なでしこ(兄)のゆるキャン△   作:てるまるまる

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クリキャンつづくよ!パートスリー!

 

 卒業研究って忙しい。

 

 ────────────────────────

 

「薪これくらい?」

 

「うん、そんくらい」

 

「ほい、ココア一丁」

 

「ありがとー」

 

「ふごっ…………」zzz

 

「しくしく、俺の味方はちくわだけだよ…………」

 

「わふぅ」

 

 今日の敵は明日の友。俺の味方はちくわだけだよ。

 友好の証にいっぱいわしゃわしゃしてやるからな。だから、見捨てないでくれよぅ。

 

「ん~……ごめんなさい、いつの間にか寝ちゃってたわ」

 

「あ、せんせーおはようございます」

 

「めっちゃ熟睡でしたよ」

 

「あ、先生もココア飲みますか?」

 

「ありがとー、いただくわぁ」

 

「おーよしよし、めんこいやつだなぁちくわぁ」

 

「わふ」

 

 いーっぱいめでてやるからなぁ。だから見捨てないでくれよぅ。

 

「ちょ、何入れてるんですか先生!?」

 

「ココアにはラム酒が合うのよぉ」

 

 ココアにはラム酒。俺にはちくわ。まさにニコイチ。

 だから見捨てないでくれよぅ。

 

「っぱぁー! 温まるわー!」

 

「おっさんがおる……」

 

「こんな人だっけ?」

 

「もっと入れてもいいわねぇー」だばだば

 

「起きぬけにいきなり……」

 

「これがグビ姉……」

 

「四尾連湖で会ったときこんな感じだったよねぃ」

 

「ね」

 

「かわいいなぁちくわぁ」

 

「わふっ」

 

 おお、そうかそうかお前もそう思うかー。やはりちくわと俺はニコイチだな。だから見捨てないでくれよぅ。

 

「ところで各務原くんはなんでまた拗ねてるんですか?」

 

「あぁ実はカクカクシカジカで……」

 

「ああなるほど……」

 

「もふもふ」

 

「ま、とりあえず放置でいいんじゃないっすか?」

 

「いや、いいわけないでしょ(真顔)」

 

「うおっ! 急に正気に戻んないでくださいよパイセン!」

 

「いやいや最初から正気だから」

 

((((絶対嘘だ……))))

 

 変なこと言うね大垣さん。俺は最初からこんな感じで正気だよ。

 

「あ、見て」

 

「およ?」「ん?」

 

「綺麗な赤富士!」

 

「きれいやなぁ」

 

「すげー!」

 

「すご」

 

 斉藤さんが指さす先を皆で見るとそこにあったのは作品から出てきたかのような紅に染まった富士山だった。まるで一つの芸術作品を観てるみたいだな。

 これは、納めなければ。

 

「はーいみなさーん、ちゅーもーく」

 

「「「「「「??」」」」」」

 

「ハイ、チーズ」カシャ

 

 うん、いい写真だ。

 

「お兄ちゃんみせてー」

 

「ほい」

 

「おぉ〜よく撮れてますなぁ」

 

「うむ、帰ったら焼き増ししないとな」

 

 野クルの部室にも新たに写真が追加されることだろう。

 

「さて、暗くなる前に夕飯の支度始めるでー」

 

「待ってました〜」「おおー」

 

「お肉♪ おにくぅ♪」

 

「いやはやイヌ子はん、今晩はええお肉使って何作りはるんどす?」

 

「せやねー、今日はクリスマスっちゅうことで……」

 

「ワクワク」

 

「ドキドキ」

 

「ムネムネ」

 

「すき焼きや!」

 

「すきやき…………」「すき焼き……?」

「スキヤキ…………」「すき焼き…………」「すきやき?」

 

「せや」

 

「「「「「何故にSUKIYAKI???」」」」」

 

 クリスマスにすき焼き要素ってあったっけ? 

 うーん………………だめだ情報が完結しない。まるで無量空処。

 

「じゃ、作ってくで〜」

 

 さあ始まりました。犬山クッキング〜! 

