なでしこ(兄)のゆるキャン△   作:てるまるまる

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ドキドキ?焼き肉キャンプ!

 

 当初の予定では4000字くらいで1週間で仕上げようと思ってたのに二倍の8000字になってしまった……。

 内容は結構頑張ったので許してください(⁠´⁠;⁠ω⁠;⁠`⁠)

 

 ────────────────────────

 

「えーと、昆布だしのつゆににんじん、白菜、長ネギ、豆腐一丁と……塩をすり込んだ鱈を二〜三切れ入れてフタをする」

 

 無事にコンパクト焚き火グリルに火がつき今回のメインである焼き肉の用意が整ったため、なでしこが持参した鍋とガスコンロを使って鱈鍋を作っていく。非常に楽しみだ。楽しみすぎて阿波踊りを踊りだしそうになるくらいには楽しみ。(キモ)

 

「スープというよりがっつり鱈鍋だな」

 

「焼き肉がメインだから具は少な目だよー」

 

 ちなみになでしこが鱈鍋を作っている間、俺は飯盒でご飯炊きを志摩さんはメインディッシュの肉をコンパクト焚き火グリルで世話している。

 

「はじめちょろちょろ中ぱっぱ。吹きはじめたら火をひいて~赤子泣いてもふた取るな……っと」

 

 ここでいきなり!! 各務原蒼也によるキャンプ場で作る! 飯盒でのおいしいご飯の炊き方講座ー!! パチパチパチー!! 

 はいまず、なでしこが食べる分を考慮して五合炊きの飯盒を用意し、そこへ事前に家で計量した主婦の味方の無洗米(四合分)を入れます。

 次に米の入った飯盒を持ちキャンプ場へ向かいます。写真を撮りながらキャンプ場を散策し炊事場で現地のおいしい水を米の入った飯盒に目分量で加えたのち、お隣キャンパーさんに挨拶します(?)。

 そして、なんやかんやで米を60分水に浸したのち飯盒をシングルバーナー(志摩さん最推し)で中火にかけ吹きこぼれたら弱火に……その後全神経を研ぎ澄ませ飯盒から食材の声を聞きます(??)。

 無事に食材の声を聞き取ったら火を完全に止め、赤子が泣こうが槍が降ろうが隕石が落ちてこようが決して飯盒のふたを開けることはせず、炊く量にもよるが約10分間蒸らすと……。

 

「……?」

 

 というか、なんかやけに明る……い……な? 

 

「って! 豚串燃えてるやん!?」

 

「え!?」

 

「ほんとだ!」

 

 ご飯を蒸らしながらなでしこの料理を見ている間、変に周囲が明るくなったと思ったらコンパクト焚き火グリルで焼いていた豚串がファイヤーしていたので急いでトングで回収する。どうやらなでしこの鱈鍋に全員が目を奪われている間に炎上(?)してしまっていたようなのだ。

 

「せっかくの肉が炭になるところだった……ありがとうございます先輩」

 

「とりあえず消し炭にならなくてよかったよ……」

 

「豚肉は油出るからねぇ。リンちゃん火強すぎない?」

 

「確かに、炭ちょっと抜いとくか」

 

 焚き火グリルでは場所ごとに炭の量で火力の調整をします。特に冬はお肉をお皿に出しておくとすぐに冷めてしまうので保温ゾーンを作っておくと便利です。(大塚〇夫ボイス)

 へぇー。

 

「だいぶ暗くなってきたね」

 

「うん」

 

「うむ」

 

 なでしこの言葉通り辺りは日が暮れ始めだんだんと薄暗くなり始めていた。唯一の光源である志摩さんのランタンが光り輝きその光に虫たちが集まってきている。

 

「(日が落ちたからか気温も下がっ……「へっくしゅ!!」てきたな)……ブランケットいる? 志摩さん」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「ふひひひ、リンちゃんもこうすると温まりますぞ」

 

 大きなくしゃみをした志摩さんにバッグからブランケットを取り出し渡していると、ブランケットにくるまったなでしこがブランケットに首まで埋めながらそう言う。

 

「出たな怪人ブランケット」

 

 “秘密結社ブランケット”その勢力はとどまることを知らず…………。(by大〇明夫ボイス)

 ……何それ? 

