なでしこ(兄)のゆるキャン△   作:てるまるまる

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野クルの冬キャン 終盤!

 

 感想・評価をしていただけたら作者が咽び泣いて喜びます。ぜひどうですか? 

 …………真面目な話をすると少しでも読んでいる皆さまがどう思っているのかを知りたいだけです。どうですか? (しつこい)

 

 ────────────────────────

 

「チェックイン遅くなってすみません!」

 

「大丈夫ですよ」

 

 紆余曲折ありながらも無事にキャンプ場へと着いた我々野クル一行。さっそく予約をした大垣さんを先頭にキャンプ場へのチェックインを済ませる。

 

「チェックアウトは明日のお昼、水は後で持っていくからね」

 

(さむえだ)

 

(しぶい……)

 

(イケオジだ)

 

(寒くないのかなぁ)

 

 和装で案内してくれるイーストウッドキャンプ場の管理人さん。しぶいイケオジって感じだな。てか寒そう。

 

「しかし、管理人さんのリビングスペースええなー」

 

「これすごいよなー」

 

「たしかにね」

 

 イケオジ管理人さんのリビングスペースは木目調の床にテーブルと椅子、観葉植物が置かれておりハンモックが木と木の間に吊るされていていかにもなくつろぎスペースとなっていた。それをキラキラとした目でみているなでしこがかわいい。

 

「こういうとこで余生を過ごしたいぜー」

 

「余生よりまず進路決めなあかん時期やわー」

 

 そんなリビングスペースを見て大垣さんと犬山さんがそんなことを呟く。進路ねぇ……。俺は将来……

 

「お兄ちゃーん」

 

「ん? ああいまいくー」

 

 将来について考え始めたときなでしこに呼ばれたため思考をぶった切ってなでしこを優先する。なでしこの呼びかけに応えないやつは死刑だからな。(物騒!)

 

「ねぇあきちゃん。どこにテント立てるの?」

 

「おー、こっちこっち。いい場所予約してあるぜ〜」

 

 なでしこが大垣さんにテントの設営場所を聞くとそんな答えが返ってくる。大垣さんの言ういい場所とは一体どこなのか我々野クルはその謎を解き明かすべく(略)。

 

「今日のキャンプ地はここだー!」

 

「「「おーっ!!」」」

 

「最高やないの〜!」

 

「ちょっと高いほうが見晴らしいいと思って2段目にしたんだよ〜」

 

「むはーっ!」パシャ

 

「……」カシャカシャ

 

 大垣さんの予約したキャンプサイトは段々となっているところの2段目で非常に見晴らしがいい。景色を撮るなでしこを1枚、そんななでしこと大垣さんと犬山さんをスマホにおさめて1枚、なかなかいい写真だ。

 こうやってなでしこがまた友達と仲良くできていることに涙がちょちょ切れそう。

 

「さぁさっそくテント立てるぞ〜」

 

「「「おー!」」」

 

 大垣さんの掛け声でさっそくテントの設営に入る。寝過ごしたせいで日もだいぶ暮れてきたからなー。

 

「おっ? それがパイセンのテントっすか?」

 

 俺は自分で購入したテントでなでしこ達はあの980円テントのため俺となでしこ達で分かれてそれぞれテント設営をしてると大垣さんに声をかけられる。

 

「そだよー」

 

「へー………………んなっ!? パイセンこれモンベルのテントじゃないっすか!?」

 

「え? だめなの?」

 

「い、いいいくらしたんすか!?」

 

「さ、3万くらい?」

 

「…………」たらー

 

「あき鼻血出とるで」

 

 な、何なんだ一体全体どういうことだってばよ! 大垣さんにテントを見せたら急に詰め寄られながら値段聞かれて、答えたら大垣さんが鼻血だしてってどういう状況? とりま鼻血大丈夫か? 

