なでしこ(兄)のゆるキャン△   作:てるまるまる

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初心者でもわかるおしゃれキャンプの定義とは?

 

 なぜだ! 4000字に収めようとしても2000字増えてしまうのは……。

 このままでは2期まであと数ヶ月掛かってしまう! 

 切実になんとかしたい……。

 

 ────────────────────────

 

 六限目の授業後、社会科の山下先生に宿題のプリントを運ぶのを手伝ってほしいと言われ準備室へとやってきたわけだが……。

 

「山下先生プリントここで大丈夫ですか?」

 

「あぁありがとうねわざわざ」

 

「いえ全然大丈夫ですよ」

 

 全然大丈夫じゃねーよ! 

 日々の楽しみであるなでしことの登下校を邪魔された俺の気持ち考えろよ。本当だったら今頃なでしこと楽しくお話しながら帰宅している途中だったはずなのに、なんで雑用しなきゃならんねん。

 

「じゃあ自分はこれで」

 

「ほんとに助かったよ」

 

「先生さようなら」

 

「はいさようなら」

 

 お前を地獄にさようならしてやろうか。ったくそろそろテストが近づいてきてるからなでしこと勉強会を開こうと思ってたのに邪魔が入った……。

 ちなみになでしこには先に帰っておくように直接言いに行ったので先に家で勉強していることだろう。……え? わざわざ会いに行ったのかって? 当たり前だろ。

 

「はぁテンション下がるわー」

 

「あ」

 

「あ、犬山さん」

 

 下駄箱で靴を履き替え外に出ると部室棟に向かう犬山さんと鉢合わせた。

 

「あれ? 今日野クル活動あったっけ」

 

「たしかグループチャットであきが見せたいもんがあるって……」

 

「ほんとだ」

 

 あんまりスマホ見ないから気づかなかった。たしかに野クルのグループチャットで大垣さんが“見せたいものがあるから来れる奴は部室に集合してくれぃ!! ”ってチャットしてる。

 

「せや、どうせなら一緒にいきませんか?」

 

 本当なら今すぐにでも直帰してなでしこと勉強会を開きたいのだが……まあ見るだけ見てみるか。

 

「いいね一緒に行こうか」

 

「……よしっ」

 

「そういえば明後日からテストだけど犬山さんは大丈夫そう?」

 

「えぇ、予習復習はしっかりやってあるんで大丈夫ですー」

 

 おー結構真面目やな。……俺? 夏休みの宿題は初日に終わらせるタイプです(`・ω・´)キリッ。

 

「それにしても見せたいものって何だろうね?」

 

「さあ……?」

 

 そんなふうに話しながら歩いていると野クルの部室にたどり着いていた。これは……スタンド攻撃だッ! スタンド攻撃を受けているッ! 

 

「あきおるかー?」

 

「大垣さーん」

 

 

 ドスンッ! 

 

 

「何の音?」

 

「いもむしがのたうっとる……」

 

 芋虫? どゆこと? 

 ってほんとに芋虫みたいなのがのたうち回ってるやん。てかこれシュラフに包まった大垣さんやん。

 

「何やっとるの? ていうか見せたいもんて何なん?」

 

「大丈夫? 大垣さん」

 

 声をかけながら部室に入っていく犬山さんに続き部室に入ると、おそらくシュラフに包まったまま棚から落っこちて腰を強く打ったのであろう大垣さんが腰を抑えながらうずくまっていたので俺も声をかける。

 

「おう待ってたぜ~イヌ子とパイセン!! これを見てくれぃ!!」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「バァーン!!!」

 

「バーン言うても準備しとるん丸見えやったし」

 

「うん」

 

 急にカバンからいろいろ取り出し何かを準備し始めたので犬山さんとしばらく大垣さんの様子を見守っていたのだが、サプライズ風に紹介しても準備してるの丸見えだからあんまり意味ないよ大垣さん……。

 

「へーミニテーブルと木の食器と……スキレットかー急にどうしたん?」

 

「この前キャンプしたとき私らの下にキャンパーいたろ?」

 

「いたね」

 

 この前のキャンプっていうとイーストウッドの時か……たしかに下の段におしゃれなキャンパーさんがいた気がする。

 

「彼らはオシャレなテーブルやイスでくつろぎOFFを満喫していた……」

 

「せやな」

 

「それに引き換え私らはレジャーシート一枚……あまりにもじゃねぇか……」

 

「いやもっと楽しそうにしとったやろ」

 

 なんか悲壮感漂わしてるけど犬山さんの言う通りもっと楽しそうにキャンプしてたよな……。

 

「んで一式そろえてみたんか」

 

「そうだ!! 私をなめるなよ小僧!!!」

 

「どのタイミングでキレとんねん」

 

「大垣さん……」

 

「でもこれ全部で7~8千円するんやないのこれ?」

 

「たしかに」

 

 大垣さんが用意したのはミニテーブルと木製の食器とスキレット。これらだけでも普通に買えば8千円くらいはくだらないはず……まさか闇金? 

