お久しぶりです。
今回結構難産でした。
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「楽しかったよちくわ……また遊ぼうねっ!」
「もう聞こえとらんで、なでしこちゃん」
「わふぅ…………」zzz
「さらばちくわ、漢同士の別れに言葉はいらない……!」
「何言ってんすかパイセン」
斉藤家の車で一足先にクリキャンから去る仲間(ちくわ)にそれぞれが思い思いの言葉をかける。
さらばだちくわ、今度は暖かくなってからキャンプしような。
「チワワって寒いの苦手だったんだね……」
「うん、だから一晩泊まるのはちょっとね」
「今度は暖かいときに花見キャンプみたいなのどうかな、斉藤さん」
「花見キャンプ!!」
「いいですね~」
「それめっちゃいいっすね! パイセン!」
「でしょ? もちろんこのメンツでね」
「ありやねー」
「うん」
思い付きで暖かい春といえばな花見にこじつけでキャンプを言ってみると思いのほか反応がよくて嬉しくなる。
こうやって、楽しいことは続いていくんだ。
「さてと、じゃあそろそろ風呂行くかー」
「さんせ〜」
「焚き火の番はどうしようか」
「私やりますよ」
「わたしも!」
「じゃ俺も」
てことで、俺となでしこ、志摩さんと鳥羽先生の計4人で焚き火の番をすることになりほかの人達はお風呂へと向かった。
ちな鳥羽先生は酔いを覚ましてからお風呂へ行くとのことで残っている。
一生無理じゃね? 風呂キャン界隈ですか。
あ、いってらー。
「あの、先生今日私たちに付き添ってくれてほんとに良かったんですか?」
「え?」
「クリスマスだし彼氏さんはいいのかなって」
「あ、火起こしのお兄さん」
あれってやっぱお兄さんだったのか?
「えーと……私誰ともお付き合いしてませんけど」
「「え?」」
「火起こしのお兄さん……?」
「ほら、四尾連湖のときに一緒にキャンプしてた人のことですよ先生」
「あ、あー……あれ私の妹です」
「「えっ! 妹!?」」
「やっぱかー」
「あんな感じなのでよく間違われるんですよ」
やっぱり火起こしのお姉さんだったのか。
さすがに10代でセンサーぶっ壊れたのかと思っちゃったわ。
いやーあぶないあぶない。
「ただいまー、いい湯だったぞ〜」
「あきちゃんは女の子だよね!? ねっ!?」
「喧嘩売ってんのかオラァ」
若干見た目の人間不信に陥っていたなでしこがお風呂から戻ってきた大垣さんに性別を確認していた。
さすがに失礼だぞなでしこ。
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「「ただいまー」」
「あっ! みんなリンちゃんみたーい!」
「おお」
「いーないーなー!」
大垣さんたちと入れ替わりで温泉に入り戻ってくると全員の髪型が志摩さんのようなお団子ヘアーになっていた。
「斎藤さんがやったの?」
「はい、なでしこちゃんと各務原先輩もやりますか?
"しまりん団子"」
「やるー!!」「なんだそのネーミング」
「お願いしようかな」
「はーい」
レジャーシートに座り込み斉藤さんの方へ後頭部を向けると、こそばゆい感じがしながらも髪の毛がお団子に整えられていくのが分かる。
「各務原先輩ものすごく髪の毛サラサラですね。何かしてるんですかー?」
「ん? いや特に何も……」
「そんなか? パイセンちょっと触ってみてもいいっすか?」
「あ、わたしもええですかー?」
「いいよー」
唐突に始まった髪の毛の鑑賞会。やはり女の子だからそういう美容系のことに関してはみんな興味を持つのか?
「おおーこれは世の女性が羨むレベルっすよ!」
「ほんまや、サラサラー」
「ほんとに何もしてないんすかこれ?」
「うん」
「かーっ! いつか刺されますよパイセン(真顔)」
「だれに!?」
「世の女性を嫉妬させた罪で全員から」
「こわい!!」
こわいよ! 普通に暮らしてるだけで刺されるのかこの世の中は!