 まず、鍋に牛脂を広げ牛肉に軽く火を通す。次に砂糖、醤油、酒を入れてひと煮立ち。

 具材は椎茸、えのき、ネギ、焼き豆腐、しらたき、春菊をのせたらふたをしてしばし待つ。(by大塚ボイス)

 

「正統派すき焼きって感じだねー」

 

「関西風やでー」

 

「関東は割り下で煮るけど関西は肉焼いてから調味料なんだよね」

 

「そうなんです〜」

 

 こういう調理方法の違いから関西のすき焼きは味が均一になりやすい関東と違って肉の香ばしさと味をよく感じられるんだよな。

 

「あき、スキレットで玉ねぎ炒めといてくれへん?」

 

「うん? なんかもう一品作んのか?」

 

「まあ、そんなとこや。オリーブオイルとニンニクで頼んだでー」

 

「おっけー…………しっかし、めっちゃ冷え込んできたな」

 

「まー高原やしなぁ」

 

「今気温0℃だってー」

 

「これからもっと冷え込むよ」

 

「ふっふっふ、みんなこうするとぬくいですぞ」

 

「出たな怪人ブランケット」

 

「うーさむさむ」

 

 各自で持ってきていたブランケットをなでしこと同じように全身包むようにして羽織るとあら不思議、勢力拡大する秘密結社ブランケットの完成だ。総統はちくわらしい。かわいい。

 もちろん(?)なでしこの方がかわいいがな! 

 

「総統、一足先にごはんが出来たであります」

 

「わん!」そわそわ

 

 めっちゃそわそわするやん君。

 ってかこの状態で食べるのか? ……ああ、流石に降りるか。

 

「リンちゃん、年末何するか決めてる?」

 

「うん? うーん、年末はバイトかな」

 

「バイトかぁ……私も探してるんだけど全然見つからないんだよねぇ」

 

「この辺は高校生の求人少ないんだよ」

 

「バイトの求人甲府ばっかだしなー」

 

「せやからうちらはホンマにラッキーやったなぁ。たまたま近所でバイトが決まって」

 

「いいなー」

 

「(確かに俺もラッキーだったな)……なんで求人少ないんだろうな?」

 

「「さあ?」」

 

「だったらなでしこちゃん、私と一緒に年賀状のバイトやんない?」

 

「えっ?」

 

「年始までの短期なんだけどまだ募集してるよ」

 

「ホントに!? やるやる! やります!」

 

 バイト探しに難航中のなでしこに斉藤さんから短期バイトの誘いが。まさに行幸だな。

 

「どこに電話すればいいの?」

 

「えっとね、まずネットでエントリーして……」

 

「うんうん」

 

「…………」

 

 うん、心配だなぁ!! (クソデカボイス)

 なでしこのバイトは以前から話題に上がっていたが、そもそも募集数が少ないっていうのと俺自身と桜ねーちゃんのお眼鏡に叶うバイト先がなかなかないっていうので先延ばしになってたんだよな。

 あ、もちろん俺と桜ねーちゃんでバイト先の下見をしてなでしこが問題なくバイトできる環境かどうか調査してますがなにか? 

 

「完璧に調査してやるぞ……!」ボソッ

 

「よし、そろそろええ頃合いやな。あき、皆に卵配ってや」

 

「あいよー」

 

「さ、出来たで晩ごはん!」

 

「「「「「おおー!」」」」」

 

 とりまなでしこのバイト先は帰ってから調査するとして、今は犬山さんが作ってくれたすき焼きに集中するか。

 

「それでは」

 

「「「「「「いただきまーす!」」」」」」

 

 まあ、まずはベジファーストってことで春菊から。ついでに冷ましとくためにネギと焼き豆腐もとっておく。

 

「うま」もぐもぐ

 

 春菊ってすき焼きでしかあんま見たことないけど意外に美味いんだよなぁ。隠れた名作って感じ。

 つぎは冷ましておいたネギと焼き豆腐。

 

「はふはふ……」

 

 木綿だからか豆腐の味がしっかりしている。濃いめのすき焼きではこの焼き豆腐が一番落ち着ける。

 ネギもくたってて味がしっかり染みてて美味い。

 さあさあ、お次はお待ちかねの肉をいただこうじゃあないか。

 

「…………」もぐ

 

 ………………っは! 一瞬意識が吹き飛んだぞ。なんなんだこれは、美味すぎるなんてもんじゃない。

 きめ細やかなサシ! あふれる甘い脂! 噛むたびに香る芳醇な肉の風味! 