 

「くっ! あたしらは980円の激安テントだってのに……」

 

「ほんまにモンベルや。各務原先輩、どうしたんです? これ」

 

「どうしたもなにも……志摩さんにおすすめされたから買ったんだけど……」

 

 今度は膝から崩れ落ちた大垣さん。そんな大垣さんをよそに犬山さんが聞いてくるが、俺が買ったテントは志摩さんにおすすめされたものなのだ。冬キャンが決まって以降テントをどうしようか悩んでいた俺は、とりあえずキャンプ玄人である志摩さんにテントのことをメッセージアプリで相談したらめちゃくちゃこのテントのことを力説しながらテントのURLが送られてきたのを覚えている。あのときの志摩さんの勢いはすごかった。

 

「これいいやつなのか……」

 

 最初はすぐ壊れたりしたら嫌だからいいものを買いたいってのと志摩さんの勢いもあって、特に考えずにポチったけど結構いいやつっぽいな。(無知)

 

「志摩さんが言うには吊り下げ式だから初心者でも組み立てるのがものすごく簡単だっていってたな……」

 

 力説された中に初心者でも組み立てるのが簡単というのがあってだいぶ惹かれたんだよなー。なにせテントのことを何も知らない初心者ですから絶対組み立てにもたつくと思って簡単なやつにしたということだ。

 

「まず専用のグラウンドシートを広げる…………」バサバサ

 

 ちなこれも志摩さんに推されて買った。

 

「その上にインナーテントを広げる」バサッ

 

 方向は特に決まってないみたいだな……。

 

「つぎにボールを……うお、繋がってる。順番関係なく繋げてけばいいのか?」カチャカチャ

 

 おお、なんかテントの骨組みみたいなのができた。

 

「これをシートとインナーテントのポール受けの金具…………これか。これにはめると……」

 

 おおーなんかもうテントな気がしてきたな。

 

「んでさっき適当に広げたインナーテントのフックをボールに引っ掛けていくと」

 

 おおー! もうテントじゃんこれ! ……ん? まだあんのか。

 

「なになに、レインフライ被せて四隅のフックをインナーテントのゴムループに引っ掛けると……」

 

 よしっ! うおー完成だー。絶対もたつくと思ったのに初めてのテント設営がものの数分で終了したわ。すげ~。まじで簡単じゃん。

 

「終わったよー」

 

「「はやっ!」」

 

「めちゃくちゃ簡単だったよ?」

 

「さすが3万円のテントやな〜」

 

 その後少ししてからなでしこ達のほうのテントも立て終わり……

 

「水はここに置けばいいかい?」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「ありがとうございます」

 

「これが飲料水と火消し用のジョウロね。焚き火は寝る前に必ず水をかけて完全に消すこと」

 

「「「「ふむふむ」」」」

 

 水を持ってきてくれた管理人さんから我々野クル一行は焚き火の際の注意事項を聞いていた。はいここテストに出ます。

 

「薪は自由に使ってもらって構わないけど……」

 

「キャンプファイヤーし放題だぜぃ」

 

「キャンプファイヤーじゃないから丁寧に焚き火してね」

 

「そりゃそうだ」

 

 大垣さん……一瞬俺も思ったけども。流石にタダとはいえ使われすぎるのは良くないのか管理人さんから注意を受けてしまった。なでしこ、いっぱい持てるからって薪持ちすぎだよ? そんなに使わないから。

 

「そうだ、折角だからウッドキャンドルやろうぜぃ!」

 

「「ウッドキャンドル?」」

 

 ウッドキャンドル。輪切りにした丸太に切れ込みを入れその中に着火剤を詰めてろうそくのように燃やす焚き火のやり方です。スウェーデントーチや木こりのろうそくと呼ばれています。(大○明夫ボイス)

 

「でもこれ全部割れちゃってるよ?」

 

「割れてるやつを束にするんだよ。針金を使ってこうやって…………あとは中に着火剤をいれればほれ」

 

「ほんとだー!!」

 

 天からの声がウッドキャンドルについて教えてくれたが、ここにある薪は既に割れており丸太ではないため同じ疑問を抱いたなでしこが大垣さんに聞く。たしかに針金でまとめ上げればもともとは丸太だったんだから復元できるか。

 

「あとはチャッカマンで火をつけて…………あれっ?」ガサゴソ

 

「どうしたのあきちゃん?」

 

「ない……ない、ないなーい!」

 

「何がないん?」

 

「チャッカマン忘れたかも…………」

 

「「えーっ!?」」

 

 おいおいマジか(by伏黒甚爾)。さっそくウッドキャンドルを燃やしてみようとチャッカマンを自分のカバンから探す大垣さんだったが、段々と焦り始め最終的にはチャッカマンを忘れたという。なんてこったい\(^o^)/

 

「どうするんあき? 火が起こせへんかったら夜ご飯作れへんのちゃう?」

 

「ど、どうしよう……」

 

 ……仕方ない。見せるときが来たようだな俺の秘技を……! 

