なでしこ(兄)のゆるキャン△   作:てるまるまる

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風邪引きの療養 前編!

 

 熱出してぶっ倒れてました。皆さんも風邪には気をつけましょうね。

 そして、今回の話まさかの前後編である。どうやっても短くできん………。

 あ、今回もキャラ崩壊注意でーす。

 

 ────────────────────────

 

「も〜泣くなってなでしこ。会えなくなるわけじゃないんだからさー」

 

「ぐすっ……また絶対会えるよね?」

 

「会える会える」

 

 夕日が照らす橋の上で二人の少女がいつか必ずある再会の約束をする。

 

「…………あやの、絶対会いに来るから」

 

「……うん、待ってるよそうや兄」

 

 それが俺とあいつとの最後のやり取りだった。今でもあの時のあいつの顔が脳裏にこびりついて離れない。

 

 ────────────────────────

 

「…………あやの」

 

 随分と懐かしい夢を見たな。…………あいつ今どうしてるんだろうか。元気にやってるだろうか。

 

「はぁ、げほっげほっ! …………うぇーきちー」

 

 なでしこが風邪を引いたその翌日。ものの見事にその風邪をもらったのか俺は現在進行形でベッドにぶっ倒れていた。

 普段はなでしこの為に風邪なんて引いてられないから徹底的に健康管理をしているのだが…………。まさか、そのなでしこから風邪が移るとは…………まさにご褒美ですね。(鼻血)

 

「お兄ちゃーん?」コンコン

 

「なでしこ?」

 

「入るよー」ガチャ

 

 ベッドに横になりながら色々考えているとなでしこが俺の部屋に入ってくる。今日も世界一可愛いなマイエンジェルシスターは。

 

「どうしたんだなでしこ?」

 

「突然ですが、今日一日お兄ちゃんのことは私が看病します!」ムフー

 

「いやいや、移すと悪いよ……」

 

「大丈夫! きちんと手洗いうがいしてるから!」ドヤッ

 

 うーん、可愛いからよし! 

 …………じゃなくて、風邪が移っちゃうからなるべく看病とかさせてあげたくないんだけどなぁ。だから母さんにもなるべく自分で何とかするって言ったんだけど……。

 

「お兄ちゃん何か欲しいものとかある? 買ってくるよ!」

 

「うーん、じゃあスポドリと冷○ピタ買ってきてもらえると嬉しいかな」

 

「スポドリと冷○ピタだね! 買ってくる〜!」ダッ

 

 うむ、相変わらず元気があって大変よろしい。昨日風邪を引いてたとは思えないくらいだ。

 

「…………はぁ」

 

 うわーん! ホントはホントはなでしこに付きっきりで看病してもらいたかった──! (泣)

 …………くそぅ、でもだめだ。なでしこに風邪を移すことは俺が許せない。

 

「…………のどいてぇ」

 

 だから、さっきも今朝から母さんが買い物に行ってるからスポドリも冷○ピタも本当は必要ないんだけど、あまり部屋に長居しちゃうと移る危険性があるから体のいい理由でなでしこを遠ざけたのだ。

 

「…………」

 

 ……てか数年ぶりくらい久々に風邪引いたけど結構きついなぁ。頭痛いし喉も痛いおまけに倦怠感に悪寒、若干の吐き気がある…………役満やな。

 

「……はぁ、心配だなぁ」

 

 ま、こんなときでも(というかいつもだが)考えるのはなでしこのことなんだよなぁ。自転車で買い物に行ったんだろうが事故に遭ってないだろうか……道に迷ったりしてないだろうか……。

 あー考えがまとまらん……。

 

「…………」

 

 まぁうん、とにかく寝よう。寝て早く治そう、結局それに尽きるのさ。

 

 ──────────────────────────

 

 ブロロ…………キイッ…………カチッ

 

「…………ふぅ」

 

 …………来てしまった。先輩の家に。

 とりあえずバイクを一時的だがお姉さんの車(たぶん)の隣に停車させておく。

 

「…………」

 

 そうして、見舞いの品を持ってインターホンを押そうとするが不意に手が止まる。

 ………………というかなぜこうなった? 

 事のあらましを簡単にまとめるとこうだ。

 

 ──────────────────────────

 

 回想スタート! 

 

『各務原先輩風邪引いちゃったらしいよー』

 

『ふーん』

 

『リン、お見舞いに行ってあげなよ〜』

 

『え、やだよ』

 

『ふっふっふ…………実は既に各務原先輩にはリンが行くことは連絡してあるので残念でした〜』(嘘)

 

『おいなにしてんだ』

 

 回想おわり! カンカンカンカン! 