 

「う、うますぎる……!」

 

 ありがとう牛さん。(合掌)

 

「ん~~!」

 

「肉超うめぇー!」

 

 箸休めで椎茸とえのきを食べるとこれまた肉の旨味を吸いまくってて、もはやこいつらも肉なのではと錯覚するほどだ。

 

「すっごくおいしいよ! あおいちゃん!」

 

「どういたしましてー」

 

「うっうっ……」シクシク

 

「ど、どうしたんです先生?」

 

「わかりますよ先生、肉が美味すぎるんですよね?」

 

「ちがうの゙よぉ……ずぎやぎに合ゔ日本酒忘れぢゃっだのよぉ!」

 

「あ、そうですか」「さようですか……」

 

 そっちだったかー。

 

「なあイヌ子、なんで晩めしすき焼きにしようと思ったんだ?」

 

「確かに」

 

「実はなー……」

 

 どうやらお肉が届いた日、クリスマスっぽいメニューに迷っていた犬山さんに犬山さんのお婆さんが"すき焼きは特別な日にみんなで頂くものだからすき焼きでもええんやない? (言い方合ってる?)"と助言した結果こうなったらしい。

 

「ちゅー訳や」

 

「ばーちゃんに騙されてるぜぃ」

 

「でもこんな風にお鍋囲むの日本の年末って感じがしてすごく良いと思うよ」

 

「だね」

 

「私んちはすき焼きに白菜入れたりするよー」

 

「うちは餅巾着とかいれてる」

 

「餅巾着うまそうだなぁ」

 

「やっぱり寒いときは汁物だねぃ……」

 

「すき焼きって汁物なん?」

 

「なでしこが汁物と言えばそれは汁物なんです(真顔)」

 

「さよですか」

 

「はぁー肉ンマいー」

 

「あ、そうだ忘れてた!」

 

「「「「「??」」」」」

 

「私、クリスマスっぽいもの持ってきてたんだよ」ごそごそ

 

 ほお? 

 ん? こ、これは…………! 

 

「「「「「「年末戦士サンタクレンジャー!」」」」」」

 

「電池式のミニツリーもあるよー」

 

「一気にクリスマスムードやなぁ」

 

「斉藤さんどうしたのこれ?」

 

「まあまあ」

 

「あははちくわトナカイかわいー!」

 

「わふ」

 

 斎藤さんが持参したサンタクロースのコスプレを全員で着用すると、見事にキャンプがクリスマスムードに変化した。

 ちくわはうさ耳のつけ耳からトナカイの角と耳のつけ耳をつけている。おーよしよし、めんこいやつだなちくわ。

 ま、なでしこには負けるがな!! (シスコン)

 

「うーん……にしてもこれ」

 

「おっ、パイセンもそう思うっすか」

 

「うん」

 

「「仕事終えたサンタが打ち上げしてるみたいだね(な)」」

 

「「「「…………」」」」

 

 ハハッ! 気づいてしまったようだね! (by夢の国の使者)

 

「そ、そろそろ具材追加しない?」

 

「うんうん」

 

「いや、こっちの方はもうおしまいや」

 

「え、でもまだこんなにお肉あるよ?」

 

「ふっふっふ、こっからはこいつでお色直しや……!!」

 

 そう言って犬山さんが取り出したのは…………トマト? 

 

「あきが事前に炒めておいてくれた玉ねぎにトマトとバジルを加えてさらに火にかける!」

 

「「「「「おおー」」」」」

 

「そんでー野菜が無くなった鍋に移して煮込めば…………」

 

「「「「ワクワク」」」」

 

「ドキドキ」

 

「トマトすき焼きの出来上がりやー!」

 

「「「「「トマトすき焼き!?」」」」」

 

 と、トマトすき焼きだと!? 

