルカは部屋から出て部隊の朝礼に向かうために歩き始めた。まだ建物の廊下だと言うのに呼吸が白く煙る中、足音だけが静寂を破っていた。
「行こうか、ベルカ」
マルフーシャは靴ひもを結んでから言い、兵舎にいくつかある内の一つ、外に繋がるその扉に向かって歩き出した。
ベルカも頷き、マルフーシャの後に続いた。外に出て、目的地の道すがら、二人は肩を並べて歩きながら基地の中心部へと向かった。兵舎の外では他の兵士たちが整然と並び、朝礼の準備を進めていた。
道の両側には古びた兵器庫や訓練施設が並び、冷たいコンクリートの建物が大量に立ち並んでいる。基地内の道路は乾燥した砂利道で、足元からはカラカラとした音が響いていた。彼女たちの足音に混じって、他の兵士たちが整列する音や、指揮官の号令が聞こえてきた。
「今日も無事に終わるといいわね」
ベルカが小さく呟いた。
「そうだね」
マルフーシャは答えた。それはただの同意以上の意味を持たない。
二人は互いに話し合いながら歩き続けた。基地の中心部に近づくと、朝礼の広場が見えてきた。広場には既に多くの兵士が整列しており、指揮官が前に立って全員を見渡していた。
「急ごう、もうすぐ朝礼が始まる」
マルフーシャが言うと、二人は歩調を早めた。
基地の建物群の間を抜け、二人はついに朝礼が行われる広場に到着する。そこにはすでに多くの兵士たちが集まり、整列していた。二人は自分たちの部隊の列に加わった。彼女たちはお互いに短い頷きを交わし、前を向いて立った。冷たい風が吹きつける中、第三門兵達は一糸乱れぬ姿勢で立ち、指揮官――マルフ―シャとさほど変わらない年の少女だ――の登壇を待っている。空は灰色の雲に覆われ、雪がちらほらと舞い降り始めていた。
やがて、指揮官がゆっくりと壇上に上がると、全員の視線を集めた。指揮官は堂々とした姿勢で、鋭い目つきと確固たる表情を持っていた。制服は完璧に整えられ、肩章が大尉の階級を示している。冷たい風に負けない威厳が感じられた。
「諸君、おはよう」
と指揮官は力強く声を発した。よく通る声だなとマルフ―シャは思った。とても透明感があって、耳の奥に注ぎ込まれるような、それでいて力強い。
声は広場全体に響き渡り、兵士たちは一層引き締まった表情で耳を傾けた。
「本日は重要な通達がある。だが、これは喜ばしい知らせだ。現在の状況は厳しいが、我々の使命を果たすためには、一人一人が全力を尽くさなければならない」
指揮官は一人一人の顔を見渡しながら続けた。
「まず、第一部隊は北部防衛線の強化にあたる運びとなった。敵の動きが活発化しているため、早急に準備を整え、配置に就くそうだ。それにより第二部隊補給隊も、その補給路の確保と物資の運搬に注力し、我が第三門兵隊への補給は後回しとなる」
彼女の言葉に、広場にいる兵士たちの間に軽いざわめきが広がる。しかし、指揮官の厳しい表情と強い口調が、再び静寂をもたらす。
「諸君、我々が直面している試練は決して容易なものではない。しかし、団結し、互いに助け合うことで、必ずや勝利を手にすることができる。同志が我々を見捨てることはない」
大尉は一瞬言葉を切り、厳しい目で兵士たちを見つめた。
「門の警備に関しては、最近の状況を鑑みて、第四狙撃隊は門の警備に携わる狙撃支援を増やすことを決定した。この措置は即時に実施される」
指揮官が壇上から第3門兵部隊の面々を見渡し、次の指示を伝えるために一瞬間を置いた。そして再び口を開き、声を張り上げる。
「狙撃兵の巡回は、これまでの二倍の頻度で行う。各班は持ち場の変更に迅速に把握し、警戒を強化するように。特に夜間の巡回を厳重にし、基地の防衛を徹底せよ。敵の動きは予測不能だ。我々の油断が命取りになることを忘れるな。また、巡回中に”異常”を発見した場合は、迅速に報告し、適切な”対処”を行うように。全ての兵士は常に警戒を怠らず、連携を強化せよ」