 

「大垣さん、乾いた太めの枝とかある?」

 

「? あるっすけど……」

 

「よし、やるか」

 

「「「?」」」

 

 大垣さんから太めの枝をもらいなるべく平べったい乾いた薪を選び葉っぱの上に置き薪の中央らへんに枝の先端を付ける。そして、思いっきり枝を回しながらこすりつける! 

 

「ふっ!」

 

「パイセン……! まさか」

 

「きりもみ式で火点けようとしとる……!」

 

 フルパワーでこすりつけ最大限の摩擦を起こす! そして……

 

「……!」

 

「「「着いた!」」」

 

「…………ふーっふーっ」

 

 数分こすり続けて木の削りカスに火が着き火種が出来上がったためすぐさま下の葉っぱに火種を移し、いるだろうと思って拾っておいた枯れ草に火種を落とす。最初は枯れ草を両手で圧をかけながら軽く包んで、手に熱を感じ始めたら息を吹きかけ酸素を供給する。すると徐々に燃え上がってくるはず……

 

「……よし!」

 

「「「おおーっ!」」」

 

「これをウッドキャンドルの穴にほいっと」

 

「すげぇー」

 

「さすがお兄ちゃん!」

 

「ほんまやなぁ〜」

 

 これが俺の秘技"きりもみ式着火術"! 己の筋肉に物を言わせて力づくで物理的に熱を発生させ火をつける技なのだー! 

 

「きりもみ式って結構力いるって話だったような……?」

 

「せやな……」

 

「まあ、余裕だな」ドヤッ

 

「すげぇ……」

 

「ウッドキャンドルって普通の焚き火とはちょっと違った雰囲気でいいねぃ」

 

「だなー」

 

 普通の焚き火とは違ってなんか雰囲気があるっていうか……。サバンナでハット被った渋いおじさんがコーヒー片手に雑誌読みながら夜空のもとでチルってそう。(ド偏見)

 

「これの上に鍋直乗せして料理もできるんだぜ〜」

 

「それすごいなー」

 

「まあ野クルのポットみたく真っ黒になっちゃうけどな」

 

「それもそうだねー」

 

 野クルの備品のひとつであるコーヒー用ポットは何回も焚き火で水を沸かしているからかススで真っ黒になり最早黒色のポットだったのではないかと疑うレベルに黒い。

 

「焚き火を見てるとどうしてこんなに……落ち着くのかなぁ」

 

「せやなぁ……」

 

「だなぁ……」

 

 雄大な景色を背景に皆で焚き火を囲みながらまったりとした時間を過ごす…………よきかな〜。

 

 バカッ!! 

 

「「「!?」」」

 

「うお……びっくりしたー」

 

「これ……よー見たら細いアルミ線やないの。熱で切れてもーたんや」

 

「な!! 鍋乗せなくてよかっただろ!?」

 

「な! じゃないわ」

 

 突然ウッドキャンドルが割れ四方八方に燃えた状態の薪が散らばったので少し驚いたが、犬山さんいわく使った針金がアルミで熱で切れてしまったそうだ。危うく火傷一歩手前だったぜ……。

 

「なでしこ、やけどとかしてないか?」

 

「うん、けどびっくりしたよー」

 

 そんな一幕があり……

 

「暗くなってきたし気を取り直して、晩ごはんつくるよー!」

 

「「おーっ!」」

 

「なでしこの手料理だー!!」

 

「今日は一味違う煮込みカレーだよっ!」

 

 やったー!! なでしこの手料理だー! 盛り上がってきたー! なでしこかわいいぞー! 