 和から洋への華麗な変貌……! 

 これは確実に美味すぎて死んでしまうぞ(確信)……だが食べずにはいられないっ! 

 

「さ、食べり〜」

 

「「「「「いただきまーす!」」」」」

 

 さあ、トマトすき焼きの力をとくと魅させてもらおうじゃあないか……! 

 

「あむ…………」もぐもぐ

 

 こ、こ、これは! 

 

「Buono……!」

 

「うまっ!」

 

「トマトうま!」

 

 お、思わずItalyの風を感じてしまうくらいに美味すぎるぞこれは! 

 食欲をそそるニンニクとオリーブオイルの醸し出す芳醇な香りに洋風にリメイクされた甘めのすき焼きの割り下がマッチして最高にBuono……! 

 そんな土台のもとできめ細やかなサシが入った牛肉がトマトの酸味と調和し素晴らしいマリアージュを奏でている! 

 

「うっ……うっ……」しくしく

 

「わかりますよ先生、今度こそ美味すぎるんですよね」

 

「ワインが合うのにぃ…………」しくしく

 

「あ、そすか」

 

 まあ相変わらずの安定思考ですね、鳥羽先生。

 

「…………」

 

「……ボーッとしてどうしたんすか、パイセン?」

 

「いや、なんでもないよ」

 

 …………ふと、思うことがある。

 こうして山梨に越してきてから(もちろん楽しかったが)少し味気のなかった日常が、大きな動きを見せなかった感情が段々と変化してきている。

 野クルに入って、こうしてキャンプして、楽しいことが見つかって。

 …………全部ここにいるみんなが与えてくれた。この幸せな時間を。

 

「恵まれてるなぁ…………」

 

 大事にしよう、このひと時を。

 

 ────────────────────────

 

「食ったー」

 

「食べたねぃ」

 

「おそまつさまー」

 

 いやー食った食ったー。腹八分目ですわ。

 

「けどな、これで終わりやあらへんねん」

 

「な、なに……!」

 

「トマすきのシメ"チーズパスタ"が残っとんのやー!!」

 

「チーズパスタ!?」

 

「なんだってー!?」

 

 なななんと、犬山さんが取り出したのはシメのパスタ(フェットチーネ)だった……! 

 これは確定演出きたか……? 

 

「シメ食べる人ー」

 

「はいぃぃっ!」

 

「すげーなおまえ」

 

「私一口だけもらおうかな」

 

「私も」

 

「俺もちょっともらおうかな」

 

 まあまあ、これは流石に食べなきゃ後悔しそうだしね。

 そして、相変わらずなでしこが可愛くてお兄ちゃん心のお腹いっぱいです。(鼻血)

 

 ボボボ……

 

「ん?」

 

「……あらら? ガス切れしてもーたわ」

 

「あらら」

 

「なでしこちゃん新しいガスあらへん?」

 

「あ──っ! 替えのガス持ってくるの忘れた…………」

 

「先生が持ってるバーナーのガス使えるんじゃない?」

 

「ほんと!?」

 

 アウトドアで使われるガス缶にはCB缶とOD缶の2種類があります。CB缶はスーパーや100均などで手に入りやすく安価なこと、OD缶はランタンなどのアウトドア用品に広く対応しておりクッカーに収まる携行性などがメリットです。(by大塚明夫ボイス)

 

 ガチャッ……ボウッ! 

 

「点いた!」

 

 ボボボ……プスッ…………

 

「…………」

 

「ネンリョウガタンネーヨ!!」(裏声)

 

「ちょパイセン……www」

 

 ってガスコンロ君が言ってるような幻聴が聞こえたんや俺には。

 

「こっちも切れてしもたな」

 

「先生ガスボンベってもうないんですか!?」

 

「そんなものは無いっ!!」

 

「お兄ちゃん!」

 

「はいよ」ごそごそ

 

 うーん………………これはー、ないな。

 ガスコンロは持ってるのにガスボンベを持ってくるのを忘れるとは、この蒼也一生の不覚…………。

 

「…………」フルフル

 

「そ、そんなー…………はっ!?」

 

「どしたなでしこ?」

 

「コンロが使えないということは明日の朝ごはん何も作れないってことじゃ…………」

 

「「「「あ」」」」

 

「たしかに」

 

「ぐふっ…………」

 

 な、なでしこーっ!! 