指揮官は、兵士たちの表情を確認しながら、さらに指示を続けた。
「巡回スケジュールに変更が必要な場合、各班担当の監査官が即座に調整し、全員に周知する。既に昨日受け取っていると思うが、万が一受け取っていない場合はライカ監査官に言いに行け」
指揮官は最後に深く息を吸い込み、力強く締めくくった。
「諸君、国家の未来は我々の手にかかっている。一人一人がその自覚を持ち、勇敢に戦い抜くことを期待している。以上だ」
その言葉が終わると、背筋を伸ばした兵士たちは再び敬礼し、「はっ!」と声を揃えた。その声は寒空の下で響き渡る。
冷たい朝の空気が彼女たちの肌を刺すように感じたが、どうでもよかった。指揮官が満足げに頷いている。それも、どうでもよかった。
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13
いつものように、二人は"機械門"を守る。機械から機械を守るなんて何処か可笑しな気もしたが、もうそれにも慣れた。
そう、慣れたのだ。
自分の適応能力の高さにも、目の前にいる恐ろしい敵にも。
重装甲と高い機動性を兼ね備えた機械兵は無慈悲に周囲をスキャンし、マルフーシャたちを捕捉した途端、その冷たい金属の体が低く唸り、赤い光がセンサーから閃く。
それを受けて、二人は瞬時に分散し、覆いを利用しながら位置を調整した。一拍遅れて、高度に制御化された武装で反応し、搭載された連射式のパルスガンが一斉射撃を開始する。
岩陰に隠れていると、機械兵の銃撃が止み、一瞬の静寂が訪れる。
――オーバーヒート? 弾切れか?
どちらでも構わない。
ガチャ
小銃を構える。この一瞬の空白を縫うようにして、機械兵の盲点…豆粒ほどのサイズもないセンサーを撃ち抜く。そして下腹部に照準を合わせ、装甲に隙間を見つけては狙い撃っていく。
倒したのか、機械兵は鈍い音を立てて、それ以上の前進を見せなかった。
『ヴォッチェルから、ヴォルクへ。敵増援、一個中隊がそちらに南下中。警戒せよ』
「こちらヴォルク、了解よ」
無線の声にベルカが応じた。
「今日は航空機械兵が来ないといいけど」
「それは本当に運だね…」
結果的には狙撃援護が強力で、すぐに終わった。流石というべきか、最新式の狙撃銃は威力が段違いらしく、一発当たっただけで機械兵に大穴が空き爆発していった。
何とか敵を排除しきったと思われたとき、今度は上級機械兵が現れる。
機械兵の体は大きく、非常に硬いため、通常の武器では容易にはダメージを与えられない。
飛翔する機械兵の高度に制御された自動照準武装が動作し、連射式のパルスガンで一斉射撃を開始する。
マルフーシャは射線から逃れながら、ベルカに目線で連携を促す。短いダッシュで前進し、そのスピードと機動性を活かして稼動領域の死角、射角の外に飛び込む。その時、頬を背後から打ち付けるような衝撃が肩を通り、機械兵を粉砕した。
そのあとも連続して響くような銃声が遅れて届いてくる。門上部に設置された棟の上にいる狙撃手が位置から照準を合わせ、装甲に隙間を見つけては機兵を狙い撃ちにしていく。
狙撃兵も、正確に、機械兵の脆弱な部位を狙っていく。一発、また一発と精密な射撃が続き、やがて機械兵の動きが鈍くなる。
しかし、機械兵は一時的に動きを止め、団子状態になると爆発し、周囲の部隊に大きな損害を与えかねない 。マルフーシャはこれを予見し、
「距離を取って爆発に備えて!」
と叫ぶ。直後、機械兵は爆発し、炸裂する光が夜を一瞬で昼間のように明るく照らした。