 

「そろそろいーかな? ……よし煮えてる!! プチ鱈鍋スープできたよー!!」

 

「こっちもできたぞ」

 

 蒸らすために置いておいた飯盒を開けると、夜を照らす月光のように光り輝く米たちがふっくらと炊きあがっていた。こういう時のためにサバイバル術を学んどいてよかったぜ(もちろんなでしこのために学んだ)。

 

「こっちも焼けたよ」

 

「ふおおおおっ! お肉だ──ーっ!!」

 

「ちょっと待った!」

 

「?」「どうしたの志摩さん?」

 

「これ……」

 

 思わずといったように肉に飛びつくなでしこを制止した志摩さんが止めた理由を話し出す。……ふむ、なるほど。

 

 ────────────────────────

 

「私心配だよ。お姉ちゃんが先生やってけるかさ」

 

「しつれいな! 教育実習でも結構評判よかったのよ?」

 

 場所は変わりお隣キャンパーさんのキャンプサイト。泥酔した自身の姉に対して作りすぎたジャンバラヤを食べながら火おこし人が心配事を愚痴る。

 この人ほんとに教師なんですか……? あ、そうですか。

 

「ビール持ち込んでお昼に一杯やりそうだし」

 

「やんないわよ……(はっ!? ノンアルならもしや)」

 

「倫理的にNGだと思う」

 

 言葉ではやらないと言っておきながら抜け道をすぐに思いつきそれを速攻で自身の妹に看破されるくらい考えが浅い……。ほんとに大丈夫かこの人。

 

「あのー」

 

「「?」」

 

「こんばんはー」「こんばんは」

 

 そこへやってきたリン、なでしこ、蒼也の三人。

 

「ああさっきの……いらっしゃい」

 

「さっきはありがとうございました。これよかったらお二人でどうぞ」

 

 リンが先頭に立ち火おこしでの出来事のお礼を述べつつ自分たちで作ったキャンプご飯をお隣キャンパーさんたちにおすそ分けする。

 

「うわありがとう!! どれもおいしそうだね」

 

「じゃ私たちはこれで……」

 

「あ、ちょっと待って。これ持っていってよ」

 

 そういって火おこし人がリンたちに差し出したのは自身の姉のおかげで作りすぎて余りそうになっていたジャンバラヤ。

 

「こんなに頂いていいんですか?」

 

「いいのいいの。ちょっと多く作りすぎたしさ」

 

「ありがとうございますっ」

 

「ありがとうございます」

 

 そんな物々交換が行われる中泥酔した人間がその成り行きを黙って見ているだけなわけがなく……

 

「ちょっとあんたたち!! これも持って「酔っぱらいは気にしなくていいから!」」

 

 案の定三人に絡みに行き手に持っていた一升瓶を渡そうとしたので火おこし人に止められていた。やってることが完全にちゃんねーに絡みに行く酔っぱらいおじな件について。

 ちなみにすでに泥酔した女性がしっかり酔っ払っていることを知っていた蒼也は動いた瞬間になでしことリンを自身の後ろにかばうように二人の前に出て臨戦態勢をとっていた。やだうちの子イケメン……? 

 

「ありがとうございましたー!!」

 

「こちらこそありがとうね」

 

 なでしこが元気よくお礼を述べながら自身のテントに戻っていくのを見送るお隣キャンパーさん。

 

「じゃあさっそく」

 

「いただきます」「いららひまーふ!!」

 

 さっそく頂いた料理のうちなでしこ作の鱈鍋から手を付けていく二人。

 

「ンマいっ!!」

 

「さっぱりだけどほんのり一味が利いてておいしいね」

 

「ナベにはハイボールがあうんでゃむしゃむしゃ」

 

「…………いい子たちだね」

 

 最初から結構男の子に警戒されていたことに気付いていない姉に対して呆れながら食べ進めていく火おこし人。

 

「男の子は高校生っぽかったけど本栖高校の生徒だったりして」

 

「んん?」

 

 三人とも高校生でなおかつ本栖高校の生徒なのだが、近いうちに印象的な邂逅を果たすことをまだ両者とも知らない。

 

 ─────────────────────────

 

「それじゃ……」

 

「「「いただきますっ!」」」

 

 再び場所は変わり蒼也たちのキャンプサイト。お隣キャンパーさんからもらったおすそ分けも加えてようやく食事を始める。

 

「ジャンバラヤおいしい!!」

 

「ほんとだうまい」

 

 あの酔っぱらいの人が作ったのか? …………いやないな。となると、火おこししてくれた人の方が作ったのかな。パエリアに似てるけどほどよくスパイシーな味付けが食欲をそそるな。うまい。

 

「ん-おにくもおいひいよぅ!!」

 

 今日もなでしこが可愛すぎる件について。ほんとなんでこんなにかわいいのか疑問が尽きないですお兄ちゃん。なでしこが可愛い理由についての論文書けちゃうよほんと……よし学会で発表しよう! 