 このままじゃマイエンジェルシスターなでしこが死んでしまう!! 

 あなたはAEDを! あなたは救急車を持ってきてください(?)!!」

 

「何言ってんすかパイセン……」

 

「あれ? 声に出てた?」

 

 ☆粉バナナ! ☆

 

「安心しろなでしこ! 俺が走ってガスボンベを買ってきてやる!」

 

 いくらでもな!!!! 

 

「ほんと!?」

 

「任せろ!」

 

「ちょちょ、こっからコンビニとかまでどのくらいあると思ってんすか?」

 

「知らん! そんなことはどうでもいい! (海馬風)」

 

「いやいやいや……」

 

「各務原先輩」チョンチョン

 

「ん?」

 

 どうしたんだ志摩さん? 

 悪いが今の俺は身体が暖まっちまってるからな。

 

「私が原付で買ってくるので、流石に走って買ってくるのはやめてください(真顔)」

 

「そ、そう……?」

 

「はい」

 

 ☆各務原蒼也敗北☆

 カンカンカンカン! 

 

「な、ならお願いしようかな……(´・ω・`)」

 

「あ! リンちゃんお金出すからガス2本とチューブ生姜お願い!」

 

「分かった」

 

「じゃあたしグミー」

 

「私ミント系のガムー」

 

「調子に乗るなよお前ら」

 

「あってしにほんしゅぅー!」

 

「未成年だから買えません」

 

「それはそう」

 

 志摩さんがコンビニに行くと分かった瞬間に大垣さん、斉藤さん、鳥羽先生の順におつかいを頼もうとするが悉く却下されていた。

 鳥羽先生に関してはいい加減にしないとがちで解雇されるぞあんた……。

 

「じゃ行ってくる」

 

「「「「「いってらっしゃーい」」」」」

 

「暗いから送るよ志摩さん」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 流石にお願いする側としてはこれくらいのことはしないとね。

 

「志摩さん」

 

「?」

 

 しばらく歩いてから志摩さんに声をかける。

 今回、いや今までのキャンプで確認しておきたいことがあったから。

 

「今回のキャンプは楽しかった?」

 

「はい、とても」

 

「そっか」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「どうしてって顔してるね」

 

「! いや」

 

「まあ、いきなりこんなこと聞かれたらそうなるよね」

 

「…………はい」

 

「なでしこがさ…………」

 

「?」

 

「なでしこが迷惑かけてないかなって、決めたら真っ直ぐだからさなでしこは」

 

「めいわくとかじゃ、全然ないです」

 

「ほんと?」

 

「はい」

 

「それなら良かったよ、ほんとに」

 

「…………」

 

「志摩さん」

 

「はい」

 

「これからもなでしこと仲良くしてやってほしい」

 

「……もちろんです」

 

 お兄ちゃんとしてはそれだけが全てだ。

 なでしこが仲のいい友達に囲まれ楽しく過ごせていれば、それでいい。

 っと、話し込んでたらいつの間にか着いてたな。

 

「じゃあ志摩さん、おつかいよろしくね」

 

「はい」

 

「何かあったらすぐ連絡してね」

 

「…………各務原先輩」

 

「ん?」

 

「私は各務原先輩とも仲良くしたいです」

 

「え」

 

 それってどうゆう…………。

 

「じゃ、いってきます」

 

「あ、うん」

 

 …………。

 

「いや」

 

 自分の頬をつねってみる。

 …………いたい。

 つまり、現実か。

 

『仲良くしたいです』

 

 さっきの言葉が脳内を反芻する。

 

「もどるか」

 

 なぜこんなにも心臓の鼓動が早く大きくなるのか、この感情を俺は知らない。

 

 ────────────────────────

 

 卒業研究って忙しい。(大事なことなので2回目)

 

 

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