 

「あらかじめ切って素揚げしておいた具材を、ルウを溶いたお湯に入れて煮込めば完成だよっ!」

 

「煮込んでるだけやーん」

 

「だけやーん」

 

「うへへ、カンタンでもおいしいよー」

 

 さすがなでしこ! 簡単に三ツ星級の料理を作れるなんて主婦力が高い! これは引く手数多だなー。……まあ、なでしこはまだ誰にもやらんがな! ハッハッハー! 

 

「それじゃあ」

 

「「「「いただきまーす!」」」」

 

「うまっ!」

 

「ほんまや! 美味しいでーなでしこちゃん!」

 

「えへへー、よかったよぅ」

 

 大垣さんと犬山さんが食べるのを固唾をのんで見守っていたなでしこだったが、当然というべきか料理は好評であり安心したように胸をなでおろしたなでしこ。かわいい。さて、俺もいただこう。

 

「……うますぎる」

 

 感動しすぎて涙出そうなくらい美味しい。素揚げしているおかげかルウにコクとまろやかさがプラスされ、隠し味として"あれ"を入れていることもありカレーの奥深い味とともににじみ出ている。要約するととってもとってもおいしいです。以上。

 

「にしても…………二人とも量多くね?」

 

「そう?」

 

「そうかなぁ?」

 

 なでしこはパックご飯5個に対し俺はパックご飯6個(なでしこ用を含む)をそれぞれ持ってきており、それについて大垣さんから言及される。

 

(パイセンも意外と食べる方なんだな……)

 

 大垣千明、圧倒的勘違いッ! 否! 気づけるはずもなく……。

 

「キレイな景色を眺めながら美味しい外ごはん……」

 

「キャンプの醍醐味やぁ……」

 

「だな……」

 

「そうだなー、てかうまいけどなんか不思議な味だなこれ。何入れたんだ?」

 

 キャンプご飯の魅力を感じながらある程度食べ進めたとき大垣さんがなでしこに味の秘密を聞いた。各務原家ではよくやる"あれ"のことだろうな……

 

「それはねーこれだよっ!」

 

「とんこつラーメンの粉末スープやないの」

 

「あー、ラーメン屋さんのとんこつカレーってやつか」

 

「うん、ラーメン作った次の日に余ってる粉末スープを使ってよくこれ作るんだー。そのままだと辛いから小麦粉と水で薄めるんだよ〜」

 

 そう、各務原家のカレーは余ったとんこつラーメンの粉末スープを薄めてカレーに加えることをよくやるのだ。こうすることでカレーにコクとまろやかさが足されてさらに美味しくなるという仕組みだ。これを編み出したなでしこはやはり天才だな! 

 

「変身カレーってやつやなー」

 

「あたしんちは肉じゃがを次の日カレーにしてるぞ」

 

「うちはおでんカレーやー」

 

「えーおでん?」

 

「和風だしが効いて美味いんやてー。牛スジも入っとるし」

 

「へぇー今度やってみるよー」

 

 こうして皆でおしゃべりしながら食べるご飯もまた格別だな。それに、なでしこが楽しそうなのが一番いい。

 

「みんな、こっちむいてー」

 

「「「?」」」

 

「はい、チーズ」カシャ

 

 うん、最高の1枚だ。家に帰ったら3枚は印刷しよう。(観賞用、保存用、アルバム用)

 そんなこんなで食べ終わった後洗い物をし、焚き火を囲みながら焼きマシュマロや焼き鳥(大垣さんが持ってきていた)をして、楽しくおしゃべりをして…………そうやって時は過ぎていく。

 

 ────────────────────────

 

「テント狭っ!! 二人が限界だろー」

 

「せやなー」

 

「誰かしらパイセンのテントに行くかー」

 

「各務原先輩の……」

 

 やっぱりというか980円テントは3人入り切らず狭かったからなでしことイヌ子にパイセンのテントにこの中から一人移動してもらうことを提案する。とはいえ……

 

「「…………」」

 

「……? どうしたの二人とも?」

 

 ここでパイセンの妹であるなでしこが行かないのはあまりにも不自然すぎる! 圧倒的悪手ッ! だがパイセンのテントで一緒に寝れる機会なんて二度と来ないかもしれないし…………別にパイセンと一緒に寝たいってわけじゃなくてだな……三万のテントの感じを体験してみたいってだけで…………

 

「せや! ここは公平にジャンケンで決めへん?」

 

 ! さすがイヌ子! これなら不自然な感じが出ず自然な流れでパイセンのテントに行ける可能性があるぞ! ……別にテントの調子を確かめたいだけだからなっ! 誤解すんなよ! 