 

「お肉適当に焼いてってね」

 

「わかりまひたっ!!」

 

 はいかわいい。……さてさて非常に名残惜しいがなでしこが可愛いことは頭の真ん中のちょい端くらいに置いておいて、皆さんお待ちかね鱈鍋の食レポをしていきましょうかね。まずは鱈のうま味と昆布だしを吸った野菜から。

 

「……!」

 

 ……うますぎる。昆布だしのうま味と野菜本来の味が絶妙にマッチして、後から邪魔しないようにほんのりと鱈の風味とうま味が追いかけてくる。はー、この寒い中で食べる鍋……破壊的だ。

 次は鱈本体を食らう。

 

「うまい……(涙)」

 

 あかんうますぎて涙出てきたわ。野菜にあれほどのうま味をあけ渡しておきながらも鱈本体のうま味はそれをはるかに凌駕し、それをさっぱりとした昆布だしが土台となってしっかりと支えている。三ツ星クラスですわこれは。

 

「本当はポン酢があるともっとおいしいんだけど忘れちゃって……」

 

「いや十分うまい」

 

「ポン酢ならあるぞなでしこ」

 

「ほんとっ!」

 

 こういう時のために俺のバッグには調味料の類が大量に入っている(もちろんなでしこのため)。ちゃんと管理して賞味期限切れがないようにしてるから安心してくれ! ……重くないのかって? ご褒美に決まってるだろ! 

 

「ご自由にどうぞー」

 

 バッグから昆布ぽ〇酢を取り出して二人が取りやすい位置に置いておく。やっぱりポン酢と言ったらヤ〇サの昆布〇ん酢一択だよな! 異論は認めない。ある程度食べ進めたことだし俺も味変しよ。

 

「うまっ」

 

 ポン酢を入れることによって酸味が加わり味に立体感が出てより鱈と野菜たちのうまさが引き立つッ……! それに昆布〇ん酢に入ってる柑橘系の香りが合わさって最高のマリアージュを形成している。もはやメインディッシュだろこれ。……さてお待ちかねの肉を食らうとしよう。

 

「……悪魔的だぁ」

 

 さっぱりとしていた口に暴力的なまでに豚の甘い油が暴れまわる! 炭火で焼いているからか豚肉の香ばしい匂いが鼻腔をくすぐりながら通り抜けていく。

 さらにそれを米にバウンドさせて食らえば…………

 

「……」

 

 うまいの言葉すら思わず忘れるくらいに美味すぎる……。豚さんありがとう。

 

「カルビじゃんじゃん行くよーっ!」

 

「じゃんじゃんのせすぎだ」

 

「たしかに」

 

 その後もカルビやら焼き鳥やらに舌鼓を打ちながら食べ進めていく。いっぱい食べるなでしこが可愛かったですまる。

 

「あ、そういえばここって荷物運びボートでも出来るんだってね」

 

「え!! そうなの!?」

 

「ほら」

 

「ほんとだー」

 

 食べ進めていく中で思い出したように志摩さんが四尾連湖のホームページを見せながら言うとなでしこがそれに食いついた。一時間500円か……。

 

「リンちゃ「寒いからヤダ乗らない」……えー、帰り一緒にのろうよーっ」

 

「そもそも荷物のせたら二人乗れなくないか?」

 

 たしかに荷物のせると考えたらボートの大きさ的に二人一緒には乗れない気がするな……。

 

「二往復す「ヤダ」……お兄ちゃんは?」

 

「うーむ……」

 

 ボートに荷物をのせるとなると二人で乗れなくて二往復する羽目になるし……とはいえなでしこのお願いを断る選択肢はあり得ないし……あ。

 

「そっか、俺が荷物全部持ってけばいいのか」

 

「え」

 

「そうやん! 俺が荷物全部もってくから二人でボートを楽しめばいいんじゃないかな?」

 

 天才じゃないか? 荷物が邪魔なら運べばいいじゃない。パンがなければお菓子を食べればいいじゃないというマリーアントワネット的な考えで革新的な解決策を思いついてしまったぜ。

 

「いいの? お兄ちゃん?」

 

「心配しなくても大丈夫だなでしこ! お兄ちゃんにまかせな!」

 

「ほんとに大丈夫ですか先輩?」

 

「うむ!」

 

 大船に乗ったつもりで任せてくれたまえ! ……ってことでそことそこ試合決定で。

 

「じゃあお言葉に甘えちゃおっかリンちゃん!」

 

「うん……ありがとうございます先輩」

 

「いいよいいよー」

 

「楽しみだね~リンちゃん!」

 

「うん」

 

 はいかわいい。

 