 

「あーいやこんなもんだった」

 

「「安っ!」」

 

 そう思っていたが大垣さんが見せてきたレシートを見ると計2370円という破格の値段だった。スキレット460円てバグやろ。

 

「つーかこれ机じゃなくてキッチンラックなんだよな」

 

「ほんとや」

 

 しかもミニテーブルかと思っていたやつは机じゃなくて小さいキッチンラックというね。

 

「週末甲府のツカモト行ったら安かったんでオトナ買いしてやったぜ、未成年だが」

 

「あ、じゃあこれ少し前に話題になっとった激安スキレットの“モトスキ”かー」

 

「ほー」

 

「そうそう」

 

 モトスキかー。結構前にキャンプ・アウトドア界隈で超おすすめの格安スキレットとしてテレビとかでも取り上げられていたな。

 

「ぶっちゃけ木皿と鉄鍋とネイティブ柄の布があればおしゃれキャンプなんだと思う」

 

「ざっくりしとるなー」

 

「スキレットでパエリア食って木皿で熱いスープをすする……いいじゃねぇか……」

 

 おしゃれキャンプの定義はざっくりしてるのに想像してるのは変に具体的なのは何なんだ……? 

 

「そういえばパイセン。今日なでしこはどうしたんすか?」

 

「テスト勉強のために先に帰らせたんよ」

 

「む」ブーンブーン

 

「たしかにテス勉するために帰る言うとったなぁ」

 

「とか話してたらなでしこからだぞ」

 

 ここにいないなでしこについて説明していると大垣さんのスマホになでしこから連絡がきたらしい。……うらやま。

 

「私も今から帰ってテス勉するつもりやし」

 

「……」ぺこん

 

「俺も帰ってなでしことテスト勉強しないと」

 

「ていうか部活やっとる場合やないんやない?」

 

「あーだめだめ。前日にならんと尻に火がつかんタイプなんだわあたし」ペコン

 

 それ絶対赤点ギリギリな奴じゃないの? 大垣さん……。前日に詰め込むより毎日コツコツと少しでもいいから進めた方が頭に残りやすいってなんかの記事で読んだ気がする。……ていうかさっきからスマホなりすぎじゃない? お兄ちゃん嫉妬しちゃうぞなでしこ~。

 

「ん? この木皿熱い料理ダメって書いてあるで」

 

「え!?」

 

「ほんとだ」

 

 木皿の裏に貼ってあるラベルの使用上の注意点に熱い料理NGとかいろいろ書いてあるな。

 

「熱い料理ダメ、においの強い料理ダメ、熱湯もダメと……」

 

「水に浸けるのもダメって書いてあるで」

 

「つかそんなん何に使えばいいんだよっ!!」

 

「こう……サンドイッチのせるとか?」

 

「なんだそのマヌケな使い方」

 

 めっちゃマヌケやな。熱い料理、においの強い料理、水NGとなるとお菓子盛り付ける専用の皿としてしか使えなさそうだな。……いやワックスペーパーなりを敷いておけばスープ以外はいけるか? 

 

「お菓子皿ならええんやない?」

 

「ぐぬぬ……そんな用途にしか使えんとなると700円がめちゃ高く感じてくる……つーかなんで熱いのダメなんだ?」

 

「たしか木皿って塗料が塗ってあるからそれでだめなんじゃなかったかな」

 

 熱い物がダメと書かれている木皿は汚れ防止のためラッカー塗料が表面に塗られているので熱湯などを注ぐと熱で塗料が溶け出してしまいます。(by大塚〇夫ボイス)

 

「“サラダなどに使いましょう”やて」

 

「じゃヤスリで磨いてラッカーはがせばよくないか?」

 

「あ、手作り木皿でオリーブオイル塗って仕上げるとか何かで読んだことあるわ」

 

「それだっ! 今からやるぞ! ヤスリがけ&オイル塗り!!」

 

「ええーテスト明けでええやん」

 

「帰っていいかな」

 

 見るだけだと思ったからついてきたんだがいつの間にか部活動になってるし。早く帰ってなでしこと勉強会を開きたいのに……。

 

「はい!! 今日は木皿の塗装はがしとスキレットのシーズニングを行いまーす」

 