しかし休んではいられない。マルフーシャは一瞬の隙をついて、手榴弾を迫りくる新たな機械兵の足元に転がし、爆発によってバランスを崩させる。機械兵は一時的に行動不能となり、彼女はその機を逃さず、持ち前の冷静さで機械兵の主要制御ユニットを目指して走り込む。
「おりゃぁ!」
と叫びながら、彼女は機械兵の弱点部位にありったけの弾倉ひとつ分の弾丸を撃ちまくる。
やがて、機械兵はその機能を停止した。
ベルカとマルフ―シャは安堵の息をつきながら集結し、マルフーシャが機械兵を警戒しつつ近づき、確認作業を行った。上級機械兵の停止した姿は、戦線が押されてきていることを暗示していたが、二人は何も言わなかった。少なくともこの夜は彼女たちの勝利である。
今はそれだけで十分だ。
そうして、戦闘が一段落ついた後、もう帰還しようかという時、視界の隅に、小さく動く影を捉えた。
それはベルカの目にも入ったのだろう。彼女は甲高い声で叫んだ。
「警戒!」
二人が同じ方向に焦点を向けると、それはゆらゆらと、今にも倒れそうなほど揺れている。
それは一人の兵士だった。よろめきながらも、足を引きずって歩いてくるのが見える。制服は所々血に染まり、顔には痛々しい傷が刻まれて、動きは鈍く、足元がふらついていた。
「負傷兵だ...!」
警戒から一転、ベルカはすぐに駆け寄り、その兵士の肩を支えた。近くで見ると、彼の顔は蒼白で、目には恐怖と痛みが宿っていた。続いて、マルフーシャもすぐに駆け寄り、彼を支える手伝いをした。
「しっかりして、もう大丈夫よ。ここは安全だから。」
ベルカは優しく声をかけながら、兵士を安全な場所に導いてから、傷口を見て、これは手当が必要だとすぐに判断した。
「マルフーシャ、門を開けて救護班を呼んで。傷が深い」
ベルカはすぐに無線で救護班に連絡を取った。その間も、ベルカは兵士の意識を保つために話しかけ続ける。
「名前は?どこから来たの?」
服を破いて、傷口を見る。幸い臓器まで達する怪我も、四肢の欠損もない。
「セルゲイ...第5部隊の...」
兵士は、か細い声で答えた。
「セルゲイ、大丈夫よ。今、助けが来るから。少しだけ頑張って。」
ベルカの優しい声に、セルゲイは少しだけ力を取り戻したようだった。止血帯を胸元から取り出して、腕に巻きつける。
「ありがとう...ござい...ます」
セルゲイは微かな笑みを浮かべ、目を閉じた。
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14
マルフーシャは黙って身分証を取り出し、端末にかざす。端末のスクリーンが青く光り、確認音が低く鳴ると、無言で身分証を懐にしまう。
重々しい音と共に巨大な機械門がゆっくりと開かれ、内側から警備の兵士たちが姿を見せた。それに安心感を覚えながら、マルフーシャとベルカはその門を越えて帰還の一歩を踏み出した。ベルカは負傷した兵士――セルゲイを肩で支え、意識を保つよう声をかけている。
セルゲイに応急処置を施したはいいが、その体は血にまみれていており、すぐに衛生兵に見せて必要な処置を行う必要があった。
警備隊の兵士たちは無表情で立ち、彼らの冷たい目線が二人を追った。迷彩服に身を包み、防弾チョッキを着込んだ兵士たちは、人間ではなく冷徹な機械のように見えた。肩には同じ所属を示す徽章だけが光り、まるで個人の識別などつかない。眼差しは鋭く、マルフーシャとベルカを一瞬たりとも目を離さない。
ベルカは負傷した兵士を支え、不格好に歩きながらも叫んだ。
「負傷者一名!」
叫んだとき。いやそれ以前から警備隊の視線が注がれていたが、そこにあってしかるべき同情もなく。それどころか負傷者を助けるための動きも一つも見せない。全員が外の敵だけにいつでも対応できる陣形で、しかし、その瞳には内側への警戒心が覗く。
まるで、命令を待つ猟犬集団だ。
――なに、この雰囲気?