「よーし最後は炭火焼ハンバーグだよっ」

 

「うpっ……私一口だけでいい」

 

 ハンバーグといえば静岡にいたころによく食べた“うまうま100%ハンバーグ”ってやつがめちゃうまいんだよなー。あれってこっちじゃ見かけないからないのかな……。

 

「食べたーっ」

 

「ごちそうさまでしたっと」

 

 楽しい楽しい食事も終わりを迎え食後の小休憩へと移行する……。

 

「火まだまだ消えそうにないねー」

 

「備長炭は特に持ちがいいらしい。……これを種火にして薪を並べれば」

 

「おおっ」

 

 志摩さんがコンパクト焚き火グリルの残った炭と薪を使って焚き火を始めた。あったけー。

 

「備長炭は優秀だねぇ」

 

「一粒で二度おいしいってやつだね」

 

 食後で体が冷えてくるところだからちょうどいいー。

 

「ねえなでしこたちって山梨来る前はどこに住んでたの?」

 

「浜松の端っこの町で浜名湖の近くだよ。天気がいいとあそこからでも富士山見えるんだ~」

 

「ちっちゃいけどね」

 

「へえー」

 

「だから本栖湖で初めて大きな富士山見れたときはうれしかったなぁ」

 

「だね」

 

 俺もなでしこと同じで富士山に対する憧れみたいなものはあったから、あの時に初めてでかい富士山を間近に見て感動したのを覚えてる。

 

「あれ? 山梨来るとき清水のあたりで大きな富士山見なかった?」

 

「助手席で寝ちゃって……だから頑張って自転車こいで見に行ったんだよー」

 

 俺もなぜかなでしこが可愛かったことしか記憶にないというか気づいたら家についてたというか……。

 

「リンちゃん眠そうだね」

 

「うん……だいぶ……」

 

「そろそろ寝ようか」

 

 結構話し込んでたみたいで辺りも暗くなってきたので焚き火を消してから寝ることにする。

 

「リンちゃん! 私もそっちのテントで寝てもいいですかっ!!」

 

「狭いから自分のテントで寝ろよ」

 

「だって牛のお化け出たら怖いし……」

 

「そんなのファンタジーだファンタジー」

 

 自身のテントに入り込む志摩さんになでしこが頼み込むがサラッと流されていた。哀れなでしこ。強く生きるんだ。

 

「あ、そうだ。これ」

 

「化粧水?」

 

「焚き火で顔乾燥してるから顔洗ってつけといた方がいいよ……じゃおやすみ」

 

「たしかに…………お兄「がんばれ」……」

 

 期待するような顔で添い寝を希望するであろうなでしこに心を鬼にしてサムズアップしておく。こ、こころが苦しい……! 

 本当であれば喜んでなでしこと添い寝しながら子守歌まで歌って寝かしつけてあげたいところだが……自重せねば社会的に死んでしまう! 

 

「なでしこ、キャンプ誘ってくれてありがと。……今度は私から誘うよ」

 

「うんっ」

 

 しばらくして志摩さんとなでしこの短いやり取りだけがこだまして楽しい焼き肉キャンプは終わりを迎える。

 

 ───────────────────────

 

「ん……」

 

 ……水分摂りすぎた。

 

「……」

 

 隣のテントにいるなでしこや先輩を起こさないようにしながらトイレへと向かう。

 

「ふう……」

 

 無事にトイレを済ませて外に出ると月の光を反射した混じりけのない綺麗な湖が眼前に広がっており思わず見とれる。来た時もきれいだと思ったけど夜になると昼とは違った風景があっていいな。

 

「……」

 

 少し目がさえたからしばらく綺麗な湖を堪能する。……麓も高ボッチもよかったけどやっぱり湖畔のキャンプが好きだな。

 

 

 …………ヴオ゙ォ゙ェ

 

 

「?」

 

 なんか後ろから変な音が聞こえる気が……す……

 

「ヴオ゙ォ……」

 

「!?!?」

 

 で、ででで出た────────────ー!!! 

 

(ほっほんとに出たッ!!)((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

 まさかほんとに幽霊なんか出るわけないって思ってたのに……確実にあれは本物だった! しかもしっかり目が合った気がする! 

 と、とりあえず急いで自分のテントまで戻ってきてブランケットに包まったまではいいものの全然こわい……! 

 

「……」

 

 か、かくなる上は……! 

 

「……」ジィ~ッ

 

「すー……」Zzz

 

 おそらくこの場で一番安全であろう先輩のテントに入れさせてもらうしかない! 