 

 ──────────────────────────

 

 ……というわけだ。斉藤から突然チャットが来たと思ったらまさかのカミングアウトで急遽先輩の家にお見舞いに来ることになった訳だ。

 ほんとなにしてんだろう……。

 

「…………」

 

 うん? さっきからインターホンを押そうとしてるのに指が動かないぞ。

 …………ハッ! これはまさか最近読んだ"九龍城からの使者"に出てくる使い魔の能力では……? 

 

「ぐぬぬ……」

 

 決して私がインターホンを押すのを躊躇っているわけでは無い。ないったらない。きっと使い魔が私の動きを止めているに違いない。

 そうに違いない……! 

 

「むむむ…………」

 

 カチッ……ピンポーン……

 

「っ! ままま間違えて押しちった……!」

 

 ちょっと力入れたら間違えて押しちった……! いや間違えてないんだがなんというか準備というかなんというかその……(汗)。

 と、とにかくどうしよう……! 

 

「はーい」ガチャ

 

「あ」

 

「あら? リンちゃんじゃない」

 

「え?」

 

 誤爆して慌てていた中、そう言ってでてきたのは予想していた各務原先輩のお母さんやお父さんではなくお姉さんの方であった。

 

「どうしたの? こんな昼間に」

 

「えと、各務原先輩のお見舞いで……」

 

「あぁそういうことね」

 

 とりあえず焦りながらもここへ来た目的をお姉さんに伝えると、納得したような声を出しているのでなんとか伝わったみたいだ。

 

「じゃ遠慮なく上がってちょうだい」

 

「お、お邪魔します……」

 

 そうして、せっせと手洗いを済ませてから先輩のいる部屋へと案内してもらう。

 

「…………」パタン

 

「? あ、あの……」

 

 ……がしかし、先行していたお姉さんは先輩の部屋をチラ見してからすぐに扉を閉めてしまっていた。な、なぜ? 

 

「リンちゃん」

 

「は、はい」

 

「どうか、これから見ることに失望しないでくれるかしら?」

 

「え? はい」

 

 すごく真面目な顔でお姉さんが確認してくるのでよくわからないけどとりあえず返事しておく。

 

「……そうや、入るわよー」ガチャ

 

「し、失礼します……」

 

 そうして先輩の部屋に入ると、そこに広がっていたのは…………。

 

「はぁ~」

 

「こ、これは……」

 

 そこら中に開きっぱなしになっている本や脱ぎっぱなしになっている服などが散乱していて、有り体に言って酷い有様だった。

 強盗にでも入られたんじゃないかというほど散らかっている……。

 

「あ、お姉ちゃん!」

 

「!?」

 

 机に座り何かをしていた各務原先輩(?)がこちらに気づくと真っ先にお姉さんの方に向かって小走りで近づいてくるが……明らかにいつもの先輩と雰囲気が違うというか。

 な、何が起こってるんだってバヨ……。

 

「みてみてー! ピカチ○ウ!」

 

「はぁ…………まぁ、よく描けてるじゃない」

 

「にひひー」

 

「…………」

 

 すごく普段の先輩からは考えられないくらい満面の笑みではしゃいでいる……。え、笑顔が眩しい……。

 お姉さんも溜め息をつきながらも既に勝手が分かっているように対応しているし。

 それは本当ですか? 

 

「あ、あのこれって…………」

 

「…………そうやは元はこんな性格なのよ」

 

「え!?」

 

「実はね……」

 

 そこから話されたのは驚くべきことばかりのものだった。

 各務原先輩は元々なでしこと同じくらい元気いっぱいにはしゃぎ回りよく笑い、笑顔が絶えない子だったという。

 しかし、ある頃を境に段々となでしこに対して過保護(シスコン)気味になり、さらには"お兄ちゃんらしさ"を追求するようになった。

 そして、今まで進んでやることのなかった勉強や習い事を親に頼み込んでまでやるようになったと…………。

 

「風邪を引くと箍が外れるのか、そうやの素がでるのよ」

 

「これが…………」

 

 全然知らなかった……。でも、普段もなでしこに少し雰囲気が似てるから何か納得できるというか。

 

「遊びに行こ! お姉ちゃん!」

 

「風邪引いてるんだから寝てなさい」

 

「えーつまんなーい」

 

「ほらいいからさっさと寝とく」

 

「えー」

 

 口では文句を言うもののすごすごと先輩は布団に潜りに行く。

 

「よっと……それじゃリンちゃん、少しの間そうやのこと任せてもいいかしら?」

 

「あ、はい分かりました」

 

 ……………………え!? い、いまなんて? 