その時、負傷した兵士を支えるベルカに気づいた警備隊の隊長が近づいてきた。彼の表情は冷たく、目は無表情だった。
「その兵士は誰だ?」
警備隊長が鋭く問いかける。
「前線で負傷した兵士です。治療が必要です」
とベルカは簡潔に答えた。
隊長は負傷兵をじっと見つめ、次第にその顔に冷たい怒りが浮かび上がった。
「そいつは逃亡兵だ。そんな奴を連れてくるとは、何を考えている?」
彼の声は冷酷で、容赦がなかった。
「しかし、彼は—」
ベルカがなにか言いかけたが、隊長は手を挙げて彼女を遮った。
「言い訳は聞かない。逃亡兵は処刑が規則だ。殺せ。」
その言葉は鋭く、周囲の空気を一瞬で凍りつかせた。
ベルカは愕然とし、負傷兵を守るように身を挺してみせる。
「彼は逃亡兵ではありません。ただの負傷者です!」
隊長の目は冷たく光り、手に持った将校用の拳銃をベルカに向けた。
「命令に従え。規則は絶対だ」
マルフーシャは一瞬の躊躇の後、素早く隊長の前に立ちはだかった。後ろのベルカを庇うようにして手を広げ、隊長の目を真っ直ぐみる。
「待ってください。この兵士が本当に逃亡兵かどうかを確認する必要があります。人的資源を無駄にするわけにはいきません」
隊長は細い目をさらに細めながら、何かを堪らえるように告げる。
「制服を――着ていれば味方か?同じ言葉を話せば信用できるか?例え両方の条件を満たしたとして、それがそいつのスパイでない保証になるか? 仮にできたとして、そもそもなぜ前線から10㎞離れたここにいる?答えは明白だろう、逃亡兵だ。
お前は前線から逃げ出したものを救出して、あまつさえ我々に逃亡幇助をせよと?――逃亡も、その幇助も銃殺刑だぞ」
「し、しかしこの場で射殺というのは」
そう、銃殺だ。ただでさえ人手不足で徴兵なんてしているのに勝手に減らしていいのかとマルフ―シャは問う。
返答はあまりにも聞きなれたお決まりの文句で粉砕される。
「命令は絶対だ。そこに意味を求めるな。それはお前の仕事ではない」
「しかし、命令は門に近づく機械兵の破壊でしょう?」
「そいつは、モノだろ」
――門に近づくすべての"モノ"を破壊することよ
単語の意味を理解することが出たがゆえに、自分の聴覚を疑う。爆発で片方の鼓膜が破れたのか?
そんな疑念を抱いているマルフ―シャを無視し小隊長は号令をかけた。
「構え!」
周囲で門の警戒に当たっていた隊員たちが一斉に銃口をマルフ―シャたちに向ける。そこに躊躇いはなく。あるのは極限まで意識した集中による正確な照準と、そこからあぶれた“命令”を聞くだけの僅かな集中力。
「な、なにを!?」
当然抗議の声を上げた。相手が上官とはいえ、いきなり銃口を向けられれば誰だってそうする。
しかし、それを見ても聞いても、小隊長の張り付けた冷酷は顔から離れない。
そして、表情と分離したように口だけがゆっくりと動き始めた。
「お前がやらないならこうするまでだ。それとも今から殺すのか?」
低く響く声が残響となってマルフ―シャの耳の中で木霊する。声の落ち着きに比例したように、その言葉を理解し、反論を口に出力するまでのタイムラグは長く、ひょっとすると長くはなかったかもしれないが、とにかくその一文を出すのに酷くマルフ―シャが苦労したのは事実だ。
「か、彼は違います! 逃亡兵じゃない!」
そんな言葉には何の力もない。持たない。それを指先で弾いて証明すかのごとく、小隊長は落ち着き払った声で空気を、その場を、マルフ―シャを震わせた。
「だからなんだ?それが一体命令となんの相関性がある?」
冷静で、そしてあまりにも冷たい声だった。
「…ッ」
自分の理解を超えたとき、人はなんとも情けない。餌を待つ魚となって、相手の次の言葉を待ち望み、飲み込むとする。思考停止――マルフ―シャはもはや恐怖以外を感じていない。
当然だ。周りを大勢の自動小銃を構えた屈強な警備兵たちに囲まれ、自分より教養があって、歴が長い立場が上の人間に虫を見るような目で見つめられながら討論する気概などありはしない。
「人手が足りないのに…」
薄々、意味がないと分かっていることを言葉にせずにはいられなかった。時間稼ぎのつもりだったのか、それとも何も考えていなかったのか、どう考えても後者だといった後にマルフ―シャはその無意味さを悔いた。
