天官よもぎは知りたい   作:ミルクセーキ

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かぐや様原作の作品少ない…もっと読みたい…
みな書け…書け…


2年生1学期編
天官よもぎは潜入したい


私立秀知院学園!!

 

 

かつて貴族や士族といった高貴な家の子らを教育する機関として創立された、由緒正しい名門校である!

 貴族制が廃止された今でも尚、富豪名家に生まれた将来の日本を背負うであろう人材が多く就学している。

 

そんな彼、彼女らを率い纏め上げる者が、凡人で許される筈がない!

 

「皆さん…!ご覧になって!」

 

「生徒会のお2人よ!」

 

そうやって黄色い歓声を上げる生徒達の間を目付きの鋭い凛々しい顔つきの金髪の男子生徒と人形と見間違うほど美しい黒髪の女子生徒の2人が通り抜ける。

 

黒髪の女子生徒の名前は『四宮 かぐや』

生徒会の副会長を務める。

総資産200兆円、ゆうに1000を超える子会社を抱え、4大財閥の1つに数えられる四宮グループ。

その本家本流 総帥『四宮 雁庵』の長女であり正真正銘のご令嬢である。

その血筋の優秀さを存分に発揮し、芸事、音楽、武芸etc.いずれの分野においても華々しい成績を残した正真正銘の『天才』

 

金髪の男子生徒の名前は『白銀 御行』

生徒会の生徒会長を務める。

質実剛健、聡明英知と表すのにふさわしい秀才。

多才な才能を遺憾無く発揮するかぐやとは対象的に勉学1本で、生徒達の畏怖と、敬意を集める。

その模範的な態度から途中入学である混院ながら生徒会長に抜擢。

その手腕から生徒のみならず教師からの信頼を寄せており、まさに皆の手本となる生徒会長である。

 

と、ここまでの文章を手帳に書き留めた青年はそのページを暫く見つめ、小さくため息をつく。

 

「流石にないですかね…この文章は」

 

そう呟くと手帳をしまい、青年は2人の向かった方向、生徒会室に向かって歩き始める。

 

青年の名前は『天官(あまくらい) よもぎ』

特徴と言えば白銀と同じく混院である事と生徒会庶務を務める事。

身体的にも琥珀色の目が少々珍しい程度で暗い茶髪のどこにでもいるような青年である…表向き

 

エージェント『アンバー』

それが彼の裏側を表すコードネームである。

さて、そんなエージェントである彼がどうして秀知院学園に混院として入学し、高校生活を送っているのか。

それを説明する為には時間をおよそ半年程前まで戻さないといけなくなる

 

 

 


半年前

 

 

「呼びましたかクォーツ…何をされてるので?」

 

黒いスーツに身を包んだ青年…『アンバー』は部屋に入るとスーツを着た白髪の人影に向かってそう言い放った。

 

その白髪の人影の名前はエージェント『クォーツ』

今回アンバーを呼びつけた人物であり、アンバー直属の上司にあたる。

アンバーに対する任務は彼から伝えられる為、アンバーは今回もその内容で呼び出されたのだろうと予測していた。

 

クォーツはアンバーの呼びかけに振り返ると笑顔で答える。

 

「あぁアンバー、来てくれたんだね!それじゃあ任務の説明をするよ…」

 

「待ってください。その前に今している事の説明を頂けますか?」

 

クロマグロの解体だけど」

 

当たり前だろと言いたげに手に持った包丁を掲げながらクォーツはアンバーの問いに答える。

事実、クォーツの前のまな板にはとても立派なクロマグロが鎮座している。

豪華な内装の中に存在するその異物(クロマグロ)は異様な存在感を放っていた。

アンバーはその状況に頭を痛めながらもクォーツに質問する。

 

 

「僕が説明いただきたいのは何をしているではなく、なぜそれをしているのか、なのですが?」

 

「なんでも聞くんじゃなくて少しは自分で考えてみたらどうだい?」

 

(さっさとくたばらないかなこの上司)

 

アンバーは心の中でそう思いながらも顔に出さないように平静を保つ

 

「分かりました。それでは僕の考えを…」

 

「まぁたまたま良いマグロが入ったから、捌いてたってだけなんだけどね!君が来るまで暇だったし、というか早く要件について話したいんだけどさ…」

 

なんだァ?てめェ……

 

アンバー、キレた!!