「俺としては女の子に間違えられるからあんまし良くないんだよなぁ、この髪……そろそろ切るか?」
「ええー! 勿体ない!」
「アッソウナノ?」
「いいですか? 各務原先輩」
「アッハイ」
「女の子にとって髪の毛は命よりも大事なものなんです」
「イヤオレオンナノコジャ……」
「大事、なんですよ(真顔)」
「アッハイ」
その後5分ほど斉藤さんから髪の毛に対する考え方についてコンコンと教え込まれた。斉藤さんの前で髪の毛についてとやかく言うのは辞めようと誓った。
「カミノケハダイジデス!」
「パイセンこわれちった」
「そいそいそいそい…………はい完成ー」
「「「「「おおー!」」」」」
「お姉ちゃんに似てるー!」
「ほんとだ、パイセンのお姉さんに似てんな」
「そうなん?」
「たしかに、桜さんに似てる」
「えーどんな感じの人なの?」
「えーっとね、こんな感じだよー」
「「どれどれ……」」
「この各務原先輩の左に立ってる人?」
「そうそう!」
「今と瓜二つやなー」「だねー」
「ちょ誰か写真撮って」
そんなに似ているならば、後世に語り継がなければ……!
「さ、なでしこちゃんもやるからこっちおいでー」
「お願いします!!」
「そいそいそいそい…………!」シュバババ
「おお?」
「はい、できたー」
「どぉ?」ドヤァ
「「「「ぷぷっ」」」」
出来上がったのは見事なしまりん団子…………ではなくハニワのようなサボテン? である。
逆にどうやって作ったのかそっちの方が気になるわ。
「い、いいと思うよ……笑」「う、うむ…………ふっ」
「せや、ね……笑」「い、いいと思うぜぇ……」
「なでしこかわいー!! こっちむいてー!」パシャパシャパシャ
そのような一幕がありつつ、日は暮れていく…………。
「お風呂もあって、ええ景色でほんま最高の場所やなぁ……」
「私冬キャンプなんて初めてだったけどすごく楽しめたよー」
「それもこれも場所を見つけてくれた、しまりんさんのおかげだからなー。お前らちゃんとお礼言っとけよー」
「いやいや……」
「さんはい!」
「「「「「あーりがとーございましたー!」」」」」
「小1みたいなお礼やめろ」
それはそう。
「ねぇねぇ今から何しよっか?」
「まだ9時だから寝るにはちょっと早いよねー」
「さてさてそんな皆様に朗報がございます」
「およ?」
ここで俺は家から厳重にクーラーボックスで持ってきたとっておきを用意する。
「はいどーん」
「なんすかこれ?」
「みんなクリスマスといえばの何かを忘れてないかい?」
「「「「「??」」」」」
「なんやろ?」「クリスマスといえば……?」
「なでしこちゃん知ってる?」
「ううん……あっ!」
「おっ」
「もしかしてあのときのやつ?」
「そそ」
「なんだ? 分かったのかなでしこ?」
「いやでも中身までは教えてもらってないんだよねぃ」
「そゆこと、まぁささっとネタばらししますか」
「「「ワクワク」」」
そう、クリスマスといえばでまだ出てきていないアレ。それを箱から取り出しみんなの前にみせる。
うん、ちょうどいい感じになってるな。
「じゃーん!」
「「「「「「おおー!!」」」」」」
「ケーキだぁ!!」
「クリスマスケーキかー」「すげー!」
「各務原先輩が作ったんですか?」「すごい……」
「自作です」(^^)v
「すごいですね、各務原くん」
「ええ、お店の味とまではいかないだろうけど、結構うまくできたと思うからみんなで食べよう!」
「やったー!!」
「ケーキ! ケーキ!」
「ココアいれるでー」「私も手伝うよー」「わたしも」
犬山さん達がココアを淹れてくれる横で紙皿にケーキを均等に切り分けていく。
「さ、みんなケーキとココアは行き渡ったかな?」
「「「「「はーい」」」」」
「それでは、いただきます」
「「「「「いただきます!」」」」」
今回俺がクリスマスケーキとして作ったのはチョコレートケーキだ。切りにくくないように飾りは最小限のチョコ細工で、チョコのビスキュイに中にフランボワーズのジュレが入ったチョコレートムースに、見栄えを意識してグラサージュコーティングを施してある。
「うまっ!!」「ほんまや! むっちゃうまいなー!」
「おいし~!」「うむ……!」
「ん~! すっごく美味しいよお兄ちゃん!」
「ほんとに美味しいです、ラムココアにあいますねぇ……」
よかった、みんな美味しそうに食べてくれてる。
「そう言ってもらえると作った甲斐があるって思うよ」
「ココアに合う〜」
「このケーキどうやって持ってきたんですか?」
「冷凍庫で今朝までカチカチに凍らせて、そこから自然解凍だね」
高原で気温がそこまで上がりきらない場所だからこそできる芸当だ。フルーツケーキにしなかったのは切りにくいのもあるけど、再解凍すると果物は水分がでやすく味も落ちやすいのが一番の要因だ。
「この寒い中ブランケットに包まりながらココアと共にいただく……!」
「贅沢やな〜」
「このベリーのジュレがアクセントになってて美味しいねー」
「全部同じチョコムースだと重くて飽きるからね、味変だよ」
「お兄ちゃん、これいつから準備してたの?」
「まぁ昨日の夜中にこっそりと、ね」
「えー全然気づかなかったよぅ」
「これは俺からみんなへのクリスマスプレゼント……いや、おもてなしだよ」
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各務原先輩のケーキを食べ終えた後は大垣が持ってきてたタブレット(見放題プラン加入)で動画鑑賞をしていた。
「ふぁー、私そろそろ寝るわー」
「せやねー」「そうだねぇ」
「私もう一本見てくー」「あ、私も」
「ぐがー……ぐごー……」
「俺鳥羽先生運んでくるわ」
そろそろみんな眠たくなってきたのかそれぞれのテントに退散していく。
私はこれからのことを考えるとちょっとまだ眠れそうにない。
「リンちゃん」
「ん?」
「リンちゃんってお兄ちゃんのこと好きだよね?」
「ぶっ!!」
なな、何をいって……
「な、なんで?」
「見てたらわかるもん」
そ、そんなにわかりやすかったかな……私。
「こう見えてもお兄ちゃんの妹だもん」
……そっか。なでしこは今までにも先輩にそういう好意を向けている女の子を一番近くで見てたんだもんな。
ということはも、もしかしてなでしこはそういう女の子にはあまりいい感情を持ってないのでは?