隊長は、面倒な事を言うなといった様子で、しかし怒鳴らず冷静に言葉を吐き出す。
「いいか、すべてだ。全てとは者も含むし物も含むんだ。なぜ抽象的な表現を用いるか。それは上位の者が下位の者に対して都合よくその場その場で形を変え、理論武装の根拠とするために存在している」
機械のようにあるべしと、考えることを許された機械は言った。
「そして、命令の解釈権は将校にのみ存在する」
彼はそう言って、自分の襟元に縫い付けられた“少尉”の階級章を指さした。
「これが俺の解釈だ、そこをどけ」
マルフ―シャが無言でいると、辺り空気が徐々に張りつめて、何かが高まっていくのを肌で感じた。
それを小隊長も感じたのだろうか、緊張が時間を止めてしまったように感じる。その時、周りを諫めるようにして喋り始める。
「規律を、破るということは俺はお前を罰しなければならない。命令には破ってはならない規則と、それを破った際にどう処理するかを定めるメタルールの二つが存在する。わかるか? 当然、罰する側も同様にルールに従って罰しなければならない。罰しないことも罰しすぎることもできやしない。それは解釈などする余地のない軍法にそう定められているからだ。お前が事実をどう判断したかは関係ない。俺がどう判断するかは関係ない。ただ明記されたルールが、規則書だけがある。だから、もう一度だけ言うぞ」
――そこをどけ、伍長
「は、い」
もはや、反論はなかった。必要なかった。そう、マルフ―シャはただ背中を押してほしかった。自分は仕方がなくどくのだ。後ろにいる兵に祈った。――だから自分を恨まないでくれと祈った。何度も祈った。
今この瞬間、彼を背負ったり、肩を貸したりせずにいて本当に良かった。そうでなければ、きっと、横からの視線に心が囚われてしまっただろうから。
ベルカが声を震わせながら反発しようとした。
「ちょ、ちょっと!待っ――」
その瞬間、彼女の声は厳しく遮られた。少尉の冷たい目が彼女を射抜く。
「――警告はここまでだぞ? あとは何も聞くつもりはない」
ベルカはその言葉に息を呑んだ。彼女の反発は理屈ではなかった。ただ、黙っていられなかったのだ。
空気が張り詰める中、フェリセットが一歩前に出た。彼女の静かな声がその場の緊張をさらに高めた。
「ならば、私は受け入れてからでも遅くないかと考えます」
声は清楚でありながらも、どこか儚げな影を帯びたように響いた。
突然の言葉に、兵士たちの視線が一斉にその人物に集まった。フェリセットの清らかな姿は、まるで月明かりに照らされた湖のように周囲の緊張を和らげる。
「フェリセット様...」
隊長が囁くように言った。
その姿を一瞥しただけで、マルフーシャは別世界に来たかと思った。
ーーまるで夢の中に現れる精霊だ。
中くらいの身長に、細くしなやかな体躯。薄紫の霞がかった瞳。その体躯はまるで、風に揺れる細い柳の枝のようにしなやかである。
「ひとまず、銃を下ろしていただけませんか?」
その身長は控えめだが、階段を降りてくる動作一つとっても、立ち振舞には確固たる自信が感じられる。
長い髪は、夜空のように深い青色で、月明かりを浴びて光る波のように柔らかく流れ、瞳という名を持つ二つの深淵に広がる紫霧は神秘的な力を持っているようにすら感じる。
顔立ちは、端正でありながらも柔らかな曲線を描いており、肌は陶器のように白く、その滑らかな質感は、肌は陶器のように白く、その滑らかな質感は触れるとひんやりと冷たささえ感じられるかもしれない。
マルフ―シャは今の事態も忘れて、立ち尽くす。
その時、隊長の視線がマルフーシャに向けられた。彼女を見据えるその目は冷徹でありながら、何かを探るような鋭さがある。しかし、彼が銃を向けることはなかった。
「なんの御用でしょう」
と隊長がフェリセットへ冷静に問いかけた。
その口調は極めて丁寧だったが、慇懃無礼さが透けて見えた。フェリセットは一歩前に出て、隊長に向き直った。彼女の瞳には確固たる決意が宿っていた。
「隊長、もしお時間をいただけるのであれば、私の話をお聞きいただけませんか?」