 

          ~数分後~

 

「さて、今回呼び出したのは他でもない。アンバー、君に新しい任務だ。」

 

血のついたエプロンをとり、身なりを整えた後、クォーツは部屋に設置されている椅子に深く腰掛け、アンバーに向かってそう伝える。

その瞬間、アンバーは部屋の空気が引き締まった気がした。

 

 

 

 

「そんな雰囲気出されても、そこに置いてあるマグロで台無しですよ。それに貴方そんなタイプじゃないでしょう?」

 

「あ、そう?じゃあ普通に伝えるね?」

 

その瞬間張り詰めたような空気は霧散し、クォーツもその顔にニコニコとする笑顔を浮かべる。

 

「今回の任務の概要はこの紙に書いてあるから確認してね。」

 

そう言いながらクォーツはアンバーに封筒を投げて渡した。

アンバーは渡された封筒を開け、内容を確認する。

 

そこに書いてある内容を要約すると、「秀知院学園に一般生徒として潜入し、そこの生徒の様子を報告すること。特にトラブルに発展しそうな内容については優先的に報告すること。」というものであった。

 

「どういう事ですかこれは?」

 

「どういう事ってそこに書いてある通りだよ?学園からの依頼で、君にはこれから高校1年生として秀知院学園に入学してもらって、そこに通う生徒の状況について随時報告してもらう。卒業までの任務だから3年間これから頑張ってね?」

 

「いえそうではなく…」

 

「それじゃあ何?年齢は15歳であってるだろうし、あぁ戸籍ならちゃんとこっちで用意してあるよ?」

 

「そういうわけではなく!」

 

アンバーは声を荒げてクォーツに問う

 

「この任務は僕の適正の任務ではないと思うのですが!」

 

「そんな言い繕うなよ。正直に言えばいいじゃないか、僕にはもっと難度の高い任務を下さいって。」

 

「…」

 

アンバーはそのクォーツの言葉に何も返せなかった。

その状況が、クォーツの指摘が正しいことを表していた。

 

ここで彼等の所属する組織の紹介をしたいと思う。

彼等の所属する組織は表向きは宝石を主に扱うブランドを展開している企業である。

その裏で彼等エージェントは、国や政治に縛られる事なく、世界平和を目指し日夜邁進している。

その組織の中でも特に優秀な者には、宝石の名前を関するコードネームを与えられる。

アンバーはその中でも最年少でコードネームを与えられた言わばエリートエージェントであった。

 

アンバーは基本どのような任務でも文句を言わずに取り組む。

しかし、アンバーの専門はどちらかと言うと荒事によっており、潜入諜報もできなくはないが、この組織には自分よりもその方面の知識が多い者も在籍している事をアンバーは知っていた。

この様な背景もあり、危険性も少なく自分の専門でもない今回の任務は自分の適正の任務では無いとアンバーは判断した

 

「確かに君の事は高く評価しているよ。任務成功率100%!こないだの爆破テロを未然に防いだ事も凄かったじゃないか。」

 

「それはどうも…しかし任務成功率100%は別に凄いことでもないでしょう?貴方も僕も任務に失敗してたらここにいないですし。」

 

「まぁそうとも言うね。」

 

そう言いながらクォーツは席に座り直し、アンバーの目を見つめる

 

「けどね、この任務には君じゃないといけない理由がちゃんとあるんだよ。」

 

「理由ですか…」

 

「そう、理由は大きく分けて3つ」

 

そう言いクォーツは指を3つ立てる

 

「1つ目は年齢。ここの部分は誤魔化す事もできるけど、君くらいの年齢の子供達は変に聡い子も多いからね…同い年の方が都合が良かったっていうのが理由。」

 

「2つ目は防犯。今回潜入予定の秀知院学園は全国から高貴な身分の人が集まる学校。もし、ここがテロリスト達なんかに目を付けられた時に万が一に備えて出来れば有事に備えられる人を配置したかったって言うのが理由。」

 

「3つ目は経験。確かに君には潜入だったり諜報の経験というものが少ない。この期にこの危険のない任務でそこらへんの経験を積んで欲しいというのが理由。」

 

そう言い終わった後、クォーツはまぁ最後に関しては元から規定以上には出来てるんだけどさと付け加える。

それを聞いたアンバーは目を閉じ考え始める。

 

(確かに、この3つの理由を示されると僕が行くのが適当に感じる。諜報の経験を積む、確かに僕に必要なスキルと言える…この人も適当に見えて色々考えてるのは意外だったな、唯のパッパラパーじゃなかったのか…)

 

中々に失礼な事を考えていた。

 