「仕事増えとるやないか」

 

 早速といった感じで部室から二階の調理実習室に移り木皿の塗装はがしを行うと思っていたのだが……なぜかスキレットのシーズニングもやることになっていた。帰っていいかな? がちで。

 

「ここテストに出まーす」

 

 “シーズニング”表面についたサビ止めを落としオリーブオイルをなじませる鉄鍋を買ったら初めに行うならし作業です。簡単に説明するとしっかり洗った後、空焼きしてオイルを塗ってを繰り返す作業です。このとき取っ手が超熱くなるので気を付けましょう。(by大〇明夫ボイス)

 

「そういえば歴史の田原先生産休するんやてな~」

 

「おー聞いた聞いた。まさか教師一筋の田原ちゃんが……電撃結婚だったよなー」

 

「せやなーあんときは驚いたわー」

 

 へー田原先生結婚したのか―、それも電撃結婚。俺が一年生の時結構お世話になったっけな。堅い感じの人だけど、授業後に質問とかしたら丁寧に返してくれるから意外にも優しい人だったよなー。

 

「電撃産休」

 

「電撃子育て」

 

「電撃新婚生活」

 

「じゃ代わりの先生来んの?」

 

「うん、もう明日から来るんやて」

 

「へぇー」

 

 犬山さんと俺でスキレットのシーズニング、大垣さんが木皿のやすり掛けというふうに役割分担をして各々作業しながら駄弁る。

 

「話変わるけどさ、この前キャンプした時結構歩いたじゃんか」

 

「ん? うん」

 

「うん、歩いたね」

 

「後で調べたら駅から笛吹公園までバス出てたわ、しかも片道100円」

 

「まじか」

 

「そうなん!? ってあっつ!!!」ジュッ

 

 大垣さんから明かされるまさかの新事実に気をとられて、犬山さんがスキレットの布で覆っていない取っ手の部分に触れてしまいやけどしてしまった。大丈夫かな? 

 

「大丈夫? 犬山さん。しばらく水で冷やしておくといいよ」

 

「大丈夫か?」

 

「うん、なんとか」

 

 とりあえず俺が木皿のやすり掛け、大垣さんがスキレットのシーズニングというように各々の役割を変更して再び作業を再開する。犬山さんにはしばらく休んでてもろて。

 

「てかそれなら荷物持って坂道登らんでもよかったんやなぁ」

 

「いいじゃん、少し位苦労した方が記憶に残るってもんだぜー」

 

「たしかにね」

 

「ま、確かにそうかー」

 

「でも今度はバス乗ってくけどなー」

 

「せやなー」

 

「うん」

 

 体力には自信ある方だけど……さすがにバスが出てるとなるとそっち使いたくなっちゃうよなー。普通にあの坂思ってた3倍くらいはきついし、かといってバイクとかで通るとなると結構狭いから対向車なんか来たら坂道発進になって急坂でエンストして詰みそう。

 

「オイルこのくらいか?」

 

「そんなもんやない?」

 

「うん」

 

「……三人で何の実験してるの?」ガラガラ

 

「あ、斉藤さん」「斉藤さん」

 

「お、斉藤。……ぎゃっ!?」ジュッ

 

「「!」」

 

「危ない!」

 

 斉藤さんが調理実習室に入ってきたことで先ほどと同様に大垣さんがスキレットでやけどしてしまうが、熱さに驚いて思わずといったようにスキレットを空中に放りだしてしまった……! 

 

「よっ……と、ふいー危なかったー」

 

「「「……?」」」

 

 なんとか一緒に放り出された布を拾い上げてから、最大限の動体視力を駆使して回転するスキレットの取っ手を布でつかむことができた……。危うく誰かがやけどするところだった。

 

「す、すげー……」

 

「危険な役は最初から俺がやるべきだったな。ごめんね二人とも」

 

 最初から火を使う仕事は危ないんだから俺がやっておけばよかった……反省。いかんいかんなでしこのことで頭がいっぱいだったのが良くないな。とりあえず大垣さんも休んどいてもろて。

 

「鉄フライパンって使う前こういうことするんだー。面白いねー」

 

 後から来た斉藤さんに木皿のやすり掛けをやってもらいつつスキレットのシーズニングを行っていく。

 

「……」

 

 4~5回の空焼きを繰り返してからオイルがなじんできたところでカバンからミカンを取り出し(なでしこの非常食)、皮をむいて実は大垣さんと犬山さんにあげて皮の方をスキレットで炒める。

 

「……」ジュー

 

「各務原先輩手慣れてますねー」

 

「そう?」

 

「料理とかするんですか?」

 

「まあ結構頻繁に料理はするかな。なでしこにはおいしいものをいっぱい食べさせてあげたいからね」

 

「「「……(シスコンだ)」」」

 

 何度も言うがなでしこはおいしいものを食べている時が一番輝いているからな! 