 

「……」ガサゴソ

 

「ん?」

 

「! …………」

 

「………すー」zzZ

 

 あ、あぶねー。よくよく考えたらここで先輩が起きた場合あらぬ疑いをかけられる可能性が特大……というか完全に不審者扱いされてもおかしくないし。

 

「……」

 

 ……うん、とにかくいろいろ考え始める前に早く寝ちゃおう。

 

 ────────────────────────

 

「んー……?」

 

 グッドモーニング太陽ってことでね辺りが明るくなり始めたころに目覚めると、何やら視界の端に大きな荷物? らしきものが置いてあることに気付く。はて、こんなでかい荷物隣に置いたっけ? サンタクロースでも来たか? 

 

「? ……」

 

 よく見たらこれシュラフっぽくね? 

 

「……」

 

 …………え? 

 

「……志摩さん?」

 

 あ、ありのまま今起こったことを話すぜッ……! 

 朝起きて寝ぼけ眼で隣を見ると大きな荷物らしきものがあって、その大きな荷物だと思っていたものが人で、さらにその人が志摩さんだったんだぜ。いやどゆこと? 

 

「ん」

 

「あ」

 

「……?」

 

「……」

 

「……」

 

ハイ、バッチリ目が合いました。

 

「……おはよう志摩さん?」

 

「……」

 

 とりあえず挨拶をしておくが……あれ? 俺間違えて志摩さんのテントに入ったわけじゃないよな……。

 もしかして刑務所行き? 人生オワタ? 

 

「……」

 

「……」

 

 反応がないまるで死んでいるようだ。

 

 

 そんなこんなで数分後……

 

 

「ほんとうにすいませんでした」

 

「いやいや気にしないでいいよ……」

 

 ようやく長いローディング時間が終わった志摩さんからことの顛末を聞くと、どうやら夜中に目が覚めてトイレに向かったところ牛鬼の亡霊に出くわしたらしく、あまりの恐怖に入るテントを間違えてしまったよう。

 

「とりあえず志摩さんがなんともなくてよかったよ」

 

「し、信じるんですか?」

 

「信じるも何も疑う余地がないというか……」

 

「いや、牛のお化けとか……」

 

 まあ正直な話本当に牛鬼の亡霊が出たのかはわからないけど、実際に志摩さんのテントと俺のテントはぱっと見た感じ見分けつかない……というかおんなじやつだし。

 

「まあ疑う余地がまったくないと言えば噓になるけど……」

 

「……」

 

「志摩さんに何かあったら大ごとだからとにかく無事で安心したよ」

 

 いやほんとに。

 

「っとそろそろなでしこも起きてくるだろうし朝ごはんの準備でもしとこうか」

 

「は、はい///」

 

 こんな場面をなでしこに見られたら今度こそほんとうに刑務所行きの片道切符を切ることになってしまうため、とりあえず朝食の準備をしておくことにする。

 

 ────────────────────────

 

「ん~おいしいー!」

 

「うむ」

 

 あれから朝食の準備をしているとなでしこも起きてきたため、手伝ってもらいながらも朝ごはんであるホットサンドを作り終え現在は皆でそろって朝ごはんを堪能している。

 

「手軽にここまでのものをつくれるとは……」

 

 おそるべしホットサンドメーカー。ついこの間、命の次に大事な包丁を新調しようとネットを漁ってたらたまたまホットサンドメーカーが目に留まり、一時流行ってたこともあって注文しちゃったんだよね~。

 新しい調理器具ってなんか興奮しない? ……しないか。

 

「「「ごちそうさまでした」」」

 

「さて帰る準備しますか~」

 

 優雅な朝食を終えてテントなどを片付けて帰る準備を始める。長かった焼き肉キャンプもついに終わりを迎えるのか……。意外と寂しいもんだな。

 

「よし、じゃあ荷物は吾輩にまかせたまえ」

 

「お願いします! お兄ちゃん!」

 

「うむ苦しゅうない」

 

「(なんだこの茶番……)お願いします先輩」

 

「任せて」

 

 ボート乗り場にて二人から荷物を預かり、ここに来るときに通ってきた道をたどるように歩いていく。……うん、なかなかに重いな。

 

「お兄ちゃーん!!」

 

「お」

 

 湖の方を見るとなでしこが元気に手を振りながらこちらを呼んでいた。

 

「……」カシャ

 

 こちらも手を振り返しながらカメラで二人の様子を収めておく。うむ、いい写真だ。

 またこうやって思い出を増やしていけたらいいな。

 

 ────────────────────────

 

 まだだ……まだ俺の夏休みは終わらんよ! 

 まだチャンスはある!二期まで書ききるんや!(無謀)

 

 

 

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