「まぁ生徒として潜入するっていうのは完全に私の趣味なんだけどね!」

 

「なんかもう色々台無しですよ。感動した気持ち返してください。」

 

「はっはっは。まぁまぁいいじゃない元からこんな感じなんだから。それでどうするの?受ける?」

 

「受けますよ。なので詳しい内容教えてもらっていいですか?」

 

アンバーのその言葉にクォーツは満足そうに頷くと、いくつかの書類をアンバーの前に提示した。

それは秀知院学園の入学許可証や、『天官 よもぎ』と書かれた戸籍謄本、秀知院学園入学案内のパンフレットだった。

 

「良かった。せっかく用意したこれが無駄になるところだったよ。」

 

「準備万端ですね…ところでこの戸籍の名前は?」

 

「あぁそれ?天官家はしっかり()()()()()()()()になってる家だよ?うちの表向きの子会社。」

 

「いえ、そちらの事ではなく名前の方です。」

 

このような潜入の時、偽名の鉄則として本来特徴のない名前、それも普段呼ばれ慣れてる名前に近い名前をつけるというものがある。

この『よもぎ』という名前はこの2つの鉄則から離れているものであり、アンバーはその点が気になり、質問をする。

さて、クォーツの答えは?

 

「ん?蓬餅って美味しいじゃん?」

 

「しばきますよ?」

 

しばらく待ったが、クォーツは弁明をせずニコニコとアンバーを見つめる。

この様子にクォーツにそれ以外の意図が無いことを悟ったアンバーはため息をつき、机に広げられた書類をまとめ、部屋を出る準備をする。

 

「それでは僕はこれから諸々の準備に入りますので…失礼します」

 

「あぁちょっと待ってよ」

 

「まだ何か?」

 

そう言い振り返ったからの視界に移ったのは、再度クロマグロを切り分けているクォーツ(クソ上司)の姿だった。

 

「ちょうどいいからこれの処理手伝ってよ!」

 

「遊んでないで仕事してくれません?」

 

 

アンバーが部屋を出たのはおよそ一時間後の事であり、その両手には書類のほかにタッパーに詰められたマグロの刺身が入った袋がぶら下がっていた。

 


現在

 

(今思い出しても地獄でしたねあれは…)

 

アンバーことよもぎは当時のマグロの量を思い出し顔を青くする。

食べても食べても減らないマグロ。周りからの同情の視線。マグロ飽きたとか言い出す上司etc.

結局他に所属しているメンバーや部下にも手伝ってもらい何とか処理をすることが出来たが、よもぎにとってあの日々は、まさに地獄と形容しても過言ではなかった。

 

あの後よもぎは何だかんだで秀知院学園に入学し、その後色々あり、現在の生徒会庶務というポジションに落ち着いている。

しかし、ミッションの方はどうかというと特筆すべきこともなく、報告書の方もクォーツから「面白味が足りない」といわれる始末であった。

その為、最近では報告書の内容が随分と迷走しているのだが、それはまた別のお話。

 

そうこうしているうちによもぎは生徒会室の前までたどり着いていた。

中に入るとそこには、先ほど報告書で話題に挙げた二人が紅茶を飲んでリラックスしている。

 

「失礼します。」

 

「あら、天官くん…」

 

「ん?なんだ、よもぎも来たのか」

 

2人はよもぎの方を向くと口々に挨拶をする。

 

「そういえばかすかに話し声が聞こえていましたけど、何か話していたんですか?」

 

「えぇ。何でも私たちが交際していると噂が出ているみたいでして。私はそういうものに疎くて…」

 

「まぁそういう話が好きな年頃だから気にすることはないという話をしていたんだ。」

 

「なるほど…」

 

 

嘘である!

 

実際この2人はお互いに憎からず思っているが、両方が両方「相手が跪いて告白してくるのだったら付き合ってやってもよい」という超上から目線な態度をとっているためこのような感じになってしまっているのである。

 

(まぁ確実に四宮は俺に気があるだろうし、時間の問題か…)

 

(まぁ私に恋焦がれない男なんていないわけだし?時間の問題かしら?)

 

「ククク…」

 

「フフフ…」

 

(なぜこの2人はいきなり含み笑いを始めたんでしょうか?何かの暗号かなにか?)

 

困惑するよもぎをよそに生徒会室に2人の含み笑いが響いていく。

 

 

 

これは、エージェントである天官 よもぎと秀知院の面々による青春ラブコメディ(多分)である!




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