そ、そうなると私もそういう女の子の部類に入るからなでしこから嫌われてたり…………いやいや! あのなでしこがそんなこと考えるわけがない、よな?
でももし、本当になでしこがそう思っていたら…………
この今の関係が、崩れてしまったら…………
「…………ゃん」
「……ンちゃん」
「リンちゃん!」
「おわっ! な、なに!?」
「いや、急に顔色が悪くなったから…………大丈夫?」
「う、うん」
「それでねリンちゃん、私は一番近くでお兄ちゃんを見てたから分かるんだ」
「な、なにが……?」
「お兄ちゃん、今すっごく楽しそうなんだ…………」
そう言うなでしこの顔は……
嬉しそうだけど、どこか悲しさを含んでいた。
「なでしこ……」
「お兄ちゃんって素は今日みたいな感じで私と同じくらい元気いっぱい走り回ってたんだよ?」
「……」
「それがいつの日かきっぱりなくなって…………人前で笑うことも少なくなっちゃった」
…………なでしこはそれを見てきたんだね。一番近くで。
「今のお兄ちゃんももちろん大好きだけど……昔のお兄ちゃんはもっと好きだったんだよ」
「…………」
…………。
「ねぇ、リンちゃんは気づいてる?」
「?」
「お兄ちゃん、リンちゃんと話してるときちょっとだけ昔みたいに笑うんだよ」
「っ!」
「リンちゃん、私はね"お兄ちゃんらしさ"なんて考えない、考えなくて良いように、そんななかでお兄ちゃんに生きててほしいんだ」
「それは……」
「少しでもお兄ちゃんらしさを忘れられる瞬間があるなら」
「……」
「リンちゃんといることで忘れられるなら…………私はそれを精一杯応援するよ」
なでしこ…………。
「そ・れ・に〜…………」
「な、なに?」
「お兄ちゃんもリンちゃんに気があるみたいですぞぅ……」コソッ
「なっ///」
「ほんと、わかりやすいですな〜お二人とも」
「むむむ……///」
真面目な話から急に声色が変わったと思えば爆弾発言をされたらみんなこうなるだろ。
なんか、揶揄われてるみたいで腹立つ…………。
「ふふっ……だから大丈夫だよ、リンちゃん」
「え?」
「今の関係は崩れたりしないから」
「!」
気づいてたのか。
……というか、妙に鋭いところがあるな今日のなでしこは。いつもはムニョムニョしてるのに。
「ただいまー」
「おかえり、お兄ちゃん!」
「お、おかえりなさい」
「いやー、途中先生が寝言? 叫び出してびっくりしたわー」
「そ、そんなことがあったの!?」
「そそ、でさー…………」
「えぇー? …………」
「…………」
この今の時間が、この関係が崩れてしまうのが怖い。
ようやく知ったこの気持ちを、人にみせるのが怖い。
なでしこ達と関わったことによってわかった新しいキャンプの形を失ってしまうのが…………怖い。
でも、なでしこと話してそんな思いを受け止めてくれると知って、ほんの少しでもこの気持ちを、この"想い"を伝えても…………いいのかなって。
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なんかシリアスな感じになっちった。
そろそろクリキャンもクライマックスです。
果たしてリンちゃんと蒼也の関係はどうなるのか? 乞うご期待!