 少しの間先輩を任せるって……。ど、どうすれば? 

 お姉さんはさっさと部屋を片付けてからどこか行ってしまったし……。

 

「…………」

 

「……」じー

 

「…………」

 

「……」じー

 

 き、気まずい……。

 というかなぜ先輩はこんなにもこっちを凝視してくるのだろうか。顔に変なものでも付いてるんだろうか? 

 

「…………」ぐーっ

 

「…………」

 

「…………」ぐーっ

 

「……あの、これどうぞ」ゴソゴソ

 

「?」

 

 気まずい状態が続くと思われたがその空気を壊すように先輩のお腹から唸り声が続けざまに上がったので、ここへ来る途中のコンビニで買ったプリンやゼリー、スポドリが入ったレジ袋を先輩に渡す。

 

「もらっていいの?」

 

「え、はい」

 

「やった! ありがとうリンちゃん!」

 

「!?」

 

 ぐわー! ま、まさかのリンちゃん呼びっ………………。

 しかも向けられる笑顔は後光が指しているかのように眩しく輝いていて…………うわ、浄化されるぅ。

 ……というか、先輩がこういう風になっちゃうのは普段からなでしこのために自分を抑えてるからだってお姉さんが言ってたけど…………。

 なんか、そんな風に想ってもらえるなでしこがちょっと羨ましいな…………。なんちって。

 

「ごちそうさまでした!」

 

「はやっ!?」

 

 五、六個買ってあったプリンやゼリーがあっという間に先輩の胃袋の中に消えてった。す、すげぇ……。

 

「むーっ」

 

「ど、どうしたんですか?」

 

「ひま」

 

 私が先輩の胃袋に慄いてる傍ら先輩が若干むくれていたのでどうしたのかと問うたが…………それはどうしようもないような……。

 

「あ、トランプでもやりますか?」

 

「! やる!」

 

 先輩の机に置いてあったトランプが目に入り、それを提案すると元気よく返事が返ってくる。ほんとなでしこに似てるなぁ。

 

 

 一時間後…………

 

 

「か、勝てん…………」

 

 あれからババ抜きから始まり七並べや大富豪など数々のトランプをやったけどただの一度も先輩に勝てなかった。ナンデヤネン。

 

「…………」ウトウト

 

「……そろそろ終わりにしますか?」

 

「ん」

 

 そうしてトランプをケースにしまい、机に置くと不意に先輩から声をかけられる。

 

「リンちゃん、俺ちゃんとできてるかなぁ……」

 

「……何がですか?」

 

「……時々なでしこの見本になれてるか心配になるんだよね」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………って何話してんだろうね、俺」

 

 ははっと笑う先輩。どうしてかその姿はいつもの先輩と変わらないようだったけど…………でもほんのちょっとだけ寂しそうで。

 気丈に振る舞っているようで……もしこれが先輩の本音だとしたら私は……。

 

「先輩は十分なでしこの見本になってると思います」

 

「…………」

 

「……先輩は誰に対しても分け隔てなく接してて優しいですし、何より他人のことをよく考えてくれてて…………そういうところが私は好きです」

 

 ………………ん? なんか余計なこと口走ったような(汗)。

 本当はなでしこの話にもってくはずだったのに……! なんか告白したみたいになってないか? 

 と、とにかくなんか言わなきゃ……! 

 

「え、えと……その…………」

 

「そっかぁリンちゃんはそう思ってくれてるんだね……うれしいなぁ」

 

 そう言ってへにゃりと笑う先輩。今まで見せたどれにも当てはまらない先輩の一面にを見て急速に顔が熱くなっていくのを感じる。

 ……心臓の鼓動が自分でも分かるくらいに早くなる。

 先輩から…………目を離せなくなる。

 

「俺もね……リンちゃんの…………そういうところが…………」

 

「…………」ゴクリ

 

「…………」

 

「……?」

 

「…………zzz」

 

「ね、寝てる……」

 

 不意に言葉が切れたので布団を被っていた先輩の顔を覗き見ると穏やかな寝息を立ててぐっすりと眠っていた。

 むぅ、言葉の続きが気になるぞ…………先輩は何て言おうとしてたんだろうか? 

 でも、なんとなく予想できるというか……………………っいやいや! そんな訳ないな! 百歩譲ってもそれはないな! うん! 

 

「…………」

 

「…………zzz」

 

「おやすみなさい先輩」

 

 …………うん、この気持ちはまだ仕舞っておこう。いつの日か叶うその時まで。

 

 ──────────────────────────

 

 各々が内に秘めたる想いが叶うか否か、それはまだ誰も知らない。もちろん作者も知らない。

 

 

 

 

 

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