 

「ジャンケン! やるやるー!」

 

「よっしゃ、じゃあいくぞー!」

 

「「「ジャンケン!」」」

 

 ────────────────────────

 

「このテントめっちゃいいなー」

 

 なでしこ達とは別の自分で買ったテントに入った俺はさっそくテントの調子を確かめていた。なでしこ達は一つのテントに3人で寝るため、なでしこ達と俺の荷物をこちらに全部入れたがなお余りある広さ。

 

「シュラフもこんくらいが丁度いい」

 

 シュラフはなでしこ達と同じタイプの色違いを購入したがいい意味でそこまで断熱機能がありすぎず俺にとっては丁度いい体温を保てている。すばらしいね。

 

「さて……こんくらいにしてさっさと寝るかー」

 

「お兄ちゃーん……まだ起きてる?」

 

「なでしこ? どうしたの?」

 

 明日に備えて寝ようとしていたところにテントのジッパーを少し開けて顔を覗かせたなでしこが尋ねてきた。かわいいかよ。

 

「980円のテント3人だと狭くて……」

 

「あ~なるほどね。ちょっとまっててな…………」ゴソゴソ

 

 おそらくジャンケンで負けた人がこっちのテントに移動するようにしたのだろうと推測(なんかジャンケンの声が漏れてたから)し、荷物を可能な限りテントの端に寄せてなでしこが寝れるスペースを用意する。

 

「はいよ」

 

「ありがとうお兄ちゃん」

 

 シュラフを持ってきていたなでしこが空けたスペースにシュラフを置きその中に入り込む。なんかマミー型のシュラフって傍からみたらイモムシみたいでかわいいよな。…………違うなイモムシみたいに包まってるなでしこがかわいいんだわ。

 

「…………」

 

「そうだ、リンちゃん今どうしてるのかな?」もぞもぞ

 

 しばらくしてなでしこが志摩さんとメッセージアプリで連絡をし始めたので少しだけなでしこに近寄りスマホのトーク画面を一緒に見る。どれどれ……

 

『そっちはどんな感じなの?』

 

『超寒くていもむしになってる』

 

『私も今いもむしだよー(*´⁠w`*)⁠。冬用シュラフって暖かいんだねー』

 

『カイロ足元に入れるともっと暖かいよ』

 

『ほんと? やってみるよー』

 

「カイロ……カイロ……」もぞもぞ

 

「はい、カイロ」

 

「あ、ありがとうお兄ちゃん」

 

 カイロを探し出したなでしこに手近においてあった自分のバックからカイロを取り出しなでしこに渡す。俺もやってみよう。

 

「ほんとだーあったかーい」

 

「だな」

 

 さっそくといった感じでカイロ足元に入れると結構あったまってくる。さすがキャンプ玄人の志摩さんだな。

 

『そういえば温泉行ったらつぶれてた……』

 

『OH……』

 

『明日は絶対温泉はいる!! 超はいる!!』

 

『超頑張ってね!! リンちゃん!!』

 

『こっち星空と夜景がすごいよ』

 

「夜景かぁ……」

 

 志摩さんの温泉に対する熱意がすごいな。……夜景といえば確か笛吹公園で大垣さんが笛吹公園は夜景の名所だっていってたな。

 

『リンちゃんしばらく起きてて!!』

 

『ん? うい』

 

「お兄ちゃん」

 

「ん? どした?」

 

「ちょっと付き合ってほしいことが……」

 

「よし行こう」

 

 よし行こう。すぐ行こう。なでしこに付き合って欲しいと言われたら断れるわけないよね。断るなんてありえないよね。……ていうのは冗談でおそらくなでしこは笛吹公園に行くために付き添いとしてついてきてほしいのだろう。なでしこ暗いの苦手だからなー。