 まあ諸君なら言わなくてもわかると思うが……常になでしこはかわいくて輝いているのでそこのところは勘違いしないように! 

 

「さてと」

 

 話がそれたが炒めの工程が終われば後はスキレットでお湯を沸かしてからたわしで洗って……

 

「タワシ……タワシ……」

 

「ここにありますぜ」

 

「お、ありがとう」

 

 タワシでしっかり洗ったら最後にもう一度だけ空焼きからのオイル塗りで……

 

「完成っと」

 

「「おおー」」

 

「こっちもできたよー」

 

「おーオイル塗ると味が出るなー」

 

「お」ブーンブーン

 

「なんや?」ブーンブーン

 

「ん?」ブーンブーン

 

 ようやくすべての工程が終了して帰れると思ったら斉藤さん以外のスマホに着信が……なんだろう? 

 ……なでしこだ! 

 

『テスト終わったらみんなでクリスマスキャンプやりませんかっ!! (*>v<*)ノ』

 

「クリスマスキャンプやて」

 

「ナイス提案だな」

 

「うむ」

 

 なでしこから送られてきたグループチャットはテスト明けに野クルのメンバーでクリスマスキャンプをするという内容でそれを見たであろう大垣さんと犬山さんもおおむね乗り気なよう。乗るしかないこのビッグウェーブに……! 

 

「あ、私はクリスマス彼氏と過ごすから無理やなー」

 

「ん?」

 

「なっ!? 彼氏いたのか貴様ーっ!!」

 

 犬山さんって彼氏いたのか。まあ確かに犬山さんの容姿からかんがみても彼氏くらいいても十分納得できるしな。となると……

 

「うそやでー」

 

「噓かい」

 

 さらっと嘘ついたな……。

 

「いつもは家族とクリスマスやけど、みんなでキャンプするのもええかもなー」

 

「家族いたのかきさまーっ!!」

 

「なんじゃわれーっ!」

 

 何しとんねん。斉藤さんも笑っとる場合ちゃいますがなー……なんつってな。

 

「せや、斉藤さんもクリスマスキャンプどう?」

 

「えっ? 私!?」

 

「デイキャンプにすれば寝袋とかもいらんし一緒にやらん?」

 

 確かにデイキャンプなら寝袋とテント両方いらないし、新しく何か購入する必要もないから飛び入り参加できるか。

 

「うーん、寒いの苦手だけど……ちょっと楽しそうだなぁ」

 

「俺も寒いの苦手だけど、しっかり対策すれば冬キャン楽しいと思うよ?」

 

「うーん……決めるのテスト終わってからでもいいかな?」

 

「うんええよー」

 

 斉藤さんも飛び入り参加することが決まりそうだな。となるとあとは……

 

 

 キーンコーンカーンコーン……

 

 

「じゃあそろそろ私帰るね」

 

 おっと、もうこんな時間か。ってか結局なでしことの勉強会を開くことは叶わなそうだな……。いやあきらめるな俺、今から電車を使わずに自転車で頑張れば行けるはずだ! 

 

「またね犬山さん大垣さん、各務原先輩も」

 

「うん、またなー」

 

「じゃーなー」

 

「気を付けてね、斉藤さん」

 

 さてとそうと決まれば俺もさっさと帰らなくては。

 

「木皿もええ感じになったしうちらもはよ帰ろー」

 

「おーでもその前に……」

 

 なんだ? …………あーそういうね。

 

 ────────────────────────

 

「……!」ヴー……ヴー……

 

 甲斐常葉駅でテスト明けの冬休みについていろいろと考えてた時にふと思いついたクリスマスキャンプを野クルのグループチャットに送って数分後、内船駅に到着したと同時にあきちゃんから返信が返ってきた! 

 

『次の野クルキャンプは……』

 

『テスト終わりのご褒美、クリスマスキャンプで決まりやー!』

 

「よーし! テスト頑張るぞーっ!!」

 

 写真とともに送られてきた文言にわくわくしながら高校生活初めてのテストにやる気を出す。

 また、イーストウッドの時みたいなキャンプができるんだ~! 

楽しみだな〜♪ 

 

 ────────────────────────

 

 みなさまはお気づきだろうか……? 

 アニメ寄りのはずの本作が原作寄りになっていることを……。きゃー

 

 

 

 

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