フェリセットの声は静かだが、その響きには不思議な説得力があった。
「それは…構いませんが…」
「ありがとうざいます」
困惑を露に了承の意を告げた隊長にフェリセットが礼を述べる。。
「彼は見たところ降下猟兵のようです。彼の教育にかかる費用は兵器のコストを超えています。そんな彼を殺すことは非常に損です」
隊長は意識がないセルゲイを見遣る。自身の気づいていないことを指摘されたことで、僅かな動揺もあったが、すぐに抑え込んで、黙ってフェリセットの言葉を聞いていた。
表情には依然として厳しさが残っていたが、その眼差しには疑念が揺らいでいるようだった。
「隊長、私たちは今、どんな戦力も無駄にできない状況にあります。マルフーシャ伍長は優れた狙撃手であり、兵士です。その素養は私たちの戦力にとって欠かせないものです。同じように降下猟兵を一人失うことは、私たち全体にとって大きな損失です」
隊長は眉をひそめたが、彼女の真剣な表情に動かされたのか、無言でうなずいた。
「それに、彼がスパイだとすれば、何か重要な情報を持っているかも」
隊長はしばらく考え込んでいたが、やがて静かにうなずいた。
「分かりました。後に調査を行うが、貴方の言葉を信じましょう。ひとまず今は治療が優先だ。ただし、何か不審な点があれば、即刻対応する。それだけはお譲りできません」
フェリセットは安堵の表情を浮かべた。
「ありがとうございます、隊長」
隊長がフェリセットの話を承諾すると、警備隊もその冷たい態度を崩すことなく、任務に戻った。彼らの背中を見つめながら、マルフーシャは内心でほっとしつつも、ベルカに笑いかけた。
「危なかったね」
「はぁ...」
ベルカは息をつき、セルゲイを支え直した。マルフーシャは無言でベルカに頷き、自らも肩を貸す。二人は負傷兵を連れて基地内の医療施設へ足を向ける。
そこでフェリセットはセルゲイの元に歩み寄り、静かに語りかけた。
「大丈夫です。何かあっても私が責任を取ります」
セルゲイは安心したように笑っている。要所要所で意識があったのかもしれない。
そして、三人でその場を去る。
治療施設――と言っても天幕があるだけの野戦病院だが――に向かう道中、いつのまにか周囲が静まり返り、警備隊達の威圧感が離れゆく時、フェリセットの肩から力が抜け、その表情が一変した。彼女の顔には怠惰な色が浮かび、姿勢もふにゃりと崩れた。そして…
「お母さん、疲れた」
と甘えるように言った。
ベルカが驚きのあまり目を見開き、振り返った時にはフェリセットの表情はまるで粘土のようにふやけていた。
「誰がお母さんよ! 外ではちゃんとするって約束したわよね!」
ベルカが呆れた声を出すと、フェリセットはそのままベルカに寄りかかってきた。
「でも、本当に疲れたんです。少し休ませてくださいよ、お母さん」
と、彼女はまるで子供のように甘えた声で言った。
ベルカはため息をつきながらも、優しくフェリセットの頭を撫でた。
「まったく、いつも強がってばかりで。でも、よく頑張ったわね」
フェリセットは安心したように微笑んだ。
「ありがとう、お母さん」
と、さらに甘えた口調で答えた。その笑顔は、誰かに甘え純粋な喜びが溢れていた。
「ねえ、お母さん、もう少しだけ、こうしていてもいいですか?」
フェリセットは、ベルカの肩に頭を預けながら囁いた。
「もう、仕方ないわね」
とベルカは苦笑しながらも、その小さな体をしっかりと抱きしめた。その様子は本物の母親かのようだ。
「しばらく休んでいいわよ。だけど、またすぐに戦わなきゃいけないんだからね」
「はい、お母さん」
とフェリセットは素直に頷いた。彼女の表情は、安堵とともにどこか夢見心地のようで、しばしの間、ベルカに寄り添いながら、そのぬくもりを感じ取っていた。
「……」
爪がセルゲイの腕に喰い込む。幸い意識がなかったので、横で醜い感情丸だしの女を見ずに済んだ。
哀れマルフーシャ、置いてけぼりを食らってはいるが、負傷者に当たるのはやめるんだ。
溶鉄のマルフーシャを知っていますか?
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