 

「笛吹公園に行くんでしょ?」

 

「うんっ」

 

「じゃあ行こうか」

 

 防寒着を装備し隣のテントで寝ている大垣さんと犬山さんを起こさないように静かにテントから這い出てなでしこの手を取り笛吹公園を目指して共に歩いていく。

 

「さみ~」

 

「……やっぱりこわいぃぃ」((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

「安心しろなでしこ。何かあっても絶対に守るから」

 

「……わかった!」

 

 

 数分後…………

 

 

「暗いとこ抜けた〜」ホッ

 

 数分掛けてモリモリとしたところを抜け、街灯のある道路へと出ることができ安堵したなでしこは息をつく。物音がするたびにしがみついてくるなでしこが非常に愛らしかったですまる。

 

「リンちゃん待たせてるから早くしないとっ!」タッ

 

「そうだな」

 

 そうそう志摩さんに夜景を見せるためにここまで来たんだよな。なでしこは優しいな〜。

 

「ついた……」

 

「これは……」

 

 これはすごい……。眼下に広がる広大な甲府盆地の夜景。数々の家屋の光が織りなす幻想的なまでの景色に俺もなでしこも見とれてしまう。よくよく目を凝らせば車が走っていたりと人々がしっかりとそこに生きている感じもして……これがエモいってやつか。

 

「よしっ」パシャ

 

「……なでしこ、こっち向いて」

 

「?」

 

「……」カシャ

 

 ……めっちゃいい写真撮れた。家宝にしよう。

 

「お兄ちゃんも一緒に撮ろうよぅ!」

 

「わかったわかった……じゃあいくぞー」

 

「うんっ!」

 

「はいチーズ」カシャ

 

 なでしこばかりを撮っていたからか抗議の声が上がったので一緒に撮ることにする。ツーショットもなかなかいい出来だ。額に入れて飾らねば……! 

 

「なでしこ、そこの自販機でなんか買ってくるけど何がいい?」

 

「じゃあココアで!」

 

「おっけー」

 

 深夜帯だからか防寒着を着ててもさすがに寒く、体が冷えてきたので近くにあった自動販売機で温かい飲み物を購入することにする。さすがにこの寒さは堪えるな~。

 

「……」ピッピッ

 

 それにしても野クルに入ってから今日まで中々に濃い日々を過ごしてきたなー。いや、野クルに入る前、もっと言えばなでしこが本栖湖で遭難して志摩さんに出会ったときから、何かが動き出したようなそんな感じがする。実際趣味とかロードバイクくらいしかなかった俺が、こんなにもキャンプに夢中になっていることに自分自身でも驚いてるしな。あいつが知ったらすげぇ驚くだろうな。そんくらい俺無趣味だったし。

 

「……ふふ」

 

 いけね、いつものんびりとした感じのあいつがオーバーに驚く姿を想像したらちょっと笑えてくるな。

 

「なでしこー買ってきたぞー」

 

「あっお兄ちゃん! みてみてー!」

 

「? どれ……」

 

 そんなこんなで飲み物を無事に買い終えなでしこのところに戻ってくると、なでしこが自分のスマホの画面を見せながら駆け寄ってきたためスマホの画面を見ると……

 

「おぉ……これはすごいな」

 

「リンちゃんが送ってくれたんだよぅ!」

 

 そこには志摩さんとのトーク画面で”お返し”という文字とともに送られていた一枚の写真。真ん中に大きな湖がありそしてその周辺には密集した家屋から発せられる色とりどりな光という幻想的な夜景の写真。こちらの夜景とはまた違った感じで素晴らしい風景だ。なんていうか……

 

(俺たちが見ている夜景と志摩さんが見ている夜景…………そうか、こうやって離れていても俺たちはきっと”そらでつながってる”んだ)

 

 あいつもきっと…………

 

 ────────────────────────

 

 次の日我々野クル一行は昼までのんびり過ごしてから帰り、志摩さんは念願の温泉に入って超絶まったりしてから身延に帰ってきたそうな。

 

 ────────────────────────

 

 シリアスではない。書きたかっただけです。

 

 

 

 

 

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